プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第五十六話:脅威の合体ロボ!その名はバッドエンドV!!

1、バッドエンドV!!

 

 バッドエンド王国・・・

 

 不意に現われたジョーカーは、三幹部の姿が見えない事に怪訝な表情を浮かべていた。サディスの部屋を訪れたジョーカーは、

 

「サディスさん、三幹部の皆さんの姿が見えませんけど、どちらに行ったかご存じでしょうか?」

 

「ああ、あいつらなら・・・マジョリーナが発明した物持って、プリキュアの下へ向かったよ!!」

 

「ほう・・・お三方揃ってですか?」

 

 ジョーカーは、サディスの言葉を聞き、自分の命令無しで三幹部が揃って出掛けた事に興味を持った。

 

(使えない人達ばかりだと思っていましたが・・・どれ、様子を見てきましょうかねぇ?)

 

「どうです!サディスさんもご一緒しませんか?此処に居るだけでは、身体が鈍ってしまわれるんじゃないですか?」

 

(チッ!ジョーカーめ・・・)

 

 薄ら笑いを浮かべたジョーカーに、サディスは内心ムッとするも、バッドエンド王国に身を寄せる身としては、少しは役立つ所を見せねばならないかと思案し、ジョーカーの申し出を受諾した。

 

「それでは行きましょうかねぇ」

 

 トランプの舞いと共に、ジョーカーとサディスはその姿を消した・・・

 

 

 

 形勢逆転・・・

 

 ロボドリームを取り返し、ウルフルンとアカオーニに身構えるルージュ達四人とローズ、状況不利と見たマジョリーナは、大慌てで二人に合流したものの、ロボニナールをその場に置き忘れ、キャンディが興味深げにロボニナールを手に取った。

 

「キャンディ、また何か起こったら大変でござる!そのままにしておくでござる!!」

 

「分かったクル~!」

 

 キャンディも頷き、ロボニナールを隣に置いた。

 

「畜生、あと一歩の所で・・・」

 

「惜しいオニ!悔しいオニ!!」

 

 まだ目が回っているのか足下がおぼつかない二人、マジョリーナが撤退しようと持ちかけたその時、

 

「その必要はありませんよ!!」

 

 トランプの舞いが降り注ぎ、一同の前に現われた人物、ジョーカーとサディス・・・

 

 二人の出現に、プリキュア達は表情を引き締めた!

 

「三人揃ってお出かけしたと聞きましてね、もうプリキュアを倒した頃かと見に来てみれば・・・イヤハヤ、逃げ出す算段とは・・・」

 

 ジョーカーはヤレヤレといった表情で首を振る。三幹部は図星を指され困惑するも、ウルフルンとアカオーニは不満そうに、

 

「ウ、ウルセェ!後一歩だったんだ!!」

 

「そうオニ!ロボドリームで、ハッピーロボに止めをさせたオニ!!」

 

「ハァ!?ハッピーロボ?ロボドリーム?あなた方、何を言ってらっしゃるんです!?」

 

 怪訝な表情で首を傾げるジョーカーに、マジョリーナはジョーカーの背後を指差し、

 

「ジョーカー!サディス!後ろを見てみるだわさぁ」

 

「何です!?後ろ・・・・・な、何じゃ、アリャ!?」

 

「ゲッ!?あれが、プリキュアだとぉぉ?」

 

 後ろを振り返り見上げたジョーカーとサディスは、ハッピーロボとロボドリームを見て困惑する。三幹部は、ジョーカーに今回の作戦を説明し、ハッピーとドリームを偶然ロボットにして、ロボドリームを奪い、ハッピーロボを苦しめた事を報告する。マジョリーナは、またジョーカーに嫌みを言われると、ウンザリな表情を浮かべたのだが、

 

「ロボットですか?・・・素晴らしい!素晴らしい作戦ですよ!!ですが、プリキュアロボなどで戦っても、面白みに欠けませんか?どうです・・・此処は私達が、合体ロボでプリキュアをバッドエンドにしてみませんか?ウフフフフフ」

 

 意外な事に、ジョーカーもこの作戦にノリノリで、自ら赤玉を手に取ると辺りを見回し、ドンザラスのショーケースに飾られていた、昔の合体ロボットおもちゃに目を付けると、

 

「あれは使えそうですね・・・出でよ!アカンベェ!!」

 

 飾られていた合体ロボ、赤、銀、メタリックブルーの三色のロボットは、アカンベェと化した。顔に付いた赤い鼻だけが一際目立っていた。アカンベェはその姿を五つに分離し、頭部は1号機のバッドジェット、両腕の部分が2号機のバッドクラッシャー、胴体部分が3号機のバッドタンク、両脚部が4号機のバッドマリン、そして、両足が5号機のバッドクラフト、五台のマシーンが、ジョーカー達の目の前に現われる。

 

「ス、スゲェ!!」

 

「凄いオニ!格好良いオニ!!」

 

「五台あるって事は・・・あたしも乗るのかい!?」

 

 大喜びのウルフルンとアカオーニ、自分も乗る事になりそうで困惑するマジョリーナ、ジョーカーは口元に笑みを浮かべながら、

 

「ウルフルンさんは2号機、アカオーニさんは3号機、サディスさんは4号機、マジョリーナさんは5号機、そして、私は1号機に搭乗します!!」

 

 ジョーカーの指示に従い、嬉しそうに指示されたマシーンに乗り込むウルフルンとアカオーニ、ハァと溜息を付きながら、渋々5号機に乗り込むマジョリーナ、サディスは不満気に、

 

「待ちな!何であたしがそんなメカに乗らなきゃならないんだい?あたしはゴメンだね!!」

 

 腕組みしてソッポを向くサディスに、ジョーカーはヤレヤレといった表情で両手を広げると、

 

「それは困りましたねぇ?合体メカには、紅一点の美しい女性が欲しかったのですけど・・・」

 

 ジョーカーのお世辞にピクリと反応したサディスは、満更でも無さそうな表情になると、

 

「そ、そこまで言われちゃ断れないねぇ・・・良いよ!乗ってあげるよ!!」

 

(ウフフフフ、バカと何とかは使いようとは良く言いましたねぇ?)

