プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第五十五話:激突!ロボドリームVSハッピーロボ!!

1、やよい、燃ゆ!

 

 ゴールデンウィークも終り、この日、学校から帰ったやよいは、素早く晩ご飯の準備を終えると、TVの前でやよいが大好きな、鉄人戦士ロボッターを見て一喜一憂していた。

 

 鉄人戦士ロボッター・・・

 

 少年タケルとロボッターが、仲間達と共に、地上の平和と、愛、友情を守る為、地球侵略を目論む、悪の皇帝ワルブッター率いる、機械帝国に立ち向かう物語である・・・

 

「イッケェェ!ロボッター!!」

 

 興奮気味にロボッターを応援するやよい・・・

 

 太陽マンもそうだが、やよいは、地球の平和を守る作品が大好きだった。やよいが幼い時に亡くなった父勇一、幼い頃から平和のありがたさを勇一から聞いていたやよいは、自分の思いを、自作のミラクルピースというスーパーヒロインに置き換えていた程である。

 

「ロボッター!負けるなぁぁ!!」

 

 ロボッターがパンチを放てば自分もパンチを、キックを放てば自分もキックを、まるで自分がロボッターの操縦者かのように行動するやよいだった。

 

 その時玄関のドアが開き、やよいの母千春が仕事から帰ってくると、

 

「ただいま!やよい、ゴメンねぇ、遅くなっちゃって!今支度を・・・って、終わってるし!?そうか、今日は木曜日だものね・・・ウフフ」

 

「ママ、お帰りなさぁい!そこだぁぁ!!」

 

 千春が帰ってきても、無邪気にTVの中のロボッターに声援を送るやよい、月面上で大苦戦するロボッターに、やよいは拳を握りしめ声援を送り続ける。

 

 タケルとロボッター、二人の気持ちが合わさった時、ロボッターは覚醒し、右腕をグルグル回転させたロボッターは、新必殺技、大車輪ロボッターパンチで敵を粉砕する!!

 

「ロボッター・・・俺とお前は、兄弟だぜ!」

 

「ああ、タケル!!」

 

 二人は、月面から見える青く輝く地球を見て微笑んだ・・・

 

「凄ぉぉぉい!!」

 

 新必殺技での勝利に、やよいの興奮は最高潮だった。千春はそんなやよいを見てクスリと笑い、そろそろご飯にしましょうとやよいを呼ぶ。その時、

 

「特報・・・TVの前のみんなぁ!何時も応援してくれてありがとう!!そんな君達にビッグなお知らせだ!!」

 

 その内容は、やよいが大好きなロボッターの超合金シリーズに、ロボッターと、悪の皇帝ワルブッターの超合金DXが同時発売されるという事だった。しかも、今日放送した大車輪ロボッターパンチの再現も可能だという。限定バージョンには、ロボッターの操縦者、タケルフィギュア付きで、価格は9980円!

 

 一方のワルブッターは、マントが脱着可能で、価格は7980円!

 

 やよいは既にこの情報を掴んでおり、背後の千春を呼ぶと、

 

「ママ!私、ロボッターDXが・・・どうしても、どうしても欲しいのぉぉ!!買っても良いでしょう?」

 

「ハイハイ、やよいは何時もママを手伝ってくれてるし・・・良いわよ!OKします!!」

 

「ワァァ!ママ、大好きぃぃ!!」

 

 やよいは大喜びで千春に抱きついた・・・

 

 

 

 翌日・・・

 

 何時ものようにみゆき、あかね、やよい、なお、れいかの五人で学校から帰宅していると、あかねは徐にこの前の事を思い出し、

 

「ハァ・・・この間はエライ目におうたわ!まさか、ウチとやよいだけ宿題出されるとは思わんかった・・・」

 

「あかね・・・それはあたしとエレンさん、佐々木先生のセリフだよぉぉ!あかねとやよいちゃんは・・・自業自得だろう?」

 

 加音町に遊びに行った一同は、マジョリーナのアイテムに振り回され、且つ悪戯した報いを受けたあかねとやよいは、れいかの協力もあり、何とか急遽佐々木先生に出された英語の反省文を手渡す事が出来た。佐々木先生からは、二度とあんな悪戯はしないようにと、あかねとやよいは厳重注意をされていた。

 

「せやかて、佐々木先生の胸を触ったのはやよいやでぇ!ウチはとばっちりやぁ!!」

 

「あかねちゃん、ボヤかない、ボヤかない」

 

 みゆきに窘められ、変顔を浮かべたあかねが言葉に詰まると、みゆき、なお、れいかが思わず笑いだす。

 

 そんな中、おもちゃ屋の前で突然やよいの足が止まり、一同が何事かと立ち止まると、

 

「みゆきちゃん、見てみて!ロボッターDXのプロモやってるよぉ!!」

 

「エェ!?どれどれ?」

 

「キャンディも見たいクルゥゥ」

 

 キャンディはカバンから這い出ると、みゆきの頭の上に飛び乗り、三人はその宣伝に釘付けになっていた。

 

「何や、みゆきの奴も食いついて見てるなぁ?」

 

「うん、すこぶる食いついてるね」

 

「何でも、やよいさんから借りたロボッターのDVDを、キャンディと一緒に見てたそうですよ」

 

「「ヘェ・・・」」

 

 れいかから聞いたものの、興味が無さそうな表情を浮かべるあかねとなお、れいかは、やよいの好きなヒーロー物の時と同じ反応をする二人に、思わず苦笑を浮かべた。

 

「みゆきちゃん!これは買いに行かない訳には行かないよ!!」

 

「そうだねぇ・・・て、私はもうお小遣いほとんど残ってないから無理だけど・・・アハハ」

 

 みゆきは咲達の町に行ったり、加音町に行ったりして、もうほとんどお小遣いが残って居ないのを思い出し、思わず苦笑を浮かべた。やよいは残念そうな表情を浮かべるも、

 

「でも、買いに行くのは付き合ってくれるよねぇ!?みんなも、良いでしょう?」

 

