プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第百二十話:ニクスとリリス(前編)

1、リコからの手紙

 

 魔法界・・・

 

 魔法学校では、リコが神隠しにあったのでは無いかと大騒ぎになったが、手紙の運び屋であるシロップが、リコからの手紙を携えて現われた。シロップが、リコの手紙を扱った経緯は、知り合いとはぐれた事で、魔法界に帰れなくなったリコだったが、なぎさ達から、せつなやシロップなら、何時でも魔法界に連れて帰ってくれると聞き、もうちょっと人間界で過ごしてみたい欲が出て来た。

 

「何時でも魔法界に帰れるなら、もうちょっとこっちで暮らしてみたいかも!?」

 

 そう思ったリコは、のぞみからシロップを紹介され、リコは二通の手紙をシロップに託した・・・

 

 

 魔法界に着いたシロップは、人間姿に変化すると、魔法学校の生徒達に話し掛け、

 

「リコの姉のリズって奴は居るかぁ?」

 

 人間姿のシロップが、リコの姉であるリズを捜していると、クラスメイトに聞いたリズは、怪訝な表情で外に居るシロップの前に現われた。

 

「私がリズですが、あなたは一体!?ひょっとして、あなたがリコを・・・」

 

 リズは、自分より年下っぽいシロップの容姿に警戒しながらも、シロップがリコの安否に関わっているのではないかと疑った。シロップは困惑し、慌てて手紙を取り出すと、

 

「エッ!?か、勘違いするなよなぁ。俺はリコから、あんた宛ての手紙を届けてくれって頼まれただけだ」

 

「エッ!?リコから?」

 

 リコから手紙を預かったシロップは、驚いて居るリズに手紙を手渡した。リズは自分への宛名を書いたリコの筆跡を見てみると、確かにリコの筆跡だった。

 

「じゃあ、確かに渡したからな。俺はまだ手紙を届けに行かなきゃならないんでな」

 

「アッ!?リ、リコは元気で居るの?」

 

「ああ、今リコは、加音町って町で、黒川エレンって奴の世話になってるぜ」

 

 シロップが言うように、リコは映画の撮影後、調べの館に住むエレンの世話になっていた。シロップはそうリズに告げると、巨大な鳥のような妖精姿に変化した。魔法学校の関係者達は、突然現われた巨大なシロップに驚くも、シロップは一鳴きすると、魔法界の空に羽ばたいた。騒動を聞き付けた魔法学校の校長は、リズに近付き声を掛けた。

 

「リズくん、彼は何者かね?」

 

「校長先生!私にもよくは分からないのですが、彼は手紙の運び屋だって言ってました。彼は、リコが私宛に書いた手紙を、届けに来てくれただけのようです」

 

 リズに校長先生と言われた男性だったが、銀色の長髪をした姿は、リズとそう年が変わらない青年にも見えた。青を基調とした服と、緑色のマフラーを着用している姿からも、青色が好みなのかも知れなかった。生徒思いの校長だが、一説には、魔法学校で40年以上教員をしている、アイザックという老教師が、校長の教え子という噂もあり、校長が本当は幾つなのか?という事は、魔法学校七不思議の一つにもなっていた。

 

「ほう、手紙の運び屋かね・・・どこかで聞いた事はあるな。では、リコくんは無事だったのだな?」

 

「はい!校長先生、リコがご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ありませんでした」

 

 リズは、申し訳無さそうに校長に深々と頭を下げた。校長は笑みを浮かべ、

 

「うむ!無事ならばそれでよい。他の生徒達の手前もあるし、わしがナシマホウ界行きを許可した事にしておこう」

 

「ありがとうございます」

 

 リズは今一度校長に頭を下げると、自室に戻ったが、リズの部屋にルームメイトは居なかった。以前は、リズと一、二位を争う程の優秀な魔法つかい、ソルシエールという少女が同部屋だったが、数ヶ月前、彼女は師匠の魔法つかいの下にお見舞いに行き、そのまま魔法学校に帰って来る事は無かった。それ以降、リズは彼女が帰ってくる日を信じ、教頭先生に頼んで、彼女の所有物をそのままにしてもらっていた。

 

「リコったら、心配させて・・・」

 

 リズは手紙の封を切ると、リコの手紙を読み始めた・・・

 

 お姉ちゃんへ・・・

 

 私は今、ナシマホウ界に来てます。ニクスさんとリリスさんって人に誘われて、ナシマホウ界に来たんだけど、何と途中で二人とはぐれちゃったの!エへへへ、でもね、私プリキュアと知り合いになったんだよ。それに・・・何と伝説の魔法つかいプリキュアの、キュアマジシャンの子孫って人とも知り会ったのよ!凄いでしょう?後、ナシマホウ界で映画っていうのにも出たのよ。今は、プリキュアの一人、エレンさんって人のお世話になってるの。この町は、音楽が有名何だよ。それに、エレンさんから色々な本を読ませて貰って、こちらの世界の勉強もしてるのよ。もっと色々書きたいけど、魔法学校に戻ったら、ちゃんとお姉ちゃんにお話しするね。心配掛けてゴメンなさい・・・リコ

 

 リコの手紙にはこう書かれていた・・・

 

 手紙を読んだリズは、思わず呆然とした。プリキュアの名は、リズも歴史書を読んで知っては居たが、伝説の魔法つかいと呼ばれたプリキュア、キュアマジシャンの子孫と、リコは直接会ったらしかった。

 

(リコの手紙が本当だとしたら、伝説は本当だったの?)

