プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第百三話:アンジュ~キュアエース~

1、困惑!ママキュアオールスターズ

 

 プリキュア達に呪いを掛けたファレオの前に、魔王に率いられたママキュアオールスターズが勢揃いして居た。ファレオと対峙した魔王は、

 

「カゲカゲカゲ、夢の世界に居たのが間違いだったカゲなぁ!此処なら・・・みんなのママさん達を、プリキュアにする事も可能カゲ!」

 

「そう言う事か・・・だが、あいつらは何しに来たのだ?」

 

「カゲ!?」

 

 ファレオが背後を指さし、釣られた魔王が背後を振り向くと、ママキュアオールスターズ達は、それぞれ見知った顔と雑談を始めて居た・・・

 

「まあ、雪城さんのお母様もそんな格好を!?」

 

「エエ、気付いたらこんな恥ずかしい格好を・・・」

 

「こんなミニスカート何て、主人に見られたら何て言われるか・・・」

 

「お二人はまだマシですよ!私何かこんな姿ですよ!こんなロリ衣装何て・・・何の罰ゲームよ!!」

 

 理恵と文、アカネが、着ている衣装の恥ずかしさを語り合って居れば、沙織と可南子は、

 

「確か、咲の病室に居た筈何ですけど・・・」

 

「ええ、私も舞の病室に・・・」

 

「これは、夢・・・ですよねぇ?」

 

「こんな衣装着てますしねぇ?」

 

 沙織と可南子は、これは夢だと語り合い、恵美と和代は、互いの衣装を指差しながら、

 

「和ちゃん、その衣装!?」

 

「そういう恵美ちゃんも・・・変ねぇ!?私達、どうしちゃったのかしら?」

 

「「それに・・・此処は何所かしらぁ!?」」

 

 恵美と和代は、不思議そうに首を傾げた。普段着るドレスと違い、アクアの衣装を着たかれんの母も動揺し、

 

「これは一体!?あそこに居るのは、前に夢で見た蝙蝠みたいな・・・という事は、これも夢なのかしら?」

 

 自分の衣装を、複雑な表情を浮かべながら見つめ呆然としていた。こまちの母は、髪形こそこまちやまどかに似て緑髪をしていたが、体型は少しぽっちゃりしていて、

 

「あらぁ!?私、どうしてこんな姿をしているのかしら?」

 

 首を傾げながらも、あまり動揺しているようにも見えず、ちょっとホンワカしている雰囲気は、こまちに似て居た。つぼみの母みずきとえりかの母さくら、いつきの母つばきも、噂には聞いていたプリキュアの衣装を、何故自分達が着ているのか理解出来ず困惑して居た。

 

「私、どうしてこんな格好を・・・」

 

「本当に・・・こんな衣装、私達には似合わないわよねぇ?」

 

「お二人はまだ良いですわ!私の衣装は、臍まで出て居て・・・こんな所を父や子供達に見られたらと思ったら・・・」

 

 つばきは頬を染めながら、恥ずかしそうに腕でお臍を隠した。ゆりの母春菜も困惑して居たが、

 

(ゆりちゃんの病室に居た筈なのに、私、一体!?・・・あら!?あの人?)

 

 春菜は、金髪の長身の女性が、自分の事をジィと凝視している事に気付き、首を傾げるも、金髪の女性が近付いて来ると、

 

「ひょっとして・・・お姉様!?春菜お姉様では?」

 

「エッ!?・・・ひょっとして、アフロ・・・さん?」

 

「はい!お姉様、ご無沙汰しております!!」

 

「まぁ!」

 

 アフロディテに気付いた春菜も、嬉しそうな表情で互いの手を取って再会を喜び合った。二人の出会いは、二十数年前に遡る・・・

 

 アフロディテは、好奇心多い十代前半に、人間世界にお忍びでやって来た事があった。だが、当時から背の高かったアフロディテは、同年代のグレた少女達に目を付けられて絡まれた事があった。父である音吉から、帝王学を学んでいたアフロディテは、無闇に人を傷付ける事をよしとせず、正論で少女達を窘めようとしたものの、返って少女達の反感を買い、難儀していた時、当時高校生だった春菜に助けられた事があった。アフロディテは一人っ子だった為、春菜に憧れを持ちお姉様と呼んだ。春菜もアフロディテを妹同然に可愛がり、音吉が迎えに来る間、姉妹のような交流をしていた事を、二人の娘ゆりとアコが知る由も無かった。