「此処で買うんやろぉ?一人でエエやん!」

 

「此処じゃ駄目なのぉぉ!海沿いにある大型ショップ、ドンザラスで買うと・・・何とドンザラス限定、ロボッタークリアファイルが付いてくるんだよぉぉ!!」

 

 やよいはキラキラ輝く目をしながら、あかね、なお、れいかに一緒に買いに行くの付き合ってとおねだりすると、あかね、なお、れいかは苦笑を浮かべる。

 

「みんなも、鉄人戦士ロボッターを見てくれれば、きっと面白さがわかるよ!!」

 

 鼻息荒く、一同にロボッターの面白さをアピールするやよいに、あかね、なお、れいかは困惑気味に苦笑し、

 

「あたしの家も弟達が見てるから、名前は知ってるけど・・・あたしは興味無いなぁ・・・どうせ同じロボット物なら、まだ車がロボットになる奴の方が良いかなぁ!?」

 

「ああ、絶望的に何たら言う奴やろぉ?げんきの奴が見取るわ!でも、ウチにはちっとも・・・ロボットの何処がエエの?」

 

「なお、あかねさん、何だかんだ言いながら知っているんですねぇ・・・私はそのどちらも全く知りませんけど・・・」

 

 女子中学生達が、おもちゃ屋の前でロボット談義をする姿も、ある意味滑稽ではあった・・・

 

「ねぇ、良いでしょう?ちゃんとロボッター大図鑑も持ってくるから、みんなにも色々教えてあ・げ・る!!」

 

 鼻息荒くあかね、なお、れいかを説得するやよいに、三人は引き攣った笑みを浮かべると、根負けしたあかねは、

 

「分かった!分かった!それで、発売日は何時なん?」

 

「明日!!」

 

「「「「明日!?」」」」

 

 同意してくれそうで、ニッコリ微笑みながらやよいが明日だと答えると、四人の表情が一斉に曇り、やよいは小首を傾げた。みゆきは、嬉しそうなやよいに申し訳無さそうに、

 

「やよいちゃん・・・明日は無理だよ!」

 

「エェェ!?何で!?どうしてぇぇ?」

 

 天国から地獄に落下していくようにショックを受けたやよいは、みゆき、あかね、なお、れいかの顔を一人づつ見つめ、今にも泣きそうな表情を浮かべた。

 

「何でって・・・やよいも知ってるやろう?」

 

「明日はあたし達の街に、のぞみさん、りんさん、うららさん、くるみさんが来る日でしょう!」

 

「この前加音町で、のぞみさん達と決めたじゃありませんか!」

 

「アッ!?」

 

 やよいの表情が見る見る凍り付いていった。あかね、なお、れいかの言葉で思い出したやよい、加音町でのぞみ達と会話していた時、次の週末に遊びに来るとのぞみ達が言っていた。かれんとこまちは、あいにくその日は模試があって来れないが、のぞみ達は遊びに来ると確かに言っていたのを思い出した・・・

 

「ひ、日にちを延ばして貰うとか・・・駄目かなぁ?」

 

「やよい!」

 

「「やよいちゃん!」」

 

「やよいさん!」

 

 あかね、みゆき、なお、れいかに窘められ、やよいはションボリ落ち込むも、

 

(ま、まだ諦めないんだからぁぁぁ!!)

 

 やよいのロボッターへの執着は凄まじく、まだ何か作戦を考えようとしていた・・・

 

 

 

2、ロボニナール

 

 バッドエンド王国・・・

 

「食らえ、ロボッター!ワルブッター・・・パァァァンチ!!」

 

「ウワァァ!強いオニ!流石ワルブッター様オニ!!」

 

 ご機嫌でロボッターとワルブッターのおもちゃで遊んで居るのは、ウルフルンとアカオーニ、そんな二名に興味が無さそうにディクレ、ベガ、サディスは、早々に自分の部屋へと戻って行った。マジョリーナは呆れた表情で二人を見つめると、

 

「全く・・・何処が楽しいんだか」

 

「さあ止めだ、ロボッター!合体!ガシ~~ン!ワルブッター・・・アタ~~ック!」

 

 おもちゃを合体させたウルフルンが、アカオーニの持つロボッター目掛けキックを放つと、ロボッターをゴロゴロ転がし、腕の部品を取り外すと、

 

「ウワァァ!流石ワルブッター様!強いオニぃぃ!負けたオニぃぃ!!」

 

 二人でテーブルを叩き大喜びをする。マジョリーナは、大騒ぎする二人に醒めた視線を浴びせた。

 

 この場にやよいが居れば、さぞかし三人で盛り上がって居た事だろう・・・

 

「全く、ロボット何て・・・ン!?巨大ロボット?・・・これは使えるかも知れないだわさぁぁ!!」

 

 何かを閃いたマジョリーナは、二人がウットリしながら眺めていたワルブッターとロボッターのおもちゃを取り上げると、大急ぎで自分の部屋へと駆け出し、慌ててその後を追うウルフルンとアカオーニ、

 

「テメェ、マジョリーナ!ワルブッターを返しやがれぇぇ!!」

 

「そうオニ!返すオニィィ!!」

 

 だが、追いつく事なく、マジョリーナは二体のおもちゃを大釜に放り込み、巨大なしゃもじで大釜を掻き混ぜ始めた。

 

「「アァァァァ!!」」

 

 大切なおもちゃが消え去り、涙を流しながらその場で膝から崩れ落ちたウルフルンとアカオーニ、二人の身体からバッドエナジーが照射され、ピエーロ復活の目盛りが上がった・・・

 

 

 

 翌日・・・

 

 のぞみ達との待ち合わせ場所、七色ヶ丘駅前に居るのはみゆき、あかね、なお、れいかだったが、やよいの姿が見えず、四人は表情を曇らせていた・・・

 

「やよいちゃん、どうしたんだろう?」

 

「まさか・・・おもちゃ買いに行ったんやないやろうなぁ?」

 

「いくら何でも、そのような事は・・・」

 

「大丈夫!やよいちゃんは、そんな最低な事しないよ!!」

 

