RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 こん○○は。
 Firefoxだとルビが表示されなくて、確認の段階でかなり焦ります。

 まあ、そんな事は置いといて。

 それではどうぞ。


26両目

 射出された弾丸は、何の妨害を受けることなく運転席の窓に着弾。その窓ガラスを突き破って信号炎管に。そして、

 

バーーン!ゴゴゴゴゴゴゴ!

 

 と、誤差なく信号炎管を撃ち抜き、爆発させた。

 運転席の中は真っ白。何がどうなっているのかはこっちからは分からない。

 と、進行方向向かって右側の扉から、咳をしながら男が出てきた。

 その男は片膝をついて銃を岩泉に向ける。

 だが、

 

 

「そいつじゃ無理だな」

 

 

 岩泉は連結部を飛び越えた体勢そのままで警棒を振りかぶり、相手の右手首に打ち下ろす。

 バキッ!という、本来人間の手首からしてはいけない音と共に、相手は呻き声を上げながらうずくまり、そこへ、

 

 

「ふん!」

 

 

 と言って、警棒を逆手に取った岩泉が男の腹に一撃を加えた。

 相手は、「うっ……」と言って倒れこみ、そのまま動かなくなった。

 

 

「こんな近接戦じゃあ、銃火器は役に立たないぜ……って、もう聞いてねえか」

 

 

 と、そこへ反対側の扉から出てきたもう一人の犯人が来る。手に持った銃は岩泉のほうへ向けられている。が、

 

 

「お、お前ら何者だ!」

 

「東京中央公安室、第四警戒班よ!」

 

「け、警四!?」

 

 

 左側の通路を勢いよく走っていた桜井は、連結部で飛び上がり、そのまま丸刈りの男に飛び蹴り、桜井の声に振り向いた丸刈りの男の顔にクリーンヒットし、男は沈んだ。

 ハイヒールだったら死んでたな。

 そんな男を見下ろし、

 

 

「女の運動能力は男以下じゃなかったの?」

 

 

 と、してやったとばかりに顔をにやけさせ、白目を剥いて倒れている男に言った。

 

 まあ、これで一件落着かな。

 周りを見れば、高山は疲れたのか車体に背中をもたれかけているし、桜井・岩泉は「今回は中々楽しかった」とばかりに背伸び、ベルニナは高山のところで泣いている。

 俺もあんま何もしてないが、とにかく疲れたので、座る。

 とりあえず、もう何も起きないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 一件落着とは、其れ即ち「一つの事柄・事件に収まりがつく、解決すること」だ。

 保守用の通路に座って、流れ去る景色を見ていることに、俺は何の違和感も持っていなかった。

 

 

 

 桜井の言葉を聞くまでは。

 

 

「高山―――!!こいつ止めないと――――!!」

 

 

 あ、そうだった。こいつ暴走状態だったんだ。

 すっかり忘れてた。

 

 というわけで、俺はまだ少し煙の立ち込めている運転室に入る。

 前に貨物のイベントで入った事はあるが、60km/hもの速度で走っているのは初めてだ。

 そんなことを思っていると、後の機関車にいた高山達が入ってきた。

 高山は嬉しそうに、

 

 

「こ、ここは、お、俺しかいないよな……?」

 

 

 と、周りを見ていた。

 忘れてるかもしれないだろうが、俺も鉄道高校だ。

 電車のシュミレーターぐらい、モックアップ(生首)使って学校でやるし、それに今のご時勢、PCやPSでそういったゲームがあるくらいだ。つまるところ俺もできる。

 まあ、運転は苦手だし、学校でも専ら車掌業務しかやったこと無いから、実車の運転経験はほとんど無いがな。

 というわけで高山に譲ろう。

 

 高山は運転席に座った。そして、

 

 

「なんじゃこりゃ……」

 

 

 と、学校や電車とは違うハンドル配置に戸惑っていた。

 

 まあ、うちの学校には一応機関車のもあるんだが、京葉臨海鉄道(りんてつ)神奈川臨海鉄道(かなりん)鹿島臨海鉄道(かりん)、國鉄の貨物部門とか、貨物の運転士を志願している人が使っていて、旅客方面の人はほとんど使ったことが無い。

 過去に一回だけ鉄道運輸科全体でそれを使ったことがあったから、操作方法は多少分かる。

 

 まあ、そんな事は置いといて、今はこの列車を止めよう。

 確か、

 

 

「上が単弁で、下が自弁だったかな?まあいいや。とりあえず、ノッチを切ったほうが良いんじゃない?」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

単弁:機関車のみにかかるブレーキを操作するブレーキ弁。

自弁:編成全体にかかるブレーキを操作するブレーキ弁。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「そ、そうだな」

 

 

 高山は次の停車駅を指差し確認、そして桜井に突っ込まれていた。

 それを終えた高山。ノッチを最大の14から13に落とす。が、

 

 

「……?何も変わんないぞ?」

 

 

 まあ、たった一つ落とすだけで違いが分かるんだったら凄いな。

 高山は続けてNまで一気に落とす。

 

 

「やっぱり何も変わんないし、むしろ速度が上がってないか?」

 

 

 いわれて計器を見ると、ノッチは0のはずなのに、速度を示す黒い針は時計回りに少しずつ緩やかに回り、エンジンの回転数を示す計器は1500rpm(=1分間に1500回転)を示していた。

 つまり…………どうゆうこと(Do you caught on)

 

 

「…………あ、そういうこと」

 

「ん?どういうことなんだ?臼井」

 

「たぶん原因はこれ」

 

 

 と言って運転台の下に空いている穴をさす。

 

 

DF51(こいつ)に限らず、ほとんどのマスコンは簡単に言えば間接式って言って、マスコン内部にある主回路切替用制御信号線の接続切替によって制御装置、まあこいつの場合は機関だけど、を制御してるんだ。

 切替は電気的接点で行われてるから、そこで挟まって固定されっぱ、っていうのは考えられる。まあ、あくまで可能性として、って話だけど」

 

「……って言う事は、取り除くにはマスコンを分解しなきゃいけないって事だろ?」

 

「言いたい事はそうなるね。分解するなら道具取ってくるけど」

 

「え!?あるの!?」

 

「って言ってもそんな大掛かりな道具じゃないさ。ドライバーとレンチあれば分解できるよ」

 

「ドライバーでも驚きだよ……。なんでドライバー常に持ってんだよ……」

 

「なんで……。んー、趣味?」

 

「随分と変わった趣味ね」

 

 

 何とでも言え。

 

 俺は岩泉に犯人を担ぐよう言って、電源車に向かった。

 

 

 




 そういえば、2巻を読んでて気になったんですが、高山君の運転上の知識の無さ。
 仮にも鉄道高校ですよ?しかも旅客輸送科。このぐらいは知ってるか教わって当たり前だと思ったんですが、皆さんはどう思いました?……あ、つっこんだら負け?そうですか分かりますた。

 若干のアンチが混じってしまった事をお詫び申し上げます。たぶんもうやりません。

 あと、私は筆箱の中に1本はドライバーを入れています。

 誤字脱字などがありましたらご報告下さいますようお願いします。

 それでは。

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