RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~ 作:元町湊
Firefoxだとルビが表示されなくて、確認の段階でかなり焦ります。
まあ、そんな事は置いといて。
それではどうぞ。
射出された弾丸は、何の妨害を受けることなく運転席の窓に着弾。その窓ガラスを突き破って信号炎管に。そして、
バーーン!ゴゴゴゴゴゴゴ!
と、誤差なく信号炎管を撃ち抜き、爆発させた。
運転席の中は真っ白。何がどうなっているのかはこっちからは分からない。
と、進行方向向かって右側の扉から、咳をしながら男が出てきた。
その男は片膝をついて銃を岩泉に向ける。
だが、
「そいつじゃ無理だな」
岩泉は連結部を飛び越えた体勢そのままで警棒を振りかぶり、相手の右手首に打ち下ろす。
バキッ!という、本来人間の手首からしてはいけない音と共に、相手は呻き声を上げながらうずくまり、そこへ、
「ふん!」
と言って、警棒を逆手に取った岩泉が男の腹に一撃を加えた。
相手は、「うっ……」と言って倒れこみ、そのまま動かなくなった。
「こんな近接戦じゃあ、銃火器は役に立たないぜ……って、もう聞いてねえか」
と、そこへ反対側の扉から出てきたもう一人の犯人が来る。手に持った銃は岩泉のほうへ向けられている。が、
「お、お前ら何者だ!」
「東京中央公安室、第四警戒班よ!」
「け、警四!?」
左側の通路を勢いよく走っていた桜井は、連結部で飛び上がり、そのまま丸刈りの男に飛び蹴り、桜井の声に振り向いた丸刈りの男の顔にクリーンヒットし、男は沈んだ。
ハイヒールだったら死んでたな。
そんな男を見下ろし、
「女の運動能力は男以下じゃなかったの?」
と、してやったとばかりに顔をにやけさせ、白目を剥いて倒れている男に言った。
まあ、これで一件落着かな。
周りを見れば、高山は疲れたのか車体に背中をもたれかけているし、桜井・岩泉は「今回は中々楽しかった」とばかりに背伸び、ベルニナは高山のところで泣いている。
俺もあんま何もしてないが、とにかく疲れたので、座る。
とりあえず、もう何も起きないだろう。
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一件落着とは、其れ即ち「一つの事柄・事件に収まりがつく、解決すること」だ。
保守用の通路に座って、流れ去る景色を見ていることに、俺は何の違和感も持っていなかった。
桜井の言葉を聞くまでは。
「高山―――!!こいつ止めないと――――!!」
あ、そうだった。こいつ暴走状態だったんだ。
すっかり忘れてた。
というわけで、俺はまだ少し煙の立ち込めている運転室に入る。
前に貨物のイベントで入った事はあるが、60km/hもの速度で走っているのは初めてだ。
そんなことを思っていると、後の機関車にいた高山達が入ってきた。
高山は嬉しそうに、
「こ、ここは、お、俺しかいないよな……?」
と、周りを見ていた。
忘れてるかもしれないだろうが、俺も鉄道高校だ。
電車のシュミレーターぐらい、
まあ、運転は苦手だし、学校でも専ら車掌業務しかやったこと無いから、実車の運転経験はほとんど無いがな。
というわけで高山に譲ろう。
高山は運転席に座った。そして、
「なんじゃこりゃ……」
と、学校や電車とは違うハンドル配置に戸惑っていた。
まあ、うちの学校には一応機関車のもあるんだが、
過去に一回だけ鉄道運輸科全体でそれを使ったことがあったから、操作方法は多少分かる。
まあ、そんな事は置いといて、今はこの列車を止めよう。
確か、
「上が単弁で、下が自弁だったかな?まあいいや。とりあえず、ノッチを切ったほうが良いんじゃない?」
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単弁:機関車のみにかかるブレーキを操作するブレーキ弁。
自弁:編成全体にかかるブレーキを操作するブレーキ弁。
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「そ、そうだな」
高山は次の停車駅を指差し確認、そして桜井に突っ込まれていた。
それを終えた高山。ノッチを最大の14から13に落とす。が、
「……?何も変わんないぞ?」
まあ、たった一つ落とすだけで違いが分かるんだったら凄いな。
高山は続けてNまで一気に落とす。
「やっぱり何も変わんないし、むしろ速度が上がってないか?」
いわれて計器を見ると、ノッチは0のはずなのに、速度を示す黒い針は時計回りに少しずつ緩やかに回り、エンジンの回転数を示す計器は1500rpm(=1分間に1500回転)を示していた。
つまり…………
「…………あ、そういうこと」
「ん?どういうことなんだ?臼井」
「たぶん原因はこれ」
と言って運転台の下に空いている穴をさす。
「
切替は電気的接点で行われてるから、そこで挟まって固定されっぱ、っていうのは考えられる。まあ、あくまで可能性として、って話だけど」
「……って言う事は、取り除くにはマスコンを分解しなきゃいけないって事だろ?」
「言いたい事はそうなるね。分解するなら道具取ってくるけど」
「え!?あるの!?」
「って言ってもそんな大掛かりな道具じゃないさ。ドライバーとレンチあれば分解できるよ」
「ドライバーでも驚きだよ……。なんでドライバー常に持ってんだよ……」
「なんで……。んー、趣味?」
「随分と変わった趣味ね」
何とでも言え。
俺は岩泉に犯人を担ぐよう言って、電源車に向かった。
そういえば、2巻を読んでて気になったんですが、高山君の運転上の知識の無さ。
仮にも鉄道高校ですよ?しかも旅客輸送科。このぐらいは知ってるか教わって当たり前だと思ったんですが、皆さんはどう思いました?……あ、つっこんだら負け?そうですか分かりますた。
若干のアンチが混じってしまった事をお詫び申し上げます。たぶんもうやりません。
あと、私は筆箱の中に1本はドライバーを入れています。
誤字脱字などがありましたらご報告下さいますようお願いします。
それでは。