RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~ 作:元町湊
だんだん書き溜めがなくなってきました。でも、書いていますよ。
それではどうぞ。
ここ、東京中央鉄道公安室の一日の仕事をたったの6人に振り分ける、なんていうのは不可能に近い。というか、無理だ。
なのでかどうかは知らないが、東京駅の駅員さんが何人か応援に来てくれた。
道案内など、事件性の無いものについては彼らがやってくれ、その他の業務については警四でやっていた。
「しっかしまあ、これやってると受付やってた頃が平和すぎて、羨ましくなってくるな」
「そんな事言ってないで、さっさと進めなさいよ、臼井」
「はいよ」
桜井に注意された。その桜井は桜井で楽しそうにやっている。こんなのどこが楽しいんだか。
さて、無駄口を叩けば桜井に注意される。そんな空間の中に気が抜けるような電話の音が響いた。
電話に出たのは飯田さんだ。
「はい、こちら東京中央鉄道公安室第四警戒班の飯田です。 …… はい。 …… はい」
飯田さんはいつもと変わらない様子で受け答えしていた。
やがて、
「はい、分かりました。すぐに伺いますので」
と言って電話を切った。
しばらく何かを考えた後、
「高山君、私と一緒に来てくれるかな? 小海さんは、装備課から逆探知のセットを借りてきてもらえる?」
逆探知、その言葉に桜井と俺はそれぞれ全く別の意味で驚いた(だろう)。
桜井は、何かの事件が起こったと喜び、俺は、何かの事件が起こってしまったと悲しむ。
そんな二人を気にもせず、飯田さん、高山、小海さんの三人はどこかへ向けて歩いていく。
「ふい~、やっと終わったぜ」
「こっちも終わったわ」
「俺も終わりっと」
何故か最初に岩泉、次いで桜井、最後に俺、の順で各々に与えられた全ての仕事が終わった。
「さ~て、寝るか」
「何言ってんの。駅員さんと代わるわよ」
そう桜井が言ったときだった。
バン! カランカラン……
爆発音と何か硬いもの――音からして鉄の部品だろうか、が落ちる音がした。
「「何事(よ)!?」」
戦闘狂二人は即座に反応した。
「まあまあ、飯田さんたちがさっきどっかに向かって行ったから、もしかするとそれ関連かも……」
と、誰かの携帯が、かわいらしい着信音を部屋に響かせた。
どうやら桜井の携帯らしい。
「はい、桜井…… うん、分かった」
桜井はたったそれだけ言うと、すぐに電話を切った。
「ノースコートの西側出入り口付近のコインロッカーで爆発があったわ。急いで行くわよ!」
「応よ!」
二人は目にも留まらぬ速さで事務室を出てった。
二人のあまりのスピードの速さについていけなかった俺と、応援に来てくれた駅員さん。
とりあえず、
「すいません、もう少し長くいてもらいます……」
「分かった。大変だね、研修生も」
「ははは……」
俺は力なく笑い、仕事を再開した。
駅員さんと共に雑談をしながら仕事をしていると、外から悲鳴が聞こえた。
戦闘狂の二人ではないが、何か事件が起きたんじゃないか?と思い、その場所へと向かう。
「あ、ちょっと見てきますので、ここよろしくお願いしますね」
「ああ、任せて」
俺は部屋を出て、悲鳴があった方へ向かう。
記憶を頼りに進んでいくと、途中で桜井、岩泉にあった。
桜井は話しかける間もなく過ぎ去り、岩泉をラリアットで捕まえて事情を聞くと、どうやら忘れ物センターに爆弾があったらしい。
とりあえず、俺はお忘れ物センターに向かう。
それにしても、桜井はどうしたんだろうか。まあ、あいつが
お忘れ物センターに着いた。
そのドアの前では、小海さんが犬を抱えて中を見ていた。
「何やってんの?小海さん」
「あ、臼井君。いま、高山君と桜井さんが、中で爆弾の解体作業をやっているのよ」
「爆処理呼ばないの?」
「んー、時間が無いらしいよ?」
それは大変なことで。
中を見ると、高山がドライバーで基盤らしきものを何かやっていた。
俺は専門家じゃないから、今高山が何をしているか分からない。
けれど、桜井から指示があったんだろう。
その桜井はどこに行ったか知らないが。
中を見ていると、高山と目が合った。
「臼井!いいところに…「すまん、まだ死にたくない」……」
高山はがっくりとした。
高山、ドライバー落とすなよ?
と、高山がそばにあったニッパーを手に取った。
我慢できなくなって勝手にコードを切るつもりなんだろう。
と、そのとき、タッタッタッと、誰かが駆けてくる音が聞こえた。
その音は段々近づき、直前で音が途絶えたと思うと、人影が空を舞い、そのままドアを蹴って開けて中に入った。
コードを切る寸前だった高山は驚いている。
その人影の正体は桜井だった。手には銀色の魔法瓶がある。
「ねえ小海さん。液体窒素で爆弾って止まったけ?」
「物にもよりますが、一時的になら止まるみたいですよ」
「一時的、ねえ……」
一応爆処理呼んだほうがいいのか?これ。
「一応爆処理呼ぼうかな……」
「呼ばなくていいと思いますよ。ほら」
小海さんの指差す先には、桜井が高山にもたれかかっているのが見えた。
爆弾の解体は終わったんだろう。
「お、高山と桜井の奴、何してんだ?」
後ろから声がしたので振り返ると、そこには岩泉がいた。
「岩泉……、お前何やってた」
「いや~、爆弾相手じゃ、いくら俺でも……な」
怖くて逃げ出したって事か。まあいい。俺もそうだからな。
小海さんもホッとした顔になっている。
と、桜井が何かを思い出したように立ち上がる。
「今何時何分!?」
「なんだよ、4時43分だけど」
高山は壁の時計を見て答える。
「手宮め、絶対逮捕してやる」
「手宮と言うのは、実行犯の一人です。偽名ですけど」
小海さんが教えてくれた。
桜井は手を差し出し、高山はそれを掴んで立ち上がる。
「行くわよ高山!今ならまだあいつらをぶっ飛ばせられるわ!」
「そうだな、ぶっ飛ばしはしないが、あいつらを逮捕しに行こう!」
高山と桜井は部屋から出てきた。
部屋から出てきた高山に、小海さんは謝っていたが、高山はその全てを聞く前に許した。
岩泉には後頭部に一撃を入れた。何したんだ岩泉。……ああ、爆弾ね。
俺はお咎めなし。だって何も知らなかったし、後から合流したんだもの。
さて、そんな訳で、警四全員で最終決戦に向かう。
向かうのは東京駅10番線。特急の発着ホームだ。
話を聞くと、そこで犯人との取引があるらしく、俺達はそこに向かった。
元ネタの解説は今回はありません。
次回の投稿日は相変わらず未定です。
それでは。
※5/15追記
次回投稿日は、学校の試験があるため、再来週辺り(5/28)を予定しています。中途半端な感じで中断してしまい、大変申し上げございません。