RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 こん○○は。
 先日の事。


 展開が思いつかん……。どうしよう……。
 ↓
 そうだ。誰かに決めてもらおう!
 ↓
 Excel起動。
 ↓
「=randbetween(1,4)」
 ↓
「よし!決定!」


 こういうのって、アンケートのほうが良いですか?


27両目

「岩泉。この窓を割ってくれ」

 

「いいのか?そんなことして」

 

「今は非常事態だし、王子様を守る為だ」

 

 

 まあ、始末書は免れないだろうがな。

 

 

「了解したぜ」

 

 

 と言うと、岩泉は担いでいた犯人を一旦降ろし、警棒とそれにつける部品を取り出した。

 部品のほうは銀色の小さい三角錐が何個かついているもので、普通はすっぽ抜け防止に使われる。

 部品を取り付けると、

 

 

「フンッ!」

 

 

 と力を入れて窓ガラスに当てた。

 すると窓ガラスは警棒の当たった地点を中心に、白く蜘蛛の巣状にひび割れた。

 その光景に高山が驚いているが、それに眼もくれずに、二発目を叩き込む。

 

 

「ハンマーなら一撃なのによ!」

 

 

 と、愚痴りながらあてると、今度は完全に割れて人一人なら通れるくらいの穴が開いた。

 

 

「じゃあ、俺が先に入るから、あとから犯人を投げ入れてくれ」

 

「了解」

 

 

 穴をもうちょっと広げてからくぐって中に入る。

 

 

「いいぞー」

 

「おう!」

 

 

 フン!と言って岩泉は犯人を投げ入れた。

 それをキャッチし、床に寝かす。

 

 

「岩泉もこっちきて犯人押さえといてくれ」

 

「分かった」

 

 

 岩泉がこちらに来て犯人を押さえてから、俺はまず車掌室に向かった。

 

 

「山田さん、いますか?」

 

「あ、はい!……っとこれは公安隊の。一体何が起きてるんですか?」

 

「すみません。説明したいのは山々なんですが、今はこちらの指示に従っていただけないでしょうか。もちろん、説明はあとで致します」

 

「……次の東室蘭までに何とかお願いします。私はどうすればいいですか?」

 

 

 お客様からのクレームもあったのだろう。少し考えて、山田さんは了承してくれた。

 

 

「今から数分以内に北斗星を緊急停車させますので、緊急停車の際、停車してからお客様には動物と衝撃した為と伝えてください。で、その数分後、鹿と衝撃し、機関車が走行不能になったため救援の車両が来るまで停車中ですと案内してください」

 

「わ、分かりました」

 

「ではよろしくお願いします」

 

 

 俺は車掌室を出て、自分の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「お待たせ」

 

「で、どうするんだ?」

 

「まあまあ、見てなって」

 

 

 ポッケからドライバーを取り出し、マスコンの解体にかかる。

 

 

「ここと、ここと、ここと、ここのねじを外すと……ほら」

 

 

 段数を示す板と、マスコン本体の蓋が外れ、中が見えるようになった。

 

 

「で、こいつを引っこ抜くと……んーっと、あった」

 

 

 レバーを引っこ抜き、中を持ってきたライトで照らすと、下のほうのカムに銃弾がはまっているのが見えた。

 

 

「んで、こいつを取り除けば……あ、止まるかもしれないから何かに掴まってたほうがいいよ」

 

 

 全員のほうに振り向うてそう注意すると、全員何かしらのものには掴まってくれた。

 

 

「じゃあいくよー。せいっ」

 

 

 銃弾を取り除いた瞬間、エンジン音が止まり、代わりに床下から制動音が聞こえた。

 

 

「よし、かかった!」

 

 

 速度はみるみる落ちていき、遂には止まった。

 

 

「と、止まった?」

 

「うん、止まった。お疲れ様」

 

 

 そう言うと、全員緊張の糸が切れたのか、息を吐いて床に座り込んだ。

 あとは後続の救援待ちなのだが……、と考えたところで、

 

 

「なあ臼井。何で止まったんだ?」

 

「ブレーキは作動してたんだけど、3000馬力に負けてたんだ」

 

「ブレーキ管の圧力が下がってたのに作動したのか?」

 

「いや、下がったからこそブレーキが作動したんだ」

 

「…………?」

 

「DF51には自動空気ブレーキってのが搭載されてるんだけど、これは空気ブレーキとはまったく反対の性質を持ったブレーキなんだ。

 空気ブレーキの場合、ブレーキをかけると空気ダメ管(MRP)内に溜められていた空気がブレーキ弁、直通管(SAP)を通じてブレーキシリンダー(BC)に溜まるんだけど、これだと列車分離とかパイプ破裂で使い物にならなくなるでしょ?」

 

「そうだな」

 

「そこで自動空気ブレーキってものが開発されたんだけど、これは逆にブレーキ管(BP)内に空気を溜めておいて、空気を抜くと制動、溜めると緩解になるんだ。大まかに言うとね」

 

 

 厳密にはそこに三動弁とか補助空気ダメとかの動作が関わってくるけどね。

 

 

「運転台の圧力計は見たところ元空気ダメ圧も釣り合い空気ダメも0。これは両方とも0になってもそんなに問題は無いから大丈夫。

 BP圧は0でBC圧はちゃんと490kPa指してるから、まあこっちも問題は無いかな」

 

 

 そこまで話して後ろを振り向くと、4人がポカンとした表情でこっちを見ていた。

 

