プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第四十三話:頼れる先輩

1、対決!

 

 ハッピー達五人の窮地に、キャンディ、ポップと共に駆けつけたピーチ、ベリー、パイン、パッション、後輩プリキュアを守る為、今、黒い空き缶姿のクライナーとの戦いが始まった・・・

 

 一方、ポップの行動を読み、パルミエ王国に現われたジョーカーは、ローズとビートの力を計るかのように、アカンベェを繰り出した。迎え撃つローズとビート、ウエスターとサウラー、今ジョーカーとの戦いが始まろうとしていた・・・

 

 

 

「ビート!そっちの怪物をお願い!!」

 

「分かったわ!でもローズ・・・無茶はしないでね!」

 

 互いに軽く拳を合わせたローズとビートは、瞬時に行動を開始し、ローズはジョーカーと、ビートはマンゴー型アカンベェと対峙した。それを見たサウラーは、

 

「ウエスター!君はそっちの青紫のプリキュアの援護を頼む!僕は紫のプリキュアの援護に回る!」

 

「了解だ!久々に大暴れしてやろうぜ!!」

 

 サウラーの言葉に同意し、指をポキポキ鳴らすウエスターを見たサウラーは、口元に笑みを浮かべながら、

 

「張り切るのは構わないが、あまり派手にはしない事だね!此処はパルミエ王国の宮殿内だという事を忘れないでおきたまえ!」

 

「オオ、任せておけ!プリキュア、俺も手を貸すぜ!!」

 

 俊敏に動き回り、アカンベェを混乱させるビート、宙に飛び、アカンベェと肉弾戦を始める中、雄叫びを上げたウエスターの重い拳が、アカンベェのボディに炸裂し、思わずアカンベェの表情が歪んだ。

 

(敵の動きが鈍った!今なら私だけでも・・・)

 

 アカンベェの顔に蹴りを放ち、その反動で宙返りしたビートは、

 

「弾き鳴らせ、愛の魂!ラブギターロッド!」

 

 ビートが、アイテムであるラブギターロッドを取り出すと、ラブギターロッドを弾いて光の音符を複数出現させ、それを矢の形に変えると、ビートソニックを繰り出し、アカンベェに無数の光の矢で攻撃を始めた。

 

 

(流石に戦い慣れているようですねぇ・・・)

 

 ローズの攻撃を捌きながら、チラっとビートの戦い方を見つめるジョーカー、ローズは、自分を見下すような態度を取るジョーカーに苛つき、

 

「余所見をしてる暇は無いわよ・・・ハァァァ!」

 

 強烈な肘打ちをヒットさせたかに見えたが、ジョーカーは巨大なトランプを反転させて回避し、現われるや含み笑いを浮かべ、益々ローズを苛立たせる。がむしゃらにパンチを繰り出すローズの攻撃を躱したジョーカーは、すれ違い様にローズの髪を撫でながら、

 

「ほう、妖精にしては綺麗な毛並みですねぇ?」

 

「私の髪に・・・触るなぁぁぁ!!」

 

 ジョーカーに髪を触られた時、ローズの全身に鳥肌が立った。今まで幾多の敵と戦って来たローズだったが、こんな事は初めてであった・・・

 

「冷静になりたまえ!それでは益々奴のペースに乗せられるぞ!!」

 

 サウラーは、益々冷静さを欠いていくローズに忠告を与えるも、ローズは、サウラーの言葉が耳に入らないかのように、ジョーカー目掛け突進する。

 

(ウフフフフ・・・まだまだ甘いですねぇ!)

