RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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 こん○○は。

 だんだん書き溜めがなくなってきました。でも、書いていますよ。
 
 それではどうぞ。


12両目

 ここ、東京中央鉄道公安室の一日の仕事をたったの6人に振り分ける、なんていうのは不可能に近い。というか、無理だ。

 なのでかどうかは知らないが、東京駅の駅員さんが何人か応援に来てくれた。

 道案内など、事件性の無いものについては彼らがやってくれ、その他の業務については警四でやっていた。

 

 

「しっかしまあ、これやってると受付やってた頃が平和すぎて、羨ましくなってくるな」

 

「そんな事言ってないで、さっさと進めなさいよ、臼井」

 

「はいよ」

 

 

 桜井に注意された。その桜井は桜井で楽しそうにやっている。こんなのどこが楽しいんだか。

 さて、無駄口を叩けば桜井に注意される。そんな空間の中に気が抜けるような電話の音が響いた。

 電話に出たのは飯田さんだ。

 

 

「はい、こちら東京中央鉄道公安室第四警戒班の飯田です。 …… はい。 …… はい」

 

 

 飯田さんはいつもと変わらない様子で受け答えしていた。

 やがて、

 

 

「はい、分かりました。すぐに伺いますので」

 

 

 と言って電話を切った。

 しばらく何かを考えた後、

 

 

「高山君、私と一緒に来てくれるかな? 小海さんは、装備課から逆探知のセットを借りてきてもらえる?」

 

 

 逆探知、その言葉に桜井と俺はそれぞれ全く別の意味で驚いた(だろう)。

 桜井は、何かの事件が起こったと喜び、俺は、何かの事件が起こってしまったと悲しむ。

 そんな二人を気にもせず、飯田さん、高山、小海さんの三人はどこかへ向けて歩いていく。

 

 

 

 

 

「ふい~、やっと終わったぜ」

 

「こっちも終わったわ」

 

「俺も終わりっと」

 

 

 何故か最初に岩泉、次いで桜井、最後に俺、の順で各々に与えられた全ての仕事が終わった。

 

 

「さ~て、寝るか」

 

「何言ってんの。駅員さんと代わるわよ」

 

 

 そう桜井が言ったときだった。

 

 バン! カランカラン……

 

 爆発音と何か硬いもの――音からして鉄の部品だろうか、が落ちる音がした。

 

 

「「何事(よ)!?」」

 

 

 戦闘狂二人は即座に反応した。

 

 

「まあまあ、飯田さんたちがさっきどっかに向かって行ったから、もしかするとそれ関連かも……」

 

 

 と、誰かの携帯が、かわいらしい着信音を部屋に響かせた。

 どうやら桜井の携帯らしい。

 

 

「はい、桜井…… うん、分かった」

 

 

 桜井はたったそれだけ言うと、すぐに電話を切った。

 

 

「ノースコートの西側出入り口付近のコインロッカーで爆発があったわ。急いで行くわよ!」

 

「応よ!」

 

 

 二人は目にも留まらぬ速さで事務室を出てった。

 二人のあまりのスピードの速さについていけなかった俺と、応援に来てくれた駅員さん。

 とりあえず、

 

 

「すいません、もう少し長くいてもらいます……」

 

「分かった。大変だね、研修生も」

 

「ははは……」

 

 

 俺は力なく笑い、仕事を再開した。

 

 駅員さんと共に雑談をしながら仕事をしていると、外から悲鳴が聞こえた。

 戦闘狂の二人ではないが、何か事件が起きたんじゃないか?と思い、その場所へと向かう。

 

 

「あ、ちょっと見てきますので、ここよろしくお願いしますね」

 

「ああ、任せて」

 

 

 俺は部屋を出て、悲鳴があった方へ向かう。

 記憶を頼りに進んでいくと、途中で桜井、岩泉にあった。

 桜井は話しかける間もなく過ぎ去り、岩泉をラリアットで捕まえて事情を聞くと、どうやら忘れ物センターに爆弾があったらしい。

 とりあえず、俺はお忘れ物センターに向かう。

 

