転生者と妖怪   作:ゾル0306

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朝と新たな出会い

“ジリリリリリ!!!”

 

目覚ましが鳴り、いつも通り起きようとするが両腕がロックされたように全く動かないでいた。

 

「うぅん・・・」

 

「すぅすぅ・・・」

 

艶めかしい声が耳元に二つ届きます。すぐ横から。

視線を両サイドに移すと、制服姿で俺の右腕にしがみついているモカと左腕にしがみついている亞愛。

いつの間にか俺が寝ていた時に布団の中に侵入してきたようだ・・・

どうやって部屋に入り込んだのか分からないんだけど。寝る前にしっかり戸締りをしたのに。

今もしっかり窓と扉は締まってるのに。

 

「もう朝か・・・おはよう、辰弥。」

 

「モカ、辰弥、あはよう。」

 

「ああ、おはよう・・・じゃないよ。なんでここにいるんだ?というよりも何で俺の布団で寝ているんだ。」

 

「鍵を母さんからもらって中に入って来た。

朝食を一緒に取ろうと思ったら、まだ辰弥が寝てたから私たちも寝ちゃった。」

 

アカーシャ、何してるんだ。鍵なんて渡すなよ。あとできちんとOHANASIをしないと。

そもそもアカーシャがなんで俺の部屋の鍵を・・・御子神か!!!

でも二人とも俺の部屋に来たなら起こしてくれよ。まったく・・・

 

「それにしてもお腹すいたな。」

 

「ああ、それなら今から何か作るよ。」

 

立ち上がろうとしたらモカに腕を掴まれて立てなくなってしまった。

 

「それよりもっと美味しいものを食べたい。」

 

「そうだな、姉さん。それならいいのがあるぞ。」

 

二人が獲物を捕らえようとする獣のような顔をしていた。

静かに抱き着いていき、首元に二人の口が近づいていく。」」

 

「「いただきます」」

 

“かぷっ・・・ ちゅううぅぅぅぅ・・・・・・・・・”

 

「「ごちそうさま」」

 

やっぱり吸われた。痛い・・・

二人の肌はツヤツヤになったが、辰弥は貧血を起こしミイラ化。

昨日もたくさん吸われてるのに、毎日こんなに吸われたら本当に死んじゃうよ。

 

「・・・朝食を作ってくるよ・・・」

 

モカと亞愛は二人の世界に入って談笑をしていた。

その話題は俺と月音の血についてだった。

実は昨日の事件のあと、モカと亞愛には月音が人間だと俺から二人に伝えた。

モカは「だから血がうまいのか。」と納得していた。

亞愛は吸ったことがないから血については分からないようだが、ある心配――朱染家に来る前に人間との因縁があったがそれを心配させない姿となっていた。亞愛も成長したなと思う。よほどアレが効いたのだろう。

 

そして、3人分の朝食を作り終えた。

料理はハーブ水を使ったから少し葉っぱ臭かった。だが、俺は真水を使ったから俺の料理には影響なしです。

 

『相棒も大変だな。』

 

最近、まったく話しかけてこなかったドライグが話しかけてきた。

 

「まったくだぜ、だけど俺はこの生活が楽しい。」

 

『だが、気をつけろ。あの学校には強い力を感じる。相棒ほどではないと思うがな。』

 

戦ってみたいぜ、強い奴と。最近は戦えてないからな。小宮砕蔵とのアレは俺の中では遊びだったしな。

 

『ドラゴンとは力の象徴だ。人間界よ妖怪の世界でドラゴンの彫刻などがあっただろう?いろんな者がドラゴンに興味を持ち、そして恐れた。ドラゴンは知らず知らずのうちに周囲の者を魅了する。もしくはドラゴンのもとに力が集まる。これは相棒も実感しているだろう。』

 

ああ、それは自然と分かっている。いつの間にか強者が俺の仲間になった。

アカーシャ、御子神、東方不敗、モカ、亞愛や朱染家の者。知らず知らずのうちに俺の周りに集まってきた。これからもそうなのだろう。

 

『それは俺たち――ドラゴンの影響もあるかもしれんが相棒の人柄の良さというところにも惹かれているんじゃないのか?少なくとも俺とアルビオンは相棒のそういうところが気に入っている。今までの宿主の中で一番素晴らしいと思っている。』

 

次にアルビオンが出てきて話し始める。

 

「そして、女も集まってくる。我々の宿主は女には困っていなかったからな。現に朱染モカと亞愛という者は龍司に好意を抱いていると思うぞ。」

 

単なる女たらしじゃないか!というか俺もそうなっちまうのか!?

確かに俺はモカと亞愛のことは好きだけれども・・・

この先が不安だ・・・

 

だが・・・「俺はドライグとアルビオンがいてくれてよかったよ。」

 

『私たちも龍司に宿れてよかったと思っている。宿主との会話何て今までにほとんどなかったからな。今はとても楽しいと思っている。これからも頼む、龍司。』

 

『相棒、俺もこれからもよろしく頼む。』

 

「ああ、当たり前だ。ドライグ、アルビオン。」

 

俺はいい相棒を持ったと思うよ。あいつらがいなければアルカードとの戦いで死んでいたかもしれない。これからも共に歩んでいこう!