 

 颯爽と4号機に飛び乗るサディス、ジョーカーは口元に笑みを浮かべながら1号機に飛び乗った。先程のジョーカーの言葉が聞こえたのか、5号機のマジョリーナが怒り出し、

 

「ちょっと、待つだわさぁぁ!女はサディスだけじゃ無いだわさぁぁぁ!!」

 

「「シーン・・・」」

 

 しかし、ウルフルンもアカオーニも、聞こえ無い振りをしてスルーした・・・

 

「私がレェェツと言いましたら、皆さんもバッドエンドっと答えて下さい!さあ、皆さん、行きますよぉぉ!!」

 

 1号機のジョーカーが動き出すと、2号機、4号機、5号機がそれに続いて空に飛び上がり、轟音響かせ地を走る3号機、アカオーニは不満そうに、

 

「何で俺様のバッドタンクは・・・空を飛べないオニ!?」

 

「だってタンクだろう?」

 

「タンクは地上を走る装甲車じゃないか!」

 

「何だ、そういう事オニ!」

 

 ウルフルンとマジョリーナに、タンクだから飛べなくて当たり前だろうと教えられ、納得するアカオーニ、バッドジェットが上空高く飛翔して宙返りをすると、

 

「レェェェツ!!」

 

「「「「「バァァァッドエェェェンド!!!」」」」」

 

 五人の声が揃った時、1号機のバッドジェトから、バッドエナジーが照射され、2号機のバッドクラッシャーに浴びせられると、まるで磁力に吸い付けられるように、2号機は1号機と合体し、更に3号機のバッドタンク、4号機のバッドマリンとバッドエナジーを浴びて合体し、最後に5号機のバッドクラフトが合体すると、ロボドリーム、ハッピーロボを遥かに凌駕する、推定、身長57メートル、体重550t、巨大なロボットが一同の前に姿を現わした・・・

 

 その様子を、ポカンとした表情で見つめるプリキュア達と、ハッピーロボ、ロボドリーム、只一人、ピースだけは目を輝かせて居た。

 

「バッドエンドォォォV!」

 

 ジョーカーが雄叫びを上げ、バッドエナジーを辺りに撒き散らしながら、バッドエンドVが身構えた・・・

 

 

 

「かっ・・・格好良い!!」

 

 目をキラキラ輝かせ、バッドエンドVをウットリした表情で見つめるピースに、サニー、マーチ、ビューティが苦笑を浮かべる。

 

「ピース・・・よう見てみぃ、顔はアカンベェのままや!」

 

「ウン・・・でも、格好良い!!」

 

「「ハァ」」

 

 ピースの態度に、駄目だコリャと言いたげに溜息をついたサニーとマーチ、ハッピーロボは顔中に汗をかき、

 

「な、何か、本物のロボット来ちゃったよぉぉ!?私とドリームは・・・どうなっちゃうのぉぉぉ?」

 

 まさかあんな巨大なロボットと、自分達は戦う事になるのではと困惑するハッピーロボ、一方のロボドリームも、困惑しながらバッドエンドVを見つめていた・・・

 

「何あれぇ!?」

 

 ロボドリームと同じ表情で、呆然と空に浮かび上がるバッドエンドVを見上げるルージュ、レモネード、ミント、アクア、ローズ、

 

「ハハ・・・何だ、ありゃ!?」

 

「私・・・頭が痛くなってきたわ」

 

 変顔浮かべながら困惑するルージュとアクア、レモネードは不安そうに、

 

「私達・・・あんな大きなロボットと戦うんでしょうか?」

 

「でしょうね・・・私達も、ドリームに乗り込んだ方が良いんじゃないの?」

 

 ローズの言葉に頷いた一同がロボドリームへと向かう中、ミントは、ロボドリーム、ハッピーロボ、そしてバッドエンドVを改めて見比べると、

 

「事実は小説よりも奇なりとは・・・良く言ったものね?」

 

 思わずミントはクスリと笑み、アクアを呆れさせた。

 

 

「このバッドエンドVを、ただのロボットとは思わない方が良いですよ?先ずは小手調べです・・・バッドファイター!!」

 

 バッドエンドVの指が、小型のミサイルとなってハッピーロボへと発射された。思わずパニクるサニーとマーチだったが、ピースは自信満々に、

 

「フッフッフ、その程度の攻撃・・・ハッピーロボには効かないのだぁ!ハッピーロボ、ハッピーバリアァァ!!」

 

 ピースの指示に素早く反応したビューティが、マントのようなもので全身を纏うと、バッドファイターの連射を、何事も無いかのように防ぎきった。

 

「「す、凄い!!」」

 

 思わず驚愕するサニーとマーチ、だが、ビューティは険しい表情を浮かべると、

 

「こちらも空を飛べなければ、勝負になりませんねぇ・・・」

 

「大丈夫だよ!キャンディ隊長!!」

 

 ハッピーロボの中に居る、ピースに声を掛けられたキャンディが立ち上がると、ピースは、

 

「キャンディ隊長!ハッピーロボに光の翼を!!」

 

「任せるクルゥ!!」

 

 キャンディは、デコルデコールから、翼デコルを取り出すと、

 

「お兄ちゃん!キャンディをハッピーロボまで連れてってクルゥ!」

 

「つ、連れて行けば良いのでござるか?」

 

