RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 はい、(ry
 ネタばれしますと、臼井君はあんまり事件に関わらないです。
 それでも警四に居ると事件に巻き込まれてしまうわけで……。

 ま、今回はその1話目です。
 それではどうぞ。


6両目

「え?小海さんの知り合い?」

 

「はい。私のおじい様と、ですけどね」

 

 

 俺が聞くと小海さんは答えてくれた。まあ、國鉄は国内に約40万人も職員がいる大企業だから、一人くらい知り合いが居てもおかしくないとは思うが…、東京駅の駅長とはな。

 その後、桜井が小海さんを問い詰めるも、詳しい情報は出て来ず。駅長さんは仕事があるらしく駅長室に戻っていったので、俺たちも公安室に戻った。

 飯田さんに受付にいてね。と言われ高山と受付に座って仕事をしていると、一本の電話がかかってきた。受話器は高山が取った。

 高山は電話の主と四、五回言葉を交わすと、電話を切って飯田さんに報告しに行った。

 話の内容からして、車内に忘れ物があったようだ。

 飯田さんは、高山と小海さんに取りに行くよう指示した。

 

 二人が出て行った後、桜井がこっちに来て、

 

 

「あ~あ、暇ね。何か大事件でも起きないかしら。臼井もそう思わない?」

 

「配属初日に起こられるのは困る。というか、御免だ」

 

「つれないわね。岩泉はどう思っ……、寝てるわね……」

 

 

 後ろを振り向くと、岩泉が腕を組んで寝ていた。

 

 おいおい、仕事中だぞ、今。しかも初日からって。

 でもまあ、桜井の言うことも分かる気がする。何も無いと言うのも、なんかちょっと暇だな。

 

 そんなことを考えながら、俺は受付に座っていた。

 

 

 

 

 

 電話番というのは、暇そうに見えるが実はそれほど暇でもない。

 それもそうだ。ここは天下の東京駅。かかってこない方がおかしい。

 そういうわけで、俺は引っ切り無しにかかってくる電話を、一件一件対応していった。

 桜井はお茶汲みばかりで暇だ、とかなんとか言っていたが、桜井と代わってやりたい、いや、代わってほしいぐらいだ。

 そんな中、忘れ物を取りにいっていた二人が帰ってきた。

 なにやら気まずそうな雰囲気が二人の間にあったが、そんなことよりも忘れ物の中身のほうが気になった。

 

 

「これは………犬……?」

 

 

 俺の出した問いに答えるように、その犬は、ワン!と鳴いた。

 最近は犬のように鳴く猫がいるらしいが、これの見た目は犬のチワワだった。

 

 

「はい、ロングコートチワワですね」

 

 

 小海さんが詳しい種類まで教えてくれた。

 俺はなんとなく抱き上げようとすると、犬は俺に向かって吠えた。

 

 

「あれ、吠えられた」

 

 

 犬は俺に向かって、「ウウウゥゥゥゥ……」と、うなっていた。

 高山が近づいても同じ、いつの間にか起きていた岩泉もだ。だが、桜井、小海さん、飯田さんに対しては、普通に抱かれていた。

 俺と高山は同じ事を思ったはずだ。

 

 

「「(この犬……女好きか?)」」

 

 

 まあ、見なくても結果は分かるのだが、どうやらこの犬、大の女好きらしい。

 犬のくせになまいきだ。……あ、羨ましいとか、そういうのじゃなくてね?

 

 高山と小海さんが持ってきたこの犬。規定ではお忘れ物センター直行となっているので、二人がそこに持っていった。

 飯田さん曰く、家電製品とか、タワー型のPCとかの忘れ物はよくあるそうで、今回の忘れ物も可能性としてはあるらしい。

 

 さて、そんなわけでお忘れ物センターに連れてかれた犬、仕事をしているうちに段々と記憶が薄くなり忘れられてしまうのに、そう時間はかからなかった。

 

 程なくして、仕事の終わりの時間になった。

 犬を連れて行った高山たちも帰ってきて、今日は解散となった。

 明日の連絡事項などを飯田さんから聞いて、更衣室で学校の制服に着替えて帰る。

 OJT中の研修先までの服装は、制服と決まっているので、全員制服に着替える。

 

 着替えて外に出ると、桜井が東京駅に見立てた神棚に向かってお願い事をしていた。

 飯田さんによると、そこには何かの神様が祭られているらしい。

 

 

「何やってんだ?桜井」

 

 

 興味本位で桜井に聞くと、神棚に拝んだそのままの姿勢で、

 

 

「お願い事してるのよ。『大事件が起きますように』ってね」

 

「おいおい、やめてくれよ」

 

「いいじゃない、暇なんだし。臼井だって暇でしょ?」

 

 

 じゃあ、明日から代わってもらおうか?

 

 そう言う前に桜井は、じゃあね、といって去ってしまった。

 俺は神棚に向かって桜井と同じく手を合わせる。

 但し、願うことは真逆だ。

 

 

「(どうか明日も無事に過ごせますように)」

 

 

 そう願った俺の願い事は果たして叶えられるのだろうか。

 しかし、それが分かるのは神様と明日を終えた自分しかいない。

 

 さあ帰ろう。そう思って振り返ったところで、こっちを見ていた高山と目が合った。

 

 

「何してたんだ?」

 

「願い事に決まってるだろう」

 

 

 そこで俺は、高山に桜井の願い事を教えることにした。

 他人に願い事を教えると願い事は叶わなくなるらしいから、桜井のなら教えていいだろう。

 俺がさっきあったことを話すと、高山も神棚に拝んだ。

 願い事はどうせ同じだろうから、聞くまでも無い。

 

 偶然そこにいた飯田さんに見られて、ニコっと笑われたが、そんなことを気にしてはいられない。

 俺と高山は途中まで(といっても二駅だけだが)一緒なので、京浜東北線のホームへと一緒に向かう。

 来た電車は國鉄205系、ボディーカラーは青色だ。

 俺達はその電車に乗り、俺は秋葉原で降りて総武緩行線に乗換えだ。

 「また明日」そう言って、高山と別れる。

 

 明日は無事に過ごせるだろうか。

 

 そんなことを考えながら、俺は家へと向かう。

 

 

 

 

 

 東京駅の神様は天使か悪魔か。その答えはすぐに出ることとなった。

 

 

 




 今回は特に何もありませんでしたね。
 それと、桜井の願い事は叶うのでしょうか。
 それとも、相反する臼井たちの願いが叶うのでしょうか。

 相変わらず次回投稿日は未定です。それでは。
 

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