RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 こん○○は。
 IAのゲームが発売延期になってしまって残念です。夏休みに遊びたかったのに……。
 それはそうと、RAIL WARS!の9巻が先日(6/20)発売されましたね。
 読んでいて、臼井君をどう入れようか想像しながら読んでました。
 まあ、そこまで続くのかって話ですが。

 それではどうぞ。


17両目

「Ciao! Haruka.(やあ、はるか)」

 

 

 入ってきた王子は、小海さんに抱きついた(挨拶した)

 

 何語なんだろうな、これ。“チャオ”だと……イタリア語……だったかな?

 というか、小海さんって何者?

 王子様と知り合いなの?

 東京駅の駅長とも知り合いらしいし……。

 

 パソコンで作業しつつも、そんなことを考える。

 

 

「Buon giorno Altezza.(おはようございます、殿下)」

 

 

 あー、やっぱりイタリア語かー。どうでもいいけど。

 何言ってるかわかんないやー。

 

 とか何とか考えながらも、俺は仕事を進める。

 

 

「日本に来たなら日本語で喋れ!」

 

「なにむきになってるのよ。みっともない……」

 

 

 桜井が本気で呆れる。

 

 そうだぞ高山。みっともないぞ。

 

 

「な、何言ってんだよ!ここはJAPANだ!だろ?岩泉、臼井」

 

 

 俺はパソコンで作業しながら答えた。

 

 

「そんなことどうでもいい。というか、王子様なら行く先の国の言葉くらい話せるだろう」

 

 

 それに、お前も英語を使うんじゃない。

 岩泉は寝てるし……、ハア。

 

 

「それもそうですね。失礼しました。私はアテラ国王子のベルニナです。よろしく」

 

 

 ベルニナ王子はとても流暢な日本語で話した。その喋りは、この人は日本人なのか?と思うほどだ。

 そんな王子に対し、高山はバツが悪そうな顔だ。

 

 

「わ、分かったんならいいけど……」

 

 

 そんな高山に、王子はニコっと笑い、小海さんに抱かれている犬―――けーよんに手を差し出す。

 男嫌い、女大好きのこの犬は、その差し出された手をprpr舐めた。

 

 女好き、その上権力者には従順ときた。実に人間らしいなこの犬。

 

 そんな犬を可愛がっている王子に飯田さんが話しかけた。

 

 

「Buon giorno Altezza. (訳はry」

 

 

 飯田さんも話せるのね、イタリア語。

 

 そんな飯田さんに、王子は日本語でも大丈夫だと伝えた。

 

 

「日本語で大丈夫です。あなたが飯田班長ですか?今回はお世話になります」

 

「では日本語で失礼します。ベルニナ殿下、到着はお昼過ぎのはずでは?」

 

 

 俺はそこまでの予定は聞いてなかったが、どうやら本当はお昼過ぎだったらしい。

 ……追っかけの人達、予定変更の情報をどこで仕入れたんだろうか。

 

 

「すみません。ハルカに久しぶりに会えると思ったら嬉しくなり、早めに来てしまいました」

 

 

 ますます小海さんって何者?外国の王子様とここまで仲がいいなんて。

 

 と、高山がずっと気になってたであろう疑問を、飯田さんに聞いた。

 

 

「飯田さん!ど、どうしてベルニナ王子がここに!?」

 

「それはね~、」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 前話参照。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「……という訳なのよ」

 

「でも、どうして重要人物のガイドを警四が担当するんですか?」

 

 

 と、高山から尤もな質問が出た。

 その質問には、王子様のお付の人が、これまた流暢な日本語で説明を始めた。

 

 

「初めまして。私はアテラ王国で国務長官をしておりますブルアーです」

 

 

 あ、国務長官殿でしたか。失礼しました。

 

 

「我々アテラ王国は王国と言いましても、日本で言えば一つの都市くらいの小さな国です。それに、殿下は王位継承権が第5位で、いきなり誰かに襲われるような危険は全くと言っていいほど無いのです。とりあえず、大きな公式行事は終わりましたし、北海道に殿下のご友人とご一緒に行くのであれば、殿下のいい息抜きとなると思いまして」

 

 

 なるほど。そういう。

 

