プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第六十二話:ロイヤルクイーンとメルヘンランド!

 メルヘンランドにやって来た一同・・・

 

 変身を解いた少女達、みゆき達六人と、なぎさとほのか以外は、初めて見るメルヘンランドに興味津々であった。

 

「へぇ、此処がメルヘンランド・・・」

 

「何か遊園地みたいだよねぇ!」

 

 りんとのぞみが興味深そうに辺りを見渡していると、ウルルン、オニニン、マジョリンの三人も懐かしそうに辺りを見渡し、キャンディは、三人が帰って来た事をみんなに教えてくると言い、ウルルン達三人を連れ王宮外へと駆け出して行った・・・

 

「さあ、皆の衆はこちらに!宮殿内にご案内致す!!」

 

「なぎさ、メップル達は外で待ってるメポ!」

 

「コラ!ムープ、フープ、勝手に飛び回ってちゃ駄目ラピ!」

 

 ポップに案内され、メルヘンランドの宮殿内へと導かれた一同、メップル達妖精達は、外で待っていると伝え、興味深く辺りを見渡していた。

 

 宮殿内へと入った一同は、歴史ある風格を見て感嘆の声を上げる中、

 

「依然と変わってないね?」

 

「そうね!もっとも、私達からしたら、つい数時間前の出来事のようだけどね?」

 

 なぎさとほのかがクスリと笑い合うと、ゆりは怪訝そうな視線を二人に向け、

 

「なぎさ、ほのか、あなた達・・・メルヘンランドに来た事があるの?」

 

「拙者も気になっていたでござる!お二方は、メルヘンランドで大蛇と戦った事があるような言い方でござったが、拙者が知る限り、お二方がメルヘンランドに来た事は無いと存じるが?」

 

 ゆりの言葉に同意したポップが、なぎさとほのかに問い掛けると、二人は苦笑を浮かべ、

 

「さっき言いそびれたんだけどさぁ・・・信じられないだろうけど、私達、どうやら過去の世界に飛ばされたようなの!」

 

「過去!?」

 

 なぎさの告白を受け、一同が驚愕の表情を浮かべた。俄には信じられない話だが、二人が嘘を言う筈も無く、一同は呆然としながらも、なぎさとほのかからの言葉の続きを待った。続いて話し出したほのかは、

 

「横浜で、私達が放った力と、あの三人の力が激突した時、どうやらその時発生した衝撃で、私達は時の狭間に飛ばされ、タイムトラベルしたようなの・・・私も半信半疑だったけど、そうとしか考えられない・・・」

 

 二人は、光と闇のぶつかり合いで発生した、時空震の余波に巻き込まれ、過去の光の園に飛ばされたと告げる。そこで、ジャアクキングのドツクゾーンに襲われていた光の園を救い、ドツクゾーンを追い返し光の園を守った!

 

 更に、闇の気配が各地に漂っているとクイーンに聞かされた二人は、クイーンの導きの下、メルヘンランドで三人の魔人と戦って居たロイヤルクイーンの下へと馳せ参じ、大蛇を追い返し、三人の魔人をロイヤルクイーンと共に封じた事を一同に語るのだった・・・

 

「まあ、私達にしたら、つい数時間前の感覚何だけどねぇ?」

 

「ロイヤルクイーンにも心配して貰っていたから、無事に報告出来ると良いね?」

 

「そうだね・・・」

 

 ハッピー達がキュアデコルを全て取返した事で、ロイヤルクイーンが復活している事を、心の底から思うなぎさとほのか、ゆりも心から驚いたようで、

 

「そんな事があった何て・・・」

 

「どうりで、拙者の記憶には無い筈でござる!」

 

 ポップは何度も頷き、二人の言葉に納得していた。嘗て、メルヘンランドを救ったプリキュアとは、此処に居るなぎさとほのかであったのだと理解する。

 

 一同は天井の高い大広間に案内されると、そこには巨大なロイヤルクイーンの彫像が安置されていた。響は石像を見上げると感心したように、

 

「ウワァ!大きな石像だねぇ・・・」

 

「この方がメルヘンランドの女王、ロイヤルクイーン様でござる!」

 

「エッ!?これって石像じゃ無いの!?」

 

