第二十六話:全員集合!!
1、なぎさ達からの手紙
ナッツハウスで個々の用事に勤しむ、夏木りん、春日野うらら、秋元こまち、水無月かれん、そして、暑さの為に何もする気が起きず、だらけきっている夢原のぞみ・・・
のぞみがテーブルに顔を付けてぐったりしていると、りんは呆れたように、
「のぞみ、何だらけてるのよ?大体、たまにはみんなでナッツハウスに集合しようよって提案したのは・・・あんたでしょうが!」
のぞみに注意するりんだったが、のぞみは変顔になりながら顔を持ち上げると、
「だってぇ~~・・・暑いんだもん」
そう言うと、のぞみは再びテーブルに顔を付けて怠そうにする。そんなのぞみの声が聞こえたのか、
「全く、ココ様やナッツ様も忙しいんだから、大した用事無いなら呼ばないでよね・・・みんな、冷たい飲み物持ってきたわよ!」
階段を上がってきた美々野くるみが、お盆に乗せたジュースをテーブルに置くと、一同が集まってくる。
「ココ様、ナッツ様、シロップ、冷たい飲み物どうぞ!」
くるみに呼ばれ、下から人間姿のココ、ナッツ、シロップが上がってくる。
のぞみは嬉しそうに飛び起き、コップに手を伸ばすと、
「ヤッタ~!いただきま~す!!」
美味しそうにゴクゴク喉を鳴らし、一気にオレンジジュースを飲み干すのぞみに一同が呆れ、笑い声が響いた。
その時、シロップの相棒メルポが騒ぎ始める。
「どうした、メルポ?」
シロップがメルポに訪ねると、メルポから手紙が飛び出す。手紙を手にしたシロップが宛名を見ると、
「これは・・・プリキュア宛の手紙!差出人は・・・なぎさ、ほのか、ゆり!?」
「えっ、なぎささん達から?何だろう!?」
なぎさ達から手紙が届いた事に驚き、近寄って来る一同、のぞみはシロップから手紙を受け取ると、首を捻りながら封を開けた。
手紙の内容にはこう書かれていた・・・
・・・みんな、暫くね!急で悪いけど、プリキュアオールスターズのみんなを、ナッツハウスに集合させて欲しいの!満、薫、せつなは、私達と一緒に居るからって、咲やラブ達には伝えといて!では、後で!!・・・
「どういう事かしら!?何か急用なようだけど・・・」
かれんが首を捻ると、こまちも頷き、
「そうね・・・でも急用なら、他のみんなにも急いで知らせた方が良いわよねぇ?」
「そうだね・・・電話してみんなに来て貰ってからじゃ時間掛かっちゃうし・・・シロップ、他のみんなを一緒に呼びに行くの、頼めるかな?」
こまちの言葉に頷いたのぞみがシロップに頼むと、面倒くさそうにしながらも、シロップは妖精姿に戻り、外に出ると巨大化した。
「じゃあ私、みんなを呼びに行ってくるね!」
のぞみを乗せたシロップは、猛スピードでナッツハウスから飛び去った。のぞみとシロップが去った後、もう一度手紙を見る一同だったが、突然うららが立ち上がり、
「分かりました!きっと引退宣言の撤回ですよ!!芸能界にはよくある事です!!」
うららはそう言うと、自分の想像に自信があったのか、ウンウン頷く、少し呆れ顔のりんがすかさず突っ込みを入れ、
「いやいや、あの人達、芸能人じゃ無いから!」
うららの閃きを、手を横に振りながらりんが即座に却下する。
「満や薫、せつなが一緒に居るしね・・・まあ、来れば分かるでしょう!今日みんなで集まった事が幸いしたようね・・・」
くるみの言葉に同意する一同であった・・・
「エッ、満と薫が?」
「そうなの、健太くんの話じゃ、おかしな格好した二人組と何処かに行ったんだって・・・」