 なお、あかね、れいか、みゆき、皆やよいの事を信じては居たが、何の連絡も無い事に不安があったのも事実であった。もうすぐ、待ち合わせ時間の八時になろうとしていた・・・

 

「みゆきちゃ~ん!あかねちゃ~ん!なおちゃ~ん!れいかちゃ~ん!」

 

 改札の中から大きな声で、自分達の名前を呼ぶのぞみの声が聞こえてきて、一同が振り向くと、思わず四人は目が点になった。そこには、のぞみ、りん、うらら、くるみ、カバンから顔を出したココ、ナッツ、シロップ、そして、何故か一緒にニコニコしながら現われたやよいの姿があったのだから・・・

 

「な、何でやよいが、のぞみさん達と一緒に居んのぉ?」

 

「さぁ?」

 

「理解に苦しみますねぇ・・・」

 

 あかね、なお、れいかは、やよいの行動の意味が分からず、変顔を浮かべながら小首を傾げ、みゆきはやよいもちゃんと来ていた事に喜び、

 

「まあ、やよいちゃんも来てたし、一安心だね!のぞみさん!りんさん!うららさん!くるみさん!ココ、ナッツ、シロップも、いらっしゃい!!」

 

 一同は、やって来たのぞみ達を、笑顔を浮かべ歓迎するのだった・・・

 

「いやぁ、あたしらがホームに着いたら、いきなりやよいが出迎えてたから驚いたよぉぉ」

 

「本当よねぇ・・・」

 

「はい!私達に早く見せたい場所があるとか・・・私、楽しみです!!」

 

 りん、くるみ、うららの言葉を聞くと、あかね、なお、れいかの脳裏に、嫌な予感が漂い始めるのだった・・・

 

 

 ルンルン気分のやよいを先頭に歩き出した一同、不安げな様子のあかね、なお、れいか、何処に連れて行って貰えるか楽しみなりん、うらら、くるみ、妖精同士楽しく会話するココ達とポップ達、一方、のぞみとみゆきは、

 

「みゆきちゃん!この間の童話の感想、お父さんに教えたら、凄く喜んでたよ!ぜひ家に連れて来てって言われちゃったぁ」

 

「本当ですか?私もぜひお話し聞きたいです!」

 

 みゆきは、修学旅行先の大阪で買った、のぞみの父、夢原勉の童話の感想を、この間加音町で再会した時にのぞみに伝えると、のぞみは、みゆきの感想を聞いて大喜びで父に伝えた。勉は、のぞみの周囲で、自分の作品を読んでくれる子が居るとは思って居らず、大いに喜んだ。のぞみの母恵美も、夫の作品を褒めてくれて嬉しそうに、今度家に連れてらっしゃいと言うと、勉も大いに賛成し、のぞみも必ず連れて来ると二人に返事を返した。

 

「例えば・・・例えばですけどぉ?私がこんな作品書いて欲しいなぁとか頼んだら・・・書いてくれるんでしょうか?」

 

「エッ!?ウ~ン、それはお父さんに聞いてみないと分からないけど・・・今度家に来た時、頼むだけ頼んでみれば?」

 

「はい!!」

 

 そんな会話をしながら、一同はどんどん海沿いにやって来て、

 

(((やっぱり・・・)))

 

 あかね、なお、れいかは、先頭を歩くやよいの後ろ姿を、呆れた表情で見つめた。りんは、海を眺めると、

 

「へぇ、七色ヶ丘にも海があるんだねぇ?」

 

「夏場なら、海水浴とかも良いですよねぇ」

 

 七色ヶ丘に、海があるとは思っていなかったりんとうららは、意外な表情で海を眺めた。くるみは少し不満そうに、

 

「ねぇ、やよい!私達を是非連れて行きたい場所って、海の事?」

 

「いえいえ・・・皆さん、着きましたぁ!此処でぇぇす!!」

 

 くるみの言葉に、やよいは目の前の大きな建物を指さした。あかね、なお、れいかはガックリ首を垂れると、あかねはやよいを見つめるや、

 

「アホかぁぁ!ドンザラス何て、いろんな街にあるやろぉぉ!?」

 

「エェ!?だってぇぇ・・・」

 

 あかねに怒られ涙ぐむやよい、案内されたのぞみ、りん、うららは驚き、くるみは怪訝な表情を浮かべた。申し訳なさそうな表情をしたれいかから、何故やよいがこの場所に連れて来たのか、大体の事を聞いたのぞみ達は、苦笑を浮かべながらも、

 

「成る程ね・・・別に良いよ!何時間も並ぶ訳じゃ無いんでしょう?」

 

「そうですよ!買い物終わってから、みんなで出掛ければ良いじゃないですか!」

 

「全く、しょうがないわねぇ・・・」

 

「うん、そうだね!やよいちゃん、私達に遠慮しないで買っておいでよ!!」

 

「ほ、本当ですかぁぁ!?」

 

 りん、うらら、くるみ、そして、のぞみから遠慮しないで買ってきて良いと言われ、やよいの表情は見る見る輝き、ペコペコのぞみ達に何度も頭を下げると、

 

「じゃあ、みんなで並びましょう!!」

 

 やよいは意気揚々と列の最後尾に並ぶと、一同を手招きした・・・

 

「エッ!?何?あたし達も並ぶ訳?」

 

「アハハハ・・・まあまあ、りんちゃん良いじゃない!」

 

「重ね重ね、申し訳ありません・・・」

 

 のぞみ達一同も列に加わり並ぶと、れいかは深々とやよいに代わって頭を下げるのだった・・・

 

 最後尾に並んだ後も、後から並び出す人が多く、確かにロボッターは人気があるんだと理解した一同、やよいはカバンをゴソゴソ漁ると、

 

「みんなが暇にならないように・・・ジャジャ~ン!持って来ました、ロボッター大図鑑!!」

 

 やよいがカバンからロボッター大図鑑を取り出すと、みゆきとキャンディが目を輝かす。受け取ったみゆきがパラパラ中を見てあかねに渡すと、あかねはそのままスルーしてなおに手渡し、なおもそのままスルーしてれいかに手渡した。れいかは、意外に分厚い本に驚き、

