プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第六十一話:悪の皇帝!

1、ただいま!!

 

 今、戦いを終えたプリキュア達が勢揃いした・・・

 

「ブラック!ホワイト!」

 

 二人に駆け寄り抱きつくムーンライトに、ブラックとホワイトは笑みを浮かべながら、

 

「ただいま!!」

 

「遅くなってゴメンなさいね!」

 

「本当よ・・・でも、無事で良かった!お帰りなさい、二人共!!」

 

 涙混じりの笑みを浮かべるムーンライトに、ブラックとホワイトも、ムーンライトを始めとする仲間達との再会を嬉しそうにしていた・・・

 

 キャンディは、プリキュアの仲間達一人一人に抱きつきながらお礼を言い回り、一同はキャンディの無事な姿を見ながら頭を撫でていった。

 

「あんた達・・・初めて会った時より、大分成長したわね?」

 

「本当、本当、あたし達もうかうかしてたら、直ぐに追い抜かれそうだよね!」

 

 ルージュが、マリンが、ハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティの成長振りに驚きつつも、頼もしさを感じていた。

 

「いえ、既に私達を超えて居るかも知れないわよ?サニー、ピース、マーチの攻撃も凄かったわ!特に驚いたのは、ハッピーとビューティね!!ビューティのブリザードアローは・・・私のサファイアアローの威力など、比べものにならないかも知れない・・・」

 

「そ、そんな事はありません!!」

 

「そうね・・・例えるなら、ビューティのブリザードアローは、一撃必殺!片やアクアのサファイアアローは、連射可能な集中砲火、どちらが優れているとは、一概には言えないわ!!」

 

 ビューティの技を見たアクアは、自分の攻撃より上だと推察するも、ビューティは激しく動揺し、そのような事は無いと謙遜する。パッションが二人の技を見比べ、どちらも優秀な技で、甲乙は付けられないと述べると、アクアはクスリと笑いだし、

 

「ウフフ、パッション、煽てても何も出ないわよ?」

 

「どう致しまして・・・フフフ」

 

 顔を見合わせたアクアとパッションは、共にクスリと笑い合った。

 

「あゆみちゃんもプリキュアになったし、エコーの力が無ければ、私達はバッドエンド王国には来れなかった筈・・・感謝してるわ!!」

 

「いえ・・・私はたいした事は・・・」

 

 ブルームは目を細めながらエコーを称え、エコーは恐縮するも、ブラックとホワイトもルージュ、マリン、ブルームの言葉に同意し、

 

「ううん、ハッピー達五人も、エコーも、今の私達にとって、欠けてはならない大切な仲間・・・」

 

「そうね!」

 

「でもさぁ、ブラックとホワイトは、今まで何処に居たの?」

 

「ポルンとルルンから、二人は遠い所で無事に居るとは聞いてましたけど・・・」

 

 マリンとブロッサムに問われたブラックとホワイトは、顔を見合わせると苦笑を浮かべ、

 

「それ何だけどさぁ・・・」

 

「実は私達・・・」

 

 ブラックとホワイトが、マリンとブロッサムの問いに答えようとしたとその時、獣の咆哮が聞こえ始め、顔色変えたサニーが声の方を振り向くと、その表情は見る見る凍り付いていった・・・

 

「う、嘘やろう!?」

 

 驚愕の視線を向けるサニーの視線の先に、這い上がってきたボロボロのウルフルンが、目を血走らせながらヨロヨロ一同の下へと歩み出す。あれだけの攻撃を受けながら、再び立ち上がって向かってくるウルフルンの姿が、サニーには信じられなかった・・・

 

「ま、負けねぇ・・・負けられねぇ・・・」

 

「そう・・・オニ!」

 

 ウルフルンの声に応えるように、棍棒を杖代わりにしたアカオーニが蹌踉めきながら姿を現わし、ピースはその姿を見て呆然としながら、

 

「そんなぁ・・・」

 

 自分の渾身の力を込めた攻撃を受けたアカオーニは、まだ戦意を失わずこちらに向かってきた。二人が立ち上がった事で、マーチは咄嗟にマジョリーナが倒れている方角を見ると、マジョリーナもゆっくり立ち上がり、