 最後に王子が付け足す。

 

 

「で、僕が親友のハルカが居る警四にガイドをお願いしたんです」

 

 

 まあ、北海道なら大丈夫かな?どうせ列車で移動だし。

 

 

「んで?はるか。王子様の恋人だったの?」

 

 

 何故か不貞腐れている桜井が、小海さんに単刀直入に聞いた。

 それを小海さんは、顔を真っ赤にして否定する。

 

 

「ち、違うのよ、あおい。私とベルニナは、イギリスに留学していたときにクラスメイトで、そのときに仲良くしてもらっただけよ!」

 

「だって、高山班長代理」

 

 

 桜井は何故か話を高山に振る。

 

 

「は?」

 

 

突然名指しされた高山は、訳が分からない、とばかりに桜井のほうを見る。

 

 

「はるかは、留学のときに王子様にとてもとても仲良くしてもらったんだって。日本語がペラペラになるぐらいに」

 

 

 倒置法w。何故にわざわざw。

 

 

「ち、違うのよ、高山君!」

 

「へ?何で俺に?」

 

 

 小海さんは必死に否定し、高山は聞いてきた真意を桜井に問う。

 

 

「別に?ただ、高山が二人の仲をとても心配しているように見えたから」

 

 

 それに対し、桜井はいい玩具(オモチャ)を見つけたかのような、いい笑顔で高山に言った。

 

 

「べ、別にそんなんじゃ……!」

 

「図星ね。男のツンデレなんて流行らせないし、流行らないわよ」

 

「ぐっ……」

 

 

 本当に図星だったのか、高山は以降喋らなくなった。

 しばらく誰も喋らない、俺がキーボードを叩く音だけが部屋の中に響く、そんな空気が漂っていたが、飯田さんがその空気を裂いた。

 

 

「では、殿下の警護はお任せください。警四が警備も兼ねてお世話させていただき、明朝、札幌駅にお送りします」

 

「では、殿下のことはよろしくお願いします。私はこれから明日の夜まで、貿易関係の会議がありますので、これで失礼します。 殿下、よい休暇を……」

 

「じゃあね、ブルアー。明日羽田で!」

 

「殿下も遅れになりませんように」

 

 

 最後にそう言って、ブルアーさんは部屋を出た。

 ブルアーさんが出た後、飯田さんは俺達に向かって、改めて今日から明日にかけての仕事を伝えた。

 

 

「はい、という訳で、警四はこれから殿下の警護の仕事に就きます。私は東京駅から離れられないので、高山班長代理以下五名は、殿下と一緒に“北斗星3号”に乗り、お世話にあたってください。あと警護もね」

 

「北海道ですか~、今の時期、丁度いいですよね~」

 

 

 小海さんは喜んでいる。

 そして、俺の隣で寝ていた岩泉は起き上がり、

 

 

「よし、ジンギスカンに札幌ラーメン、あとは蟹だな」

 

 

 相変わらず、食べ物には目が無いようだ。ああ、函館ラーメンが食べたいな。

 

 

「で?何で飛行機じゃなくて、“北斗星”なんですか?」

 

「それはね―――」

 

「僕から説明します」

 

 

 と、王子様が人が変わったように話し始めた。

 

 

「僕は鉄道が大好きなんだ!國鉄って、一秒の遅れもなく走るんでしょ?そんな日本の列車に乗るのが夢だったんだ!」

 

 

 厳密に言えばラッシュ時などに遅れる場合がありますが、とつっこむのは無粋だろうか。

 王子様は本当に鉄道が好きらしい。

 

 

「王子は何の列車が好きなんですか?」

 

 

 高山が聞いた。単なる興味からだろう。俺も興味がある。

 

 

「一つじゃなくてもいいんだよね?」

 

 

 王子様は笑い、マシンガントークを始めた。

 

 

「まずは新幹線だね!引退してしまった0系なんか、特に好きだよ。鼻が丸っこくて、可愛らしい。あのデザインは世界のどこを探しても無いよね!」

 

「お言葉ですが殿下。イタリアに“ETR450型”(イタリアの車両)があるじゃないですか」

 

「ああ、一応僕の国にもたまに来るけど、あの丸っこい鼻はいいよね!」

 

