プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第八十二話:捕らわれたプリキュア(後編)

1、バッドエンドマーチVSチームマリン

 

 マリンの過去にしでかした行為により、ホワイト達とヒントを与えたベリーも、黒水晶玉の中に捕らわれた・・・

 

「「「「「「キャァァァァァ」」」」」」

 

 黒水晶内に捕らわれた一同の耳に、悲鳴が聞こえて上空を見上げると、ピンクチームの上にホワイト達が落下して、ピンクチームの六人を押しつぶした。次々に起き上がり、押しつぶされたピンクチームを心配そうに見つめたホワイトは、

 

「だ、大丈夫!?」

 

「「「「「「大丈夫じゃなぁぁい!」」」」」」

 

 ブラック達は、一斉に変顔浮かべながら抗議をした。ようやく起き上がったブラックだったが、再び上空から悲鳴が聞こえ、見上げたブラックの上に、ベリーがお尻から落下してブラックを押しつぶした。ベリーはお尻を摩りながら、

 

「イタタタタ・・・」

 

「ベリー!?どうしてあなたまで?」

 

 第二回戦に参加していないベリーまで、黒水晶内に捕らわれた事で、アクアが訝りながらベリーに問うと、ベリーは頭を掻きながら、

 

「いやぁ、ジョーカーに、みんなにヒントを出してたのがバレちゃって・・・失格にされちゃったのよねぇ」

 

 苦笑混じりに一同に語ったベリー、聞いていたピーチは笑いながら、

 

「アハハハ!もう、ベリーったらしょうがないなぁ!」

 

「ピーチ、あなたに言われたくないわよ!」

 

 勉強対決で、良い所無く終わったピーチには言われたく無いようで、ベリーがピーチに文句を言っていると、ベリーのお尻の下の物体がモゾモゾ動き出し、

 

「どうでもいいから、早く退いて!」

 

「ブラック!?ゴメェン、下に居るとは・・・」

 

 苦笑しながら立ち上がったベリーが、手を差しのばしてブラックを助け起こした。ブラックは変顔浮かべながらも、

 

「まさか、ホワイト達も吸い込まれちゃう何て・・・」

 

「だってぇ、学校の破壊を敵に頼む何て・・・普通思い浮かばないわ」

 

 膨れっ面したリズムの言葉を聞いたメロディは、腕組みしながら考え、

 

「まあ、学校破壊を敵に頼むのはやり過ぎだけど・・・気持ちは分からないでも無いよ」

 

「「「「「「「エッ!?」」」」」」」

 

 メロディの発言に、ホワイト達優等生チームは、驚いた表情を浮かべた。だが、ブラック達はウンウン頷き、

 

「だよね、学校は好きだけど・・・宿題忘れた時って、学校行く足取り重かったしさ」

 

「そうだよ!夏休みに宿題出すのは問題だよねぇ?」

 

「「「「そうそう」」」」

 

 ブラックの発言にドリームも乗り、ブルーム、ピーチ、メロディ、ハッピーも頷いた。ローズは呆れたようにブラック達を見つめ、

 

「あなた達ねぇ・・・だからバッドエンドビューティに惨敗するのよ」

 

「「「「「「あれは、私達を選んだジョーカーが悪いの!!」」」」」」

 

 ブラック達は、同じような表情で、自分達を選んだジョーカーが悪いと文句を言い、ホワイト達は呆れた。

 

(この人達、何で余裕何だろう!?私達、捕まっちゃってるのに?)

 

 ソードは、一同のやり取りを聞いていて、不思議そうに小首を傾げた。まだこの時のソードには、一同が残った仲間達を信頼し、心に余裕を持っている事に気付く事は無かった・・・

 

 

 失態を犯したマリンに対し、ブロッサムは、マリンがこの窮地を救うよう提案した。少し考えたマリンは、覚悟を決めたのか鼻の穴を広げながら、

 

「やるっしゅ!」

 

「その意気です!」

 

 ブロッサムが満足そうに頷くも、直ぐにマリンは縋るような目で、ブロッサム、サンシャイン、レモネードを見つめ、

 

「ブロッサム、サンシャイン、レモネード・・・あたし達、友達だよね?親友だよね?」

 

「急にどうしたんですか?勿論、親友ですよ!」

 

 ブロッサムが、笑顔を浮かべながら親友だとマリンに優しく語り掛け、サンシャインとレモネードも同意した。マリンは目をキラキラ輝かせると、ジョーカーの方を向き、

 

「って事で、あたしとブロッサム、サンシャイン、レモネードが次に行くっしゅ!」

 

「「「エッ!?」」」

 

 半ば無理矢理チームのメンバーに加えられ、ブロッサムとサンシャイン、レモネードがキョトンとする。ジョーカーはマリン達を見つめ、

 

「第三回戦に出たいんですかぁ?良いでしょう!では、第三回戦の参加メンバーを発表致します・・・キュアマリン、キュアブロッサム、キュアサンシャイン、キュアレモネード、そして、バッドエンドマーチさん!!」

 

「ようやくあたしの出番か!」

 

 バッドエンドマーチは、待たされたイライラを発散するように、その場で素早い蹴りを繰り出した。一方、困惑しているブロッサム、サンシャイン、レモネードの手を取ったマリンは、

 

「チームマリン!ムーンライト達に怒られる時は・・・一緒だよ!!」

 

「それが狙いだったんですかぁ?」

 

「マリン、そういうのは自分で何とかしないと・・・」

 

「マリン、狡いです!」

 

「いいから、いいから」

 

 マリンの術中に嵌った、ブロッサム、サンシャイン、レモネードも、渋々前に出ると、バッドエンドマーチは、四人を威嚇するように睨み始めた。

 

(さて、何の対決にしましょうかねぇ?キュアマリンが居る以上、お笑い対決ではこちらが不利ですし・・・)

 

 ジョーカーは、次はどんな戦いにしようかと考えるも、バッドエンドマーチとマリンを見比べるや、ある対決方法が思い浮かんだ。

 

「では、第三回戦・・・お色気対決!」

 

「「「「「ハァ!?」」」」」

 

 予想外の対決を提案され、マリン達、バッドエンドマーチが、同時にジョーカーに聞き返した。聞いていた魔王の目はキラキラ輝き、勢い込んでジョーカーに話し掛け、

 

「俺を、俺を審判にするカゲェ!」

 

「ハァ!?あなた・・・プリキュア達の仲間でしょう?」

 