 

 含み笑いを浮かべたジョーカーが、何かを企んでいる事に気付いたサウラーは、パンチを繰り出そうとしたローズの肩を掴み、強引にローズの動きを止めた。ローズは不服そうに、

 

「何で止めるのよ!?」

 

「冷静になりたまえ!僕が止めなければ・・・今頃君は、串刺しだった所さ!!」

 

 サウラーの言葉に何を言っているの?と言いたげなローズだったが、ジョーカーを見て顔色を変えた。

 

「おやおや、もう少しで串刺しに出来たんですがねぇ?」

 

 ジョーカーは、ゆっくり右手に握られているレイピアのような細身の剣を取り出す。もしあのまま気付かずジョーカーに向かっていたら、自分はあの剣に貫かれていただろうと気付き、ローズの表情が凍り付く、

 

(全く、得体の知れない奴ね・・・)

 

 だが、ローズの戦意が喪失される事など無く、むしろ益々闘志を燃やすローズだった。ローズはサウラーを見ると、

 

「一先ず礼を言っておくわ!」

 

「どう致しまして・・・此処は連係攻撃で行くべきだと思うがね?」

 

「そうね・・・どうする?」

 

 此処は、観察力に優れるサウラーの言う通りに動くべきだろうと判断したローズ、サウラーが何かローズに呟くと、ローズは口元に笑みを浮かべ頷いた。

 

(おやおや、何を企んで居るのか知りませんけど・・・)

 

 そんな二人を、ジョーカーも笑みを浮かべながら見つめていた・・・

 

「さあ、今度は僕から仕掛けさせて貰うよ!」

 

 サウラーが宙に飛び、ジョーカーに連続蹴りを放つのを、軽く躱したジョーカーは、お返しとばかり、レイピアでサウラーを突き刺そうとするかのように攻撃を加える。ヒュンヒュンと剣先が唸り、サウラーはその攻撃をすんでの所で躱し続ける。

 

「どうしました!?それでは私を倒す事など出来ませんよ?」

 

 そうは言いながらも、ジョーカーは、ローズが攻撃に加わらない事に違和感を覚えて居た。

 

(あのプライド高そうなプリキュアが、このまま大人しくしているとも思えませんけど・・・)

 

 そう思いながらローズの姿を目で追うも、ローズの姿はその場から消えていた。一体何処に消えたのか?ジョーカーに惑いが生まれた時、サウラーは口元に笑みを浮かべると、

 

「今だ!!」

 

「ミルゥ!!」

 

 サウラーの背に張り付いていたミルクが、瞬時にローズへと戻ると、呆気に取られていたジョーカーに、強烈な肘打ちをヒットさせて吹き飛ばした。何とか体勢を整えたジョーカーだが、不意打ち攻撃をまともに受け、思わずよろめき膝を付いた。

 

「バ、バカな!?そのような事が・・・」

 

 出し抜かれたジョーカーは、口惜しそうに歯軋りしながら、ローズとサウラーを睨み付けた。

 

 

 

「食らいやがれぇぇ!!」

 

 地上からウエスターが咆哮しながら、怒濤のパンチをアカンベェに浴びせビートを援護する。ウエスターの攻撃に押されたアカンベェが蹌踉めくと、

 

「チェンジ!ソウルロッド!」

 

 俊敏に動き、アカンベェの上半身にダメージを与えたビートは、此処を勝負所と見てソリーを呼ぶと、ラブギターロッドにセットし、ソウルロッドへと変化させる。

 

「駆け巡れ、トーンのリング!プリキュア!ハートフルビート・ロック!!」

 

 トーンのリングをセットしたソウルロッドのトリガーを引き、ソウルロッドから勢いよくアカンベェ向けて射出されたトーンのリングが、アカンベェをリングの中心に捕らえると、

 

「フィナーレ!!」

 

 ビートの合図と共に爆発が起こり、アカンベェは徐々に消滅し、元のマンゴーのような姿に戻った。

 

「ヨッシャ~!!流石だぞ、プリキュア!!」

 

「あなたこそ、援護してくれてありがとう!」

 

 ウエスターに笑みを向けたビート、その背後で、ドーナツに似たホホエミーナに守られた妖精達の歓声が沸き起る。上空からゆっくり落ちてきた物体を、ビートは掌に乗せ凝視すると、そこには象の顔が描かれていた。何の事か分からず思わず首を傾げるビートだったが、それをギュッと握ると、ジョーカーと戦うローズの援護に向かおうとする。

 

(アカンベェを倒しましたか!此処は・・・)

 

