プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第五話:集結!プリキュアオールスターズ!!

            第五話:集結!プリキュアオールスターズ!!

 

1、

 

 四つ葉町の商店街、クローバータウンストリート・・・

 

 ここも例外になく砂漠化していた。だが、他の街とは違い、この街に住む人々の大半は、結晶化する事は無かった。

 

 何故なら此処には・・・

 

 

「お母さん、出掛けてくるね!」

 

「こんな状況なのに?無理はしないでよ、ラブ・・・」

 

 桃園ラブは、母あゆみに無理しないよと応えると、幼なじみで親友の蒼乃美希、山吹祈里との待ち合わせ場所に向かった。

 

 メビウスとの決戦から約一年、平和を取り戻したこの街で、ラブ、美希、祈里は、それぞれキュアピーチ、キュアベリー、キュアパインに、プリキュアになる事は無かったが、この街の人々はプリキュアの存在を認識していて、砂漠となったこの世界を、プリキュアなら必ず救ってくれると信じていた。この街の人々の心から、希望が失われる事は無かった。街が砂漠に埋もれながらも、人々は協力して何とか最低限の生活を出来る程にしていた。

 

 ラブ達は、一日にして砂漠になったこの世界を、元に戻す手掛かりを探していた。

 

(みんなが私達を信じてくれてる!必ず原因を突き止めて、元に戻してみせる!)

 

 ラブが集合場所に到着する・・・

 

 そこは、ダンスユニット、クローバーとしていつも練習に使っていた公園であった。何時もなら此処には、ドーナツを売っているラブ達がカオルちゃんと呼ぶ、橘薫が居るのだが、さすがに砂漠化した現状で、店を開いている事は無かった。

 

「ブッキー!美希たん!お待たせぇ!!」

 

「ラブ、遅~~い・・・」

 

 少し時間に遅れたようで、美希は、苦笑を浮かべながらからかうと、ラブは頭を掻きながら、

 

「アハハ!ゴメ~ン!!あれぇ!?ブッキー、その動物は?」

 

 美希と祈里の側に来たラブは、祈里が鳥に似た動物を太股に乗せ、介護しているのに気付く。祈里は、膝の上の鳥を労るように介抱しながら、

 

「うん、ここに来る途中で見付けたの・・・幸いたいした怪我じゃないから、私が手当したんだけど・・・」

 

 祈里の言葉を聞き、ラブと美希が、鳥に似た動物に顔を近づける。二人も初めて見る鳥の姿に、思わずラブと美希は顔を見合わせると、

 

「でも、何の鳥だろうね?」

 

「鳥じゃなくて・・・ペンギンかしら!?」

 

 ラブも美希も、首を捻って考えるが分らず、家が獣医をしていて、動物に詳しい祈里に聞くも、祈里も見た事無いと、困ったような表情を浮かべながら答える。三人が見た事が無いのも当然で、傷ついた鳥こそ、のぞみに手紙を頼まれ、プリキュアに届けに向かったシロップだったのだから・・・

 

 シロップは、先ずなぎさ達7人を見付け、のぞみからの手紙を渡すも、手紙の内容はプリキュア求むという簡潔な内容で、なぎさに求人募集かと突っ込まれ説明に困り、なぎさ達7人と,妖精達を背に乗せナッツハウスに送った。その後、ラブ達の居る四つ葉町に向かう途中で、デザートデビルに遭遇して攻撃されてしまい、負傷したままなんとか此処まで辿り着いたところで気を失ったのだった。

 

「ロ・・・ロプ!?」

 

「あっ、気が付いたみたい・・・でも、変わった鳴き声だね・・・ロプだって」

 

 ラブがニンマリしながら言うのを、美希と祈里も苦笑しながらもシロップを労る。

 

 目が覚めたシロップは祈里を見て、

 

「エッ!うららロプ!?・・・ち、違ったロプ!」

 

 シロップはキョロキョロ辺りを見回すも、見知らぬ景色に戸惑っていた。ラブ、美希、祈里の三人は、思わず目を点にしながら顔を見合わせ、

 

「美希たん、ブッキー、今・・・この子喋ったよね!?」

 

「え、ええ、確かにあたしも聞いたわ!ねえ、ブッキー?」

 

「うん!この子・・・もしかして、シフォンちゃんやタルトちゃんの知り合いなのかなぁ?」

 

