第四話:挫けぬ心!
1、
砂漠に埋もれた街の中を、夢原のぞみと夏木りんは、悲しみの表情を浮かべ歩き続ける。二人が見知った風景はそこに無く、歩けど歩けど、砂漠と人々が結晶化した街の中を、二人は彷徨う・・・
二人もまた、なぎさ達や咲達と同じく、大切な家族を結晶化されていて、二人の心は悲しみに満ちていた。
「りんちゃん・・・」
「何?言っとくけど、どうしてこうなっちゃったんだろうとか聞くのは止めてよね!私にだって分らないんだからさ!」
「そうだけど・・・かれんさんやこまちさん、うららは無事なのかなぁ?」
「だから、知らないって・・・」
少しイライラしながらのぞみに言うりん、彼女にも、この非現実的な出来事を目の前にして、どうすればいいのか分らなかった。何故こんな出来事が起こったのか?この時の二人に知る術は無かった。
のぞみは、何かを思い付いたようにりんの顔をまじまじ見つめると、
「りんちゃん、みんなが無事なら・・・きっとあの場所に来るよ!私達の大切な、あの場所に!!」
のぞみの言葉を聞き、ハッとしたりんは我に返った。何故今まで思い付かなかったんだろう?
りんは、イライラしていた自分が恥ずかしく思えてくる。
(そうだね、みんなが無事ならあそこに来るよね・・)
「のぞみの言う通りだね。此処でくよくよしててもしょうがないよね?行こう、ナッツハウスに!」
「よ~し!ナッツハウスに行くの・・・けって~い!!」
のぞみはりんの手を掴むと、一目散に走り出す。みんななら、きっと無事にナッツハウスに集まっていると信じて・・・
そのナッツハウスには、世界中を旅していたシロップから現状を聞き、シロップの背に乗ってココ、ナッツ、ミルクがやって来ていた。のぞみ達五人と、楽しんで生活してきたナッツハウスのあまりの変わりように、四人の妖精達は呆然とし、悲しみに暮れていた。
「ひ、酷いココ・・・シロップから話は聞いてたけど、此処まで酷い何て思ってなかったココ・・・」
「あの美しかった池が砂漠になる何て・・・酷いナツ!」
「そうロプ・・・世界中がこんな風になってるロプ!」
会話し合う三人には信じられない出来事だった・・・
のぞみ達五人と楽しく過ごしたナッツハウス、だが、目の前にあるのは、思い出を打ち消すような、砂漠に埋もれたナッツハウスだった。何故こんな事が起こったのか、彼らにも理解出来なかった。のぞみ達は無事で居るだろうか?三人の心を不安が蝕んだ・・・
一方、三人の妖精達の会話を尻目に、ミルクはナッツハウスの前に佇む黄色い結晶を見つめ首を捻っていた。前に来た時はあんな物は無かった筈である。
「シロップ!あれは何ミル?」
疑問に思ったミルクは、世界中を旅していたシロップなら何かを知っているのではと問い掛けると、ミルクに呼ばれたシロップも首を捻り、
「シロップにも分らないロプ!ただ、世界中に一杯あったロプ」
シロップにも分からない物と聞き、興味を惹かれたミルクは、結晶に近づき中を覗いて見る。最初は気付かなかったミルクだが、見ている内に目が慣れてきて、結晶の中に人が居るのを悟る。驚いたミルクが騒ぎ出す。
「ココ様、ナッツ様!た、大変ミル!結晶の中には、人が居るミル!!」
ミルクの言葉を聞き、仰天したココ達も結晶の前に近づいて来た。最初は気付かなかった三人も、ミルク同様目が慣れてくると、中に誰か居るのが分った。
「ほ、本当ココ・・・一体どうしてこんな事になったココ!?」
「じゃ、じゃあ、世界中にあった結晶の中にも、人が居るロプ!?・・・た、大変ロプ!!」
慌てる三匹を尻目に、冷静に中を観察していたナッツ、これが人だとすれば、何者かが意図的に世界をこんな状況にしたのは間違いないだろう。色々思案しながら結晶を見るナッツの顔色が、突然凍り付き、驚嘆して驚きの声を上げる。
「た、大変ナツ!こ、この中に居るのは・・・うららナツ!!」
「「「エエェェェ!!!!?」」」
ナッツの言葉を聞き、ココ、ミルク、シロップがナッツに近づき、四人は変わり果てたうららを呆然と見つめて居た・・・
中に居たのは春日野うらら、嘗てのぞみ達と一緒に、ナイトメア、エターナルと戦ったキュアレモネードである。だが、今のうららは結晶の中で眠ったように目を閉じ、全く動く気配は見られなかった。
黄色い結晶を囲むように、四匹の妖精はどうする事も出来ずに居た・・・
