第二十話:プリキュアの逆襲!
1、勢揃い!プリキュアオールスターズ!!
キュアムーンライトとダークプリキュア・・・
嘗ての宿敵同士が、共に戦う姿にブロッサム達は興奮し、嘗て自分達を苦しめたノーザとクラインを破った二人を見て、ピーチ達は驚愕した。
「凄い!私達四人が苦戦したノーザとクラインを、たった二人で倒す何て・・・」
「ええ、でも今の攻撃は、かなり二人には負担だったようね・・・見て、二人のあの疲れよう」
ピーチの言葉を受け、ベリーは、ムーンライトとダークプリキュア、共に体力の限界が近づいている事に気付いた。ベリーの言葉を現わすかのように、激しく呼吸を整えるムーンライトとダークの二人であった。
闇の中のバロムは、二人の状態を見ると口元に笑みを浮かべ、
(手こずらせてくれたが・・・最早奴らに我に刃向かう力は残っていまい?)
「さあ、闇の軍勢共よ!最早我らに逆らう力を持った者は居らん・・・光の戦士の最期と共に、この地に闇の創設者、カオス様の降臨を!!!」
「オオォォォ!!」
闇の中で響き渡る闇の戦士達の声、身体の自由が効かないプリキュア達に焦りが生じる・・・
その時、闇のドームの側にブンビーが落下してくる。続いて、ブンビーの頭にお尻からせつなが、背中に満が、腰に薫が落ちてくる。その都度思わず悲鳴を上げるブンビーに、
「失礼ね!私達、そんなに重くないわよ?でも、ありがとう!ブンビーさん!!」
「あのぉ・・・お礼は良いから、早く退いてくれるかなぁ?」
苦笑しながらもブンビーにお礼を言うせつな、満と薫も立ち上がり、捕らわれたプリキュア達と、ルミナスの方を見つめる。三人の目に涙が溜まった。
せつな、満、薫の姿を、呆然としながら見つめたピーチ、ベリー、パイン、ブルームとイーグレット、プリキュア5も、ローズも、同じように呆然とするも、
「せ、せつなぁぁぁ!?本当に、本当に、せつななの?」
「無事だったのね!?」
「せつなちゃん・・・」
「満ぅぅぅ!!」
「か、薫さん!?良かった、無事だったのね・・・」
三人の無事な姿を見て、ピーチ、ベリー、パイン、ブルームとイーグレットが涙ながらに感嘆の声を上げた。ドリーム達も、三人の無事な姿を見て嬉しそうな表情になる。そのドリーム達目掛け、闇の上空から声が響き渡ってくる。
「ドリーム!みんなぁぁ!!」
妖精達はシロップの背に乗り、ゆっくりと姿を現わすと、みんな無事な姿を、手を振りながらプリキュア達に知らせるのだった。
「ココぉぉ!!」
「ココ様・・・ナッツ様!!」
「シロップ・・・」
「ナッツさん・・・無事で、無事で良かったわ!」
「みんな、無事だったのね!」
「あんた達・・・本当に無事で良かった!!」
ココ達の無事な姿を見たドリーム、ローズ、レモネード、ミント、アクア、ルージュも、一同の無事な姿を見て目を輝かせた。
「ムープもフープも」
「タルトにシフォン・・・みんな、みんな」
ブルームが、ピーチが、仲間の妖精達の無事な姿を見て微笑んだ。プリキュア達は、闇のドーム越しながらも、せつな、満、薫、そして妖精達の無事な姿を見て、久しぶりに心の底から、涙ながらも笑顔が溢れていた。
闇のドームに近付いたせつな達は、今までの出来事をみんなに伝えると、一同は敵の策略に嵌り、偽物を本物の三人だと勘違いしていた事を知らされ驚愕した。次々にせつな、満、薫に詫びるブルーム達、ドリーム達、ピーチ達、ローズは、三人の顔をまともに見る事が出来ず俯いていた。ピーチは、ドリーム達を見つめると、
「ドリーム!みんな!ゴメン!!私がもっと早く気付けば・・・」
「ううん、それは私達だって同じだよ・・・」
ピーチ達とドリーム達、互いの誤解は今打ち解けた・・・
「舞・・・あの時はゴメン!私、あの時すっかり気が動転しちゃってて・・・」
「私の方こそ・・・敵の策略に掛かって、咲を疑う何て・・・本当にゴメンなさい!!」
そして、ブルームとイーグレットの心も再び繋がった・・・
せつな、満、薫は、自分の事のように、和解した一同を見てホッと安堵するのだった。意を決したローズは、申し訳無さそうな視線を三人に送ると、
「あ、あのう・・・ごめんなさい!私は、真っ先にあなた達を疑ってしまった。共に戦い合った仲間の事を信じもせず、ましてや、裏切り者などと酷い言葉を・・・」
涙ながらに深々と頭を下げたローズが言葉に詰まる・・・
せつな、満と薫は、プライド高いローズが、自分の非を認め、涙ながらに謝罪する姿を見るや、首を横に振ると、
「ローズ、あなたが気にする事は無いわ!」
「私達が、オメオメ敵に捕らわれた事が発端ですもの!」
「ええ、一番悪いのは私達よ!情けなくも真っ先に捕らえられ、みんなに耐え難い苦痛を与えてしまった・・・本当にごめんなさい!!」
逆に皆に謝る、満、薫、せつなだったが、ブンビーは慌てたように、
「君達、再会の挨拶は後にした方が・・・って、うわぁこっち見ないでぇぇ」
闇の軍勢が、ギロリと裏切ったブンビーを見つめ、ブンビーは慌てて逃げ出そうとする。そのブンビーにドリームが声を掛ける。
「ブンビーさん・・・みんなを助けてくれてありがとう!!また、助けられちゃったね?」
「まあ、そう思うんなら、今度は私に協力して欲しいがねぇ!?」
「喜んでぇぇ!!」
意外にも、ドリームを始めとするプリキュア達が、タルトの言うように協力を約束した事に驚くも、プリキュア達を利用したビジネスを頭の中で考えるブンビーであった・・・
「私達の大切な仲間達をよくも・・・私は、絶対あなた達を許さない!チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」
せつなが、キュアパッションへと変身していく。
「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ、キュアパッション!!」
ムープとフープが満と薫の側に飛んでくると、
「満、薫、変身するムプ!月の力!!」
「風の力!」
「我らに力を!!」
クリスタル・コミューンに変化した妖精達を、満と薫が受け取ると、
