プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第百十話:それぞれの特訓

1、空手道

 

 プリキュア合宿二日目・・・

 

 早朝に起きたなぎさとブルーの騒動も丸く収まり、朝食を終えた一同は、軽くランニングで汗をかいた後、ビーチでゆりから空手の型を教わって居た。妖精達は、森に遊びに出かけたハミィとキャミー、姿が見えない魔王とピーちゃん以外、ブルーと共にその様子をビーチで眺めて居た・・・

 

「折角ビーチに居るのに、何で水着じゃないケル?」

 

「修行してるのに、何で水着になる必要があるシャル!」

 

「水着で修行しちゃ・・・何で悪いケルゥゥゥ!」

 

「ラケル!何考えてるシャルゥゥゥ!!」

 

 ラケルは、一同のトレーニングウェア姿や胴着姿を見て、不満そうに口を尖らせ涙ながらに叫び、シャルルにお腹で体当たりされて怒られる。パフは、ポルンとルルン、フープとムープやキャンディ達と一緒に、砂に絵を描いてはしゃぎ、アロマはそんな幼い妖精達を、目を細めながら眺めていた。ぐらさんは、サングラスを掛けながら、妖精用のベッドの横になり寛いでいると、ブルーがぐらさんに近づき、

 

「ぐらさん、久しぶりだねぇ?」

 

「ああ、お前も元気そうで何よりだぜ。リボンは元気か?」

 

「うん、元気でヒメの側に使えているよ」

 

「へぇ、ぐらさんは、神様と知り合いなのか?」

 

「ああ、俺はブルースカイ王国の妖精だからな」

 

 人間姿のシロップに聞かれたぐらさんは、自分もブルースカイ王国の妖精だと教えた。ランスは、恐る恐るアン王女を見ると、アン王女は特訓に夢中なようで、ランスはホッと安堵し、ぐらさん同様ベッドに寝転び、ストローでジュースを飲み始めた。

 

「そういえば、魔王とピーちゃんの姿が見えないね?」

 

「朝には二人共居たんだが・・・」

 

 人間姿のココとナッツは、魔王とピーちゃんがこの場に居ない事に、一抹の不安を覚えた。

 

 

 ゆりに空手を教えたつぼみの祖母薫子は、山籠もりなどで、空手を独自に創意工夫して極め、全国大会で優勝した事もある達人だった。その薫子から空手を直伝されたゆりは、一同に空手の大まかな流れを教え、各自が型を行って居た。型とは、一人で演武する空手の練習で、技は決まった順序で演武するのが基本であった。この辺りは、いつきの明堂院流に似て居た。現に薫子は、ゆりをいつきの祖父厳太郎の、明堂院流を極めさせようと考えて居た事でも分かった。

 

「いつき、あなたも前に出て手伝って頂戴、私が見た限り、薫子さんの空手と、あなたの道場の明堂院流は通じ合うものがあるわ」

 

「分かりました」

 

 いつきはゆりに呼ばれると、ゆりの隣に立った。胴着に着替えたいつきは、流石の着こなしをしていた。ゆりは、素人がほとんどのなぎさ達一同の為に、単純な突き、蹴り、受けを、一同の身体が自然に動けるまで鍛錬させた。真琴は型をしながら、以前いつきの道場で習った事を思い出し、

 

(これは、いつきさんの道場で教わった動きに似て居る・・・)

 

「ヤッ!ハァ!トゥ!!」

 

 いつきも以前の事を思い出したのか、真琴の動きを見て口元に笑みを浮かべ、ゆりも驚いた表情で真琴を見た。

 

「真琴、筋が良いわねぇ・・・その意気よ!」

 

「ハイ!」

 

「空手の道も奥が深いのですねぇ・・・ハッ!」

 

 ゆりに褒められた事で、俄然やる気を出す真琴、母静子から習った合気道を嗜(たしな)むれいかもまた、気合いを込めて熱心に稽古に精を出した。トランプ王国で武道の修練をして来たアン王女、以前明堂院流を体験見学していた満と薫の筋も良かった。なぎさとほのか、スポーツが得意な咲、りん、かれん、くるみ、美希、せつな、響、エレン、アコ、あかね、なお、芝居やダンスをやっていた影響もあってか、うらら、ラブと祈里も、型を何度も行う内に、自然と身体が覚えたのか、次第に様になって居た。苦戦して居たのは、ひかり、舞、こまち、つぼみ、えりか、奏、みゆき、やよい、あゆみ、それでも何度も続ける内に、形になって行った。ゆりは頷くと、

 

「みんな、大分形になってきたわね・・・では、次に組手に移りましょう」

 

『組手!?』

 

「ええ、組手って言うのは・・・」

 

 ゆりはそう言うと、簡単に組手について一同に説明を始めた。組手とは、それぞれのレベルに合わせた、攻撃技や受け技(防御)、返し技の鍛錬を目的に行い、主に二人で行う空手の練習形式の一つで、決まった手順で技を掛け合う約束組手や、自由に技を掛け合う自由組手、勝敗を目的にした組手試合などがあった。ゆりは、いつきと軽い打ち合わせをすると、

 

「口で説明するより、実際に見た方が分かりやすいと思うから、私といつきで見本を見せるわね」

 

 ゆりはそう言うと、いつきに目で合図を送り、ゆりといつきが向かい合った。互いに礼をし、真っ先に技を仕掛けたのはいつきで、突きの連打を放ち、ゆりがそれを手で受け流すや、いつきは前蹴りでゆりの腹部を狙った。ゆりはその攻撃を、右肘で前蹴りを受け止め、逆に左手の突きでいつきの顔を狙うも、今度はいつきが右手で攻撃を払った。一同は、息を飲みながらその様子を見ていたが、

 

「す、凄い・・・」

 

「本当に戦ってるみたいねぇ?」

 

「こんなの私達でやるの?」

 

 なぎさが、かれんが、祈里が、少し動揺しながら言葉を発し、尚もゆりといつきの組手は続けられたが、ゆりの口元に笑みが浮かんだ瞬間、いつきは攻撃を止め、二人の組手は終了した。再び互いに礼をしたゆりといつきが、見て居た一同に向き合うと、

 

「こんな感じで、みんなもやってみて」

 

『無理ぃぃぃ!』

 

 ゆりの言葉に、目を点にした一同が首を横に振るも、いつきはクスリと笑い、

 

「アハハ、何も僕達みたいにしなくても良いんだよ」

 

「ええ、二人一組になって、交互に突きと受けをすれば良いわ」

 

 ゆりもいつきの言葉に同意し、一同は二人一組でコンビを組んだ。なぎさとほのか、ひかりとあゆみ、咲と舞、満と薫、のぞみとりん、かれんとこまち、うららとくるみ、ラブと祈里、美希とせつな、つぼみとえりか、響と奏、エレンとアコ、みゆきとあかね、なおとれいか、

 

「やよいさん・・・一緒に組手してくれませんか?」

 

「エッ!?う、うん、別に良いけど・・・」

 

(仮想バッドエンドピースにピッタリだわ)

 

 真琴たっての希望で、やよいは真琴と、武道経験者のアン王女には、いつきが再び相手を務めた。一同は、真剣な様子で組手を続けた・・・

 

 

 数十分後・・・

 