 キョトンとしたエレンが、彫像を指差しポップに確認すると、ポップは苦笑を浮かべながら、

 

「この方こそが、拙者達メルヘンランドの女王、ロイヤルクイーン様でござる!!」

 

「ま、待って!何でロイヤルクイーン様は・・・復活していないの?」

 

「せや!ウチら、キュアデコルを16個全て集めたやないか?」

 

 みゆきの言葉にあかねも同意し、ポップに問い詰めると、困惑の表情を浮かべたポップも説明に困り、

 

「いや、それが・・・拙者にもよく分からないのでござる・・・」

 

「どういう事!?」

 

「ポップにも分からない何て・・・」

 

「それは困りましたねぇ・・・」

 

 ポップにも分からないと聞き、やよい、なお、れいかも困惑の表情を浮かべた。えりかは、ロイヤルクイーンの石像を指で突っつきながら、

 

「じゃあさ・・・本人に聞いてみたら?」

 

「えりか、本人に聞いてみたらと言いましても・・・この有様じゃ、答えようが無いのでは?」

 

 つぼみはえりかを呆れた視線で見つめると、うららも興味深げにロイヤルクイーンの石像を見つめ、

 

「でも、寝てるだけかも知れませんよ?」

 

「アハハ、のぞみじゃあるまいし・・・」

 

「ちょっとりんちゃん!どうしてそこで私の名前が出るかなぁ?」

 

「「まあ、まあ」」

 

 苦笑を浮かべたりんに、のぞみじゃ無いんだからと名指しされたのぞみは、頬を膨らませ不満そうにするのを、咲とラブに宥められる。えりかの言葉にも一理あると感じたみゆき達は、

 

「すいませ~~ん!!」

 

「起きてらっしゃいますか?」

 

「もしも~し」

 

「あの~」

 

「ヤッホ~~!!」

 

「やよいさん・・・それは違うと思いますけど?」

 

 なお、あゆみ、あかね、みゆき、やよいが声を掛けるも、一人意味が違うやよいに、れいかが突っ込みを入れる。せつなは首を捻り、

 

「返事が無いわね?」

 

「きっと寝起きが悪いんだよ!」

 

「そうだね!眠そうな顔してるもの!」

 

「そうかしら!?目を瞑ってるだけだと思うけど・・・」

 

 みゆきとやよいは、寝起きが悪いのでは無いかと推測するも、怪訝な表情の満が、石像をみながらポツリと呟き、りんが手を振りながら、

 

「だから、のぞみじゃ無いんだから」

 

「もう・・・りんちゃんの意地悪~~!!」

 

 再び頬を膨らませるのぞみに、一同から苦笑が起こった。なぎさとほのかは、ジッと石像を見つめると、二人で近づき石像に手を触れながらロイヤルクイーンに語り掛け始めた。

 

「ご無沙汰してます!」

 

「私達の事を、覚えていらっしゃいますか?」

 

 二人に刺激されたかのように、石像が光輝くと、宮殿内にロイヤルクイーンの声が聞こえ始め、一同は驚愕した。

 

「やっぱり・・・寝起きが悪かった?」

 

「ウンウン!!」

 

 顔を見合わせ頷き合うみゆきとやよいに、即座にりんが突っ込みをいれ、

 

「だから、違うわよ!」

 

「あなた達・・・頼むからこれ以上失礼な事言わないで!!」

 

 額から汗を流しながら、くるみがみゆきとやよいを窘めた。ロイヤルクイーンはクスリと笑うと、

 

「皆さん、あなた方が集めて下さったキュアデコル・・・確かに頂きました!!しかし、ロイヤルクロックとペガサスを呼び覚ますだけで、私の力は使い果たしてしまいました・・・今はまだ目覚める事は出来ません!!ですが、あなた方がロイヤルクロックの真の力を目覚めさせる事が出来れば、私はその時目覚める事でしょう!!!」

 

 ロイヤルクイーンの話を聞き、一同が安堵の表情を浮かべる中、なぎさとほのかの表情は曇っていた。クイーンは更に話を続け、

 

「ですが、油断しないで下さい!ピエーロは、バッドエンド王国は、滅びた訳ではありません!!必ず再び行動を起こす筈です・・・用心して下さい!!」

 