夕凪高校ソフトボール部の練習が終わった咲に、さっきの出来事を話した舞は、不安そうだった。
咲も表情を強張らせ考え込むも、不安がる舞に気づき笑顔を向け、
「大丈夫だよ!満と薫の事だし、何か考えがあっての事だよ!舞、信じよう、二人を!!」
「そ、そうよね、満さんと薫さんの事だものね!」
舞も咲の言葉を受け少しホッとした矢先、上空から何か悲鳴に似た声が聞こえた気がした二人は、同時に空を見上げると、見る見る二人は変顔になって驚く、
「エッ!エェェ!?」
「さ、咲、あれって、シロップ!?」
学校というこんな人目に付く場所では不味いと思った咲と舞は、大慌てで走り出し、人影が無い校舎の影にシロップを誘導した。シロップもそれに気付いたのか、咲と舞の後を追った。
「の、のぞみも居たんだ・・・もう、人に見つかったらどうするのよ?」
咲は少し顔をしかめ、舞は苦笑すると、のぞみは頭を掻きながら舌を出し、
「エヘヘ、ゴメ~~ン!実はなぎささん達が、プリキュアオールスターズ、大急ぎでナッツハウスに全員集合!って、手紙寄越したから、シロップに頼んでこうしてみんなを迎えに行く所なの!咲ちゃん、舞ちゃん、早く乗って!!」
のぞみに急かされ、半ば無理矢理シロップの背に乗せられる咲と舞の二人、
「ちょっと、私まだユニフォームのままだよ!?そんなに急ぐの?」
「うん、何せこれからひかりちゃん、ラブちゃん達、つぼみちゃん達、響ちゃん達も迎えに行かなきゃならないんだもん・・・あっ、そうそう、満ちゃんと薫ちゃんは、なぎささん達と一緒だから安心してだって!」
「満や薫、なぎささん達と一緒なんだ?な~んだ、心配して損しちゃった!」
のぞみの言葉を聞いて、ホッとする咲と舞は互いを見つめ合い笑顔を向けた。
「健太くんったら、なぎささんとほのかさんを見て、変な二人組とでも思ったのかしら?」
思わず顔を見合わせてクスリと笑い合う咲と舞だった・・・
「ひかり、そろそろ休憩してきていいよ!」
「はい、アカネさん!お先に休ませて貰います!!」
TAKO CAFEのエプロンをしたまま、ひかりが休憩に入ると、ポルン、ルルンも、待ってましたとばかり妖精姿になってひかりに戯れてきた。ニコニコしながらポルンとルルンをあやしていたひかりだったが、
「ひかり・・・何か来るポポ」
ポルンが上空を見上げると、つられるようにひかりとルルンも上空を見上げた。梅雨明け前でどんよりとした雲が覆っているものの、時折晴れ間も見えた。その時、上空から猛スピードで何かが接近してくるのが目に入る。
「な、何、あれは!?」
思わず不安そうにするひかりだったが、物体が近づくにつれ嬉しそうな表情を見せた。
「あれは、シロップ!背中に誰か乗ってるわ!!」
「お~い、ひかりちゃん!」
のぞみ、咲、舞がひかりに手を振ると、ひかりも笑顔を向けながら三人に手を振り返す。シロップが降り立つと、ポルンとルルンは嬉しそうに、シロップに対して遊ぼうと突っつき回し、シロップは止めるロプと迷惑そうにしていた。ひかりが苦笑しながらポルンとルルンを抱き上げると、
「みなさん、どうしたんですか?何か私にご用ですか?」
ひかりの問いかけに、のぞみは咲達に言った事と同じ事をひかりに伝えると、ひかりの表情が曇る。
「なぎささん達、TAKO CAFEに居たらしいのに、どうしたんだろう?・・・わかりました、ちょっと待ってて下さい!アカネさんに許可貰ってきますんで!!」