 ポップは、鷲の姿に変化すると、キャンディを背に乗せハッピーロボへと向かった。操縦席のドアが開き、ピースがニッコリキャンディに微笑むと、微笑み返したキャンディが翼デコルをピースに手渡し、元の場所へと引き返して行った・・・

 

「さあ、ハッピーロボ!今こそ光の翼を纏うのだぁぁ!!」

 

 ピースが翼デコルをセットすると、ハッピーロボの背に、ピンクの巨大な翼が装着された!!天使のように舞い上がったハッピーロボが、バッドエンドVと向かい合った・・・

 

 

 一方、ロボドリームに乗り込んだ一同は・・・

 

「乗ったは良いけどさ・・・どうやって動かすのよぉぉ!?」

 

「私達、操縦方法何か知らないわよぉぉ」

 

 困惑するルージュとアクア、その時、正面のメインパネルが開き、ビューティの姿が映し出された。

 

「皆さん、簡潔にご説明致します・・・足を動かすには、右足のペダルを踏みながら左右のレバーを交互に前後に動かします。腕を動かすときは左足のペダルを踏みながらです。技を出すには、レバーの上側にある5つのボタンを押せば発動しますが、おそらく、武装はハッピーとドリームとでは違っていると思われます。そして、金色に輝くボタン・・・それが、先程ウルフルン達が放ったドリームの必殺技です!!」

 

 ビューティの指示を受け、誰が操縦するか相談すると、ルージュかアクアが最適だと結論が出て、取り敢えず最初にルージュが操縦席に座った。

 

「エェと、ペダルを踏みながら・・・だったわね!」

 

 右ペダルを踏みながらレバーを上下に動かすと、ロボドリームが歩き始める。レバーを早く動かせば動かす程、走り出したりする事が分かってくる。アクアもルージュの動きを見てある程度のシステムは理解したようだった。

 

「みんなにも、光の翼を授けるね!」

 

 ピースから渡されたサニーが、翼デコルをセットすると、ロボドリームの背にもピンクの光の翼が装着された!!

 

 上昇するロボドリームが、ハッピーロボの隣に並ぶと、

 

「「私達・・・凄ぉぉぉい!!」」

 

 思わず目を輝かして、空を飛んでいる事に喜ぶ二体のプリキュアロボ、だが、バッドエンドVを操るジョーカーの口元は、不適な笑みを浮かべていた・・・

 

「ウフフフ、このバッドエンドVを舐めて貰っては困りますねぇ・・・バッドリターン!!」

 

 バッドエンドVの腰に付いて居る、半球体の物を手裏剣のように二体のプリキュアロボに放つも、ハッピーロボは再びハッピーバリアを、ロボドリームも両手を前に出すと、ピンクの巨大な蝶がバリアとなって攻撃を防いだ。バッドリターンは自動的にバッドエンドVに戻り、ジョーカーはバッドリターンを組み合わせると、バッドエナジーでまるでヨーヨーを操るような動きを始め、

 

「これはどうです?バッドエンド・ヨ~~ヨー!!」

 

 素早いヨーヨー捌きで、バリアを張るプリキュアロボ目掛け怒濤の連打を放つと、ドリームバリアが砕かれ、ロボドリームが錐揉み状態で墜落するも、何とか地上への衝突は回避する。

 

「クッ、何なの?あの動くロボット兵器は!?」

 

「このままじゃ不味いわねぇ・・・」

 

 ルージュの言葉にローズも同意し、五人とロボドリームは、バッドエンドVの実力の片鱗を見せつけられ驚愕した・・・

 

「スゲェ!スゲェぜ!!バッドエンドV!!」

 

「最高オニィィ!!」

 

 ウルフルンとアカオーニは大はしゃぎで喜ぶも、ジョーカーはチッチッチと二人を窘め、

 

「まだまだ、こんな物じゃありませんよ!プリキュアロボに、実力の差を見せつけますかねぇ・・・バッドエンド・タツマキィィィ!!」

 

 頭部のアンテナから発せられたバッドエナジーを腕に移すと、それをハッピーロボ目掛け放った。バッドエナジーは、まるで竜巻のように渦巻き、ハッピーロボは、ハッピーバリアで防ごうとしたものの、バッドエンドタツマキの直撃により、ハッピーバリアは無残に切り刻まれた。

 

「そ、そんなぁ・・・無敵のハッピーバリアが破られる何てぇぇ!?」

 

 ピースはガックリ膝から崩れ落ちた・・・

 

 無敵のハッピーバリアが破られるなど、ピースには信じられなかった。更に状況は悪化し、

 

「クッ!?う、動きを完全に封じられました!操作不能です!!」

 

「「「「エェェ!?」」」」

 

 ビューティの告白を受け、サニー、ピース、マーチ、そしてハッピーロボが困惑した。

 

「さあ、ハッピーロボ!あなたの身体に、巨大な穴を空けて差し上げましょう・・・バッドエンド・スピィィィン!!」

 

 バッドエンドVが両腕を高々と上げて手を組み合わせると、手の先端はドリルのようになり、バッドエンドVは光速回転をしながらハッピーロボ目掛け突き進んだ!!

 

「イヤァァ!あんな攻撃受けたら・・・真二つになっちゃうよぉぉ!!」

 

 困惑の表情を浮かべるハッピーロボ、だが操作不能の今、為す術は無かった・・・

 

「このままじゃハッピーが!?」

 

「こうなれば、一か八かよ!ドリーム、頼んだわよぉぉ!!」

 

 ルージュが驚愕し、意を決したアクアが黄金に輝くボタンを押すと、ロボドリームは宙返りして、シューティングスターの体勢で、バッドエンドスピン目掛け、下方向から急上昇しながら突撃した・・・

 

 

2、集結!プリキュアロボ!!