「私情は挟まないカゲ!」

 

「と言われましてもねぇ・・・ン!?」

 

 魔王が審判に立候補した事で、困惑したジョーカーだったが、バッドエンドマーチをイヤらしい視線で見つめ、バッドエンドマーチに、シッシと手で追い払われる魔王を見て考えを改め、

 

「まあ良いでしょう・・・では、審判はあなたにお任せしましょう!」

 

「任せるカゲ!」

 

「こいつで良いのか?」

 

 魔王は嬉しそうに何度も頷き、バッドエンドマーチは嫌そうな表情を浮かべた。ブロッサム達は、魔王が審判だと聞き表情を和らげると、

 

「これはチャンスですね!」

 

「うん・・・お色気対決っていう所に一抹の不安もあるけど・・・」

 

「でも、魔王はあれで中々機転が利くよ」

 

 ブロッサム、サンシャイン、レモネードがヒソヒソ話で会話をしていると、マリンは変顔浮かべながら、

 

「嫌な予感がするっしゅ」

 

「でも・・・お色気って、どういう事をすれば良いんでしょうか?」

 

 ブロッサムは、こういう事には疎いようで、仲間達に聞いてみると、アイドルをしていたレモネードは少し考え、

 

「ウ~ン、グラビアアイドルとかは、セクシーなポーズを取ったりしてるね」

 

「そういうのは、私は苦手かなぁ・・・」

 

 レモネードの話を聞いたサンシャインは、そういう行為は苦手だと一同に告げた。幼き頃より、武道に勤しんでいたサンシャインに取っては、そういう行為は興味も無く、知識に欠けていた。一方のバッドエンドマーチも困惑していて、

 

「一体、どうしろって言うんだ?」

 

 要領が飲み込めないバッドエンドマーチが、少しイライラし始めると、見て居たバッドエンドピースが話し掛け、

 

「マーチ!こういうのはねぇ、チラリと中が見えそうなぐらいスカートを捲ったり、ウインクしながら投げキッスとかすると良いらしいよ!夜中にテレビでやってたぁ!!」

 

「そ、それをあたしにやれって言うのか!?じょ、冗談じゃ無いよ?」

 

 珍しく取り乱したバッドエンドマーチだったが、そういう仕草が魔王には新鮮に映り、

 

「今の表情は中々高ポイントだったカゲ!」

 

 魔王は満足そうに何度も頷くと、変顔浮かべたブロッサムは慌てた様子で、

 

「エッ!?もう審査は始まってたんですかぁ?」

 

「当然カゲ!さあ、お前達も始めるカゲ!!」

 

「魔王!・・・分かってるよね?」

 

「ちゃんとあたし達が勝つように・・・」

 

「私情は挟まないカゲ!」

 

 レモネードとマリンは、魔王に自分達が勝つようにしてくれるか確認するも、魔王はあっさり拒絶し、四人は変顔を浮かべた。マリンは変顔浮かべたままプンプン怒り出し、

 

「あの裏切り者ぉぉ!」

 

「ハァ、魔王ですからねぇ・・・しょうがありません!ここは実力で・・・」

 

 ブロッサムは溜息を付くも、気持ちを入れ替え仲間達を集めるも、レモネードとサンシャインは、バッドエンドマーチをチラリと見つめ、

 

「でも、バッドエンドマーチって、私達より大人びてますよ?」

 

「正直・・・色気で私達が勝てるとは・・・」

 

「質より量です!私達は四人居ますし、ここは協力して・・・」

 

「じゃあ、こういう方法はどうかなぁ!?」

 

 ブロッサムが四人で協力して対抗しようと提案すると、レモネードは何か閃いたのか、ヒソヒソ一同に策を授けた。ブロッサムはマリンと、サンシャインはレモネードと、互いのスカートをチラリと捲り魔王にアピールすると、魔王の目は輝き、

 

「オォォ!それは中々高ポイントカゲ!!」

 

 興奮した魔王が身を乗り出すも、見て居た他のプリキュア達はドン引きし、ルージュはハァと溜息を付くと、

 

「私達って・・・何やってんだろう?」

 

「何だかバカバカしくなって来たわね!」

 

「でも、捕まったみんなを助け出す為には、我慢も必要よ!」

 

 少しイライラしだしたウィンディを、ミントは窘めた。マリンもバカバカしくなって来たようで、変顔浮かべた瞬間、

 

「えりかのその表情は駄目カゲェ・・・減点!」

 

「ムッキィィィ!何でよぉぉぉ!?」

 

 マリンは、顔を真っ赤にしながら怒り、魔王に文句を言うと、魔王は首を振り、

 

「審判に口答えは駄目カゲェ・・・えりか、失格カゲ!」

 

「何ぃ!?やってられっかぁぁぁぁ!!」

 

「「「マ、マリン!落ち着いてぇぇ!!」」」

 

 悔しげな表情を浮かべながら、マリンタクトを取り出したマリンを、ブロッサム、サンシャイン、レモネードが必死に止めて居ると、バッドエンドマーチは目を輝かせ、

 

「実力行使かい!?上等!あたしもそっちの方が・・・」

 

「駄目だよ、マーチ!ちゃんと・・・・・アッ!?」

 

 ようやく本当の勝負が出来ると思ったバッドエンドマーチが、マリンに向かって行こうとするのを、バッドエンドピースが止めようとしたものの、転びそうになって慌ててバッドエンドマーチのスカートに手を掛け、そのまま倒れ込んだ拍子にスカートが下に吊り落ちた。バッドエンドマーチの黒いボディスーツに覆われた、スラリと伸びた美しい足が、少し盛り上がった神秘な下腹部が、魔王の目に飛び込み、魔王の両目はハートマークになった。

 

「キャァァァァ!?な、何してんのよぉぉぉ?」

 

「ゴメェェン!マーチ、許してぇ!・・・テヘ」

 

 顔を真っ赤にしたバッドエンドマーチは、慌ててスカートを穿き直し、バッドエンドピースに文句を言うと、バッドエンドピースは謝ったものの、ペロっと舌を出し、その姿はとても反省しているようには見えなかった。

 

「あんたねぇ・・・」

 

 バッドエンドマーチは、ゴツンとバッドエンドピースの頭に拳骨を落とすと、痛そうにバッドエンドピースが頭を摩り、たんこぶが再び大きくなったのを知り涙目になった。

 

 想像以上の出来事を目の前で見た魔王は、興奮しながら大喜びすると、

 