 

「な、何?」

 

「……そんな知識どこで覚えたの?」

 

「学校とか……あとは趣味かなぁ。高山は習わなかった?」

 

「そういうブレーキがあるっていうのは……実際に見るのはたぶん初めてだな」

 

「ふーん。まあいいや。電源車で岩泉が待ってるからみんなそっちに行こう?」

 

 

 そう言って電源車に向かおうとしたところ、軽い衝撃の後に列車がゆっくりと動き出した。

 ブレーキが緩んで動き出しちゃったのかと思ったそのとき、ポッケのスマホが鳴った。

 相手を見ると、姉さんから掛かってきたようだった。

 

 

「もしもし?」

 

『宗吾、元気にしてるか?』

 

「ああ、うん。 で?どうしたの?」

 

『事後報告になってしまったがな、今後ろからDD53が北斗星を押して東室蘭に押し込む。で、そのあと別の機関車で北斗星を札幌まで牽引するから、まあ、その報告だ』

 

「分かった。ありがとう、姉さん」

 

『いやいや、そっちのほうが大変だったろう。皆にお疲れと伝えといてくれ』

 

「うん、分かった。じゃあ切るね」

 

『ん、じゃあまたな』

 

 

 そう言って電話を切った。

 

 

「今後ろで別の機関車が押してて、次の駅からは別の機関車が牽引するらしい。だから、今の内に後ろに戻るぞ。あと、ねえさ……五能隊長がお疲れ様だって」

 

 

 そこでやっとみんなの緊張が取れた。

 

 

「ところで、もう1人の犯人はどうする?この列車に乗ってるのは確定してるけど」

 

 

 と聞くと、高山が、

 

 

「降りそうな駅に心当たりがある」

 

 

 と言うので、全員でそこに向かうことにした。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 1時間ほど遅れて北斗星は南千歳に停車した。

 ここなら絶対に捕まえられる、らしい。

 中から出ていく人はほとんど居ないが、こちらに向かってくる足音が一人分だけ聞こえた。

 どうやら高山の推理どおりらしい。

 俺は歩いてくる人に公安隊の手帳を見せながら話しかけた。

 

 

「東京中央公安室、第四警戒班の臼井と申す者です。少々お話を聞かせてもらっていいでしょうか?」

 

「無礼な!一体なんの容疑で私が!」

 

 

 ちゃんと名乗っただろうがよ。

 

 

「未成年者略取及び監禁の容疑ですが」

 

「証拠はあるんだろうな!?」

 

 

 相手がそう言うと、小海さんは一歩前に出て、

 

 

「その声、私を誘拐した人の声と一緒です。顔は見ませんでしたが、その声は忘れはしません」

 

「何を!?たかが鉄道警備員の分際でこの私を逮捕だと!?アテラの重要人物であるこの私を逮捕しようものなら、国際問題になるぞ!?そんな気構えのある奴がこの国にいるのか!?あぁ!?」

 

 

 初めて見たわ、こういう人。マジでいるんだな。

 そんな相手のものすごい剣幕に小海さんは一瞬怯むが、手帳を取り出すと、

 

 

「この動輪にかけて、あなたの現行犯を私が証言します!」

 

 

 と、言い放った。

 

 

「それに、私ども公安隊は、國鉄の管内だったら逮捕権が存在するんです。それと、国際問題になる話でしたっけ?それなら問題ありません。解決できる方がこの駅に一人居ますから」

 

 

 俺がそう言うと、エスカレーターの死角に隠れていたベルニナが姿を現す。

 

 

「これは東京で会議中のはずのブルアー国務長官。一体何故ここに?」

 

「で、殿下こそなぜ……「生きているのか?とでも言いたいのかな?」……」

 

「まあいいや。あなたにはまだ聞きたい事がありますから。……とりあえず」

 

 

 ベルニナ王子はこちらを向くと、

 

 

「暫定ではありますが、現ベルニナ帝王としてお約束いたします。ブルアーは現時刻を以て、国務長官を罷免いたします。そして、この事件に関わった全ての者は、鉄道公安隊、並びに日本政府にお引渡しいたします。

 なお、アテラとしましては、今後とも日本との友好関係が、末永く続くことを願ってやみません。……これで宜しいですか?ブルアー“元”国務長官?」

 

 

 そう言われたブルアーは、力なくホームに跪き、落胆した様子でおとなしくしていた。

 それを見た岩泉はチッと舌打ちし、警棒を収めてからブルアーの手首に手錠をかけた。

 

 これにて事件解決。全て終わった。

 後は札幌まで行って帰るだけだ。早く家に帰ってゆっくり休みたい。

 

 

「乗らないんですか?終着は札幌ですよ?お客様」

 

 

 誰もが全て終わったと思っていた中、後から声がかかった。

 振り向くとそこには、ホームにまだ残っていた北斗星の中間の車掌室から顔を出す山田さんがいた。

 

 

「すいません。出発を遅らせてもらって」

 

「二時間も遅れてますし、いまさらですよ。HAHAHA」

 

 

 山田さんは笑った。

 そんな山田さんの厚意と、東室蘭から同行していた姉さんから、「後は私がやっておく。行って来い」と指示を受けたのもあって、俺達は北斗星に乗って札幌を目指す。

 ベルニナの警護も札幌までの約束だしね。

 




 こん○○は。

 誤字脱字などがありましたらご報告下さいますようお願いします。

 それでは。

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