 三人は、改めてジッと観察するようにシロップを見つめると、シロップはしまったといったような顔をすると、慌てて縫いぐるみの振りをするが、ラブに遅いと突っ込まれる。

 

 ラブは、シフォンやタルトの知り合いかも知れないと思うと、

 

「あなた、ひょっとしてシフォンやタルトの知り合いなの?」

 

 ラブの問いかけに、シロップは首を捻り考えるも、知らないと答える。

 

「じゃあ、あなたは、スウィーツ王国とは関係ないのね!?」

 

 美希の問いかけに、シロップの表情が嬉しそうになる。シロップは、ラブ、美希、祈里の顔をまじまじ見つめると、

 

「お前達、スウィーツ王国を知ってるロプ!?ひょっとして・・・お前達、プリキュアロプ?」

 

 ラブ達三人は顔を見合わせ驚いた。何故鳥がプリキュアの存在を知っているのか、ラブは改めてシロップに聞くと、

 

「シロップは、プリキュアを探してたロプ!これを見て欲しいロプ!!」

 

 シロップは、ラブ達にのぞみからの手紙を見せた。プリキュア求むに新たに文字が加えられ、この世界を救う為に、プリキュアの力を合わせましょう!私達に協力して!!のぞみと書かれていた。

 

「のぞみさんかぁ・・・私達以外にも、プリキュアが居たんだね!?」

 

「知らなかったわ・・・でもこれは、この砂漠化した世界を、元に戻す手掛かりになるかも知れないわね!」

 

 自分達以外にプリキュアが居る・・・

 

 美希と祈里は、顔を見合わせ驚愕していると、ラブは少し思案し、表情を柔らかくして、

 

「ブッキー!美希たん!せつなは居ないけど、私達ものぞみさん達に力を貸そう!!」

 

 この世界が、砂漠化した手掛かりになるかも知れない、そう思っていた美希と祈里も、ラブの言葉に大きく頷き、三人はシロップに微笑んだ。

 

 ラブの言うせつなとは、東せつな、元々はメビウス率いるラビリンスの幹部イースだったが、ピーチと戦い和解後、寿命を迎えてしまう。しかし、プリキュアの妖精アカルンの力で、キュアパッションとして転生し、ラブ達クローバーの大切な仲間となった。メビウスとの決戦後は、元幹部の仲間、ウエスター、サウラー達と、ラビリンスに笑顔を溢れさす為に帰って行った・・・

 

「ありがとロプ!のぞみ達もきっと喜ぶロプ!!」

 

 シロップは嬉しそうに、何度もラブ達にお礼を言った。その時、地響きが四つ葉町に近づいて来る。顔色を変えた三人は、何事が起こったのかと戸惑いをみせた。

 

「何!?地震?」

 

「地震にしては、少しおかしいわ・・・行ってみましょう!」

 

「ええ、割と近いみたい!」

 

 ラブ、美希、祈里の三人は、顔を見合わせると、様子を見に行こうとする。慌てたシロップは、三人を引き留めると、

 

「ま、待つロプ!これはきっとあいつロプ!!」

 

 シロップの様子が変わったのを見て、三人はシロップに詳しい事情を聞いた。他のプリキュア達が戦ってきた敵、巨大なデザートデビルの事を・・・

 

「あいつの強さは、尋常じゃないロプ!くれぐれも油断するなロプ!!」

 

 シロップの忠告に深く頷いた三人は、

 

「ありがとう、シロップ!この街に手出しはさせない!行こうブッキー!美希たん!!」

 

 ラブ、美希、祈里の三人は、デザートデビルの下に向かい走り出した。

 

 

2、

 ラブ達は、擦れ違う人々に避難するように声を掛け、デザートデビルを肉眼で捕らえる距離まで近づいた。その巨大さには、三人も思わず驚くも、

 

「シロップの言ってた通りだね・・・何て大きさなの!?」

 

「そうね・・・それに不気味ね!」

 

「でも、私信じてる!私達は、負けない!!」

 

 ラブ、美希、祈里の三人が、頷き合い叫ぶ、

 

「「「チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」」」

 

 ラブの身体をピンクの光が、美希の身体を青い光が、祈里の身体を黄色い光がそれぞれ覆い、三人の姿をプリキュアへと変えていく。髪の色も変わり、ラブはレモン色に、美希は紫から薄紫に、祈里は薄いオレンジ色に変化する。

 

「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!!」

 

「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ!キュアベリー!!」

 

「イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ!キュアパイン!!」

 

「「「レッツ、プリキュア!!!」」」

 

 変身を終えた三人のプリキュアが、デザートデビルに向かい突進する。デザートデビルの繰り出す強力なパンチを躱した三人が、相手の懐に入ると同時に叫ぶ

 

「「「トリプルプリキュアキ~ック!!!」」」

 

 キック後、三人はそのまま反転して、

 

「「「プリキュア!コンビネーション・キ~ック!!!」」」

 

 時間差で、順番にデザートデビルにキックを見舞うも、デザートデビルにさしたるダメージは与えられなかった。

 

 上空に飛んで、プリキュアの戦いを見ていたシロップだったが、周囲を見回し愕然とする。まだ距離はだいぶあるものの、四つ葉町に向けて、更に四匹のデザートデビルが近づきつつあった。思わずシロップは急降下し、ピーチ達三人の側に来ると、

 

「気をつけるロプ!更に四匹近づいて来るロプ!!」

 

 シロップの言葉を聞き、三人のプリキュアに戦慄が走る。この巨大な敵が、更に四匹も近付いて来る。ベリーとパインの表情は凍り付いた。

 

「う、嘘でしょう!?こんな奴が、あと四匹も近づいて来るわけ?」

 

 ベリーは心底嫌そうに、パインは不安そうにする。ピーチは、そんな二人を励ますように、

 

「ベリー、パイン、今はこいつに集中しよう!・・・タァ~~!!」

 

 ピーチが力を込めたパンチと、デザートデビルのパンチが衝突する。当然ながら、吹き飛ばされたのはピーチだった。吹き飛ばされたピーチを、シロップが回り込みピーチを背中で救う。

 

「ありがとう、シロップ!」

 

 ピーチが礼を言い、シロップから飛び降りる。いくらプリキュアでも、三人であの人数のデザートデビルを相手にするのは無謀であった・・・

 

 シロップは、何かを決意した表情を浮かべると、

 

「みんな、待ってるロプ!シロップがのぞみ達を、プリキュアを連れて来るロプ!!」

 

 折角力を貸してくれると言ってくれたピーチ達三人、その三人を救うには、のぞみ達の力は絶対に必要だと感じたシロップは、猛スピードで飛び去った。

 

(さすがにちょっとヤバイかな!?シロップ、頼むね!)

 

 飛び去ったシロップに、ピーチは心の中で呟くと、

 

「ベリー!パイン!」

 

 ピーチの合図に、ベリーとパインが頷く、ピーチがピーチロッドを、ベリーがベリーソードを、パインがパインフルートを取り出し、

 

「「「悪いの、悪いの、飛んでいけ!」」」

 

「プリキュア!ラブサンシャイン・・・」

 

「プリキュア!エスポワールシャワー・・・」

 

「プリキュア!ヒーリングプレアー・・・」

 

「「「フレ~~ッシュ!!!」」」

 

 ピーチからピンクのハート型の光弾が、ベリーから青いスペード型光弾が、パインから黄色いダイヤ型の光弾が同時に発射される。三人の合体技が放たれるも、デザートデビルは両手で受け止めた。だが、その威力に徐々に後ろに押されていく。勝てると確信した三人だったが、デザートデビルが物凄い咆哮を上げると、三人の攻撃を弾き飛ばした。

 

「そんなぁ!?」

 

 動揺するピーチ、ベリー、パイン、怒ったデザートデビルは、物凄い咆哮を上げ、怒濤の攻撃を三人に対して繰り出した。三人のプリキュア達は、辛うじて躱すだけの防戦一方であった。デザートデビルの口から吐かれた光弾を、三人はジャンプで躱すも、先ずピーチが、デザートデビルの蛇に身体を絡み取られ、締め付けられる。

 

「し、しま・・った!?アァァッ!!」

 

 締め付けられたピーチから、苦悶の声が上がる。

 

「「ピーチ!!」」

 

 慌てて助けに向かったベリーとパインも、蛇共に身体を絡まれ、締め付けられる。

 

「「「アァァァァ!」」」

 

 三人のプリキュアから、悲痛な悲鳴が漏れる・・・

 

 デザートデビルは、三人をいたぶるように徐々に締め付けを強め、残った三匹の蛇が、三人の目の前に移動すると、三人にレーザーで止めを刺そうと攻撃しようとしたその時・・・

 

 