 

「あたし達には・・・後が無いんだ!まだ、まだ終わっちゃいないよぉぉ」

 

 合流した三幹部が、ヨロヨロプリキュア達目掛け歩み続ける。その姿は、敵とはいえプリキュア達に哀れみの心が浮かんでくる。

 

「もう、もう止めてよ!どうしてまだ戦おうとするの?」

 

 悲しげな表情を浮かべたハッピーは、三幹部を止めようとするも、三幹部は、プリキュア達から浴びせられる、哀れみの視線を受け憤慨していた。

 

「何だ!その目は!?」

 

「そんな哀れみの言葉は・・・要らないオニ!!」

 

「あんた達には分からないだろうさ・・・」

 

「「俺達が・・・」」

 

「あたし達が・・・」

 

「「「何度も味わったあの悔しさ、寂しさ、痛みを!!!」」」

 

 そう発言した三幹部の瞳の奥に、悲しみを見た気がハッピーにはした・・・

 

 最初にウルフルンに出会った時、ハッピーは直感的に分かって居たのかも知れない・・・

 

 心の悲しみを・・・

 

「あたし達は、絵本の中じゃいつも嫌われ者・・・」

 

「怖がられ、嫌われて・・・」

 

「誰からも相手にされない・・・」

 

「ある者には石を投げつけられ・・・」

 

「顔を見て逃げ去られる・・・」

 

「疎まれ、蔑まれ、誰からも相手にされない。その悔しさや寂しさを、お前達何かには・・・分からないオニィィ!」

 

 三幹部の心の叫びを、プリキュア達は呆然と聞き入っていた・・・

 

「そんな時だ、俺達の前にジョーカーが現れたのは…」

 

「ジョーカーは、痛いでしょう、苦しいでしょう、悔しいでしょう・・・いけないのはこの下らない世界です。こんな居心地の悪い世界は、全部壊しましょう!ピエーロ様が力をくれます。世界から未来を奪って、バッドエンドにしましょう。そうすれば、あなた達の住みやすい世界になりますよってねぇ」

 

「憎いんだよ!ヘラヘラと楽しそうにしてる奴も、未来が明るいとか言ってる、脳天気なテメェらも全部なぁぁ!」

 

「だからあたし達は、ピエーロ様と一緒にこの世界全てを壊すのさ!この下らない世界を全部ねぇ!」

 

 本音を述べた三幹部がヨロヨロしながら身構えるも、プリキュア達は誰一人戦おうと動き出す者は居なかった・・・

 

「何の真似だ!?」

 

「俺様達と・・・戦うオニ!!」

 

「さあ、掛かって来な!プリキュア!!」

 

「無理だよ・・・あなた達の本当の気持ちを知った以上、私達は、あなた達とは戦へ無い!!」

 

 悲しげな視線を向けたハッピーが首を振り、戦へ無いと告げると、三幹部はバカにするなと憤慨する。

 

「別にウチら・・・あんたらの事、バカにしてる訳や無い」

 

「私もね・・・前に学校で同じような目にあった事があるもん!あなた達の気持ちも、少しは分かるもん」

 

 ハッピーの言葉に同意するように、サニーが、ピースが、悲しげな視線で三幹部を見つめた。

 

(プリキュアが・・・俺達と同じ目にあった事があるだと・・・)

 

「嘘だ!!」

 

「ううん、嘘じゃないよ!私もそう・・・私もあなた達と同じように、心の底でこの世界を憎んでいた事があったの・・・そんな私の心を、悪い人に利用された事が・・・」

 

 エコーがポツリと呟いた・・・

 

 その悲しげな表情からは、嘘偽りでは無い事は、三幹部にも伝わり、思わず三人は顔を見合わせた。

 

「何で、何でこんな事になっちゃったんだろう・・・」

 

「もっと早く気付いて上げられれば・・・」

 

 マーチの、ビューティの目から、涙が零れた・・・

 

「だ、黙れ!テメェら何かに分かってたまるかぁぁ!」

 

「毎日幸せで、何の不自由もないお前達に・・・」

 

