プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第四十八話:消滅!

1、消えゆく光

 

 プリキュア達一同は、マリンタワーの上空に青空が現われたのを見て笑顔を向ける。

 

「ホワイト、ルミナス、あの子達がやってくれたようだね!」

 

「ええ、まさか此処までの力を持って居る何てね・・・」

 

「はい!でも、まだこの街には憎しみの意思が残って居るようです・・・憎しみの意思が、ハッピー達に迫っている気がします・・・私達もマリンタワーに向かいましょう!!」

 

 ルミナスが何かを感じ、ブラックとホワイトにマリンタワーに向かおうと進言すると、二人は顔を見合わせると頷き、三人はマリンタワー目指して全速力で走り始めた・・・

 

 

 

(今の輝きは!?ひょっとすると、ミラクルジュエルの手掛かりが掴めるかも知れませんねぇ・・・)

 

 ピーチ、ベリー、パイン、パッションと戦って居たジョーカーは、レインボーヒーリングの輝きを見ると、戦いを中断し、ピーチ達から距離を取った。上空から観察したジョーカーは、その力をプリキュアに与えたのは、どうやらキャンディである事を見抜くと、

 

(あの妖精・・・どうやら更に観察する必要がありますねぇ!それには、ウルフルンさん、アカオーニさん、マジョリーナさんだけでは・・・さてどうしたものですかねぇ?)

 

 顎に右手を乗せ考え込むジョーカーは、この場所に近づく憎しみの力を感じると目を見開き、

 

「これは使えそうですねぇ・・・三幹部の皆さん!お待たせ致しました・・・さあ、プリキュア達に先程の借りを返してらっしゃい!!

 

 ジョーカーが指をパチリとならすと、巨大なトランプカードがブルーム達、メロディ達、ピーチ達の前に現われ、カードが一回転すると、ブルーム達の前にウルフルンが、メロディ達の前にアカオーニが、ピーチ達の前にマジョリーナが現われた。

 

(さて、私はあの三人の出方を伺うとしますか・・・)

 

 ジョーカーは、トランプの舞と共にその姿を再び消した・・・

 

 

 

 

「あんたは、さっきの犬男!」

 

「犬じゃねぇよ!どう見ても狼だろうが!!」

 

「どっちでも良いような気もするけど・・・」

 

「良くねぇよ!この俺様が、犬呼ばわりされて黙って居られるか!!」

 

 ブルームに犬と間違われてご立腹のウルフルン、イーグレットにもどっちでも良いと言われ、地団駄踏んで悔しがる。

 

「ブルーム、イーグレット、バカの相手をしている暇は無いわよ!!」

 

「さっさとみんなと合流しましょう!!」

 

 ブライトにはバカ呼ばわりをされ、ウィンディには無視をされ、益々腸(はらわた)が煮えくりかえるウルフルンだったが、

 

「テメェら、コケにしやがってぇ!プリキュア共、さっきは油断したが・・・今度はそうはいかねぇぜ!!出でよ!アカンベェ!!」

 

 目の色変えたウルフルンに身構えるブルーム達、ウルフルンは、道端に落ちていた漫画雑誌をアカンベェに変えるや、ブルーム達に挑み掛かった・・・

 

 

 

「何かデカイのまた出た!!」

 

「ガァァァ!俺様はアカオーニだ・・・さっきの借りを、お前達で返すオニ!!」

 

 ミューズが少し嫌そうな顔でアカオーニを見ると、アカオーニは棍棒を地面に二度三度と突き、プリキュア達を威嚇するも、

 

「直ぐにウドの大木だって事を、思い知らせて上げるわ!」

 

「エエ、私達のハーモニーパワー!見せつけて上げましょう!!」

 

 リズムとビートがアカオーニに対して身構えると、アカオーニは頭を掻きながら、

 

「難しい事は、良く分からないオニ・・・」

 

「私も、良く分からないや・・・」

 

「ハミィもそうだニャ!」

 

 思わず互いの顔を見て笑い合うアカオーニとメロディ、ハミィ、リズムはトホホとぼやき、ミューズは醒めた視線を二人に向け、ビートは苦笑を浮かべた。

 