 ピエーロが、バッドエンド王国が滅んだ訳では無い・・・

 

 そう聞いた一同から、響めきが沸き起る!だが・・・

 

「安心して下さい!ロイヤルクイーン様の真の復活、ピエーロの復活を阻止する為にも、私達みんなが一丸になれば・・・きっと大丈夫!!」

 

 笑顔を浮かべたみゆきの言葉が一同の胸を打ち、バッドエンド王国との戦いへと気持ちを高揚させた・・・

 

 ロイヤルクイーンとの謁見を終え、一同が宮殿の外へと出て行く中、なぎさとほのかは、もうしばらくこの場に居させて欲しいとポップに頼み込むと、二人はロイヤルクイーンと共に戦った事のある間柄で、積もる話もあろうかと同意してくれて、二人を残した一同は宮殿を後にした・・・

 

「ロイヤルクイーン・・・見た通り、此処には私とほのかしか居ない」

 

「私達に、本当の事を教えて!」

 

「「あなたは、本当は・・・」」

 

 なぎさとほのかの言葉を聞いたロイヤルクイーンは、暫し沈黙した後、二人には隠し通す事は不可能だと悟った。

 

「分かりました!古き友であるあなた達二人には・・・真実をお話致しましょう!!ですが、この事はキャンディやポップ、ハッピー達には秘密にして下さい!!」

 

 ロイヤルクイーンが語った真相・・・

 

 それを聞いたなぎさとほのかの表情は、見る見る強張り、悲しげな表情を浮かべていた・・・

 

 

 外に出た一同は、戻って来たキャンディ達と合流し談笑していると、ちょうどメルヘンランド宮殿の兵士の行進を目撃した。目を細めて見つめて居たのだが、兵士達は一同を見るや、慌てて宮殿内へと逃げ帰って行った・・・

 

「何や、失礼なやっちゃなぁ・・・」

 

 あかねは、自分達を見て慌てて逃げて行った兵士達を見て不満そうにすると、苦笑を浮かべたポップが兵士達をフォローし、

 

「仕方ないでござるよ!彼らは、人の姿を見たのは初めてでござるから・・・」

 

「それはそれで、逃げ出すのは問題があると思うんだけど?」

 

「一応・・・メルヘンランドを守る兵隊なのよねぇ?」

 

 ラブと美希は、困惑した表情で逃げ去って行った兵士達の方を見て、呆れたように呟いた。ポップは手をポンと叩くと、

 

「そうでござる!せっかくメルヘンランドに来たのだから、皆の衆も散歩すると良いでござるよ!!ただ、その姿は不味いでござるなぁ・・・」

 

「だったら、みんなも妖精の姿になるクルゥ!」

 

「それは名案でござるなぁ・・・どれ!」

 

 ポップは、尻尾の毛を抜き、一同にフゥと息を掛けると、尻尾の毛が舞い上がり、一同の姿を次々妖精の姿へと変えていった・・・

 

 悲鳴を上げる者、喜ぶ者、困惑する者、少女達は、自分がプリキュアに変身した時の色をモチーフにした姿へと変わっていた。エレンを除いて・・・

 

「みんな、お待・・・エッ!?」

 

「これは一体!?」

 

 戻って来たなぎさとほのかは、目の前に大量の妖精達が居る事に動揺し、目を点にして驚いた。良く見れば、妖精達は一同にそっくりなのだから・・・

 

 なぎさの脳裏に、嫌な予感が漂い始めて居た・・・

 

 嘗て、初めて光の園に向かう時、妖精姿にされるのではないかと不安がった、あの時の事が思い浮かんでいた・・・

 

 なぎさの予感は的中し、なぎさとほのかもポップの術を掛けられ、妖精のような姿へと変えられた。全身白いほのかに対し、なぎさは全身黒一色・・・

 

「ちょっとぉぉ!何で私だけ身体が黒いのよぉぉ!?」

 

「なぎさ、大丈夫よ!ほら、エレンさんも黒猫姿になってるわ!!」

 

 エレンは元の姿である黒猫姿になっていて、ハミィと抱き合い嬉し涙を流していた。

 

「いや、その姿は一時的なもので・・・まあ喜んでるし、束の間の幸せを味わって貰うでござるか・・・」

 