 

「随分厚い本なのですねぇ・・・」

 

 パラパラ中身を速読するれいか、ハッと気付き、のぞみ達に読みますかと差し出すと、のぞみ達は苦笑を浮かべながら、両手を振りながら遠慮し、再びれいかが速読を始めた。

 

「これを読めば、ロボッターの事が・・・全部わかるんだよぉぉ!!凄いでしょう?」

 

「「あっ、そう・・・」」

 

 全く興味無さそうに、曖昧な返事をするあかねとなお、りんは苦笑混じりに、

 

「ロボッター・・・そういえば、弟のゆうが見てたわねぇ!あたしも、妹のあいも興味無いけど」

 

「ロボットって見ないよねぇ?」

 

「そうですね!やっぱり、女の子なら恋愛ものや魔女っ子物、後は美少女変身物ですよねぇ?」

 

 のぞみの言葉にうららも同意し、子供の頃見てたのは、魔女っ子物と言うと、

 

「ウンウン!魔女物は私も見てたよ!!」

 

「確かに、おもちゃとか買って貰ったわ」

 

「ウチも見とったわ!」

 

「あたしも見てた!!」

 

 魔女物なら自分達も見ていたとのぞみ、りん、あかね、なおも大きく頷き同意し、

 

「そういえば、こまちが加音町のハロウィンパーティーで、子供の頃見てた変身ヒロインに仮装してたわね」

 

 くるみも、こまちが小さい頃に見ていた美少女物に仮装していたのを思いだし頷いた。やよいは膨れ面になると、

 

「もう、ロボッターだって面白いもん・・・」

 

「確かに、女の方でもロボット物を好きだという方は居るそうですし・・・」

 

「でもあれって、ロボットより操縦してる男の子に興味があるんでしょう?」

 

「わ、私はちゃんとロボッターも好きだもん!!」

 

 れいかとなおの言葉を受けたやよいは、そんなミーハーな人達と違い、自分はちゃんとロボットも好きだと答えた。

 

 

「オラオラ!退け、退けぇぇ!」

 

「今日発売のワルブッター様の玩具は何処オニ!?」

 

 背後で横入りしてきそうな声を聞き、一同が眉根を曇らせ背後を見ると、ウルフルンとアカオーニが、並んでいる人々を威嚇しながらどんどん前に歩いてきた。

 

 目が合った一同は、一瞬の沈黙の後互いを指差し、のぞみはウルフルンに変顔を浮かべながら、

 

「な、何であなた達が居るのよ?」

 

「ウッセェ!お前らこそ・・・そうか、お前らもワルブッターのファンで、おもちゃを買いに来やがったなぁ?」

 

「なんでやねん!ちゃうわぁぁ!!」

 

「そうだよ、私達はロボッターのファンだよ!」

 

「「「「「「もしも~し」」」」」」

 

 何時の間にか、自分達までロボッターファンに加えているやよいに、みゆきとれいかを除く一同が突っ込みを入れた。

 

 れいかは、周囲の人達からの痛い視線を感じ、頬を赤くしながら、

 

「み、皆さん、他のお客様に迷惑ですし、お静かに・・・」

 

 慌てて止めようとしたれいかだったが、更に後ろからマジョリーナが現われると、

 

「お前達、何してるだわさぁ!さっさとプリキュアを捜すだわさぁ!!」

 

「プリキュアなら・・・此処に居るオニ!」

 

「エッ!?」

 

 アカオーニが指を指した人物を見て、マジョリーナは一瞬キョトンとするも、直ぐに我に返り高笑いを浮かべ、

 

「ヒィヒヒヒ!飛んで火にいる何とかやらとは・・・プリキュア!お前達の事だわさぁ!!」

 

 マジョリーナは、バッドエンド空間を発生させると、並んで居た人々からバッドエナジーを回収する。周りを見た一同が険しい顔を浮かべ、やよいは表情を引き締めると、

 

「大変・・・街の平和が!」

 

「ヒィヒヒヒ!今度こそ、お前達の・・・最後だわさぁ!!」

 

「そうはさせない!地球の人々の笑顔を守る為に、この程度の攻撃を受けても、私達は何度でも立ち上がる!!」

 

「いや、まだあたし達戦ってないし・・・」

 

「ウチら・・・何時攻撃食らったんやぁ!?」

 

 自分の世界に浸ったやよいは、ロボッターの中のセリフを自分達に重ねて喋るも、りんとあかねに突っ込まれる。やよいはそんな二人の突っ込みにもめげず、

 

「私達は・・・諦めない!みんな、行くよ!!」

 

 凛々しい表情でスマイルパクトを構えるやよい、それとは逆に、困惑しながらキュアモを手に持つのぞみ、りん、うらら、ミルキィパレットを手に持ったくるみ、そして、スマイルパクトを構えるみゆき、あかね、なお、れいか、

 

「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」」

 

「スカイローズ!トランスレイト!!」

 

「「「「「プリキュア!スマイルチャージ!!」」」」」

 

 九人のプリキュアが三幹部を前に身構えると、マジョリーナはフードの中からSFアニメに出てくるような銃を取りだした。咄嗟に顔色を変えたプリキュア達だったが、何故かマジョリーナは、銃をウルフルンとアカオーニに向けた。

 

「ワッ!な、何で俺達に向けるんだよぉぉ!?」

 

「そうオニ!敵はあっちオニ!!」

 

 二人は両手を振りマジョリーナに撃つなとアピールすると、マジョリーナは少し意地悪そうな表情を浮かべると、

 

「安心おし、これはロボニナールと言って、この銃を浴びた者は・・・まあ、見てれば分かるだわさぁ」

 

「バ、バカ、撃つなぁぁ!!」

 

「そう・・・ブエックショォォォォォン!!」

 

 発射しようとしたマジョリーナがったが、アカオーニが発した大きなクシャミに驚き転倒してしまい、ロボニナールの照準は、偶然にもプリキュア達へと向けられたまま発射された・・・

