IS学園潜入任務~壁の裏でリア充観察記録~   作:四季の歓喜

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めっちゃ長くなったよ今回…


さて宣言通り次回は、外伝でラジオ風に寄せられた質問に答えていきたいと思います。まだ余裕があるので、今回の感想に沿えてもオーケーで御座います。




暗躍学園祭 後編

 

 

(ほんと、何なんだ…?)

 

 

 IS学園現3年生唯一の専用機持ちである『ダリル・ケイシー』は、その光景を見て思わず困惑した。

 

 『本国から人員を送る。合流し、彼らの指示に従え』。故郷であるアメリカからそんなメッセージが届き、渋々ながら同じ指示を受けた後輩とクラスの出し物から抜け出し、教師達の目を掻い潜りながら指定された場所にやって来た。裏で色々やってる自分の故郷からこういう指示を寄越されるのは昔から良くあったのだが、今回は少し状況が違っていた…

 

 その本国から送られてきたという人員達が全員、たった一人のガキに叩きのめされていたのだ。彼らは訓練された本職の人間たちであり、小僧がたった一人でどうこう出来るような連中では無いのにも関わらずだ…。

 

 そういうこともあって、死なない程度にとはいえ思わずISを部分展開して殴り飛ばしてしまった。背後から強烈な不意打ちを喰らったそいつは今、壁にヒビを入れながら激突して沈黙してる。当分は起きることも出来ないだろう…

 

 

 

「まぁいいか…フォルテ、そいつらを起こせ」

 

 

「了解ッス」

 

 

 

 彼が何であれ、自分達はこの二つの意味で汚れまくった大人達の片棒を担がなければならないのだ。嫌な事はさっさと終わらせるに限る…

 

 

 

「ささ、エージェントの皆さん起きるッスよ~。みんなのアイドル、フォルテ・サファイアちゃんのモーニングコールッスよ~」

 

 

「……馬鹿か、お前は…」

 

 

 

 そんな戯言を抜かしながら、倒れている男どもの頬をペチぺチと叩くフォルテ。そんな彼女に対してダリルは冷やかな視線を送ったのだが、逆にフォルテは憤慨した…。

 

 

 

「酷いッスね、これでも結構人気あるん…す……ちょっと、先輩…」

 

 

「何だよ、どうした……おいおい、マジかよ…」

 

 

 

 急に顔を引き攣らせながら言葉を詰まらせるフォルテを怪訝に思い、彼女と同じ方を向くとそこには…

 

 

 

 

―――ISで殴り飛ばされたにも関わらず、さっきの男が己の足で立ち上がっていた…

 

 

 

「テメェ…本当に人間か…?」

 

 

「……。」

 

 

 

 流石にこの光景は笑えない。死なない程度とは言ったが、本当に辛うじて死なないだけで普通は瀕死の重傷になるぐらいの威力はあった筈だ。現に彼がぶっ飛ばされた際に激突した壁に出来た巨大な亀裂が、その威力を物語っている。あれだけの衝撃を受けたのなら、全身の骨が逝ってもおかしくは無い…

 

 だが、ソレを喰らった本人は現に沈黙を保ちながらピンピンしている… 

 

 

 

「おい、何か言ったらどうな…ッ!?」

 

 

「先輩ッ!!」

 

 

 

 突然、ダリルの言葉を遮るようにして男は…セイスは恐ろしい速度を持ってして彼女に突進した。その速度は人外の領域に足を踏み込んでおり、肉眼では反応する事も難しいだろう。

 

 

―――しかし、あくまで“人外”なだけであり“最強兵器”には遠く及ばない。

 

 

 

「舐めんなぁ!!」

 

 

「ぐふぅッ!!」

 

 

 

 専用機持ちの実力は伊達では無く、セイスのスピードに対応して即座に高機動戦用である『ハイパーセンサー』を起動させたダリル。一直線に突っ込んできたセイスに椀部を展開した自身のISの拳をカウンター気味で一撃叩き込む。胴体にそれをモロに喰らった彼は先程とは比べ物にならない速度で吹き飛ばされていき、先程亀裂を入れた壁に再度衝突して今度はヒビを入れるどころか粉砕した。

