RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 こん○○は。お久しぶりです。
 約4ヶ月ぶりに物語が進みます。

 それではどうぞ。
 


34両目

 翌日の午前10時少し前。

 言われた通りに安中榛名で待っていると、向こうから私服姿の高山と自衛隊員(岩泉)が歩いてきた。

 

 

「2人とも、おはよう」

 

「ああ、おはよう」

 

「うっす」

 

「で、新幹線で軽井沢か?」

 

「いや、安中まで行って信越本線なんだが……。

 臼井。お前は岩泉の服装について何も思わないのか?」

 

「休日に何着ようがその人の勝手だと思うけど……」

 

 

 と言って、すぐ前のバスターミナルに停まっていた安中市役所行きのバスに乗り込む。

 バスは俺達が乗り込むとすぐに扉を閉めて発車した。

 

 

「そういえば小海さんは来ないのか?」

 

「なんか用事があるみたいで、軽井沢で落ち合うことになってる」

 

「へー」

 

 

 バスは(こんな場所なので)渋滞も無く順調に進み安中駅に着いた。

 少なくとも地元ではこんなにスイスイ進むことが無い。

 イヤートカイッテコマッチャウナァー。

 

 なんて冗談は置いといて、ここから信越本線で軽井沢に向かうらしい。

 乗るのは急行信越で、車両は169系だった。

 

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元ネタは後書き参照

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 自由席の4人掛けボックスシートに3人で座り、軽井沢を目指す。

 男3人で他愛も無い話をしていると、列車は横川に着いた。

 ここでは機関車付け替えの為に暫く停車する。

 ホームの上では釜めしを売るおじさんの威勢のいい声が響き渡り、所々で売れているのか、ありがとうございます、の声まで聞こえてくる。

 4分の停車の後、列車は発車した。

 ホーム上では駅弁の売り子さん達が列車に向かって頭を下げているのが見えた。

 

 

「なあ。なんかさっきよりガタガタしてないか?」

 

 

 横軽では過去の試運転の結果から、空気ばね台車の車両はその空気を抜いて運転される。

 空気ばねが無くなれば、台車の衝撃がもろに客室に来るのだ。

 

 

「まあ、軽井沢までの辛抱だ」

 

 

 高山の説明で頭がパンクしてしまった岩泉にそう声をかける。

 列車は速度こそ遅いものの順調に碓氷峠を攻略していき、最後に6‰の勾配を下って軽井沢に着いた。

 ここでは今度機関車の解結のために暫く停車する。

 その間に俺達は列車を降り、高山の後に付いていく。

 高山は左右を見渡して札沼さんを探しているようだったが、列車の後方にその姿を見つけたらしい。こっちだと言って歩き出した。

 EF63の辺りまで来ると、解結作業の音を録音している札沼さんがいた。どうやら彼女は音鉄らしい。

 少し離れた場所で作業が終わるのを待ち、作業が終わったところで高山が話しかけようとしたが、向こうが先にこちらに気付いた。

 

 

「あ!高山君、岩泉君、臼井君!」

 

 

 頭にかけていたヘッドホンを首にかけ、大きく手を振りながらこっちへ歩いてきた。

 

 

「北斗星の時は助けてくれてありがとう!」

 

「いえいえ。こちらこそ助かりました」

 

 

 結局追いつかなかったが、時間稼ぎにはなっただろうからそこは助かったと言えるだろう。

 

 

「岩泉君も久しぶり!」

 

「おっ、おう!久しぶりだな!」

 

 

 ホントに分かってるのだろうか。

 まあ、そんな岩泉の状態は置いておくとして、俺達は軽井沢駅の改札を抜けて北口に向かう。

 どうやらそこで小海さんが待っているらしい。

 4人で改札を抜けると、小海さんが高山の名を呼びながらこちらへ小走りできた。

 高山と小海さんの話を聞くと、どうやら小海さんは服を買う為に早く軽井沢に来ていたらしい。

 

 

「それで?これからどうするの?」

 

「とりあえず昼ご飯にしようぜ」

 

「早くないか?」

 

 

 まだ11時になったところだ。昼にはまだ少し早い気がする。

 

 

「お前は食べることしか考えてねぇのかよ」

 