 

「その姿・・・お姉様のお子様もプリキュアだったとは・・・」

 

「エッ!?」

 

 アフロディテは、感触深げに春菜の着たムーンライトの衣装を見て、ポツリと呟き、思わず春菜が聞き返した。奏の母美空は、パリに居る筈の響の母まりあを見て驚き、

 

「まぁ、まりあさん、何時日本に戻られたんですか?」

 

「主人から、響の事を聞いて戻ろうとは思ってたんですけど、私、まだパリに居た筈なのに・・・それより、どうしてこんな大胆な衣装を着ているのかしら?」

 

「そうですよねぇ?私も何でこんな白いバニー衣装を着ているのかしら?」

 

 美空は、頭に着いたウサ耳のようなアイテムを見て、バニーガール姿になっていると思ったらしく、まりあと不思議そうに会話をして居た。

 

 みゆき達の母親達も、互いに何故この場所に居るのか、何故こんな衣装を着ているのか理解出来ず戸惑って居た。育代は、正子、千春、とも子、静子に話し掛け、

 

「まあ、皆さんもそんな姿に?」

 

「そうなんよ!アカン、こんなピッタリした衣装着たら、お腹出てるの丸わかりやわ!」

 

 正子は、恥ずかしげにお腹をポンと叩くと、とも子は苦笑を浮かべ、

 

「日野さんはまだ良いじゃない!私何か、お腹の中に子供が居るんで、何時もより余計目立って・・・」

 

 とも子はそう言いながら、愛しそうにお腹を摩ると、とも子の妊娠を知った静子、育代、正子、千春が目を細め、

 

「エッ!?とも子さん、オメデタ!?」

 

「まあ!おめでとうございます!!」

 

「ホンマに、今でもお盛んで羨ましいわぁ・・・」

 

「イヤン!日野さんったらぁ・・・」

 

 正子は、とも子を見ながら羨ましそうにすると、千春は両手を頬に当てながら照れた。正子は、千春、育代、静子を見つめながら、

 

「何言うてんの!星空さんも、黄瀬さんも、青木さんも、まだまだもう一人ぐらい行けんのとちゃいますの?」

 

「「「エェェェ!?無理、無理!!」」」

 

 正子に突っ込まれ、顔を赤くした育代、千春、静子が首を振る。そう言う正子はどうかとも子が聞くと、正子は右手を振りながら、

 

「アカン!ウチの旦那・・・この前久々にエッチしたら、ギックリ腰になってもうて・・・」

 

「まあ、お盛んですわねぇ?」

 

「そう言う青木さんの所はどうなん?」

 

「エッ!?家は・・・もう長男が大学生ですし・・・ここ数年は・・・」

 

 静子が頬を染めながら答えると、正子の視線が育代と千春に注がれ、二人は思わずギクリとし、

 

「星空さんや黄瀬さんは、まだまだ現役やろ?」

 

「エッ!?・・・・エェェと・・・」

 

「わ、私は、主人が亡くなってからは・・・」

 

 育代と千春が、顔を赤らめながら返事に困って居ると、背後から声が掛かり、

 

「あのぅ・・・此処は何所なのでしょうか?娘の病室に居たら突然・・・」

 

 そう言って育代達に声を掛けたのはあゆみの母、あゆみの母の問いかけは、脱線していた育代達五人を正気に返らせた。

 

 魔王の事を知っているラブの母あゆみ、美希の母レミ、祈里の母尚子は、魔王がこの場に居る事に気付くと、徐に魔王に近付いた。困惑顔のレミが魔王に話し掛け、

 

「魔王ちゃん、これは一体どういう事なの?」

 

 それを合図にしたように、あゆみや尚子も魔王に質問を浴びせ、

 

「あの人は一体?」

 

「魔王ちゃん、何か知ってるの?」

 

 三人は、魔王が険しい表情で見て居た、包帯姿のファレオを見ると、その不気味さに思わず顔を顰めた。魔王は三人に顔を近づけると、

 

「ラブママ、美希ママ、祈里ママ・・・実は、あいつこそ、ラブ達みんなに呪いを掛けた張本人カゲェ!」

 