暫くして、ナッツハウスに着いたのぞみとりんは、ココ達がこっちの世界に居る事に驚きながらも、見知った顔に出会い、思わず顔が綻んだ。
「ココ~!ナッツ!ミルク!シロップ~!!みんな、こっちに来てたんだ」
手を振りながら近づくのぞみとりんを見て、ホッと安堵するも、ココ達が騒ぎ出す。
「のぞみ~!りん!大変ココ!!うららが、うららが~!!」
「う、うららがどうかしたの!?」
四人の尋常じゃない様子に、顔色を変えて近づくのぞみとりんを、焦れったそうにしていたミルクが、人間界での姿、美々野くるみに変化して急かした。
「うららが、うららが結晶化しちゃってるのよ!早くこっちに来なさい!!」
「エッ?うららが・・・そんな!?」
言われるまま近づいたのぞみとりんは、変わり果てた姿になったうららの結晶に縋り付き、涙を流した。自分達の家族だけでは無く、大切な仲間の一人まで・・・
のぞみとりんの心を、深い哀しみが漂った。りんは、うららの顔付近に手を当てると、
「そんな・・・うらら、私よ、りんよ!!うらら、返事して!うらら~~!!」
りんの必死の呼びかけにも、うららは結晶の中で微動だにしなかった。呆然としながら、フラフラ結晶に触れるのぞみは、
「嘘だよ・・・こんなの、信じられないよ・・・うらら、うらら~~!!」
のぞみの呼ぶ声にも、うららは全く反応する事は無かった・・・
途方に暮れた一同だが、どうにかして結晶からうららを救い出そうと、色々試みては見るものの、自分達の家族同様、うららを助ける事は出来なかった。
「ああ、もう・・・こんな時にかれんやこまちが居たら、何か良いアイデアが出るかも知れないのにぃ・・・のぞみ、りん、あなた達、かれんやこまちとは会ってないの?」
焦れたくるみが、のぞみ達にかれんとこまちに会ってないか聞くも、二人は顔を見合わせながら首を振り、
「のぞみと会った以外は・・・」
「うん、私達もまだ二人に会ってないの・・・此処に来れば、みんなに会えると思ってたのに・・・こんな事になる何て・・・かれんさん、こまちさん、無事で居てね!!」
ナッツハウスに居る一同は、此処に居ない、かれんとこまちの身を案じた・・・
シロップは、仲の良かったうららの変わり果てた姿に、深いショックを受けるのだった・・・
2、
水無月かれんと秋元こまちは、何かに追われるように走り続けた。結晶化した人々が少ない場所を目指して、その後を巨大なデザートデビルが追いかける。二人は、まるで態とデザートデビルの標的になるように仕向けている節が見られた。
「こっちよ!あなたの相手は私達よ!!こまち、もうちょっとで結晶の少ない場所に出るわ!もう少し、もう少し頑張りましょう!!」
「ええ、こんな所で戦って、もしもの事があったら取り返しがつかないものね!」
二人の姿に焦れたように、時折デザートデビルからビーム攻撃を受けるも、二人は辛うじて躱しながら逃げ続ける。ようやく辺りから結晶が見えなくなった時、二人はデザートデビルの方を振り返る。キッと怪物デザートデビルを睨んだ二人は、改めてその巨大さに思わず息を飲んだ。
「私達二人だけで、あんな怪物とどこまで戦えるかは分らないけど・・・こまち、変身よ!」
「ええ、きっとのぞみさん達も気付いて、駆けつけてくれるわ!」
かれんとこまちは、変身アイテムであるキュアモを手に取り、ボタンを押し同時に叫ぶ!
「「プリキュア!メタモルフォ~~ゼ!!」」
かれんとこまちの身体を、それぞれのシンボルカラーである青と緑の光が包むと、二人の身体は、徐々にプリキュアへと変身していく。
「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」
「知性の青き泉!キュアアクア!!」
デザートデビルの前にミント、アクアが立ち塞がる。不愉快さを感じたのか、デザートデビルは物凄い咆哮を上げ二人を威嚇する。ミントとアクアは怯まず、顔を見合わせ頷くと、左右に大きくジャンプして分かれ、着地の反動と共にデザートデビルの両腿に蹴りを見舞うも、デザートデビルは微動だにせず、口から強烈なエネルギー波を吐き出す。アクア、ミントは大きく後方にジャンプし攻撃を躱した。生半可な攻撃じゃ効果は無いと感じたアクアは、水のエネルギーを矢に変え、アクアが叫ぶ!