「人に嫌われた事が無いお前達に・・・」

 

「「「分かってたまるかぁぁ!!」」」

 

 だが、聞く耳持たない三幹部は、最後の力を振り絞り、プリキュア達目掛け駆け出した。

 

「私達は・・・あなた達が感じた嫌な思いを、少しでも和らげたい・・・それもプリキュアの使命!!」

 

 ハッピーの言葉に賛同するように、プリキュア達が、妖精達が整列し、ブロッサム達がハートキャッチミラージュを天に掲げると、ハートキャッチミラージュは、バッドエンド王国の空に上昇して行った・・・

 

 ウルフルンを、アカオーニを、マジョリーナを、三人の心を少しでも解放して上げたい!プリキュアと妖精達の意思が一つに重なった時、嘗て、デューンを浄化し、カオスを鎮め、ノイズの心を洗い流した、巨大なシルエットが三幹部の目の前に現われた・・・

 

「無限の力と無限の希望!そして、無限の愛を持つ星の瞳のプリキュア!プリキュア!!無限シルエット!!!!」

 

「プリキュア・・・」

 

「無限・・・」

 

「シルエット・・・」

 

 三幹部は虚を突かれたように、目の前に現われたみゆきに似た巨大なシルエットを呆然と眺めた。

 

「私は、絵本の中のみんなが大好き!本当は、狼さんも、鬼さんも、魔女さんも、とっても優しいんだよね!!絵本が沢山の夢や希望を与えてくれるのは、みんなが居てくれるおかげだもん・・・ありがとう!!」

 

 無限シルエットは、そう言葉を掛け三人に微笑んだ。感謝された三人は、驚き、戸惑う・・・

 

「良かったら・・・私達と友達になって欲しいなぁ!!」

 

 友達になって欲しい・・・

 

 その言葉を否定しては居たが、何より心の奥底で心底言って欲しかった言葉・・・

 

 三人の目から、溢れるような涙が零れ落ちていく・・・

 

「みんなで一緒に遊ぼう!きっと、とっても楽しいよ!!」

 

 両手を広げ、慈愛の表情を浮かべた無限シルエットの巨大な手が、三幹部を包み込んでいく。その両手の暖かな光に包まれた時、三人の憎しみの心は浄化されていった・・・

 

 三人の心の闇を洗い流すかのように、三人から飛び出た黒いオーラを、光と共に完全に浄化した。心の闇を浄化された三人は、妖精のような姿へと変化すると、ポップとキャンディが仰天した。

 

「な、何と!?そなた達は・・・ウルルン!オニニン!マジョリン!」

 

「三人がウルフルン、アカオーニ、マジョリーナだったクル?」

 

 ウルルン、オニニン、マジョリン・・・

 

 嘗て、ピエーロ率いるバッドエンド王国が、メルヘンランドに攻め込んできた時、行方不明になっていた妖精達・・・

 

 ジョーカーによって、心の奥底にあった闇を増幅され、バッドエンド王国の戦士へと変えられていた三人の妖精達、元に戻ったとはいえ、自分達がしてきた行為は、心の中に残って居た・・・

 

「みんな・・・今まで悪い事ばかりしてゴメンウル」

 

「一杯悪い事をしてきたオニ・・・」

 

「決して許される事は無いマジョ・・・」

 

 ウルルン、オニニン、マジョリンは、自分達がしてきた悪事を思い浮かべ涙を流した・・・

 

 そんな三人に真っ先に声を掛けた者達が居た・・・

 

「確かに許される行為では無いのかも知れない・・・でも!」

 

「あなた達は、自分達のしてきた行為を受け入れた」

 

「そんなあなた達なら、きっとやり直す事が出来る!!」

 

「嘗ての私達と同じように、プリキュアの仲間達、妖精の仲間達が居てくれれば・・・」

 

「「「「あなた達なら、必ずやり直す事が出来る!!」」」」

 

 ブライト、ウィンディ、パッション、ビートの四人である・・・

 

 嘗て、ダークフォール、ラビリンス、マイナーランドの戦士として、ブルーム達、ピーチ達、メロディ達と戦った四人は、

 