「「「な、何ですってぇ!?」」」

 

「みんなが不可解な病気になったのは・・・あいつの所為カゲェェ!!」

 

 魔王が険しい表情でファレオを睨み付けると、魔王の声が聞こえたのか、ママキュア達は一斉にファレオに視線を向けた。ファレオはそんな一同の視線を受けても、不気味な笑みを浮かべていた・・・

 

 

 

2、一撃の槍

 

 アン王女が尊敬する先祖、キュアマジシャンの力を借り、遂にアン王女は、キュアエースとしてプリキュアの力に目覚めた!

 

 ブルーは、なぎさ達がそれぞれ入院している病院に、ジョーカーが差し向けたアカンベエの状況を、鏡に覆われた部屋で憂いの表情で見て居たが、キュアエースの力を感じると、ハッとした表情を浮かべた。

 

「これは!?キュアマジシャンに似た力を感じる・・・」

 

 ブルーは自ら確かめようと、鏡に身を投じ、エースの側へと現われた。エースは驚愕し、

 

「神様!?どうしてこちらに?」

 

「いや、キュアマジシャンに似た力を感じたものだから・・・そうか、君もプリキュアになれたんだね?」

 

「ハイ!キュアマジシャンが、わたくしに力をお貸し下さった事で・・・私はキュアエースとして目覚めました!!」

 

「そうか、キュアマジシャンが・・・不幸中の幸いといった所か!エース、現状を君に教えておくよ!!」

 

 ブルーは、エースに現状を手短に説明した・・・

 

 ジョーカーによって、なぎさ達一同が入院しているそれぞれの病院に、アカンベエが現われて居る事、のぞみ達、ラブ達、つぼみ達、響達の下には助っ人が現われて、アカンベエと戦って居てくれる事を教え、更にプリキュア達に呪いを掛けたファレオが、夢の世界に居る事、魔王はそのファレオを追って、なぎさ達の母親達を連れ、夢の世界に向かった事を伝えた。エースは険しい表情を浮かべながら、ジョーカーをキッと見つめると、

 

「そうですか・・・ジョーカー!何と卑劣な真似を!!」

 

「卑劣!?アハハハハ!こんな好機を逃すバカが何所に居ますか?いくらあなたがプリキュアの力に目覚めようと、既に手遅れ何ですよ!!アァハハハハ!!!」

 

 ジョーカーは、差し向けたアカンベエによって、プリキュアの何人かの最期を確信し、高笑いを浮かべた。エースは目を瞑り、思案を纏めカッと目を見開き、ジョーカーに聞こえ無いくらいの声でブルーに話し掛けると、

 

「神様、わたくしに力を貸して頂けるでしょうか?」

 

「それは構わないが、エース!君は何をしようと・・・」

 

「わたくしがアカンベエを倒したと同時に、わたくしを入院して居るみなさんの病院の下に、順番に送って頂きたいのです!」

 

 エースの提案に、ブルーは一瞬躊躇った・・・

 

 エースの提案、それは複数のアカンベエを、たった一人で浄化すると言っていると同じだった。無謀にも思える提案だったが、ブルーはエースの目を見ると、その覚悟を見て取り、コクリと頷いた。エースも頷き返すと、松葉杖アカンベエをキッと見つめ、

 

(キュアマジシャン・・・わたくしにご加護を!)

 

 エースは、ミラクルドラゴングレイブをクルクル回転させ、穂先を松葉杖アカンベエに向けるや、アカンベエ目掛け突撃し、大きく宙にジャンプすると、

 

「ミラクルドラゴングレイブの力・・・受けてみなさい!ハァァァァァ!!」

 

 エースの気合いと共に、ミラクルドラゴングレイブは目映い金色の輝きを見せると、黄金の龍のオーラが現われ、アカンベエを飲み込んだ。アカンベエは、その光の力の前に為す術無く浄化され、ジョーカーは呆然とした。

 

「バ、バカな!?い、一撃でアカンベエを?クッ、紫玉アカンベエでは相手にならないとは・・・だが、覚えておきなさい!今更他のプリキュア達の下に向かおうとしても、手遅れですよ!!」

 