「プリキュア!サファイア・アロー!!」
アクアから、三本の矢と化した水の矢がデザートデビルに連続で放たれるも、デザートデビルは攻撃を避けようともせず、そのまま直撃する。一瞬やったの?と思ったアクアだが、まるでダメージが無いように、デザートデビルは前進してきて二人を驚愕させる。
「直撃したのに、全くダメージが無いなんて・・・」
アクアが驚きの声を思わず上げる。デザートデビルは、四方から二人を威嚇するように蛇を近づける。嫌な予感がしたミントは咄嗟に、
「プリキュア!エメラルドソーサー!!」
ミントは、光を円盤に変え、四方の蛇からの攻撃に備えた。その予感は的中し、四方の蛇からの同時レーザー攻撃を受け、最初は攻撃を耐えていたソーサーに亀裂が入り、脆くもエメラルドソーサーは破壊され、爆風を受けた二人の身体は上空に飛ばされる。獲物を狙うように、二人目掛けて四方の蛇が二人を攻撃する。
(遣られる!?)
アクアとミント、思わず二人が目を瞑ったその時、巨大な鳥が間一髪二人を救出する。それは、巨大な鳥に姿を変えたシロップだった。
「ロプ~~!!」
「シロップ!ありがとう!!」
「シロップさん!助かったわ!!」
二人は、シロップを見て安堵の表情を浮かべお礼を言うが、シロップの表情がどこか浮かないのを見た二人は、顔を見合わせ、何かが起こっているのを悟る。
「一旦ナッツハウスに向かうロプ!」
シロップの言葉に二人は頷き、シロップは、怒りの咆哮を上げるデザートデビルを尻目に、アクアとミントを乗せナッツハウスに向かった・・・
「のぞみ~!みんな~~!!」
シロップの背の中で変身を解除し、かれんとこまちはナッツハウスに到着した。かれんとこまちの無事な姿を見て、一同はホッと安堵するのであった。かれんとこまちもまた、のぞみとりん、そして、この危機的状況に駆けつけてくれているココ、ナッツ、くるみに心の中で感謝していた。
「かれんさん、こまちさん、無事で、無事で良かったよ~~!!」
泣きながらかれんとこまちに縋り付くのぞみを、二人は優しく抱きしめた。のぞみが側に居るだけで、二人は不安な気持ちが少し解消されたように感じ、のぞみの髪を優しく撫でた。二人は一同の顔を見つめると、
「シロップさんが来てくれなかったら、私達遣られていたかも知れないけど・・・それより、話はシロップさんから聞いたけど・・・」
「あの結晶がうららなの?・・・こまち!」
かれんはこまちに目配せして、二人で変わり果てたうららの結晶の側に近寄る。最初は二人も分らなかったが、徐々に目が慣れてくると、そこには確かに大切な仲間、うららが居た!かれんとこまちは、何とかうららを元に戻せる手掛かりを求め、色々調べたが、やはりどうすれば元に戻るかは分らなかった。一同に重苦しい空気が流れる。
かれんの頭の中が、目まぐるしく回転していく・・・
今までの戦いの日々を思い出すように・・・
思案が纏まったかれんは、一同の顔を見つめると、
「もしかしたら・・・もしかしたらだけど、あの怪物を倒せば、うららを、結晶化した人々を、元に戻せるかも知れない!あくまで、今までの戦いからの推測だけど・・」
かれんの言葉に、一同の表情がパッと明るくなった。何も希望が見いだせない状況に、一筋の光明が差し込んだ気がした。のぞみは、微かな期待が湧いた事で一同を見ると、
「うららを、みんなを、元に戻せる可能性があるなら・・・行こう、みんな!かれんさん達が言ってた怪物を倒し、みんなを元に戻して見せる!!待っててね・・・うらら!!!」
デザートデビルの咆哮は、ナッツハウスの直ぐ近くまで来ている事を皆に知らせる。
「みんな、油断しないで!あいつは今までの敵とは違うわ!!」
「ええ、かれんの言う通りだわ!」
かれん、こまちの忠告に一同の表情が険しさを増す、だが、どんな強大な相手であろうと、必ず勝つ!のぞみの瞳に闘志が宿った。
「みんな、変身よ!!」
のぞみの合図に一同が頷くと、変身アイテムであるキュアモを手に取り、ボタンを押し同時に叫ぶ!