 

 横浜の街にあゆみの様子を見に来ていたせつなは、かれんから発せられたメールに気付き大慌てだった。ラブに電話すると、ラブ、美希、祈里の下にもかれんからのメールは届いていて、既に美希と祈里はラブの家に集まっていると知り、せつなも慌てて戻ろうとするも、

 

「せつな、私は咲ちゃんとエレンに、美希たんはえりかちゃんに、ブッキーはひかりちゃんに連絡付けたら、みんなも仲間達に連絡して七色ヶ丘に向かってくれるって」

 

「そう・・・それは良かった!じゃあ私は、みんなを迎えに行ってからラブ達と合流するから、カオルちゃんのドーナツ屋の前にでも居て!!」

 

「分かった!じゃあせつな、後で!!」

 

 電話を切ったせつなは、ひかり、咲、ゆり、エレンにメールを入れ、これから迎えに行くから、今みんなが居る場所を教えて欲しいとメールを打った。直ぐに一同から返事がやって来て、ひかりはTAKO CAFEに、咲達はPAN PAKAパンの裏庭に、ゆり達は薫子の植物園に、エレン達は調べの館に集まっているとメールが来た。

 

「流石にみんな素早いわねぇ・・・あゆみ、悪いけど今日はこれで帰るわね!」

 

「アッ!せつなさん・・・私も一緒に連れてって下さい!みゆきちゃん達の事が心配で・・・」

 

 七色ヶ丘で何かが起こっていると聞き、あゆみの心は不安で一杯だった・・・

 

 自分が行った所で、何の力にもなれない事はあゆみにも分かっていた。だが、みゆき達の下に駆けつけたい!どんな些細な事でも良いから、力になりたいとあゆみは思った。

 

 そんなあゆみの心情を察知したせつなは、

 

「良いのね?何が起こっているかは・・・私達にも分からないわよ?」

 

「ハイ!構いません!!」

 

 あゆみの決意に、頷き返したせつなは、アカルンを呼び出し、あゆみと共に消え失せた・・・

 

 

 

 動きが取れないハッピーロボ目掛け、バッドエンドVのバッドエンドスピンが迫る。このままでは直撃を食らう、ハッピーロボとサニー、ピース、マーチ、ビューティの表情が凍り付いた時、下から物凄い速さでピンクの流星が急上昇を掛け、バッドエンドスピンと激突した・・・

 

「「「「「「キャァァァァァァ!!」」」」」」

 

 バッドエンドスピンの威力の前では、ロボドリームのシューティングスターも効果が無く、ロボドリームは弾き飛ばされた。思わず悲鳴を上げながら墜落するロボドリームと仲間達、操縦席から弾け飛んだルージュに代り、慌ててアクアが操縦席に座ると、体勢を何とか立て直した。

 

「ルージュ、大丈夫?」

 

「エエ、何とか・・・ハッピー達は!?」

 

 心配したアクアがルージュに声を掛けると、ルージュは大丈夫だと告げた。一同は、ハッピーロボが無事で居てくれと空を見上げると、ハッピーロボは無事健在で、一同はホッと安堵した。弾き飛ばされはしたものの、シューティングスターの勢いのお陰で、バッドエンドスピンはハッピーロボから軌道が逸れ、ハッピーロボは辛くも難を逃れた。ロボドリームのモニターにスマイル組が映し出され、ビューティが一同を代表するかのように、

 

「皆さん、ありがとうございました!どうやら操縦可能になったようです!!」

 

「し、死ぬかと思うたわ」

 

「こ、怖かったよぉぉ!!」

 

 サニーとマーチが抱き合いながら半泣きし、ピースは腰が抜けたかのように地面に座り込んでいた。アクアは一同の無事な姿を見て安堵し、

 

「みんな、無事で何よりだわ!」

 

「でも・・・想像以上の相手ね!」

 

 真顔になったローズの言葉に、一同は表情を引き締めた。

 

 

 

「おやおや、外れましたかぁ!?まあ、楽しみは後で取っておきましょうかねぇ」

 

 まるで上から見下すように、ハッピーロボとロボドリームを見つめるバッドエンドV・・・

 

 このままでは何れやられてしまう・・・

 

 ココとナッツは頷き合うと、ナッツはミラクルガイドライトのスイッチを入れた。先端のハートは激しく点滅し、虹色の輝きが上空を照らした・・・

 

「みんな、この場所に気付いてナツ」

 

「早く、早く来てココ!!」

 

 ライトを振りながら、他のプリキュア達の加勢を待ち望む妖精達であった・・・

 

 

 

 再び上昇したロボドリームと、ハッピーロボだったが、動くロボット兵器と呼べるバッドエンドVの、巨大なミサイルであるバッドブラスト、頭部の角から発生したバッドエナジーを、指先に集めて発するバッドエンドスパーク、額のV字マークから発せられるVビーム、背中のキャタピラに、刃が現われ打ち出すバッドチェーンソー、数々の武器が容赦なく二体のプリキュアロボに浴びせられた・・・

 

「こ、このままでは・・・」

 

「不味いわね・・・」

 

 操縦しているビューティ、アクアの表情が一層険しくなっていく・・・

 

 ハッピーロボ、ロボドリーム、両者共数々の攻撃を受け、目がグルグル回っていた・・・

 

「どうしました!?もう、終りですか?」

 

「ジョーカー!遊んでないでさっさと止めを刺しちまいな!!」

 

 勝ち誇った表情でプリキュアロボを見下すジョーカー、サディスは遊んで居ないでさっさと倒せと進言する。

 

「そうですね!もう少し相手になるかと思ったのですがねぇ・・・」

 

 最早、相手にするのも飽きた表情を浮かべたジョーカーだったが、その時、ココ達の前方が赤く輝き、待ち望んでいたプリキュアの仲間達とあゆみが駆けつけた・・・

 