 ジョーカーは、エースの力を目の前で見せ付けられ、口惜しさを晴らすかのように、捨て台詞をエースに残して撤退した。エースは着地すると同時にブルーに話し掛け、

 

「神様!」

 

「分かった!エース、その鏡の中に飛び込むんだ!!」

 

「ハイ!」

 

 エースは、ブルーに言われるまま、目の前に出現した姿見鏡の中に飛び込み、ブルーもその後を追った。

 

 

 ジョーカーは勝利を確信して居たが、なぎさ達、咲達には、それぞれパートナー妖精が居た事を、ジョーカーは侮って居た。メップル達やフラッピ達は、目の前に迫るアカンベエに恐怖しながらも、自ら囮になるかのように、アカンベエの注意を惹きつけて居た・・・

 

「勇者メップルが相手になってやるメポ!」

 

 メップルは、なぎさが入院している病院に迫る、車輪が付いた車アカンベエにビビリながらも、勇敢に立ち向かって居た。アカンベエは、メップルを轢き殺そうとするかのように、タイヤをフル稼働させてメップルに迫った。その時メップルの側が突然光輝き、姿見鏡が現われると、その中から赤い髪を靡かせたエースが現われた。エースは、赤い髪を靡かせながらメップルに微笑むと、

 

「ハァァァァァ!!」

 

 エースは雄叫び上げながら、ミラクルドラゴングレイブをアカンベエ目掛け一振りすると、槍は目映い輝きを放ち、アカンベエ目掛け三日月形の光のエネルギー波が放たれた。アカンベエは、慌てて急ブレーキを掛けるも間に合わず、光に包まれ浄化された。エースの圧倒的力を目の前にしたメップルは思わず呆然とし、

 

「す、凄いメポ・・・」

 

「あれは、キュアエース!アン王女がプリキュアになった姿・・・」

 

「アン王女が!?」

 

 メップルは、隣に立ったブルーからエースの正体を聞き、その頼もしさに目をウルウルさせた。直ぐに我に返ったメップルは、

 

「アン王女、いやエース!きっとほのかやひかり、他のみんなの所にも怪物が居るメポ!みんなを助けて欲しいメポ!!」

 

「ええ、勿論ですわ!神様!!」

 

「メップルも行くメポ!」

 

 エースは再びブルーに合図を送り、肩にしがみついたメップル共々姿見鏡に入った。

 

 

 

「こ、こっちに来ないでミポ!」

 

 ミップルは、涙目になりながら、ほのかが入院している病院に迫るペットボトルアカンベエに恐怖していた。アカンベエの中身は、炭酸飲料とでもいうように、身体を激しく揺さぶると、頭頂部から発射した液体が、酸のように周囲を溶かし、一層ミップルを恐怖させた。恐怖でガクガク震えるミップルだったが、その側が突然光輝き姿見鏡が現われ、驚くミップルの目に、鏡の中から赤い髪を靡かせたエースが姿を現わした。その肩に居たメップルがミップルに気付くと、エースから飛び降りミップルに駆け寄った。

 

「ミップル!もう安心メポ!キュアエースが来てくれたメポ!!」

 

「メップル!でも、キュアエースって一体誰ミポ?」

 

 首を傾げるミップル、最後に鏡の中から現われたブルーは、メップルとミップルを両腕で抱き上げ、

 

「キュアエースとは・・・アン王女がプリキュアになった姿!」

 

「アン王女が!?」

 

 ミップルは、頼もしそうにエースの背を見た!

 

「ハァァァァァ!」

 

 エースは雄叫び上げながら、ミラクルドラゴングレイブを右左と振り、アカンベエから放たれた溶解液を弾きながら、

 

「ヤァァァァ!!」

 

 エースの咆哮と共に、ミラクルドラゴングレイブから光の衝撃波が飛び出し、動揺するアカンベエを浄化した。

 

「ハァハァハァ・・・神様、次です!」

 

「エース・・・少し休んだ方が良いんじゃ?」

 

「わたくしは大丈夫ですわ!」

 

 ブルーは、三人目のアカンベエを浄化し、少し疲労が見えてきたエースを心配するものの、エースは気丈に次の場所に向かうとブルーに進言した。ブルーは頷き、姿見鏡を出現させると、エースは気丈に鏡に飛び込み、ブルーはメップルとミップルを連れ、ひかりが入院している病院へと一同を運んだ。