「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」
満と薫がプリキュアへと変化していく、
「未来を照らし!」
「勇気を運べ!」
「天空に満ちる月!キュアブライト!!」
「大地に薫る風!キュアウィンディ!!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「聖なる泉を汚す者よ!」
「アコギな真似はお止めなさい!」
動けないプリキュア達を庇うように、闇の軍勢と睨み合うパッション、ブライト、ウィンディ、そこにムーンライト、ダークプリキュアも加わる。
「フン、たかが三人増えた程度で勝ったつもりか?」
「そういう事だ・・・」
スコルプの言葉にベルゼイも同意すると、一気に攻撃を開始する闇の戦士達、迎え撃つムーンライト、ダークプリキュア、そして、パッション、ブライト、ウィンディ、
「風よ!切り裂けぇぇ!!」
近づいて来たブラッディ、ハデーニャを、凄まじい突風で吹き飛ばすウィンディ、
「光よ・・・輝けぇぇ!」
上空に巨大な光弾を溜めるや、プリキュア目掛け破壊光線を出して攻撃したシャドウの攻撃を掻き消すブライト、ムカーディアと肉弾戦を繰り広げるパッションが、
「みんなが味わった苦しみ・・・倍にして返して上げるわ!!」
「おやおや、勇ましいですねぇ・・・ですが!!」
口元に笑みを浮かべたムカーディアが、パッション目掛け無数の触手で攻撃を開始するも、パッションは瞬時に瞬間移動で背後に回り、ムカーディアを吹き飛ばす。体力を失っているムーン、ダークは、カワリーノと二対一の戦いでようやく互角の劣勢であった。
「どうしました?先程の威勢は口だけだったようですねぇ」
「黙りなさい!」
まだバロムとの戦いが残って居るのに、此処での苦戦に、ムーンもダークも焦りを浮かべた。人数的にもまだ不利なプリキュア達、五人の隙を付き、ベルゼイ、ジュナ、レギーネが、闇のドームの背後に回り込み、ドーム内に居るプリキュア達へと攻撃しようとしたその時・・・
闇の中からけたたましい声が響き渡ると、何事かと上空を見上げる一同に、雄叫びを上げた鳳凰が舞い降りてくる。
「あれは、ヒナタポポ」
鳳凰を見て、仲が良かったポルンが嬉しそうにすると、ルミナスも懐かしそうにその姿を見つめる。その時、鳳凰の背中から声が響き渡る。
「ちょぉぉっと待った!行くよ、ほのか!!」
「うん!!」
「「デュアル・オーロラ・ウェイブ!!」」
遂になぎさとほのかも、闇の本拠地と化した加音町に到着した。
ルミナスの危機を感じた鳳凰は、メップル、ミップル達光の園の妖精達の気配を頼りに、先ずほのかを迎えに行き、そして、九州のなぎさの下にやって来た。ポイズニーが言った奇跡を可能にすると言った事はこの事であった。
「光の使者!キュアブラック!!」
「光の使者!キュアホワイト!!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「闇の力のしもべ達よ!」
「とっととお家に帰りなさい!」
ベルゼイ、ジュナ、レギーネの目の前に舞い降りた二人は、格闘戦で三人を圧倒し、吹き飛ばすと、ドーム内のプリキュア達から歓声が沸き起った。
「此奴ら・・・あの時より力を付けている?」
「クッ・・・一先ず距離を取るぞ!!」
ジュナが驚愕し、ベルゼイの指示の下、一同が一先ず引くと、ルミナスは嬉しそうにブラックとホワイトを見て、
「ブラック!ホワイト!来てくれたのですね!!」
ルミナスは心の底から喜び、二人を称え、ブラックは親指を立てながら
「ルミナス!みんな、お待たせ!!」
振り向いたムーンライトは、口元に笑みを浮かべながら、
「ブラック、ホワイト、遅いわよ!」
「ゴメンなさい・・・でも、これでも急いで来たのよ!」
苦笑を浮かべたホワイトが、ムーンライトに弁明をする。
ブラックとホワイトは、上空を舞っている鳳凰を見上げ、
「ありがとう、ヒナタ!」
「ここは危険だから、少し離れていて!」
ブラックとホワイトの言葉を受け、雄叫びを上げた鳳凰は、少し離れた場所に降り立った。
二人は闇のドームの中に居る一同を凝視すると、その表情が見る見る険しくなり、
「私達が居ない間に、大切な仲間達を・・・よくも痛ぶってくれたわね!」
「覚悟しなさい!!」
ブラックとホワイトの参戦により、勢いが増すプリキュア達、ホワイトは、闇のドームに居る捕らわれたプリキュア達を見ると、嘗て自分が受けた、闇に蝕まれた症状と同じだと見抜いた。
「ブラック、先ずはみんなから闇の力を引き離しましょう!」
「エッ!?・・・う、うん分かった!!」
「ルミナス、闇のドームにハーティエル・アンクションを放って見て!」
ホワイトに何か考えがあると悟ったルミナスが、再び闇のドームに対してハーティエル・アンクションを放つと、
「今よ、ブラック!」
「分かった!ブラック、パルサー!!」
「ホワイト、パルサー!!」
「闇の呪縛に囚われし者たちよ!」
とホワイトが叫べば、
「今、その鎖を断ち切らん!!」
とブラックが応える、
「「プリキュア!レインボー・セラピー!!」」
ブラックとホワイトから、半球形の虹のオーラが放たれると、中和されていた闇を打ち消していく。闇に蝕まれて居たプリキュア達から、闇の力が完全に抜けた・・・
「ああ、身体が動くわ!」
「本当だ、身体が軽いや!!ありがとう、ブラック、ホワイト!」
ベリーが、マリンが、嬉しそうに身体を動かし、仲間達が次々とブラックとホワイトに感謝の言葉を述べると、ブラックは、親指を立てどう致しましてと答える。
「凄い!プリキュアが、こんなに居る何て・・・」
「本当・・・私達が共に此処に居る事自体、夢みたい!」
キョロキョロ周りを見渡し、一堂に会したプリキュア達を見て、メロディとリズムは目を輝かせて居た。二人は、歴戦の戦士達に改めて自己紹介をすると、一同は二人を暖かく迎え入れた。
ダークプリキュアも加わり、24人のプリキュア、プリキュアオールスターズが、闇の軍勢との決戦を迎えようとしていた・・・
2、猛る!花鳥風月!!