「みんな、お疲れ様!少し休憩にしましょう」

 

『フゥ・・・』

 

 一息付いてその場に座り込む一同、特にやよいはゼェゼェ荒い呼吸をし、

 

「ま、まこちゃん、酷いよぉぉぉ!」

 

 やよいは、涙目になりながら真琴に抗議し、真琴は、やよいにバッドエンドピースの姿をダブらせ、つい力が入り、何発かやよいの身体にヒットしていた。真琴は、行き過ぎた行為を反省し、ペコペコやよいに頭を下げた。

 

 妖精達は、特訓で疲れた一同に水を手渡し、一同は美味しそうにゴクゴク飲み干した。ゆりは一同に話し掛け、

 

「基本的な流れはこんな感じね・・・後は、それぞれで修行を行う自由時間にしましょう。もっと空手について聞きたいなら、遠慮なく私に言って頂戴・・・そうそう、咲には仕上げの特訓を用意して上げるから、15時にもう一度ここに来て頂戴」

 

「エェェ!?またあたしだけぇ?」

 

「フフフ、特別特訓何て、良かったじゃない、咲!」

 

「トホホなりィ・・・」

 

 少し悄気返る咲を見て、一同が思わずクスリと笑った。ゆりの言葉を受け、一同は特訓を各自の自由に行う自由時間となった・・・

 

 

2、虫嫌いの謎

 

 咲は、近付いて来たフラッピに声を掛けられた。何の用かと問う咲に、フラッピは、大きく深呼吸してから言葉を発し、

 

「咲、ここは自然に囲まれた素晴らしい所ラピ・・・ここで精霊の気を感じてみると良いラピ」

 

「精霊の気かぁ・・・そうだね!舞、満、薫、あたし達は森の方に行ってみない?」

 

「「「良いわよ!」」」

 

「ねえ、響達も一緒に行かない?ハーモニーパワーを磨くとかって言ってたけど、精神修行みたいなもの何でしょう?」

 

 咲に聞かれた響は、右手で頭を掻き苦笑を浮かべながら、

 

「いやぁ、実はこれといったイメージが湧かなくて、みんなで同じような行動すれば良いのかなぁとか・・・」

 

 奏は、響に何らビジョンが浮かんで居ない事を知り、呆れたように響に話し掛け、

 

「もう、響ったら、そんな事で私達を誘ったの?」

 

「良いじゃん!」

 

「はいはい、何するかは森に行ってから考えましょう」

 

 苦笑を浮かべたエレンが、響と奏の背中を押しながら、森に向かって歩き出そうとすると、咲は何かを思い出したかのように、

 

「そうだ!舞、満、薫、それに響達も、先に行ってて、あたしは用を済ませてから行くから」

 

 咲に誘われた一同が、頷きながら返事を返し、咲もコクリと頷き返した。

 

「アコ、さあ行きましょう!」

 

「エッ!?うん・・・」

 

 響達も一緒に行くと知り、薫はアコの腕を掴んで森の方へと歩いて行った。満は不思議そうに首を傾げるも、薫とアコの後に付いて歩き出し、舞と響達もその後を追った。咲は、舞達と響達が先に森に向かったのを見届けると、のぞみを呼び止めた。のぞみはくるみと共に、みゆき、やよい、あゆみ、アン王女を誘い、一緒に修行しようと話し掛けていたが、咲に呼ばれた事で、のぞみが近付いて行った。くるみは、みゆき、やよい、あゆみ、アン王女を伴い、先に別荘へと戻って行った。咲はのぞみの耳に顔を近づけ、

 

「のぞみ、さっきの話だけど・・・」

 

「エッ!?なおちゃんの?」

 

「うん!」

 

「そうだね・・・かれんさん、ちょっと良いですか?」

 

 咲とのぞみはアイコンタクトで頷き合い、のぞみはかれんを呼んで何やら耳打ちすると、かれんはコクリと頷いた。

 

 りんに誘われたなおは、あかねとれいかも誘い、四人で特訓をしようとしていると、かれん、咲、のぞみが四人に近付き、代表してかれんがなおに話し掛け、

 

「なお、ちょっと心眼を鍛えてみない?」

 

「エッ!?心眼?」

 

「そうそう!ちょっと目隠しして倚子に座って」

 

「怖く無い、怖く無ぁぁいから」

 

 なおは、咲とのぞみに両腕を掴まれながら階段を上り、森の入り口に用意された倚子に座らせられ、アイマスクで目隠しをされた。れいかは困惑した表情で、

 

「何やら誘拐犯のようですねぇ・・・」

 

「「エェェ!?そんな事無いよ」」

 

 れいかに誘拐犯のようと言われ、咲とのぞみが困惑する。目隠しされた事で、なおは不安そうに辺りをキョロキョロし、

 

「何!?何しようとしてるの?」

 

 なおは、何が始まるのかと想像すると、少し緊張し、顔から大量の汗が流れてきた。咲がなおの右側に、のぞみが左側に立ち、目隠しされたなおの耳元で、右側から咲が、蜂が出てくる歌を歌い出すと、なおは大いに動揺し、

 

「蜂!?イヤァァァ」

 

 更に今度はのぞみが左側から、なおの耳元でトンボが出てくる歌を歌い出した。なおは震える声で、

 

「ト、トンボまで!?」

 

 そんな三人の姿を見た、りん、あかね、れいかは、不思議そうに首を傾げた。りんは、のぞみに話し掛け、

 

「のぞみ、なおに何してるの?」

 

「エッと、実は・・・」

 

 のぞみは、りん、あかね、れいかを側に呼び、何やら耳打ちすると、三人は微妙な表情を浮かべた。あかねとれいかは首を傾げながら、

 

「そん何で、なおの虫嫌いが治るとは思えんけどぉ?」

 

「ですが、確かになおの虫嫌いは、少し酷くなっている気もしますねぇ?」

 

「大体、なおって何で虫嫌いになったの?」

 

「「さあ?」」

 

 りんは、なおの虫嫌いのルーツをあかねとれいかに聞くと、二人も分からないようで首を傾げた。そんな一同の話が聞こえて居たなおは、大きく膨れっ面をした。なおは、咲とのぞみにアイマスクを取って欲しいと告げると、咲がアイマスクを外した。するとなおは、恨めしそうにれいかを見つめ、

 

「ちょっとれいか!元を正せば、れいかにも責任あるんだからねぇ!!」

 

「エッ!?私がですか?」

 

「そう!幼稚園の頃・・・」

 

 なおはそう言うと、れいかに思いださせようとするかのように、昔話を始めた・・・

 

 幼稚園の頃、なおは今のように虫嫌いではなかった。逆に、虫を捕まえて遊ぶ程の幼女だった。幼いれいかと共に、捕まえたゲジゲジを使って競争をして遊んだりもした。

 

「あたし、もっともっと早い虫さん見付けるんだぁ!」

 

「なおちゃん、れいかも協力するね!」

 

「本当、れいかちゃん?」

 

「ウン!見付けたら、なおちゃんのお家に持って行って上げる!」

 

「ワァァイ!」

 

 そんな他愛もない事でも、幼い頃は楽しかった・・・

 

 だが、ある日の事・・・

 

 その日れいかは、両手でバケツを持ってなおの家にやって来ると、庭先でなおを呼んだ。

 

