プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第百七話:ブラック、ホワイトVS伝説の妖精メラン

1、恐怖のドライブ

 

 カインとアベルの実力の片鱗を見たなぎさ達は、ラブの提案で、かれんの別荘がある島で、みんなでプリキュア合宿をしようと話し合った。一同の都合を合わせると、8月6日、7日、8日が、全員揃う事が出来るようで、この3日間でプリキュア合宿を行う事を決めた。

 

 なぎさ、ほのか、ひかり、ゆりは、ほのかのたっての希望で、前日の8月5日、ほのかの家に集合して、別荘で過ごす三日間の為の準備で、主に飲料水を買いに行こうと決めた・・・

 

 ほのかの祖母さなえは、所用で出掛けて居て留守で、庭先に居るほのかの愛犬忠太郎は、夏の暑さにバテ気味なのか、木陰で涼んで居るようで、舌をハァハァ出して居て、その側でポルンとルルンも一緒にバテて居た。なぎさ達は、ほのかから出して貰った麦茶を飲みながら、支度があるから待って居てと、席を外したほのかが来るのを待って居た。

 

「前から思ってたけど・・・ほのかって、よく冷房無くても我慢出来るよねぇ?」

 

「ほのかの家は風通しが良いから、こうして縁側に居るだけでも気持ち良いわよ?」

 

「風鈴の音色も良いですよねぇ・・・」

 

 蝉の鳴き声も聞こえ、改めて夏を実感して居たなぎさ、ゆり、ひかり、玄関が開き、ほのかが三人に声を掛けると、

 

「お待たせ!さあ、行きましょう!!」

 

 ほのかに呼ばれた三人が、雪城家の玄関から外に出ると、家の前に一台の白い軽自動車が止まって居た。なぎさは迷惑そうに、

 

「全く誰だろうねぇ?人の家の真ん前に車止める何てさぁ!」

 

「アッ!それ私の車!!」

 

「へぇ、そうなんだぁ・・・・・エッ!?」

 

「「「エェェェ!?」」」

 

 止まって居る白い車が、ほのかの車だと聞き、なぎさ、ゆり、ひかりが思わず驚きの声を発した。なぎさは車を指差しながら、

 

「ほのか、何時の間に免許取ったの?」

 

「うん、先月合宿免許で!」

 

「そういえば、先月前半は、あんまりほのかと会ってなかったっけ?でも、メールはしてたよねぇ?」

 

「フフフフ、ちょっとみんなを驚かせようと思って!」

 

「そりゃあ、驚いたわよ!ねえ、ひかり、ゆり?」

 

「ええ、詳しくは知らないけれど、合宿で免許取るには、数週間は掛かるんじゃないの?」

 

 ゆりに聞かれたほのかは、少し楽しそうに話し出し、

 

「うん!普通車のATだったら、最短で14泊15日の教習で卒業出来るよ!!」

 

「ほのかさんは、どれぐらい掛かったんですか?」

 

 ひかりは、ほのかがどれくらいで卒業できたのか気になり、ほのかに聞いてみると、

 

「私は、最短で卒業出来たよ!」

 

 最短で卒業出来たと言うほのかに、三人は感心したように頷き、なぎさがほのかに話し掛け、

 

「へぇ・・・ほのか、車の免許取るのも優秀何だね?」

 

「エェ!?それ程でも無いよ?結構私と同じ最短で卒業してたし・・・」

 

 少し恥ずかしそうにほのかが答えた。なぎさは、どうしてほのかが急に免許を取ろうと思ったのか気になり、

 

「でもほのか、何で急に免許何か取ろうと思ったの?」

 

「うん・・・家のお婆ちゃま、もうお年だから、買い物するのも大変そうで・・・それで、免許を取ろうと思ったの!重たい物の買い物も、一緒に行けるでしょう?」

 

「そっかぁ・・・」

 

 ほのかの言葉を聞き、三人は納得したのかコクリと頷いた。改めて良くほのかが買った白い軽自動車を見てみると、車種はスズキのアルトラパンで、色はパールホワイト、丸みがある形は女性に人気で、エンブレムや、ドアノブ付近に、うさぎのマークのような物が見られ、女性に人気なのも納得出来るような車だった。ほのかも、丸みがあるデザインが気に入り購入して居た。なぎさは、興味深げにうさぎのエンブレムを触りながら、

 

「車は何時買ったの?」

 

「納車されたのは昨日の夕方!だから、今日が試運転なの!!」

 

「「「エッ!?」」」

 

 ほのかは嬉しそうにニコニコするものの、なぎさ、ゆり、ひかりの心に、一抹の不安が浮かんで居た・・・

 

 三人は、不安ながらもほのかの軽自動車に乗り込んだ。なぎさは助手席、ゆりは運転手側の後部座席、ひかりは助手席側の後部座席に座った。中は、男性が乗るには少し狭いと感じるかも知れないが、女性が乗る分には特に問題無く、背が高いゆりも窮屈そうにはしていなかった。

 

「じゃあ、出掛けましょう!」

 