「何かお前とは気が合うオニ!でも、これも戦いオニ・・・行くオニ!出でよ、アカンベェ!!」

 

 アカオーニは、立て看板をアカンベェに変えてメロディ達に攻撃を始めた・・・

 

 

 

「何か、相手がお婆ちゃんだと戦いにくいね・・・」

 

「何かこっちが悪者みたいだわ・・・」

 

 困惑気味に目の前に現われたマジョリーナを見つめるピーチ達四人、ピーチとベリーが、マジョリーナ相手だと何かこちらが悪者みたいだと苦笑を浮かべると、

 

「失敬だわさ!あたしゃ、まだまだお婆ちゃんじゃ無いだわさ!!」

 

「って言われても・・・ねぇ?」

 

「そうね、どう見てもお婆さんよね!!」

 

 パインの言葉に相槌をうつパッション、マジョリーナは顔を真っ赤にして怒り始めると、

 

「忌々しい奴らだわさ・・・出でよ!アカンベェ!!」

 

 マジョリーナは、山下公園のベンチをアカンベェに変え、ピーチ達に襲いかかった・・・

 

 

 

 ハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティ、そしてキャンディの目がキラキラ輝いた。目の前には、坂上あゆみが、妖精の姿に戻った狐に似たアンデ、山羊に似たルセンが、元の姿を取り戻したのだから・・・

 

「あゆみちゃん・・・良かった!良かったよぉぉぉ!!」

 

「ありがとう・・・あなた達プリキュアのおかげよ!!」

 

 思わず互いに正面から抱き合い、嬉し涙にくれるハッピーとあゆみ、

 

「アンデ!ルセン!良かった・・・良かったクル~~!!」

 

「キャンディ!!おいら達・・・元に、元に戻れたんだね?」

 

「アンデ・・・私達元の姿に戻れたセセ!」

 

「これもキャンディと、プリキュア達のお陰デデ!」

 

 三人で手を取り合いジャンプしながらクルクル回り続ける三人の妖精達、サニー、ピース、マーチ、ビューティも嬉し涙にくれた。

 

 アンデとルセンは、あゆみの下に歩み寄ると、あゆみはしゃがみ込み、目線をアンデとルセンに合わせ微笑みを向けた。アンデとルセンも嬉しそうに微笑みながら、

 

「あゆみ・・・やっとあゆみとお話しする事が出来たデデ」

 

「キューちゃん・・・それがあなたの本当の姿なのね?」

 

「そうデデ!これがボクの本当の姿、メルヘンランドの妖精アンデ!隣に居るのはルセン!」

 

 アンデに紹介されたルセンが、ペコリとあゆみにお辞儀をすると、

 

「あゆみ、アンデを助けてくれてありがとセセ!」

 

「あゆみが居たから、ボクはあの姿になっても耐えられたのかも知れない・・・あゆみ、ありがとう!!」

 

「私の方こそキューちゃん・・・ううん、アンデが居てくれたから今の生活にも耐えられたのかも知れない・・・アンデ、ルセン、さっきは酷い事をさせてゴメンなさい!!」

 

「あゆみのせいじゃ無いデデ!」

 

「そうセセ!悪いのは、あの人セセ!!」

 

 ルセンは頬を膨らませて、自分達を怪物に変えたサディスを思いだし、あゆみのせいではないとフォローする。

 

「伝説の戦士プリキュア!何と感謝すれば良いのか分からないけど・・・本当にありがとデデ!!」

 

「このご恩は決して忘れないセセ!」

 

 アンデとルセンがハッピー達五人に深々とお辞儀をすると、ハッピー達は照れくさそうに苦笑を浮かべた。

 

 あゆみを、アンデとルセンを元に戻せた事を、早く先輩プリキュア達にも伝えたいと思ったハッピーであった・・・だが!!