 

 

 エースはその勢いのまま、ひかり、咲達が入院して居た病院を順番に周り、ミラクルドラゴングレイブでアカンベエを一蹴し続けた。メップルとミップルから事情を聞いたポルンとルルン、フラッピ、チョッピ、ムープ、フープ達も、そんなエースの力に驚きながらも、頼もしさを感じて居た。

 

 

 

 ナッツハウスの前で、大木アカンベエと戦い続けるピーちゃんと、それを心配そうに見つめるナッツだったが、ナッツハウスの周辺に突然姿見鏡が現われ、ナッツを驚かせた。

 

「あれは、神様の!?ま、まさかみんなの身に何かあったんじゃ?」

 

 ナッツは、入院している一同の身を案じ、顔から大量の汗をかいて動揺するも、姿見鏡から現われたエースを見て驚愕し、

 

「エッ!?プリキュア?でも、あんなプリキュア見た事無いナツ・・・」

 

「ナッツ!」

 

「みんな!無事だったナツ!!」

 

「ナッツの方こそ無事で何よりメポ!」

 

「エースのお陰で、咲達もみんな無事ラピ!」

 

「エース!?」

 

 動揺するナッツの下に、メップル達、フラッピ達が駆け寄り、ナッツにアン王女が変身したエースの事を教えた。見る見るナッツの目は輝き、エースへと視線が注がれた。

 

「ピィィィィ!」

 

 ピーちゃんは、自分が囮になるから、その間にアカンベエを浄化してくれとでもエースに語ったのか、自ら飛び回ってアカンベエの注意を惹きつけ、大木アカンベエはそんなピーちゃんを疎ましく思ったのか、伸ばした枝を使って捉えようとする。エースはミラクルドラゴングレイブをクルクル回転させてアカンベエに穂先を向けると、

 

「ハァァァァァ!!」

 

 エースの気合いと共に、ミラクルドラゴングレイブは目映い金色の輝きを見せると、黄金の龍のオーラが現われ、アカンベエを飲み込んだ。それを見たナッツを始めとした妖精達からは大歓声が沸き起り、エースはニッコリ微笑むも、その疲労は隠せなかった。

 

「ハァハァハァ・・・つ、次ですわ!」

 

 槍を使って再び立ち上がったエースが、ブルーに進言するも、ブルーはエースの右肩に手を置いてニッコリ微笑むと、

 

「エース・・・それには及ばない!他のプリキュア達の下に居るアカンベエは、どうやら全て倒されたようだ!!」

 

「ほ、本当ですか!?それは・・・良かったですわ!」

 

 ブルーの言葉を聞き、心の底から安堵したのか、エースはその場にしゃがみ込み、妖精達はそんなエースの為に水を持って来たりして気遣った。エースがアカンベエを倒した時を同じくして、ブンビー、ウエスターとサウラー、コッペ、メフィスト達もアカンベエを退け、ジョーカーの企ては一同の活躍で水疱に喫した。

 

(キュアエース・・・この借りは必ず返して見せますよぉぉぉ!!)

 

 バッドエンド王国で現状を知ったジョーカーの目は、怪し気に赤く輝いた!

 

 

 

「エース、本当に凄いメポ!」

 

「とても初めてプリキュアになって戦ったとは思えないラピ!」

 

 メップルとフラッピに称えられ、顔を赤くしたエースは、

 

「まあ、そのように煽てても何も出ませんわよ?これも、キュアマジシャンのご加護のお陰・・・わたくしは、その力を借りただけに過ぎません!ですが、本番はこれから・・・皆様方に呪いを掛けた相手との戦いが残って居ますわ!!」

 

 エースはそう言うと立ち上がり、夢の世界に居るであろう、ファレオとの戦いに備えた。

 

 

 

3、リフレッシュ

 

 娘達に呪いを掛けた相手が、目の前に居るファレオだと知ったママキュアオールスターズ達、これは夢の中の出来事だと、大半のママキュア達は思って居るものの、一同は、全身を包帯で覆った不気味な容姿をしたファレオを、キッと睨み付けた。真っ先に口を開いた理恵は、

 

「あなたがなぎさ達を・・・ちょっと、何か言いなさいよ!」

 