 ほのかは車のキーを回し、エンジンが掛けられた。まさに実習で教わった通りの手順で、ほのかはゆっくり車を走らせた。初心者にしては、ほのかの運転は上手い方で、急発進や急停止でもするんじゃないかと不安がって居た三人も、徐々にほのかの運転を信頼し、次第に会話も弾んで居た。

 

「ほのか、運転中々上手いじゃない!」

 

「そう!?これでも少し緊張してるんだよ!」

 

「安心して乗って居られるわよ!」

 

「はい!ポルンやルルンは、気持ち良さそうに眠ってますよ!!」

 

 なぎさ、ゆり、ひかりから運転を褒められ、ほのかは少し恥ずかしそうにしながら大型スーパーに着いた。車庫入れもまごまごする事もなく、スムーズにこなし、

 

「やっぱり軽だけあって、車庫入れも楽だわ!」

 

 ほのかは、口元に笑みを浮かべながら呟き、無事に車庫入れを終えた。店内に入った一同は、飲料水コーナーで、2リットル飲料水を箱で買ったり、オレンジジュースやグレープジュースなども買ったりした。なぎさは、プリキュア合宿の日程を思い出し、

 

「ねぇ、ひかり!そう言えばさぁ、合宿で過ごす8月7日は、咲の誕生日だったよね?」

 

「はい!前に咲さんから聞いた事あります!!」

 

 なぎさに聞かれたひかりがコクリと頷くと、それを聞いたほのかとゆりも会話に加わり、

 

「折角買い物に来てるし、何かサプライズでプレゼントしてあげようかぁ?」

 

「良いわね!じゃあ、何を上げるか決めましょう!!」

 

 一同は、誕生日を迎える咲の為に、サプライズでプレゼントを上げようと、相談しながら店内を歩いた・・・

 

 

「取り敢えず、これだけあれば足りるかなぁ?」

 

「良いんじゃない?足りなかったら、せつなに頼んで買い足しすれば良いんだし!!」

 

 ほのかに聞かれたなぎさは、足りなければせつなに頼んで買い出しに行けばいいと話し、それを聞いたゆりは微妙な表情で、

 

「それだと、合宿に来た気がしないような・・・」

 

「そうですね・・・せつなさんも大変でしょうし?」

 

 ひかりもゆりの言葉に同意し、なぎさは苦笑しながら、

 

「アハハハ、まあ、足りなければって事で!でも、咲の誕生日には、ケーキでも上げたいよね?」

 

「そういう事情なら、せつなも喜んで買い物に付き合ってくれそうね?」

 

 ゆりも苦笑気味に、なぎさの言葉を肯定した。会計を終え、荷物を後部座席に乗せた一同が再び車に乗り込み、発進しようとした時、それは起こった・・・

 

 ほのかは、先に駐車場から出て行く赤いセダン車を待って居たが、20代ぐらいの短い髪の金髪をした運転手は、飲んで居たペットボトルをそのまま窓から投げ捨て、地面に跳ね返ったペットボトルが、ほのかの車に当った。その瞬間、ほのかの目付きが変わったのを見たなぎさは、思わず背筋にゾッと鳥肌が立った。先程とは打って変わって急発進したほのか、思わずなぎさ、ゆり、ひかりが前のめりになり、ゆりとひかりに至っては、何が起こったのか理解出来て居ないようだった。なぎさは恐る恐るほのかに話し掛け、

 

「ほ、ほのか?」

 

「全く!ゴミを投げ捨てる何て・・・許せない!!」

 

「「「エッ!?」」」

 

 驚く三人を余所に、急発進したほのかの車は、急加速をしてタイヤを鳴らした。シートベルトをして居ても、身体を持って行かれ、慌ててなぎさ、ゆり、ひかりは、手摺りに掴まった。

 

「ほ、ほ、ほのかぁ!落ち付いてぇぇ!!」

 

「全く・・・何てマナーが成ってない人なのかしら!?」

 

 なぎさの声もほのかには届かないかのように、目が据わったほのかは、車を荒く運転し続ける。右に左に、三人の身体が揺さぶられ、コミューン状態のメップル、ミップル、ポルン、ルルンの目はグルグル回って居た。

 

「ほのか!落ち着いてぇぇ!!」

 

 ゆりがほのかに落ち着くよう声を掛けるも、なぎさは微妙な表情をしながら首を横に振り、

 

「ゆり・・・無理!こうなったほのかは・・・止められない!!」

 

「エェェ!?」

 

 ほのかと親しいなぎさの口からそう断言され、思わずゆりの眼鏡が曇った。ひかりは、急に豹変したほのかに戸惑い、

 

「ほ、ほのかさん・・・急にどうしたんでしょう?」

 

「さっきの赤い車が、窓からペットボトルを投げ捨てて、それがほのかの車に当って・・・」

 

「ほのかがキレたって事?」

 

「そう・・・」

 

 なぎさの言葉に静まりかえる室内、エンジン音だけがけたたましい唸りを上げた。本当に先程と同一人物が、この車を運転しているのかと思える程、ほのかの運転は荒く、先程の赤い車を追い抜くと、赤い車の前に横付けして止まり、シートベルトを素早く外したほのかが、勢い良く運転席から飛び降りた。道を塞がれた男も、窓から顔を出し、

 