 

 リズは思わず呆然とした・・・

 

 

 シロップは人間界に戻ると、リコから預かったもう一通の手紙の主を捜して居た。最初にリコがやって来た津成木町を捜したものの、お目当ての人物達とは出会えなかった。

 

「チッ、全くニクスとリリスって奴らは、一体どこに居るんだよ?」

 

 シロップが、リコから預かったもう一通の手紙の届け先は、ニクスとリリスだった。シロップは、嘗てベレルが注意するべき人物として出したリリスの名を、すっかり忘れて居た。

 

「たく、居場所も分からねぇのに、どうやって手紙を届けりゃ良いんだ!?・・・まてよ?」

 

 シロップは、キュアエコーの力を借りれば、二人の心に話し掛ける事が出来るのではないかと考え、横浜にあるあゆみの家へと向かった。

 

 だがその横浜には、幸か不幸か、シロップが捜して居たニクスとリリスが居た・・・

 

「ねぇニクス、確かここに、シーレイン様は最初にやって来たって以前聞いたわよねぇ?」

 

「ええ、バルガンが最初に来たのもこの町だったそうだし」

 

 二人は、嘗てバルガンが現われた、横浜にある港の見える丘公園に来て居た。高い木の上から横浜を見て居ると、上空を猛スピードで飛んでいる何かにリリスが気付いた。

 

「あれは!?ウフフフ、ちょっと覗いてみようかしら?」

 

「どうしたの、リリス!?」

 

「ちょっとねぇ、何か気になる物体を見つけたものだから・・・」

 

 リリスはそう言うと、目を閉じて精神を集中させた。リリスの意識が、幽体離脱したかのように、上空を猛スピードで飛ぶ物体を捉えると、リリスの口元に笑みが浮かんだ。リリスが見付けたのは、横浜に住むあゆみの家を目指し、飛んで来たシロップだった。

 

「フフフ、あの鳥、ただの鳥じゃ無さそうねぇ・・・こちらに誘き寄せましょう!サキュバスアイ!!」

 

 リリスは目を見開き、瞳が怪しく赤く輝くと、シロップの頭上に巨大な目が現われた。その瞬間、シロップの身体は、まるで何かに引き寄せられるかのように、港の見える丘公園に移動して行った。

 

「か、身体がフラフラするロプ・・・もう、もう駄目ロプゥゥ」

 

 シロップはそう言うと、通常の姿に戻ってしまい、上空から地上目掛け落下すると、何か柔らかいものに抱き止められた。シロップが顔を上げると、口元に笑みを浮かべたリリスが、妖艶な表情でシロップに顔を近づけ、思わずシロップはドキッとした。リリスは、そんなシロップを見てクスクス笑いながら、

 

「ウフフフ、私の胸に飛び込んで来る何て、エッチな鳥さんねぇ?」

 

「ち、違うロプゥゥ!突然力が抜けて・・・・しまったロプ!」

 

 シロップは、つい人間の言葉を喋ってしまい、思わず両手で口を塞いだ。ニクスもそんなシロップを見て、思わずクスリと微笑み、

 

「あなた、どうやら只の鳥じゃ無さそうねぇ?妖精か何かかしら?」

 

「ロプ!?シロップを見ても驚かないロプ?」

 

「「ええ、見慣れて居るもの」」

 

 ニクスとリリスは、クスクス笑いながらも、シロップを安心させるかのようにそう話すと、シロップは少し安堵した。リリスは、そんなに急いで何所に行くのかシロップに問うと、

 

「シロップは、手紙の運び屋をしてるロプ。でも、リコから預かった手紙の相手が見つからなくて困ってたロプ」

 

「「エェェ!?リコ?」」

 

 シロップがリコの名を出すと、ニクスとリリスの表情が変わった。シロップは、そんな二人を見て首を傾げながら、

 

「お前達、リコを知ってるロプ?ひょっとして、お前達がニクスとリリスロプ?」

 

 シロップの口から、思いがけないリコの名を聞き、思わずニクスとリリスは驚いた。更にシロップは、自分達の名前まで呼んだのだから・・・

 

「ええ、そうよ、私がニクス」

 

「私がリリスよ」

 

「本当ロプ!?こんな偶然もある何て・・・これがリコから預かった手紙ロプ」

 

 シロップは、ニクスにリコからの手紙を渡した。ニクスが手紙を開くと、リリスもニクスに顔を近づけて、二人は一緒に手紙の内容を読み始めた。すると、見る見る二人の口元に笑みが浮かび上がった。ニクスは、カインが言っていた通り、魔法界の人間が、プリキュアと出会った事を聞き、思わず笑い声を発し、

 

「フフフ、そう、リコはプリキュアと会ったのね?」

 

「ねぇ、シロップ、あなたはプリキュアの事も知ってるの?」

 

「知ってるロプ」

 

 リリスに聞かれたシロップは、彼女達が魔界の者とは露知らず、正直に答えてしまった。ニクスとリリスは、顔を見合わせ合うと頷き合い、

 

「ねぇシロップ、私達を、彼女達プリキュアに会わせてくれないかしら?リコを保護してくれたお礼も言いたいし」

 

「そうね、出来れば私とニクスを、リコの所まで連れて行って貰えると助かるんだけど・・・」

 

「お安いご用ロプ」

 

 シロップはそう言うと巨大化し、二人に背に乗るように告げた。ニクスとリリスはアイコンタクトすると、シロップの背に乗り、シロップは、リコが居る加音町目指して飛び去って行った。

 

 

2、闇のプリキュア達の宴

 

 ナッツハウス・・・

 

 池の畔で、少し離れた場所から、ナッツハウスの中の様子を気にしながら、のぞみ達六人とみゆき達六人が集まって居た。何故みゆき達がナッツハウスにやって来たかと言えば、ダークプリキュア5から頼まれたのぞみからのメールで、みさき達五人を、ナッツハウスに連れて来て欲しいと頼まれたからだった。

 

「大丈夫かなぁ?」

 

 みゆきは、両チームがナッツハウスの中で、喧嘩しているイメージが思わず頭に浮かび、心配そうな表情でナッツハウスを見つめた・・・

 