 

 

 

 

 ハッピー達が取り戻したマリンタワー上空の青空が、瞬時に禍々しい闇に覆われた・・・

 

 憎しみの闇がマリンタワー上空に再び漂う・・・

 

「これは、あの時と同じデデ!」

 

「またあの怖い人達が現われるセセ!」

 

 嘗て、メルヘンランドの禁断の森で出会ったサディス達三人の気配が、再び間近に迫っている事を感じたアンデとルセンが、ブルブル震え出す。キャンディも不安そうに辺りをキョロキョロすると、上空を指差し、

 

「だ、誰か居るクル!」

 

 キャンディの言葉を受け、一斉に空を見上げた一同の視線に、サディス、ディクレ、ベガの三人が、鋭い視線で眼下の一同を睨み付けた。

 

「全く忌々しい奴らだ・・・プリキュアァァァ!!」

 

「あたしのクライナーを、魔界の戦士を、元の姿に戻したっていうのか?」

 

「一度魔に染まった者は・・・元に戻れる事など不可能だと教えてやるよ!!」

 

 上空から三人が強烈な衝撃波を浴びせて一同を吹き飛ばす、吹き飛ばされたあゆみの目前にベガが現われると、あゆみにパンチを浴びせようと拳に負の力を蓄え始める。

 

「あゆみちゃぁぁん!!」

 

 絶叫するハッピーが援護に向かおうとするも、サディス、ベガが五人を威嚇し、あゆみの下へと向かう事を阻止する。

 

 震えるあゆみ目掛け、ベガの右ストレートが炸裂するも、アンデとルセンがあゆみの前で手を握り合い、バリアを張って攻撃を防いだ。

 

「あゆみに・・・手出しさせないデデ!!」

 

「今度は、私達が守るセセ!!」

 

「アンデ・・・ルセン・・・」

 

 二人に守られたあゆみの瞳から、ポロポロ涙が零れてくる。ベガが咆哮すると全身がドス黒く輝き、

 

「くたばれぇぇぇ!!ダークネス・・・ボンバー!!」

 

 ベガの気合いを込めたショルダータックルを受け、アンデとルセンのバリアは砕け散り、二人は闇の力を浴びて、絶叫しながら地面に叩き付けられる。

 

「アンデ・・・ルセン・・・イヤァァァァァ」

 

 あゆみもまた、絶叫しながらアンデとルセンの下へと駆けつけると、二人を愛しそうに抱き起こし、声を掛ける。だが、瀕死の二人は息も絶え絶えで、言葉も上手く出てこなかった・・・

 

「アンデェェ!ルセン!ハッピー、みんなぁぁ!!アンデとルセンを助けてクルゥゥゥ!!」

 

 キャンディの悲痛な叫びが、五人のプリキュアの耳に痛い程響いてくる。だが、ディクレ、サディスの攻撃を受け続け、次々にダメージを負っていった・・・

 

 度重なる連戦は、想像以上にハッピー達五人の体力を奪い去っていた・・・

 

「あ、あゆみ・・・大丈夫?」

 

「私達・・・あゆみを守れたセセ?」

 

「うん、うん、私は二人のお陰で大丈夫だよ!だからしっかりして・・・アンデ!ルセン!」

 

 声を掛けて励ますあゆみの下にキャンディも到着し、アンデとルセンに必死に声を掛けるも、二人の身体は徐々に半透明になっていった。

 

「アンデェェェ!ルセン!退いてぇぇ!!そこを退いてぇぇぇぇ!!」

 

 血相を変えたハッピー達が、二人に駆け寄ろうとするも、サディスの衝撃波の乱れ撃ちが、五人を吹き飛ばし近づけさせない。

 

「あゆみ・・・キャンディを頼むデデ!キャンディは寂しがり屋だから・・・」

 

「あゆみも私達の分まで・・・」

 

「分かったから、もう喋らないで!今手当を・・・」

 

 二人はゆっくり頭を振ると、笑みを浮かべながら、

 

「最期に・・・元の姿に戻れて・・・良かった!」

 

「ロイヤルクイーン様・・・聞こえていたら、ボク達の最期の願いを・・・」

 

 顔を見合わせたアンデとルセンは、笑みを浮かべ合うと、

 