「オイ!いきなり前を塞ぎやがって・・・邪魔だ!さっさと退けろ!!」

 

「退かない!あなたねぇ、平気で窓からペットボトルを投げ捨てる何て・・・恥を知りなさい!!」

 

「ハァ!?お前に関係無いだろう!」

 

「関係あります!あなた見たいな自分勝手な人・・・周りに迷惑なの!!」

 

(ほのか・・・ほのかも結構迷惑掛けてるよ)

 

 なぎさは、困惑気味に口論するほのかに心の中で呟いた。ゆりは、隣で背もたれに持たれながらダウンして居るひかりを気遣いながらも、なぎさに声を掛けると、

 

「なぎさ、私達も行きましょう!」

 

「そうだね!」

 

 ほのかの迫力に、男が気圧され、更にはなぎさとゆりも車から降りて来て、ほのかの背後に立ち、あなたのせいで私達まで迷惑受けて居るのよ、そう言いたげな眼力を浴びせた。騒ぎを聞き付け、野次馬も集まりだし、運転手は困惑しながら、

 

「嫌、その・・・俺が悪かったよ!次から気を付けます!!」

 

「分かってくれれば良いの!行きましょう!!」

 

 相手が非を認めれば、あっさりとそれを許す、ほのかの懐の深さが少し垣間見られた。車に戻ったほのかは、背もたれにもたれ掛かり、グッタリしているひかりに気付き、

 

「ひかりさん、顔色が優れないけど大丈夫?」

 

「は、はい・・・何とか・・・」

 

 ひかりは、引き攣りながらもほのかにそう返事を返し、微妙な表情を浮かべたなぎさとゆりは、

 

「ほのか・・・一人であまり車運転しない方が良いかも?」

 

「私もなぎさの意見に賛成だわ!」

 

「エェェ!?どうして?」

 

「「何となく」」

 

「変なの?」

 

 ほのかは首を傾げながら、再び安全運転で車を発進させた・・・

 

 

 ほのかもほんわかモードに戻り、ドライブがてら、ゆりが住む希望ヶ花のゆりの家まで送り、次にひかりを送ったほのか、なぎさと二人になり、あれやこれや会話をしながら、裏通りを車で走らせて居ると、突然目の前に鏡のような障害物が見えたかと思うと、人が飛び出して来て、ほのかは慌てて急ブレーキを踏んだ。なぎさとほのかの身体が勢い良く前後に揺さぶられ、二人は顔面蒼白になりながら、シートベルトを外して車から飛び出すと、

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「怪我は・・・て、神様!?」

 

「やあ!この前は・・・」

 

「「脅かさないでぇぇ!!」」

 

「???」

 

 人を轢いてしまったのではと、慌てて飛び出したなぎさとほのかは、それが地球の神ブルーだと知り、ホッとするも、ブルーの非常識な行いに、少しムッとした二人だった。

 

 なぎさとほのかは、車を脇に止めブルーと話し始めた。ついこの前、シャックスによって危機に陥った事も正直に話すと、ブルーも心底驚いたようで、

 

「そんな事が・・・済まなかったねぇ!その頃僕は、メランに会って居てね!」

 

「「メラン!?」」

 

 ブルーが発したメランという言葉に、なぎさとほのかは首を捻った。ブルーはコクリと頷き、

 

「そう・・・一万年前、三人のプリキュアと共に、この世を闇に包み込んだ大いなる闇と戦った伝説の妖精・・・」

 

「エッ!?今、一万年前って言ってませんでした?」

 

「その妖精は・・・まだ生きてらっしゃるんですか?」

 

 一万年前のプリキュアと一緒に戦った妖精が、まだ生きて居る・・・

 

 俄には信じられない話だが、地球の神であるブルーが嘘を言う筈も無く、なぎさとほのかは心底驚いた。

 

「ああ、生きている!メランも僕と同じように、この世界を見守り続けてくれて居るんだ・・・そんなメランに、君達を会わせたいんだが、どうだろう?」

 

「エッ!?そうですねぇ・・・一万年前の話とかも聞いてみたいし・・・ほのかは?」

 

「うん!興味あるよね!!」

 

 なぎさとほのかも、一万年前の妖精が健在だと聞き、それならば話を聞いてみたいと思うのは、当然の事かも知れなかった。ブルーはニッコリしながら頷くと、

 

「良かった!じゃあ、今からメランに会いに行こう!!」

 

「「エッ!?今から?」」

 

「ああ、メランには、君達二人の事は既に話してあるんだ!」

 

「でも・・・私達、車で来てるし・・・」

 

「そんなに時間は取らせないよ!ちゃんとこの場所に僕が送るから!!」

 

「そういう事でしたら・・・」

 

 そんなに時間は掛からないというブルーの言葉に、ほのかも今からメランに会いに行く事を承諾した。ブルーは、姿見鏡を出現させると、三人の姿が鏡に吸い込まれて行った・・・

 

 

2、一万年前の出来事・・・

 

 なぎさとほのかが、ブルーに連れられて来た島・・・

 