「「「「プリキュア!メタモルフォ~~ゼ!!」」」」
のぞみの身体をピンクの光が、りんの身体を赤い光が、こまちの身体を緑の光が、かれんの身体を青い光が、それぞれ包み込み四人をプリキュアへと変えていく。
「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」
「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」
「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」
「知性の青き泉!キュアアクア!!」
名乗りを上げた四人に続き、くるみも変身アイテムであるミルキィパレットを手にして、タッチペンのようにボタンを押すと、
「スカイローズ・トランスレイト!」
くるみの身体を、紫と青のような光が包み込みくるみを変身させていく。
「青いバラは秘密の印!ミルキィローズ!!」
プリキュア達が砂漠化したナッツハウスの前に勢揃いし、それぞれ一人一人が結晶化したうららに声を掛けると、ココとナッツ、シロップにうららを託し、デザートデビルに向かって戦いに行く。
一同は気付かなかった・・・
うららの目から涙が零れたのを・・・
3、
うららの心の花が奪われたのは、孤独になる恐怖からだった・・・
エターナルとの決戦後、本音で語れたシロップは、配達の仕事で異世界中を飛び回り、旅立っていたココもパルミエ王国に戻り、ナッツ、ミルクと共に王国の繁栄に精魂込めていた。
最初こそ互いの世界を行き来していたものの、国王として忙しくなったココとナッツ、お世話係のミルクと会う機会も減り、かれんとこまちが中等部を卒業し、高等部に進学、二人はそれぞれ医者と小説家を目指し、猛勉強するようになった今では、会う機会も減り、のぞみとりんも、後数ヶ月で中等部を卒業間近で、中等部に一人残る事になるうららの心に、不安がひしひし大きくなっていった。
元々仲の良かったのぞみとりん、こまちとかれんのような友人は、ナッツハウスの仲間達以外に、うららには居なかった。のぞみ達と一緒に過ごす内に、自分を変えたうららが、唯一と言っていい仲が良い森田よしみとも、仕事の関係で中々親交を深めることが出来なかった。
クリスマス、仕事を終えたうららは落ち込んでいた。このまま家に帰る気分になれず、足の向くまま気の向くままで、ついついナッツハウスに来てしまった。去年はみんなで楽しくクリスマスパーティーをしたのになぁと、うららは寂しげに池の湖面を見ていた時、デューンの宣戦布告に遭遇してしまったのだ。結晶化したうららだったが、今自分の為に、この世界の為に、再びプリキュアとして、巨大な強敵に戦いを挑む仲間達の声は届いていた。
(みんな・・・私、誤解してました!例え離れていても、みんなとは・・・心が繋がっている事を!みんな、ごめんなさい・・・本当にごめんなさい!)
うららの心の花が再び咲き始めた時、結晶に亀裂が走った・・・
「キャァァ!」
デザートデビルの強烈なパンチを受けて、ドリームが吹っ飛ぶ!アクアとミントが必死にドリームに抱きつくも、三人は砂漠に叩き付けられる。
「ドリーム!アクア!ミント!」
ルージュが絶叫するも、三人はよろめきながらも立ち上がり、ルージュとローズはホッと安堵する。ルージュは、キッとデザートデビルを睨み付けると、
「よくもドリーム達を・・・プリキュア!ファイヤ~ストライク!!」
ルージュは、炎のボールを蹴り上げ、デザートデビルを攻撃するも、簡単に手で弾かれてしまう。
「クッ、何て奴!?」
全くダメージを与えられず、思わずルージュの顔が険しい表情を浮かべると、今度は自分の番だとばかり、
「だったら、これはどう?邪悪な力を包み込む、バラの吹雪を咲かせましょう!ミルキィローズ・ブリザード!!」
ローズの攻撃は、青い薔薇の花吹雪となってデザートデビルにヒットする。さしものデザートデビルもこの攻撃にはよろめく、このチャンスを活かすようにドリームが大きくジャンプすると、
「プリキュア!シューティング・スタ~~!!」
ドリームは腕をX字に組み、自らが光と一体化してデザートデビルに突進する。
「うららを、みんなを、守るんだから~~!!!」
ドリームは魂の叫びを上げ、デザートデビルに体当たりした。ドリームの気迫を込めたシューティングスターの前に、デザートデビルはたまらず転倒するも、口を大きく開けてエネルギー波を放ち、ドリームに攻撃しようとする。
「ドリーム!プリキュア!エメラルドソーサー!!」
ドリームのピンチに、ミントが瞬時に光を円盤に変え、ドリームの前に投げつけ、ドリームをバリアで庇う。デザートデビルのタフさに、一同は一旦距離を置き体勢を整えた。
そこにシロップが飛んできた・・・
「シロップ!?ココにナッツも・・・一体どうしたの!?」
まさか、うららの身に何かあったのではと、ドリームが不安そうにシロップを見るが、シロップの背から降り立った人物を見て目が輝く。
「「「「「うらら!!!」」」」」
少しはにかみながら近づいて来るうららを見て、五人が同時に声を上げる。皆心から嬉しそうにうららの側に駆け寄った。
「皆さん、心配かけてごめんなさい・・・私も、私も戦います!」
「うらら、大丈夫なの?」
アクアが、うららの体調を気にして優しく声を掛ける。さっきまで結晶化していたうららを、危険な目に遭わせるのは避けた方がいいのではとアクアは思ったのだが、
「ハイ!春日野うらら、皆さんに心配掛けた分も、頑張ります!!」
そう言うと、表情を引き締めたうららが、キュアモを手に持ち叫ぶ!
