RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 こん◯◯は。
 お久しぶりです。
 文化祭や部活の引き継ぎとかで忙しかったんです。あと、気分がのらなかった。

 それではどうぞ。



19両目

 現在の時刻は18時45分。

 俺達は上野駅13番線にいた。

 このホームにあるトイレはハッテン場として有名らしいが、王子にそんなことを教えるわけにはいかない。教えないほうがいいに決まっている。

 

 そんな話は置いといて、上野駅に着いてからは、山手線や京浜東北線、常磐線や、東北新幹線をはじめとする各新幹線を見たりしていた。

 終始ベルニナはとても喜んでいて、失礼だが、服装も相まって一国の王子には見えなかった。

 もちろんそっちのほうが気軽に話しかけられて嬉しいし、狙われにくくなる。

 

 さて、そうしているうちに北斗星の入線時刻となった。

 時刻表上の時刻は18時50分着、現在は48分で案内放送が流れている。

 

 

『えー、お待たせ致しました。まもなく13番線に参ります列車は、19時03分発、北斗星3号の札幌行きです。列車は、進行方向から11号車、10号車と続き、一番後ろが1号車となります。乗車位置は、お足元、または上にあります北斗星の乗車目標、1号車~11号車でお待ちください』

 

「そういえば、俺達が乗るのって何号車?」

 

 

 ここにきて、適当な場所に居るのに気がつく。

 そろそろ移動したほうが良いだろう。

 俺が聞くと、小海さんは切符を見ずに答えた。

 

 

「10号車ですね」

 

「え、見たのは一瞬だったのに、よく覚えてたね」

 

 

 高山がそう言う。

 が、小海さんはさらっと次のように言った。

 

 

「切符は見てませんよ?」

 

「「え?」」

 

「北斗星の“ロイヤル”は9号車と10号車にしかありません。さらに、9号車として使用されるオロハネ(車両の形式の一つ)25のロイヤルは先頭側に偏っているのに対して、10号車のオロハネ24は車両の真ん中に位置しています。だから、私達の警備のことも考えると10号車かなっ、て」

 

 

 おお、すごい……。

 

 

「で、高山。10号車なのか?」

 

「ああ、そうだよ。 じゃあ、行くぞ!」

 

 

 北斗星か……、……………いや、今は考えるのはよそう。

 

 歩き出したつもりなのに、歩き出してはいなかった。

 その場にとどまっていた俺を見た高山は、

 

 

「何してんだ、早く行くぞ!」

 

 

 と、うきうきした顔で俺を呼ぶ。

 これは仕事だ。そう自分に言い聞かせ、悪ぃ、と言って高山たちのもとに戻る。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 時刻は19時丁度。桜井はまだ来ていない。

 北斗星3号の発車は19時03分なので、まだ時間はある。

 一旦10号車の部屋に荷物を置き、1号車から皆で桜井の到着を待つ。

 願うことは皆同じだ。

 

 ああ、いつもより時間が短く感じる。桜井、早く来てくれ……。

 

 

 19時01分。

 上野駅13番線の発車ベルが鳴り始める。

 定刻通りに出発するのであれば、あと1分弱は鳴り続けている。

 普段は気にもならないこのベルも、今日ばかりは鳴り止まないでくれと思ってしまう。

 

ルルルルルルルルルルルルルル。

 「13番線、寝台特急、北斗星の扉が閉まります。ご注意ください」

 

 19時02分。

 車掌さんが発車ベルを止める。と同時に奥のほうに桜井が見えた。

 桜井は、自分がそこに着いたときに鳴り止んだことで諦めたのか、走るのをやめてしまった。

 

プシュー。バタン。

 

 車掌さんがドアスイッチで扉を閉め、全車の扉がしまったことを確認すると、それを機関士に無線で知らせる。

 

 

「こちら3列車車掌。下り3列車運転士、応答願います。どうぞ」

 

『こちら下り3列車運転士。どうぞ』

 

「全車戸閉(とじめ)確認、どうぞ」

 

『了解、出発進行!』

 

 

 すぐ脇にある乗務員室からそんな内容が聞こえた。

 最後部の窓から見ると、桜井が列車を見送るようにして立っていた。

 列車はゆっくりと加速していく。

 突然、高山が車掌さんにお願いして、乗務員室から桜井に向かって叫んだ。

 

 

「桜井――――――――!!」

 

 

 その声が聞こえたのか、桜井がこっちを振り向いたような気がした。

 

 

「あっ!さくら――――――――!!」

 

ピィィィィィィィィィ!!

 

 

 高山の叫びは電気機関車の警笛にかき消されてしまった。

 もっとも、警笛がなくとも上野駅には人が多いうえに、桜井とはかなり離れていたので、高山の声は桜井に届くことはないだろう。

 

19時03分。北斗星3号 札幌行き、定発。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「言いたいことは言えましたか?」

 

 

 車掌室から出てきた高山に、車掌さんは聞く。

 

 

「いえ、今度会ったときに伝えます」

 

 

 何を、だろうか。

 今更伝えることなんてあるのだろうか。

 

 

「そうですね。僕もその方がいいと思いますよ」

 

 

 最後にニコっと笑って、車掌さんは乗務員室に入って放送を始める。

 俺達は10号車に向かって歩き始める。

 北斗星特有の車内チャイムが鳴り、さっきの車掌さんと思われる人が案内を始める。

 

 

『お待たせいたしました。本日は、北斗星3号、札幌行きにご乗車いただき誠にありがとうございます。担当車掌は、國鉄仙台管理局の山田です。終点の札幌までご案内いたします。続いて、各停車駅の到着時刻をお知らせいたします。

大宮には19時28分、

宇都宮には20時27分、

郡山には21時52分、

福島には22時27分、

仙台には23時27分、

仙台を出ますと、次は函館に止まります。

青函トンネルの通過は、日付が変わりまして明朝5時ごろから約40分間です。

続いて、函館には6時34分、

(もり)には7時26分、

八雲(やくも)には8時5分、

長万部(おしゃまんべ)には8時29分、

洞爺(とうや)には8時59分、

伊達紋別(だてもんべつ)には9時11分、

東室蘭(ひがしむろらん)には9時32分、

登別(のぼりべつ)には9時48分、

苫小牧(とまこまい)には10時19分、

南千歳(みなみちとせ)には10時41分、

終点の札幌には11時15分の到着予定です。

 列車は全車禁煙となっております。喫煙されるお客様は、3号車と8号車にございます、喫煙ルームをご利用ください。また、携帯電話はデッキでご使用ください。皆様のご協力をお願いいたします』

 

 

 放送を終える頃には、尾久(おく)駅まで来ていた。

 尾久を通過すると、赤羽、埼玉新都心の順に通過して大宮に止まる。

 

 

 

 北斗星か……、何もなければいいが……。

 

 

 しかし、そこは警四。どこに行っても、どこぞの小さい名探偵よろしく、何かしらの事件に巻き込まれてしまうのだ。

 




 アニメ見ました。
 113、201などの懐かしい車両が走ってるのを見て嬉しく思う反面、201は京浜東北線には走ってなかったぞ、と思いながら見てました。
 もっとも、TBSでやった2話とも録画失敗していて、見る気が失せてますが。
 
 今回、解説はありますがやりません。次回にまわします。

 次回も相変わらず未定です。
 それではまた。

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