 

 パニック状態になった一同は、慌ててその場から回避したものの、ドリームとハッピーは、互いの頭と頭でぶつかり逃げ遅れ、

 

「しまったぁぁ!?」

 

「やぁらぁれたぁぁぁ!!」

 

 ロボニナールの直撃を食らったドリームとハッピー、二人が心臓を抑えるも、別段何処にも痛みが無く、

 

「ア、アハハ!何とも無いや!」

 

「良かった、良かった!」

 

 互いに手を取り喜んでいたドリームとハッピーであったが、見ていた仲間達は目を点にし、ルージュは大慌てで、

 

「ド、ドリーム!ハッピー!あんた達・・・巨大化してるわよ!?」

 

「「エェェェ!?」」

 

 まるで巨大特撮ヒーローのように、徐々に巨大化していくドリームとハッピー、呆然とする仲間達と、ウルフルン、アカオーニ、そして、マジョリーナ・・・

 

 今、一同の前に、巨大な二体のロボットが聳え立っていた・・・

 

 

 

3、奪われたロボドリーム

 

 バケツを引っ繰り返したような頭部・・・

 

 ピンクの衣装はそのままだが、UFOのような胴体・・・

 

 見る者を呆然とさせるその容姿・・・

 

「な、何!?何でドリームとハッピーが・・・ロボットになってるのよぉぉぉぉ!?」

 

「何気に眉毛もありますねぇ?」

 

 ルージュは呆然としながら、非現実的な光景に首を振る。レモネードは二人の顔に眉毛が付いているのに気付き、唖然とする。そんな一同とは別に、喜ぶ人物が居た・・・

 

「ウワァァ!二人共、格好良い!!」

 

「アホかぁぁ!喜んどる場合かぁぁ!!」

 

 二人の姿を見て喜び、親指立ててGOODとジェスチャーするピースに、呆れたサニーが思わず突っ込みを入れる。ローズは二人を見比べながら、

 

「ドリーム!ハッピー!あなた達、そんな姿になって・・・身体の方は何ともないの?」

 

「確かに・・・気になりますねぇ?」

 

 ローズの疑問に、レモネードも興味深げに頷くと、ピースは首を振りながら、

 

「違うよ!あそこに聳え立つのは・・・ハッピーロボに、ロボドリームだよ!!」

 

「そんなんどうでもいい!」

 

「すこぶるどうでもいい!」

 

 ロボット化した二人に、ハッピーロボとロボドリームだと命名してはしゃぐピースに、サニーとマーチが無表情の突っ込みを入れる。

 

「エェェン!何だか分からないけど、身体が動かないよぉぉ!」

 

「言葉は喋れるみたいだけどぉ・・・みんな、私達どうなっちゃうのぉぉ?」

 

 ハッピーロボとロボドリームの眉が、不安そうに下がる。ビューティは首を捻り、

 

「これは、予想外の展開ですねぇ・・・」

 

「そこ、冷静に分析しない!」

 

 驚きつつも冷静に状況を分析するビューティに、ルージュが突っ込みを入れる。妖精達も、この状況に呆然としていた・・・

 

「こんな事が・・・」

 

「ハッピー!ドリーム!これは大変な事になったでござるなぁ・・・」

 

 ココとポップも呆然とし、ナッツとシロップも思わぬ展開に驚愕する中、キャンディははしゃいでいた・・・

 

「お前達がジッとしてないから、プリキュアの方がロボットになっちまったじゃないかい!さあ、今度は動くんじゃないよ!!」

 

 再びマジョリーナがウルフルンとアカオーニに照準を合わせると、二人は再び大慌てで、

 

「バ、バカ・・・そ、そうだ!ロボットになると動けねぇってあいつら言ってたじゃねぇか!!」

 

「そ、そうオニ!」

 

「そういえば・・・」

 

 ウルフルンの言葉を受け、確かにその通りだとマジョリーナも頷いた。

 

「どうやら・・・ロボニナールを浴びてロボットになると・・・誰かに操縦されなければ、動けないようだねぇ」

 

 ウルフルン、アカオーニ、マジョリーナの視線がロボドリームとハッピーロボへと向けられた・・・

 

 

「ねぇ、誰でも良いから操縦して座らせてぇ!」

 

「ただ立ってるだけじゃ疲れちゃうよぉぉ」

 

 ハッピーロボとロボドリーム、二人は疲れてきたのか座りたいと言い出すと、

 

「あんた達、ロボットになっても疲れとかあるんだ?」

 

「操縦しろと言われても、どうやればいいのか・・・」

 

 ルージュとマーチに問い掛けられたロボドリームとハッピーロボ、二人の胸元が開くと、中に操縦席らしきものが目に入った。思わず目が点になったルージュは、

 

「あんた達・・・本当にロボットみたいだねぇ?」

 

「だから、ハッピーロボにロボドリームなのぉ!!」

 

「「シーン・・・」」

 

 ピースの言葉を、再び無表情でスルーするサニーとマーチ、ピースはそんな事にお構いなく、

 

「さぁ、みんな!ハッピーロボとロボドリームに乗り込んで!!地球の平和は、私達で守るんだからぁぁ!!」

 

 鼻息荒くハッピーロボへと向かうピース、困惑しながらサニーとマーチ、ロボッター大図鑑を小脇に抱えたビューティが後に続いた・・・

 

「な、何か大変な事になったわねぇ?」

 

「本当に・・・この先どうなる事やら!?」

 

「取り敢えず、私達も乗り込みましょう!」

 

 ローズ、ルージュ、レモネードの三人も、困惑しながらロボドリームに向かおうとしたその時、三人を追い抜いたウルフルンとアカオーニは、

 

「オッと!ロボドリームには・・・俺達が代わりに乗り込んでやるよ!」

 

「そうオニ!そこでゆっくり見物してるオニ!」

 

「エッ!?ちょっとぉぉ、勝手に乙女の身体の中に入らないでよぉぉぉ!!」

 