 ジョーカーの一瞬の隙を逃さず、ミルキィパレットをフル稼働させたローズが、

 

「邪悪な力を包み込む、バラの吹雪を咲かせましょう!ミルキィローズ・ブリザード!!」

 

 青い薔薇吹雪がジョーカー目掛け飛んで行く・・・

 

「しまった!?・・・なぁんてね!皆さん、勝負は預けましたよ!!」

 

 ミルキィローズ・ブリザードを上空にジャンプして躱したジョーカーの姿が、トランプの舞の中に消え去った・・・

 

「どうやら追っ払えたようね・・・でも、あの男は一体!?」

 

「ロ、ローズ・・・その傷は?」

 

 思わず驚いた表情を浮かべたビートが、ローズに駆け寄り大丈夫か問い掛けると、ローズも、自分の左腕に傷が付いて居る事に気付き、驚きの表情を浮かべた。

 

「何時の間に!?・・・大した傷ではないけど、ミルキーローズブリザードの間隙をぬって、私は攻撃を受けていたっていうの?」

 

 ジョーカーが消え去った場所を、複雑そうな表情で見つめるローズとビートだった・・・

 

 

 

 一方、クライナーと戦いを開始したピーチ達四人は・・・

 

 クライナーは、ハッピー達を追い込んだ液体を、マシンガンのように連射する攻撃を放つも、ピーチ達四人は四方に散って躱し続ける。アイコンタクトした四人、ピーチは、わざとクライナーの注意を自分に向ける。クライナーがピーチに気を取られた隙に、ベリー、パイン、パッションが、時間差でキックを放ちクライナーを蹌踉めかせると、すかさず合流した四人が、一気に加速を付けてクライナーに近付き、

 

「「「「プリキュア!クアドラプル・パァンチ」」」」

 

 四人が同時にパンチを放ち、クライナーを吹き飛ばし、更に起き上がろうとするクライナー目掛け、大きくジャンプした四人は、

 

「「「「プリキュア!クアドラプル・キ~ック」」」」

 

 四人が急降下しながら跳び蹴りを放ち、コロコロ転がり動きが鈍るクライナー、此処を勝負所とみたピーチ達が、何か技を放とうとしているのに気付いたビューティは、表情を険しくすると、

 

「いけません!その敵は、私達の必殺技を吸収し、力を付けました・・・」

 

 ビューティの言葉を表すように、背後で、その時の真似をするハッピー、サニー、ピース、マーチ、その姿は最早コントをしているようで、ピーチ達四人の目が点になる。

 

「後ろで何してるのかしら!?あの娘達?」

 

「アハハハ、まあ、何か私達に伝えようとしているのは分かるけど・・・」

 

「あの青いプリキュアの娘の話で、あの敵は技を吸収するのは理解したわ!」

 

「迂闊な攻撃は、出来ないって事ね!」

 

 少々呆れたようにハッピー達を見つめたベリー、ピーチ、パッション、パインの四人、ビューティの言葉で、目の前の敵は、技を吸収して自分の力に変えると知る。だが・・・

 

 技を吸収されるなら・・・吸収出来ない技を放てば良い!!

 

 四人の考えは同じようで、アイコンタクトをして頷き合うと、

 

「行くよ!ベリー、パイン、パッション!クローバーボックスよ、私達に力を貸して!!!」

 

 ポップが預かっていたクローバーボックスから放出された光が、リンクルンに力をもたらし、思わずポップとキャンディが驚きの声を上げた。

 

「プリキュアフォーメーション!」

 

 ピーチの合図を受け、四人が一斉にしゃがみ込み構えると、ハッピー達五人は何事かとキョトンとする。技を吸収する敵に、先輩達は何をしようとするのか、五人の視線が四人を凝視した。

 

「レディー・・・ゴー!!」

 

 再びピーチの合図で走り出す四人、立ち上がったクライナー、そして見ていたサディスも、何事かと度肝を抜かれる。

 

「ハピネスリーフ!セット!パイン!!」

 

 パッションから始まったハピネスリーフ、パッションはパインに投げると、

 