 オーシャンブルーの海が周りに広がり、島を囲うように存在する海岸は、どこからでも泳げそうな砂浜が囲い、島の内側は森に覆われ、鳥や動物の鳴き声が響いて居た。その中央に聳える岩山は、どこか神秘さを醸し出して居た。メップルとミップルも妖精姿に変化すると、島の景色を堪能し、

 

「キレイな所メポ!」

 

「景色も良いミポ!」

 

「でも、ミップルの方が、もっと、もっとキレイメポ!」

 

「メップルたらぁ・・・恥ずかしいミポ!」

 

 この島に来ても、普段と変わらぬやり取りをするメップルとミップルを見て、思わずなぎさとほのかが苦笑する。改めて周りを見たなぎさは、

 

「この島に、一万年前の妖精が・・・」

 

「そう、噂をすれば・・・」

 

「「エッ!?」」

 

 なぎさが辺りを見回し、メランの事を呟くと、ブルーは表情を明るくし、メランがやって来た事を二人に伝えた。メランは宙を滑るかのように移動しながら現われ、なぎさとほのかは呆然と見て居ると、メランが二人に話し掛けた。

 

「お前達が、ブルーが言っていたプリキュアか?」

 

「このお爺さんが・・・伝説の妖精!?」

 

「お黙り!あたしゃ、これでも女だよ!!」

 

「し、失礼しましたぁぁぁ!」

 

 当初メランをお爺さんだと思って居たなぎさだったが、メランから女だと聞き、思わず頭をポリポリ掻きながら謝罪した。メランは、ジッとなぎさとほのかを見つめると、

 

(確かにブルーが言うように、何かしらの力は感じるが・・・)

 

「ブルーから話は聞いて居るね?私の名はメラン!」

 

「初めまして!美墨なぎさ、キュアブラックです!!」

 

「私は雪城ほのか、キュアホワイトです!!」

 

「メップルメポ!」

 

「ミップルミポ!」

 

 その場でなぎさとほのか、メップルとミップルが自己紹介して、コクリとメランに頭を下げると、メランも頷き返した。

 

「早速だが・・・お前達に水晶の鏡、マジカルラブリーパッドを託す事が出来るかどうか・・・試させて貰うよ!」

 

「エッ!?水晶の鏡?」

 

「マジカルラブリーパッド!?」

 

 なぎさとほのかは、メランが何の事を言っているのか分からず首を捻った。メランは呆気に取られ、

 

「何だい!?お前達、ブルーから何も聞いてないのかい?」

 

「いやぁ、ついさっき、私達に会わせたい人が居るからって言われてぇ・・・」

 

「私達は、一万年前の妖精とお話出来るなら、そう思ってこうしてやって来たんですけど・・・」

 

 困惑したなぎさとほのかにそう言われ、メランは呆れたようにブルーを見つめながら、

 

「何だいブルー!?そんな事もこの娘達に伝えて無かったのかい?」

 

「僕の口から聞くより、直に君から話を聞いた方が良いと思ってね!」

 

「やれやれ、困った神だねぇ・・・良いだろう!」

 

 メランは呆れたようにして居たが、宙に浮くのを止め、地上に降り立つと、なぎさとほのかに一万年前の話を始めた・・・

 

 

 一万年前、世界を闇が覆い尽くした・・・

 

 地上から光が消え、世界は極寒に包まれ、人々は絶望の声を上げた。地球の神ブルーは、必死に闇に包み込んだ者の正体を探り、それが大いなる闇と呼ばれる存在だと気付いた。ブルーは、大いなる闇の企みを阻止しようとするも、地上を守るだけで精一杯だった。そこに、異世界から、三人のプリキュアと呼ばれる者達が、この地上の危機に現われた!

 

「魔法界から追い出した、大いなる闇の配下を追って駆け付けた、竜王バハムートに託された角を、ミラクルドラゴングレイブと呼ばれる光の槍に変えて携えたキュアマジシャン、この世界の知識を全て受け継いだとされる、黄金の冠、エターナルゴールデンクラウンを被り、大いなる闇の企みを防ぐ為に、この世界に現われたキュアプリーステス、そして、光の女王から水晶の鏡、マジカルラブリーパッドを授かった、我がパートナーであるキュアエンプレス、それら三人がこの地で出合い、力を合わせこの地上で大いなる闇の軍勢と戦った・・・」

 

「今、光の女王って言ってたミポ?」

 

「光の園の事メポ?」

 

「ほう、お前達光の園の妖精かい?」

 

 メップルとミップルが、光の園の妖精だと知り、メランは興味深げに目を輝かせた。

 

(成る程、ブルーが言うように、この二人には何かがあるようだねぇ・・・エンプレス、お前が言ったあの時の事が、こうして目を瞑ると思い出してくるようだ・・・)

 

 メランはそう言うと、目を瞑って当時の事を懐かしんだ・・・

 

 

 黄金の冠を被ったキュアプリーステスが、的確な指示でマジシャンとエンプレスをフォローし、マジシャンが光の槍で、エンプレスが水晶の鏡を反射させて、闇を次々浄化して行く姿が浮かんで来る。

 