 

 そのナッツハウスでは、招待されて中に入ったみさき達が、出迎えたダークプリキュア5の面々を見て、微妙な表情を浮かべていた。ダークドリームは、みさき、あおい、やおい、なみ、れいなの五人を見つめ、口元に笑みを浮かべながら、

 

「へぇ、その姿になってると、あなた達は本当にみゆき達に似てるのね?」

 

「本当、あなた達の方がちょっと大人っぽくも見えるかしら?」

 

 ダークミントも同意するも、みさきは五人の心意が読めず、ちょっと警戒するかのように、

 

「元々私達、みゆき達の細胞から生まれたって聞いたし・・・それより、一応招待されたから来たけど・・・私達に何か用なの?」

 

「ええ・・・まあ、話は上で」

 

 ナッツハウスの二階に続く階段を、ダークドリームを先頭にダークプリキュア5が上がって行き、そのあとをみさき達が続いて上がっていた。二階にあがったみさき達は、テーブルに並べられた飲み物や食べ物を見て、思わず呆然とした。ダークドリームは、五人を促し、

 

「どうぞ、好きな所に座って」

 

「ウワァァ・・・美味しそうだねぇ」

 

「ご、ご、御馳走!?」

 

「何や気味悪いなぁ」

 

「これは一体!?」

 

 やおい、なみ、あおい、そしてれいなは、テーブルに並べられた御馳走を見て驚きの声を上げた。ダークアクアはクスリと笑み、

 

「フフフ、大した意味は無いわ。以前映画の撮影であなた達と一緒になって、最初は私達も戸惑ったけど、何だか楽しかったし」

 

「それで、お互いをもっと知った方が良いんじゃないかなぁと思って」

 

「それでみゆき達に頼んで、あんた達に来て貰ったってわけ」

 

 ダークレモネード、ダークルージュは、そう言いながら料理を小皿に分けてみさき達に手渡した。

 

「フフフ、毒は入ってないから大丈夫よ」

 

 ダークドリームはそう言うと、自ら箸を手に取り、唐揚げをパクリと囓ってウインクした。それを合図にしたかのように、みさき達も箸を手に取ると、

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 みさき達は、ダークプリキュア5が用意してくれた御馳走を食べ、次第に警戒心が薄れていった・・・

 

 

 ダークドリームは、ジィィとみさき達を見ていると、

 

「ウフフ、何だかあなた達のその姿を見てると、常にプリキュアの姿で居る私も、日常では違う姿で過ごしてみたくなるわねぇ・・・」

 

「フゥゥン・・・なっちゃえば?」

 

みさきがさり気なくダークプリキュア5に告げると、五人は思わず驚き、

 

「「「「「エッ!?」」」」」

 

「そうそう、意外と面白いでぇ」

 

「私達みたいになるなら、名前も考えなきゃねぇ?」

 

「ダークドリームなら・・・差し詰め夢野のぞむとかぁ?」

 

「ありきたりだけど、分かりやすいのは確かねぇ」

 

 あおい、やおい、なみ、れいなにも薦められ、ダークドリームも満更でもさなそうな表情を浮かべると、

 

「フゥゥン・・・試しになってみようか?前にベリーに貰った服があったよねぇ?」

 

「「「「良いわよ」」」」

 

 ダークドリームに聞かれた四人は、苦笑しながらもダークドリームの申し出に賛同した。五人は、以前ベリーからプレゼントされた、五人のイメージカラーをしたワンピースを捜して手に持つと、顔を見合わせた五人は、

 

「じゃあ、行くよ・・・せぇぇのぉぉ!」

 

「「「「「ワァァァァ!」」」」」

 

 ダークドリームの合図と共に、五人の姿がのぞみ達に似た容姿へと変化し、思わずみさき達から歓声が上がった。

 

 

 くるみは、ジィィとナッツハウスを見つめて居た・・・

 

 みゆきが想像したように、くるみも最初にダークプリキュア5に頼まれた時、バッドエンドプリキュアと会わせても大丈夫かという不安が頭を過ぎった。でも思い返してみれば、映画の撮影の時も、京都観光の時も、そして映画の試写会でも、両チームはいがみ合うこともなく、むしろ、ポップと監督にお仕置きをした時は、息が合っているぐらいにも思えた。

 

「映画の撮影の時も、試写会の時も、両方共いがみ合う事も無かったし、大丈夫でしょう?」

 

「そう言いながら、一番ソワソワしてたのはくるみだったけどねぇ?」

 

「しょうがないでしょう?いきなりダークドリームに、バッドエンドプリキュア達を、ナッツハウスに呼んでも良いかって聞かれたんだから・・・」

 

 りんに少しからかわれ、くるみは少し頬を膨らませた。こまちは何所からか羊羹を取り出すと、

 

「甘い物でも差し入れしてこようかしらぁ?」

 

「こまちさん・・・前から思って居ましたけど、羊羹を何時も持ち歩いてらっしゃるんですか?」

 

 れいかに聞かれたこまちは、コクリと頷いて羊羹を見た。

 

「実家が和菓子屋だし、毎日じゃないけど持ち歩いているわよ。羊羹はあずきで出来てるし、あずきはヘルシーなのよ」

 

「バナナの代りみたいな感じでしょうか?」

 

 れいかが首を傾げながらそう話した時、ナッツハウスから笑い声が聞こえて来た。思わずのぞみ達も、みゆき達も、自分達の事のように嬉しさが込み上げてきた。

 

 その時、のぞみ達とあゆみの携帯にメールが届いた。気になったのぞみ達とあゆみが内容を見てみると、差出人はエレンからで、リコの捜していた人物が見つかったから、リコが魔法界に帰るみたいだと知らせが届いた。

 

 