「プラスワン!プレアリーフ!ベリー!!」

 

 受け取ったパインが、プレアリーフをセットしベリーに投げる。

 

「プラスワン!エスポワールリーフ!ピーチ!!」

 

 受けたベリーが、エスポワールリーフをセットし、ピーチに思いを託し投げる。

 

「プラスワン!ラブリーリーフ!!」

 

 受け取ったピーチは、ラブリーリーフをセットし、四つ葉のクローバーマークを完成させる。ピーチが四つ葉のクローバーマークを投げると、それは巨大化し、四人はそれぞれのマークの上に乗って、クローバーの中心部に居るクライナーの上で下降し、クライナーを巨大な水晶の中に閉じ込めた。

 

「「「「ラッキークローバー!グランドフィナーレ!!」」」」

 

 ラッキークローバー・グランドフィナーレの力は、凄まじい輝きを放ち、クライナーを光の輝きの中で包み込んだ!!

 

「お見事です!あれでは技を吸収する事も出来ませんね!!」

 

「ウワァァ・・・スゴォォォイ!!!」

 

 ビューティは笑みを浮かべながら、先輩達の行動を見て尊敬の眼差しを浮かべ、ピースは目をキラキラ輝かせて四人の合体技、ラッキークローバー・グランドフィナーレを見つめ、仲間達を振り返ると、私達もあんな技作ろうよと提案するのだった・・・

 

 クライナーは浄化され、取込んでいたアカンベェも浄化された事で、苺のキュアデコルをゲットするピーチ、不思議そうに首を傾げ、キュアデコルを見つめるピーチに、ポップが簡単な説明をすると、ピーチは頷き、持っていたキュアデコルをキャンディに手渡すのだった。

 

 一方、サディスが持っていた、ルセンが変えられた本体ともいうべきクライナーは、元の白さを取り戻す。サディスは目を血走らせると、持っていたクライナーを地上に叩き付けて悔しさを紛らわせる。クライナーは、ピクピクしながらもキャンディの下に躙り寄って行った・・・

 

「キャンディ!」

 

 キャンディを庇うように前に出たハッピー達五人とポップ、クライナーは動きを止めると悲しげな声を発した・・・

 

「あの子・・・泣いてる!?」

 

 パインは、クライナーの悲しげな声を聞くと、キルンを呼び出しクライナーに近づいて行った。

 

「余所見をするとは・・・余裕だなぁぁぁ!!」

 

 自分を無視するように、クライナーに近づいていくパインを見たサディスは、目の色変えてパインに襲いかかろうとするのを、ピーチ、ベリー、パッションが割って入り、サディスと小競り合いを始める。パインは三人にありがとうと呟き、クライナーの前にしゃがみ込むと、

 

「こんにちは!どうしたの?悲しそうな声を出して・・・」

 

 パインがクライナーと会話を始めた事に驚くハッピー達、話し掛けられたクライナーは、まるで喜んでいるように、パインに懸命に何かを訴えると、パインはウンウン頷き、

 

「そんな酷い事を・・・うん、うん・・・キャンディちゃん!こっちに来て!!」

 

 パインに名前を呼ばれたキャンディはビクリとすると、嫌々をして、ポップの背後に隠れる。パインは悲しげな表情を浮かべながら、

 

「キャンディちゃん・・・この子は、あなたのお友達の・・・ルセンちゃん何だよ!!」

 

 パインの言葉を聞き、固まるキャンディとポップ、キャンディの目が見る見る涙目になっていく。ポップは俄には信じられないといった表情で、

 

「パイン殿、それは誠でござるか?」

 

「うん!ルセンちゃんの話だと、アンデちゃんっていう妖精さんと一緒に、ピーチ達が戦って居るあの人に、今の姿にされちゃったんですって・・・」

 

「な、何という事を・・・ルセン、気付いてあげられずスマンでござる」

 

「ルセン・・・本当にルセンクル!?」

 