「なおちゃん、一杯虫さん持って来たよ」

 

「本当!?見せてぇ!」

 

 そう言うと、なおはれいかの持って居るバケツを覗き込もうとした時、

 

「ウン!・・・・・アッ!?」

 

 なおに見せようとしたれいかは、バランスを崩して転び、運悪くバケツがひっくり返り、なおの全身にゲジゲジ、ダンゴ虫などの虫が掛かった。当然なおは泣きじゃくり、バケツを引っ繰り返したれいかも泣きだした。身体を蠢く沢山の虫の感触に、幼いなおはパニックになった・・・

 

「それ以来あたしは、虫が苦手になって・・・」

 

 かれん、咲、のぞみ、りん、あかねは、聞いているだけで身体が痒くなってくるようで、変顔を浮かべた。れいかは首を傾げながら、

 

「そのような事が・・・今まで忘れて居ました」

 

「もう、れいかったら、人事だと思ってさぁ・・・」

 

 膨れっ面を浮かべるなおに、れいかは素直に申し訳無さそうに頭を下げた。そんな一同の前にやって来たブルーは、なおの虫嫌いの話を聞き、

 

「誰にでも、苦手な物はあるよ・・・でも、もっと良く虫達を観察してごらん」

 

「エェェ!?虫を?」

 

 困惑した表情をするなおに、ブルーは微笑みながら右腕を前に出すと、右腕の周りを、色取り取りの蝶が舞い踊った。そんな蝶達を良く見てみれば、確かに恐怖心など湧いてくる事は無かった。

 

「マーチ、足下を見てご覧」

 

「足下!?アッ?」

 

 ブルーに促されたなおは、言われるまま足下を見た。そこには蟻が列を作りながら、巣穴から出て行く者、戻る者が忙しなく動き回っていた。更に心地良い風と共に、耳を欹てれば、蝉の鳴き声が聞こえて来る。

 

「虫も、君達と同じように・・・この世界で生き、命を全うしているんだよ」

 

「・・・・・」

 

 ブルーは、優しい口調でなおに語り掛けるように、虫についてなおに伝えた。なおは言葉に詰まり、無言のまま自然と共存する虫達を見て居ると、視界に入るだけで不快感が芽生えた気持ちに、変化が起こっているかのように、自分でも感じられた。

 

『流石は神様!』

 

 咲、のぞみ、りん、かれんは、なおの虫嫌いを、言葉だけで少し緩和させたブルーを、尊敬の眼差しで見つめた。だがそれも束の間、なおは何かの視線を感じ、右肩を恐る恐る見てみると、一匹のカマキリがなおの右肩に止まって居た。

 

「ヒィィィィ!虫ぃぃぃ!!誰か取ってぇぇぇぇぇ!!!」

 

 慌てて立ち上がったなおは、悲鳴を上げながら何処かに立ち去った。れいかは右手で右頬を触り、少し首を傾げると、

 

「なおはどうやら、視線に入るだけなら耐えられるようになったようですが、触れられるのは、まだ駄目なようですねぇ?」

 

 れいかの言葉を聞いた、咲、のぞみ、りん、かれん、あかね、ブルーは、走り去って行くなおの後ろ姿を、呆然と見つめて居た・・・

 

 

3、ローリングフォルテッシモ

 

 ビーチの角に集合した、つぼみ、えりか、いつき、うららの四人、四人はプリキュアの姿に変身すると、レモネードが思い付いたという技を試そうと、準備運動をしていた。

 

「ヨッと!で、あたしらはフォルテッシモをすれば良いの?」

 

 マリンが準備運動をしながら、レモネードに話し掛けると、レモネードは手首の運動をしながらコクリと頷き、

 

「はい!サンシャインとの合体技の、シャイニングフォルテッシモをしてみて下さい」

 

「シャイニングフォルテッシモですか?それは構いませんけど、どんな技を試そうとしてるんですか?」

 

「ちょっと想像付かないわね?」

 

 ブロッサムとサンシャインにも、レモネードが試そうとしている技のイメージが思い描けず、思わず首を傾げた。レモネードは、口元に笑みを浮かべながら、

 

「フッフッフ、それはまだ内緒です」

 

(((何か不安・・・)))

 

 ブロッサム、マリン、サンシャインは、そんなレモネードを見て一抹の不安を感じた。気を取り直した三人は頷き合うと、

 

「「集まれ、二つの花の力よ!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

 

 ブロッサムとマリンが、ピンクと青の光に包まれ上昇し、それを合図にしたようにサンシャインが、シャイニータンバリンを構えると、

 

「花よ!舞い踊れ!!プリキュア!ゴールドフォルテバースト!!」

 

 サンシャインがゴールドフォルテバーストの力で、太陽のような光のゲートを空中に作り出すと、それ目掛けて突入する、フォルテッシモ状態のブロッサムとマリンの身体が、徐々に金色に輝いた。

 

「プリキュア!シャイニング」

 

「「フォルテッシモ!!」」

 

 三人の合体技、シャイニングフォルテッシモが披露されると、レモネードは目をキラキラ輝かせ、

 

「今だ!プリキュア!プリズムチェ~~ン!!」

 

「「・・・・・エッ!?」」

 

 レモネードが、光の鎖であるプリズムチェーンを上空向けて飛ばすと、プリズムチェーンは、ブロッサムとマリンの両足に絡みつき、二人の目が点になる。レモネードの鎖を持つ手が、更に力を込めると、

 

「二人共、行きますよぉぉ・・・プリキュア!ローリング」

 

「「フォルテッシモォォォ!?」」

 

 レモネードが、まるでハンマー投げをするかのように、グルグルその場で回転すると、上空に居る黄金のフォルテッシモ状態のブロッサムとマリンが、勢い良く円を描き回り続けた。

 

「凄い!これが、レモネードが言ってた・・・アレ!?」

 

 サンシャインは、驚愕しながら上空のローリングフォルテッシモを見て居たが、次第に回転の勢いが弱まり、レモネードが目をグルグル回しながら、その場に尻餅を付き、上空からも、目をグルグル回したブロッサムとマリンが落下した。サンシャインは目を点にすると、

 

「う~ん・・・もう少し改良が必要じゃ無いかなぁ?」

 

「「「そ、そうみたい・・・」」」

 

 サンシャインの言葉に、三人も目をグルグル回しながら同意し、ローリングフォルテッシモは保留となった・・・

 

 

4、見切り

 

 ラブは、美希、祈里、せつな、そして真琴と共に、今一度ゆりに空手の指導を受けていた。なぎさとほのか、ひかりとこまちは、先程習った組手のおさらいをしながら、ラブ達の様子を見て居た。ラブが特に重点に置いて居たのは、見切りだった。ゆりは、五人に対して見切りの説明を始め、

 

「良い事、見切りと言うのは、ただ攻撃を避ければ良いというものでは無いわ。相手の動きや構えなどから、その技や出方などを判断し、紙一重で相手の攻撃を躱せる間合いを取る事よ」

 

『ハイ!!』

 

「じゃあ、先ずラブから・・・私が今からラブの顔に正拳突きを放つけど、へたに動かないで!返って攻撃が当ってしまうから」

 

「ハイ!お願いします!!」

 

