RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 さて、誰得状態のこの話、(私が)調子に乗って2話目突入です。
 実は14話の途中までできています。信じるか信じないかはあなた次第。
 それではどうぞ。


2両目

 俺たちは改札をくぐって國鉄総武緩行線のホームへと上がった。学校の近くにあるこの船橋駅から俺たちの家がある市川駅までは、この路線を使い大体10分で着く。

 隣を走る総武快速線のほうが速いのだが、混雑がひどい。

 ホームへ上がると、電車はドアが閉まった直後で、國鉄233系の全面黄色の側面が、秋葉原方面へ動き出しているのが目に入った。電光表示板を見ると、次の電車は2分で来るようなので、近くにあったエレベーターの壁に二人並んで寄りかかって待つ。

 今の時間帯は丁度帰宅ラッシュの時間になる。國鉄もどんどん増える乗客に対して、電車の本数を増やしたり、連結されている車両数を増やしたりと、いろいろ対策はしているが供給が需要に追いついていない。

 どうにかならんもんかなぁなんて思っていると、千歳が話し出した。

 

 

「そういえば、そー君は明日からどこへ行くの?」

 

「あ、先生言ってなかったな。…まあ、貰った書類にでも書いてあるだろう」

 

「そー君とこの先生っておっちょこちょいだよね。たまに配布物忘れたり、連絡事項忘れたり」

 

 

 おっちょこちょいなのは否定しませんが…。

 

 

「まあ、人間そういうところはあるし、しょうがないさ。お前は……予想通りっちゃあ予想通りだけど」

 

「ちょっと、予想通りってどういうこと?」

 

「だって、お前が行きそうなのそこしかないじゃん」

 

「ひどいなぁ、これでも悩んだんだよ」

 

「ほう、じゃあ、他に何処で悩んだか言ってみなさい」

 

「えーっと、大井工場とか、東急車輛製造の横浜製作所とか」

 

「やっぱりな」

 

「えーっ」

 

 

 そんな事を話していると、列車の接近を告げる放送が鳴り、駅の屋根から下がっている電光表示板には、“まもなく電車が参ります”との表示があった。

 

 

「そうだね、じゃあ行こっか」

 

 

 俺たちはエレベーターの壁から離れ、乗車位置の目印のところに並ぶ。

 

『まもなく、1番線に区間快速立川行が参ります。黄色い点字ブロックより下がってお待ちください。次は西船橋に止まります』

 

 案内放送が終わると同時に、黄色い231系電車が入ってきた。

 中は相変わらずの混雑だ。

 電車が完全に止まり、ドアが開く。すると中から大量の人が流れ出てくる。

 流されそうになるのをこらえ、千歳と一緒に電車に乗る。

 車内は混雑していたが、ぎゅうぎゅう詰めではないので助かった。

 

 

「よかったね。思ったより空いてて」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 その後は乗客が増えたり減ったりの車内で、他愛の無い話をしながら市川駅まで乗った。

 市川駅で降りた俺たちは、改札を抜けて家へと向かう。

 ここから家までは歩いて10分くらいだ。

 千歳とは家が隣なので、ずっと一緒になる。

 さすがに話題も尽きたので、終始無言で家へと向かう。

 家まであと少しというところで千歳が、

 

 

「今夜も…いい?」

 

 

と、聞いてきた。

 

 

「五能姉さんが居ると思うけど、それでもいいか?」

 

「うん、いいよ」

 

「じゃあ、後で」

 

「またね」

 

 

 そう言って俺たちは別れた。

 俺は、ドアを軽く一回引いて鍵が開いているのを確認してから、家に入った。

 

 

「ただいま~」

 

 

と言うと、中から2人の声が聞こえた。

 

 

「「おかえり~」」

 

「ただいま。五能姉さんと飯田さん」

 

「おじゃましてるわね~」

 

「いえ、ごゆっくり」

 

 

 中には、五能姉さんこと五能瞳と姉さんの仕事の同期という飯田奈々さんが居た。ちなみに、何の仕事かは知らない。

 二人は、たまにこうして一緒にお酒を飲んでたりする。

 しばらくして、飯田さんは帰り支度を始めた。

 

 

「じゃあ、私は明日、仕事があるから、もう帰るわね~」

 

 

 ビール缶10本空けておいて、全く危なげの無い足取りである

 

 

「ああ、わかった。気をつけて帰れよ」

 

 

 この人も相当飲んでたのに…。

 

 

「じゃあね、瞳、そー君」

 

「また、いつでも来て下さいね」

 

「ありがと~」

 

 

 そう言って、飯田さんは玄関から出て行った。

 あ、そうだ。千歳のことを言わないと。

 

 

「あ、姉さん。今夜も千歳が家に来るから」

 

「ああ、分かった。早速作ろう」

 

「まだいいよ。この後、定期の変更に行くから」

 

「定期の変更?急にどうしたんだ?」

 

 

 ここで、姉さんにOJTのことを話す。

 

 

「姉さんは、俺が國鉄の車掌になりたいのは知ってるよね?」

 

「ああ、以前そう言ってたな。それで?」

 

「それで、國鉄からOJTの許可が出たんだけど、行き先が鉄道公安隊なんだ」

 

 

と言うと、姉さんは驚いた顔をした。

 

 

「それで?」

 

 

 俺は説明を続ける。

 

 

「それで、公安隊へ行くのにも研修があって、それが西国分寺駅の近くにある、國鉄中央学園でやるらしいんだ」

 

 

 と、さっき見た書類の内容を話す。

 姉さんはやはり、驚いた顔をしていた。が、急にまじめな、いつもの顔になり、こう切り出した。

 

 

「じゃあ、明日から一緒に行くか?」

 

「へ?なんで?」

 

 

 本当に意味が分からなかった。何で姉さんが一緒に学校へ行くのか。

 

 

「この際だから教えてやろう。今まで教えてなかったが、私の仕事は」

 

 

と、姉さんはニヤッと笑い、言葉を続けた。その言葉に俺は驚いた。

 

 

「東京公安機動隊で隊長をしている。明日からはたぶん、宗吾が入るクラスの授業を担当する」

 




元ネタ解説。

 國鉄233系:原作にも一応登場。元ネタはJR東日本のE233系。車両の色使いは201系と思われる。現実には総武緩行線には投入されていないが、ここは空想の世界(ry

 國鉄231系:原作にも登場。元ネタはJR東日本のE231系。この車両だけはステンレス車体(他は鋼製車体)。原作では総武線にはいないことになっているが、二次創作だから(ry

 國鉄217系:原作には登場していない。元ネタはJR東日本のE217系で、総武快速線、横須賀線の電車。総武本線(千葉~成田空港)、外房線(千葉~上総一ノ宮)、内房線(千葉~君津)などにも直通する。最長で152.6km走る運用があり、ダイヤにもよるが約3時間かけて走破する。
 


 書きたいことはもっとあるんですが、もっと長くなるので割愛。

 次回の投稿日は不定です。明日かもしれないし、明後日かもしれません。
 それではまた。

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