 

 まるで砲撃音の様な轟音が周囲に響き、砂塵が舞う……そこに立っているのは、今の光景に呆然とするフォルテとISの拳を振りぬいた姿勢で顔を青くするダリルだけだった…。

 

 

 

「……やべぇ、殺っちまったかもしれねぇ…」

 

 

「ちょ、マジッスか…?」

 

 

 

 不意打ちされたとは云え、思わず本気で殴ってしまった。それこそISを殴るつもりの本気の一撃だ。相手が人間だった場合、下手をすれば粉々になる程の威力だ。現に自身のISの拳には、先程殴り飛ばした相手の血が付着している……まさか自分は、本当に人を…?

  

 

 

―――しかし、その心配は必要無かった…

 

 

 

「…ク……」

 

 

「「ッ!!」」

 

 

「……ク、クッ…」

 

 

 

 砂塵立ち込める壁のあった場所から、悪寒が走るような呻き声が聴こえてきた。反射的に身構える二人だったが、やがて呻き声は…

 

 

 

 

 

「クク、クッ……ひゃはははははははははははははぁ!!」

 

 

 

 

―――狂ったような嗤い声に変わった…

 

 

 

 

「ひゃははは!!ははッ、ひゃははははははッ!!そうだよ、これだよぉ!!俺がヤりたかったのは、テメェらみたいな奴らだよぉ!!」

 

 

「何を言って…」

 

 

「い、イカれてるッス…」

 

 

 多少血で汚れているものの自身の足でしっかり立ち、ダリルがISで殴ったという事実をまるで無かったかのように振る舞うセイス。そのセイスの有り得ない様子に彼女たちは本能的に恐怖を感じた…

 

 

「はは、ははは!!ヒィヤッハー!!」

 

 

「クッ!?」

 

 

「げぶぅ!!」

 

 

 

 先程と同じように襲い掛かり、同じように殴り飛ばされるセイス。しかし今度は、殴られた衝撃で血を大量に吐きながらもダリルのISにしがみ付いて吹き飛ばされまいと耐えきった。

 

 

 

「オラァ!!」

 

 

「クッ…!!」

 

 

 

 そして、そのままダリルの顔面に向かって拳を振り下ろした。彼女はもう片方の腕にもISを展開し、辛うじてそれを防いだ。ところが、それをものともせずセイスは何度も何度も己の拳を叩きつける。途中、拳が耐え切れずに砕け、鮮血が宙を舞ったがそれすらも気にせずひたすら殴り続けた。

 

 

 

「クソッ、いい加減に…!!」

 

 

「う、ゴフゥ……は、ははは…」

 

 

 

 未だISの装甲は無傷だが、セイスの雰囲気に呑まれかけたダリルは再度渾身の一撃を繰り出した。しかし、またもや殺人的な直撃を受けたセイスは吐血しながらも拳と狂笑を止めることはなかった。それどころか彼の目は、戦意を失わずギラつきを増していく…

 

 

 

―――まだ、足らねぇぞ…

 

 

 

「ッ!?」

 

 

「ウラァ!!」

 

 

「うあッ!?」

 

 

 

 セイスの覇気に気おされたダリルが動きを止めたその一瞬、ついにISの装甲を掻い潜ったセイスの拳がダリルの顔に迫った。が、苦し紛れにも思えるその一撃は操縦者を守る最強の盾『絶対防御』に阻まれる。その様子にセイスは忌々しそうに舌打ちをしたが、対するダリルは唖然としていた…

 

 

 

「先輩から離れるッス!!」

 

 

「うごッ!?」

 

 

 

 その言葉が聞こえたと思った時には既に、セイスはフォルテのISによって遥か向こうに蹴り飛ばされていた。セイスをダリルから引き離すことに成功したが、彼女達の緊張は終わる気配を見せない…

 

 

 

「大丈夫ッスか!?」

 

 

「あぁ、すまねぇ……それにしても、あの野郎は一体…?」

 

 

「……とりあえず、人間では無いッスよね…」

 

 

 