「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」
うららの身体を、黄色い光が覆いプリキュアへと変えていく。
「はじけるレモンの香り!キュアレモネード!!」
レモネードが変身を終えたのを見て、ドリームは微笑むと、仲間達に合図を送り、
「「「「「希望の力と未来の光! 華麗に羽ばたく5つの心! Yes!プリキュア5!!」」」」」
レモネードが加わり、プリキュア達は遂に六人の戦士が揃った。ココ、ナッツ、シロップは目を輝かせて、六人の戦士を見つめた。
「みんな、行くよ!!」
「「「「「YES!」」」」」
六人が二人ずつ別れる。ドリームとローズ、アクアとルージュ、ミントとレモネード、それを見たデザートデビルは、忌々しそうに蛇で威嚇しようとするも、
「プリキュア!プリズムチェ~~ン!!」
レモネードが、光の鎖で四体の蛇をグルグル巻きにして動きを封じる。それを合図に皆が攻撃を開始する。
アクアとルージュが、右からファイヤーストライクとサファイヤアローを当てれば、正面からドリームとローズが肉弾戦を仕掛ける。嫌がったデザートデビルが、残る二体の蛇で攻撃しようとするのを、ミントのエメラルドソーサーで防ぐ。再度肉弾戦を仕掛けたドリームとローズの攻撃を受け、デザートデビルが尻餅を付く。六人が再びデザートデビルの正面に立った時ココが叫ぶ!
「今ココ!プリキュアに、力を!!!」
ココの頭上にパルミエ王国の王冠が現われ、ココの言葉と共に、プリキュア達に更なる力が与えられると、プリキュア5が叫ぶ!
「クリスタルフルーレ!希望の光!!」
「ファイヤーフルーレ!情熱の光!!」
「シャイニングフルーレ!弾ける光!!」
「プロテクトフルーレ!安らぎの光!!」
「トルネードフルーレ!知性の光!!」
五人は、取り出したフルーレを合わせると、
「「「「「プリキュア!レインボー・ローズエクスプロージョ~ン!!」」」」」
五人のフルーレから飛び出した五色の薔薇が合体し、巨大な虹の薔薇になりデザートデビル向けて突き進む。巨大な虹の薔薇は、デザートデビルを飲み込み消滅させた。
デザートデビルを何とか倒した一同だったが、偵察に出ていたシロップの報告を聞いて愕然とした。空から見た限り、デザートデビルはまだこの近辺に何体も居る事を・・・
「そんな、あんな怪物が何体も居るんですか!?私達・・・勝てるんでしょうか?」
うららの不安ももっともであった。だが、次のシロップの言葉を聞き、希望が沸いてくる。
「確かに・・・でも、お前達以外にも、あの怪物と戦ってた奴が居たロプ!近くで見たわけじゃ無いロプ・・・でも、お前達に似てたロプ!」
「エッ!?私達以外にもプリキュアが?」
かれんが驚きの声を上げる。他の四人も、プリキュアが自分達以外にも居るとは想像した事すら無かった。だが、そんな彼女達とは違い、ココとナッツは顔を見合わせながら頷き、
「不思議じゃないココ!プリキュアとは、それぞれの妖精の国で伝説の戦士と呼ばれているココ!世界の危機に、のぞみ達のようにプリキュアが戦っているのかも知れないココ」
「私達と同じか・・・シロップ!頼みがあるの!!」
「何ロプ?」
のぞみは、持っていたポシェットから紙を取り出すと、懸命に何かを書き始める。自分達と同じプリキュアなら・・・必ず力を貸してくれると信じて・・・
「これを、私達と同じ志を持つプリキュアに届けて欲しいの!きっと、きっとみんな力を貸してくれるよ!!だって、同じ空の下で、この世界の為に戦ってるんだもの!!!」
のぞみの手紙を受け取り、シロップは飛び立つ!
まだ見ぬプリキュア達の下へと・・・
第四話:挫けぬ心!
完