俺たちにぶつかってきたのは・・・懐かしい人
銀髪の女の子―――朱染モカと。黒髪をツーサイドアップの女の子―――朱染亞愛だった。
俺のところには亞愛が突っ込んできた。もちろん俺はしっかり止めたけど、月音は自転車と衝突していた
あ、龍司、助けてくれてありがとう。」
そういいながら亞愛は俺に抱き着いてくる。
「久しぶりね。身長はまた伸びた?昔は私と同じくらいだったのに。」
「ああ、久しぶりだな。俺は龍崎辰弥と名乗るからそっちの名前で呼んでくれ。あと、亞愛は何も変わってないね。背もだけど胸も。」
「かーーっ」
どんどん亞愛の顔が赤くなっていく。
「胸は関係ないでしょ!胸はッ。結構気にしてるのに。」
「ごめんごめん、でも、女性らしくなって可愛くなったな。」
亞愛は今まで以上に顔を赤くして俯いてしまった。
月音のほうに顔を向けると・・・
「痛たたた、なんだ自転車が突っ込んできた。」
そう言いながら 月音はモカの太ももを触っていた。
終わったな、モカに殺されるぞ・・・。ご愁傷様です。
「おまえ手を離した方がいい・・・。殺されるぞ・・・。」
「身の程をしれ!」
いつの間にか起き上がっていたモカに月音は蹴り飛ばされていた。数メートル飛ばされ、木に当たったところで止まれたようだ。あいつも以外に大胆な奴だったんだ。
モカが俺に気づいたのか近づいてくる。
「龍司?」
「ん?そうだぞ。久しぶりだな、モカ。」
モカも亞愛と同じように俺に抱き着いてくる。昔から変わってないな。俺が10歳の誕生日にあげた指輪も付けていてくれてる。それに亞愛と仲良く自転車に乗ってきているということは和解したんだと思いうれしかった。
「モカ、俺のことは龍司じゃなくて龍崎辰弥と名乗るから辰弥と呼んでくれ。」
「わかったよ。私、朝寝坊をしてしまって朝ごはんを食べてないいんだ。龍—―辰弥の血を飲ましてくれないか?飲んだことがないから飲んでみたいんだ。」
俺の血?そういえば月音はどこだ?あいつのを飲ませれば・・・
周囲を見渡し月音を探していると鼻血を出しながら、よれよれとこちら側に歩いてくる月音がいた。半分死んでいるような顔だ・・・。
「おっと、その前にモカがさっき蹴り飛ばしたのは青野月音。ここまでバスで来るときに知り合ったんだ。仲良くしてやってくれ。」
「なんかあいつからいい匂いがするな。辰弥じゃなくてあいつのを飲もう。今度飲ましてもらえばいい。」
そう言うとモカはいきなり月音の首筋に噛みついて、血を吸い始めた。
「痛って~~! 吸われたいきなり血を吸われた~~!」
「あまりにもいい匂いだったから血を吸ってしまった。 私は朱染萌香。こう見えてもバンパイアだ。」
いきなりの正体カミングアウト!そしてうろたえる月音。
「ええ~~~バンパイア! バンパイアって十字架かが苦手なあの?
もしかして辰弥の横にいる人もバンパイア?」
俺の横にいる亞愛について尋ねてくる。
「そうだ。彼女は朱染亞愛。種族はバンパイアだ。」
「バンパイアか。個性的でいいねーー。」
普通ならここで驚くはずなのだが、月音は正常な思考をすることが出来ないらしい。
不安でいっぱいだが俺たちは学園へ向かった。
☆★☆★☆★☆★
入学式も終わり、俺とモカ、亞愛、そして月音は同じクラスだった。モカと亞愛は御子神が同じクラスにしたのだろう。月音はたまたまかな?同じクラスだと面白そうだからいいけどな。
席順は窓側の一番後ろの席がモカ、その前が俺、その右横が亞愛、そして俺の前に月音だ。
だけど、まだモカと亞愛は入学式が終わってから教室に来ていない。モカは力が封印されていてもそこそこ強いと思うし、亞愛がいれば大丈夫だからあまり心配はしてないけど。どちらかというと、加害者になりそうで怖いけど・・・
「えー皆さん陽海学園にようこそ!私はこのクラスの担任になった猫目 静です
皆さんはもう知ってると思いますが うちは妖怪が通うための学校でーす!」
俺たちは教室で説明を陽海学園の受けていた。
担任教師がこの学園の学ぶべき事・人間と妖怪について一通り説明をしている。
「現在!地球はもはや人間の支配下にあります 私達妖怪が生きのびていくためには人間と共存していくしかありません この学園では人間との共存の仕方を学んでいきまーす。」
「おい落ち着け月音、周りの注目を集めているぞ。」
「何言ってるの辰弥!先生はとんでもないこと言ったんだよ!」
当然、月音は慌てる。体ごと左右に動いたり突然震えだしたり・・・
元々月音は志望校に全て落ちてしまったから怪しいのを我慢して入学したのだ。 なのにこの学校の正体がわかってしまった今 どうしても平常心を保つことが出来なかったのだろう。
「先生、人間なんて皆食っちまえばいいだろ。いい女なら襲えばいいんだしよ。」
そこで男子生徒の1人が過激な発言をした。
たしか・・・ 砕蔵?だっけ?はぐれの・・・。
月音はそれを聞いてますます震えが止まらなくなった しかも猫目先生が「この学園を知った人間には死んでもらってます」と明るく言ったのも原因だろう
メチャクチャ動揺してる・・・。後ろの席だからよく分かるんだよ。
リアクションとかはめっちゃ面白いんだけどね。
まあ、この後はどうなるかは分からないが、何かあれば助けてやるから安心しとけ、月音といると面白そうだからな。
教室に後れて入ってきた生徒は・・・すぐに誰かわかった。モカと亞愛だ。
「すまない、入学式のあと校舎で迷ってしまって遅れた。」
「あら大丈夫よ? 空いてる席に座って まあ、かわいい子たち♡」
モカと亞愛が入ってきたら教室は大騒ぎ。うるさいぐらいに・・・
「美しい!」
「こんな子とクラス同じになれて幸せ〜!」
「変化にしてもあんなに美しくなれるやつなんていないぞ・・・」
まあ、確かに二人とも可愛いもんな。
そして・・・クラス中が盛り上がってるその時、モカと亞愛を見つけるやいなや抱きついた!この行動にクラスはさらに大騒ぎだ。
「姉さん。辰弥は私の物だ。いくら姉さんでもこれだけは譲れない。それに今日の朝も抱き着いていただろう。」
「それはそれ、これはこれ。これにはモカにも譲らないわ。」
2人にの間に火花が散る。
というか、俺はどっちの物でもないんだが。
この光景を見ていたクラスの連中から怒気や嫉妬の視線を感じる。
現にクラスの男、全員から注目を浴びている。
「うらやましい。」「殺す。」「あの男、死ね。」「ハーレム大王。」
などという声も聞こえる。モカと亞愛はそんなことに気にしておらず、離れてくれない。周りの連中の嫉妬で死にそうだぜ・・・
その後、担任の先生の注意によって離れてもらい無事にHRは終了した。