「「あゆみの力になれますように・・・」」

 

 そう言い残し、二人の身体は光と共に消え失せた・・・

 

「アンデ・・・ルセン・・・そんなぁぁ、そんなぁぁ」

 

 二人の消えた場所を呆然と見つめたあゆみ、その手の中には光輝く小さな球体が二つ、まるでアンデとルセンの形見のように輝き続けていた。

 

 あゆみはその場で嗚咽しながら泣き崩れた・・・

 

 拳を握り、地面を叩き続けた・・・

 

 自分に力があれば・・・

 

 プリキュアになれたら・・・

 

 アンデとルセンを、ハッピー達を守る力があれば・・・

 

(あゆみ、悲しまないで!ボク達は、あゆみと何時も一緒に居るよ!!)

 

(ロイヤルクイーン様が・・・私達の最期の願いを叶えてくれた!)

 

(あゆみは、こんなに優しいんだもの・・・あゆみの夢はきっと叶うよ!!)

 

(今はまだ、その力に気付いて居ないけど・・・)

 

((あゆみなら、必ず・・・プリキュアに!!!))

 

(あゆみ、ボクらの分まで・・・キャンディの事を見守って上げて!!)

 

 心の中に語り掛けてくるアンデとルセンの声・・・

 

 それはあゆみの幻聴なのか、それはあゆみにも分からない・・・

 

 あゆみは顔を上げると、泣きじゃくるキャンディを抱き上げ、悲しい気持ちを堪え、キャンディを励ました。

 

 そんなあゆみに、再びベガが迫るも、あゆみは気丈にキャンディを庇いながらベガを睨み返した。

 

 ハッピー達を戦闘不能寸前まで追い詰め、ディクレとサディスもあゆみに迫る。

 

「さあ、妖精は始末した!一度魔界の者となったお前を・・・裏切り者として殺し、プリキュア共を始末すれば、少しは我らの気も晴れるというもの」

 

 ヨロヨロ立ち上がった五人が、あゆみとキャンディの下へと歩を進めようとするも、身体は中々言う事を聞かず、ハッピーは自分の足を叩きながら、

 

「動いて!動いて!お願い、動いてぇぇ!!」

 

 気合いを入れてゆっくり歩を進め出すのを見たサディスは、

 

「チッ、面倒だねぇ・・・纏めてその女と一緒に始末してやるよ!!」

 

 ベガに顎で合図を送ると、ベガが拳を鳴らし、あゆみに再び近付いて来る。あゆみは咄嗟にキャンディを逃がしたものの、ベガはあゆみを掴むとハッピー達の下へと投げ飛ばした。

 

「キャァァァ!」

 

「あゆみちゃん!」

 

 ハッピーは身体事あゆみを受け止めるも、そのまま地面に倒れ込む。

 

「纏めて消えちまいな!プリキュアと共に!!」

 

 サディス、ベガ、ディクレが両拳に力を込めると、負の力が拳に集中し、三人が一気に拳を突き出すと、黒い渦を発しながらハッピー達とあゆみ目掛け飛んでいく。

 

「ハッピー!みんなぁぁぁ!!」

 

 号泣しながら一同の名を叫ぶキャンディ、その目の前を二つの影が横切ると、瞬時に手を握り合い、三人の魔人の攻撃を受け止めた。

 

「よくもハッピー達をいたぶってくれたわね!!」

 

「ルミナス!あなたはハッピー達の援護に回って!!」

 

 険しい表情を浮かべながら、駆けつけたブラックとホワイトが、手を握り合いながらバリアを張り、ハッピー達一同を庇った。ルミナスは頷くと、

 

「はい、分かりました!!ハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティ、大丈夫ですか?」

 

 助けに来てくれたブラック、ホワイト、ルミナスを見た一同は、堪えていた感情が一気に爆発し号泣する。

 

「何!?どうしたの?ハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティ?」

 

「一体、何があったの?」

 

 ブラックとホワイトは、チラリと背後のハッピー達を見ながら優しく声を掛けると、

 

「アンデとルセンがぁぁ、その人達にやられて・・・」

 