 

 

 何が起こっているか分からない今、一同は既にプリキュアに変身して駆けつけてくれた・・・

 

 メップル達はコミューン姿でルミナスと共に、フラッピ達もコミューン姿でブルーム達と一緒に、タルトとシフォン、シプレ達、ハミィとフェアリートーン、そしてピーちゃんの妖精達も一緒だった。

 

「ココ、ナッツ、シロップ、キャンディにポップも、待たせたわね!」

 

「それで、ドリーム達やハッピー達は何処に居るの?」

 

 パッションが、ブルームが、ココ達に声を掛けると、キャンディは空を見上げ指差し、

 

「みんななら、お空で戦ってるクル!」

 

「空!?」

 

 空を指さすキャンディに、ムーンライトは怪訝な表情を浮かべ、キャンディが指さす空を一同が見上げた時、一同の表情は凍り付いた・・・

 

「ゲッ!?何、あの変なの?」

 

「何か・・・ドリームとハッピーに似た変なのが、巨大な物と戦ってるわ!」

 

 マリンは不可解な物体に驚き、目が良いパッションが、ドリームとハッピーに似た物が、巨大な何かと戦って居ると告げると、

 

「皆の衆!信じられんでござろうが・・・あれはハッピーとドリームでござる」

 

「このロボニナールで、二人はロボットになっちゃったクル」

 

「今、ルージュ達がドリームに、ビューティ達がハッピーに乗り込んで戦って居るナツ」

 

「ハァ!?」

 

 ポップ、キャンディ、ナッツの説明を聞いても、一同は俄には信じられない話であった。キャンディはロボニナールを手に持つと、

 

「みんなもこれでロボットになって、ハッピーロボとロボドリームを助けてクル」

 

「エェェェ!?」

 

 突然キャンディにロボニナールを向けられてパニクる一同、ココとナッツ、ポップから、ハッピーやドリームのような姿になるだけだから、安心して欲しいと言われる。

 

「安心して・・・って言われてもねぇ!?」

 

「ちゃんと元に戻れるんでしょうね?」

 

 ベリーとブライトに言われたココ達は、顔を見合わせると、

 

「それは分からないロプ・・・」

 

「冗談じゃないわよぉぉぉ!!」

 

「元に戻れるか分からないのに・・・ロボットに何かなりたくないわよ!!」

 

 シロップに、元に戻れるかは分からないと告げられると、リズムは目の色変えて怒り、ベリーも拒否をする。空を見上げたパッションは、

 

「でも、このままじゃ不味いわよ?敵の攻撃に完全に押されてるわ!」

 

 一同の耳にも、確かにロボドリームとハッピーロボの悲鳴が聞こえてくる。空を見つめるルミナスは、何かを決意した表情を浮かべると、

 

「キャンディ、私をその銃で、ロボットにして下さい!」

 

「クルゥ!?」

 

 ルミナスは、自分が守りを受け持てば、ドリームとハッピーは、攻撃に集中出来るのではと考えた末の結論だった。ルミナスはあゆみに頼み、メップル達四人を預けると、メップル達は不安そうにルミナスを見つめた。そんな一同に笑みを浮かべたルミナスは、キャンディに頷きかけると、キャンディは目を輝かせながら、

 

「ありがとクルゥ!!」

 

 ルミナスにロボニナールを浴びせると、ルミナスの身体がどんどん巨大化し、ドリームとハッピーのような容姿に変わった・・・

 

 他のプリキュア達が、目が点になる中、あゆみはルミナスロボを見つめると、

 

「ルミナス!私も・・・私も一緒に戦わせて下さい!!ロボットの操縦なんか出来ないけど・・・何かの役に立ちたい!!」

 

「ええ、あゆみさん、一緒に戦いましょう!!」

 

 ルミナスロボの胸元が開くと、操縦席らしきものが現われた。シロップは巨大化し、ココとナッツは人間姿になると、あゆみを伴い、

 

「僕とナッツ、あゆみは、ルミナスに乗り込んでドリームとハッピーの援護に向かう」

 

「みんなも後から来てくれ!!」

 

 シロップは舞い上がり、ココとナッツ、あゆみを操縦席に乗せると、自分も人間姿になるやルミナスロボに乗り込んだ。ハッピーロボとロボドリームへの連絡が付いたのか、ルミナスロボの背にも光の翼が現われ、ルミナスロボは大空に飛翔した・・・

 

 

 最早迷って居る状況では無いと察した一同、ベリーとマリンは、ピーチとブロッサムを見つめると、

 

「仕方無いわねぇ・・・ピーチ!」

 

「ブロッサム!ヨロシクゥゥ!!」

 

「分かった・・・ってぇ、何でよぉぉぉ!?」

 

「エェェ!?何で私達何ですかぁぁ?」

 

 ベリーとマリンに、ロボになってと言われ、思わずピーチとブロッサムが抗議をするも、ベリーは空で戦って居る三体を指差しながら、

 

「だってぇ、ドリームもハッピーも・・・ピンクチームじゃない?」

 

「ルミナスは違うでしょう?」

 

 不満そうに口を尖らせ、ルミナスは違うでしょうとピーチが言うも、ベリーとマリンは意味深な笑みを浮かべ合いながら、

 

「いやぁ、ルミナスはブラックの代わりという事で・・・」

 

「そうそう!」

 

「「ねぇ~!」」

 

 ベリーとマリンは顔を見合わせ「ねぇ~」と頷き合うと、ブルームとメロディの表情が凍り付き、

 

「ちょっと待って!その法則で行くと・・・私とメロディもじゃないのよぉぉ?」

 

「狡いよぉぉぉ!?」

 

 ピンクチームはロボットになってと言われ、ブルームとメロディも膨れっ面で抗議する。タルトはウンウン頷くと、

 