復活したプリキュア達を見て、隠れていたシプレ、コフレ、ポプリ、ハミィが大喜びではしゃぎ回る。あまりにも人数の多いプリキュア達を見て、セイレーンは顔中に汗をかき、激しく動揺する。
(な、何て数よ!?い、今は敵じゃなくて良かったわ!)
シプレ達に気付いたシロップ達が近寄って来る。シロップも元の姿に戻り、妖精達は再会を喜び合う。
「シプレ、コフレ、ポプリ、久しぶりココ!そっちの二人は誰ココ?」
「ハミィニャ!こっちはセイレーンニャ!二人共メイジャーランドの妖精ニャ!!セイレーンは家出中だけどニャ!!」
「家出じゃないわよ、このボケ猫!あんた達とは袂を分かったの!一緒にしないでよね!!」
何か複雑な事情がありそうなので、ココもナッツも深くは聞かなかったが、
「メ、メイジャーランドと言えば、音楽で有名ココ」
「ナッツも何度か聞きに行った事があるナツ」
ハミィはメイジャーランドの事を知っているココ達に、嬉しそうにして話し始める。
「メイジャーランドを知ってるニャ?ハミィとセイレーンは、メイジャーランドの歌姫何だニャ!!」
「ええ、それは凄いココ!」
噂に聞くメイジャーランドの歌姫、しかも二人もこの場に居る事に、ココもナッツも大いに驚き、戦いが終わったら、二人の歌声を是非聞いてみたいと思うのだった。だが、セイレーンが複雑な表情を見せるのに気付き、深くは聞く事を遠慮するのだった。
「おぉぉい、君達もそんな所で会話してないで、もうちょっと此処から離れようよ!もうすぐ、プリキュア達と闇の軍勢の戦いが始るぞぉ!!」
ブンビーの言葉通り、戦いが始まりそうなのを見て、ブンビーと共にその場を離れる妖精達であった。
睨み合うプリキュアと闇の軍勢、その中でブラックは、ダークプリキュアを見てニンマリするのだった。
「何だ!?ニヤニヤ私を見て・・・何か用か?」
「ううん・・・いやぁ、私と同じ、黒をシンボルにしたプリキュアが居る何て・・・つい嬉しくなっちゃってさ!」
「ブラック・・・」
決戦を前に緊張感が無いブラックを見て、目が点になりながら呆れるホワイト、ブラックはそれを見てちょっと不満気に、
「エェェ、ホワイトだってそうでしょう?その娘・・・えぇと確か、キュアリズムだったよね?その娘が白をシンボルにしてて嬉しいでしょう?」
「わ、私は別に、何とも・・・だけど?」
二人の会話を聞き、プリキュア達からクスリと笑う声が思わず漏れる。メロディはチラリとからかうような視線をリズムに向けると、
「何とも・・・だってさ?」
「メロディ・・・五月蠅い!!」
リズムは頬を膨らまし、メロディに五月蠅いと返すも、思わず互いに笑みを浮かべた。メロディ、リズムも、今までの緊張感が嘘のような雰囲気を持ち込む、ブラックとホワイトを見て和むのだった。
自分と同じシンボルカラー、緑のプリキュアの居ないミントも、苦笑を浮かべアクアと笑い合っていた。それに気付いたブラックが、
「大丈夫、大丈夫、その内ひょっこり緑をシンボルカラーにしたプリキュアが現われるからさ!元気出していこう!!」
「私は別に、その事で落ち込んでは居ないですよ?」
ミントが益々苦笑を浮かべる姿を見て和む一同、それを見たダークプリキュアが思わずムーンライトに訪ねる。
「何だ、この緊張感の無さは?」
「そうね・・・でも、場を和ませる事の出来るブラックは・・・貴重な戦士よ!」
そんなものなのかと首を捻るダークプリキュアだった。
24人のプリキュアの数を見て、闇の軍勢に焦りが生じる。
「き、貴様ら、卑怯だぞ?な、何て数だ!?」
「お前ら、伝説の戦士じゃないのか!?そんなに大勢居るのに、どこが伝説の戦士だ?」
思わず圧倒的なプリキュアの数を見て、愚痴を零すフリーズンとフローズンだったが、ブラックとホワイトを指差し、
「貴様ら、あの時の借りを返してやる!」
「我ら最高のコンビを見下した償い、させてやる!」
だが、ブラックは首を傾げ、ホワイトに「知ってる?」と声を掛けると、ホワイトは少し呆れたように、前にヒナタを亡き者にして、世界を暗闇に変えようとしてた二人組だと答える。
「ああ、思い出した!あの嘘っこ友情コンビね!!最強、最強、言ってた割に、自分達が不利になると仲間割れしてた・・・」
ブラックの言葉を聞いている内に、見る見る表情を強張らせ、益々激高するフリーズンとフローズンは、
「馬鹿にしやがって!我らが最強のコンビだったと直ぐに思い出させてやる!行くぞ、フローズン!!」
「オオ!!」
ブラックとホワイトに対し、攻撃を開始しようとした二人の側に、古代ギリシャの服装のような格好をした二人組、イソーギンとヤドカーンがやって来る。
「最強のコンビは・・・俺達だよな?」
「俺達だよな?」
ゆったりしたマイペースなしゃべり方でフリーズン、フローズンに意見する。薄気味悪そうな表情で二人を見ていたフリーズンとフローズンだったが、
「何だと!?最強は俺達コンビだ!」
「よし、そこまで言うならどっちが最強のコンビか決めようじゃないか・・・どっちがより多くのプリキュアを倒すか・・・勝負だ!!」
「勝負・・・だな?」
「ああ、勝負・・・だな?」
イソーギン、ヤドカーンも承諾する。二人が雄叫びを上げると合体し、下側はまるでヤドカリを彷彿させ、上側はイソギンチャクが漂う姿を連想させる。
「良いわ!相手になって・・・エッ!?」
戦おうとしたブラックとホワイトの前に出る四人組が居た。花鳥風月をモチーフにしたブルーム、イーグレット、ブライト、ウィンディである。
「ブラック、ホワイト、あいつらとは私達に戦わさせて!」
「みんなの分も、私達を弄んだ償いをさせたいの!」