「そうよ!みんなを元に戻して!!」

 

 理恵の後にあゆみもファレオに抗議し、次々にファレオを問い詰めるも、

 

「言いたい事はそれだけか?ならば・・・実力でそうさせて見ろ!!」

 

 ファレオの包帯が怪しく揺らぎ、嘗てと同じ用に、己の分身を十体作り出し、ママキュアオールスターズへと差し向けた。ゾンビのように両腕を前に突き出し、ゆっくり向かってくる不気味なミイラの集団に、さっきまでの強気も影を潜め、ママキュア達は悲鳴を上げながら逃げ惑った。

 

「みんな、しっかりするカゲ!今のお前達は・・・」

 

「魔王・・・それは無理よ!」

 

「マアム!?どういう事カゲ?」

 

 魔王の考えでは、夢の世界ならば、プリキュアとなったママキュア達なら、ファレオとも対等に戦える筈だと考えて居たが、その考えを、夢の世界のマアムが首を振って否定した。

 

「いくら夢の世界だとは言え、今の彼女達は、ただプリキュアの衣装を着た集団でしか無いわ!彼女達のほとんどは、プリキュアに付いてほとんど何も知らないんじゃないの?」

 

 マアムの忠告を聞き、頭の回転が速い方の魔王は、見る見る顔から汗を流し狼狽えだした。あゆみ、レミ、尚子、アフロディテ以外の母親達は、自分達が娘の変身したプリキュアの姿になっているなどとは、夢にも思わないだろう事も理解した。

 

「し、しまったカゲ!?」

 

 魔王は自分の考えが甘かった事を痛感し、ママキュア達を救いに向かおうとした時、姿見鏡が出現し魔王を驚かせた。

 

「これは、神の!?・・・・・?」

 

 更に魔王は、鏡の中から現われた、見た事の無いプリキュアを見て更に驚いた。赤い髪と白と赤の衣装に身を包んだエースは、魔王の側に寄ると、

 

「魔王!現状をわたくしに教えて頂けますか?」

 

「その声・・・もしかしてアンか!?」

 

「はい!わたくしは、キュアマジシャンの力を借り、プリキュアになる事が出来ました!神様から、プリキュアの皆様方に呪いを掛けた者が、この夢の世界に居ると聞いたものですから・・・」

 

「そういう事カゲ・・・」

 

 魔王は納得し、エースに今置かれている現状を知らせた。プリキュア達の母親達の力を借りて居る事、プリキュア達の呪いを解くには、ファレオに自らの意思で解かせる事が必須で、倒す事はプリキュア達の死に繋がる事、ファレオが作り出したミイラに手を焼いて居る事などを伝えた。

 

「それは厄介ですわねぇ・・・」

 

 ファレオを浄化すれば救えるのであれば、話は早いのだが、ファレオに自らの意思で呪いを解かせるとなると、エースとしても迂闊な攻撃は仕掛けられなかった。

 

「だったら、ファレオ様に認めさせれば良いニャ!」

 

 突然二人の会話に割り込んで来た者が居た。それは使い魔のキャミーで、キャミーは、ファレオの視界に入らないように近付き話し掛けた。

 

「お前は!?認めさせるってどういう事カゲ?」

 

「ファレオ様は、ああ見えても誇り高いベレル様の配下・・・自ら認めた相手なら、呪いを解く事も有り得ると思うニャ!」

 

「わたくしが、あのファレオと決闘し、勝利すれば皆様に掛けた呪いを解く事も有り得ると?」

 

「ファレオ様は・・・見た通りの陰気くさい性格だから、確証は持てニャいけど・・・」

 

「それでも、このまま手を拱いているよりはマシですわね・・・」

 

 エースは自らを納得させるようにコクリと頷くと、ママキュア達を襲うミイラの群れを、ミラクルドラゴングレイブで一蹴し、ファレオの眼前に降り立った。

 

「ほう、貴様中々やるな?」

 

「あなたに決闘を申し込みますわ!わたくしが勝ったら、プリキュアの皆様方に掛けた呪いを解く事!!」

 

「ほう・・・で、俺が勝ったら貴様はどうする?」

 

「あなたの好きにすれば良いですわ!」

 