「勝者!バッドエンドマーチカゲェェェ!!」

 

「「「エェェェェ!?」」」

 

「魔王の裏切り者ぉぉぉ!」

 

「あ、あんな姿見られて勝利って・・・」

 

 魔王がバッドエンドマーチの勝利を宣言し、ブロッサム、サンシャイン、レモネードは、同時に目を点にしながら驚き、マリンはプンプン怒りながら魔王に文句を言い続けた。勝利宣言されたバッドエンドマーチだったが、微妙な表情を浮かべ、その横では更に頭のたんこぶを大きくしたバッドエンドピースが大喜びしていた。思わず吹き出し、笑い出したジョーカーは、

 

「プッ、アハハハ!あなた、本当に私情は挟まないようですねぇ・・・では、キュアマリン、キュアブロッサム、キュアサンシャイン、キュアレモネード・・・あなた方の負けです!!」

 

「「「「魔王の・・・バカァァァァ!!」」」」

 

 ジョーカーは、四人に黒水晶玉を掲げると、ブロッサム、マリン、サンシャイン、レモネードの四人が、黒水晶玉の中に吸い込まれて行った。

 

「つぼみ、いつき、うらら、そしてえりか、許すカゲ・・・審判は公平さが大切何だカゲ」

 

 涙を堪えるような表情を浮かべた魔王だったが、観戦していたプリキュア達も怒り出し、

 

「アホかぁぁぁ!」

 

「何やってんのよぉぉぉ!」

 

「魔王、あなたどっちの味方よ?」

 

「やっぱり・・・宇宙の果てに捨ててくれば良かった・・・」

 

 サニーが、ルージュが、ビートが、パッションが、険しい表情で魔王に文句を言うも、魔王は我関せずといった表情で妖精達の下に戻って行った。隣に来た魔王を、アン王女は憮然とした表情で見つめると、さり気なく一歩横にずれ魔王から離れ、ピーちゃんは魔王に近付くや、

 

「ギャァァァス!」

 

「何、お前はバカかだとぉ・・・審判は公平なだけカゲ!」

 

 嘗てのように口喧嘩を始めるピーちゃんと魔王、シプレ、コフレ、ポプリも、不満そうに魔王に文句を言い続けた・・・

 

 

2、バッドエンドサニーVSプリキュアお淑やかチーム

 

 チームマリンも敗れたのを実況で知った捕らわれた一同、その一同の下に、チームマリンが降ってきた。起き上がったマリンは、ムーンライトの姿を見るや、直ちにチームマリンに招集を掛け、恐る恐るムーンライト達に話し掛けると、

 

「あたしも、汚名を返上しようと頑張ったんだけどさぁ・・・」

 

「そうね・・・魔王があんな行動に出るとは思わないわよね!」

 

 聞いていたムーンライトも、この敗戦はしょうがないとマリンをフォローした。ここだとばかり、ブロッサムが一同に話し掛け、

 

「皆さん、マリンも反省して、進んで第三回戦に参加しましたし、さっきの事は許して上げて下さいませんか?」

 

「「私達からもお願いします!」」

 

 マリンを庇うように、ブロッサム、サンシャイン、レモネードの三人もムーンライト達に頭を下げると、マリンは目をウルウルさせながら、三人に抱き付き、

 

「心の友よぉぉぉ!流石あたしの親友達だよぉぉ!!」

 

 心から大喜びするマリンの姿を見て、ムーンライト達は、苦笑を浮かべながらマリンを許した。

 

 一同を見渡したブラックは、

 

「マリン達も負けちゃったし、ちょっとヤバイかな!?」

 

「大丈夫!まだパインやパッション達も残ってるし、何とかしてくれるよ!」

 

 ピーチは仲間達を信じ、上を見上げた・・・

 

 

 続々とプリキュア達を捕らえたジョーカーは、ご満悦な表情を浮かべ、

 

「さあ盛り上がって参りました!では、第四回戦のメンバーを発表致しましょう・・・シャイニールミナス、キュアミント、キュアパイン、キュアミューズ、キュアエコー、バッドエンドプリキュアからは、バッドエンドサニーさん!」

 

「何や、ようやくウチの番か・・・今度はまともな勝負にしてなぁ?」

 

 ニヤニヤしながら前に出てきたバッドエンドサニー、対するプリキュアチームは、ミントが中心になり、

 

「捕らわれたみんなを、何とか助け出しましょう!」

 

「その為にも、負けられないわね!」

 

「はい!みんなを取り戻しましょう!!」

 

「それには先ず彼女に勝たないとね!」

 

「あんまり自信は無いけど・・・」

 

 ミント、ミューズ、ルミナス、パイン、エコーが、対戦相手のバッドエンドサニーを見つめるや、バッドエンドサニーは腰に手を当てて、余裕の表情を浮かべていた。

 

「では、第四回戦・・・スポーツ対決!」

 

「「「「エェェ!?スポーツ?」」」」

 

「望む所よ!」

 

「オッ!?そっちのおチビちゃんはやる気やない!」

 

「チビじゃないわよ!」

 

 目と目で火花を散らすミューズとバッドエンドサニー、一方のルミナス、ミント、パイン、エコーは、スポーツはそれ程得意では無さそうで・・・

 

「私、あまりスポーツとかは得意じゃ無いんです」

 

「私も・・・」

 

「私もダンスはやってたけど、スポーツってそんなに得意じゃないの」

 

「TVゲ-ムのスポーツならまだ良かったんですけど・・・」

 

(ウフフフ、だからスポーツ対決にしたんじゃありませんか!)

 

 ジョーカーは、戸惑う四人を見てほくそ笑んだ・・・

 

「ルールは簡単!これからバッドエンドサニーさんが、あなた達一人ずつに一本ずつ放つスパイクの内、一球でもバッドエンドサニーさんのコートに返せれば、あなた方の勝ち!返せなければあなた方の負け・・・簡単なルールでしょう?尚、バレーボール同様のルールで行いますので、ダブル・コンタクトやキャッチボールなどは反則としますのであしからず」

 

 ジョーカーの説明を聞き、再び目が点になるルミナス、ミント、パイン、エコーの四人、

 

「バレーボールのルールって、私良く分からないんですけど?」

 

「取り敢えず、やるしか無さそうね!」

 

「大丈夫かなぁ!?」

 

「レシーブ、トス、スパイクって事ぐらいは分かるけど・・・」

 

 不安げな表情を見せる四人を見たサニーは、ルールだけでも教えて上げようと参加メンバーに話し掛け、

 

「エエか、ダブル・コンタクトちゅうのは・・・」

 

「アッ!キュアサニー、味方にルールを教えたら失格に致しますよ?」

 

「なんでやねん!ルールぐらいエエやろう?」

 

「駄目です!さあ、始めましょうかねぇ・・・」

 

 ジョーカーは、バレー部が使っているコートを利用し、勝負を開始した・・・

 

 先ずは練習とばかり、バシバシ強烈なスパイクを決めるバッドエンドサニーを見て、キュアサニーの表情が変わった。

 

(なんちゅうスパイクやぁ!?バッドエンドサニーは・・・バレーボールをやった事あるんかぁ?)