「せやなぁ、どちらか言うたら・・・ピーチはんより、ベリーはんの方がロボット向きな気も、わいはしよるわ」

 

「ちょっとタルト!どういう意味よぉぉぉ!?」

 

 タルトに、自分の方がロボット向きだと言われたベリーは、ムッとしながらタルトに真意を問うと、タルトはベリーに背を向け、歩きながら言葉を続けて、

 

「ラビリンスで、ピーチはん達がキュアエンジェルになったやろう?ピーチはん、パインはん、パッションはんの背は、天使の羽やったけど、ベリーはんのは・・・ロボットのような羽根やったさかい」

 

 タルトの言葉を聞いたベリーは、どんどん無言になり、その表情を見たピーチ、パイン、パッションは、変顔を浮かべながらタルトに後ろ、後ろとジェスチャーで伝えるも、タルトには伝わらず、ブルブル震えだしたベリーは、

 

「タルゥゥトォォォォ!!」

 

 名前を呼ばれ振り返ったタルトは、ベリーの表情を見て腰を抜かした・・・

 

 ベリーに取って触れられたくない出来事だったようで、鬼気迫る表情でタルトに躙り寄って行った・・・

 

 一向に誰がロボになるか決らない事に、キャンディは頬を膨らませると、イライラしたように、

 

「誰でも良いから、ロボになるクルゥゥ!!」

 

「キャ、キャンディ!待つでござる!!」

 

 ポップが止めるのも聞かず、キャンディは無造作にロボニナールを発射した・・・

 

 慌てて躱す者・・・

 

 避けきれず光線を浴びた者・・・

 

 ロボニナールの直撃を受けたのは、ブルーム、ベリー、マリン、メロディの四人・・・

 

 四人の身体は徐々に巨大化し、ハッピーロボとロボドリームのような容姿へと変化していった・・・

 

「何で結局・・・あたしなのよぉぉぉ!?」

 

「何であたしまでぇぇ?」

 

 困惑するベリーロボとマリンロボ、ロボブルームとロボメロディは観念したようで、

 

「もう、こうなったらしょうがない・・・イーグレット、ブライト、ウィンディ、私に乗って!ドリームとハッピーの応援に行こう!!」

 

「ブルーム・・・大丈夫なの!?」

 

「喋れはするけど・・・全く動けないや!アハハハ!!」

 

 心配そうなイーグレットに、ブルームは自虐っぽく乾いた笑い声を上げた・・・

 

「ここで決めなきゃ女がすたる・・・リズム、ビート、ミューズ、行くよ!!」

 

「女というか・・・ロボットだけどね?」

 

「リズム・・・うるさいよぉぉ!!」

 

 二体の胸元が開くと、乗り込んでいくイーグレット達とリズム、ロボメロディを改めて見つめたビートとミューズは、

 

「まさか・・・メロディに乗って戦う事になるとはねぇ・・・」

 

「奏太が聞いたら大喜びしそうね・・・」

 

「うるさいなぁ!早く乗ってよ!!」

 

 ロボメロディに急かされたビートとミューズも乗り込んだ。最後まで渋っていたベリーロボとマリンロボであったが、ムーンライトは二人を見上げながら、

 

「マリン!ベリー!あなた達もそうなったからには・・・覚悟を決めなさい!!」

 

「「ハァァ・・・」」

 

 ベリーロボとマリンロボの眉は下がり、トホホ顔を浮かべながら操縦席を開いた・・・

 

 

「皆さん、救援ありがとうございます!簡単に操縦方法をお伝え致します・・・」

 

 メインパネルに現われたビューティからの説明を聞き、ロボブルームの操縦をブライトが、ベリーロボの操縦をピーチが、マリンロボの操縦をブロッサムが、そして、ロボメロディの操縦をリズムが行う。

 

 大体の操縦方法を覚えた一同が、光の翼を纏い、新たに加わったロボブルーム、ベリーロボ、マリンロボ、ロボメロディが大空に舞い、ハッピーロボ、ロボドリーム、ルミナスロボと合流し、七体のプリキュアロボと、バッドエンドVが睨み合いになった・・・

 

 

 

3、決着!プリキュアパンチ!!

 

 加勢に現われたプリキュアロボを見ても、ジョーカーは余裕の表情を浮かべていた・・・

 

「何人来ようが、このバッドエンドVの前では無意味ですよ!バッドエンド・ヨ~~ヨー!!」

 

 再びバッドエンドヨーヨーを操り、プリキュアロボ目掛け攻撃を開始するジョーカー、すかさず前に出たルミナスロボが、光のバリアで攻撃を完全に遮断する。

 

「また黄色のロボですか・・・全く忌々しいですねぇ?」

 

 バッドエンドVの数々の攻撃を防ぎ続けるルミナスロボに、ジョーカーは苛立ちを覚えて居た。

 

「皆さんは、攻撃に集中して下さい!!」

 

 ルミナスロボの操縦席に座るのはあゆみ、ココとナッツのアドバイスを受けながら、懸命にルミナスロボを操縦していた。

 

「あゆみちゃん、ルミナス、ありがとう!」

 

「みんなが加勢に来てくれれば、百人力だね!」

 

 ハッピーロボとロボドリームの眉が上がり、気合いを込める。二体が左右に散ると、バッドエンドVに格闘戦を仕掛けた。マリンロボを操縦していたブロッサムも同意し、

 

「分かりました!マリンロボ・・・今こそ必殺技を使う時です!!」

 

「って言われてもさぁ・・・あたしにもどんな技があるか分からないし」

 

 ブロッサムが黄色のボタンを押すと、操縦室が突然赤くなり警告音が鳴り響いた。ブロッサム達は何事かと度肝を抜かれて居ると、

 