ひかりは慌ててアカネに承諾を貰うと、シロップの背に乗り込み飛び立った・・・
「エェ!?せつな来てたの?」
カオルから、数十分前までせつなが居た事を聞いたラブと祈里は、残念そうな表情になる。テーブルに座りドーナツを食べ始めた二人は、
「折角だから、せつなちゃんに会いたかったね?」
「本当だよ!もう、せつなったら・・・あっ、美希たん!」
ガッカリしていたラブと祈里だったが、今日は仕事がOFFだったようで、美希も公園にやって来た。美希は、浮かない顔をしているラブと祈里を見て首を傾げ、
「ラブ、ブッキー、どうしたの!?浮かない顔して?」
「美希たん、聞いてよ!せつなったら酷いんだよ・・・せっかくカオルちゃんの店にドーナツ買いに来たのに、私達に会わないでどっか行っちゃったんだって・・・」
膨れっ面したラブが、美希に思わず愚痴ると、美希は苦笑を浮かべる。
「いやぁ、せつなちゃんもみんなに会いたそうだったんだけどね、何やら事情ありそうな娘がやって来て、せつなちゃん連れてどっか行っちゃったんだよ!見た事無い娘だったなぁ・・・で、美希ちゃんもドーナツ食べる?グハッ」
カオルがドーナツの穴から美希の顔を覗き込むと、苦笑した美希がドーナツを頼む、
「せつなを連れてった娘って誰だろう!?ラブ、心当たり無いの?」
「エッ!?う~~ん、思い浮かばないなぁ・・・」
美希に聞かれ、腕組みしながら考え込んだラブだったが、身に覚えが無かった。
その時、上空からロプ~と聞こえたラブ達は、一斉に空を見上げて驚く、
「エッ、シロップ?ま、また大胆な登場の仕方するなぁ・・・」
「まあ、此処にはあたし達と、シロップ達の事も知ってるカオルちゃんしか居ないから良いけど」
ラブは驚きの声を上げ、美希は思わず苦笑する。ジッと見ていた祈里は何かに気付くと、
「見て、ラブちゃん、美希ちゃん、シロップちゃんの背に、誰か乗ってるよ!」
祈里が指さす場所に、確かに人影が見えた。見知った大切な仲間達が乗っている事に気付いたラブ達が、一同に手を振ると、向こうのメンバーも手を振り返す。
「ラブちゃん、美希ちゃん、祈里ちゃん、お久~!みんな、急いでシロップの背に乗って!!・・・出来れば、そのドーナツも一緒に乗せてくれると嬉しいなぁ!!」
「のぞみちゃんったら・・・ところで、どうしたの?シロップの背に乗ってって言われても、何が何だか・・・」
のぞみの言葉の意味がイマイチ理解出来ず、首を捻るラブだったが、取り敢えず言われたようにシロップの背に乗り込むラブ、美希、祈里だった。三人が乗り込むと、再びシロップが大空に舞い上がり、猛スピードで四つ葉町を飛び去った。
のぞみの説明を受けたラブ達だったが、やはり咲達、ひかり達同様、何の用かは分かりかねたが、せつながなぎさ達と一緒だと知り、顔を見合わせ微笑むと、ナッツハウスで再会出来ると喜んだ・・・
「ホラホラ、ふたばちゃん、イナイイナイ・・・バァ!!」
変顔をした来海えりかが、花咲つぼみの生まれて間もない妹、ふたばをあやす。キャッキャッと喜ぶふたばの表情が可愛らしく、えりかはふたばのプヨプヨした頬を指で突っつくと、変顔になったつぼみがえりかを睨み、
「もう、えりか!ふたばは私の妹何ですからね!!ふたば、あんまり変なお姉ちゃんに影響されたら駄目ですよ!」
「何よ、つぼみは何時だってふたばちゃんと遊べるんだからいいじゃん!」
「駄目です!!」
変顔で睨み合うつぼみとえりかを見て、ふたばがグズり出すと、明堂院いつきがふたばを抱き上げ、あやし始める。