 ラブはゆりと向き合うと、一礼して空手の構えを取った。ゆりは腰を落とし、正拳突きを放つと、空気を切り裂くかのように音がなり、ラブは思わず目を瞑った。

 

「ラブ、目を瞑ったら駄目よ。それでは見切りは身に付かないわ」

 

「ハイ!すいません!!」

 

 見て居た美希も緊張した面持ちで、祈里とせつな、真琴に話し掛け、

 

「でも、目を瞑るなって言われても、ゆりさんのあの空気を切り裂くかのような、正拳突きを目の前で見れば、目も瞑るわよねぇ?」

 

「う、うん・・・」

 

 祈里も不安そうに美希の言葉に同意するも、せつなは微妙な表情を浮かべ、

 

「でも、ゆりさんの言う通り、それじゃ見切り何て覚えるのは、夢のまた夢じゃない?」

 

「そうですね、相手の攻撃を恐れない勇気・・・是非とも覚えたいものです」

 

 せつなの言葉に真琴も同意した。それはラブにも分かって居たが、本能的な恐怖心が沸き上がり、思わず何度も目を瞑ってしまった。その様子を見ていたなぎさは、ゆっくりラブに近付くと、

 

「ラブ、ゆりの拳ばかりに気を取られてるから、思わず怖がっちゃうんじゃないかなぁ?ゆり、ちょっと私に試して見て」

 

 なぎさは、ゆりに自分にも正拳突きをしてみてと告げると、ゆりはコクリと頷き、なぎさの前に移動して正拳突きを繰り出した。なぎさは、まるで見切ったかのように、ゆりの正拳突きを躱しながら、右手で受け止めた。ゆりは思わず口元に笑みを浮かべ、

 

「なぎさ、やるわね?」

 

『凄い!?』

 

 なぎさの行動を見て驚く一同に、なぎさは照れながら説明を始め、

 

「いやぁ、今私がしたのは・・・実は、ラクロスの応用をしたんだよねぇ」

 

『ラクロスの応用?』

 

 ラクロスに付いて、それ程知識が無いラブ達が聞き返すと、なぎさはコクリと頷き、

 

「そう、今ので例えるなら、ゆりの腕がクロス(棒の先に網が付いたスティクの事)で、拳がボールってわけ」

 

「成る程、それで・・・そうか!」

 

 なぎさの言葉を聞いたせつなは、何かを閃いたのか、ラブ、美希、祈里を呼び、

 

「そうよ!私達は、正拳突きって言葉が頭に残り、どこかで恐怖心を持っていたけど、これをダンスに応用すればどうかしら?」

 

「「「ダンスに!?」」」

 

「ええ、用は振り付けだと思えば良いのよ」

 

 せつなの提案・・・

 

 それは、ゆりの正拳突きを、ダンスの振り付けの一部だと例える事だった。ゆりが繰り出す正拳突きのモーションを、頭の中でリズムを取って覚える事と提案した。

 

「うん、やってみよう!せつな、そこで正拳突きしてみて」

 

「ええ」

 

 せつなは頷き、先程ゆりに習った正拳突きをその場で何度も行った。その様子を見つめて居たラブ、美希、祈里は、リズムを取っているかのように、頭を何度も上下に動かした。

 

「何となくイメージ出来た気がする・・・ゆりさん、もう一度良いですか?」

 

「ええ、何度でも付き合うわよ」

 

 ゆりは口元に笑みを浮かべ、コクリと頷いた。再び互いに向き合い礼をすると、ゆりが腰を下ろし、正拳突きを放つ、その一連の行動を、頭の中でリズムを取っていたラブは、身体を入れ替え、見事に正拳突きを躱した。

 

「出来た!」

 

「ラブ、そのイメージを忘れないで」

 

 ゆりは満足気に頷き、ラブを称えた。ゆりは、美希、祈里、せつな、真琴にも順番に正拳突きを放つも、皆驚くほどの上達を見せて、次第に四人も見切りをマスターしていった。ゆりは満足そうに何度も頷きながら、

 

「どうやら、見切りについては、もうあなた達に教える必要は無さそうね。後は、それぞれで練習してみて」

 

『ハイ!』

 

 ゆりに合格を貰い、ラブ、美希、祈里、せつな、真琴の表情からは、自信が滲み出ていた・・・

 

 

5、攻防一体

 

 なぎさがラブ達にヒントを与えていた時、ほのかはその側で、ひかりとこまちから頼まれ、敵に掴まれた時の対処法を教えて居た・・・

 

「素人の私が教えるのはおこがましいけど、私が今まで戦って来て思ったのは、敵の力を利用する事も、とっても大事な事だと思うの」

 

「「敵の力を利用!?」」

 

「ええ、私達はプリキュアになると、通常の数倍、数十倍の力を得る事が出来るけど、それでも戦って居る相手の方が、力が上回る場合が多々あるわ。そういう時にこそ、相手の力を利用する事が、活きてくると思うの」

 

 ほのかの言葉に納得しているのか、ひかりとこまちは何度も頷いた。

 

「詳しい事はいつきさんや、お母様が合気道を為さっている、れいかさんに聞いた方が良いわね」

 

「そうですね・・・でも、ホワイトになったほのかさんって、投げ技をしたり、関節を決めたりしてますよね?」

 

 こまちに聞かれたほのかは首を傾げながら、

 

「う~ん・・・昔、なぎさに薦められて、一緒にプロレスのテレビを見た事があったから・・・」

 

「プロレスですか?」

 

 今度はひかりがほのかに聞き返し、ほのかはコクリと頷き、

 

「ウン!なぎさはプロレスが好きだから、技を掛ける時、スローモーションで見せて解説してくれたんだけど・・・何となく覚えちゃった」

 

「「ハァ」」

 

 ほのかはその時を思い出したのか、楽しそうに二人に語り、ひかりとこまちが困惑する。ひかりは、ブラックとホワイトの戦い方を思い出したかのように、

 

「そう言えばお二人とも、プロレスに出てくるような技を掛けてましたね」

 

「でしょう?以外と、そういうのもプリキュアで役立つと思うよ」

 

「「成る程・・・」」

 

 ひかりとこまちはコクリと頷いた。とはいえ、普段プロレスなど見る事もないひかりとこまちは、ラブ達へのアドバイスを終えて、戻って来たなぎさに相談すると、なぎさは腕組みしながら何度も頷き、

 

「成る程ねぇ・・・じゃあコブラツイストでも覚えてみる?」

 

「「コブラツイスト!?」」

 

「そうそう、私の得意技で・・・アッ!?でも亮太が居れば実験台に出来るけど、他のみんなを実験台にするのは気が引けるかなぁ・・・」

 

 なぎさが目で辺りを伺うと、ちょうど森から戻って来たブルーの姿が目に入った。なぎさは変顔浮かべながら、

 

(神様にコブラツイスト何かしたら、ほのかやゆりに怒られるだろうし、何か天罰受けそうだし・・・)

 

 考え込むなぎさに、困惑したひかりとこまちが話し掛け、

 

「あ、あのぅ、出来れば、相手の力を利用した投げ技とか、関節技を・・・」

 

「エッ!?相手の力を利用した投げ技かぁ・・・説明するより見た方が早いよね」

 