ブルーム、イーグレットの強い意志を感じたブラック、ホワイトも頷き、その場を離れる。それを見たフリーズン、フローズンが逃げるのかと挑発するも、
「あんた達の相手は私達よ!」
「最強コンビの称号何て、欲しければ上げるわ!でも、大切な仲間との心を踏みにじったあなた達を・・・絶対許さない!!」
「ブルームとイーグレット、そして、プリキュアのみんなを悲しませたお前達を・・・」
「私達も絶対に許しはしない!!」
花鳥風月の四人の思いに応えるように、闇に怯えていた精霊達が、次々四人に力を貸していく・・・
見る見る光に包まれていくブルーム、イーグレット、ブライト、ウィンディの四人の姿に、フラッピ、チョッピ、ムープ、フープも、嬉しそうな表情を浮かべた。
「す、凄いラピ・・・プリキュア同士の戦いを悲しんで、弱まっていた精霊の力が、見る見る強まっているラピ」
「精霊達が、四人の心が一つになった事を、喜んでいるみたいチョピ」
足下に力を込めた四人が、一気に敵に向かい飛翔する。
フリーズンにブルームが、フローズンにイーグレットが激しい攻撃を繰り返す。
「これは、ドリーム達の分!!」
フリーズンの顔面に、パンチの連打を浴びせ続けるブルーム、
「これは、ピーチ達の分よ!!」
フローズンのボディにパンチの連打を浴びせ、回転蹴りで吹き飛ばすイーグレット、
「まだまだ、これはブロッサム達の分!!」
回し蹴りでフリーズンを吹き飛ばすブルーム、
「これは、メロディとリズムの分よ!!」
上空に舞い、猛スピードで下降するや、かかと落としを決めるイーグレット、
「お、おのれぇ、調子に乗りやがってぇぇ」
「俺達の力・・・見くびるなよぉぉ!」
怒るフリーズン、フローズンに怯むこともなく、ブルームとイーグレットがすかさず身構え、再び攻撃を開始した・・・
一方、合体したイソーギン、ヤドカーンに対し、ブライトとウィンディが怒濤の攻撃を繰り返していた。俊敏に動く二人の動きを、ウィンディは風の力で鈍らせるや、瞬時にブライトが突っ込みパンチの連打で吹き飛ばす。体勢を整えたイソーギンが繰り出す触手を、ウィンディは強烈な突風を浴びせて切り裂き、ブライトは月の力でヤドカーンの動きを鈍らせるや、再び肉弾戦を仕掛け、圧倒するブライトとウィンディ・・・
精霊の凄まじい力を得た、本気になった花鳥風月の強さは、最強コンビを名乗る二組を圧倒していた・・・
「な、何だと!?俺達が・・・押されているだと?クッ、フローズン、何をやっている!」
「お、お前こそ何をやっているフリーズン!」
嘗て、ブラック、ホワイトと戦った時のように、劣勢になり息が合わなくなるフリーズンとフローズン、それとは逆に絶妙なコンビネーションで攻撃し続けるブルームとイーグレット、
「私達が味わった苦しみは・・・こんなものじゃないわ!」
「プリキュアのみんなもそうよ・・・」
二人に操られ、プリキュア同士で戦わされた事を思い出し、更に表情を険しくした二人は、追い打ち攻撃を仕掛けるように、ブルームのパンチが、イーグレットの蹴りが二人を吹き飛ばす。そして、空中からウィンディが、地上からブライトが、イソーギンとヤドカーンを追い込んでいく、花鳥風月の四人が横に並び立つと、妖精達の叫びと共にプリキュア!スパイラル・リングが姿を現わし、ブルーム、イーグレットがハート形の中心部分にリングを装着し、ブライトとウィンディが、星形の中心部分にリングを装着する。
「これは、私達の分・・・」
「覚悟しなさい!!」
ブルームとイーグレットが、フリーズン、フローズンを指差し宣言すると、
「「精霊の光よ!命の輝きよ!」」
イーグレットとウィンディが叫べば、
「「希望へ導け!二つの心!」」
ブルームとブライトが叫ぶ、
「「プリキュア!スパイラル・ハート・・・」」
「「プリキュア!スパイラル・スター・・・」」
「「「「スプラッ~~シュ!!!!」」」」
スパイラルハートスプラッシュが、フリーズン、フローズンに、スパイラルスタースプラッシュがイソーギン、ヤドカーンにそれぞれ発射される。
「おのれ、このままオメオメやられんぞ!行くぞ、フローズン!!」
「おお、我らの技・・・受けて見よ!!」
「「フリージング・・・ブリザード!!」」
激突する両者の技と技、一方、イソーギンとヤドカーンは、ブライトとウィンディから放たれた技を、どっちに避けるか揉めている間に直撃し、呆気ない最期を迎えた。
「ウォォォ・・・お、押されているぞ!?もっと力を入れろ!!」
「何を、お前こそ!!」
「あんた達みたいな奴らに!」
「私達は負けないわ!!」
更に力を込めたブルーム、イーグレットの技が、フリーズン、フローズンを飲み込み勝負は付いた・・・
3、VS闇の軍勢
花鳥風月の四人が、フリーズン、フローズン、イソーギン、ヤドカーンと戦闘に入ったのを合図に、プリキュア達と闇の軍勢との全面対決が始まった。
ミルキーローズは、ハデーニャ、ネバタコスを見付けるや突撃し、二人に攻撃を仕掛ける。
「あなた達には、パルミエ王国での借り、返させて貰うわよ!ハァァ!!」
「黙れ、貴様らの所為で、俺様はバロム様の信用を失っちまったじゃねぇか!」
「あんたを倒して、バロム様の信用を取り戻してやるわ!」
激突するローズとハデーニャ、ハデーニャは赤い羽根を連射して、ローズに攻撃を加えるも、ローズはその攻撃をかいくぐり、強力な右肘をハデーニャのボディに与え、ハデーニャが苦悶の表情を浮かべる。
更にローズは、ネバタコスをハイキックで吹き飛ばした。
怒りに我を忘れた二人の闇の力が暴走し、二人は理性を無くし、がむしゃらにローズ目掛け攻撃を繰り返す、巧みに躱し続けるローズだったが、ネバタコスの触手を受け転倒した所を、二人に狙われる。
(しまった!?)