「ほらほら、ふたばちゃん、大丈夫だよぉ!困ったお姉ちゃん達だねぇ・・・」
いつきが、つぼみとえりかにメッと注意すると、慌てた二人は、
「あわわ・・・ふ、ふたば、お姉ちゃん達喧嘩してた訳じゃないんですよぉ!」
「そうそう、ふたばちゃん、お姉ちゃん達、こ~~んなに仲良いんだよぉ!!」
お互いのホッペタを引っ張り合ったつぼみとえりかの顔が面白かったのか、ふたばはキャッキャッとはしゃいでいた。
そこに上空からシロップに乗ったのぞみ達がやって来た。驚いたつぼみ達だったが、数ヶ月振りの再会に嬉しそうであった。
「みなさん、一体どうしたんですか?」
つぼみがのぞみ達に声を掛けると、
「うん、なぎささん達が、プリキュアオールスターズ、大急ぎで全員ナッツハウス前に集合って、手紙が来たから、こうしてみんなを呼びに来たんだけど・・・イヤァン、その赤ちゃん可愛いい!!」
のぞみの表情がデレデレになって、いつきが抱いていた赤ちゃんに視線を集中させる。
「どれどれ、あっ、本当だ!その子がつぼみちゃんの・・・」
「はい、妹のふたばです!!」
咲の問いかけに、ドヤ顔になったつぼみが自慢気に妹を一同に紹介する。
「キャァ可愛い!ネェネェ、私達にも抱っこさせてぇ!!」
ラブもメロメロの表情で、抱っこさせてとつぼみに頼むのだった。
急用の用事を忘れたようにシロップから降りた一同は、まるでふたば鑑賞会の様相を呈していた。シロップは、渋い表情を浮かべながら少女達を見ていた・・・
「家にも妹が居るけど、やっぱり生まれた時は嬉しかったなぁ!」
咲も、妹みのりが生まれた時の事を思い出し、頬を崩した。中々戻ろうとしない少女達に、シロップは見る見る顔色を変えると、
「お前達、いい加減にするロプ!急用はどうしたロプ?」
シロップに注意され、用事を思い出したのぞみは、苦笑を浮かべ、頭を掻きながらシロップに謝った。
「アッ・・・ゴメンゴメン、みんなシロップに戻って!つぼみちゃん達も悪いけど、一緒に来てくれるかな?」
「わかりました!じゃあふたば、お母さんの所に戻りましょうね!!」
「バイバイ、ふたばちゃん!!」
つぼみがふたばを抱っこして家の中に消えるまで、一同は手を振り続けた。戻って来たつぼみを乗せ、シロップは希望ヶ花市を後にする・・・
「ふざけないでよ!何であたしがあんたと仲良くしなきゃいけないのよ?」
「セイレーン・・・何で、ハミィの事嫌うニャ!?この前は一緒に歌えて、ハミィはとっても、とっても嬉しかったニャ!!」
「一緒に?このあたしがあんたと!?何であたしがあんた何かと一緒に歌を歌わなきゃ・・・・・一緒に?あたしが・・・ハミィと!?」
「そうニャ!セイレーン、忘れちゃったニャ!?」
公園で出会ったハミィとセイレーンだったが、セイレーンは顔も見たくないといった表情で、その場を立ち去ろうとした。思わず呼び止めたハミィだったが、セイレーンの反応は冷たかった・・・
その様子を、少し離れた場所で、二人の成り行きを見守る北条響と南野奏だった・・・
「何かセイレーンの様子、変だよねぇ?」
「そうね・・・王子先輩に、あの時何をしようとしてたのか・・・」
「いや、そうじゃないでしょうが!!」
奏の妄想劇場が始まりそうな気配を感じ、響が慌てて奏を現実に引き戻す・・・
(あたしが!?ハミィと一緒に・・・そうだ!闇の中でハミィと一緒に、プリキュアの為に癒しのメロディを歌ったんだったわ!何で忘れてたんだろう!?)