「それは同意です。失礼しました、お話の続きをどうそ」

 

「いいよ、全然。あとは、最新の700系だね!日本政府と交渉して、あのカモノハシのような鼻にしがみつきたいよね!」

 

 

 なんともまあ、壮大な夢だこと。

 一国の王子だからこそできそうな夢だよね。というか、やりかねない。

 

 

「他にも、“富士”、“はやぶさ”を引っぱる電気機関車のEF68や、狭軌最強クラスのディーゼル機関車、DF51!それからそれから―――」

 

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EF68:國鉄が昭和時代に、高速道路を使ったトラック輸送に対抗するために開発した、高速貨物専用機関車。今は客車列車も牽引している。

 

狭軌:國鉄や東急などで用いられる軌間の名称。レール幅が1435mm未満はこれに該当する。余談だが、國鉄で使われている狭軌は1067mm。1435mmは標準軌、それより広いのは広軌。1435mm未満の中でも、1372mmについては偏軌、馬車軌間、変則軌道などと呼ばれる。

 

DF51:國鉄が開発したディーゼル機関車。貨物輸送から客車牽引、甲種輸送まで何でもござれなオールマイティーな機関車。電化区間でも使われることがある。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ベルニナ殿下、鉄道に詳しいっすね!俺も鉄道が好きなんすよ」

 

 

 高山は参戦したいらしい。

 王子様は高山の胸につけている名札を確認した。

 

 

「えーっと、…… Ciao!Naoto! それから……」

 

 

 王子様は俺に近づき、胸につけている名札を見ようとする。

 だが、その前に王子様のほうを向き、

 

 

「第四警戒班、臼井宗吾です」

 

 

 軽い自己紹介。

 

 

「じゃあ、…… Ciao!Sougo!」

 

 

 と言って、白い手袋をはめた手を差し出す。

 俺はその手を握った。

 

 

「で、殿下の国にはどんな列車が走っているんですか?」

 

 

 高山が聞いた。

 それは俺も気になる。

 

 

「“殿下”なんて堅苦しい名前で呼ばないで、僕のことはベルニナって呼んでください。同じ鉄道好きじゃないですか!」

 

「そ、そうか?じ、じゃあ、ベ、ベルニナ。俺のことは直人でいいから」

 

「私は宗吾、とでも呼んでください」

 

 

 高山に便乗。

 

 

「OK!ナオト、ソウゴ!」

 

 

 やっぱり、人の名前ともなると、若干訛りが入ってるような気がする。

 

 

「それじゃ~、三人とも話が合うみたいだし、出発まで高山君とそー君は、殿下の話し相手になってもらえるかな?」

 

 

 いいとも~!と言いたい所だが、家に取りに行かなければならないものがある。

 

 

「あ、飯田さん。ちょっと家に取りに行きたいものが……」

 

「朝言った仕事が終わってて、出発までに帰ってこれるなら、行ってもいいわよ~」

 

「ありがとうございます」

 

 

 俺は最後の仕上げをして、それを飯田さんに提出、市川にある家に向かった。

 

 

 




※元ネタ解説※
EF68:元ネタはEF510。JR東日本とJR貨物が製作、導入している交直流両用電気機関車。
 JR東日本のはカシオペア、北斗星を始めとする、客車列車の牽引、JR貨物のは貨物列車の牽引が主な仕事。

DF51:元ネタはDD51と思われる。国鉄のディーゼル機関車で、全国に72両現存している。
寝台特急を牽いたり、貨物を牽いたりと色々出来る使い勝手のいい車両。
最盛期には600機以上が活躍し、その範囲は四国を除いた日本全国で、貨物や客車を牽いていた。



 いやあ、機関車ネタは話が尽きませんね。書こうと思えば、それだけで話が一話終わるほど書ける気がします。

 新しい二次創作かオリジナルでも書こうかと思ってます。投稿するかは別として。
 構想はあるんですがね。二次創作なら東方、オリジナルなら学園物をやりたいです。
 でもまあ、気晴らしにしか書きませんがね。

 次回の投稿は未定か来週です。二巻の話が終わったら、機関車の付番についての話しでも書こうかな。

 それでは。

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