 

ドライグたちと念話で話しているうちに朝食を食べ終わり寮を出た。

モカと亞愛には「話しかけても返事がなかった。」と不思議がられた。

まったく話しかけられたことに気づかなかった。

いつも通り両腕をモカと亞愛が抱き着いて腕を組みながら学校へと向かう。

 

 

月音side

 

 

「よっ!月音、おはよう。」

 

後ろの方から声が聞こえたから振り向いてみると、見慣れた姿の辰弥がいた。

もちろんモカさんと亞愛さんと腕を組みながら。

 

「月音、おはよう。」

 

「月音君、おはよう。」

 

モカさんと亞愛さんもあいさつをしてくれた。

 

「三人とも、おはよう。」

 

挨拶を返すと・・・

 

「なんだ?辰弥というやつだけじゃなくてあいつもか!」「モカさんや亞愛さんと仲良くしやがって!」

「うらやましい。」「昨日なんて俺は無視されたのに!!あいつらだけ・・・」「殺す!!」

この殺気や怒気はどうにかならないかな・・・。辰弥たちは気にしていないようだけど・・・

だけどもっと仲良くなりたい。

 

 

???side

 

 

四人を不愉快そうに見ている少女がいた。

 

なんであの二人はモテるのよ。早くやっつけないと。

その為に男子生徒・・・龍崎辰弥君を・・・やめておこう。めっちゃくちゃ強いって話だし・・・なら青野月音君という子を・・・

 

今後の対策を練っていると・・・

 

「やっぱりモカさんと亞愛さんって美人だよね~。」

 

「そうよね!!モカさんと亞愛さんの彼氏ってどっちなのかな?辰弥くんとよく一緒にいるところを見かけるし、かっこいいから。でも月音君とも一緒にいるからな~。」

「うわっ!そうなの?? カイト君はけっこういい男だよね??かっこいいし、優しそうだし、それに昨日はぐれ妖の小宮砕蔵って言う不良妖怪をやっつけたみたいだよ。」

 

「私は辰弥君派かな。」

 

「うーん、私はどっちでもいいかな。月音君はなんか可愛らしいし、でも辰弥君強いしいいな。」

 

「モカさんたちの彼氏はどっちかな?」

 

という女子生徒同士の会話が・・・

 

「なんですってぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

“ビクッ”

 

周りにいた生徒達が一気にビクついた。

 

さっきの龍崎辰弥君だけじゃなくて青野月音君も!!

 

「朱染モカ、朱染亞愛!!!絶対に許さない。やっつけてやるぅぅぅ!!!」

 

すると、なぜか月音君だけが走って行ってしまった。

その少女は月音を追いかけて行ったのだった。

 

 

月音side

 

 

もう・・・なんで俺の血を飲むの?飲み物じゃないのに・・・

 

~回想~

 

「辰弥、喉が乾いた。」

 

モカさんは辰弥に「飲み物をくれない?」かのように尋ねる。

辰弥はなぜかこちらを見て

 

「月音、こっちに来てくれ。」

 

と言われたので近づいてみると

モカさんの口がだんだん辰弥のに近づいて行く。

辰弥に腕を引っ張られモカさんの正面に立たされると・・・首元を噛まれ・・・

 

“かぷっ・・・ ちゅううぅぅぅぅ・・・・・・・・・”

 

「いってぇぇぇぇえええええ。吸われた。モカさんに血を吸われたよー」

 

月音は血を吸われ終えるとその場から駆け出して行ってしまった。

 

~回想終了~

 

いつの間にか学園の付近の道へ来ていた。

しばらくその辺りをうろついていると・・・

 

「あ・・・ああ・・・」

 

声が聞えてきた。

声のする方には一人の女の子がいた。

 

「だ、誰か・・・助けて・・・手を・・・手を貸して下さい。急に具合が悪くなって・・・」

 

とりあえずその女のこの方へ向かった。

 

「ん、大丈夫?立てる?とりあえず保健室へ・・・」

 

「あ、ありがとうございます。私生まれつき体が弱くて・・・ む、胸が・・・発作的に苦しくなってぎゅ~って・・・」

 

寄りかかってきて、その豊満なバストを押し当てるようにしてきた。

腕にやわらかい感触が~

 

「胸がはちきれそうになるんですぅ~」

 

ぐいっ!ぐいっ!!っと押し付けてくる・・・・

 

『ちょっ!近い近いって!!』

 

うわわわ!やわらかっ・・・おっきっ・・・!何考えて・・・

健全な男子なのでムリです。

思わぬ事が起きて気が動転してしまった。

 

「うふふ・・・照れちゃって可愛い・・・」

 

胸を押し当てながら、上目使いで見上げてくる・・・

 

「君・・・ 3組の青野月音君ですね? 