「三種の神器に頼らずとも、三人のプリキュアは強かった・・・マジシャンは炎を、プリーステスは氷を、そして、エンプレスは光の属性を持って居て、次々に闇の軍勢を浄化させて行ったし、私も勿論戦った!だが、多勢に無勢の闇の軍勢の前に、私らは次第に追い込まれて行った!傷つき片膝付くマジシャンとプリーステス、そんな中でも、エンプレスだけは最後まで諦めず、何度も大いなる闇に向かって行った!!その行為に励まされ、マジシャンとプリーステスも再び立ち上がり、三人は協力して、プリキュア!エクスクラメーションを放った!!」

 

「「プリキュア!エクスクラメーション!?」」

 

「そうだ!キュアマジシャンが持つ、闇を切り払う光の槍に力を結集した、私が知る限り、プリキュア最大の技とも呼べるじゃろう・・・」

 

「確かに凄かった!僕が地上へのダメージを軽減させた状態でも、凄まじい威力を放って居たからねぇ・・・」

 

「その戦いで、大いなる闇は肉体を失った・・・だが、精神体と成っても、奴の邪悪な心は一層闇を広げ、三人のプリキュアに呪いを掛けた!」

 

「呪い!?」

 

 話を聞いて居たなぎさとほのかの表情が曇った。彼女達二人も、ファレオの呪いによって、生死を彷徨った事があるのだから・・・

 

「そうだ!大いなる闇を封印し、この地上に再び太陽の光を取り戻したが、三人は大いなる闇によって呪われてしまった!!」

 

 メランは再び目を閉じ、その後の彼女達の事を思い涙した。それを見たなぎさとほのかは、メランの心情を思うと、声を掛ける事が出来ず、変わってブルーが話を引き継ぎ、

 

「戦いが終わった後、日に日に衰えていく身体に気付いた三人、彼女達も一人の女性・・・大いなる闇を封印し、プリキュアとして戦う事も無くなったマジシャンとプリーステスは、何時の日か復活するであろう、大いなる闇を警戒し、新しい国を作ったんだ!それがトランプ王国と、ブルースカイ王国、彼女達は、建国に尽力してくれた者と恋に落ち、子を得た・・・だが彼女達は、自らの子をその手で抱く事も適わず命を落とした・・・それを知った僕は、この事実を、この島で余生を過ごして居たエンプレスとメランに知らせた!!エンプレスも大分衰弱して居たが、この島にも盟友マジシャンとプリーステスの墓を作り、二人を弔った・・・やがて、彼女も死を迎える直前、僕とメランにある事を頼んだ!!!」

 

「ああ、エンプレスは、マジシャンとプリーステスと違い、誰かを愛し、その子を成す事も無かった!だがその代り、もし、後の世に禍再び起こる時は、必ず自分達と同じように、プリキュアが現われる事を知って居た!この水晶の鏡であるマジカルラブリーパッドを、後世の世に託せる者が現われた時は、力を貸して上げて欲しいとなぁ!エンプレスは、後世のプリキュア達を、自分の娘同様に思ったのかも知れない・・・だが私は、ただ渡すだけでは、後世のプリキュアの為にならぬので無いかと考えた!」

 

 ブルーとメランの話に聞き入って居たなぎさとほのか、二人の目にも涙が溜まって居た。ほのかはメランに話し掛け、

 

「今までに、あなたの試練に打ち勝ち、この鏡を託したプリキュアは居たんですか?」

 

「居た!千年前、ブルーと共に戦って居たキュアミラージュ、百年前、ブルーが連れて来たキュアローズ、キュアフローラ、キュアマーメイド、キュアトゥインクルの四人・・・彼女達が、再び暗躍した大いなる闇との戦いで、この水晶の鏡を使い奴を封印した!!他にも何人か来た事があるが、残念ながら、私の試練に打ち勝った者は居なかった!!!」

 

「そんな事が有った何て・・・驚いたね、ほのか?」

 

「うん!正直驚いたよね?」

 

「大いなる闇かぁ・・・」

 

 なぎさとほのかは、一万年前の話を聞き、更にその戦いは、千年前、百年前にも起こって居たと聞き、互いに驚いていると、ブルーは意味深な表情を浮かべ、

 

「ああ、大いなる闇・・・それは、ある意味ではプリキュアの宿敵とも呼べる存在なのかも知れない!何故なら、大いなる闇が暗躍する時、プリキュアはこの地に集ったのだから!!」

 

「特にブルー、お前さんには宿敵じゃろうなぁ?千年前、キュアミラージュを・・・」

 

「メラン、その話は止そう!」

 

「フフフフ、まだ心の傷は癒えんのか?」

 

「済まない・・・」

 

 そう言うと目を伏せたブルーに、なぎさとほのかも気にはなったが、ブルーの心の傷を広げる訳にも行かず、狼狽えて居ると、メランが二人をジロリと見つめ、

 

「さて、昔話は終りじゃ!さあ、お前達の力・・・この私に見せてみろ!!ハァァァァァ!!!」

 

 メランが気合いを込めると、徐々にメランの姿が変化して行った・・・

 

 年老いた小さな老婆の姿から、徐々に巨大化していった。口の上側には、黄金に輝く角が生えて居て、強者の雰囲気を漂わせて居た。背中には、妖精姿のなごりのように、亀のような甲羅が残って居たが、その姿は・・・怪獣とも竜とも思えた!