 

 そんなサニーに気付いたバッドエンドサニーは、サニーを見てニヤリとした。こんなスパイクを、ルミナス、ミント、パイン、ミューズ、エコーは、止める事が出来るのだろうかと、サニーの顔から冷や汗が流れた。それはルミナス達も一緒で、ヒソヒソ打ち合わせをして順番を決めた。一番手はパイン、二番手はエコー、三番手はミューズ、四番手にミント、最後にルミナスで戦う事を決めた。一番手のパインが緊張の表情でコートに入ると、

 

「パイン、落ち着いて!」

 

 パッションが仲間であるパインを励ますと、パインはコクリと頷き、腰を落として身構えた。バッドエンドサニーは、バレーボールを手に持ち、バシバシ叩くと、

 

「ほな、始めよかぁ・・・行くでぇぇぇ!」

 

 ボールを高々と宙に投げると、バッドエンドサニーは先程とは違い、上空高くジャンプし、急角度からスパイクを放った。

 

「エッ!?」

 

 強烈なスパイクがパインの後ろ側に炸裂し、パインは、何が起こったのか分からない間に、スパイクを決められていた。

 

「一丁上がりやぁ!」

 

「ぜ、全然見えなかった・・・」

 

 パインの血の気が引き、冷や汗が流れる。見て居たエコー、ミューズ、ミント、ルミナスも同じように驚愕の表情を浮かべた。バッドエンドサニーは、キュアサニーを見るとドヤ顔を浮かべ、お前でも取れないだろうと挑発するかのように笑みを浮かべた。サニーは険しい表情を浮かべ、

 

(バッドエンドサニー・・・ウチへの当てつけのつもりかいな!?)

 

 サニーは拳を振るわせた・・・

 

 スゴスゴ戻って来たパインに、四人はドンマイと声を掛け、続いてエコーがコートの中へと入っていった。サニー、ピース、マーチは、エコーを激励し、

 

「エコー、頼むでぇ!」

 

「ガンバ!」

 

「きっちり見ていこう!」

 

「うん!頑張る!!」

 

 エコーは三人に頷き返し、パイン同様腰を落とし身構えた。バッドエンドサニーは、先程同様ボールをバシバシ叩くと、口元に笑みを浮かべ、

 

「ほな、行くでぇぇぇ!!」

 

 再び上空高くボールを宙に投げると、バッドエンドサニーは上空高くジャンプした。エコーは、頭の中で先程のイメージを浮かべ、

 

(きっとまた同じような場所にスパイクを打つ筈・・・)

 

 エコーは、バッドエンドサニーの腕が後方に振られた瞬間、素早く後方に下がり身構えた。だが、バッドエンドサニーは瞬時にそれを見抜き、今度はネット手前の位置に凄まじいスパイクを炸裂させた。

 

「アァァ!?」

 

 読みが外れたエコーは呆然とし、バッドエンドサニーはニヤリとすると、

 

「読みは中々エェ感じやったけど、動くのが早すぎやぁ!あれじゃ、ウチなら直ぐに反応できるでぇ!!」

 

 再びサニーを見つめながらドヤ顔を浮かべたバッドエンドサニー、エコーもまた、しょんぼりしながら、コートを出て仲間達の下に戻って来ると、仲間達がドンマイと声を掛け、ミューズは右手でエコーとタッチし、

 

「ドンマイ!読みは悪くなかったわ」

 

 続いてミューズがコートに入ったものの、バッドエンドサニーは、ミューズを見て小首を傾げ、

 

(何や!?あのおチビ・・・さっきより背が伸びてへんかぁ?)

 

 さっき見た時より身長が伸びているようで、バッドエンドサニーは不思議そうにした。それはジョーカーも気付いたようで、ジィとミューズを見つめると、

 

「ちょっと待って下さい!キュアミューズ・・・あなた、足に何か細工してませんか?」

 

「してないわよ!これは、私が覆面のプリキュア時代のコスチュームの一部よ!!」

 

「ハァ!?・・・・まあ、良いでしょう!」

 

 小首を傾げながらも、ジョーカーはミューズの行為を認め、バッドエンドサニーは、戸惑いながらも再びバレーボールをバシバシ叩き、

 

「何の真似やか知らんけど・・・止めれるもんなら止めてみぃや!!」

 

 上空に高々とボールを宙に投げ、バッドエンドサニーが大きくジャンプすると、ミューズも時間差でジャンプした。その行動に目を奪われたバッドエンドサニーは、タイミングを狂わされ、先程より勢いのないスパイクを放ってしまい、

 

「しもたぁ!?」

 

 ボール目掛け手を伸ばすミューズ、だが惜しくも後数センチ届かず、ボールはコートに落下した。

 

「「「「アァァ!?惜しい!!」」」」

 

 見て居たミント、ルミナス、パイン、エコーが、後数センチで届いたのにと残念そうな表情を浮かべた。バッドエンドサニーは、ホッと安堵すると、

 

「惜しかったなぁ、おチビちゃん」

 

「チビじゃないわよ!!」

 

 頬を大きく膨らませながらコートを出たミューズを、ミント達が惜しかったと出迎えた。履いていた足底ブーツを脱いだミューズを見たビートは、

 

(ミューズ・・・バッドエンドサニーに、おチビって言われたのが悔しくて履いてたのね)

 

 ミューズが、負けん気が強い事を思い出し、苦笑を浮かべ、直ぐに次のミントに声援を送った。サニーを見て再び口元に笑みを浮かべるバッドエンドサニーを前に、サニーはイライラし始めていた。

 

(ウチへの当てつけかぁ!?)

 

 自分も今すぐコートの中に入りたいと思うものの、メンバーでは無いサニーには、仲間を信じるしか無かった。続いてミントがコートの中に入ると、ミントは頭の中で分析を始め、

 

(正直、正攻法で私が彼女のスパイクを受け止められるとは・・・そうだ!)