3、サキュバスのリリス

 

 メイジャーランド・・・

 

 アコは不機嫌そうに、メフィストからソッポを向けていた。メフィストはアコの気を惹こうと、三銃士であるバスドラ、バリトン、ファルセットに即興の余興をさせるも、アコのご機嫌が治る事は無かった。一緒に来ていたハミィとピーちゃんは、そんな二人を交互に見つめ困惑していた。

 

「アコォォ、パパが悪かったから、機嫌を直しておくれぇ。そうだ、美味しいお菓子が・・・」

 

「要らない!」

 

 アコは首を横に振り、話し掛けたメフィストの顔も見ようともしなかった。アコの母アフロディテは、そんな二人を見て溜息を付き、

 

「ハァ・・・あなた、アコに嘘を付いてメイジャーランドに来させたのですから、あなたが悪いんですよ?」

 

「だから、その事は何度もアコに謝って居るだろう?なぁ、アコ・・・パパは、アコの顔を中々見られなくて寂しいのだ。機嫌を直しておくれ」

 

「知らない!」

 

「ハァァァァ・・・アコったら」

 

 アコは、頬を膨らませながらメフィストを無視し、アフロディテは深い溜息を付いた。メフィストは、アコの機嫌が直らずオロオロし、バスドラ、バリトン、ファルセットは、そんなメフィストを見て、笑いを堪えるのに必死だった。アフロディテは、優しくアコに話し掛け、

 

「アコ、今回はパパを許して上げて。何もパパは、嘘を言った訳ではありませんよ。そろそろアコにも、メイジャーランドの次期女王として、自覚を持たせても良い頃だと、二人で話して居たのです」

 

「エッ!?私が?」

 

「当然でしょう?あなたは私達の一人娘なのですから」

 

「私、弟か妹が欲しいなぁ・・・」

 

「「エッ!?」」

 

 アコが突然呟き、思わずアフロディテとメフィストがドキリとし、見る見る二人の顔が赤くなった。メフィストが正気を取り戻し、メイジャーランドに戻って来た事で、アフロディテとメフィストは、夫婦の愛を取り戻したかのように、激しく愛し合った日もあった。アフロディテはその時を思い出したのか、少し恥ずかしそうに、

 

「そ、そう・・・アコ、でも赤ちゃんは、欲しいからと言って、直ぐ産まれてくる訳ではないのよ?」

 

「ウン、分かってる!欲しいなぁって思っただけ・・・じゃあ、私そろそろ加音町に戻るから、行こう、ハミィ、ピーちゃん」

 

 動揺するアフロディテとメフィストを余所に、アコはハミィとピーちゃんと共に、メイジャーランドを後にした。

 

 

 加音町・・・

 

 調の館の前に、アコを除いたなぎさ達が集まって居た。リコをナシマホウ界に連れて来た人物が見つかったという事は、リコが魔法界に戻る事を意味していた。みさき達五人や、休暇がてらナッツハウスでくるみと共に過ごす、ダークプリキュア5の五人も、みゆき達やのぞみ達と共にやって来て居た。

 

「じゃあ、俺は行くぜ」

 

「「ええ、送ってくれてありがとう」」

 

 ニクスとリリスは、どこか妖艶な微笑を漂わせながら、シロップに礼を述べた。シロップは思い出したかのようにリコを振り返ると、

 

「そうだ!リコ、姉ちゃんが心配してたぞ?帰ったらちゃんと謝っておけよな」

 

「お姉ちゃんが!?うん、ありがとう」

 

 シロップは、まだ配達が残っているからと、巨大化して大空に飛び去って行った。それを見送ると、みさきはリコに話し掛け、

 

「何だかんだで、あなたと一番最初に出会ったのは、私達とみゆき達だし、見送りぐらいはしてあげる」

 

「ありがとう」

 

 みさきは、ナッツハウスでダークプリキュア5と食事会を開いていたが、のぞみ達やみゆき達から、リコの捜していた人物が見つかり、魔法界に帰るようだから、一緒に見送りに行かないかと誘われ、仲間達と共に加音町に来た。リコは、プリキュアのみんなが自分の為に集まってくれた事で、感動して目がウルウルしていた。響は、申し訳無さそうな表情で、

 

「アコは、用事があってメイジャーランドに戻ってるから、間に合わないかも知れないけど・・・」

 

「ううん、良いの!みんながわざわざ集まってくれただけでも、凄く嬉しいし」

 

「リコ、捜してた人に会えて良かったわね」

 

「ウン!エレンさんにも色々お世話になっちゃって」

 

 リコはそう言うと、行くあてが無くて困惑したリコを、調べの館に招いてくれたエレンに改めて感謝して頭を下げた。そんな一同を、ニクスとリリスは薄ら笑いを浮かべながら見つめて居た。

 

(何かあの二人の態度、引っ掛かるわねぇ・・・)

 

 ダークアクアは、ニクスとリリスの態度に、何所か違和感を覚えて居た。ニクスとリリスは、リコが粗方挨拶を済ませると、リコを挟むように両隣に立った。ニクスはリコに話し掛け、

 

「リコ、プリキュアのみんなとのお別れは済んだかしら?」

 

「ハイ!ちょっと名残惜しいけど・・・」

 

「そうね、もう永遠に会えないかも知れないものねぇ?」

 

「リリスさん、別に永遠に会えなくなる訳じゃないと思うんだけどなぁ」

 

 リコがちょっと恨めしそうにリリスを見たその時、リリスの名を聞いたほのか、ゆり、かれんの顔色が瞬時に変わった。ほのかはリコに確かめるように、

 

「リコさん、今その人の事・・・リリスさんって言った?」

 

「エッ!?ほのかさん、リリスさんの事知ってるんですか?」

 

「・・・・・・」

 