 困惑顔のロボドリームが、慌てて入り口を閉じようとしたものの、二人は間一髪操縦席に乗り込み、笑い声を上げた。

 

「エェェン!ココにだって入られた事無いのにぃぃ!!」

 

「ドリーム・・・普通入れないココ」

 

「相当動揺してるみたいナツ・・・」

 

「このままじゃ不味いロプ」

 

 ココ、ナッツ、シロップは、ウルフルンとアカオーニに奪われたロボドリームを見て思わず呟いた・・・

 

「これが、ロボドリームの操縦席かぁ・・・面白ぇ!!」

 

「さあ、ロボドリーム!ハッピーロボと戦うオニィィ!!」

 

 ウルフルンが操縦席に座り、アカオーニが補佐に回りながら、今、ロボドリームの瞳が輝いた。

 

「「エェェェ!?」」

 

 思わず驚愕するロボドリームとハッピーロボ、今、二体の巨大ロボットが激突しようとしていた・・・

 

 

 

4、動け!ハッピーロボ!!

 

 ウルフルンとアカオーニに、ロボドリームを奪われたルージュ、レモネード、ローズは激しく動揺していた。このままでは、ロボドリームを操るウルフルンとアカオーニが、どんな事をしでかすか分からなかった・・・

 

「シロップ!悪いけど、かれんさんとこまちさんを・・・呼んで来てくれない?」

 

「ロプ!?それは構わないロプ・・・けど」

 

 苦渋に満ちた表情を浮かべたルージュは、シロップを呼ぶと、かれんとこまちを呼んできて欲しいと伝えた。ハッとしたようにルージュの顔を見たローズとレモネードは、

 

「良いの?」

 

「ルージュ、かれんさんとこまちさんは模試が・・・」

 

「分かってる!分かってるけど・・・かれんさんとこまちさんなら、きっと理解してくれる!きっと駆けつけてくれる!!ドリームを、あいつらの良いように何て・・・絶対使わせたくない!!」

 

 ルージュに取ってもそれは苦渋の決断だった・・・

 

 かれんとこまちの邪魔などしたくはない・・・

 

 だが、自分達の力だけで、あの巨大なロボドリームを止めるのは難しいだろうと判断したルージュは、かれんとこまちの力に縋るより他に無かった・・・

 

 シロップは頷くと巨大化し、大空に飛翔する・・・

 

 かれんとこまちを求め、猛スピードで七色ヶ丘から飛び去っていった。

 

 

 

「ウルッフッフッフ!さあ、ロボドリーム!ハッピーロボを可愛がってやんな!!」

 

 ウルフルンが、右足下のペダルを踏みながら、ロボドリームの操縦桿を前方に倒すと、ロボドリームの意思とは関係無く、身体がハッピーロボ目掛け走り始めた。

 

「に、逃げて!ハッピー!!」

 

「エェ!?そう言われても・・・動けないんですぅぅ」

 

「アァァン!私は・・・勝手に動いちゃうよぉぉぉ!!」

 

 動けないハッピーロボ、勝手に操作されるロボドリーム、困惑する両者を余所に、ハッピーロボ目掛け、ロボドリームの右パンチが炸裂し、吹き飛ぶハッピーロボ・・・

 

「キャアァァァ!!」

 

 中のコクピットに居た四人も思わず目を回し、自分の意思とは関係無く、ハッピーロボを攻撃してしまったロボドリームは、眉毛を下げながら困惑する。

 

「ハッピー・・・ゴメンねぇぇ!ちょっとぉぉ!勝手に私の身体を操らないでぇぇ!!」

 

「ケッ!ウルセェ!!お前は、俺達の指示通り動けば良いんだよ!!」

 

「そうオニ!さあ、ロボドリーム・・・今度はキックオニィィ!!」

 

 アカオーニの言葉に反応し、ウルフルンが足下のペダルを踏みながら操作すると、ロボドリームは、倒れているハッピーロボ目掛け蹴りを放った・・・

 

「アァァン!止めてぇぇ!!ハッピー、ゴメンねぇぇ!!」

 

 再び目をグルグル回すハッピーロボ、操縦席に居た四人は、

 

「このままじゃやられてまうでぇ!」

 

「ピース、ハッピーロボを動かして!!」

 

「ピース!?」

 

 サニー、マーチ、ビューティに、ハッピーロボを動かすように言われたピースであったが、仲間達を振り返ると涙目になり、

 

「私・・・操縦何て出来ないよぉぉぉ!!」

 

「「「エェェェ!?」」」

 

 ピースは自ら進んで操縦席に座った事で、他の三人も当然ピースが操縦出来ると思っていた。だがピースは、ロボッターそっくりな操縦席に座りたかっただけで、操縦方法など知らなかった・・・

 

 

 

 模試の会場に到着したシロップは、人間姿になると、乱れた呼吸のまま、大声でかれんとこまちの名を叫び続けていた・・・

 

 皆、試験間際でピリピリしていて、ある者は、大声を出すシロップを怒鳴りつける者も居た。シロップに気付いたかれんとこまちが、慌てて廊下に飛び出してくると、

 

「シロップじゃない!どうしたの!?こんな場所まで?」

 

「のぞみさん達と一緒に、みゆきさん達の街に遊びに行ったんじゃなかったの?」

 

 困惑気味にかれんとこまちがシロップに訪ねると、シロップは大慌てで、

 

「た、大変何だ!ドリームとハッピーがロボットになって、ドリームが敵に操縦されて・・・」

 

「「ハァ!?」」

 

 慌てているシロップの説明を聞いても、二人は意味が分からず、顔を見合わせながら小首を傾げた。ドリームとハッピーがロボットになり、ドリームが敵に操縦されている・・・

 

 非現実的な事ではあるが、二人の頭の中で素早く情報が整理されていくと、

 

「まだ詳しくは分からないけど・・・ドリーム達が危ないのね?」

 

「この場所までシロップさんが来たという事は、余程事態は深刻な状況なのかも知れないわね」

 