「自爆装置作動!自爆装置作動!」

 

「自爆装置!?」

 

「ブ、ブロッサム!?何のボタンを押したの?」

 

 自爆装置が作動し、顔をしかめたムーンライトとサンシャインは、ブロッサムに問いただすと、ブロッサムはドキっとした表情を浮かべながら、

 

「エェ!?わ、私はビューティに説明された通り、ちゃんと黄色のボタンを押しましたよ!」

 

「ビューティは、金色のボタンって言ってなかったかしら?」

 

「確かにそう言ってました!」

 

「アッ!?」

 

 ムーンライトとサンシャインに指摘され、ブロッサムは自分がボタンを押し間違えていた事に気付き、変顔を浮かべた・・・

 

「で、でも・・・マリン!何で、自爆装置何か付いてるんですかぁぁ!?」

 

「あたしが知る訳ないっしょ?押したのはブロッサムでしょうがぁぁ!!」

 

「そんな事言われましても・・・」

 

 マリンロボに怒られ、困惑するブロッサム、尚も激しいブザー音が鳴り響くと、マリンロボを中心に、ドンという爆発音が発生し、目をグルグル回したマリンロボは口から黒煙を吐くや、眉を思いっ切り吊り上げ、

 

「ブロッサム!何やってんのよぉぉぉ!!」

 

「これは・・・ひょっとしてプリキュア大爆発だったんじゃ?」

 

「何でよりによって、これがあたしの技なのよぉぉ!?」

 

「「ハァ・・・」」

 

 ブロッサムとマリンロボの掛け合いを聞き、思わず溜息を漏らすムーンライトとサンシャインであった・・・

 

 

 

「ヒャァッハハハハ!勝手に自爆するとは・・・随分頼りになるお仲間をお持ちですねぇ?」

 

「ウルッフッフッフ!しょせんお前ら何か、バッドエンドVの敵じゃねぇんだよぉ!」

 

「流石オニ!バッドエンドVは無敵オニ!!」

 

 笑うジョーカー、見下すウルフルンとアカオーニ、そんな三人をモニター越しに、醒めた視線で見つめるマジョリーナとサディスは、

 

「何時までこんな事に付き合わされるんだわさぁ?」

 

「全く・・・さっさと帰りたいね?」

 

「「ハァ」」

 

 思わず二人は溜息をついた・・・

 

 

 トラブルに見舞われ、爆発したマリンロボを見て驚愕した一同だったが、マリンロボは、口から黒煙を吐いた程度で、一同はホッと安堵を浮かべた。ピースも驚いたものの、

 

「あぁ!マリンロボがぁ・・・でも、まだ動けそうで良かった!ロボブルーム!ベリーロボ!マリンロボ!ロボメロディ!四体共、ハッピーロボとロボドリームに続くのだぁぁ!!」

 

「「「「ロボって呼ぶなぁぁぁぁ!!!」」」」

 

 鼻息荒く一同をロボと呼び指示を出すピースに、四体のプリキュアロボがハモリながら抗議した。

 

「やけにピースは楽しそうね?」

 

「ピースは、元々ロボット作品が好きだって言ってたから・・・」

 

「どうりで、ウキウキしてると思ったわ」

 

「相変わらず・・・お子様ねぇ」

 

 メインモニターに映し出された、嬉々として指示を出すピースの姿に、ムーンライト、ピーチ、ウィンディ、ミューズが思わず苦笑を浮かべた。

 

 

 動くロボット兵器、バッドエンドVの攻撃を耐え凌いだプリキュアロボ達、反撃を試みるも、巨大なバッドエンドVに有効打になる攻撃を与える事は出来なかった・・・

 

「このままじゃ埒があかないわ!」

 

「バラバラに攻撃するより、一カ所を集中攻撃した方が良いのでは?」

 

 手応えがない相手に、アクアが戸惑い、ビューティはみんなで一カ所を集中攻撃してみるのも一つの手ではないかと進言する。リズムもその提案に頷くと、

 

「やってみる価値はありそうねぇ」

 

「そうね・・・ただ、相手がそう上手くこちらの狙い通りに行くかどうか・・・」

 

「うん!あの巨体だからねぇ・・・」

 

 ブライトの戸惑いにピーチも頷く、そんな一同にルミナスロボは、

 

「私に考えがあります!あゆみさん、あのロボット目掛け私の必殺技を放って下さい!私の想像通りなら・・・あのロボットの動きを、少しの間止められる筈です!!」

 

「分かりました!やってみます!!」

 

 ルミナスロボの指示通り、バッドエンドVの正面に移動したルミナスロボに、ジョーカーは怪訝な表情を浮かべるも、

 

「何を企んで居るか知りませんけど・・・無駄だという事を教えて差し上げましょう!バッドエンド・タツマキィィィ!!」

 

 再びバッドエンドタツマキのモーションに入ると、アクアとビューティの顔色が一気に青ざめた。

 

「不味い!あの技は・・・」

 

「ルミナス!あゆみさん達も、気をつけて下さい!あの技を受けると・・・行動不能に陥ってしまいます!!」

 

 頭部のアンテナから再びバッドエナジーが放出され始める。

 

「今です!」

 

「分かりましたぁ!!」

 

 ルミナスの指示の下、あゆみが金色のボタンを押すと、ルミナスロボはバトンを取りだし構え、ハーティエルアンクションのポーズを取り、バッドエンドVへと放った。ハーティエルアンクションをまともに受けたバッドエンドVは、虹色の輝きに包まれ行動不能に陥った。

 

「バ、バカな!?こちらが行動不能に陥るとは?」

 

 操縦桿をガチャガチャ動かすも、バッドエンドVは身動き出来ず、ジョーカーを焦らせる。ルミナスロボは、その瞬間を見逃さず、

 