 ポップは、気付いてあげられなかった自分の情けなさに、拳を振るわしながら謝り、キャンディは、本当にルセンかどうか恐る恐る訪ねると、クライナーはピョンピョン跳ねた。その仕草に、確かにキャンディは身に覚えがあった・・・

 

「ま、間違いないクル・・・ルセンクル~~」

 

 キャンディは大粒の涙を零しながら駆け出すと、クライナーの姿に変えられたルセンと抱き合い号泣する。

 

「そんなぁ・・・キャンディのお友達だったなんて」

 

「知らんかったとは言え、ウチらは・・・キャンディの友達と戦ったんか?」

 

「気に入らないねぇ・・・こんな酷い事を平気でする何て!」

 

 友達だと気づけなかった事に、キャンディは号泣しながらルセンに謝り続けるのを見た

 ハッピー、サニー、マーチの目にも涙が浮かぶ・・・

 

「気に入らないならどうする!?お嬢ちゃん達?」

 

 ピーチ達から距離を取ったサディスが、今の言葉に反応すると鼻で笑い、ハッピー達を挑発するように声を掛けると、

 

「お黙りなさい!!このような非道な行ない・・・許しません!!!」

 

「キャンディのお友達を、元に戻してよ!」

 

 非人道的行為を目の前で見せつけられ、ビューティが烈火の如く怒りを露わにし、ピースはルセンを元に戻すようにサディスに抗議するも、サディスは再び鼻で笑い、

 

「だったら・・・実力で証明して見せな!!」

 

 サディスの瞳が金色に輝くと、サディスの周囲に凄まじい負の力が発生する。まるで蛇に睨まれた蛙のように、サディスの発する負の力の前に、身動き出来ず押され出すハッピー達だったが、

 

「私達も、あなたの行ない・・・許しはしない!!」

 

 ピーチ、ベリー、パイン、パッションの四人がハッピー達五人の側に並ぶと、ハッピー達の心に余裕が生まれ、光の輝きが強さを増した。再び身動き出来るようになり、思わず手足を動かすハッピー、サディスは忌々しげにプリキュア達を一人一人見つめると、

 

「チッ!さすがにこれだけのプリキュア相手では分が悪いねぇ・・・今日の所は退くか!その役立たずは、貴様らに返してやるよ!!最も、もう元に戻す事は不可能だけどね・・・だが覚えておきな!クライナーは、まだこの地に居るんだ!プリキュア!!次に会った時は・・・覚えてな!!!」

 

 サディスは時空の歪みの中に消え失せると、周囲を覆っていた負の力が消え去り、辺りに何時も通りの景色が戻った。

 

 

2、美希の推測

 

 サディスを追い返した少女達は、互いに自己紹介をして親睦を深めた・・・

 

「何とか間に合って良かったよぉ・・・私は、キュアピーチ事桃園ラブ!ヨロシク!!」

 

「あたしは、キュアベリー事蒼乃美希!あなた達を見て居ると、プリキュアに成り立ての頃を思い出すわねぇ・・・」

 

「私はキュアパイン事山吹祈里です!みんな、よろしくね!!」

 

「私の名前は、キュアパッション事東せつなよ!ポップから話は聞いているわ・・・私達四人もあなた達に協力するわ!!」

 

 先輩であるピーチ達が先ず自己紹介を始めると、変身を解いたみゆき、あかね、やよい、なお、れいかが四人の挨拶に畏まって頭を下げる。

 

「ご丁寧に・・・私は、キュアハッピー事星空みゆきです!絵本やおとぎ話が大好き、勉強は・・・ハップップ~な中学二年生です!!」

 

「何や、そないな事も言うんか?ウチはキュアサニー事日野あかねです!ウチの店はお好み焼き屋をやってますんで、今度食べに来て下さい!よろしゅうお願いしますわ!!」

 

 みゆきとあかねの挨拶を聞くと、思わずピーチ達は顔を見合わせ驚き、

 

「みゆきちゃんに、あかねちゃんかぁ・・・アハハハ!私達の知り合いと同じ名前だねぇ」

 

「本当!それに、みゆきちゃんは絵本やおとぎ話が好き何だ?のぞみのお父さんは童話作家だから、のぞみとは気が合いそうねぇ?」

 

