RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 こん○○は。
 A9のV3の発売が待ち遠しいです。

 それではどうぞ。


第二章 北海道王子様警護旅行
16両目


 東京駅爆破脅迫事件から数日。ここ、東京駅での研修も半月が過ぎた頃、いつも通り早めに出勤?した俺を待ち構えていたのは、いつも通りの笑顔の飯田さんだった。

 

 

「え?王子様?」

 

「そうよ。昨日来日した」

 

「ああ、巷で噂のベルニナ王子ですか。で、どうして俺にそんな話を?」

 

 

 朝8時すぎ。俺と飯田さんしか居ない部屋で聞かされた今日の予定。

 それはいつもとはかけ離れた、“王子様の警護”という仕事だった。

 

 

「なんで警四が……。一班の方達がやれば良いじゃないですか」

 

「それがね~、何でもその王子様は鉄道好きらしいのよ。日本のね」

 

「それで?」

 

「なんか、札幌で姉妹都市式典やるらしくて、それに出席するそうなのね」

 

「あ~、そんなこと言ってましたね」

 

 

 朝のニュースでやってたな、そんなこと。

 王子様が降り立った空港の名古屋空港には結構な人が居たのを昨日やってたな。

 

 

「で、その王子様が北海道に行くのに、“北斗星”に乗りたいらしいの」

 

「へー、“カシオペア”じゃないんですか」

 

 

 “北斗星”と“カシオペア”は國鉄の寝台特急のことで、上野から札幌までを走っている。

 ランクが高いのは“カシオペア”のほうで、お金持ちの王子様が乗るなら普通はそっちだろう。

 

 

「そうなの。で、王子は鉄道好きだし、そー君たちと同年代だから、札幌まで旅するなら大人よりも同年代の子達のほうが良いでしょう、って上からお達しがあったの」

 

「何と言いますか……、俺達でいいんですか?」

 

 

 こういうのを高校生に任せて良いのか?世間からなんか言われんじゃないの?主にマスゴミから。

 

 

「大丈夫よ。東京駅を守ったじゃない」

 

「………」

 

 

 俺は何もしていませんが。

 まあ、高山たちなら大丈夫か。

 

 

「……そう、ですね」

 

「そうよ。じゃあ、行く前に仕事を片付けちゃいましょうか」

 

「はい」

 

 

 現在8時20分。本来の仕事の始まりまでは、あと30分ほどある。

 今日の分の仕事を片付けなくては。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 現在、午前9時。警四全員が揃った。

 相変わらず朝は騒がしい。

 

 

「桜井!おまっ、何やってんだ!」

 

「何って~、銃の分解整備よ~」

 

「軽く言うな!」

 

 

 相変わらず高山と桜井は仲がいい。

 ほら、喧嘩するほど何とやらって昔から言うし。

 

 

「んで?どうしたの?その銃」

 

「飯田さんに頼んだらね~、やらせてくれたの~」

 

 

 桜井がご機嫌で答える。

 

 

「本当ですか!?」

 

 

 高山が飯田さんに聞く。

 すると飯田さんは、

 

 

「私ね、そういうの得意じゃないから桜井さんにお願いしたの~」

 

 

 桜井に任せて大丈夫か?あいつ、何やるか知ったもんじゃない。

 

 さて、そんなことを考えつつも書類の整理をやっていると、銃の整備が終わったらしい。

 装填数6発のリボルバーに弾を6発装填し、手首の動きだけで弾倉を銃に戻す。

 それを見た高山が一言。

 

 

「桜井、今何発入れた?」

 

「6発よ。高山の目は節穴なの?」

 

「節穴なのはお前の耳だ! 1発分空けるって授業でやっただろ!」

 

 

 公安隊で銃を所持する場合、使う銃は桜井が持っているやつと同じ、装填数6発のリボルバーの銃だ。

 装填できる数は決められていて、一度の装填につき5発までとなっている。

 1発分空ける理由は、落下の衝撃による暴発を防ぐためだ。

 もし万が一、駅のホームで暴発なんかしたら大問題だ。

 

 そんなこともあり、高山は銃を桜井から取り上げると、弾倉を取り出して弾を1発取り出す。

 銃を取り上げられた桜井は不満そうだったが、何か思いついたらしく、にやけた顔で高山に話す。

 

 

「そんなことして~。『後1発あれば……』って状況になったらどうすんのよ?」

 

「俺としては、桜井が5発全弾撃ち尽くすほうが『どうすんの』だよ!」

 

「1発を嗤う者は1発に泣くのよ。高山班長代理」

 

 

 どこの国の諺ですか、それ。

 少なくとも、日本では一部の人を除き、そんな体験はしねーよ。

 

 そんな桜井に対し高山は、

 

 

「俺はそういうときは、両手を挙げて降参するタイプだから」

 

「それだけじゃ済まない時があるのよ」

 

「そうか?安全がタダの日本は、謝れば大体許してくれるよ」

 

 

 と言い、銃を飯田さんに返した。

 

 

「ありがとうね、高山君も桜井さんも」

 

「これは後で装備科に返しておきますね」

 

 

 と、高山はさっき抜いた1発を飯田さんに見せる。

 

 

「よろしくね~」

 

 

 飯田さんがそう言ったとき、外で黄色い悲鳴が起きた。

 それはもう、電気機関車の駆動音にも引けを取らないほどの大音量だ。耳をふさがずにはいられない。

 そんな悲鳴にも似た歓声に、高山は「なんだ!?」と、持っていた弾をポケットに入れ、桜井は「事件!?」と嬉しそうに立ち上がり、寝ていた岩泉は一瞬で起き上がり、小海さんは悲鳴に驚いていた。

 

 俺?俺は書類の整理ですよ。北斗星に乗って行くなら、今日の分は終わらせておきたいし。

 あ、後で休憩時間使って家に戻ろう。北海道に行くなら、ついでに持っていきたいものがあるし。

 

 そんなことはどうでもいい。さて、歓声の原因だが、どうやら噂の王子様が来たらしい。

 追っかけの人たちの根性はすごく、俺が来たとき(=1時間前)からスタンバイしている人も居た。その人が何時間待っているかなんて、俺は知らない。

 また話が脱線した。

 件の王子様は、黄色い歓声に包まれながら公安室に入ってきた。

 背の高いお付の人も一緒だ。

 王子様は部屋を見渡し、小海さんを見つけたところで、そのそばにかけ寄り、日本では異常な、外国では当たり前のスキンシップである、ハグをした。

 

 

「Ciao! Haruka.(やあ、はるか)」

 

 

 その王子様はそう言って小海さんに抱きついた。

 




 莉子かわいいよ莉子。

 土日が忙しく、なかなかプロットが書けない現状…
 ああ、学校休みたい。
 
 今回から二巻の話です。
 ちょっと臼井くんに活躍してもらおうかと思っています。

 それではまた次回。

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