3、

 美墨なぎさ、雪城ほのか、九条ひかり、日向咲、美翔舞、霧生満、霧生薫の七人と、メップル、ミップル、ポルン、ルルン、フラッピ、チョッピ、ムープ、フープの八人の妖精達は、砂漠に埋もれたナッツハウス前にて、のぞみ達と親交を深めた。それぞれ、自分達がプリキュアとして戦ってきた事などを語り合っていた・・・

 

「フ~ン、私達がジャアクキングと戦った後でも、そんな事があった何てね・・・もし知っていれば、応援に行ったのにね!」

 

 なぎさがほのかを見ながら、咲やのぞみ達に言うと、ほのかもひかりもなぎさの言葉に頷き、

 

「そうね、そんな事が起こっていると知っていれば、何か手伝えたかも知れないけど・・・」

 

 ほのかも、なぎさと同じ考えを伝える。咲達も、のぞみ達も、他にプリキュアがこんなに居たのには驚いていて、

 

「私達こそビックリですよ!私達がプリキュアになる前から、なぎささんやほのかさん、ひかりちゃん達は、プリキュアとして戦ってたんですから・・・ね、舞!」

 

「ええ、それに、私達が戦ってた同じ頃に、のぞみさん達が戦ってたんですものね・・・」

 

 咲の言葉に同意した舞、舞は側に居るのぞみ達を見ると、自分達と同じ頃に、プリキュアとして戦って居たのぞみ達にも驚いた事を伝えると、

 

「うん、私もビックリだよ!それにしても、これだけプリキュアが居るなんて・・・」

 

 のぞみの目がキラキラ輝き,一同の顔を見た・・・

 

 こんなに心強い事はなかった・・・

 

 そんなのぞみに、りん達は呆れたようにのぞみを見て、なぎさ達と咲達は苦笑し、ひかりと満、薫はキョトンとする。

 

 一方、ココ達妖精達も、噂に聞く、伝説の光の園の住人を目の辺りにして興奮していた。

 

「ココもナッツも、光の園の噂は聞いてたココ!まさか、伝説の住人・・・その中でも勇者と呼ばれる方に会えるなんて・・・光栄ココ!」

 

「そうナツ!光の園は、特殊な世界で時間の流れが違うナツ!本来なら会える筈は無いのに・・・」

 

 ココとナッツが、目を輝かせてメップル、ミップル、ポルン、ルルンを見る。ポルンとルルンは興味無さそうに、フープ、ムープと砂漠の中を元気にハシャギ回る。ミップルは少しはにかみながら、

 

「そんな大した事は無いミポ!ココやナッツだって、国王という立派な立場ミポ!チョッピやフラッピ達も、泉の郷を救う為に大活躍したミポ」

 

 互いに謙遜しあう妖精達の中、メップルは、伝説の勇者と言われて得意気であった。それを聞いていたなぎさは、笑いを堪えるのに必死だった。

 

(メップルが伝説の勇者だって!?ありえな~い!何時も、なぎさ~、お腹減ったメポとか、ミップルに会いたいメポとか泣きわめくし、ミップルと会えばイチャイチャしてるし・・・ココ達に真実教えたいよね)

 

 なぎさが思わず昔の出来事を思い出し、変顔で居ると、ほのかは目を点にしながら、

 

「なぎさ・・・その顔怖いよ?」

 

 呆れるほのかと苦笑するひかり、くるみは、本当にこの人プリキュア何だろうかと不安になる。

 

「それで、これからどうします?此処で他のプリキュア達からの連絡を待ちますか?」

 

 かれんからの問いに、なぎさとほのかが頷き合い、

 

「とりあえずは、シロップだっけ?あの子が戻ってきてから決めましょう!みんな、直ぐに出発出来るようにはしておいて・・・」

 

 なぎさの顔が引き締まり、歴戦の勇者の風格に切り替わり、皆に指示を出す。くるみは、自分の思い込みを反省した。

 

 そんな所にシロップが戻ってくる。ナッツハウスを見て安心したのか、上空に来ると、変身が解けて落下してくるのを、咲が見事にキャッチする。シロップは咲を見ると、

 

「ありがとロプ・・・みんな、大変ロプ!ラブ達を、仲間のプリキュアを助けて欲しいロプ!!」

 

 大慌てで話し続けるシロップの話を、真剣に聞いていた一同の顔色が、見る見る変わって行った。自分達と同じプリキュアが、今危機に陥っている。のぞみは、不安がるシロップに言葉を掛けた。