「むざむざ私達の目の前で、消滅させられて・・・」

 

「ウチ・・・悔しいわぁぁ!」

 

「あたし達・・・折角二人を元の姿に戻す事が出来たのに・・・」

 

「救えなかった・・・」

 

 ハッピーが、ビューティが、サニーが、マーチが、ピースが、皆俯きながら泣きじゃくり、

 

「私のせい何です・・・私の・・・二人は私を庇って・・・」

 

 顔を覆ってその場に泣き崩れるあゆみを労り、ルミナスは優しく声を掛けた。ブラックとホワイトは正面を向き直すや、キッと三人の魔人を睨み付けた。二人の闘志が、三人の魔人を飲み込むと、三人はブラックとホワイトに気圧された。ブラックとホワイトは、一気に距離を詰め、呆然としていたサディス、ベガ、ディクレの三人に、怒濤の連打を浴びせ吹き飛ばした。

 

「あんたら・・・絶対許さない!!」

 

「アンデとルセンの無念・・・私達が晴らしてみせる!!」

 

 ブラックとホワイトの啖呵を聞くや、全身を痙攣させるサディス、ベガ、ディクレ、

 

「その声・・・やはりそうか!まさか・・・貴様達までこの時代に居たとは?」

 

「ああ、正直驚いた!」

 

「その顔・・・その容姿・・・そして、その声・・・忘れはしないよ!!」

 

「「「我ら三人を、ロイヤルクイーンと共に封印した貴様ら二人!!今こそあの時の怨み、晴らしてくれるぅぅぅぅ!!!」」」

 

 ディクレ、ベガ、サディス、三人の魔人の瞳は金色に妖しく輝き、その口は醜く耳元まで裂けた・・・

 

「何!?こいつら、一体何を言ってるの?」

 

「分からない・・・多分、私達を誰かと勘違いしているんだと思うけど・・・」

 

 三人の異変を受け、困惑するブラックとホワイトであったが、二人も鋭い視線を三人に浴びせ続ける。

 

 三人の魔人は上空高く浮かび上がると、

 

「貴様らが居るのなら、最早小細工はせん・・・この街事消えて無くなれぇぇ!!!」

 

 ディクレの言葉に合わせるように、三人が右手を重ね合うと、負の力が一気に増幅し始め、辺りを禍々しい気が覆い始めた・・・

 

 

2、虹の輝き

 

 各地で闇、そして、アカンベェと戦って居たプリキュア達にも、直感的に嫌な気配がマリンタワーから流れてきた事を感じるや、皆表情を変えた・・・

 

「何!?今の感じは・・・みんな、急ぐよ!!ココ!ナッツ!力を貸して!!」

 

 ドリームの言葉に頷いたココとナッツが念じ始めると、

 

「プリキュアに力を!」

 

「ミルキィローズに力を!」

 

 ココ&ナッツの頭上にパルミエ王国の王冠が現われ、プリキュア5とローズに力を与える。

 

「クリスタル・フルーレ!希望の光!!」

 

「ファイヤー・フルーレ!情熱の光!!」

 

「シャイニング・フルーレ!弾ける光!!」

 

「プロテクト・フルーレ!安らぎの光!!」

 

「トルネード・フルーレ!知性の光!!」

 

 プリキュア5の手にキュアフルーレが装備される。そして、ミルキィミラーがローズの手に現われる。六人のプリキュア達が構えると、

 

「邪悪な力を包み込む、煌くバラを咲かせましょう!ミルキィローズ!メタル・ブリザード!!」

 

「5つの光に!」

 

「「「「勇気をのせて!」」」」

 

「「「「「プリキュア!レインボー・ローズ・エクスプロージョン!!」」」」」

 

 青い薔薇の吹雪が、五色の薔薇が合わさり虹色の薔薇が、前方の闇に蠢く群れを飲み込み駆逐した・・・

 

 

 

「な、何だ!?此奴ら、急激に力が上がりやがっただとぉ?」

 

 ブルーム達四人の精霊の輝きが一層力を増し輝くと、ウルフルンはその力を目の当たりにして驚愕する。

 