「私達四人も・・・嘗てプリキュアと戦った!」

 

「私達は・・・ダークフォールのアクダイカーン様の為に・・・」

 

「私は、ラビリンスの総統メビウスの為に・・・」

 

「私は、この世界を不幸で満たすように、不幸のメロディを歌う為、マイナーランドの歌姫に・・・」

 

「ピィィィィ!!」

 

「そうね、ピーちゃんも私と同じ・・・」

 

「もしこの場に、ダークプリキュア5や、ダークプリキュアが居たのなら・・・私達と同じような行動を取った筈・・・」

 

 嘗て、プリキュアとは敵だった四人とピーちゃん・・・

 

 プリキュア達との出会いが、彼女達の心を少しずつ変えていった。ウルルン、オニニン、マジョリンの三人も、きっとやり直す事が出来ると告げ、次々と他の一同も同意し、暖かな言葉を掛けた。ポップとキャンディは、三人の前に歩み出ると、

 

「ウルルン!オニニン!マジョリン!長く、辛い旅でござったなぁ・・・お帰りでござる!!」

 

「お帰りクルゥゥ!!」

 

 自分達がしてきた行為を不問にし、ポップもキャンディも、三人を暖かく迎え入れてくれた。三人も目に涙を浮かべながら、

 

「「「ただいま!!」」」

 

 メルヘンランドの五人の妖精達が、涙を流しながら抱き合う姿を見た一同の目からも涙が零れる。だが・・・

 

 

 ビューティが凍らせた、バッドエンド王国の地表から再びマグマが吹き上がった・・・

 

 そのマグマと共に姿を現わした物体を見て、ポップの顔色が変わった・・・

 

「あれは・・・ピエーロ!!」

 

「我が名はピエーロ!全てを怠惰な世界に!!」

 

 今、悪の皇帝が再び甦った・・・

 

 

2、ペガサス!

 

 悪の皇帝ピエーロが遂に甦った・・・

 

 何処かジョーカーを思わせるその容姿、死闘を潜り抜けてきたプリキュア達の体力も、残り少ない中での最悪のタイミングでの復活、だが、彼女達の気力は萎える事は無かった・・・

 

「シロップ、妖精のみんなを乗せて離れてて!!」

 

「分かったロプ・・・」

 

 真剣な表情を浮かべたドリームの言葉を受け入れ、シロップは巨大化し、妖精達に自分の背に乗るように伝えると、妖精達はプリキュア達を激励しながら、次々シロップの背に乗った。

 

「皆の衆・・・気をつけるでござるぞ!!」

 

「「「プリキュア・・・」」」

 

 心配そうな表情を浮かべながら、シロップの背に乗るのを躊躇するウルルン、オニニン、マジョリンに、ハッピーはしゃがみ込み三人の頭を撫でると、その背後でサニー、ピース、マーチ、ビューティ、エコーが微笑んでいた。

 

「約束したもんね!三人と遊ぶって!!」

 

「シシシシ、今の内に何して遊ぶか考えときや!」

 

「じゃんけんなら負けないよ!」

 

「確かにそうかもね・・・でもさ、折角遊ぶんだし、じゃんけんは・・・」

 

「そうですね・・・じゃあ、ピースが鬼で鬼ごっこでも!」

 

「エェ!?何で私?」

 

「ウフフ、楽しそう!」

 

「もう、エコーまで・・・プンスカプン!!」

 

 ウルルン、オニニン、マジョリンを心配させまいと、明るく振る舞うハッピー達の意気を汲み取ったマリンは、

 

「ここは年長者が鬼が良いよ・・・ムーンライト、ブラック、ホワイトの誰かが鬼と言う事で!」

 

「異議なし!!」

 

「「「エッ!?」」」

 

 マリンの提案を、苦笑混じりの一同が異議なしと受け入れ、困惑気味の表情を浮かべたブラック、ホワイト、ムーンライトの三人、

 

「私達・・・これでも一応大学生何だけど?」

 

「ウフフ・・・ブラック、まあいいじゃない」

 

「ハァ・・・まあ良いわ!」

 