「ええ、それにあかねは、タルトと似たような言葉を喋ってるから、タルトと気が合うかも知れないわね」

 

「本当ねぇ・・・早くみんなにもみゆきさん達の事も話してあげたいね」

 

 ピーチ、ベリー、パッション、パインが、みゆきとあかねの自己紹介を聞き感想を述べる。何時自分が話せばいいのかタイミングが掴めず、少し涙目になったやよいに気付いたあかねが、やよいを指さすと、

 

「ほんで、あそこで泣きそうになっとるんが・・・ほらやよい、自己紹介せな!」

 

「プンスカプン!泣いてないもん!!・・・初めまして!私はキュアピース事黄瀬やよいです!!絵を描くのが大好きです!よろしくお願いしまぁす!!」

 

「後、やよいはヒーローオタクでぇ~す!・・・あぁ、ロボットアニメも好きやったなぁ?」

 

「もう、あかねちゃん!!」

 

 あかねにからかわれ、益々涙目になるやよいであったが、ピーチは苦笑を浮かべながらも、自分もヒーロー物は大好きで、小さい頃は、美希や祈里を巻き添えにして、ヒーローごっこをしていた事を伝えると、やよいの目はキラキラ輝き、

 

「あのぉ・・・後でサイン貰って良いですか?」

 

「エッ!?サイン?私達・・・同じプリキュア何だけどなぁ?」

 

 やよいの発言に思わず苦笑を浮かべるピーチ、一同は思わずクスリと笑んだ。

 

「あたしは、キュアマーチ事緑川なおです!先輩達、どうぞよろしく!!」

 

「なおはスポーツ万能何やけど・・・恐がりやねん!」

 

「あかね!恐がりは余計だろう・・・全く!!」

 

「でも、事実ですものね・・・ウフフ!初めまして!私はキュアビューティ事青木れいかと申します!!以後お見知り置き願います!!!」

 

「れいかは、頭脳明晰でクラス委員、おまけに生徒会副会長をしてんねん!ウチらのチームの頭脳って所やね!!」

 

「へぇ、なおはスポーツ万能何だ?なぎささん、咲、りんや響もスポーツは得意よ!」

 

「そういうパッションも得意な方じゃない?」

 

「あの人達程じゃないわ・・・それなりって所かしら?」

 

 パッションの言葉を受け、ベリーは、パッションもスポーツは得意じゃないと振るも、パッションは、なぎさ達程じゃないと謙遜する。

 

「れいかさんは生徒会副会長なの?凄いねぇ・・・私達の仲間の、かれんさんやいつきさんも生徒会長をやってたから、れいかさんは二人と気が合うかも知れないわね?」

 

「そうだね・・・あぁ、早くみゆきちゃん達をみんなに紹介したいなぁ・・・」

 

 パインの言葉にピーチも同意し、早くみんなに合わせてあげたいとピーチは思うのだった・・・

 

 みゆき、あかね、やよい、なお、れいか、五人の自己紹介を聞き終え、ピーチ達四人の脳裏にのぞみ達の事が思い出されてくる。

 

「みゆきちゃん達を見ていると・・・のぞみちゃん達を思い出すよねぇ?」

 

「そうね・・・しかも同じ五人組だし」

 

「ピーチ、ベリー、自己紹介はこれくらいにして、あの子を何とか助けてあげましょう!!」

 

「ええ、パインの言う通りね!何とか元に戻せれば良いんだけど・・・」

 

 四人の視線がキャンディとルセンに向けられる。四人はルセンを元に戻す為に、先ずパインがヒーリングプレアを、次にベリー、ピーチ、パッションの順に技を放つも、ルセンを元の姿に戻す事は適わなかった・・・

 

 

 

「私達はこのままパルミエ王国に戻るけど・・・みゆきちゃん達にその子の事、任せて良いかな?」

 

「向こうに現われた、ジョーカーという敵も気になるの」

 

「他のプリキュア達なら、その子を元に戻せる事が出来るかも知れない・・・」

 