バロムとの戦いの時の記憶を呼び覚ましたセイレーンであったが、
「アァァ・・・い、痛い・・・あ、頭が・・・」
動揺したセイレーンだったが、激しい頭痛に襲われ苦しみだす。慌てたハミィはオロオロしながらセイレーンに声を掛ける。
「セ、セイレーン!?ど、どうしたニャ?」
どうしたらいいか分からず激しく動揺するハミィと、セイレーンの様子がおかしくなったのを見た響と奏が、心配そうに駆け寄ってくる。
「セイレーン、どうしたんだよ!?どっか悪いの?」
響が心配そうにセイレーンに声を掛けると、
「う、五月蠅い・・・あ、あんた達の顔見てたから、具合が悪くなったのよ!!」
セイレーンは逃げるようにその場から走り出すと、その後ろ姿が見えなくなるまで、ハミィは寂しそうに見送っていた・・・
「ダークドリーム、良いの?彼女も誘いに来たんでしょう!?」
「そうね・・・少し彼女と話してみましょう!」
響達から少し離れた木の陰から、今の状況を見ていたダークドリームとせつなは、響達にばれないようにセイレーンの後を追うのだった・・・
「誰!?何よ、あんた達は・・・あたしに何か用?」
何者かの気配に気付いたセイレーンは、人間姿のエレンに変身し、せつなとダークドリームを睨み付けると、
「セイレーン、私よ!バロムとの戦いの時に、一緒に居た東せつな、キュアパッションよ!こっちは・・・ダークドリーム!私達、あなたに用があって来たんだけど・・・」
せつなも、今のセイレーンの様子を見て、イース時代の自分を見ているような気がして哀れみの心が浮かんだ。
「バロム!?・・・そう、そんな名前の奴だったわね・・・それで、あたしに用って?」
セイレーンは警戒心を抱いたまま二人に用件を聞くと、
「あなたにも、私達に力を貸して貰おうと思ってこうして訪ねて来たけど・・・今のあなたは、まだ目覚めてないのね?」
「ハァ?目覚め!?あんた、何言ってんの?」
ダークドリームの言葉の意味が理解出来ず、問い返したセイレーンだったが、ダークドリームは口元に笑みを浮かべると、
「直に分かるわ、直に・・・ね!」
「セイレーン・・・あなたの本心は、ハミィを、響達を、必要としている!!自分の気持ちに正直になって!あの娘達なら、あなたの心の闇をきっと、きっと晴らしてくれるから!!」
ダークドリームとせつなは、それだけ伝えると、せつなの妖精、アカルンの力で何処かに瞬間移動して消え失せた。
セイレーンは、呆然と二人の消え去った場所を眺めていた。セイレーンの心に、せつなの言葉が思い出される・・・
(あたしが、ハミィを、プリキュア達を必要としている・・・だと!?)
セイレーンの顔に困惑の表情が芽生えた・・・
一方、落ち込むハミィを励ましていた響と奏の下に、シロップに乗ったのぞみ達が到着する。
「響ちゃん、奏ちゃん!久しぶり!!」
「のぞみさん!みんな、どうしたの?」
みんなの突然の登場に驚いた響と奏だった。
二人の表情が冴えないのに気付いた一同は、表情を曇らせると、
「響さん、奏さん、何かあったんですか?元気無いみたいですが・・・」
「うん、ちょっとね・・・」
ひかりの問いかけに、響はハミィの方を見ると、
「ハミィ、大丈夫だよ!ほら、折角みんなが会いに来てくれたんだからさ・・・」
「ハミィ、後でカップケーキ御馳走してあげるわ!元気出して!!」
「本当かニャ!!」
響と奏に励まされ、カップケーキの魔力で忽ち何時ものハミィに立ち直る。ラブは思わず呆気に取られると、
「立ち直り早!ハミィ、久しぶり!ドーナツ食べる?」
ラブからドーナツを分けて貰えて益々元気になるハミィだった・・・
さすがに12人の少女達を乗せたシロップは、この熱さも災いし、辛そうにしながらもナッツハウスに向かって飛び続けた。
「フ~ン、なぎささん達、私達に何の用だろうね?」
シロップの背の中で事情を聞いた響達も、首を捻りながらも、互いの近況を報告しあっていた。