動揺したローズだったが、二人の前にパッションが現われると、瞬間移動を繰り返し、二人を混乱させ、ローズが体勢を整えるのを援護する。ローズはパッションを見て笑みを浮かべると、
「ありがとう、パッション!」
「ううん・・・一緒に戦いましょう!!」
「ええ!!」
パッションが加わり、ローズがネバタコスと、パッションがハデーニャとそれぞれ対峙する。攻撃を繰り返すハデーニャを、嘲笑うように優雅に躱し続けるパッションが、隙を見付けるや連続してパンチを繰り出し、回転キックでハデーニャを吹き飛ばせば、ローズは、ネバタコスの攻撃をパンチ、キックで弾き返し、動揺するネバタコスに加速を付けた強烈なパンチで吹き飛ばす。互いに見つめ微笑み合ったローズとパッションは、
「歌え!幸せのラプソディ、パッションハープ!!」
先ずパッションが、パッションハープを取り出せば、続いてミルキィパレットをフル稼働させたローズが、
「邪悪な力を包み込む、バラの吹雪を咲かせましょう!ミルキィローズ・ブリザード!!」
殆ど同時にパッションも、
「吹き荒れよ!幸せの嵐・・・プリキュア!ハピネス・ハリケーン!!」
二人の合体技、青い薔薇と赤いハートの吹雪がハデーニャ、ネバタコスを包み込むと、巨大な青い薔薇の背後に巨大なハートが重なり合い、ハデーニャ、ネバタコスを浄化した。
ローズとパッションが、ハイタッチでお互いの健闘を称え合うのであった。
キュアブロッサム、キュアマリンは、キュアアクア、キュアミントと共に、カワリーノ、ムカーディアと戦っていた。ブロッサムとマリンを見たカワリーノは、思わず失笑し、
「おやおや、随分可愛らしいお嬢さんだ事、まるであなた達は、子供と保護者見たいですねぇ?」
「君、上手いこと言うね!確かに保護者と子供のようだ・・・子供はもう、寝る時間ですよ?」
ムカーディアもほくそ笑み、カワリーノの意見に同意し、二人は、ブロッサム、マリンを子供扱いし、アクア、ミントを、保護者呼ばわりして四人を挑発する。
「あたしを子供扱いするなぁぁ!!海より広いあたしの心も、ここらが我慢の限界だよ!!」
子供扱いされて怒るマリンを、アクアは宥めに掛かると、
「マリン、落ち着いて!残念だったわね・・・私とミントは、保護者呼ばわりされる事には、ドリームとレモネードと一緒に居る時で慣れてるわ!」
「そんな事で挑発しても無駄よ!あなた達こそ、私達を挑発しなければ、戦へ無いのかしら?」
逆にカワリーノとムカーディアに、挑発仕返すアクアとミントだった。
「おやおや、少し見ない間に、口だけは達者になったようですねぇ・・・良いでしょう!我々を本気にさせた事を・・・」
「後悔させてやる!!」
忌々しそうにしたカワリーノとムカーディア、ブロッサムとマリンに攻撃しようとしたカワリーノだったが、先にブロッサム、マリンコンビの、意表を突いたダブルおしりパンチの先制攻撃を食らってしまう。
「な、何という下品な技ですか?」
顔色を変え、思わず不愉快そうな顔になるカワリーノに、マリンは頬を膨らませると、
「失礼な!ちゃんとお尻は洗ってるしゅ!!」
「いえ、そういう事じゃないと思うわ!」
少々呆れながらも、マリンに突っ込むアクアだったが、
「こっちにも居る事を忘れない事だね!」
意表を突く攻撃のお返しとばかり、ムカーディアのトリッキーな攻撃に苦戦するアクアとミントだったが、ミントがエメラルドソーサーを出して攻撃を防御して体勢を整え、アクアが反撃に転じる。
「プリキュア!サファイア・アロー!!」
アクアが放ったサファイアアローを、嘲笑うかのように攻撃を躱すムカーディアは、
「やれやれ、またその技ですか?私にそう、同じ技は通じませんよ!!」
逆にアクアに、触手で攻撃を仕掛けるムカーディアだったが、
「それはどうかしら?」
再びサファイアアローを仕掛けたアクアは、水の弓矢を連射する。こんなもの、目を瞑っても避けられると過信したムカーディアだったが、
「掛かったわね!今よ、ミント!!」
「プリキュア!エメラルド・ソーサー!!」
アクアが放ったサファイアアローが、エメラルドソーサーの軌跡を読めなくする。鋭く回転するエメラルドソーサーは、見事にムカーディアの触覚を切り裂き、ムカーディアは地面でのたうち回る。
「何をやっているのですか、あなたは?」
アクア、ミントのコンビに苦戦するムカーディアを見て、呆れるように呟くカワリーノの側で、呼吸を荒くして苦戦するブロッサムとマリン、カワリーノは口元に笑みを浮かべると、
「さあ、あなた方にも、絶望を味合わせてあげましょう!!」
「ハァ!?こんな事であたし達が、絶望すると思ってんの?ちゃんちゃら可笑しいわ!」
「そうです!私達は、今までどんな苦難も乗り越えて来ました!!こんな事ぐらいで、絶望なんて絶対しません!!」
ブロッサムとマリンに否定され、感情的になったカワリーノが、二人に近づこうとしたその時、
「「プリキュア!大爆発!!」」
二人の合体技、プリキュア大爆発を食らい、吹き飛ばされるカワリーノが、ムカーディアの側に落下する。
「ミント、ブロッサム、マリン、プリキュア同士の力を合わせましょう!!」
アクアの横にミントが、二人の横にブロッサムとマリンが並ぶと、四人が叫ぶ!
