RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 こん○○は。
 おひさしぶりです。
 タイトルは気にしないでいただきたい。どうしても思いつかなかったんです。

 さて、新幹線に飛び乗ったところから始まります。
 それでは。


9両目

「あ、ありが…とう。岩泉君……」

 

「いいってことよ。警四の仲間だからな」

 

 

 小さな声で言った小海さんの言葉を、岩泉はニコリとしながら返した。

 ここは“なすの599号”の車両のデッキ。今は発車して数分だ。

 窓から神田駅が見えるから、今はそこらへんだ。

 さて、小海さんをおろし先程の会話をし、次にこんなことを言った。

 

 

「疲れた~、自由席にでも座るか」

 

「何言ってんだ!鉄道公安隊は立ったまま乗るんだ!」

 

 

 そう、高山の言うとおり、鉄道公安隊は一部の例外を除き、列車の中では立つことになっている。

 その理由は、座席はお客様のためのものだから。というもの。

 ただ、さっきも言ったように例外はあり、長距離移動のときは自由席が空いていれば、座ってもいいことになっている。

 今回は東京→大宮という短距離なので、座ってはいけない。

 「げえぇ」とあからさまに残念な声をだす岩泉。だが気持ちは分かる。俺も座りたい。

 小海さんは自前のハンカチで岩泉の汗を拭いていた。

 ただ、岩泉との身長差があるため、腕を思いっきり伸ばして拭いていた。

 

 

 

 

 

 さて、在来線では約40分の距離も、新幹線では20分と早く着く。

 ふと外を見ると、今まで住宅地だったのが、ビルが多くなってきている。

 まもなく大宮だ。

 新幹線が徐々に減速し、大宮駅に近づいているのが分かる。

 

 

「小海さんは大宮の公安室に応援の要請を。岩泉と臼井は俺と一緒に桜井の応援だ」

 

「「「了解!」」」

 

「あ、小海さん。公安室は中央自由通路、京浜東北線のホームは1・2番線だから」

 

「はい。すぐに追いつきますね」

 

「岩泉、お前は俺か臼井を抜くなよ?」

 

「え、なんで……」

 

「東京駅の一件、忘れたわけじゃないだろうな?」

 

「あー、あれは……あははは……」

 

「それから臼井、お前は大丈夫だと思うから、全力で行ってくれ」

 

「到着は早いに越したことはないからな」

 

「ああ、そうだ。じゃあ皆、行くぞ!」

 

 

 ドアが開き、俺と高山、岩泉は一斉に駆け出す。

 後ろを振り返っている暇は無い。時間は5分しかないのだ。

 在来線との連絡改札を抜け、中央のコンコースを通って京浜東北線のホームへ急ぐ。

 ホームの中央階段を下りると、電光掲示板が列車の接近を示していた。

 桜井と犯人の乗っている車両は分からない。

 と、高山の持っている小海さんの携帯に着信。

 

 

「… ああ、そうだ。 …… ああ、いいよ。俺達がバックアップする。 …… 俺達は今、大宮駅にいるから。 …… それは今はいいから、乗ってる車両、犯人の風貌を教えてくれ ………… ああ、分かった。俺が職質をかけるから、後ろから襲わないように」

 

 

 高山は電話を切ってポッケにしまい、

 

 

「犯人は大船よりの2号車にいるらしいから、そこに向かうぞ。岩泉、間違っても勝手に戦わないように」

 

「わ、分かってるよ」

 

 

 簡単に話すと、電車のドアが開き、中からお客様が降りてくる。

 その間をぬいながら、2号車へと向かう。

 途中の4号車付近で、高山はある人に職質をかけた。

 外見で人を判断したくはないが、見るからにそれっぽい二人組みだった。一人はカーゴパンツに金髪、身長は160くらい。もう一人は黒い派手なTシャツにジーンズ、赤い帽子を被っていて身長は170くらい、後ろには桜井がいるし、もうこれは決定だ。

 

 

「あのぉ、恐れ入りますが、すこしお話をお伺わさせていただいてよろしいでしょうか」

 

 

 と、高山が言うと、

 

 

「おうこらぁ!國鉄はお客様を犯人扱いする気か!?」

 

 

 金髪のほうの犯人(仮)は高山の言葉に逆切れしてきた。

 

 

「いえ、お話をお伺いしたいだけで、犯人扱いは ―――」

 

 

 してるけど、と言いたいが、この状況でそんなことは言っては駄目だ。

 更に金髪の犯人(仮)は逆上し、

 

 

「じゃあどけよ!逮捕したけりゃ令状でも何でも持って来いよ!この國鉄の警備員ごときが!」

 

 

「私どもは鉄道公安隊でして~、現行犯であれば……そのぉ、逮捕も ―――」

 

「おお!じゃあ、し・て・み・ろ・よ!現行犯で!誰が見たんだ!?」

 

「私が見たわよ!このひったくり犯!」

 

 

 後ろで黙っていた桜井が叫んだ。

 桜井が叫んだ瞬間、高山は「終わった……」と言わんばかりに頭を下げた。

 金髪は声のしたほう、つまり桜井のほうを向き、

 

 

「なんだぁ?このガキ。関係ない奴はすっこんでろ!」

 

 

 そう言った。だが、それは桜井の過剰なやる気を更に上げるだけだった。

 桜井は待ってましたとばかりに笑い、公安隊の手帳を掲げ、

 

 

「東京中央鉄道公安室! 第四警戒班、桜井あおい! この動輪にかけて、お前らが東京駅で女の子からかばんを奪ったことを、私が証言する!」

 

 

 桜井はそう宣言した。

 金髪はまさか公安隊だとは思っていなかったらしく、かなり驚いていた。

 

 

「げ!お前らが公安かよ!」

 

 

 だから、さっきからそう言ってたじゃん、とは言わずに心の中だけにしておく。

 予想外の事態に焦った金髪。更に追い討ちをかけるように、

 

 

「私も見たよ。その人がかばんをひったくるのを」

 

 

 黒いスーツを着たお客様がいつの間にか立っていて、ここで第三者の証言が得られた。

 

 

「ご協力、ありがとうございます」

 

 

 高山は丁寧にお礼をしていた。

 それに対し、証言してくださったお客様も何か言ったような気がするが、それよりも前に、俺は前に出て、犯人二人に向かって話し始める。

 

 

「さて、第三者の証言が得られたところで、あなた方の負けは決定です。おとなしくお縄についてください」

 

 

 と、俺が言うと、今まで黙っていた赤い帽子の男が、右手を俺に向かって突き出してきた。

 それを咄嗟にかわし、相手の右手を見る。すると、そこにはナイフが握られていた。

 それを見た瞬間、全身を寒気が走る。足が震えるのを精一杯こらえる。

 

 

「班長代理!相手がナイフで仲間を襲ったんだ、多少やっても正当防衛だよな?」

 

 

 岩泉がそう言う。本人は恐怖とか全くそういうのではなく、むしろ嬉しそうにしていた。

 それに対し、高山は、

 

 

「だ、大丈夫だと思うよ!」

 

 

 と、焦りながらもGOサインを出した。

 それを聞いた、戦いたくてしょうがないこの二人は、それぞれ対峙している犯人に向かって攻撃を始めた。

 大宮駅の1・2番線ホーム、戦いが今始まる。

 




 今回は特に解説は無いですね。

 私は戦闘のシーンを書くのは得意ではないので、次回は期待しないでください。
 そして、次回の投稿日は相変わらず未定です。

 それでは、また次回。

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