 

「う、嘘でしょう!?」

 

「こ、これが、メランの真の姿なの?」

 

 なぎさとほのかは、目を点にしながら、咆哮を上げたメランを呆然と見つめた。

 

 

3、仲間が居るから・・・

 

 変身したメランの口からは、時折炎が吐かれた。メランはその場で足踏みすると、地響きで島が揺れた。

 

「さあ、お前達の実力を、この地上に迫る禍を消し去る力を・・・この私に示せ!!」

 

「ほのか・・・やろう!」

 

「そうね・・・」

 

 互いに頷き合ったなぎさとほのかが、メップルとミップルにアイコンタクトを送ると、二人はコクリと小さく頷いて、ハートフルコミューンへと変化した。なぎさとほのかは、ハートフルコミューンに手をかざし、互いの手を取り合って同時に叫んだ。

 

「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」」

 

 二人の身体をオーロラが包み込み、なぎさとほのかを、プリキュアへと変えて行く・・・

 

「光の使者・キュアブラック!!」

 

「光の使者・キュアホワイト!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!!」」

 

「それが、お前達がプリキュアになった姿か?さあ!お前達の実力を示せぇぇ!!」

 

 メランはそう言うと、大きく息を吸い込み、火炎を吐いた。ブラックとホワイトは、今までの数々の戦いで、口から火炎などを吐く者を見て居た事もあり、メランが火炎を吐いても、さしたる驚きは無かった。だがその威力は、この間の赤い大蛇をも上回るかも知れないと咄嗟に理解し、迂闊に攻め込む事をしなかった。尚もメランは攻撃の手を休めず、尻尾や爪でブラックとホワイトを責め立てた。

 

「どうしたぁ!?お前達の実力はそんなものなのか?」

 

「ホワイト、向こうが火炎なら、こっちもマーブルスクリューで行く?」

 

「そうね・・・試して見ましょう!」

 

(目付きが変わった!?)

 

 メランは、ブラックとホワイトの目付きが変わった事を見抜き、様子を見るように攻撃を止めた。

 

「ブラック、サンダー!」

 

「ホワイトサンダー!」

 

「プリキュアの、美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「「プリキュア!マーブルスクリュー・・・」」

 

 ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出すと、

 

「「マックス~~!!」」

 

 二人の掛け声と共に、マーブルスクリューマックスが、メラン目掛け飛んで行くも、メランの瞳が輝くと、メランの身体全体を、背中の甲羅のような透明のバリアが覆った。メランが放ったバリアは、完璧にマーブルスクリューを防ぎきり、ブラックとホワイトを驚愕させた。

 

「マーブルスクリューを・・・」

 

「防いだ!?」

 

「何を狼狽えて居るぅぅ!」

 

 二人の隙を見逃さず、メランが尻尾を勢い良く振り、ブラックとホワイトに鞭のように振るうと、

 

「「キャァァァァ!!」」

 

 ブラックとホワイトの身体が、激しく森の中へと吹き飛び、木々に激突して行った。メランは咆哮し、

 

「ウゥゥオォォォ!どうした!?もう終りか?期待外れな・・・ン!?」

 

 メランが、ブラックとホワイトを挑発したその時、二人はヨロヨロ起き上がり、互いの状況を確認しあうと、

 

「参ったねぇ・・・流石に伝説の妖精!強い!!」

 

「ええ、でも私達も・・・」

 

「「あなたの思いに応えてみせる!!」」

 

(何!?)

 

 メランは、二人の闘志に、一瞬パートナーであるエンプレスの姿がダブって見えた。ブラックとホワイトは、手を繋ぎ、目を瞑った・・・

 

「私達の目の前に、希望を!」

 

「私達の手の中に、希望の力を!」

 

 ホワイト、ブラックの言葉を聞き入れたように、金色の光が、ブラックとホワイトの下に集まってくる。ブラックの右手に、ホワイトの左手に、スパークルブレスが装着された。漲ってくる力を現わすように、腕を回しながら構えたブラックとホワイトの姿に、メランは、ブラックとホワイトの二人から、先程を遥かに凌駕する力を感じ、

 

「何だ!?あの二人から、先程以上の力を感じる?まさか、これがブルーの言って居た?」

 

「メラン・・・あなたの一万年前から続く思いを、私達が受け継ぐ!」

 

「だから、私達の思い・・・受け止めて!」

 

「「ハァァァァァァァ!!」」

 

 ブラックとホワイト、二人の気合いが島全体に響くかのように、島が震えた。波がざわめき、生き物達がざわめいた。戦いを見守るブルーの表情も険しさを増した。

 

(二人は・・・この一撃に全てを掛けるようだ!メラン、君はどうする?)