 かれんとこまち、二人は目を合わせると頷き合い、素早く教室に戻ると自分達の荷物を取り、知人達に急用が出来たからと言い残し、再びシロップの下へと戻って来ると、

 

「急ぎましょう!!」

 

「シロップさん、案内をお願い!!」

 

 ルージュが言っていた通り、二人は何の躊躇も示さず、仲間の危機を知るや駆けつけようとする。改めてシロップは、のぞみ達五人の絆の強さを、目の前で見た気がするのだった。

 

 かれんは、念の為ゆり達に、七色ヶ丘でドリーム達が敵と戦い、トラブルが発生した模様です。私達も今から向かいますが、駆けつけられそうな人は応援願います、と携帯を持って居る一同にメールを発信した。

 

 シロップは人気の無い場所で巨大化し、かれんとこまちを背に乗せると、再び大空に飛翔した。

 

「二人共、今の内にプリキュアになっておいた方が良いロプ」

 

 シロップのアドバイスを受け、かれんとこまちがキュアモを手に取ると、

 

「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」

 

 アクアとミントに変身した二人、自分達が駆けつけるまで無事で居てくれと祈りながら、三人は七色ヶ丘へと猛スピードで飛んでいった・・・

 

 

 

 ピースが操縦出来ないと告白し、一瞬の沈黙の後、サニーとマーチが変顔を浮かべながら、

 

「何でぇ!?ピースはロボッターが好き何やろう?」

 

「あたし達・・・当然操縦出来るもんだとばかり・・・」

 

「ア~ン、そんな事言われたってぇぇ・・・」

 

 半べそ掻くピースに、取り敢えず何か動かして見ればとアドバイスを送るも、ハッピーの跳ねた毛がアンテナ代わりにグルグル回転したり、起き上がろうとしてバランスを崩し、そのまま海の上に倒れ込む。まだ浅瀬であった為、全身水没まではいかないものの、ハッピーロボは困惑したまま、

 

「ウェ~ン、冷たいよぉぉぉ」

 

「やっぱり・・・無理だよぉぉぉ」

 

 今にも泣きそうな表情になるピース、誰か変わってと言われ、サニー、マーチ、ビューティは困惑した・・・

 

「ウルフルン!アカオーニ!その調子だわさぁ!」

 

「ハッピーロボ!頑張るクル~」

 

 無様な醜態をさらすハッピーロボに、観戦していたマジョリーナは、ウルフルンとアカオーニに、キャンディはハッピーロボに声援を送る。敵同士の筈が何故か隣同士で座って観戦するマジョリーナとキャンディ、ココとナッツ、ポップもキャンディの側に座りハッピーロボへと声援を送った。

 

「ケッ、手も足も出ねぇようだなぁ!」

 

「さあ、ロボドリーム!ハッピーロボをもっともっと痛めつけるオニィ!!」

 

 勝ち誇りゆっくり、ハッピーロボを威嚇しながら歩くロボドリーム、その時ハッピーロボが立ち上がった!

 

「何だとぉ!?」

 

 立ち止まり身構えるロボドリームだったが、ハッピーロボは手を水平に動かし続ける。

 

「サニー、凄いよぉぉ!!」

 

「アカン・・・何かこれしか動かんわぁ」

 

「「「エェ!?」」」

 

 額から汗が滴り落ちるサニー、何とか立ち上がり手を動かせたものの、それ以上は動かず困惑の表情を浮かべる。

 

「マーチ!チェンジや!!」

 

「エェ・・・あたしがぁぁ!?」

 

 席を立ったサニーに代り、席に座ったマーチは、恐る恐る操縦桿を握った。その背後でビューティは、ロボッター大百科を速読し続ける。

 

「マーチ!ファイト!!」

 

 ピースはマーチに声援を送るものの、マーチにそんな余裕があるはずもなく、

 

「ゴ、ゴメン!話し掛けないで!!エェと・・・こうなりゃ自棄よ!直球勝負、行けぇぇ!!」

 

 マーチが、がむしゃらに操縦桿を動かすと、その場で足踏み始めたハッピーロボ、見ていたルージュ、レモネード、ローズは、今度は大丈夫かと期待して見守り続ける。

 

「チッ、そんなこけおどしが効くかよ!」

 

 駆け出したロボドリームがジャンプすると、跳び蹴りを放ちハッピーロボを吹き飛ばす。

 

「ハッピー・・・ゴメン、ゴメンねぇ」

 

 困惑気味にどうすればいいのか分からず、ハッピーロボに詫び続けるロボドリーム、このままでは勝負にならなかった・・・

 

「アァン、このままじゃハッピーロボがぁぁ!」

 

 嫌々首を振るピース、ビューティは額から汗を流すも、

 

「ハッピー!もう少し、もう少し持ち堪えて下さい!!」

 

「ビューティ、何か策があるの?」

 

「あるんなら、早くしてやぁ!」

 

 マーチが、サニーが、最後の砦ビューティに期待を託すも、ハッピーロボは目をグルグル回しグロッキー状態だった。

 

「不味いよ・・・私達で何とか足止めしてみよう!」

 

 ルージュはドリームに呼び掛け、何とか動けないか問うも、身体の自由は全く効かず、せいぜい操縦席のドアを開けれるぐらいだと告げる。

 

「ドリーム、それだけで良いから、操縦席を開けて!」

 

「後は私達で何とかしてみる!」

 

「うん、ルージュ、レモネード、ローズ、お願い!」

 

 ウィィィンと操縦席のドアが開くと、ウルフルン、アカオーニが驚くも、

 

「ケッ、何を企んでるか知らねぇが・・・残念だったなぁ!ロボドリームの操縦システムは、こっちの方が優先何だよ!!」

 

 ウルフルンの言葉通り再びドアが閉じられる。万策尽きたかに思われたその時、急降下してくるシロップが現われた・・・

 

 

 

「な、何!?あれがドリームと・・・」

 

「ハッピーなの?」

 

 アクアとミントが、巨大な二体のロボットを見て目を点にする。アクアとミントが現われた事で、ロボドリームが、ルージュ、レモネード、ローズの表情が喜色ばんだ。地上に着地したシロップに集まってくる、ルージュ、レモネード、ローズ、