 苦笑混じりのホワイトの提案に渋々ながらも同意したブラックとムーンライト、ブラックは、キッとピエーロを見つめると、

 

「じゃあ、その前の最後の大勝負!一丁行きますか!!」

 

 ブラックの合図と共に、プリキュア達は悪の皇帝ピエーロ目掛け駆け出した・・・

 

 ピエーロは、そんなプリキュア達に気付いたのか気付かないのか、意に介さず、口を大きく開くと、口内でエネルギーを蓄え始めた。

 

「不味い!あれは、星をも砕くバッドエナジー砲でござる!!皆の衆、逃げるでござるぅぅぅ!!」

 

 気付いたポップが絶叫し、プリキュア達に逃げるように伝えるも、プリキュア達は崖ギリギリに陣取り、逃げるような素振りは見せなかった。星をも砕く力を持つなら、尚更自分達がここで食い止めなければと・・・

 

 充塡を完了したピエーロの口から、バッドエナジー砲が発射された・・・

 

 その凄まじきエネルギー波に怯まず、手を握り合ったプリキュア達が巨大なバリアを張り対抗する。ぶつかり合った力は弾け合い、プリキュア達が吹き飛ぶものの、一撃目を防ぎきる。だが、ピエーロは攻撃を止めず、第二波のエネルギーを蓄え始めた。

 

「負けない!私達は、絶対に負けないんだからぁぁ!!」

 

 真っ先に立ち上がったドリームに釣られるように、立ち上がった一同が、第二波に備える。

 

「しかし、このままじゃプリキュア達の体力は持たないココ」

 

「ナツ・・・プリキュア達に力を送れるアイテムでもあれば・・・」

 

 ナッツは、手に持ったミラクルガイドライトを見つめ、悔しそうな表情を浮かべた・・・

 

「ハッピー、みんな・・・大丈夫クル!プリキュアは・・・プリキュアは負けないクルゥゥゥ!!」

 

 キャンディが、眼下のプリキュア達を見つめ信じたその時、ロイヤルクロックが再び光輝いた!!

 

「プリキュアの皆さん!今の私には、これぐらいしか力を貸す事が出来ませんが、あなた方にこの力を授けます!!伝説の、プリンセスキャンドルを!!!」

 

 謎の声が聞こえ困惑するプリキュア達の中で、ブラックとホワイトだけは笑みを浮かべながら、

 

「今の声・・・ロイヤルクイーンだよね?」

 

「ええ、間違いないわ!!」

 

 互いを見て頷き合ったブラックとホワイトを見て、一同は響めいた。特にハッピー達五人は驚き、

 

「何やてぇ!?」

 

「じゃあ、ロイヤルクイーン様は復活したの?」

 

「ど、何処!?」

 

「姿は見えないようですが!?」

 

「うん・・・ロイヤルクイーン様!何処ですか?」

 

 サニー、マーチ、ピース、ビューティ、ハッピーが辺りを見回しながら、ロイヤルクイーンに声を掛けるも、ロイヤルクイーンは応えない・・・

 

 その間隙をぬって、ピエーロはバッドエナジー砲の第二波を発射した。今度はルミナスが先頭に立ちバリアを張ると、一同はルミナスに力を貸すようにバリアを強固にし、第二波を防いだ。だが、プリキュア達の体力は限界に近かった。

 

 その時、バッドエンド王国の上空をペガサスが舞った・・・

 

「あれは、ペガサス!?何故此処に?」

 

 ペガサスがバッドエンド王国に現われた事に驚愕するポップだったが、ペガサスの身体は光に変わり、光は五つに分かれハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティの下に舞い降りた。

 

「これが・・・プリンセスキャンドル!?」

 

 五人は、手の中に現われたプリンセンスキャンドルを見て驚愕するも、今この危機を脱する事が出来るかも知れない、ロイヤルクイーンが授けてくれたこのアイテムに掛けてみようと頷き合った・・・

 

「「「「「ペガサスよ、私達に力を!!」」」」」

 

 五人がキャンドルを合わせ、ペガサスに力を貸して欲しいと願うと、五人の姿が変化を遂げていく・・・

 