 そう言うと、なぎさの視線の先に、人間姿のシロップが映った。なぎさはシロップを手招きして呼ぶと、シロップは気怠そうに、ゆっくりなぎさの下に歩いて近付いて来た。なぎさは更に手招きして、

 

「シロップ、ちょっと急いでこっちに来てくれない?」

 

「ハァ・・・おいなぎさ、何か用・・・・・ワァァァァ!?」

 

 シロップは渋々ながら、言われるままなぎさの下へ走って近付くと、突然なぎさがしゃがみ込み、急に立ち止まれないシロップの身体を、背中ですくい上げ、シロップはそのまま背中から砂浜に落ちて妖精姿に戻って目を回した。

 

「今のがショルダースルーだよ!走ってきた相手の勢いを利用して、背中でそのまま後ろに投げ飛ばす技」

 

「ハァ・・・」

 

「大丈夫ですか?」

 

 こまちが困惑し、ひかりは目を回すシロップを心配して声を掛けた。シロップはまだ目を回しながら、

 

「なぎさ・・・酷いロプ」

 

「ゴメンゴメン、これもひかりとこまちの為だから、少し練習台になってよ?」

 

「じょ、冗談じゃ無いロプゥゥゥ!」

 

 シロップは、大慌てでその場を離れて逃げ出した。その様子を見ていたひかりとこまちは、このままなぎさから教えを受けると、他の人に被害が行きそうに感じ、

 

「なぎささん、ほのかさん、私達試したい事があるので、二人で練習してきます」

 

「アドバイスありがとうございました!」

 

 ひかりとこまちが、なぎさとほのかに頭を下げると、ほのかはニッコリ微笑みながら、

 

「もし手伝える事があったら、遠慮なく言ってね」

 

「じゃあ、頑張って」

 

 なぎさは、右手を握りながら合図を送り、二人を励ました。ひかりとこまちはコクリと頷くと、

 

「「ハイ!」」

 

 二人はもう一度なぎさとほのかにお辞儀をし、階段を上った。階段を上り終えると、騒動を終えたかれんが、キュアアクアに変身してプールサイドで精神を統一していた。こまちがアクアに話し掛け、

 

「アクア、あなたはここで特訓してたのね?」

 

「ええ、ちょっと思い付いた事があって試してみたくて・・・こまちとひかりは?」

 

「私達は、ゆりさんに組手をもう一度予習させて貰ってたの」

 

「なぎささんとほのかさんにも、投げ技や関節技のアドバイス頂いたんですけど、何だかしっくりこなくって・・・」

 

「そう考えた時、私のエメラルドソーサーや、ルミナスの防御技を、もっと極めてみようと思い立ったの」

 

 こまちとひかりの話を聞いたアクアは、少し考える表情を浮かべると、

 

「そう・・・ねえ、折角だから三人で練習してみない?試したい技があるって言ったでしょう?まだ成功するか分からないし、あなた達がフォローしてくれるなら、私も実際にやってみれるし」

 

「構わないわよ」

 

「分かりました!じゃあ、ポルンとルルンを呼んできます」

 

 アクアの誘いを受けたひかりとこまち、ひかりはポルンとルルンを呼びに行き、二人はルミナスとミントに変身し、アクアとは反対側のプールサイドに立った。アクアはミントに話し掛け、

 

「ミント、エメラルドソーサーを上空に放って見て」

 

「分かったわ」

 

 ミントはアクアに言われた通り、エメラルドソーサーを上空に向けて発した。それを見たアクアは、右腕を高々掲げると、アクアの背後で噴水のように水が噴き出し、アクアの身体をその勢いのまま持ち上げると、

 

「プリキュア!アクアキ~ック!!」

 

 アクアが右腕を下げると、水はウォータースライダーのように流れ出し、アクアはその流れに身を任せて、勢い良く滑り降り、エメラルドソーサーを水流に乗ったキックで破壊した。

 

「こんな感じね」

 

 アクアは、大体思い描いた通りに技が決まり、ホッと安堵した。そんなアクアを見て居たミントは、

 

「ねぇアクア、私もちょっと思い付いた技があるんだけど、コントロール不能になったら、破壊してくれないかしら?」

 

「エッ!?コントロール不能って・・・危険な技なの?」

 

「エェと、エメラルドソーサーを連射して、自在に動かせるように出来ないかと思って」

 

「そういう事・・・分かったわ」

 

「ルミナスにもフォローを頼めるかしら?」

 

「分かりました」

 

 ミントに頼まれたルミナスも同意し、ミントはホッとした表情を浮かべると、直ぐに真顔になり、

 

「プリキュア!エメラルドソーサー!!」

 

 ミントは、緑の光を円盤に変え、上空目掛け四発のエメラルドソーサーを発射した。ミントは、四つのソーサーに意識を集中し、右手で右側のソーサーを、左手で左側のソーサーに指示を出すかのように誘導した。右斜め上下、左斜め上下に移動したエメラルドソーサーを見て居たアクアに、

 

「アクア、何所でも良いから、エメラルドソーサーにサファイアアローを撃ってみて」

 

「分かったわ・・・プリキュア!サファイアアロー!!」

 

 アクアが、右下のエメラルドソーサーにサファイアアローを放つと、水の矢が勢い良く向かって行った。ミントは、右手をゆっくり右回りに回しながら、

 

「今だわ!プリキュア!エメラルドソーサー・・・リフレクション!!」

 

 ミントの指示で、エメラルドソーサーの角度が変わり、サファイアアローを四カ所のエメラルドソーサーに反射させ、サファイアアローをアクアの脇に跳ね返した。

 

「す、凄いじゃない、ミント!」

 

「本当に・・・四カ所に反射させる事で、動きが分かりにくいですもんね」

 

「以前、ムーンライトのムーンライトリフレクションを見て、私にも出来ないかってずっと考えてたんだけど、上手く行って良かったわ」

 

 ミントは、アクアとルミナスに褒められた事で、ニッコリ微笑み、ホッとした表情を浮かべた。ルミナスは、恥ずかしそうにアクアとミントを見つめ、

 

「実は、私も考えて居た技があるんですけど、試して見ても良いですか?」

 

「そうなの?遠慮しないで良いわよ」

 

「私達が手伝えるなら手伝うわ」

 

「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて試して見ますね」

 

 ルミナスは、アクアとミントにその場でお辞儀すると、ハーティエルバトンを取り出した。ルミナスは、ハーティエルバトンをクルクル回すと、

 

「ルミナス!ハーティエルシャワー!!」

 

 ルミナスが上空高くハーティエルバトンを飛ばすと、クルクル回転しながら島中を一周し、光のシャワーが島全体に降り注いだ。理由を知らない他の一同は、何が起こったのか分からず困惑していた。アクアとミントも呆然とし、何が起こったのか理解出来なかった。

 

「ルミナス、今の光は一体!?」

 

「何が起こったの?」

 

 ルミナスは、アクアとミントに話し掛けられ、苦笑しながら説明を始めた。

 

「今のは、ハーティエルアンクションの応用で、邪な考えを持つ者が、この光のシャワーに触れると、動く事が出来なくなる・・・という技何ですけど、此処には邪な考えを持つ方何て居ませんでしたね」

 

 ルミナスは、恥ずかしそうに照れ笑いを見せると、アクアとミントも思わず微笑んだ。

 