 

「アクア!ミント!二人共、大事な時なのにゴメン・・・でも、力を貸して!!」

 

「当たり前でしょう!それよりシロップに乗って!地上からではこちらが不利だわ!!」

 

 大事な時に呼び出したルージュは二人に詫びるも、二人は笑みを浮かべながら三人にシロップに乗るように伝えると、シロップが再び上空へと飛翔した。その時、ハッピーロボの操縦席の入り口が開くと、険しい表情を浮かべたビューティが、

 

「皆さん、後五分・・・いえ、後三分時間を稼いで下さい!お願いします!!」

 

「三分で良いのね?」

 

「はい!お願い致します!!」

 

 そう言い残すと、ハッピーロボの操縦席のドアが再び閉じられた。アクアは、何かビューティには策があると気付き、

 

「何かビューティには考えがあるようね・・・ドリーム!少々手荒な真似をするけど、少し我慢して!!私達みんなで、あなたを必ず取り戻すから!!」

 

「エェェン、みんなぁ、お願い!でも、出来ればお手柔らかにね?」

 

 ロボドリームも同意し、シロップはロボドリームの周りを飛び回り、操縦席に居るウルフルンとアカオーニの視界を遮り始める。二人はイライラしたように、

 

「ブンブン飛びやがって・・・」

 

 ウルフルンは、腕で飛び回るシロップを払い除けようとするも、シロップは巧みに攻撃をかいくぐり飛び続ける。シロップは、ロボドリームの足下付近を低空で飛び続けていると、

 

「イライラするオニ!!」

 

 アカオーニが足下のペダルを踏み込むと、ロボドリームの右足が大きく上がった。アクアの目が輝くと、

 

「今よ、レモネード!ドリームの左足を、プリズムチェーンで・・・」

 

「そうか!プリキュア!プリズムチェーン!!」

 

 アクアの考えが分かり、レモネードはプリズムチェーンで、ロボドリームの左足をチェーンで捕らえると、レモネード、ルージュ、アクア、ミント、ローズがシロップから飛び降り、思いっきりチェーンを、力を込めて引っ張ると、体勢を崩したロボドリームが尻餅を付いた。

 

「何やってるだわさぁ!」

 

 思わずマジョリーナが倒れたロボドリームに叱咤すると、それが聞こえた訳では無いだろうが、ウルフルンの目の色が変わり、

 

「畜生!こうなりゃ、必殺技を使うぜ・・・ロボドリーム!お前の技を見せてみやがれぇぇ!!」

 

「エッ!?必殺技?」

 

 ロボドリームは、何の事だが分からず眉毛が下がり困惑するも、ウルフルンは、操縦席の右隅にある金色のボタンを思いっきり叩くと、ロボドリームが起き上がりジャンプすると、宙返りした身体にピンクのオーラが纏われた。

 

「まさか・・・あれはシューティングスターの体勢じゃ?」

 

「不味い!ハッピー、避けてぇぇ!!」

 

 ローズが、ルージュが、動けないハッピーロボに避けるように伝えるも、ロボドリームは容赦なくハッピーロボの中心目掛け向かってきた。

 

「駄目!間に合わない!!」

 

「ドリーム!ハッピー!」

 

 このままでは最悪両者とも破壊されるのでは無いか、アクア、ミントが驚愕の表情を浮かべたその時、ハッピーロボの目が輝くと、シューティングスターが当たる寸前、その威力を利用するようにその場で右回りに回転し回避した。

 

「皆さん、ありがとうございました!ハッピーロボの操縦方法・・・何とか覚えました!!」

 

「覚えたって・・・どうやって!?」

 

「ピースから借りたロボッター大図鑑、580ページ~589ページを読みました」

 

「こ、この短期間に!?」

 

「ビューティ、凄ぉぉぉい!!」

 

 ハッピーロボの操縦席に座ったビューティは、この短期間に操縦方法をマスターしたと豪語する。その頼もしき姿に、サニー、マーチ、そして、ピースの目が輝いた。

 

「ヨォォシ!ハッピーロボ、反撃開始!!」

 

 ピースが前に見えるロボドリームを指さすと、それに合わせるようにビューティがハッピーロボを走らせた。

 

「しゃらくせぇ!動けたから何だってんだぁ?」

 

 迎え撃つロボドリームが右パンチを繰り出すと、ハッピーロボはその腕を掴むや、

 

「ドリーム、申し訳ありませんが、少々我慢して下さい!」

 

「お手柔らかにぃぃぃ!!」

 

 ビューティの声が外にも響き渡り、ロボドリームはトホホ顔でお手柔らかにと頼む。何とか逃れようとがむしゃらに操縦桿を動かすウルフルンだったが、

 

「行けぇぇ!ハッピーロボ!!」

 

 ピースの指示の下、ハッピーロボは、ロボドリームの身体を回転させながら投げ飛ばした。思わず目がグルグル回るロボドリームと、中に居るウルフルンとアカオーニ、ロボドリームは浅瀬に転倒し、

 

「これぞ、ハッピー大車輪投げ!」

 

「いや、操縦してるのはビューティやん」

 

 鼻息荒くドヤ顔を浮かべるピースに、思わずサニーが突っ込む。

 

「今よ、ドリーム!操縦席を開けなさい!!」

 

「ふぁ、ふぁい・・・」

 

 目を回しながらも、ルージュの指示通り操縦席を開けると、目を回しながらウルフルンとアカオーニが地上に落下した。

 

 フラフラ立ち上がったウルフルンとアカオーニに、ローズとルージュのパンチが炸裂し、二人を吹き飛ばす。

 

「よくも散々ドリームを扱き使ったわね?あんた達・・・覚悟しなさい!!」

 

 身構えるドリームを除いたプリキュア5とローズ、ハッピーロボの協力を得て、無事ロボドリームを取り戻す事に成功した・・・

 

 

           第五十五話:激突!ロボドリームVSハッピーロボ!!

                       完

 


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