 ISを使わねば付いていけないスピード、絶対防御すら発動させるパワー…そして何より、ISに何度も殴られようが立ち上がる尋常じゃないタフさ。最早、人の皮を被った化物と言った方がまだ信じられそうだ。 

 

 

 

「あぁ、そうさ…俺は人間じゃ無ぇよ……」

 

 

「「ッ!?」」

 

 

 

 その化物は、自身の血で真っ赤に染まった服装以外は最初と全く変わらない姿で立っていた…

 

 

 

「クッククク、そうだよ…やっぱり、同じ国出身ってだけじゃあ足らないんだよ……あ、ああははははは!!まだだ、まだ奴らのよりぬるい!!もっとだ…もっとやってみせろよぉ!!もっと俺に奴らの事を思い出させてみせろよぉ!!」

 

 

「この、変態マゾ野郎がッ…!!」

 

 

「本当に何者なんすか、アンタは!?」

 

 

「……何者かだって…?」

 

 

 

 フォルテのその言葉に、セイスは先程と打って変わって静かに反応した。そしてほんの少しだけ沈黙した後、口を開いた…

 

 

 

「『Artificial・Life-No.6』…その名前が、俺が唯一与えられたモノさ……」

 

 

「『人口生命体第6号』?……意味分かんねぇよ…!!」

 

 

「厨ニ設定お断りっす」

 

 

「知らなくて良い、解らなくて良い。それが普通だ……例え、結果的に俺とテメェが“同郷”でもな…」

 

 

 

 だけどよ…と、呟きながら彼は言葉を紡ぎ続ける…

 

 

 

「ただ俺は、この限りない苛立ちと鬱憤をぶつけたいだけなんだよ!!俺をこんな身体で産み出し、何度も何度も半殺しにした挙げ句、外国の辺境地に棄てやがった奴らにな!!」

 

 

 

―――奴らの都合で産み出され、毎日を殺されながら生きてきた…

 

 

 

「でもなぁ、そいつらは全員もう死んじまってんだよ!!」

 

 

 

―――漸く自由と力を手に入れた時には既に、一番殺してやりたかった奴らは国によって消されていた…

 

 

 

「だからさぁ、お前ら少し付き合ってくれよ…俺の十六年分の八つ当たりにさぁ!!……そして…」

 

 

 

―――そう、コレは復讐などでは無く、ただの八つ当たり…

 

 

―――この世に奴らは既に居らず、殺して奴らを悲しませる事が出来る人間も居ない…

 

 

―――ならばせめて、奴らの事を思い出させる人間を…俺に一方的な苦痛を与える人間をッ!!

 

 

 

 

 

「殺してやるよォッ!!」

 

 

 

 言うや否や、セイスは駆け出した。

 

 

 

「ッ!!」

 

 

「ッ!!やれるもんならやってみやがれ!!」

 

 

 

 それに合わせて彼女達も身構える。端から見ればセイスの行動は自殺行為に他ならないが、当事者である三人はそんなこと露ほども思っていなかった…

 

 そこに居るのは鋼を纏う二人の操者と、一匹の狂犬だけ。この逝かれた状況がまだまだ続くのだと、誰もが思った…

 

 その時だった…

 

 

 

「ッ!!……クソが…」

 

 

「え…?」

 

 

「な…」

 

 

 

 何故か突然、セイスが動きを止めたのである。そして彼は、大きな舌打ちを一つして何やらボヤき始めた。

 

 

 

「あの妖怪女、遊び過ぎたな?しくじりやがって……仕方無ぇ…」

 

 

「テメェ、何の話を…」

 

 

「煩ぇ黙れ、事情が変わったんだよ。不本意だが、今日は帰らせて貰う…」

 

 

「何だと…?」

 

 

 

 余りに唐突な発言に面食らってしまったが、どうやら本気のようだ。現にセイスは二人に背を向け、歩き出した…

 

しかし、ここで黙ってムザムザ見逃す訳にはいかない。

 

 

 

「私達が素直に『はいそうですか、サヨウナラ』なんて言うとでも思ってるのか…?」

 

 

「こっちは曲がりなりにも仲間をやられてるんスよ?落とし前はつけて貰うッス…!!」

 

 