 ポップは野暮な真似は止めようと、喜ぶエレン、いや、セイレーンを見て微笑みを浮かべた。

 

「なぎささん、駄目だよ!身体が黒いナギィィ!って言わなきゃ!!」

 

 みゆきに注意され、変顔を浮かべたなぎさは、

 

「な、何でよぉぉ!?こんなの・・・ありえなぁぁい・・・ナギ」

 

 半ばヤケクソなのか、なぎさも語尾にナギを付けて一同を笑わせた。

 

 なぎさはナギ、ほのかはホノ、ひかりはピカ・・・

 

 咲はナリ、舞はマイ、満はミチ、薫はカオ・・・

 

 のぞみはノゾ、りんはリン、うららはウラァ、こまちはコマ、かれんはですわ・・・

 

 ラブはゲット、美希はミキ、祈里はブキ、せつなはイース・・

 

 つぼみはです、えりかは、ッシュ、いつきは僕、最後まで拒んでいたゆりも、結局ムーンで渋々同意した・・・

 

 響はヒビ、奏はカナ、エレンはセイレーンの姿に戻り、アコはアコ・・・

 

 みゆきはミユ、あかねは何故か、やねん、やよいはヤヨ、なおはナオ、れいかはレイ、あゆみはアユ・・・

 

 ウルルンは、みゆき、あかね、なぎさ達、咲達を・・・

 

 オニニンは、やよい、あゆみ、のぞみ達、響達を・・・

 

 マジョリンは、なお、れいか、ラブ達、つぼみ達を連れて行動を始めた。

 

 絵本の世界らしく、お菓子の国、赤ずきん、アリババと40人の盗賊、浦島太郎、桃太郎等々、一同は沢山見て回るのだった・・・

 

 メルヘンランドの妖精達との交流も深め、最後に一同は、なぎさ、ほのか、ゆりを鬼にして、鬼ごっこを開始し、ウルルン、オニニン、マジョリンの三人は、心の底から楽しげにハシャギ、笑顔を浮かべて居た・・・

 

 

 楽しい一時はあっと云う間に過ぎ去り、一同は宮殿前で大勢の妖精達に囲まれ笑顔を浮かべていた。

 

「本当に帰っちゃうウル?」

 

「ウチらにも生活があるさかい・・・」

 

「うん・・・でも、必ずまた遊びに来るから!!」

 

 ウルルンと握手を交わすあかねとあゆみ、オニニンもやよいと指切りしながら、

 

「約束オニ!!」

 

「今度はロボッターのおもちゃも持ってくるね!」

 

 マジョリンはなおとれいかに抱きつきながら、

 

「絶対来てマジョ!」

 

「約束は守るよ!!」

 

「ええ、またみんなで遊びましょう!!」

 

 なおとれいかは満面の笑みを浮かべながら、またの再会を誓った。みゆきはそんな光景を目に焼き付けるように笑みを浮かべると、

 

「私が思い描いていた絵本の答えが、メルヘンランドにはあった!」

 

「エッ!?ひょっとして!みゆきちゃんが家のお父さんに頼みたかった絵本の内容って・・・」

 

「はい!狼さんとも、鬼さんとも、魔女さんとも、仲良く楽しく遊べるお話し・・・そんなお話しを、私は読んで見たかった!!」

 

 前に、のぞみの父にリクエストがあると語っていたみゆきの内容を知り、のぞみは目を細めた。のぞみはみゆきの肩を抱きしめ、

 

「私も読んで見たいなぁぁ!!」

 

「はい!是非!!」

 

 のぞみとみゆきは、顔を見合わせると満面の笑顔を浮かべていた・・・

 

 

 

「では、皆の衆!お達者で!!キャンディ、頑張るでござるぞ・・・また会おうでござる!!!」

 

「うん!みんな、またね!!」

 

 みゆきを始めとした一同が、次々妖精達に声を掛け、せつなのアカルンの力で元の世界へと帰って行った・・・

 

 束の間の平和を味わった一同は、まだこの時知らなかった・・・

 

 次なる戦いの舞台が、直ぐそこまで迫っている事に・・・

 

 

           第七章:三人の魔人とバッドエンド王国!

                    完 

 




少しの間中断します・・・では!

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