 それにしても、桜井はどうしたんだろうか。まあ、あいつが事件(爆弾)から逃げるとは思わないけど。

 

 お忘れ物センターに着いた。

 そのドアの前では、小海さんが犬を抱えて中を見ていた。

 

 

「何やってんの?小海さん」

 

「あ、臼井君。いま、高山君と桜井さんが、中で爆弾の解体作業をやっているのよ」

 

「爆処理呼ばないの?」

 

「んー、時間が無いらしいよ?」

 

 

 それは大変なことで。

 

 中を見ると、高山がドライバーで基盤らしきものを何かやっていた。

 俺は専門家じゃないから、今高山が何をしているか分からない。

 けれど、桜井から指示があったんだろう。

 その桜井はどこに行ったか知らないが。

 中を見ていると、高山と目が合った。

 

 

「臼井!いいところに…「すまん、まだ死にたくない」……」

 

 

 高山はがっくりとした。

 高山、ドライバー落とすなよ?

 と、高山がそばにあったニッパーを手に取った。

 我慢できなくなって勝手にコードを切るつもりなんだろう。

 と、そのとき、タッタッタッと、誰かが駆けてくる音が聞こえた。

 その音は段々近づき、直前で音が途絶えたと思うと、人影が空を舞い、そのままドアを蹴って開けて中に入った。

 コードを切る寸前だった高山は驚いている。

 その人影の正体は桜井だった。手には銀色の魔法瓶がある。

 

 

「ねえ小海さん。液体窒素で爆弾って止まったけ?」

 

「物にもよりますが、一時的になら止まるみたいですよ」

 

「一時的、ねえ……」

 

 

 一応爆処理呼んだほうがいいのか?これ。

 

 

「一応爆処理呼ぼうかな……」

 

「呼ばなくていいと思いますよ。ほら」

 

 

 小海さんの指差す先には、桜井が高山にもたれかかっているのが見えた。

 爆弾の解体は終わったんだろう。

 

 

「お、高山と桜井の奴、何してんだ?」

 

 

 後ろから声がしたので振り返ると、そこには岩泉がいた。

 

 

「岩泉……、お前何やってた」

 

「いや~、爆弾相手じゃ、いくら俺でも……な」

 

 

 怖くて逃げ出したって事か。まあいい。俺もそうだからな。

 小海さんもホッとした顔になっている。

 と、桜井が何かを思い出したように立ち上がる。

 

 

「今何時何分!?」

 

「なんだよ、4時43分だけど」

 

 

 高山は壁の時計を見て答える。

 

 

「手宮め、絶対逮捕してやる」

 

「手宮と言うのは、実行犯の一人です。偽名ですけど」

 

 

 小海さんが教えてくれた。

 桜井は手を差し出し、高山はそれを掴んで立ち上がる。

 

 

「行くわよ高山!今ならまだあいつらをぶっ飛ばせられるわ!」

 

「そうだな、ぶっ飛ばしはしないが、あいつらを逮捕しに行こう!」

 

 

 高山と桜井は部屋から出てきた。

 部屋から出てきた高山に、小海さんは謝っていたが、高山はその全てを聞く前に許した。

 岩泉には後頭部に一撃を入れた。何したんだ岩泉。……ああ、爆弾ね。

 俺はお咎めなし。だって何も知らなかったし、後から合流したんだもの。

 

 さて、そんな訳で、警四全員で最終決戦に向かう。

 向かうのは東京駅10番線。特急の発着ホームだ。

 話を聞くと、そこで犯人との取引があるらしく、俺達はそこに向かった。

 

 

 




 元ネタの解説は今回はありません。

 次回の投稿日は相変わらず未定です。
 それでは。

※5/15追記
次回投稿日は、学校の試験があるため、再来週辺り(5/28)を予定しています。中途半端な感じで中断してしまい、大変申し上げございません。

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