「「「「希望に溢れる乙女の思い、受けてみなさい!プリキュア!コンビネーション・シャワー!!」」」」
カワリーノ、ムカーディアに向けて、四人の重ね合った手から、青、水色、緑、ピンクの光弾が、シャワーのように浴びせ続けられる。止めとばかりに四人でハート形に合わせた巨大な光弾が二人を包み込む。
「こ、こんな所で!」
「また、また、闇に帰るのか・・・ウワァァァ!!」
アクア、ミント、ブロッサム、マリンの四人が声を揃えて
「「「「ハート・・・キャッチ!!」」」」
四人は、見事に合体技で敵を打ち破った・・・
ブラック、ホワイト、ルミナスは、ベルゼイ、ジュナ、レギーネと戦い!
ムーン、ダークは、サーロインと!
ピーチ、ベリー、パイン、は、ブラッディ、シャドウ、スコルプと!
ドリーム、ルージュ、レモネードは、魔女、シビレッタと!
サンシャイン、メロディ、リズムは、シャドウが作り出した大量の鏡の傭兵と戦って居た・・・
プリキュア達一同は、闇の軍勢を圧倒していった・・・
4、魔神襲来!
プリキュア達の逆襲により、配下の軍勢を壊滅寸前にまで追いやられたバロムは、復活させた闇の軍勢の不甲斐なさに、闇の中に聳え立つ、巨大な闇の門を開放する。
ギィィィィと不気味な音を響かせながら開かれた巨大な闇の門・・・
バロムは、門の中に話し掛けるかのように、
「さあ、魔神よ・・・眠りから目覚めるが良い!貴様を闇に堕とした、プリキュアへの復讐の時は来た!!」
その言葉を受け、闇の門より灰色と紫・・・禍々しい翼を持った魔神が、闇の門を潜り、プリキュア達に向かって行った。
(この者と戦い、プリキュア達が無傷で済む事はあるまい・・・例え魔神を倒しても・・・いや、それはありえんな・・・)
再び闇の中で冷静さを取り戻すバロムだった・・・
「まったく忌々しい奴らだわね・・・でも、何もプリキュアだけを狙う必要は無いわよねぇ?」
「おやおや、奇遇だね!あたしも今同じ事を考えていたよ・・・」
「あたしもよ・・・じゃあ、三人で!」
魔女、シビレッタ、シャドウの三人は戦法を変え、プリキュアには目も向けず、離れて応援していた妖精目掛け突撃する。
「アッ!?逃がしませんよ!プリキュア!プリズム・チェーン!!」
三人の動きに気付いたレモネードが、プリズムチェーンで捕らえようとするも、それはシャドウの作った鏡の残像だった。
「しまった!?みんな、逃げて!!」
追いかけながら三人の後を追うレモネードの叫びに気付き、ベリー、パイン、ルージュ
の三人が後を追うも、ブラッディ、スコルプが立ち塞がる。他のプリキュア達も、ベルゼイ、ジュナ、レギーネ、サーロイン、そして、シャドウの作り出した鏡の傭兵達に行く手を遮られ、妖精達の援護に行けなかった。
「ちょっと、そこを退きなさいよ!!」
「これ以上貴様らの好きにさせては・・・我らの身が危ういのでな・・・」
ブラックの言葉に、背水の陣の覚悟で挑むと宣言した、ベルゼイの言葉を露わすように、闇の軍勢は、総力を挙げてプリキュアを食い止めに掛かった。
ベリー、パイン、ルージュ、レモネードの四人は、妖精達に逃げるように叫ぶと、妖精達はパニックに陥る。
「何てこっちゃ・・・折角逃げて来たわいらを狙ってきおった」
魔女は、プリキュア達の前で妖精達を皆殺しにしようと、真の姿、デビルとなって襲い掛かろうとするのを、こちらも蜂の怪人のような姿になったブンビーが、妖精達を庇いながら攻撃するものの、三体一ではどうする事も出来なかった。
「くそぅ・・・これじゃ、勝ち目が無いぜぇ!?」
腕の機関銃見たいな武器で攻撃するブンビーだったが、三人は笑いながら攻撃を仕掛けてくる。ポプリが前に出て、バリアーを張ってみんなを必死に守るも、徐々に押され始める。
「ポプリ!今、今行くからね!!」
救出に向かおうとするサンシャインの前に、ジュナが立ち塞がり妨害する。
「そこを退いて!今はあなたに構っている暇は無いの!!」
「なら、腕ずくで退かすことだな!!」
ジュナの強力な攻撃を受けて、救助に向かえないサンシャインに焦りが生じる。ムーンライト、ダークプリキュアも駆けつけ、サンシャインを援護するも、ノーザ、クラインと戦った疲労は拭えず、三対一でようやくジュナと互角とも呼べる戦いになる。
「も、もう、ダメでしゅぅぅ」
ポプリのバリアーが限界を向かえたその時、ポプリの耳に親しんだ声が聞こえてきた。
「ポプリ、良く頑張ったわね!コッペ!!」
雄叫びを上げたコッペの強力な一撃が、デビルを吹き飛ばす。妖精達は、その頼れる姿に歓喜の声を上げるのだった。
「お婆ちゃん!コッペ様!」
妖精達を守るように立ち塞がるコッペの勇姿と、妖精達を労る薫子の姿を見て、ブロッサムが歓喜の声を上げる。
更にサラマンダー男爵、オリヴィエも駆けつけ、男爵は、シビレッタを得意のステッキで威嚇する。
「君達に恨みは無いが、今回はプリキュアに借りがあるのでねぇ?向かってくるのなら・・・容赦はせんよ!!」
「男爵、オリヴィエ」
ブロッサム達は、加勢に来てくれた二人を見て微笑む、更に二つの人影が現われると、