 

 ブルーの視線がメランに向けられると、メランも大きく息を吸い込み、二人の攻撃を待った。雄叫び終えたブラックとホワイトが駈け出すと、大きくジャンプし、メラン目掛け急降下の蹴りを放つようだった。

 

「甘いわぁぁぁ!!」

 

 メランはそう吐き捨て、火炎をブラックとホワイトに放った。

 

「「ヤァァァァァァァ!!」」

 

 二人は一層の雄叫びを上げ、蹴りから発せられる風圧で、メランの火炎をものともせず急降下し続ける。メランは慌てて目を光らせ、再びバリアを張るも、ブラックとホワイトの急降下し続ける勢いを見た時、バリアは持たない事を見抜いた。勝敗が決した事を見抜いたブルーは、

 

「ブラック!ホワイト!そこまでだぁぁ!!それ以上続けてはメランがぁぁ・・・」

 

 慌ててブルーが二人に待ったを掛けるも、ブラックとホワイトの雄叫びは続き、メランが放ったバリアは砕け散った。その勢いのまま二人の蹴りはメランを擦り、その威力の前にメランは吹き飛び、妖精姿に戻って目を回した。凄まじい地響きと共に、ブラックとホワイトが放った蹴りで、周囲に巨大なクレーターが出来て居た。

 

(す、凄い・・・これがキュアブラックとキュアホワイトの真の力!?いや、彼女達はまだ全力には見えなかった!)

 

 驚愕するブルーを余所に、クレーターから這いだして来たブラックとホワイトは、目をグルグル回して気を失っているメランに近付き介抱すると、

 

「アハハハハ・・・張り切り過ぎちゃった!」

 

「ゴメンなさい!メラン、大丈夫?」

 

 メランはゆっくり目を開けると、ブラックとホワイトの顔を見た瞬間、烈火の如く怒り出し、

 

「このバカたれ共がぁぁ!もっと年寄りを労らんかぁぁ!!碌な目に遭わんぞ、お前らぁぁ!!!」

 

「「ゴメンなさい・・・」」

 

「やれやれ!メラン、元気そうで良かったよ!」

 

「全く、困った奴らじゃ・・・・・じゃが、試練は合格じゃ!付いて来い!!」

 

 メランは、ブラックとホワイトに自分に付いて来いと伝えると、二人は変身を解き、ブルーと共にメランの後を追った。メランは、岩山にある鍾乳洞の中に入ると、そこの中心部は大きな空洞になって居て、その奥に、何かの鏡が祭られて居た。メランは鏡を指差し、

 

「あれが水晶の鏡、マジカルラブリーパッドじゃ!さあ、持って行くが良い!!」

 

 水晶の鏡、マジカルラブリーパッド・・・

 

 縁を紫色で覆われた神秘的な鏡が、なぎさとほのかに、その存在を知らせるかのようにキラリと輝いた。メランは、なぎさとほのかに促すも、なぎさとほのかは、顔を見合わせ合うとコクリと頷き合った。なぎさはメランを見つめると、

 

「メラン・・・水晶の鏡は、私達は受け取れない!」

 

「な、何じゃと!?お前達、一体何を言って居る?」

 

「あの鏡は、メランとエンプレスを結び付ける大切な物・・・私達は受け取れない!!」

 

 ほのかもなぎさ同様、水晶の鏡は受け取れないとメランに話した。ブルーも呆気に取られて聞いて居たが、二人の真意に気付いたのか、口元に少し笑みを浮かべた。メランは表情を険しくし、

 

「バカ者!あれは、お前達に取って、今後の戦いを有利に・・・」

 

「分かってる!昔の私達なら・・・喜んで受け取って居たと思う!!」

 

「ええ、レインボーブレスや、スパークルブレスを手に入れた時のように、私達は受け入れて居たかも知れない・・・」

 

「だったら・・・」

 

「さっきあなたから聞いた、一万年前の出来事を聞いた時、私達、思ったんだぁ・・・エンプレス達は、三種の神器があったから、大いなる闇と戦えた訳じゃ無い!」

 

「メラン、あなたを含めた信頼出来る仲間が居たから、何度でも大いなる闇に立ち向かえたんだと思うの!」

 

「・・・・・・・・」

 

「今の私達には、ルミナス以外にも、ムーンライト達を始めとした、沢山のプリキュアの仲間が居る!そりゃあ、何度もヤバイ目には遭ってるけど、私達は、大勢の仲間と共に乗り越えて来た!!」

 

「今の私達に必要なのは、更なる仲間達との繋がる心・・・当然、まだ未熟な面もあるけど、それを補う為、私達、今度みんなと合宿をするの!!」

 

「「それに・・・水晶の鏡は、私達以外の人が使うべき物じゃないか・・・そういう気がするの!!」」

 

 ジッと聞いていたメランは、そこでハッとした。なぎさとほのか達以外の者が使うべきと聞き、メランは思わず二人に問い、

 

「どういう事だい!?」

 

「う~ん、私達にも良くは分からないんだけど、大いなる闇が、私達に仕掛けてくるとは限らないんじゃないかなぁ?」

 

「もしかしたら、私達の後の世代が必要なのかも知れないって思って!」

 

 なぎさとほのかの言葉を聞いたブルーはハッとした。千年前の出来事を思い出して居た。

 

(そうだ!大いなる闇は、邪悪なる生命体・・・自ら前に出て戦うというより、裏で暗躍してほくそ笑む者・・・あの時、僕とミラージュの仲を切り裂いた時のように・・・)

 

「ウゥゥゥム・・・」

 

 メランは思わず唸った・・・

 