 

 ミントは何かを閃くと、腰を落として身構えた。バッドエンドサニーは、ボールを二、三度地面でバウンドさせると手に持ち、

 

「ほな、四人目・・・行くでぇぇ!」

 

 ボールを宙に投げ、上空高くジャンプしたバッドエンドサニー、ミントは構えを止めると、

 

「プリキュア!エメラルドソーサー!!」

 

 ミントは、右手でエメラルドソーサーを作り上げると、スパイクを放ったバッドエンドサニーの手から放たれたボール目掛け、エメラルドソーサーを投げつけた。エメラルドソーサーに跳ね返されたボールは弾き飛んだものの、コートの外へと落下し、二人のサニーは同時に目を点にした。

 

「アァ、後少しだったのにぃ・・・」

 

「惜しかったですねぇ!」

 

 残念そうな表情を浮かべるミントに、ルミナスが惜しかったと言葉を返すも、サニーは困惑気味に、

 

「イヤイヤイヤ、それは反則やから」

 

「エッ!?駄目なの?」

 

「キュアミント・・・失格です!」

 

 ルールを理解していなかったミントは、ジョーカーの宣言で失格とされ、トボトボ俯きながらコートから出て、他のメンバーに慰められた。バッドエンドサニーは、サニーを見て右手の中指で掛かってこいと挑発すると、サニーのイライラは頂点に達しようとしていた。

 

(調子に乗っ取るやんけぇ・・・)

 

 サニーは握り拳を握った・・・

 

 最後にルミナスがコートに入り、身構えると、バッドエンドサニーはボールを指でクルクル回して余裕の表情を浮かべ、

 

「これで仕舞いや!行くでぇぇぇ!!」

 

 ボールを高々と上げ、今までで一番高く飛び上がったバッドエンドサニー、ルミナスが緊張の面持ちで上を見上げる。その時、

 

「調子に乗るんやないでぇぇ!」

 

「エッ!?サニー?」

 

 ダッシュでコートに乱入したサニーを見てルミナスが驚愕し、サニーは、バッドエンドサニーが放ったスパイクを見切り、ものの見事にレシーブすると、

 

「お返しやぁぁ!!」

 

 今度はサニーが上空高くジャンプし、バッドエンドサニー目掛けスパイクを放った。バッドエンドサニーは反射的に横っ飛びで反応するも、ボールは見事にコートの中に落ちた。

 

「どないやぁ!調子に乗ってからにぃ!!」

 

「クッ!?やるやないのぉ!」

 

 バチバチ目と目で火花を散らす二人のサニーだったが、ジョーカーは呆れたように、

 

「キュアサニー・・・第四回戦のメンバーでないあなたの乱入は認められません!よって、勝者バッドエンドサニー!シャイニールミナス、キュアミント、キュアパイン、キュアミューズ、キュアエコー、並びにキュアサニーは失格です!!」

 

「しもたぁ!?ウチとした事がつい・・・」

 

「いえ、一矢報いただけでも良しとしましょう・・・皆さん、後は頼みました!」

 

「ルージュ、後をお願いね!」

 

 ジョーカーは黒水晶玉を掲げ、サニーはカッとなった自分の過ちに気付き、ルミナスとミントが仲間達に後を託し、六人は黒水晶の中へと吸い込まれた・・・

 

「サニー!全く、カッとなってぇ・・・」

 

 本来ならば残って居る筈のサニーまで吸い込まれ、ルージュが困惑する。冷静に状況を見て居たパッションは、

 

(不味いわね・・・例えこの後勝利したとしても、ジョーカーの事だから、みんなを素直に帰すとは思えない!)

 

 パッションは、深刻な表情で何かを思案し始めた・・・

 

 

3、意外な提案

 

 黒水晶の中に捕らわれているプリキュア達、ルミナス、ミント、パイン、ミューズ、エコー、サニーも捕らわれ、一同に重い空気が流れ始めて居た。体育座りをしているソードの目は虚ろになり始め、

 

「ソード!しっかりして!!」

 

 ブラックがソードの肩を揺すりながら、必死にソードの名を呼び続けると、ソードは、ハッとしたように正気を取り戻すも、見て居たホワイトは、

 

「不味いわねぇ・・・長い間この中に閉じ込められていたソードに、影響が出始めてきているわ!」

 

「パイン達も負けちゃったし、残ってるのは・・・」

 

 困惑気味な表情を浮かべたピーチが残って居るメンバーを問うと、

 

「ブライト、ウィンディ」

 

「ルージュ」

 

「パッション」

 

「ビート」

 

「ピースにマーチ」

 

「後7人・・・」

 

 ブルーム、ドリーム、メロディ、ハッピーが、残って居る仲間達の名を呼び、険しい表情をしたムーンライトがポツリと呟いた。

 

(みんな、頼んだよ!)

 

 ブラック達は、残った仲間達を信じ、成り行きを見守り続けた・・・

 

 

 観戦していたピースが急にモジモジしだし、見て居たマーチが話し掛け、

 

「ピース、どうかした?」

 

「う、うん・・・何か緊張しちゃって、ちょっとおトイレ行って来ても良いかなぁ?」

 

「何時名前が呼ばれるか分からないから、早く戻って来なさい!」

 

「ハイ!」

 

 ルージュにOKを貰い、ピースは早歩きで校舎の方に消えて行った。

 

「ブライト、ウィンディ、ちょっと良いかしら?」

 

「パッション・・・何か!?」

 

「私達に用事?」

 

 パッションは、ブライトとウィンディを呼ぶと、ヒソヒソ話し始めた。聞いていたブライトとウィンディは、最初こそ戸惑った表情を見せたものの、何度かお互いの顔を見て頷き、パッションを見て大きく頷いた。三人は、ルージュ、ビート、マーチの側に行くと、

 

「私達は、これからある行動をするけど、驚かないで欲しいの!」

 

「「「ある行動!?」」」

 

「ええ、パッションが閃いてね!それには、ジョーカーに気付かれないようにしなきゃならない!!」

 

「私達の事を調べているジョーカーだから、私だけじゃ真意に気付かれてしまうかも知れない!」

 

「だから、私達二人もパッションに協力するけど・・・」

 

「「「もし私達の作戦が失敗した時は・・・後をお願い!!!」」」

 

「パッション、ブライト、ウィンディ・・・分かった!あんた達を信じる!!」

 