 その同じ頃・・・

 

「か、身体が急に動かなくなったでランスゥゥゥ!?」

 

「ぼ、僕もケル!?」

 

 ビーチに居たラケルとランスが、突然動けなくなって居たとは、ルミナスに知る由も無かった・・・

 

 

6、名前は大事だよ

 

 のぞみは騒動後、くるみにアン王女、みゆき、やよい、あゆみ達が待つ別荘に向かい、玄関先で待って居た一同に、別荘の室内でミーティングをしようと提案するも、くるみは呆れたような表情を浮かべ、

 

「ミーティング?そんな事してる暇があったら、さっきゆりに教わった事の応用でもしてた方がマシよ」

 

「そうですわねぇ・・・私もお付き合い致しますわ」

 

「本当!?じゃあアン王女、私と組手でもしない?」

 

「良いですわね」

 

 二人は別荘の前に移動し、先程ゆりに教わった組手の予習を始めた。のぞみは頬を膨らまし、

 

「もう、折角ミーティングしようと思ったのにぃ・・・」

 

「のぞみさん、ミーティングって、どんな事をします?」

 

「ウ~ン・・・そうだなぁ」

 

 みゆきに聞かれたのぞみは、腕組みしながら考え込み、あゆみは思わず目を点にしながら、

 

(ま、まだ、何も考えて無かったの?)

 

「のぞみさん、のぞみさん、私に良い考えがありま~す」

 

 あゆみが呆気に取られて居ると、やよいが手を上げて、必死にのぞみにアピールした。のぞみとみゆきは身を乗り出し、

 

「「なになに?」」

 

「エェと、私達で、コラボ技の名前でも決めません?」

 

「「コラボ技!?」」

 

「エへへへ、チームの垣根を越えた、私達だけの必殺技!」

 

「「オォォォ!?良いねぇぇ」」

 

 やよいの提案に、身を乗り出すのぞみとみゆき、だが、あゆみは微妙な表情を浮かべ、

 

「あのぅ・・・技の名前は、後で決めれば良いんじゃないかなぁ?それより、どんな技にするか・・・」

 

「あゆみちゃん!」

 

「は、はい!?」

 

 突然真顔のやよいに名前を呼ばれ、あゆみが緊張した面持ちで返事を返すと、

 

「あのね、技の名前って言うのは、とっても、とっても大事何だよ!ヒーロー物の王道何だよ!!」

 

「ハァ・・・」

 

 熱く語り出したやよいに、あゆみは呆気に取られながら生返事を返すも、のぞみとみゆきも、やよいの言葉に何度も頷き、

 

「だねぇ、名前は確かに大事だよねぇ」

 

「気合いの込め方が違ってきますもんね」

 

 のぞみとみゆきも、やよいの話に益々興味を持ったようで、やよいの目が輝いた。

 

「でしょう?でしょう?」

 

(そうなのかなぁ?)

 

 そんなテンションが上がる一同とは逆に、あゆみのテンションは下がっていった。やよいは上機嫌で話し続け、

 

「実は私、新しい必殺技も考えちゃったんですよ」

 

「「本当!?凄ぉぉい!」」

 

「スペシャルピースサンダーって言って、通常は片腕でピースするんですけど、何と、両手でダブルピースして放つんです!」

 

「「見てみたい!」」

 

(それって・・・結局ピースサンダーと変わらないよね?)

 

 目を点にしたあゆみは、心の中でやよいにツッコミを入れた。のぞみとみゆきも、二人の合体技を語り出し、

 

「私とハッピーだったら、どんな技かなぁ?」

 

「シューティングシャワーとかハッピードリームとか?」

 

「みゆきちゃん・・・最後のはただプリキュアの名前付けただけだし」

 

 あゆみが苦笑しながらみゆきにツッコミを入れると、みゆきは右手で髪をポリポリ掻きながら、

 

「エへへへ、中々難しいよねぇ」

 

「ねぇねぇ、あゆみちゃんだったらどんな技名付ける?」

 

「聞かせて、聞かせて」

 

「私ですか!?そうだなぁ・・・」

 

 あゆみは、のぞみとやよいに話を振られると、三人に感化されたのか、あゆみも満更でも無さそうな表情で、技名を考え出した。そこに組手を終えて中に入って来た、くるみとアン王女は、

 

「アン王女・・・あの子達、何してるのかしら?」

 

「さあ?理解に苦しみますわねぇ」

 

 盛り上がる四人を余所に、くるみとアン王女は、そんな四人を見て困惑していた・・・

 

 

7、キャノンショット

 

 りん、あかね、れいかは、先程の騒動で疲れ切った表情を浮かべるなおと共に、それぞれプリキュアに変身して、合体技の練習をしていた・・・

 

「では、今一度・・・プリキュア!ビューティブリザードフリージング!!」

 

 ビューティは、ルージュ、サニー、マーチの前方に、氷で巨大な障害物を作り出した。

 

「サニー、マーチ、もう一回試すよ」

 

「「ハイ!」」

 

 ルージュの合図に、返事を返したサニーとマーチは、

 

「プリキュア!ファイヤーストライク!!」

 

「プリキュア!サニ~ファイヤー!!」

 

「プリキュア!マーチシュート!!」

 

 ルージュ、サニー、マーチがそれぞれ必殺技を放つも、何処か連携に欠けていた。サニーは地上に着地すると、

 

「アカン、また失敗や!」

 

「どうもしっくり来ないですねぇ」

 

「そう何だよねぇ・・・」

 

 マーチの言葉にルージュも同意し、三人は合体技を編み出す事に苦戦して居た。ビューティは、苦戦する三人を見て、素早く頭の中で三人の必殺技をイメージした。

 

(地上から技を放つマーチとルージュ、上空から技を放つサニーとでは、時間的誤差が生まれているのでは?)

 

 ビューティは、頭の中で三人の連携をイメージすると、

 

「マーチ、サニー、ルージュ、こういうのはどうでしょうか?」

 

「「「エッ!?」」」

 

 ビューティに提案された三人が、ビューティの話を聞いていると、三人は何度も頷き、徐々に目が輝きだした。

 

「うん、中々良いアイデアだと思う」

 

「せやね、試して見る価値はありそうや」

 

「じゃあ、ビューティの案で・・・」

 

「「「せぇの!!」」」

 

 三人は、掛け声を合せると、先ずサニーがサニーファイヤーのモーションに移り、少し間を置いてルージュがファイヤーストライクの体勢に入った。

 

「プリキュア!サニー・・・」

 

「プリキュア!ファイヤー・・・」

 

「ファイヤー!!」

 

「ストライク!!」

 

 サニーとルージュが同時に叫び、上空からサニーがサニーファイヤーを、地上からルージュがファイヤーストライクを、両者の前方の中間地点目掛け放った。両者の技が合わさり、巨大な炎のボールと化した。それを見たマーチは、

 

「今度はあたしの番・・・プリキュア!マーチシュート!!」

 

 マーチのマーチシュートが炎のボール目掛け放たれると、炎のボールが加速し、ビューティの作り上げた、氷の壁目掛け飛んで行った。その威力は凄まじく、巨大な氷の壁を破壊したその威力は、大砲のようだった。ビューティにとっても、想像以上の威力だったようで、