「キャンディちゃん、ルセンちゃん、決して希望は捨てないでね!!」

 

 ピーチは、キャンディが泣きながら抱きついているルセンを見て、心を痛めていた。ピーチ、ベリー、パッション、パインがそれぞれ技を放ち浄化を試みたものの、サディスが言ったように、ルセンを元の姿にする事は出来なかった。パルミエ王国に現われたジョーカーの事も気に病み、みゆき達に後時を託し、ピーチ達はポップと共に再びパルミエ王国へと戻って行った・・・

 

 

「行っちゃったね・・・私達も戻ろうか?」

 

「せやな・・・何時までも此処に居ってもしゃあないし」

 

「キャンディ、一先ず不思議図書館に戻ろう!」

 

「不思議図書館にある本の中に、ルセンさんを元に戻す手掛かりがあるかも知れません」

 

「そうだね・・・キャンディ、ルセン、辛いだろうけど・・・あなた達にはプリキュアが付いて居る事を忘れないで!」

 

 やよい、あかね、なお、れいか、そしてみゆき、五人の少女達に励まされ、キャンディをみゆきが、ルセンをれいかが抱え、一同は不思議図書館へと戻っていった・・・

 

 

 

 

 パルミエ王国にポップと共に戻って来たピーチ達は、ジョーカーを追い払ったミルクとエレンからの報告を聞いていた・・・

 

「皆の衆、ご無事で何よりでござる!ハッピー達も、ピーチ殿、ベリー殿、パイン殿、パッション殿のお陰で、事無き得たでござるよ!!」

 

「そう、無事で良かった!こっちもラビリンスの二人が居てくれて助かったわ!!所で、あのジョーカーっていう奴が放った怪物を倒した時、こんな物が落ちてきたんだけど・・・」

 

 エレンは、ウエスターとサウラーの活躍を告げ、先程手にした象のキュアデコルの事をピーチ達に伝えると、ピーチは、キュアデコルをポップに渡すように伝え、エレンは言われるままポップに手渡した。

 

「忝ない!これはキュアデコルと言って、我らが女王、ロイヤルクイーン様を復活させる為に、絶対必要な物なのでござる!!」

 

 ポップはキュアデコルを見つめながら、一同に謝辞を述べた。変身を解いたラブ、美希、祈里、せつなだったが、美希は何かを思案するように考え込んで居た。

 

「どうしたの、美希たん?」

 

 ラブの言葉に我に返った美希が一同を見渡すと、

 

「ねえ、これはあくまで推測何だけど、あたし達が横浜で戦った敵っていうのは・・・あのルセンって言う妖精と一緒に怪物にされた・・・アンデって言う妖精何じゃないかしら?」

 

「何と!それは誠でござるか?」

 

 ポップが驚き、美希の顔をマジマジ見つめると、美希はコクリと頷き、

 

「確証はないわ!でも・・・ラブ、ブッキー、思い出してみて!あの時ピーちゃんは、悲しみの心に満ちた何かが近づいて居る気がするから、念の為用心してって、あたし達に忠告してたわ!」

 

「そういえば・・・」

 

「うん、確かにピーちゃんはそう話してた」

 

 ラブと祈里も当時の事を思い出したのか、確かにそんな事があったと美希の言葉に同意する。エレンと顔を見合わせたせつなは、

 

「美希が言ってる通りだとすると・・・さっきの奴が私達に言ってた、この地にまだクライナーが居るって言ってたのは・・・」

 

「あなた達が戦った敵って事!?」

 

「ええ、そう考えた方が良いかも知れない!確かにあたし達は、横浜の地であの敵を倒したわ・・・でも、光に交わり分裂して、横浜の海底に沈んで行ったの」

 

「その後、私達はその場を直ぐ離れたものね・・・」

 

 せつなとエレンの言葉に同意する美希と祈里、ラブも頷くと妖精達がざわめき始める。少し考えて居たサウラーは、思案を纏めると、

 

「君達の話を聞く限り、君達が横浜の地で倒したと思っている敵は・・・確かにまだ健在している可能性が高いね!」

 