 ルージュが同意し、困惑していたビートとマーチもコクリと頷いた。三人も頷き返し、ジョーカー目掛け歩み出すと、パッションはジョーカーに話し掛け、

 

「ジョーカー!あなたに話があるわ!!」

 

「話!?何です、次はあなた達が出たいと言う事ですか?」

 

「いえ、違うわ!」

 

「私達三人は・・・」

 

「「「この戦いを棄権するわ!!」」」

 

 パッション、ブライト、ウィンディが、勝負を棄権すると宣言し、見て居たアン王女と妖精達、捕らわれているプリキュア達が驚愕する。

 

「棄権って・・・あの娘達、何考えてるのよ?」

 

 険しい表情をしたローズが呟き、困惑の表情を浮かべたピーチだったが、

 

「パッション達が、何の考えも無く棄権する何て思えない!」

 

「ええ、何かきっと考えがあるのよ!!」

 

 ピーチの考えにイーグレットも同意した。他のプリキュア達からはざわめきが起き、彼女達の真意を探った。ジョーカーも訝りながら三人を見つめ、

 

「棄権と言う事は・・・敗北を認めると?」

 

 ジョーカーの言葉にパッションは頷き、

 

「そう・・・その代り!」

 

 三人は、バッドエンドピースを指差すと、

 

「「「バッドエンドピースの頭を、私達に叩かせて!!!」」」

 

「エェェェェェ!?何でぇぇぇ?」

 

 三人に指を指され、バッドエンドピースが驚愕の表情を浮かべながら、二、三歩後退った。ジョーカーは、三人の真意を探るも思い浮かばず、

 

(何を考えているのかは知りませんが、一番厄介だと思って居たキュアパッション、キュアブライト、キュアウィンディを、労せず黒水晶行きに出来るのなら、乗らない手は無いですねぇ・・・)

 

「ジョ、ジョーカー!?そんな話聞かないよねぇ?」

 

「良いでしょう!バッドエンドピースの頭を殴らせるぐらい造作もありません!!それであなた方を捕らえられるのなら・・・安いものです!!」

 

「嘘ぉぉぉ!?イヤァァァ!」

 

 ジョーカーが許可を出し、バッドエンドピースは涙目になりながら嫌々をするも、両脇をバッドエンドマーチとバッドエンドサニーに掴まれ、三人の前に連れて来られた。パッション、ブライト、ウィンディは、右拳にハァと息を吹きかけると、順番にバッドエンドピースの頭に拳骨を落としていった。

 

「ウェェェェン!バカァァァ!いじめっ子!!あなた達何か嫌いだぁぁぁ!!!ハッピ~~!!!」

 

「よしよし、良い子!良い子!」

 

 頭のたんこぶが一層大きくなったバッドエンドピースは、泣きながらバッドエンドハッピーに泣きつき、頭を撫でられながら慰められた。

 

「これでスッとしたわ!」

 

「さっきからあの子の言動には、イライラしていたの!」

 

(((分かる!)))

 

 ウィンディの発言に、無言で頷いたバッドエンドサニー、マーチ、ビューティ、ブライトはジョーカーを見つめ、

 

「もう良いわ!」

 

「では、キュアパッション、キュアブライト、キュアウィンディの三人は、棄権とみなします!」

 

 ジョーカーは黒水晶玉を掲げると、パッション、ブライト、ウィンディが吸い込まれて行った・・・

 

(何をしようとしているのか分からないけど、信じてるわ!)

 

 ビートは、仲の良いパッションを信じ、吸い込まれて行った黒水晶玉を凝視した。

 

 黒水晶玉に吸い込まれたパッション、ブライト、ウィンディを、微妙な表情を浮かべた仲間達が出迎えた。ピーチとベリーはパッションに話し掛け、

 

「パッション、何か考えがあるんでしょう?」

 

「パッション、あなたが何の考えも無く棄権するとは思えないもの」

 

「ええ、上手く行くかは分からないけど・・・みんな、集まって!アカルンの力を使い、ここから脱出出来るか試して見るわ!!」

 

「そうか!?パッションにはアカルンが・・・」

 

 パッションの考えを知り、一同の表情が明るくなると、パッションの近くに一同が近づき、パッションはアカルンを呼び出した。

 

「外の世界へ!・・・・・・みんな、ゴメン!何かの結界が張られてるみたい」

 

 パッションの考えに、一度は希望を見いだしたプリキュア達だったが、その希望は打ち砕かれた・・・

 

(ルージュ、ビート、マーチ、ピース・・・ゴメン!後をお願い!!)

 

 ギュッとリンクルンを強く握りしめたパッションは、残った仲間達に希望を託すのだった・・・

 

 

 4、バッドエンドピースVSプリキュア恐がりトリオ

 

 ジョーカーが一番用心していたパッション、ブライト、ウィンディを労せず捕らえた事で、ジョーカーはご満悦だった。

 

(後三人ですかぁ・・・実力行使でも構わないですが、折角ですからこのまま余興を続けましょうかねぇ・・・)

 

 ジョーカーは、口元に笑みを浮かべながら、残ったルージュ、ビート、マーチを見つめると、

 

「では、第五回戦!キュアルージュ、キュアビート、キュアマーチ、そしてバッドエンドピース、前へ!!」

 

 ジョーカーに名前を呼ばれた一同が前へと歩み出した。バッドエンドピースは、さっき頭を叩かれた恨みとばかり、三人をジと目で見つめ、

 

「私、怒ってるんだからねぇ!」

 

「いや、あたしら関係無いし・・・」

 

「「そうそう」」

 

「プンスカプン!」

 

(((本当にピースに似てるわねぇ?)))