「んなこと百も承知だよ……だからさぁ…」

 

 

 

 そう言いながら彼は自身の足元に転がっていた何かに手を伸ばし、両手に一つずつソレを掴みあげた…

 

 

 

―――気絶中の、アメリカ工作員を…

 

 

 

「というわけで…」

 

 

「おま…まさか……」

 

 

「や、やめるッス…!!」

 

 

 

 セイスがやろうとしていることを察し、顔を青ざめさせる二人。そんな二人に対し、セイスは歪んだ笑みを浮かべ…

 

 

 

「そぉら取ってこい!!」

 

 

 

―――工作員二人を、空に向かって思いっきり投げた…

 

 

 

「野郎、ふざけやがって!!」

 

 

「ヤバいッス、あのまま落ちたら…!!」

 

 

 

 これまた人外なセイスの腕力により投げ飛ばされた工作員の二人は、既に四階立ての校舎を遥かに凌ぐ高度にまで飛ばされていた。訓練されている人間と言ったとこで所詮は人間、あの様な場所から地面に叩きつけられたら確実に死ぬ。

 

更に最悪なことにセイスは、二人を全く別々の方向に投げ飛ばしていた。片方を助けていたら、もう片方を拾い損ねる可能性がある。つまり…

 

 

 

「フォルテ!!」

 

 

「はいッス!!」

 

 

 

 ダリルとフォルテは同時に互いのISを完全展開し、投げ飛ばされた二人の工作員の元に飛翔する。流石は上級生というべきか、二人は難なく工作員をキャッチする事に成功した。

 

 しかし人の命が懸かったという事もあり、二人は一瞬セイスから完全に目を離してしまった。

 

 そして彼にとってその一瞬は、充分過ぎるくらいだった…

 

 

 

「……やられた…」

 

 

 

 既にその場にセイスの姿は無く、彼と彼女たちによって創り出された惨状のみが広がっていた…

 

 

 

「……あぁ畜生!!マジで何なんだよ、アイツは…!?」

 

 

 

 さっきと打って変わって静かになった校舎裏に、ダリル・ケイシーの悪態がひたすら響いた…

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「ちょっとハシャギ過ぎたな……ごふッ…」

 

 

『本当だよ馬鹿野郎、いくら何でも無茶しすぎだ。オータムがシクったことを俺が通信で言わなかったら、ずっと続けるつもりだったろ?』

 

 

 

 ステルス機能を起動させ、ひと気の少ない場所を選びながら隠し部屋を目指して歩き続ける。口からは、何度もISのパンチなんて喰らったせいで損傷した内臓の血が溢れてくる……しかし…

 

 

 

「…どうせ、すぐ止まる。“ナノマシン人間”の身体なんてものはな……」

 

 

 

 『Artificial・Life-No.6』…『人工生命体第6号』。その名の通り、俺は人の腹では無く試験管の中から産まれた。ドイツの技術である『ナノマシン』を強化及び発達させることをコンセプトに、米軍への普及を目指してそのプロジェクトは始動した。ところがその計画の最中、ナノマシンを人に用いるのではなく、“人そのものをナノマシンで造ってしまえ”と考えた馬鹿が現れた。

 

 それが俺を造った野郎であり、俺が一番殺してやりたかったクソッたれというわけだ…

 

 その馬鹿の研究が成功したのかどうかは、俺と言う存在がそれを物語っている。人に転用しようものなら間違いなく拒絶反応を起こしかねない比率で体内にナノマシンが存在しようが、もとからそれに適応できるよう造られた俺はこの通りケロッとしている。そして、ナノマシン特有の身体能力と治癒能力は本家であるドイツの『遺伝子強化素体』とは比べ物にならないくらい凄まじいものになっているのだ…。

 

 

 

『そうは言ってもな、見てるこっちは心臓に悪いんだよ。治るとは言っても、痛いものは痛いんだろ?』

 

 

「……まぁな…」

 

 

 

 ダリル・ケイシーのISを殴る度に拳は砕け、その都度に激痛が走った。殴られた時だって何度も意識を持ってかれそうになった。どうやら俺はまだ実用化前の実験段階だったらしく、痛覚も感情も持たされて造られた。そのせいで、ナノマシンの性能チェックという名目で嬲り殺しにされる毎日だった。