「プリキュア、此処は俺達に任せておけ」
「僕達も君達を援護しよう!!」
「ウエスター!サウラー!」
まだ完全に怪我が完治していない二人も駆けつけ、妖精達の援護に入る。その姿にピーチ達四人は、心配そうにしながらも頼もしさを感じる。
ようやく追いついたルージュ、レモネード、ベリー、パインが、デビル、シビレッタ、シャドウに立ち向かう。
「うわぁ、何だか知らないが助かったぁ!」
思わず安心したブンビーは、元の人間姿に戻り、ホッとするのだった。
「ココやナッツ達を狙う何て・・・許せない!プリキュア!ファイヤー・ストライク!!」
ルージュは、3発のファイヤーストライクを出して、三人に攻撃する。三人は攻撃を弾き返すも、
「甘いわよ!」
その弾き返した攻撃を、ベリー、レモネード、パインが再び蹴り返し、三人に攻撃を命中させる。レモネードが今だとばかり、プリズムチェーンで三人を捕獲すると、
「ベリー、パイン行くよ!」
「OK!」
「任せて!」
「プリキュア!ファイヤー・ストライク!」
「エスポワールシャワー・・・」
「ヒーリングプレアー・・・」
ルージュのファイヤーストライクの軌跡に、青と黄色の光が重なり合う。三色の光の合わさった巨大な球が、デビル、シビレッタ、シャドウを飲み込み、輝きを放つと、
「「「フレ~~ッシュゥゥ!!」」」
ルージュ、ベリー、パインの掛け声と共に、三人が光に包まれ消滅する。
ドリームとピーチ、互いに身構える視線の先には、本性を現わし、巨大な闘牛のような容姿に変化したサーロインが居た。
「行くよ!ピーチ!!」
「うん、ドリーム!!」
雄叫びを上げ突進して来るサーロインに対し、ピーチはピーチロッドを取り出すと、
「悪いの、悪いの、飛んでいけ!プリキュア!ラブサンシャイン・・・フレ~~ッシュ!!」
ピーチから放たれたハートの光弾が、サーロインの動きを封じる。サーロインは藻掻き、そのパワーでピーチの攻撃を弾き消そうと試みる。
「今よ、ドリーム!!」
ピーチの合図に頷いたドリームは、腕をクロスさせると、
「プリキュア!シューティング・スター!!」
上空に舞い上がり、腕をエックス字にして突進し、サーロインを突き抜けた。
「ハァァァァァァ!!」
ロッドをクルクル回転させたピーチが、サーロインを浄化し、勝負は付いた!!
ドリームとピーチ、互いの健闘を称え合い、ニッコリ微笑み合った・・・
「凄い!これがプリキュアのみんなの力・・・」
「私達とは、次元が違うような・・・」
プリキュア達の勇姿を目にしたメロディとリズムは、自分達は彼女達の足手纏いになっているのではと戸惑うのだった・・・
「おのれ、プリキュア共めぇぇ・・・」
「もう、あんた達に勝ち目は無いよ!」
追い詰められたベルゼイ、ジュナ、レギーネ、ブラッディ、スコルプが激しく動揺する。ブラックが一同を指差し、もう勝負は付いたと宣言するも、
「ブラック、みんな、気をつけるメポ!邪悪な心を持った何かが近づいて来るメポ」
「恐ろしい恨みを持ってそうミポ・・・」
メップル、ミップルの忠告を聞き身構えるブラック、ホワイトも、闇の奥から近づいて来る何かに気付き緊張が走る。生き残った闇の軍勢、ベルゼイ、ジュナ、レギーネ、ブラッディ、スコルプ、の身体が、何かに引き寄せられるように闇の中に吸い込まれた。
「な、何だ、これは?バ、バロム様!これは一体!?」
ベルゼイの言葉に、バロムが答え始める。
「今までご苦労だった・・・最早貴様ら個々の力では、プリキュアに勝てまい?貴様らの全てを・・・あの男に吸収させる!最期に我の役に立てる事を、光栄と思うのだなぁ?」
断末魔の叫び声を上げながら、闇の中に消えたベルゼイ達は、魔神を見て恐怖の表情を浮かべながら、魔神に吸収された。吸収した魔神の容姿が、更に禍々しさを発する。
「みんな、気をつけて!来るよ!!」
ブラックの叫びと共に、プリキュア達の背に一瞬悪寒が走ると、24人のプリキュア達は、爆風を受け弾き飛ばされる。何時攻撃されたのか分からない程だった・・・
そして、24人のプリキュア達の前に佇む魔神、額からはバッファローのような二本の角を生やし、髪は白色、背に灰色と紫、二つのコウモリのような翼を生やし、下半身は獣のように毛に覆われ、尻尾はまるで蛇のように蠢き続け、不気味さを醸し出していた。それはまさにデーモンと呼べた。
「貴様ら・・・答えよ!我は、誰だ!?」
「ハァ?そんなの知る訳・・・キャァァ」
マリンの返事が終わる前に、強烈な爆風が魔神を中心に巻き起こる。
「あなた達、もっと離れましょう・・・私達が此処に居ては、返ってプリキュア達の邪魔になってしまうわ!!」
薫子の忠告を受け、プリキュアを信じ、その場を離れる妖精達やブンビー達、
(何か、今の魔神・・・エターナルの館長にどことなく似てたような?)
ブンビーには、あの魔神がエターナルの館長に、何処か似ているように思えるのだった。
ブラック、ブルーム、ドリーム、ピーチ、ムーンとダークが真っ先に攻撃を仕掛けるが、6人の攻撃が、魔神の肉体に届く事はなかった。
逆に悲鳴を上げながら、六人が弾き飛ばされる!