そうこうしている内に、シロップはナッツハウスに舞い戻り、一同を下ろすと妖精姿に戻りバテていた。
「お前達、シロップ使いが荒いロプ!!」
「ゴ、ゴメンね!ありがとう、シロップ!!」
のぞみ達、シロップの背に乗っていた一同がシロップに礼を言うと、戻って来た一同に気付き、ナッツハウスの中から皆が顔を出し、再会を喜び合った。シロップの労をねぎらい、かれんとこまちはシロップに冷たいジュースを飲ませて上げて、うらら、ひかり、祈里は、ナッツハウスにあったうちわでシロップを扇いであげた。
「どうやら、みんな揃ったようね!」
突如どこからか声が聞こえ、辺りを見回す一同だったが、声の主を見付けられなかった。
「私はここよ!」
ナッツハウスの上に座っていたダークドリームが、一同に居場所を教えると、一同が彼女の姿を見て驚きの声を上げる。
「あなたは、ダークドリーム?」
懐かしい顔を見て、のぞみの表情が緩むと、ダークドリームも、生身の身体での久しぶりの再会を喜ぶように微笑む。
「私だけじゃ無いわ!」
立ち上がったダークドリームが、ジャンプしてナッツハウス前の池の畔に降り立つと、その側には四人の少女達が居た。
「あなた達は・・・ダークプリキュア5!?」
「あなた達も甦って居たのね?」
かれん、こまちが少女達を見て驚きの声を上げる。
「そうよ、私達もある方の力で甦ったの!」
「あなた達プリキュア5には、色々教えて貰った・・・」
ダークアクア、ダークミントも笑みを見せると、
「私も、あなた達にはちゃんとあの時の礼を言いたかったの!この前はありがとう!!」
のぞみは、バロムとの戦いの時に助けに現われてくれた事への礼を言うと、ダークプリキュア5は皆、首を捻り礼には及ばないと告げるのだった。
「へぇ、あれがダークプリキュア5かぁ・・・何かみんなより大人っぽくて、色っぽいよね?」
えりかの何気ない一言に、のぞみ達五人は、それぞれ複雑そうな表情でえりかの方を向くと、それは言わない約束でしょうみたいな表情を浮かべる・・・
その時、せつなの力で瞬間移動して来た、なぎさ、ほのか、ゆり、満、薫、薫子、コッペが、ダークプリキュア5の側に姿を現わす。
「みんな、急な呼び出しに応じてくれてありがとう!」
なぎさが集まってくれた一同に礼を言うと、気付いたメンバーがそれぞれの仲間に話し掛けた。
「なぎささん!ほのかさん!」
「ゆりさん!それに・・・お婆ちゃんとコッペ様まで?」
「エェ!何でつぼみのお婆ちゃんまで居るの!?」
ひかり、つぼみ、えりかが思わず叫び、
「満、薫、その姿は一体!?」
「あれって、闇の力を使っていた時の・・・ど、どういう事なの!?」
「せつな!もう、こっちに来てるんなら、ちゃんと連絡してよね!」
「せつな、久しぶり!ウエスターやサウラーは元気かしら?」
「せつなちゃん!!」
咲達、ラブ達も互いの大切な仲間に声を掛けると、満、薫、せつなは複雑そうな表情を浮かべると、
「ゴメン・・・咲、舞」
「今の私達は・・・」
満と薫は、咲と舞に視線を合わせるのも申し訳なさそうな表情になり、せつなもまた憂いの表情を浮かべると、
「ラブ・・・美希・・・ブッキー・・・ゴメン!今の私は、東せつなでも、キュアパッションでも無いの・・・スイッチ・オーバー!!」
手を摺り合わせたせつなの姿が、嘗てのラビリンス時代のイースへと変貌を遂げる。驚愕したラブ達は、目の前で何が起きているのか理解出来ず、激しく動揺する。
「せつな、その姿は・・・どうして!?何で?せつなが・・・イースの姿に!?」
呆然とするラブ達に、ダークドリームが穏やかに語り掛ける。
「彼女達に、再び闇の力を与えたのは・・・我らのマスターよ!ある目的の為にね!!そして、それには・・・あなた達プリキュアと、私達が戦うしか方法が無いの!!」
ダークドリームの宣言を受け、のぞみ達一同は激しく動揺する・・・
第二十六話:全員集合!
完