「どういう事だ!?プリキュア達は倒したんだろう?」

 

「ウエスター、彼女達は今こう言ってたじゃないか・・・光に交わり分裂し、横浜の海底に沈んで行ったとね・・・つまり、消滅はしていないって事さ!まだ、あの地に居る可能性も否定できない!!」

 

 美希とサウラーの推測にラブ達も、その場に居たメップル達、フラッピ達、シプレ達も同意する。

 

「私達、週末にでも横浜を調べてみる!」

 

「せつな、あなたも協力して貰えるかしら?」

 

「ええ、もちろんよ!私もまた暫く向こうで暮らす事にするわ・・・ウエスター、サウラー、後の事はよろしく!!」

 

 ラブは、週末にでも横浜に出向くと一同に伝え、美希はせつなに協力を求めると、せつなは快諾し、またしばらく四つ葉町で暮らす事を伝え、ラブ、美希、祈里は嬉しそうに微笑んだ。せつなに話を振られたウエスターとサウラーだったが、

 

「イース、君はプリキュア達の手助けをした方が良いだろうね・・・ラビリンスの方は、もう我らが付いて居なくても、大方大丈夫だろう!それより、さっきの敵の出方が気になる」

 

「そうだな・・・胡散臭そうな奴だったな?」

 

「パルミエ王国の場所を知られたからには、再び攻撃をして来る可能性もある・・・僕達は、暫くパルミエ王国に残る事にするよ!」

 

 サウラーの言葉に同意するウエスター、ココとナッツは表情を綻ばせ、それは助かると伝え、二人に感謝する。

 

「じゃあ、せつなも来てくれるから、私達週末に・・・」

 

「待って、ラブ!私もハミィも、この後加音町に行くから、響達に話しておくわ!」

 

 もう一度横浜に行き周辺を調べてみると言うラブに、エレンは自分達も加音町でしばらく暮らせるから、響達にも知らせると告げる。ココとナッツも頷くと、

 

「ココ!人数は多い方が良いココ・・・ミルク、シロップと一緒にのぞみ達に知らせて欲しいココ!!」

 

「お任せ下さいミル!必ずのぞみ達に知らせるミル」

 

「ウエスターとサウラーがパルミエ王国に残ってくれる事で、ナッツ達も、用事を片付けたら必ず行くナツ!」

 

 ココとナッツの言葉に同意するミルクとシロップ、メップル達、フラッピ達、シプレ達も、なぎさ達、咲達、つぼみ達に知らせると告げる。

 

「拙者も戻ってみゆき殿達に協力を仰ぐでござる!」

 

 こうして、妖精会議は終了を向かえた・・・

 

 

 みゆきの部屋に戻って来たポップから、妖精会議の報告を聞いたみゆき達は、

 

「分かった!先輩達に会える何て緊張するけど・・・私達も、アンデ捜索に力を貸すよ!ねぇ、みんな?」

 

 みゆきの言葉に一同が同意する。ポップは満足気に頷くも、

 

「あまりメルヘンランドを留守にする訳にもいかず、それがしは、大変心苦しいでござるが、メルヘンランドに戻るでござる!」

 

「エェェ!?お兄ちゃん、帰っちゃ嫌クルゥゥ!!」

 

 泣きながらポップに抱き付くキャンディ、ポップはキャンディの頭を優しく撫でながら、

 

「キャンディ、前に約束したでござるなぁ?お別れする時は・・・笑顔でござるって!また用事を済ませれば、拙者も必ずまた来るでござる!!」

 

「本当クル!?・・・」

 

 ポップは頷きながら、キャンディの頭を、そしてルセンを撫でると、

 

「皆の衆、キャンディとルセンの事、よろしくお頼み申す!」

 

「うん、分かった!ポップ、またね!!」

 

「皆の衆、さらばでござる!!」

 

 ポップは、絵本の中に入ると、窓から夕暮れの空に飛び立っていた。一同は、その姿が見えなくなるまで、手を振り続けた。

 

                 第四十三話:頼れる先輩

                      完

 


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