 ほのかはリコに聞かれたものの、ほのかの耳には届かなかった。ほのかの視線は、リリスと、隣に居るニクスに釘付けだった。リリスは戯けるように、

 

「あらぁ!?プリキュアに名前を知られる何て、私達も有名になったものねぇ・・・もっとも、シーレイン様やベレル様に聞いて居たんでしょう?」

 

「じゃあ、あなた達はやはり!?」

 

 かれんは表情を険しくしながら問うと、思わず二人の口元に笑みが浮かび、

 

「そう、私は十二の魔神が一人、処女宮を預かるリリス」

 

「私は、双魚宮を預かる者ニクス」

 

 リリスとニクスが十二の魔神である事を認め、一同に緊張が走った。みさき達やダークプリキュア5達には何の事か分からず、

 

「何々!?みんなどうしたの?」

 

「あなた達のその顔・・・彼女達は敵だって事なの?」

 

「魔界の人達が、全て敵って訳じゃ無いけど・・・」

 

 みさきとダークドリームに聞かれ、あゆみは困惑の表情を浮かべた。二人が魔界の者だと分かると、瞬時にみさき達はバッドエンドプリキュアに変化し、なぎさ達一同は二人を警戒した。ゆりは険しい表情で二人に話し掛け、

 

「一応、聞いておくわ・・・あなた達、リコを利用して此処に何しに来たのかしら?」

 

「「もちろん、私達は・・・プリキュアを倒す為に此処に居るわ!」」

 

 ニクスとリリスはそう言うと、魔界で過ごすスタイルへと瞬時に変化した。ニクスは、上半身は白い貝殻ビキニを着け、下半身は魚のような鰭を持つ人魚姿になって宙に浮き、リリスは、頭から蝙蝠の羽のような触覚と、お尻からは愛くるしい先端がハート型をした尻尾をゆらゆら揺らし、黒い下着のようなボンテージ衣装に身を包んだ。

 

「エッ!?ニクスさん、リリスさん・・・その姿は一体!?それに、それってどういう・・・」

 

 リコは、正体を現わした事で、急に殺気を露わにしたニクスとリリスに動揺し、思わず言葉を飲み込んだ。

 

「「さあ、あなた達も変身しなさい!」」

 

 ニクスとリリスに、プリキュアに変身するように促されるも、やる気満々のバッドエンドプリキュア達を抑えたなぎさは、出来れば二人との戦闘は避けたかった。なぎさは二人に話し掛け、

 

「ねえ、二人共ベレルに事情は聞いたんでしょう?私達は、あなた達魔界と敵対する気は無いし、以前バッドエンドピースが魔界に行ったのは、偶然迷い込んだだけなの」

 

「エェェ!?何?私が魔界に行ったのが原因なの?」

 

「ううん、それをカインって人と、アベルって人が利用してるだけだと思うよ」

 

 バッドエンドピースは、この二人がこっちに来たのは、自分が原因かも知れないと知り、少し動揺するも、やよいはバッドエンドピースをフォローした。その事はニクスとリリスにも伝わっては居た。ニクスは、目を閉じるとシーレインが言っていた事や、ベレルがニクスとリリスを呼び、プリキュア達は、魔界と敵対する意思など全く持っていない事を知らされた。それはリコを見ても、此処に案内してくれたシロップを見ても、皆プリキュアに好意を持っている事でも分かった。

 

「ええ、それはシーレイン様からも、ベレル様からも聞いているわ。リコに優しく接してくれたあなた達を見ても、それはその通りなのでしょう・・・」

 

「そうね・・・それは私も認めるわ」

 

 自分達が敵対する意思を持っては居ない事は、ニクスとリリスにも伝わっているようで、咲はホッと安堵した表情を浮かべながら、

 

「だったら」

 

「でもね、事情が変わったの」

 

「私達は、あなた達を倒し、何人かを魔界に連れ帰る為に、こちらの世界にやって来た」

 

「どうしても、私達と戦うって事?」

 

 ラブは困惑しながら二人に問うと、ニクスとリリスはコクリと頷いた。本心では、二人もプリキュアと戦う事には消極的だったが、シーレインの処刑を免れる為には、カインの言う通りに動く以外二人にはなかった。

 

「その覚悟がなければ、わざわざ人間界になど来はしないわ」

 

「そう言う事よ」

 

 ニクスとリリスは、なぎさ達に変身を促した。最早戦いは避けられないと知り、一同は渋々ながらも、プリキュアへと姿を変えた。

 

 ニクスとリリスは、一同がプリキュアになった事でリコを見つめ、

 

「リコ、あなたを利用した事は謝るわ・・・あなたは此処から離れていなさい」

 

「これは、私達とプリキュアの問題だから」

 

「でも・・・プリキュアのみんなは、私に優しくしてくれたし、ニクスさんとリリスさんも・・・」

 

「今も言った通り、私達はあなたを利用しただけ」

 

「プリキュア同士は引かれ合うっていうカイン様の命令で、嘗て魔法界にもプリキュアが居た事で、魔法界の人間を利用しようとしただけよ。そして、私達が選んだのが・・・リコ、あなたよ!」

 

 二人の言葉を聞き、リコの表情が曇った。最初に出会った時、どこか胡散臭い面も有りはしたものの、リコは一緒に行動する内に、二人を信頼していた。

 

「そんなぁ・・・」

 

「問答無用って訳ね・・・リコ、彼女達が言うようにここを離れなさい」

 

「調べの館の中に避難してて」

 

 リコはビートとリズムに、ここから離れて調べの館に避難しているように言われたものの、どこかこの場を離れる事にうしろめたさがあった。

 

「で、でも・・・」

 

「言う通りにして!」

 

「は、はい・・・」

 

「わたくしが一緒に行きますわ」

 