 

「これ程までとは・・・名付けるなら、そうキャノン!キャノンショットって所でしょうか?」

 

「「「キャノンショット・・・」」」

 

 ルージュ、サニー、マーチの三人は、顔を見合わせるとニッコリ微笑み合った・・・

 

 

8、繋がる心と精霊の声

 

 咲達と響達は、早朝なぎさがやって来た森が開けた場所で、円になって瞑想して居た。心地良い風が一同を優しく包み込んだ。だが、咲達にも、響達にも、具体的なビジョンが浮かばず、ただ時だけが過ぎている気がして焦りだしていた・・・

 

「フラッピ、精霊の声って、あたし達にも本当に聞こえるの?」

 

「今の咲達になら、きっと聞こえるラピ」

 

「根を上げず頑張るチョピ」

 

「そうは言ってもさぁ・・・」

 

 少しイライラしてきた咲は、フラッピに確認するも、フラッピとチョッピも、今の咲達四人なら、精霊の声は聞こえると断言した。咲は疲れたのか、その場に大の字になって休憩に入ると、響も同じように大の字になり、

 

「私達もそう、ハーモニーパワーを磨くって言っても、具体的に何をすれば良いのか・・・」

 

 そんな響を見て居た奏の脳裏に、ある出来事が過ぎっていた。まだエレンがマイナーランドの歌姫だった頃、セイレーンの作戦で離れ離れにされて、お互いを感じる事が出来ず、変身出来なかった事、ヒーリングチェストを求め、魔響の森に行った時も、同じようにお互いを感じる事が出来ず、変身出来なかった事を思い出していた。

 

「ねえ響、ひょっとしたら、私達は今四人が側に居る事で、心の何処かで安心感があると思うの、あの時の事覚えてる?」

 

 奏はそう言うと、響、エレン、アコに、さっき脳裏に浮かんだ出来事を語って聞かせた。見る見る三人の目は輝き、

 

「奏、それだよ!私達が今やってた事の逆をすれば良いんだよ」

 

「試して見る価値はあるわね」

 

「そうと決れば・・・薫?」

 

「アコを浚えば良いのね?手伝うわ」

 

「何でそうなるのよぉぉぉぉ」

 

 アコをお姫様抱っこした薫が、森の奥へと駈け出し、アコの叫び声がどんどん遠ざかって行った。呆然としていた響、奏、エレン、咲と舞だったが、満は興味無さそうに再び目を瞑って精神を集中させた。ハッと我に返った響は、縋るような視線で満に話し掛け、

 

「満さ~ん」

 

「薫は、あなた達に協力しようとしているようね・・・これを利用して、ハーモニーパワーを磨いて見たら?」

 

「アコを感じろって事ね?響、奏、やってみよう」

 

「「分かった」」

 

 満の言葉を聞いたエレンは、響と奏に進言し、二人も同意した。三人は目を閉じ、アコの事を心の底から思った。

 

「ハミィ、あそこに居るの、ハミィの仲間の・・・」

 

「ニャプ!?本当ニャ、アコと薫ニャ」

 

 森の中で遊んで居たキャミーとハミィは、不思議そうに薫とアコの姿を、木々の隙間から眺めて居た。

 

 一方、薫に連れ出されたアコも、目を閉じて響、奏、エレンを思い浮かべた時、四人のハーモニーパワーが合わさったかのように、森の奥から光が輝きだした。響、奏、エレンは、目を見開くと、

 

「「「あっちだわ」」」

 

 三人は、まるでタイミングを計ったかのように駈け出した。それを見た咲は、

 

「凄いね、何だかんだ言っても、あの四人のハーモニーパワーって、もう出来上がってるんじゃない?」

 

「私達も負けてられないわね」

 

 咲と舞は、互いにアイコントクトして頷くと、満同様再び瞑想を始めた。森の中を懸命に走り、アコの下へと辿り着いた響、奏、エレン、三人を見て笑みを浮かべたアコは、

 

「直ぐ見付けてくれると思ってた」

 

「エへへへ、まあね」

 

 響が照れ隠しの笑みを浮かべると、エレンが右肘で響を突っつき、奏はそれを見て笑った。薫も口元に笑みを浮かべ、

 

「こうもあっさり見付けるとわねぇ・・・さて、私も精霊の声を聞く修行に戻ろうかしら」

 

「薫、ありがとう」

 

 アコに言われ、薫は口元に笑みを浮かべるも、右手を挙げて響達に挨拶し、咲達の下へと戻って行った。

 

「最近は、私達が離れ離れになる事も無かったから、あの時の気持ちを忘れてた」

 

「ええ、時には昔の出来事を思い出す・・・良い勉強になったわ」

 

「音吉さんの本だけでなく、こういう事でも成長出来るのねぇ」

 

 響、奏、エレンが、しみじみとそう語ると、アコもコクリと頷き、

 

「ウン!今度は、プリキュアの姿でも特訓しない?」

 

「「「良いよ!」」」

 

 アコの言葉に三人も同意し、四人はプリキュアへと変身し、それを見届けたハミィとキャミーは、笑みを浮かべながら、再び森の中へと遊びに出かけた・・・

 

 

 薫も戻って来た事で、咲は、舞、満、薫に進言し、

 

「響達見て思ったって訳じゃ無いけど、あたし達も、大の字で寝転んで手を繋いでみない?」

 

「手を!?別に構わないけど・・・」

 

「さっき大の字になった時、何かの力を感じた気がしたんだぁ」

 

 咲はそう言うと、真っ先に大の字になって地面に横たわり、舞、満、薫がそれに続いた。咲、舞、満、薫、大の字に地面に横たわった四人の頭上には、太陽が爛々と輝き、日の光を一杯に浴びながら、四人は円を描きながら手を握り合った。目を瞑り、自然と一体化したかのような四人を見て、フラッピとチョッピは目を細めた。心地良い風に混じり、何かの声が聞こえたような気が四人にはした。

 

(ひょっとして・・・今のが!?)

 

 咲達四人は、自然に口元に笑みが浮かびながら、精霊の声に耳を傾けて居た・・・

 

 後にこの時の特訓が、魔界に乗り込んでの戦いで、効果を発揮する事になろうとは、咲達も、響達も知る由も無かった・・・

 

 

9、絶好調なりィ

 

 それぞれが特訓に精を出して居た頃、別荘で楽しそうに合体技を決めて居た、のぞみ、みゆき、やよい、あゆみだったが、チラリと時計を見たあゆみは大いに驚き、

 

「みんな、大変!もう15時過ぎてるわ!!」

 

「「「エェェ!?」」」

 

 あゆみの声で我に返った三人、のぞみは直ぐさま自室に戻り、ロケット花火を持ってくると、プールサイドに飛び出した。くるみとアン王女は、プールサイドで再び組手をし、かれん、こまち、ひかり、そしてなぎさから逃亡したシロップは、特訓を終えてその様子を眺めて居た。一同は、慌てて外に出て来たのぞみ達に驚き、かれんは、首を傾げながらのぞみに話し掛けた。

 

「のぞみ、慌ててどうしたの?」

 

「どうか致しまして?」

 

「かれんさん、アン王女、大変!もう15時回っちゃってるよ」

 

 慌てるのぞみの言葉に、首を傾げたくるみだったが、

 