「皆さん、今です!!」

 

 ルミナスロボの合図を受け、バッドエンドVへと向かった六体のプリキュアロボ、アクアは、バッドエンドVの頭部の角からバッドエナジーが放出されているのに気づき、

 

「みんな、私の想像通りなら、あのロボットの頭部に集中攻撃を掛けて!」

 

 アクアの指示を受け身構えるプリキュアロボ・・・

 

「みんなぁ!プリキュアロボには・・・共通の必殺技があるのぉぉ!!青いボタンを押してぇぇ!!」

 

「共通の必殺技?」

 

「ウン!それは・・・プリキュアパンチ!!」

 

「「「「「「ハァ!?」」」」」」

 

「いいから、言われた通りにしてぇぇ!せぇぇのぉぉ!!」

 

 ピースの指示通り、ビューティ、アクア、ブライト、ピーチ、ブロッサム、リズム、皆タイミングを合わせ青いボタンを押すと、六体のプリキュアロボの左手が、火花を散らしながらバッドエンドVへと飛んでいった!!

 

「「「「私のぉぉ」」」」

 

「「あたしのぉぉ」」

 

「「「「「「腕がぁぁぁぁ!?」」」」」」

 

 自分の腕が勝手に轟音上げて飛んでいく様に、六体のプリキュアロボが仰天した・・・

 

 

 次々とバッドエンドVの頭部に炸裂するプリキュアパンチに、バッドエンドVの頭部の角は折れ果て、バッドエナジーが無造作に放出されると、合体が解け始め、五台のマシーンがバランスを崩し始める。

 

「行けぇ!ハッピーロボ!!止めのハッピーシャワー!!!」

 

「左腕がまだ戻ってませんから・・・出来ません!」

 

 自信満々に、止めのハッピーシャワーを指示したピースだったが、飛んでいった左腕が戻ってこないので、出来ないと冷静にビューティに突っ込まれる。ピースは変顔を浮かべながら、

 

「アァァンもう!じゃあ、もう片方の腕で・・・みんな、もう一発プリキュアパンチで止めよ!!」

 

 ピースの合図で再び青いボタンを押した一同、

 

「「「「私のぉぉ」」」」

 

「「あたしのぉぉ」」

 

「「「「「「右腕がぁぁぁぁ!?」」」」」」

 

 六体のプリキュアロボは、泣きそうな顔を浮かべながら、飛んで行った右腕を見つめた。両腕が無い状態のプリキュアロボであったが、その容姿ゆえか、何処かコミカルだった。

 

 

 再び六体のプリキュアパンチを浴び、流石のバッドエンドVもその攻撃を耐えきれず、ジョーカー、ウルフルン、アカオーニ、サディス、マジョリーナは緊急脱出をして上空に浮かび上がった。

 

「まさか・・・バッドエンドVが倒されるとは!?」

 

「畜生!!」

 

「ウオォォ!悔しいオニィィ!!」

 

「やれやれ」

 

「やっと解放されただわさぁ」

 

 五人が撤退し、バッドエンド空間が解除されると同時に、バッドエンドVは消滅し、海に落ちそうな15個目のキュアデコルを、鷲の姿になったポップの背に乗ったキャンディがキャッチし、元のおもちゃの姿を取り戻した・・・

 

「バンザァァイ!流石プリキュアロボォォォ!!」

 

「「「「だから、ロボって言うなぁぁぁ!!」」」」

 

 逆転勝利に大喜びするピースに、四体のプリキュアロボは再びピースにロボと呼ぶなと文句を言い、

 

「ウエェェン!手が・・・元に戻ったぁぁ!!」

 

「良かった、良かった!」

 

 ハッピーロボとロボドリームは、無事に戻った手を見ながら喜んだ。

 

「みんなで勝利のポーズをしよう!白いボタンを押して!!」

 

「「「「「「白いボタン!?」」」」」」

 

「ピース、そのボタンは・・・」

 

「いいから、いいから・・・ポチッと!!」

 

 プリキュアロボ大勝利を祝し、みんなで勝利のポーズをしようと提案したピース、誘われた一同は、訝しみながらも、ピースに言われたように白いボタンを押した。白いボタンの意味を知っていたビューティだったが、ピースは嬉しそうに白いボタンを押した。

 

 ルミナスロボのツインテールの髪が、ゆっくり回転を始めた・・・

 

 ロボブルームの跳ねた髪が、蟹の足のように動き始めた・・・

 

 ロボドリームのドーナツ状に結わいた髪が、前後にパタパタ動き始めた・・・

 

 ベリーロボの束ねた髪が、ヨーヨーのように伸び縮み始めた・・・

 

 マリンロボの長い髪が、触手のようにウネウネ動き始めた・・・

 

 ロボメロディの兎の耳のようなリボンが、左右交互に前後に揺れ始めた・・・

 

 そして、ハッピーロボの跳ねた髪が、レーダーのようにクルクル回転し始めた・・・

 

「プリキュアロボ!勝利のポーズ・・・決めぇぇ!!」

 

「「「「いい加減・・・ロボって呼ぶなぁぁぁぁ!!」」」」

 

 ピースは、ドヤ顔を浮かべながら、右手を突き出しポーズを決め、ロボブルーム、ベリーロボ、マリンロボ、ロボメロディに、三度目の突っ込みを入れられた・・・

 

 苦笑を浮かべていたルミナスロボだったが、何かを思い出したかのように困惑気味に一同に話し掛け、

 

「でも・・・私達、一体どうやって元に戻れるんでしょうか?」

 

「「「「「「アッ!?」」」」」」

 

 ルミナスロボの現実に引き戻す一言を受け、プリキュアロボ達はフリーズするのだった・・・

 

         第五十六話:脅威の合体ロボ!その名はバッドエンドV!!

                     完


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