 険しい表情をしたドリームにも言われ、リコは慌てて返事を返し、アン王女に手を掴まれたリコは、調べの館の中へと避難した。それでもみんなが気になり、リコはそっと入り口の扉を少し開いて、アン王女と共に様子を伺った。

 

 

 ニクスは、リコがこの場を離れた事で、内心巻き込まないで済むと安堵した。プリキュア達を見つめると、

 

「じゃあ、始めましょうか」

 

「上等!」

 

 バッドエンドマーチが右手の拳を握って気合いを入れた。リリスは一歩前に出ると、

 

「ニクス、私がやるわ」

 

「そうね、さすがにこれ程の人数を相手にするには、あなたに任せた方が良いかもね・・・でも、あなたのあの下品な技を見るのは、好きじゃ無いけど」

 

「下品!?まあ、いい歳して可愛い子ぶっちゃってぇ?」

 

「うるさい!」

 

「ウフフフ、まあ良いわ。あなた達の相手は・・・このサキュバスのリリスがしてあげる」

 

 ニクスとのやり取りを見て、思わず虚を突かれたプリキュア達だったが、舌なめずりしたリリスを見て、ホワイトの背筋は思わずゾッとした。嘗てベレルに忠告された言葉が、思わず頭に浮かんで来た。貴公らは、全滅するであろうという言葉が・・・

 

「みんなぁぁ、油断しないでぇぇ!」

 

 ホワイトが一同に警戒するように伝えるも、リリスは妖艶な表情で笑い出し、

 

「ウフフフ、実は・・・さっき内緒で、あなた達の周囲を、私のテントリーで覆って居たのよねぇ。さあ、あなた達の悶え声を、私に聞かせて頂戴・・・エロチックアイ!」

 

『エッ!?』

 

 リリスは、ウインクしながらプリキュア達に投げキッスを放ち、思わずプリキュア達が呆然とした。プリキュア達の頭上に、巨大な目が現われると、地面に魔方陣の紋章が浮かび上がり、地面からピンク色の輝きがプリキュア達を覆った。

 

「な、何!?これは?・・・アァァァ」

 

 突然輝いたピンク色の光にブラックが驚くも、急に力が抜けてきたかのように思わず片膝を付いた。それは他のプリキュア達も同じで、皆表情を赤くしながら、急激に沸き上がってくる劣情に戸惑った。ホワイトは、息を乱しながらリリスを見つめ、

 

「ハァハァハァ・・・わ、私達に・・・な、何をしたの?」

 

「ウフフフ、私のエロチックアイはね、光に捉えた相手の性的欲求を、高ぶらせる事が出来るのよ。あなた達のように、男を知らなくても、淫らに快楽の虜にする事が出来るの」

 

『そんな!?』

 

 リリスは、プリキュア達の反応を見て、全員まだ男を知らない身体だと見抜いた。

 

 プリキュア達は、まだ全員処女だった・・・

 

 学校の授業で性教育を受けては居たが、異性の生殖器を間近で見た事なども無かった。例外的に、魔王やオークの生殖器を見た事がある者は居たものの、それを見て劣情を催した事など無かった。ましてや、自ら性的興奮を発散する為に、自慰をした事も無かった。そんな彼女達だったが、リリスのエロチックアイの呪縛からは逃れられず、初めて沸き上がってくる快楽に、恐怖すら覚えていた・・・

 

「ウフフ、どうかしら!?気持ち良くなってきたでしょう?」

 

「う、うるさい!この・・・変態女」

 

 バッドエンドマーチは、沸き上がる快楽に耐え、リリスを罵ると、リリスは口元に笑みを浮かべながら、ゆっくりバッドエンドマーチに近付き、

 

「あらあら、随分酷い口を聞くのねぇ?悪い子には、おしおきしなくちゃねぇ?」

 

 リリスはそう言うと、バッドエンドマーチの背中を、右手の人差し指で撫でた。ただそれだけだったが、バッドエンドマーチは激しく悶え、

 

「アァァァァ、ハァハァハァ・・・ハァン」

 

 バッドエンドマーチは、益々力が抜けたかのように地面に倒れ込み、足を摺り合わせながら恥辱に耐え続けた。調べの館から状況を見ていたアン王女とリコ、アン王女はリリスの性格を見て、ある人物を思い出していた。

 

「ま、まずいですわ。あの魔王のような性格・・・」

 

「魔王!?」

 

「ええ、わたくし達の仲間・・・のような存在ですが、エッチな性格をしていて」

 

 アン王女は、リコにそう説明しながらも、悶え続けるプリキュア達の身を案じた。

 

 

 星空家・・・

 

 みゆきの母育代と共に、テレビを見ていた魔王は、誰かに呼ばれたような直感が過ぎった。

 

(今、誰かに呼ばれたような気がしたカゲ・・・)

 

 魔王が急に黙り込み、育代は不思議そうに首を傾げ、

 

「魔王ちゃん、どうしたの?」

 

「何かみゆき達に呼ばれた気がしたカゲ・・・ちょっと様子を見てくるカゲェ」

 

「魔王ちゃん、今日は魔王ちゃんが好きなハンバーグだから、みゆきと一緒に、晩ご飯の時間までには戻ってねぇ」

 

「分かったカゲェェ」

 

 魔王は、プリキュア達の気配を捜しながら、星空家を飛び立って行った・・・

 

 

4、快楽の虜

 

 リリスは舌なめずりしながら、悶え続けるプリキュア達を眺めた。プリキュア達が、快楽に悶える声が、リリスの糧となっていった。

 

「ウフフ、さあ、もっと快楽に身を任せなさい。私が手伝って上げる」

 

「な、何を!?止め・・・てぇぇ・・ハァハァ」

 

「や、止めなさ・・・アァァ・ンンン・・・ハゥ」

 

「ち、力が入らない・・・アァァァァ」

 