 

 そんな毎日も、国の命令でその計画自体を強制的に中断されたことにより終わりを迎える。後で聞いた話によれば、奴らは無許可で俺らという存在を造り出していたのだ。しかも、奴らは他にも色々と違法な研究に手を出しており、今回の事が発覚したら間違いなく死刑台送りにされかねなかったそうだ。

 

 だから焦った奴らは、証拠隠滅の為に俺を国外に廃棄した。俺を殺そうとしなかったのは、俺のしぶとさを身を持って知っていたからだろう。だが結局逮捕され、中途半端に抵抗したせいであっさり死んじまったそうだ。俺がフォレストの旦那に出会って拾われるまで、スペインの僻地で右も左も分からず何年も独りで泣いてた時にだ…

 

 

 

「けど、仕事は全うしたから別にいいだろ…?」

 

 

『馬鹿、エムがピンチのオータムを無視してテメェを助けに行こうとしたの宥めるのにどんだけ苦労したと思ってるんだ?』

 

 

「マジで…?」

 

 

『お前があの二人から逃げたの見てようやくオータムの回収に出向いたんだよ、エムの隣に居るコッチが逆にハラハラしたっつうの…』

 

 

「……スマン…」

 

 

『ついでに彼女から伝言だ……『死んだら殺しに行く』…』

 

 

 

 会ったら全力で謝ろう、手土産も買っていこう。とにかく全身全霊で許しを請おう…

 

 

 

『とにかく、テメェはさっさと帰ってこい。念のため身体チェックしとかないと文字通り壊れるぞ?』

 

 

「忠告ありがとよ。んじゃ、通信終わり」

 

 

『おう』

 

 

 

 言葉と共に通信を切り、そして考える。計画のメインはオータムが失敗したせいで台無しだが、まだ俺らが学園に忍び込んでる時点で機会は幾らでも作れる。だから、長い目で見ればそんなに焦る事は無い。

 

 ぶっちゃけ、それよりも…

 

 

 

 

「……感想文なんて、書けねぇよ…」

 

 

 

 さっきはあんなに高揚感を覚えたというのに、今はすっかり冷めていた。そりゃそうだ、冷静に考えたところであの二人は俺と無関係だ。彼女達を殺したとしても、後になれば必ず虚しさを覚えるだろう。

 

 結局、俺があの二人に見た奴らの影は、幻に過ぎないということだ……それは他の人間でも同じ…

 

 それを理解した途端…いや、最初から頭の何処かで理解していたのかもしれない。そう思った途端、今まで溜め込んだモノに対して少しばかり諦めがついた。

 

 

―――そもそも、かつて俺が欲したものは別にある。復讐なんて、そのついでだ…

 

 

 

 

「やっぱりお前が持ってたモノと、俺が持ってたモノは違うみたいだ……マドカ…」

 

 

 

 

―――もっとも、今はそんなに執着してない。何故なら…

 

 

 

 

「……早くお前も手に入れろよ、欲しかったモノ…」

 

 

 

 

―――俺はもう、持ってるから…

 

 

 

 

 そんな事を考えながら、俺は誰も居ないこの場所を後にした…

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

~オマケ~

 

 

 

「何か手ぶらで帰るのも嫌だったから、ホレ」

 

 

「ん?……こ、これは…!!」

 

 

「一年一組専用機持ち5人組のメイド姿+αの画像データ」

 

 

「う、うおおおぉぉぉ!!眩い、眩し過ぎる!!…因みに、+αって?」

 

 

「執事服の織斑一夏」

 

 

「誰得だよ……あ、出来たんだった『ワンサマー・ファンクラブ』…」

 

 

「マジか?男どものサンドバックや壁に張り付ける為にと思ったんだが……あと、楯無のメイド姿も追加しとく…」

 

 

「ふぉは!?……これは…これは良い値が付くぞぉ!!」

 

 

 

 

―――後日、組織内でプレミア級の値段が付けられました……今のところ、祟りは無い…

 

 

 

 


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