「気をつけて、無闇な攻撃をしても、効果が無いわ!恐らく、強力な結界の類が、あの魔神の周りには張り巡らされている。あれを先ず何とかしなければ、ダメだと思う!」
ホワイトの忠告に緊張感が走るプリキュア達、咆哮し攻撃に転じる魔神の前に、プリキュア達は次第に追い込まれていく。倒されても、倒されても、不屈の闘志で立ち上がるプリキュア達、そんな中ローズは、何処からか微かに声が聞こえたような気がするのだった。
「あの人を、館長を救って」と・・・
「あれは、エターナルの館長だと言うの?」
「どうしたの、ローズ?」
ローズの独り言を気にし、アクアが声を掛けると、ローズは、アクアを、一同を見つめると、
「今・・・エターナルの秘書が言ってたわ!あれは、エターナルの館長だって・・・闇の力に飲み込まれ、自我を失っているみたい・・・」
ローズの言葉を受け、館長との戦いを思い出すプリキュア5、あの時もバリアーを張られ苦戦したものの、6人の力を結集し、強力なバリアーを崩壊させた事を・・・
「みんな、私達プリキュアの力を一点に集中させれば、きっとあの強力なバリアーを無効に出来る筈!!」
「そうだね、私達の力を結集させれば」
「出来ない事は無いよね!!」
「やろう、みんな!!」
ドリームの言葉に、ピーチが、ブルームが、そして、ブラックが同意する。円を組むように手を繋ぎ始めるプリキュア達・・・
そんな中、未熟な自分達が加わったら迷惑になるのではと戸惑うメロディとリズムだったが、ブラックがメロディの手を、ホワイトがリズムの手を取り微笑み掛ける。自信を取り戻したメロディとリズムが手を繋ぎ、
「私達の思いを一つに!プリキュア!レインボー・フラ~~ッシュ!!」
プリキュア達一人一人から発せられる強力な光が一つになり、魔神に突き進むと、魔神の周りのバリアーが激しく揺らぎ、そして消え去った。だが、プリキュア達の疲労も相当なもので、しゃがみ込む者も居た程だった。真っ先に魔神に飛び込む者が居た。キュアドリームである。
「プリキュア!シューティング・スター!!」
光を帯びて魔神に突っ込むドリーム、
(我は・・・この技を知っている?)
魔神は右手でドリームを弾き飛ばすのを、ピーチとパッションが受け止める。メロディとリズムが頷き合い、
「「プリキュア!パッショナートハーモニー!!」」
例え効かないまでも、自分達をプリキュアとして暖かく迎え入れてくれたみんなの為に、少しでも役立とうと、必死に頑張るメロディとリズムの二人だった。二人が放った不思議な感じがする技に、魔神に戸惑いが生まれた。
(これは・・・何だ!?我は・・・)
此処を勝負所と見たピーチが叫ぶ、
「行くよ!ベリー、パイン、パッション!みんなも力を貸して!!クローバーボックスよ、私達に力を貸して!!!」
クローバーボックスから放出された光が、リンクルンに力をもたらす。魔神を包み込むように円形の輪になったプリキュア達、
「プリキュアフォーメーション!レディーゴー!!」
ピーチの合図で、パッションから始まったハピネスリーフに、ローズとプリキュア5が力を加えると、続いてドリームから受けたパインが、プレアーリーフをセットし、メロディ、リズム、ハト組の五人に回す、続いてブロッサムから受けたベリーが、エスポワールリーフをセットし、花鳥風月に託す、四人が力を加え、ルミナス、ホワイト、そしてブラックが力を加え、ピーチに思いを託し、ラブリーリーフを加えた強力なクローバーマークを完成させる。クローバーマークは、マークの中心部で魔神を巨大な水晶の中に閉じ込めた。
プリキュアの力を結集させた、ラッキークローバー・グランドフィナーレスペシャルの力は、凄まじい輝きを放ち、魔神を浄化させていく。
(そうか、思い出した・・私は・・・)
消えゆく魔神を労るように、光の中からアナコンディに似たシルエットが、魔神を抱きしめ浄化させる。
「ほう、あの魔神を倒すとわな・・・流石は伝説の戦士と言うところか?」
何とか魔神を倒したプリキュアの前に、遂に闇の救世主バロムがその姿を現わす。肩まで伸びる深淵の闇を思わせる黒髪の長髪、相手を震え上がらせそうなつり上がった眼光、まるで生命を感じさせないような蒼白な肌、その肌を隠すように、全身に覆われた法衣のような黒服、黒い靴、先程の魔神のような見た目からの不気味さではなく、心の底に響いてくるような不気味さを、バロムは持っていた。
「あんたが、バロムね?この世界を元に戻しなさい!!」
ブラックの言葉を嘲笑うように、バロムが言葉を続ける。
「戻す!?それは敵わん願いだな・・・最早カオス様を止める事は不可能!!そして、プリキュア共!お前達は私と戦う前に、此奴らと戦い朽ち果てるのだ!!」
バロムが指をパチリと鳴らし現われる人物達、バルデスを筆頭に、サーキュラス、ウラガノス、ビブルス、真の姿を露わにしたゴーヤーンを筆頭に、キントレスキー、ミズ・シタターレ、ドロドロン、モエルンバ、カレハーンが勢揃いする。
「バルデス!?」
「ゴーヤーン迄・・・一体どうなってるの?」
「今迄の敵は、私達を疲弊させるまでの捨て駒とでもいうの・・・」
ブラックが、ブルームが、そして、ホワイトが、嘗ての強敵達が、今のタイミングで出て来た事に危惧を感じる。
「お久しぶりですね!皆さん方、暫く見ぬ間に、随分お仲間を増やされたんですね・・・ですが!!」
「「ハァァァァァァ!!!」」
ゴーヤーン、バルデスの強烈な雄叫びで地響きが起こり、闇の底に落下するプリキュア達が居た。
「メロディ!!」
落下していくメロディを助けようとするリズムだったが、リズムの手から悲鳴を残して落下していくメロディ、
「イヤァァァ!!」
「落ち込むのは後になさい!今は、目の前の敵に集中しなければ・・・やられるわよ!!」
落ち込んでいたリズムは、ムーンライトに注意される。
目の前に居る四天王、バルデス、サーキュラス、ウラガノス、ビブルスが、自信満々な表情で、地上に残ったプリキュア、ムーン、ダーク、サンシャイン、リズム、ピーチ、パッション、ドリーム、ルージュ、レモネード、ブルーム、イーグレット、そしてルミナスを見つめる。
プリキュア達は地上と地下、二手に分断されてしまうのだった・・・
力が残っていないプリキュア達に、危機が迫る・・・
第二十話:プリキュアの逆襲!
完