 ブラックが、ムーンライトが、ホワイトが、リリスによって首筋に息を吹きかけられ悶えた。リリスは、ピーチの胸を見ると、尻尾を器用に動かし、ピーチの胸元を刺激した。

 

「クッ・・・な、何を!?」

 

「あなた、中々大きい胸なのねぇ!?感度はどうかしら?」

 

 リリスの尻尾の先端が、ピーチの胸を刺激するかのように震動を与えた瞬間、

 

「イヤァァァァ!アァァ、アッアァァァ」

 

「「「ピーチ!」」」

 

 ビクビク身体を震わせたピーチが、激しく身悶え始めた。その目からは、うっすら涙が滲んだ。ベリー、パイン、パッションは、苦悶の表情を浮かべながらも、ピーチの身を案じ、思わず叫んだ。

 

「止め・・・止めろぉぉ!」

 

 パッションは気力を振り絞り、何とか上体を起こすも、リリスは口元に笑みを浮かべ、

 

「フフフ、まだ快楽に抗う力が残ってたのねぇ!?あなたはどんな声を聞かせてくれるのかしら?」

 

「な、何を!?止め・・・アァァァァ・・・イ、イヤァァァ」

 

 リリスの尻尾が、パッションのスカートの中に潜り込み、パッションの黒タイツに覆われた太股周辺を、激しく刺激した。パッションは、力なく倒れ込み、ハァハァ荒い呼吸を続けた。リリスは更に、右手ではベリーのお腹を、左手でパインのお尻を撫でると、

 

「「ンンンン・・・ハァハァハァ」」

 

 横向きに倒れ込み、パインはお尻を突き出すような格好で倒れ込んだ。

 

「クゥゥ、な、何て奴!?」

 

「ハァハァハァ・・・さ、最低よ」

 

 メロディとリズムが、リリスに抗議するような視線を向けると、リリスは二人の腕を取り、

 

「ウフフフ、羨ましいのかしらぁ?そうだわ。あなた達は、お互いの身体をまさぐっちゃいなさい」

 

「「な、何を!?」」

 

 リリスは、右手でメロディの右腕を、左手でリズムの腕を掴み、互いの胸に手を乗せ、前後に激しく揺さぶった。

 

「「アッ、アァァァ!イヤァァァ」」

 

 更なる快楽がメロディとリズムの二人を襲い、二人の目から涙が零れた。そんなリリスに、一陣の風が吹いた。それは辛うじて上体を起こしたウィンディからの攻撃だったが、力が抜けているウィンディの技の威力は、リリスに取っては涼風に等しかった。

 

「へぇ、反撃する気力が残っていた何てねぇ」

 

「こ、これ以上、私達の仲間を・・・侮辱させ・・・ない」

 

「ええ、私達は・・・ハァハァ、あなたに何て・・・屈しない」

 

 ダークアクアも、ウィンディに同意するかのように反撃を試みるも、リリスの尻尾が生きているかのように揺らぎ、二人の胸を刺激し、二人は激しく悶えだし、

 

「「アァァァ!?クゥゥゥ・・・ンンン・ハァハァハァ」」

 

 更にリリスは、プリキュア達一人一人を翻弄して歩いた。

 

 ルミナスが、ブルームが、イーグレットが、ブライトが喘ぎ、Wドリームが、Wルージュが、Wレモネードが、Wミントが、アクアが悶えた。ローズは、限界に近付いているのか、顔を真っ赤にし、

 

「こ、こんな最低な奴に・・・手も、足も、出ない・・・何て・・・アァァァァ」

 

 ビクビク身体を痙攣させながら倒れ込んだ。悔しい気持ちは薄らぎ、ローズの心を快楽が支配していった。

 

(な、何で!?何で抗えないの?)

 

 ダークドリームは、為す術無くリリスに翻弄される姿に戸惑った。更にリリスは、ブロッサム、マリンの背中を、サンシャインのお臍を愛撫して、三人を悶えさせ、ビートの首筋に息を吹きかけ、ハッピー、サニー、マーチ、ビューティ、エコー、ソードの六人と、バッドエンドハッピー、サニー、ビューティの身体をも弄んだ。

 

『アァァァ・・・イヤ・イヤ・・・ハァハァハァ』

 

 嘗てなぎさにエッチな同人誌を買って貰い、読んだ事があるWピースではあったが、あの時以上の興奮が、二人の欲求を刺激して行った。

 

「変に、変になっちゃうよぉぉぉ」

 

「わ、私も・・・アァァァ」

 

 プリキュア達は、リリスに反撃しようとする意思はもちろんあったが、快楽は、そんな彼女達の思いを嘲笑うかのように、ジワジワ彼女達の身体を、心を、蝕んでいった。プリキュア達の心は、羞恥心と屈辱で一杯だった。

 

 リリスは、そんなプリキュア達の抵抗する気力を、一気に粉砕しようとするかのように、

 

「もう一つ教えて上げるわ。あなた達、子宮が疼いてきてない?今のあなた達は、私の力によって、強制的に排卵日にもっとも近い状態になっているのよ。言ってる意味が分かるかしら?今のあなた達は、もっとも妊娠しやすい状態に身体がなっているの。仮に今、男と性交渉を持てば・・・あなた達は間違い無く、その男の子供を宿す!」

 

『なっ!?』

 

 リリスの言葉に、プリキュア達は皆恐怖した・・・

 

「ねぇニクス、プリキュア全員妊婦になる何て、面白くない?」

 

「知らないわよ」

 

 ニクスは、リリスに話を振られるも、こういう行為を好きではないのか、思わずソッポを向いた。リリスは、そんなニクスに舌を出し、

 