「15時!?・・・アッ!?」

 

「そう言えば、咲さんの・・・」

 

 くるみもひかりも、思い出したかのようにハッとし、のぞみはコクリと頷いて、

 

「ウン!みんなに知らせようかと」

 

「そういう事なら・・・シロップの背に乗るロプ」

 

 シロップは巨大化すると、のぞみを背に乗せて大空に舞った。島の上空にロケット花火が数発打ち上げられ、何事かと空を見上げた一同に、のぞみは大声で話し掛け、

 

「みんなぁぁ!もう15時過ぎたよ!!」

 

 シロップに乗って上空からのぞみの声が島中に発せられると、咲を除いた一同は大いに慌ただしくなり、

 

「舞、満、薫、急にどうしたの?何かのぞみが15時過ぎたって言ってたけど・・・」

 

「エッ!?べ、別に・・・ねぇ、満さん、薫さん?」

 

「ほら、私達今日の料理当番だから・・・舞、薫、行くわよ」

 

「ええ、行きましょう」

 

 咲に聞かれた三人、動揺する舞をフォローするかのように、何時もの冷静さで上手く誤魔化した満と薫だったが、

 

「じゃあ、あたしも手伝うよ!」

 

「咲、それよりゆりさんとの特訓があるんでしょう?」

 

「アッ!?忘れてたぁぁぁ!」

 

 咲はそう言うと、コミューン姿になったフラッピを手に持ち、慌てながらビーチに向かって駈け出して行った・・・

 

 

 咲とゆりを除いた一同は、別荘に戻って咲の誕生会の準備を始めた。せつな、なぎさ、薫、かれん、うらら、いつき、響、エレン、なお、真琴は買い出しに、ほのか、ひかり、満、こまち、くるみ、ラブ、美希、えりか、奏、れいか、やよいは、料理やケーキ作りを、舞、のぞみ、りん、祈里、つぼみ、アコ、みゆき、あかね、あゆみ、アン王女、それに妖精達は飾り付けを、一同から聞いたブルーも飾り付けを手伝い、皆が咲の為に準備を始めた。そこに、大量の物を持って魔王とピーちゃんが帰って来た。なぎさは二人に話し掛け、

 

「魔王、ピーちゃん、今まで何所に・・・アッ!?」

 

 一同は、魔王とピーちゃんが持って来た、水に濡れた大量の布きれを見て思わず目を点にした。何故ならそれは、昨日魔界のタッコによって奪われた、一同の水着だったのだから・・・

 

「咲の誕生会で必要だと思って、ピー助と一緒に海を探し回って、ようやく全部回収したカゲ」

 

「ギャ~ス!」

 

「ピー助も疲れたって言ってるカゲ」

 

 全身びしょ濡れになった魔王とピーちゃんを見て、一同は必死に探し回ってくれた事を実感し、少し感動したものの、なぎさは微妙な表情を浮かべ、

 

「二人共、捜して来てくれたんだね、ありがとう!でも、咲の誕生会で水着は着ないんだけど・・・」

 

「そ、そんな!?」

 

「ピィ!?」

 

 どっと疲れが出たのか、魔王とピーちゃんがその場に倒れ込み、みゆきとアコが慌てて二人を抱き上げた。ラケルは感動の涙を流し、

 

「折角二人が苦労して水着を捜して来てくれたのに、水着を着ない何てあんまりケル!」

 

「いや、私達にそう言われても・・・ねぇ?」

 

 涙目になりながら抗議するラケルに、なぎさは困惑しながら一同に聞くと、一同も微妙な表情で頷いた。尚もラケルは食い下がり、

 

「プールサイドでやるなら、水着でやってもおかしくないケル!」

 

「お前は・・・俺達の苦労を分かってくれるカゲかぁ?」

 

「ハイ!僕は感動したケル!!」

 

「お前・・・名前は何て言うカゲ?」

 

「ラケルです!僕は、魔王さんを尊敬してるケル」

 

「お前、見所あるカゲ」

 

「アン王女・・・あの子、止めなくて良いの?」

 

「ハァ・・・後でキッチリ言っておきますわ」

 

 妙な事で意気投合しだした魔王とラケルに、一同は困惑し、えりかに聞かれたアン王女は、溜息混じりに後でラケルを窘めると語った。ほのかは、困惑顔で魔王とラケルに話し掛け、

 

「それはそうだけど、一応咲さんの誕生会だから・・・水着も濡れてるし」

 

「乾かせば良いカゲ」

 

「手伝うケル」

 

「あんな気持ちが悪い、タコの魔物に触れられた水着、そのまま着たく無いわよ」

 

 美希はタッコの事を思い出したのか、嫌そうな顔で本音を洩らし、魔王とラケルが悄気返った。なぎさは、そんな二人を見て少し哀れみ、魔王とピーちゃんの頭を撫でながら、

 

「でも魔王、ピーちゃん、水着を探し出してくれてありがとう!洗濯して乾いたら、明日帰る前にでも、もう一度みんなと、ビーチで泳ぐ時に着させて貰うよ」

 

「魔王もピーちゃんも、咲の誕生会の準備、一緒に手伝ってくれるかしら?」

 

「もちろんカゲ」

 

「ピィィィ」

 

 舞に聞かれた二人は、目を細めながらコクリと頷いた。こうして、咲の誕生会の準備は順調に進んで行った・・・

 

 

 咲が、ゆりからの課題を懸命にこなしている間にも、日は暮れて辺りが暗くなって来た。ゆりは、階段の上をチラチラ見て居ると、ようやくなぎさが顔を出し、懐中電灯を大きく振ってゆりに合図を送った。

 

「咲、お疲れ様。頑張ったわねぇ・・・どうやら食事の準備が出来たようだし、みんなの所に戻りましょう」

 

「ハイ!ありがとうございました。いやぁ、お腹ペコペコで・・・アハハハハ」

 

 ゆりと談笑しながら階段を上り終えた咲は、プールサイドに用意された、豪勢な食事やケーキを見て呆気に取られて居ると、ゆりも笑みを浮かべながら一同の輪に加わり、なぎさからクラッカーを受け取った。それを合図にしたかのように、

 

『咲・・・』

 

『咲さん・・・』

 

『お誕生日、おめでとう!!!』

 

「みんなぁ・・・・」

 

 一同からクラッカーの祝福を受け、呆然としていた咲の目から、感動の涙が零れ落ちていった。舞が檄を飛ばし、

 

「咲、泣いちゃ駄目よ、何時もの決めゼリフ!」

 

 舞に檄を飛ばされた咲は、右腕で涙を拭うと、

 

「みんなぁ、ありがとう!今のあたしは・・・絶好調なりィィィィ!!」

 

 咲の挨拶と共に、一同から歓声が沸き起り、拍手が咲に浴びせられた。咲は、涙混じりの笑顔を一同に向けて、喜びを表した。

 

 

             第百十話:それぞれの特訓

                   完




 第百十話投稿致しました。
 今回は、丸ごと特訓話になっております。

 スマイルの小説、オチは何となく分かってましたが、10年後のスマイル勢の描写が中々面白かったです。

 魔法つかいプリキュア・・・ベニーギョさん、やっぱ好きだわw冷凍みかんって氷付け状態で味が変わるんですねw

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