 

 バッドエンドピースの言動や行動を見て、三人は改めてキュアピースに似て居ると思い、思わず苦笑した。

 

「では第五回戦・・・肝試し対決!!」

 

「ワ~イ!!」

 

「「「ちょっと待てぇぇぇぇ!!」」」

 

 大喜びするバッドエンドピースとは逆に、引き攣った表情を浮かべた三人が、ジョーカーに異議を唱えた。ジョーカーは怪訝な表情を浮かべ、

 

「何か問題でも?」

 

「大有りよ!」

 

「あんた、あたし達がオバケとか苦手なの知ってて、わざと言ってるでしょう?」

 

「こんなのフェアじゃ無いよ!!」

 

 ビート、ルージュ、マーチが、不公平だと文句を言うも、ジョーカーは右手を右耳に当てて、聞こえ無いような素振りを見せ、

 

「勝負は私に一任されてますしねぇ?では、始めましょう!肝試し対決!!」

 

(終わった・・・)

 

 第五戦が肝試しだと知り、捕らわれていたプリキュア達は、ソード以外既に勝敗が決した事を悟った・・・

 

 

「ゴメェン、遅くなっちゃったぁ・・・アレェ!?」

 

 まるでお通夜のように静まりかえっており、ピースは小首を傾げると、同じような表情で失神しているルージュ、ビート、マーチが居て驚愕した。ピースはアン王女の側に行くと話し掛け、

 

「な、何があったの?」

 

「ええ、第五戦の勝負は肝試しで・・・三人は、バッドエンドピースが放ったオバケのようなアカンベェを見て失神してしまい・・・」

 

「エェェ!?」

 

 白いカーテンをアカンベェに変え、幽霊のように突然背後から驚かされた三人は、そのまま失神した。

 

「勝者!バッドエンドピース!!」

 

「ワァァァイ!!」

 

 バンザイしながら飛び跳ねて、大喜びするバッドエンドピース、ジョーカーは失神している三人を黒水晶送りにするとニヤリとし、

 

(これでプリキュア達は全員捕らえましたねぇ・・・私達の勝ちです!!)

 

 勝ち誇るジョーカーだったが、ジョーカーは忘れていた・・・

 

 トイレに行っていて、席を外していたプリキュアが居た事を・・・

 

 キュアピースの存在を!!

 

 

5、ジョーカーVSキュアピース

 

「・・・・ルージュ、ビート、マーチ・・・」

 

「「「ウ、ウ~ン・・・」」」

 

 気を失っていた三人は、ドリームに呼ばれて意識を取り戻し、ハッとして飛び起きるも、仲間達の姿を見て、自分達が敗れた事を悟った。

 

「ゴ、ゴメン・・・何の役にも立たず」

 

「後を託されたのに・・・」

 

「自分が情けないよ・・・」

 

「仕方無いよ、苦手なもので勝負を挑んでくるジョーカーが、私達より上手だったんだからさぁ」

 

 落ち込むルージュ、ビート、マーチを励ますように、ブラックが声を掛けた。一同に重い空気が流れる・・・

 

 そんな空気に耐えられないように、メロディが一同に話し掛け、

 

「後、残って居るのは・・・」

 

「まだ、ピースが残ってる!ピースなら、きっと頑張ってくれるよ!!」

 

 ハッピーは、最後の希望ピースに思いを託したものの、ムーンライトは、ブロッサムとエコーに小声で話し掛け、

 

「ブロッサム、エコー、薫子さんにこの状況を知らせたいのだけれど・・・」

 

「それが、お婆ちゃんは、昨日から学会に出席していて・・・」

 

 ムーンライトに問われたブロッサムは、申し訳無さそうに今薫子が留守にしている事を伝えると、ムーンライトは驚愕し、

 

「エッ!?それじゃあ、植物園には居ないと言う事?・・・それでも、このまま何もしないで居るよりマシだわ!エコー、薫子さんに、この状況を知らせてくれるかしら?」

 

「分かりました!上手く行くか分かりませんけど・・・やってみます!!」

 

 エコーは両手を組むと、精神を集中し、今の状況を薫子へと知らせた・・・

 

 突然心に話し掛けられ、学会に出席して居た薫子はハッとして驚き、薫子の顔色が変わったのを見た、両隣に居た五十代の男性達は、

 

「どうしました、花咲さん?」

 

「何か?」

 

「い、いえ・・・続けて下さい!」

 

 薫子は、男性達に何でも無いと伝え、会議を続けましょうと言ったものの、内心気が気では無かった。

 

(コッペが居れば、直ぐにでも向かうのだけれど・・・みんな、ゴメンなさい!私は今すぐに向かうのは無理だわ!みんななら、みんなならきっと、困難を乗り越えてくれると、私は信じて居るわよ!!)

 

 薫子は、後輩達を信じた・・・

 

 

 勝った!

 

 ジョーカーは、プリキュア達を捕らえ舞い上がっていた・・・

 

「ウフフフフ、私達の勝利・・・・ン!?キュアピース?ど、どうしてあなたがそこに?」

 

 プリキュアは全て捕らえたと思って居たジョーカーは、アン王女の隣に居るピースを見て驚愕して話し掛けると、ピースは困惑気味に、

 

「どうしてって、さっきトイレに行って今戻って来たから・・・」

 

「ゲッ!?・・・仕方ありませんねぇ、あなたにはこの私自ら戦って差し上げましょう!」

 

「ま、負けないもん!」

 

 バッドエンドプリキュア達を、全て勝負で使ってしまい、ジョーカーは、最後の余興を自らの手で決着を付けるべく、自らピースの対戦相手として出場すると告げた。ピースも、みんなを救う為にも負けられないと覚悟を決めた。

 

「ハイハイハイ!ジョーカーが出るなら、最後は私に問題出させてぇ!!」

 

 突然手を上げたバッドエンドピースは、ジョーカーに自分が司会者をやりたいと訴え、少し思案したジョーカーは、その訴えを認めた。バッドエンドピースは嬉しそうに前に出ると、

 

「フフフフ、最後は難しい問題を出すよぉぉぉ!先に正解した方が勝ちだけど、ジョーカーは分かると思うから、今回は特別に、キュアピースに回答権を与えて上げるね!!」

 

「エッ!?私から答えて良いの?ありがとう!」

 

 自分から答えて良いと言われ、思わずピースはバッドエンドピースに謝辞を述べ、ジョーカーは、そんなバッドエンドピースに一抹の不安を覚えていた。

 

(バッドエンドピース・・・大丈夫何でしょうねぇ?)