「無茶だエース!ミラクルドラゴングレイブを使えば、成る程君にも勝機はあるが、光の槍であるミラクルドラゴングレイブを、この戦いでは使えない!!何故なら、その強大過ぎる力は、その者事浄化しかねない!!ミラクルドラゴングレイブを使えなければ・・・」

 

 ファレオとエースのやり取りを聞いていたブルーは、表情を険しくしながらエースは諭した。エースはブルーに微笑み、

 

「神様、ご忠告ありがとうございます!ですが、このまま闇雲に時が過ぎて行くだけでは、何も救えませんわ!!可能性が少しでもあるのなら・・・わたくしは、それに掛けてみたい!!」

 

「エース・・・」

 

 ブルーはエースの表情を見て、もう何を言っても無駄だろう事を悟った。エースの言う通り、このまま時間が過ぎる事は、プリキュア達の命の危険に繋がるのだから・・・

 

「では、貴様の提案受けよう・・・精々楽しませてくれよ!ヌゥゥゥン!!」

 

 ファレオから放たれた負のエネルギーが、夢の世界に広がって行く。エースは、ブルーにミラクルドラゴングレイブを託すと、ファレオに向かって行った。マアムは顔色変えると魔王を小突き、

 

「魔王!何してくれるの!!これじゃ夢の世界が滅茶滅茶じゃない!!」

 

「ま、待つカゲ!結界を張るから・・・おい、神!ボヤボヤしてないでお前も手伝うカゲェ!!!」

 

 マアムに注意され、魔王はブルーの協力の下、夢の世界に結界を張り、エースとファレオの半径100メートルに結界を張り、これ以上負のエネルギーが広がらないように押さえ込んだ。

 

「一体、何が起こってるのかしら?」

 

「さあ?」

 

 理恵は側に居た恵美に話し掛けると、恵美は困惑気味に小首を傾げた。ママキュア達は、皆困惑顔でエースとファレオに視線を集中させた。

 

 見つめ合ったエースとファレオ、両者が睨み合い、やがて距離を取ると、戦闘が開始された。ファレオの手から放たれた、無数の包帯がエースを捉えようと蜘蛛の糸のように襲い掛かるも、エースは巧みに躱し続けながら、変身アイテムラブアイズパレットを開くも、クリスタルがバッドエンドプリキュア達の下にある今、中は鏡が付いて居る以外空洞だった。

 

(何か使えそうな物があればと思ったのですが・・・)

 

 エースは、ミラクルドラゴングレイブの扱いには慣れて居たが、キュアエースとして戦うには、まだ明らかに情報が不足して居た。

 

「ククク、どうした!?逃げてばかりだなぁ?」

 

 勝利を確信したファレオが、更に包帯をシャワーのように浴びせると、エースは避けきれず左足を包帯で絡め取られた。

 

「しまった!?」

 

「ククク、捉えたぞ!」

 

 獲物を引き寄せるかのように、ファレオが包帯を手元に引き寄せて行く。エースは逃れようと試みるも、包帯がエースの足から外れる事は無かった。

 

(クッ!わたくしが負ければ、プリキュアの皆様が・・・絶対に、負けない!!)

 

 エースの強い意志が光となり、エースの胸から真紅に輝く光のラビーズが浮かび上がって来た。エースは驚きながらもそれを手に取ると、再びラブアイズパレットを開いた。物は試しと真紅のラビーズを嵌め込んでみると、ラブアイズパレットは光輝き、鏡の中から口紅のようなルージュが姿を現わした。エースは、藁を掴む思いでそれを手に取り、左手でルージュのダイヤルを2つ回してリップを出した。

 

「いろどれ!ラブキッスルージュ!!」

 

 リップは、赤、水色、黄、紫、そしてピンクの五色の色に輝き、リップの先端が水色のまま固定されると、

 

「ときめきなさい!エースショット・・・ハァァァ!!」

 

 エースから放たれた、青い薔薇の花びらを纏った強力な水色のエネルギーが、ファレオ目掛け発射された。

 

「な、何だと!?」

 

 直撃を受けたファレオの身体は、弾力性を持つ泡の中に閉じ込められ、エースの左足に巻き付いた包帯が、呆気なくエースから外れ、エースは立ち上がった。

 

「わたくしの勝ちです!」

 