「あんたと戦ってる暇は無いの!!イーグレット、ブライト、ウィンディ、一気に決めるよ!!」

 

「「「エエ!!」」」

 

 ブルームの合図を受け、横一列に並んだ四人は、

 

「「精霊の光よ!命の輝きよ!」」

 

 イーグレットとウィンディが叫べば、

 

「「希望へ導け!二つの心!」」

 

 ブルームとブライトが叫ぶ、

 

「「プリキュア!スパイラル・ハート・・・」」

 

「「プリキュア!スパイラル・スター・・・」」

 

「「「「スプラ~~ッシュ!!!!」」」」

 

 ブルーム達の必殺技が、ウルフルンとアカンベェに迫る。その威力の前に堪らずウルフルンは撤退し、アカンベェは浄化され、ブルームがバナナのキュアデコルをゲットするも、四人は足下に力を込め、マリンタワー目指し飛翔した。

 

 

 

「何か嫌な予感がする・・・メロディ、リズム、ミューズ、一気に決めましょう!ハミィ!!」

 

「合点ニャ!!」

 

 ビートの言葉に反応したハミィは、預かっていたヒーリングチェストを取り出すと、

 

「「「「出でよ、全ての音の源よ!」」」」

 

 フェアリートーン達の力を受け、クレッシェンドトーンを召喚した一同は、

 

「「「「届けましょう、希望のシンフォニー!!プリキュア!スイートセッション・アンサンブル・クレッシェンド!!!!」」」」

 

 両腕をクロスした四人が、クレッシェンドトーンの金色の光の炎と一体化し、慌てて逃げるアカオーニを尻目に、アカンベェ目掛け突撃した・・・

 

「「「「フィナーレ!!!」」」」

 

 四人の合図と共に、アカンベェの負のエネルギーが爆発し、アカンベェを浄化したメロディは、蝶のキュアデコルをゲットする。

 

「行こう!ハッピー達が居るマリンタワーに!!」

 

 メロディの合図と共に駆け出すメロディ達だった・・・

 

 

 

「凄まじい憎しみの力を感じるわ・・・私達もマリンタワーに行くわよ!!」

 

「「「はい」」」

 

 ムーンライトの言葉に頷いたブロッサム、マリン、サンシャイン、ブロッサムタクト、マリンタクト、シャイニータンバリン、ムーンタクトを取り出し、勝負に出る。

 

「花よ、輝け!プリキュア!ピンクフォルテウェ~イブ!!」

 

「花よ、煌け!プリキュア!ブルーフォルテウェ~イブ!!」

 

「花よ、舞い踊れ!プリキュア!ゴールドフォルテバースト!!」

 

「花よ、輝け!プリキュア!シルバーフォルテウェ~~イブ!!」

 

 四人から放たれたフォルテウェーブ、フォルテバーストが闇の中に輝く花を咲かせた。ムーンライトがマントを取り出すと、シプレ、コフレ、ポプリの妖精達もマント姿に変わり、四人は上空に飛翔した。

 

 

 

「ベリー、パイン、パッション、急いでハッピー達に合流するよ!!」

 

 ピーチの合図を受け、ピーチロッド、ベリーソード、パインフルート、パッションハープを四人が取り出すと、

 

「吹き荒れよ!幸せの嵐!プリキュア!ハピネス・ハリケーン!!」

 

「「「悪いの、悪いの、飛んでいけ!」」」

 

「プリキュア!ラブサンシャイン・・・」

 

「プリキュア!エスポワールシャワー・・・」

 

「プリキュア!ヒーリングプレアー・・・」

 

「「「フレ~~ッシュ!!」」」

 

 四人の合体技を受け、浄化されたアカンベェ、ピーチはボールの形をしたキュアデコルをゲットするも、一同がキッとマジョリーナを睨み付けると、

 

「アワワワワワ!お、覚えておいで!!」

 

 マジョリーナは逃げるようにその場から撤退する。ピーチ達は背後を振り向くと、再びマリンタワー目指して走り始めた・・・

 