 

「大丈夫だよ!私達が必ず助けるから!!シロップ、案内して!!!」

 

 今、ピーチ達を助ける為に、プリキュアオールスターズが出撃する・・・

 

 

4、

 デザートデビルに付いている蛇に、身体を締め付けられるピーチ達、デザートデビルが止めを刺そうとしたその時、三人のプリキュアの姿が忽然と消えた。やられると思ったピーチ達だが、一向にデザートデビルが攻撃して来ない事を、不思議そうに目を開けた時、三人の目の前には、シフォンが、タルトが、そして、せつなが居た。三人の顔を見た時、ピーチ、ベリー、パインは思わず目を見開き、嬉しそうに思わず三人に抱き付いた。

 

「せつな~~!シフォン、タルトも、来てくれたんだ・・・ありがとう!!」

 

「せつな、シフォン、タルト、あなた達があたし達を助けてくれたのね?」

 

「またみんなに会えるって・・・私、信じてた!」

 

 三人に取って、大切な仲間が帰って来た!

 

 しかも、自分達の窮地に駆けつけてくれた。ピーチ、ベリー、パイン、三人の目から涙が零れる。せつなも、心から再会出来た事を喜んで居るかのように、三人にニッコリ微笑むと、

 

「シフォンとタルトが教えに来てくれたの・・・ラブ達が危ないって!」

 

「ピーチはん、何とか間に合って良かったわ!クローバーボックスに、あんさん達が何やえらいゴッツイのと戦ってる姿が映ったさかい、慌ててシフォンと一緒に、パッションはんに知らせに行ったんやけど・・・シフォン、でかしたでぇ!」

 

 タルトに褒められ、シフォンがプリィと嬉しそうに喜んだ。周りを見たせつなは、咆哮するデザートデビルを見つめると、瞬時に表情が険しくなる。自分の大切な仲間を、愛したこの街を、デザートデビルに滅茶苦茶にされ、拳を握った。

 

「私の大切な仲間を・・・大切な思い出を汚したお前を・・・絶対に許さない!チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」

 

 せつなの身体を赤い光が覆い、プリキュアへと変えていく。髪の長さが伸び、ピンク色に変化する。

 

「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ!キュアパッション!!」

 

 パッションが登場し、ピーチ達三人に沸々力が沸いてくる。三人は、パッションの脇に立ち、四人のプリキュアが名乗りを上げる。

 

「「「「レッツ、プリキュア!!」」」」

 

 先陣を切ったのはパッション、正面からデザートデビルに突っ込んで行くのを、デザートデビルは六匹の蛇を使って攻撃を開始した。だが、パッションは瞬時にテレポートを繰り返し、デザートデビルを混乱させると、蛇同士の同士討ちを誘発させる。追いついた三人のプリキュアと、パッションが連携技を繰り出す。

 

「「「「プリキュア!クアドラプル・パ~ンチ!!」」」」

 

 四人のプリキュアが、同時にデザートデビルに強烈なパンチを浴びせる。蹌踉めいたデザートデビルに対し、思いっきり息を吸い込んだピーチが、強烈な右ストレートをデザートデビルの顔面に当てると、デザートデビルは堪らず倒れ込んだ。ここが勝負所と見たパションは、ピーチ、ベリー、パインとアイコンタクトすると、

 

「歌え!幸せのラプソディ!パッションハープ!!」

 

 パッションがハープを取り出し、

 

「吹き荒れよ!幸せの嵐!プリキュア!ハピネス・ハリケーン!!」

 

 パッションがハープを取り出したと同時に、ピーチはピーチロッドを、ベリーはベリーソードを、パインはパインフルートを取りだした。

 

「「「悪いの、悪いの、飛んでいけ!」」」

 

「プリキュア!ラブサンシャイン・・・」

 

「プリキュア!エスポワールシャワー・・・」

 

「プリキュア!ヒーリングプレアー・・・」

 

「「「フレ~~ッシュ!!」」」

 

 四人のプリキュアの必殺技が、デザートデビルに直撃する。何とか堪えようとするデザートデビルだったが、パッションが加わった攻撃は、先程を遙かに上回り、強敵デザートデビルを遂に浄化させる。だが、最初の一匹目に時間を掛け過ぎた為、一同の視線に、二体目のデザートデビルも視界に入るまで接近していた。

 