 

「そうだけど・・・。なんで俺のこと知ってるの?」

 

「同じクラスじゃないですか。それより私の目を見て・・・」

 

言われるがままに月音はその子の目を見た。

 

「私は黒乃(くろの)胡夢(くるむ)これから仲良くしてくださいね。 」

 

そう言いながら月音の目を見つめた・・・。

月音は操られたかのようになってしまった。

 

わぁ・・・綺麗な瞳だ・・・ ああ・・・なんだか俺このコに抱きつきたくなってきた・・・?

 

“ぎゅうううう”

 

「キャーー、何するの~」

 

「あれれれれ~~~~?」

 

わー何やってんだ、俺ーーーッ!

意識がはっきりしてるのだが・・・体が全く動かなかった。

 

「おい月音、何してるんだ?」

 

月音を呼ぶ声がした。そこには辰弥とモカさん、亞愛さんがいた。

しまった・・・見られた・・・。

 

 

辰弥side

 

月音が急に走って学校にいてしまったため、3人で学校へと向かっていた。

あと学校まで少しというところで月音が女子生徒とイチャイチャしていた。周りにほかの生徒がいるのに・・・

「おい月音、何してるんだ?」と声をかけてみるが離れる気配はなく・・・むしろもっとガッチリ抱きつくような形になっていた。

 

すると、月音と一緒にいた女子生徒が話しかけてきた。

 

「あなたたちバンパイアなんですってね?一部じゃ噂ですよ?朱染モカさん、朱染亞愛さん。」

 

なんでモカと亞愛がバンパイアということを知っているんだ?

あの二人は月音以外に正体をバラしていないと思ったんだが。

妖怪の独自の妖気とか、バンパイア特有の赤い目でわかったのか?

 

「うおお!可憐だ!」

 

「朱染姉妹のほかにこんな子がッ!!」

 

「胸!!でかーーー!!」

 

このやり取りを見ていた男子生徒から歓声が聞こえる。

 

「私は夢魔(サキュバス)の黒乃胡夢。あなたをやっつけに来たの。」

 

「ほう。面白い、相手になろう。

 

モカは挑戦を受け取る辰弥が制する。

 

「モカ、喧嘩はよくない。今はまだやるな。」

 

「しょうがない、今回はやめよう。」

 

モカは引き下がってくれたようだ。助かったぜ。名残惜しそうだけど・・・

この黒乃胡夢ってやつは普通に自分の正体を言ったな。

どうか・・・モカと亞愛は怒らさないでくれ。

 

「我慢できないのよ!あなたは私の大いなる『計画』の邪魔する最悪に目障りな女だわ!」

 

胡夢は、びしっ!!っとモカたちに人差し指を突きつけた!

 

「その計画とはなんだ?」

 

モカは待ったく身に覚えの無い事を唐突もなく言われたため戸惑いながらも計画を聞いてみると・・・

それはなんと!!

 

 

陽海学園ハーレム化計画なるものだった!!!!

 

 

皆、若干・・・いや、結構引いていた・・・

さすがの俺も引いた・・・

 

「計画(プラン)は完璧だったのに・・・。すぐにみんな夢中になるはずだったのに・・・」

 

わなわなと体を震わせながら、

 

「この学園の男達は私じゃなくあなたたちに夢中になっちゃったのよ!!!許せないわっ!!私が女の魅力で負けるはず無いのに!!」

 

「逆恨みだ!」「清々しいほどの逆恨みだ。」と周りのギャラリーも騒ぐ・・・

俺もこればっかりは賛成である。

 

「だからあなたたちをやっつけて私のほうが優れている事を証明する事にしたのよ!まず!あの青野月音君をあなたから奪う事で!!その次はそこの龍崎辰弥君を!!」

 

待て待て・・・なぜそこで俺が出てくる。

あれか?あれなのか!?ドラゴンの影響なのか!?

 

「ほう、私から辰弥を奪うだと・・・」

 

「体を半分にするよ?」

 

二人から強大なオーラが漏れ出す。

亞愛に関してはマジで相手が死ぬからやめてね?

 

「近づいてみたら月音君っていい匂いがするのね・・・まるで人間のように。」

 

・・・こいつ中々鼻がいいな。

気配だけなら完璧に人間だしな~

 

「彼の『血』!おいしい?あなたは彼を『食糧』として利用してるわけだ?彼も何かに利用しようとしてるのかしらね?ひっどい女!あははは 2人を奪られた時のあなたの顔・・・見物だわ。」

 

くるむは高らかに笑った。

すでに勝ちを確信してるように。

この発言には俺も少し頭にきちゃった・・・

OHANASIをしないと・・・

 

「なんだ・・・「黒乃胡夢といったな、そこの娘。モカと亞愛を悪く言うなよ。次に舐めたことを言ったら叩き潰すからな・・・覚えとけよ。」——————ッ!?」

 

辰弥は反論しようとするモカを制する。

胡夢は辰弥の迫力にビビッて足が震えていた。

俺たちはその場を去り教室へ向う・・・月音だけが胡夢を心配をしているように見えた。

 

 


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