 

 

 

 上空に浮かぶ三人の魔人から、強大な負の力を込めたエネルギー波が地上目掛け放たれた。咄嗟にルミナスがバリアを張ろうとするのを、ブラックとホワイトが止めた。

 

「ルミナス、あなたはハッピー達を守って!!」

 

「みんな、大分疲れてる・・・此処は私とホワイトで食い止めてみる・・・行くよ、ホワイト!!」

 

 ギュッと握り合う手と手、ブラックとホワイト、二人の身体から発せられた虹色の光が、虹色の球体の巨大なバリアとなって広がっていく・・・

 

 マリンタワー上空で激しくぶつかり合う光と闇の力・・・

 

「グゥゥゥゥゥ・・・プリキュアァァァ!!」

 

「あたし達の目の前から・・・消えて無くなれぇぇ!!」

 

「ハァァァァ!!!」

 

 ディクレが、サディスが、ベガが、一層の雄叫びを上げ威力が増していく。負けずとブラックとホワイトの握り合う手と手に、ギュッと力が加わっていく。

 

「メップルゥゥ!」

 

「ミップルゥゥ!」

 

「「あなた達もルミナスの側に行ってぇぇ!!」」

 

「ブラック、ホワイト、何言ってるメポ」

 

「私達も一緒に・・・」

 

「「いいから早くぅぅ!!!」」

 

 二人に怒鳴られ、慌てて妖精姿になったメップルとミップルは、ルミナスの下へと避難する。それを見届けた二人は、

 

「あんた達何かに、絶対負けないんだからぁ!!」

 

「この街も、ハッピー達プリキュアのみんなも」

 

「「守ってみせるぅぅぅ!!」」

 

 更にギュッと握り合う手に力が加わると、虹の球体は凄まじい輝きを発し、三人の魔人が放った一撃を粉砕し、三人を吹き飛ばした・・・

 

「バ、バカな!?我ら三人が押されているだとぉ?」

 

「畜生!!」

 

「おのれ、プリキュアァァ!!」

 

 力を使いすぎ落下したディクレ、ベガ、サディスは、荒い呼吸を繰り返す。凄まじい光で輝く虹の球体が、憎しみに包まれた闇を完全に排除し、横浜の空に、再び青空を完全に取り戻した・・・

 

 徐々に集結したプリキュア達も、再び横浜の空に青空が戻った事にホッと安堵する。だが、虹の輝きが収まった時、そこには誰も居なかった・・・

 

「エッ!?ブラック、ホワイト、何処ですか?」

 

 ルミナスは辺りをキョロキョロ捜すも、視線に映るのは他のプリキュアの仲間達とあゆみと妖精達、そして、疲労困憊している三人の魔人だけだった・・・

 

 駆けつけたムーンライトは、ルミナスに近付き手短に状況を聞くと、ハッピー達を労りながらも、姿が見えないブラックとホワイトを必死に目で捜す。

 

「ブラック!ホワイト!冗談は止めて・・・早く姿を見せて!!」

 

 だが、二人は答えない・・・

 

 駆けつけたプリキュア達に動揺が沸き起った。

 

「ブラック・・・なぎさぁぁぁ!!」

 

「ほのかぁぁぁ!!」

 

 今にも泣き出しそうな声で、必死に二人の名を呼ぶメップルとミップル、それでも二人は答えない・・・

 

「ハ・・・ハハハハ!消えた・・・消滅しやがった!!」

 

「勝った!我らは勝ったのだ!!」

 

「この時をどれ程待ち望んだ事か・・・」

 

 ベガが、ディクレが、サディスが、積年の恨みを晴らし、歓喜の声を上げる。三人の声が聞こえるやムーンライトは呆然とし、そのまま膝から崩れ落ちると、

 

「ブラックゥゥ!ホワイトォォ!・・・なぎさ・・・ほのか・・・嘘、嘘よ・・・イヤァァァァァァァ!!」

 

 ムーンライトの悲痛な叫び声が、マリンタワーに響き渡った・・・

 

 

                第四十八話:消滅!

                    完

 


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