 

「では、問題・・・・・1+2+3+4+5は、幾つでしょうか?」

 

「エッ!?」

 

 バッドエンドピースに意外な問題を出され、ジョーカーと他のバッドエンドプリキュア達も、アン王女や妖精達も、捕らわれていたプリキュア達も、思わずエッと驚きの声を発した。見る見るジョーカーの顔付きは変わり、

 

「な、何を考えてるんですかぁ、あなたはぁぁぁ!?こんな問題認めません!!」

 

「いえ、この問題の司会者は・・・バッドエンドピースです!あなたに問題を代える選択権は無いわ!!」

 

 ジョーカーの言葉をアン王女が遮り、ジョーカーは思わず反論出来ず唸った。

 

「全く、あの子は何を考えてるの?」

 

「何も考えてへんと思うでぇ?」

 

 イライラしたバッドエンドビューティが、困惑したバッドエンドサニーが、この問題を出したバッドエンドピースの行動に呆れ返った。

 

 

「ようやく私達も勝てるね!」

 

「ええ、でもこれからが本番よ!」

 

 ブラックとホワイトは、ホッと安堵した・・・

 

 今回は、先に回答権があるピースの勝利を誰もが信じた。

 

「ジョーカー、策士策に溺れるとはこの事です!さあ、キュアピース、答えを!!」

 

 少しドヤ顔を浮かべたアン王女だったが、ピースの表情を見ると、見る見る困惑した。何故なら、ピースは顔から大量の汗を流し、指で数を数えて居たのだから・・・

 

「3、2、1・・・ブッブゥゥゥ!時間切れでぇぇす!!では、ジョーカーさん答えをどうぞ!!!」

 

「エッ!?じゅ、15・・・」

 

 困惑気味に答えを言ったジョーカー、バッドエンドピースは楽しそうに、

 

「ピンポンピンポンピンポン・・・正解でぇぇす!!」

 

「アァァン!だってぇ、指が足りないんだもん・・・」

 

「エェェェェェ!?」

 

 ピースは、悔しそうに指が足りないと答え、バッドエンドピース以外の一同を驚愕させた・・・

 

「・・・・・な、何はともあれ、私の勝ちですね!キュアピース、あなたの負けです!!」

 

「アァァン、みんな、ゴメンねぇぇぇ!」

 

 そう言い残し、ピースもまた黒水晶玉の中へと吸い込まれて行った・・・

 

「そ、そんなぁぁ・・・」

 

 アン王女は膝から崩れ落ち、地面に両手を付いた。あれだけ居たプリキュア達が全員敗北し、ソード同様捕らわれるとは思って居なかった。

 

 黒水晶内に吸い込まれたピースは、微妙な表情を浮かべる仲間達を見ると涙目になり、

 

「ゴメンね、負けちゃった・・・」

 

「何やってるのよぉぉぉ!」

 

「あれぐらい暗算で分かるでしょう?」

 

「ウゥゥゥゥゥ」

 

 ローズとミューズに責められ、ピースが言葉を詰まらせるも、

 

「そうピースを責めるもんじゃないわ!」

 

「急にあんな問題を出されて、緊張してたのよね?」

 

「ええ、気にする必要は無いわ!」

 

 アクア、ホワイト、ムーンライトにフォローされ、我が意を得たりといった表情を浮かべたピースは、コクコク何度も頷くも、

 

「でもピース・・・」

 

「「「後で話があるから!!!」」」

 

 さっきのマリンの時同様、フォローしているようでピースを脅した三人、ピースはそのまま魂が抜けたかのようにヨロヨロし、ハッピーとエコーに支えられた。マリンは三人を宥めるように、

 

「まあまあ、あたし達も負けたんだしさぁ」

 

「そうね、学校破壊を依頼した何て思わなかった私達が悪いものね」

 

「藪蛇だったぁぁぁぁ」

 

 ムーンライトに、先程の話しを蒸し返され、マリンが頭を抱えて悶えた・・・

 

 

「アハハハハ!私達の完全勝利です!!」

 

「クッ、ま、まだです!まだわたくしが居ます!!」

 

 キッとジョーカーを睨み付け、立ち上がったアン王女は、次は自分の番だと訴えるも、ジョーカーは右手を右耳に当てると、

 

「はい!?アン王女、あなたに出場資格はありませんよ?」

 

「な、何故です!?わたくしも・・・」

 

「だってぇ・・・あなた、プリキュアじゃ無いじゃありませんか?私、最初に言いましたよねぇ?私達とあなた方プリキュアの勝負だって・・・」

 

「そ、そんなの屁理屈です!わたくしが怖いのですか?」

 

 アン王女の言葉を聞き、バッドエンドマーチとサニーが顔色変え、

 

「何を!?」

 

「上等やんけぇ!」

 

「およしなさい!私達を挑発して、対決させようとしている彼女の策よ!!」

 

 そんな二人をバッドエンドビューティが制し、ジョーカーもバッドエンドビューティに同意して、

 

「そう言う事です!では、プリキュア達も捕らえましたし、バッドエンド王国に戻るとしましょうかねぇ?」

 

「ま、待って!お願い、わたくしと勝負を・・・」

 

 王女としてのプライドも捨て、必死にジョーカーに哀願するアン王女を見て、

 

「アン・・・」

 

 魔王は悲しげな表情でアン王女を見つめた。ジョーカーはそんなアン王女を鼻で笑い、

 

「あなたがプリキュアになれるなら、今すぐにでも戦って差し上げますよ・・・アハハハハハ!」

 

「クッ・・・」

 

 アン王女は拳を握り震えた・・・

 

 プリキュアになれない自分を恥じた!

 

 万策尽きたかと思われたその時!!

 

「そう、プリキュアならあなた達と戦えるのね?」

 

「だったら、あたし達も混ぜて貰うよ!」

 

 突然辺りから声が聞こえ、顔色変えたジョーカーは辺りを見渡し、

 

「誰です!?姿を見せなさい!!」

 

 ジョーカーの言葉を聞いたかのように、七色ヶ丘中学校の空間に亀裂が発し、その中から、五つの影がゆっくり姿を現わした。その姿を見て、アン王女とキャンディ、魔王以外の妖精達の表情が輝き、五つの影は妖精達を見て微笑んだ。

 

「今聞こえた声って!?」

 

「うん、あたしにも聞こえた!」

 

 ドリームとルージュは、嬉しそうな表情で見つめ合い、闇に覆われた空を見上げた・・・

 

 黒き衣装に身を包んだ五人を見て、バッドエンドプリキュア達が目を見開き、ジョーカーも驚愕の表情を浮かべながら、

 

「あなた方は、一体何者です!?」

 

「「「「「私達は・・・闇に生まれ、光の暖かさに触れ生まれ変わった戦士!ダークプリキュア5!!」」」」」

 

 プリキュア達の危機に、ダークプリキュア5が帰ってきた!!

 

          第八十二話:捕らわれたプリキュア(後編)

                   完

 




 ようやく落ち着いたと思ったら、半ば無理やり親父の代わりに町内会の役員にされてしまう始末・・・更新ペースはまた落ちます

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