「このまま戦っても、こっちが不利だわ・・・みんな、一気に行くよ!!」

 

 ピーチの合図に、三人が頷き同意する。

 

「クローバーボックスよ!私達に力を貸してぇ!!」

 

 ピーチの叫びと共に、クローバーボックスから放たれた光が、四人が持つリンクルンに力をもたらした。

 

「プリキュアフォーメーション!」

 

 ピーチの合図を受け、四人が一斉にしゃがみ込むと、

 

「レディー・・・ゴー!!」

 

 再びピーチの合図で走り出す四人、

 

「ハピネスリーフ!セット!パイン!!」

 

 パッションから始まったハピネスリーフ、パッションはパインに投げると、走りながらパインがそれを受け取り、

 

「プラスワン!プレアリーフ!ベリー!!」

 

 受け取ったパインが、プレアリーフをセットし、今度はベリーに投げる。走りながらベリーが受け取ると、

 

「プラスワン!エスポワールリーフ!ピーチ!!」

 

 受けたベリーが、エスポワールリーフをセットし、ピーチに思いを託し投げる。走りながら受け取ったピーチは、

 

「プラスワン!ラブリーリーフ!!」

 

 ピーチが最後にラブリーリーフをセットし、四つ葉のクローバーマークを完成させる。ピーチが四つ葉のクローバーを、デザートデビル目掛け投げ付けると、四つ葉のマークは巨大化し、四人がそれぞれのリーフの上に乗り、上空からデザートデビルを巨大な水晶に閉じ込めた。

 

「「「「ラッキークローバー!グランドフィナーレ!!」」」」

 

 ラッキークローバー・グランドフィナーレの力は、凄まじい輝きを放ち、デザートデビルを光の輝きの中に包み込んだ!!

 

 四人の強力な必殺技、ラッキークローバー・グランドフィナーレによって、新たなるデザートデビルは、為す術もなく浄化された。

 

 だが、四人も大分体力を使ったようで、その場にしゃがみ込み、肩で息をするほどだった。大喜びのタルトだったが、直ぐに悲鳴を上げる。ズシンズシンと、地響きを立てながら、今度は三体のデザートデビルが迫ってくるのだから・・・

 

「諦めない・・・私達は、諦めないんだからぁ~~!!!」

 

 何とか立ち上がろうとする四人であったが、ピーチのその言葉も空しく、三体のデザートデビルの口から強力なエネルギー波が放たれた。思わず目を瞑った四人だったが、何故か攻撃は当たらなかった。

 

 不思議そうに目を開けた四人の前に、バリアを張ったルミナスを先頭に、13人のプリキュア達が、ピーチ達を守るようにデザートデビルの前に立ち塞がる。

 

「アァ・・・アア!」

 

 その頼れる後ろ姿を見たピーチ、ベリー、パイン、パッションの瞳が輝いた。

 

「何とか間に合ったロプ!約束通り、プリキュア達を連れて来たロプ!」

 

「シロップ!」

 

 振り返った13人のプリキュアが、ピーチ達に笑顔を向ける。思わず涙が零れる四人、

 

「ありがとう・・・あなた達も、プリキュアなのね!?」

 

 13人のプリキュア達の勇姿を見て、嬉しそうに言うピーチに、

 

「うん、そうだよ!あなた達と同じ・・・プリキュアだよ!」

 

 ドリームがピーチの手を、ブラックがパッションの手を、ホワイトがベリーの手を、ブルームがパインの手を取り助け起こす。

 

「話は後々・・・行くよ、みんな!鬼退治と行きましょうか!!」

 

 ブラックの声を合図に、13人のプリキュア達が、三体のデザートデビルに向かって行った。その頼れる後ろ姿を、ピーチ達は眩しそうに見続けるのだった・・・

 

 

 戦闘後、歴代のプリキュア達と交流を深めたピーチ達は、家族を説得し、皆と共に旅立つ!デザートデビルが集結しつつある、決戦の地を目指して・・・

 

 

 一方、惑星城に乗り込んだブロッサム、マリン、サンシャイン、ムーンライトの前に、クモジャキーとコブラージャが現われる。マリンとサンシャインは、ブロッサムとムーンライトを先に行かせ、クモジャキーにはマリンが、コブラージャにはサンシャインがそれぞれ一対一で戦い始める。

 

 戦いは終局へと動き始めた・・・

 

            第五話:集結!プリキュアオールスターズ!!

                      完


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