「乗りが悪いわねぇ・・・アァア、誰か男でも来ないかしらぁ!?私のチャームで魅了して、あなた達の欲求を満たすお手伝いをさせてあげるのに・・・まあ、あなた達が敗北を認め、私の言う事を聞くって言うのなら、サキュバスの契約の下、あなた達の命は保証するわよ?」

 

「ハァハァハァ、誰が、あなた何かにぃぃ」

 

 四つん這いの状態で激しい呼吸をしながらも、ドリームがハッキリ、リリスの申し出を拒絶すると、リリスはそんなドリームを見て首を傾げ、

 

「う~ん、さっきから思ってたけど、あなた処女にしては、どうも男慣れしてるような?」

 

「し、失礼ねぇ・・・ハァハァ、わ、私は・・・」

 

「まあ良いか・・・男が居ないなら、このまま快楽に果てちゃって」

 

 上空の目が一層見開かれると、魔方陣から放たれたピンク色の光が一層輝きを増した。

 

『アッ、アッア、アァァァ・・・イヤ、イヤァァ、イヤァァァァァ』

 

 プリキュア達の身体が、先程以上にビクビク痙攣し、太股を擦り合わせながら激しい悶え声を上げた。

 

「もう、もう止めてぇぇぇ!」

 

 そう叫びながら、リコが思わず調べの館を飛び出した。アン王女も慌ててリコの後に続いた。リコはプリキュア達を庇うように両手を広げるも、リコもエロチックアイのテントリーに入ってしまい、初めて体験する快楽の恐怖がリコに襲い掛かった。

 

「クゥゥゥ、な、何!?アァァァ!」

 

「リコさん・・・ハゥ、こ、これは!?身体が疼いて・・・アァァァ!」

 

 リコを引き留めに来たアン王女だったが、リコ同様エロチックアイのテントリー内に入ってしまったアン王女にも、快楽の波が押し寄せてきた。だが、リコやプリキュア達と違い、アン王女は婚約者との間で、既に一度結ばれて居た。アン王女は涙目になりながら、そのまま腰が抜けたかのように座り込み、快楽に耐えようとしたものの、それに気付いたリリスは目を輝かせた。舌なめずりしながらアン王女を見つめると、

 

「フフフ、お客さんが来たようねぇ?あなたは、既に男の味を知っているようね・・・さあ、あの時の快感を思い出しなさい!」

 

「アァァァ、ンンンン、ハァハァハァァァ!ジョ、ジョナサン・・・・アァァァァ!!」

 

 アン王女の脳裏に婚約者の顔が浮かび、涙が零れ落ちた。

 

「お、王女様ぁぁ!や、止めてぇぇ!!」

 

 ソードがアン王女を見て叫ぶも、ソードもまた快楽に抗う術を持たず、快楽の波がソードの心を飲み込んで行こうとしていた。

 

「リリス、一旦エロチックアイを解除しなさい!そのままじゃ、リコも巻き添えに・・・リリス!?」

 

「フフフフ、良いわよ・・・そのまま全員快楽の虜になって果てなさい!」

 

 ニクスは、悶え続けるリコを見て良心が痛み、リリスにエロチックアイを解除するように進言するも、リリスの瞳は金色に輝いたまま暴走し、ニクスの声が届くことは無かった。

 

(リリス・・・プリキュア達の快楽を糧にし過ぎて、力が暴走しているの?)

 

「さあ、私にあなた達の絶頂の声を聞かせなさぁぁい!」

 

(もう・・・もう・・・)

 

 プリキュア達の頭の中が真っ白になっていく・・・

 

 快楽の波に飲まれ、皆絶頂に達しようとしていた・・・

 

 ダークプリキュア5や、バッドエンドプリキュアを加えた一同であったが、嘗てベレルが言っていたように、今正に、全滅の危機に直面していた。

 

 その時・・・

 

 プリキュア達を覆っていたピンクの光が突然消え去り、変わりに黄金の輝きがプリキュア達を包み込んだ。黄金の輝きに包まれると、心の奥底から沸き上がってきていた快楽が、徐々に薄らいで行くのが分かった。

 

『ハァハァハァハァ・・・』

 

「「これは一体!?」」

 

 これにはリリスもニクスも驚きの声を発した。リリスは表情を険しくし、

 

「私のエロチックアイを封じた!?誰?姿を見せなさい!」

 

 リリスは辺りを見渡すと、何かの気配を感じて上空を見上げた。上空に浮かんで居た巨大な目を消滅させ、姿見鏡の中から、青髪をした成年が舞い降りた。成年は、プリキュア達を見つめると、荒い呼吸をし続けるブラックと目が合った。ブラックは、一層顔を赤らめ、

 

「か、神様!?・・・イヤ、見ないでぇぇ」

 

 ブラックは、顔を赤くしながら隠した。

 

 プリキュア達を救ったのは地球の神ブルー、ブルーは、憂いの瞳をしながら、見ないでと哀願したブラックに、嘗て大いなる闇に身体を乗っ取られた、キュアミラージュの姿をダブらせた瞬間、両手の拳を握りしめた。リリスは、突然現われたブルーに驚いたものの、

 

「あら、男の方から現われてくれる何てねぇ・・・ねぇあなた、あなたが望むプリキュアと交わってみない?」

 

「黙れ!これ以上彼女達を、なぎさ達を辱めるのは止めろ!これ以上彼女達を辱める事は、この僕が・・・絶対許さない!!」

 

 プリキュア達を救う為、地球の神ブルー降臨!

 

 

            第百二十話:ニクスとリリス(前編)

                    完




第百二十話投稿致しました。
今回は、ちょっとエッチな話でした。
本来は一話で纏めるつもりでしたが、案の定前後編になってしまいました。

年のせいか、最近は2時間ぐらいパソコン画面を見ていると目が疲れてしまい、パソコンをする時間もめっきり減ってきました。投稿間隔が空くかも知れませんけどご容赦下さい・・・

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