「いいんじゃない?私、ご飯を沢山食べる人って嫌いじゃないよ?」

 

「岩泉の場合、沢山ってレベルで済めばいいんだけどね」

 

「えっ?」

 

「冗談冗談」

 

 

 笑って済まそう。

 さて、そんな間にも小海さんと高山の間で何処に行くか決められてしまい、俺達はそこに向かうことになった。

 まず最初はお昼ご飯らしい。

 お店は小海さんが知っているとのことで、俺達は案内にしたがって軽井沢銀座の方へ向かう。

 

 

「あ、そうだ。……札沼さん」

 

「なに?」

 

「高山と今度の休みの日に遊ぶ約束をしたんだけど、良かったら札沼さんも家に来ない?」

 

「私もいいの?」

 

「勿論」

 

 

 ということで、家に来るのは2人となった。

 この後でもう1人加わることになるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 さて、昼食を終えて、俺はショー礼拝堂へとやってきた。

 というのも、昼ごはんを食べている最中、俺のスマホに飯田さんから電話がかかってきた事が発端だ。

 

 

『今どこに居るの?』

 

「軽井沢ですよ」

 

『なら丁度いいわ。ちょっと頼みたいことがあるんだけど……』

 

「なんですか?洋服かって来いとかですか?

 

『違うわよ。RJから抜け出したいって言う人のお迎えを頼みたいの。 なんか詳しく話知らないけど、データも持ってるらしいからそれの回収もよろしく』

 

「りょーかいしました」

 

『よかった。場所はショー礼拝堂で、時間は14時ごろに来るって。

 場所は大丈夫?』

 

「スマホがあるんでたぶん大丈夫かと」

 

『そう。じゃあよろしくねー』

 

 

 電話はそこで切れた。

 画面上部に表示されている現在時刻を見ると、まだ余裕はあった。

 俺はスマホをしまいつつ、食べてる途中だった料理を食べ始める。

 

 

「臼井、誰からだった?」

 

「飯田さんからで、RJを抜けてきた人を迎えに行ってほしいんだって」

 

「ふーん、俺が代わりに行こうか?」

 

「いや、いいよ。俺が頼まれた事だし。

 1時間くらいで終わるだろうし、終わったら連絡するよ」

 

 

 使っていたフォークを皿の上に置き、一応紙ナプキンで口の周りを拭いた。

 

 

「札沼さん、ご馳走様。また後でね」

 

「あ、うん。頑張ってね」

 

 

 札沼さんにありがとうと言って席を立ち、持って来いたバッグを持って俺はお店を出て言われた場所へと向かった。

 

 




※元ネタ解説※
165系列

169系
国鉄が開発した汎用万能急行型電車の碓氷峠対応版。
165系との相違点は碓氷峠対応装備の有無や発電ブレーキの容量増加程度で、165系と大差は無い。165系や他の派生形式とも併結が可能である。(但し、碓氷峠は通過不可になる)

165系
国鉄が開発した汎用万能急行型電車。
耐寒性能や勾配区間での性能面でいまいちだった153系の後釜として開発された。
備えあれば憂いなしの言葉の通り、耐寒性能や勾配対策、その他諸々の153系の欠点を改良し、それ以外はそのままという、使い勝手のいい車両。
そのおかげで本来の用途外である温暖地域の路線でも使用された。

他の派生形式(163系・167系)
163系
165系のマイナーチェンジ版。
温暖・平坦路線向けで、165系から耐寒や勾配向けの装備を抜いたもの。
結局、165系に統一したほうがいいんじゃね?との意見が多く、途中から165系として製造されることになる。

167系
165系の修学旅行専用車。
用途が限定されるだけで実質的な165系。
臨時の旅客列車にも使用されることがある。

※国鉄車に関しては小説内での設定は大体そのままにしてあります。(廃車されたされてない程度の違いはありますが)



 感想でよく「臼井君を活躍させれば?(超要約)」と言われます。ご尤もです。
 4章からは活躍させたいと思っています。

 ところで、最近107系が引退するとかで騒がれていますが、たぶん役目を終える165系が無いので國鉄では107系ってたぶん誕生しないと思うんですが、どうでしょうか?
 そうなれば信越本線は115系オンリーだったんでしょうかねぇ……?

 それでは、また近い内に次回は投稿します。

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