「プリンセスハッピー!」

 

「プリンセスサニー!」

 

「プリンセスピース!」

 

「プリンセスマーチ!」

 

「プリンセスビューティ!」

 

「「「「「プリキュア!プリンセスフォーム!!」」」」」

 

 五人は、まるでドレスのような衣装を纏い、頭には天使の輪のような光のリングが装着される。髪型も変わり、特にビューティの変化には、他のプリキュア達は驚いていた。

 

「ハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティ、ピエーロの攻撃は私達で防いでみる!あなた達は、ピエーロをお願い!!」

 

「分かりました・・・みんな!!」

 

 ブラックの言葉通り、バッドエナジー砲の第三波を防ぎきった一同、第四波の充塡を始めたピエーロに対し、ハッピー達が勝負に出た!

 

「届け!希望の光!」

 

「「「「羽ばたけ、未来へ!」」」」

 

 五人は五色のペガサスに跨るや、上空高く舞い上がった。五色のペガサスは、上空で宙返りすると、

 

「「「「「プリキュア!レインボー・バ~~スト!!」」」」」

 

 五色のペガサスが合わさり、巨大な光のペガサスの口から、五色のエネルギー波が放たれた!ピエーロは充塡完了前ながら、バッドエナジー砲を放ち、レインボーバーストを迎え撃った。レインボーバーストとバッドエナジー砲がぶつかり合う・・・

 

「ロイヤルクイーン様の、みんなの思いに応える為にも・・・」

 

「「「「「私達は負けない!!」」」」」

 

 五人の思いが重なった時、レインボーバーストは、バッドエナジー砲を押し戻し、ピエーロを虹の輝きで包み込んだ。

 

「我が名は、ピエーロ!我が・・・名・・・」

 

 ハッピー達五人は、キャンドルの炎を吹き消し、キャンドルをクルクル回してピエーロに背を向けポーズを決めると、

 

「「「「「輝け!ハッピースマイル!!」」」」」

 

 背後で爆発が起こるや、ピエーロの身体が浄化され、身体の一部が吹き飛んでいった・・・

 

「す、凄い!?」

 

「やったわね!五人共!!」

 

 サンシャインはその凄さに驚愕し、ブライトが五人を称えた・・・

 

 再び集結した仲間達がハッピー達を胴上げし、一同は歓喜に湧いた・・・

 

「帰ろう!みんな・・・」

 

 笑顔が浮かぶ仲間達、ブラックの言葉を受け、一同はパッションが呼び出したアカルンの力で、メルヘンランドへと戻って行った・・・

 

 

 ピエーロがプリキュアに敗れ去り、静まりかえるバッドエンド王国、あのマグマも嘘のように沈黙し、不気味な静寂が辺りを支配していた・・・

 

 キュアビューティに射貫かれ、地面にジョーカーの墓標のように横たわる仮面・・・

 

 その仮面の横から、ヌゥと右手が地面から盛り上がるや、仮面を掴み取ると、ジョーカーがゆっくり這いだして来た。ジョーカーは辺りを見渡し、ピエーロが敗れ去った事を理解する。

 

(まさか、ピエーロ様が敗れるとは!まだ力が足りなかったようですねぇ・・・それにしても、伝説の戦士プリキュア!これ程までの力を持って居るとは・・・)

 

 辺りを見渡していたジョーカーは、ピエーロの気配を感じると、嬉しそうに口元に笑みを浮かべ、気配のする場所へと向かった。ドクンドクンと鼓動するピエーロのコアを見たジョーカーは、

 

「フフフ!まだピエーロ様は無事なようですねぇ・・・しかし、今動くのは時期尚早、こちらも戦力の立て直しは必須!でもぉぉ・・・プリキュア達もただでは済まないでしょうねぇ・・・何せ、魔界の魔神の一人を倒したんですから!!ウフフフフ、少しの間、じっくり見物させて貰いますよ!!アァハハハハハ!!!」

 

 ジョーカーの笑い声が、バッドエンド王国に木霊した・・・

 

                 第六十一話:悪の皇帝!

                      完

 


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