 確かに、今水晶の鏡を使って禍を払えば、大いなる闇は沈黙し、後世にその牙を向ける事は有り得ると思えた。仮にブラック達が水晶の鏡を使ったとして、その後で水晶の鏡がその真の威力を発揮するまでには、十年は光の力を蓄える必要があった。メランはチラリと水晶の鏡を見つめると、エンプレスがクスリと微笑んだ気がした。メランは溜息を付くと、

 

「やれやれ、とんだ無駄な試練じゃったなぁ・・・」

 

「ウウン、私達勉強になったよ!」

 

「あなたとの戦いを通じて、学んだ事があるような気がします!」

 

「フン!褒めても何も出んぞ?」

 

「アハハハ!そうだ!折角だから、エンプレス達のお墓参りしたいんだけど・・・駄目かなぁ?」

 

「何!?エンプレス達の墓参りじゃと?・・・フッ、お前達ならば、エンプレスも喜ぶかも知れん・・・そこの道を真っ直ぐ進め!外に出れば、そこにエンプレスが眠る墓がある!」

 

「「ありがとう!!」」

 

 なぎさとほのかは、メランに礼を言い、エンプレスが眠る墓へと駈け出した。ブルーはメランに近づくと、

 

「メラン、どうだった!?キュアブラックとキュアホワイトの二人は?」

 

「正直・・・良く分からん!だがあの二人からは、一万年前から続く、エンプレス達の意思が宿って居る・・・そんな気がする!!」

 

「そうだね・・・」

 

 メランとブルーは、大きな石を積んで作られた、エンプレス、マジシャン、プリーステスの三つの墓に、祈りを捧げるなぎさとほのかの後ろ姿を、ただ黙ってジィと見つめて居た・・・

 

 この時、なぎさとほのかの脳裏に、エンプレス、マジシャン、プリーステスが、プリキュア!エクスクラメーションを、大いなる闇に放つ姿が目に浮かんで居た。エンプレスとプリーステスが、前方で背中合わせにしゃがみながら構え、後方でマジシャンが、光の槍を前方に向けながら両手を付きだして居た。エンプレスとプリーステスも黄金の槍を掴み、三人の雄叫びと共に、光の槍から目映い光が輝き、一気に光が大いなる闇を飲み込んで行く姿が・・・

 

((これが・・・プリキュア!エクスクラメーション!?))

 

 まるでなぎさとほのかに、技を伝授しようという三人の意思が働いたかのように・・・

 

 

 メランとの交流も終え、ブルーは姿見鏡を出現させると、

 

「さあ、元の場所まで送ろう!」

 

「メラン、色々ありがとう!今度は私達の所に遊びに来てよ!!みんな喜ぶから!!」

 

「そうも行かん・・・私にはこの島を守る勤めがあるからなぁ!」

 

「そうですか・・・今度は、みんなを連れて遊びに来ても良いですか?」

 

「やれやれ、騒がしいのは苦手じゃが・・・たまには・・・な?」

 

「「はい!!」」

 

 メランがウインクし、なぎさとほのかが嬉しそうにはいと返事を返した。なぎさとほのかは、メランに手を振りながら帰って行った。

 

(フッ!キュアブラックにキュアホワイトか・・・不思議な奴らじゃ!)

 

 メランは口元に笑みを浮かべ、鍾乳洞の中へと消えて行った・・・

 

 

 ブルーによって元の場所に送って貰ったなぎさとほのか、既に空は真っ暗になって居て、あれから数時間は経った事が二人にも分かった。さて車に乗り込もうとした時、二人の顔が凍り付いた・・・

 

「嘘!?私の車が・・・無い?」

 

「エッ!?エッ?どうして!?此処だったよね?」

 

「う、うん・・・」

 

 泣きそうな表情を浮かべるほのかを、なぎさが励ましていると、車が止まって居た道路に、何かが書かれて居た。

 

「ほのか、何か地面に書いてある!」

 

「エッ!?本当だ?」

 

 なぎさとほのかが、地面をジィと見てみると、そこにはほのかの車のナンバーと、警察署の電話番号が書かれて居た・・・

 

「ほのか・・・これってひょっとして、レッカー移動されたんじゃ?」

 

「う、うん・・・・・私の車ぁぁぁぁ!」

 

 ほのかは、泣きそうな表情で天を仰ぎ、二人は暗闇の中で途方に暮れた・・・

 

 

         第百七話:ブラック、ホワイトVS伝説の妖精メラン

                     完




 第百七話投稿致しました!
 今回は登場人物も少なく、なぎさとほのか、ブルーとメランに比重を置きました。ほのかに免許取らせたのは、数話前ぐらいからアイデア浮かびまして、今回書いてみました。
 メランの話を書くに辺り、ドキのメラン回を二度程見直しましたが、メランや水晶の鏡がどんな姿だったのか、すっかり忘れて居ましたw

 ハトのBD-BOXの特典、声優座談会の話がネットで出てましたが、やっぱり当時の裏話聞けるのは良いですねぇ・・・プリキュアぴあでの桑島さんのコメントの真相には笑いました。発売が楽しみですが、プリキュア貯金始めないと・・・

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