プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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 砂漠の王デューンとの決戦から四ヶ月が過ぎ、なぎさ達はそれぞれ進級し、新たなる生活を満喫していた。新たなる二人のプリキュアが、音楽の町に誕生していた事も、一同は気付かなかった。
 だが、闇の根源復活を目論む闇の軍団の罠が、深めたプリキュアの絆を崩壊させようとしていた・・・


第三章:闇の救世主!
第十四話:ひかりの不安


                 第十四話:ひかりの不安

 

 地球砂漠化の現況である、デューンとの決戦から四ヶ月が過ぎた・・・

 

 19人のプリキュア達もそれぞれ進級し、新学年での生活を満喫していた。

 

 高校3年生になったのは、美墨なぎさ、雪城ほのか、月影ゆりの三名

 

 高校2年生になったのは、水無月かれんと秋元こまちの二名

 

 高校1年生になったのは、九条ひかり、日向咲、美翔舞、霧生満、霧生薫、夢原のぞみ、夏木りん、桃園ラブ、蒼乃美希、山吹祈里の十名で、この年はプリキュアの当たり年と言えた。

 

 中学3年生になったのは、春日野うらら、花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつきの四名であった。

 

 尚、美々野くるみは、時折顔を出すも、パルミエ王国在住、東せつなも、ラビリンスに居る為、学校に通っては居なかった。

 

 彼女達プリキュアが、世界を救った事も、最早都市伝説と化そうとしていた・・・

 

 そして、彼女達の後輩になる新たなるプリキュアが、音楽の街に誕生していた事を、まだ彼女達は知らなかった・・・

 

 

 ゴールデンウィークを明日からに控えた4月28日、この日TAKO CAFEでは、女子ラクロス日本代表メンバー候補に選ばれた、ベローネ学園女子高等部ラクロス部キャプテン、美墨なぎさの壮行会が開かれていた。学校上げての激励会は既に開かれていたのだが、なぎさ達の学校、並びラクロス部の大先輩になる藤田アカネが、可愛い後輩のなぎさの為にTAKO CAFEで祝ってくれていた。

 

「いやぁ、私も鼻が高いよ!まさか、なぎさが全日本メンバーに選ばれるなんてさぁ!」

 

 アカネが嬉しそうに、なぎさの肩を何度も叩き可愛がる。なぎさは苦笑しながらも嬉しそうだった。

 

「あっ、まだ決定じゃなくて候補ですよ、候補!明日からの九州の熊本合宿での結果見て、更に絞り込むらしいし・・・それに、今回は海外遠征の代表で、世界大会でも無いですからね・・・でも、折角のチャンスだもん・・・頑張る!!」

 

 アカネはうんうん頷きながら、可愛い後輩のなぎさのリクエストに応える為に、車の中に移動した。なぎさの目が輝くのを見て、雪城ほのかも、九条ひかりも、自分の事のように嬉しそうにニコニコしていた。

 

「なぎさなら、絶対大丈夫だよ!何時もの調子を合宿でも出せれば、絶対に選ばれると思うなぁ!」

 

「ありがとう・・・ほのか!」

 

 なぎさが嬉しそうにほのかにお礼を言う、その目からは、このチャンスを確実に物にしたいという、内なる闘志がほのかにも伝わった。

 

「本当は、私もなぎさの見送りに行きたかったんだけど・・・」

 

「ううん、ほのかも出発前日の忙しい中、今日来てくれただけでも、ホントありがたいよ!」

 

 なぎさは心底嬉しそうに、ほのかに微笑を浮かべて感謝する。

 

 ほのかは、この間の誕生日に帰って来た両親からの誘いを受けて、ほのかあこがれである、ブレキストン博士の母校の大学を見学しに、明日から海外に出掛ける事になっていた。

 

「ゆりもお祝いの電話を掛けて来てくれたんだけどさ、ゆりも明日からフランスに行くんだって・・・前に、つぼみ達とフランス行った時に知り合った人から、相談があるからパリに来てくれって頼まれたとか言ってたよ!」

 

 ジュースを飲みながら、なぎさがほのかとひかりに話すと、ひかりの心に不安が宿る。

 

 ひかりは近頃同じ夢を見て、夜中に何度も目が覚めた・・・

 

 世界が闇に飲み込まれる悪夢を・・・

 

(なぎささん、ほのかさん、それにゆりさんまで!?単なる偶然なら良いんだけれど・・・)

 

 プリキュア達のリーダー格である、なぎさ、ほのか、ゆりが、同時に不在になる事に、ひかりは一抹の不安を感じるのだった。

 

 ひかりの表情が急に冴えなくなったのを見て、なぎさとほのかは顔を見合わせて首を捻ると、

 

「ひかりさん、どうかした?」

 

 ほのかの問いかけに、ひかりは我に返ると慌てて首を振り、

 

「い、いえ、お二人が居ないと、寂しいなぁと思いまして・・・」

 

 慌てて誤魔化すひかりの言葉を二人は信じ、ホッと安堵すると、

 

「なぁんだ!そうだね・・・ゴールデンウィークに、本当はまたあの娘達の街にでも遊びに行きたかったんだけどね・・・ひかり、ちゃんとお土産買って来るからさ!折角熊本行くんだし、熊の木彫り何かどうかな?」

 

「なぎさ・・・北海道じゃないんだし、熊の木彫りはちょっと・・・」

 

「エッ!?そうだっけ?熊本って言うから、熊の元締めみたいなもんかと・・・」

 

「「・・・・」」

 

 なぎさの言葉に、思わず目が点になり無言になるほのかとひかり、メップルは溜息を付くと、

 

「なぎさは、合宿より勉強した方が良さそうメポ」

 

「何ですってぇぇ!!」

 

 呆れるメップルに、頬を膨らませ言い返すなぎさだった。

 

 

 そんな中、シロップがなぎさ達の前に降りてくる。三人は驚きながらも、久しぶりの再会を果したシロップに笑顔を向けた。

 

「シロップじゃない!久しぶり!!どうしたの?」

 

 突然やって来たシロップに、驚くなぎさ達三人だったが、シロップは構わず、相棒メルポから出てきた手紙の山をなぎさに渡す。渡されたなぎさは多いに驚き、

 

「のぞみ達や、他のプリキュア達から、なぎさに手紙ロプ!」

 

 シロップから渡され、小首を傾げながら手紙を読み始めるなぎさの目が、見る見るウルウルしてくる。

 

「な、なぎさ、どうしたの?」

 

「なぎささん!?」

 

 心配そうに脇から手紙を覗き見るほのかとひかり、そこには咲達、のぞみ達、ラブ達、つぼみ達から、お祝いと激励の言葉が書いてあった。感動で涙を流すなぎさを、微笑ましく見守るほのかとひかり、

 

「ウゥゥ・・・あの娘達ったら・・・よっしゃ~、頑張るぞぉぉ!!シロップ、届けてくれてありがとう!良かったら、一緒に食べて行ってよ!!」

 

 なぎさにたこ焼きを勧められ、シロップは大喜びで美味しそうにたこ焼きを頬張るのだった・・・

 

 

 4月29日・・・

 

 この日、美墨なぎさは九州熊本に、雪城ほのか、月影ゆりは、海外へと出掛けて行った・・・

 

 三人の不在を知ってか知らずか、闇が動き始めようとしていた・・・

 

 プリキュア達にとって、悪夢のような試練が始まろうとしている事を、まだ誰も知らなかった・・・

 

                 第十四話:ひかりの不安

                      完

 


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