「勝ち!?バカめ!この程度・・・ヌゥゥゥゥン!!」

 

 ファレオの包帯が、まるで生き物のように揺らぎ、ファレオの身体を包み込むと、包帯は徐々に膨らみ、エースが放った泡を内側から破壊した。

 

「クッ!?」

 

 出来れば、今の攻撃で勝ちを認めさせたかったエースだったが、脆くもその考えは崩れ去った。ファレオは不気味に笑い、

 

「クククク、もう飽きた!貴様と戦うより、プリキュア達の最期を見物した方が面白い!!」

 

「何を!?ま、待って!まだ勝負は・・・」

 

「クククク、勝負など知るか!ン!?」

 

 エースとの勝負に飽きたファレオは、呪いによって苦しみながら死んでいくプリキュア達の姿を見ようと、夢の世界から撤退しようと試みるも、その前にキャミーが立ち塞がった。

 

「待つニャ!ファレオ様、今の言葉は聞き捨てならないニャ!!ベレル様なら、こんな事きっと認めないニャ!!」

 

「使い魔の分際で、俺に説教か?フン、俺は、自らの呪いによって苦しむ姿を見る事が生き甲斐・・・何だ!?」

 

 ファレオは違和感を覚えて居た・・・

 

 何か引っ張られるような感覚が、ファレオの身体に伝わって来た。エースの仕業かと見つめるも、エースは戦いを続けさせようとしていて、そんな仕草は見られなかった。ならば魔王かと見て見るも、魔王もマアムの側に居て、特に手出しはして居なかった。ファレオが違和感の感じる包帯の先を見て行くと、そこにはママキュア達が群がって居た。ママキュア達は、皆手に何かを持って居て、エースショットで出来た泡の破片を利用し、ファレオの包帯を洗って居た。

 

「全く、さっきから気になってたのよねぇ・・・」

 

「本当!こんな薄汚れた包帯じゃ、良くなるものもならないわよ!!」

 

 えりかの母さくらが、りんの母和代が、包帯を手に取りゴシゴシ汚れを洗うと、ファレオは、

 

「お前らぁぁ!俺が長年掛けて身に染みさせた汚れを・・・」

 

『ゴシゴシ!』

 

「止めろぉぉぉ!」

 

 ファレオの汚れた包帯を洗うママキュア達を見て、ファレオは、日頃見せた事の無い激しい動揺をし、慌てて止めさせようとする。ブルーは何かに気付き、

 

「エース、ファレオの動きを止め、あの包帯を浄化してみるんだ!本体じゃないならあるいは・・・」

 

「神様!?分かりましたわ!いろどれ!ラブキッスルージュ!!」

 

 エースは再びラブキッスルージュを取りだし、リップは、赤、水色、黄、紫、そしてピンクの五色の色に輝き、リップの先端が紫のまま固定されると、

 

「ときめきなさい!エースショット・・・ハァァァ!!」

 

 エースは、四角形の星屑を纏った、紫色のエネルギー波を発射すると、ファレオの動きを封じた。

 

「皆様、今です!もっと包帯を引っ張って下さい!!」

 

「皆さん、行きますわ!・・・そぉぉれ!!」

 

 エースの合図と共に、ラブの母あゆみの音頭の下、一同が包帯を引っ張ると、ファレオは身体がクルクル回りながら、包帯をどんどん剥ぎ取られ、数分後には全て無理矢理剥ぎ取られ、赤黒い干からびたミイラが姿を現わした。

 

「み、見たなぁ!?我が全てを・・・お前らぁぁ!呪ってやる!!絶対呪ってやるからなぁぁぁぁ!!!」

 

 触れただけで折れそうな両手足、見て居るだけで哀れみを感じるファレオの正体に、魔王も、ブルーも、キャミーも、さしものエースも呆然として居たが、我に返ったブルーは、

 

「今だ、エース!包帯を浄化するんだぁぁ!!」

 

「ハイ!」

 

 リップの先端が赤のまま固定されると、エースは三度ラブキッスルージュを構え、

 

「ときめきなさい!エースショット・・・ハァァァ!!」

 

「嘘、嘘、呪わないからぁぁぁ!止めてぇぇぇぇ!!」

 

 さっきまでの強気な態度は消え失せ、哀願するようなファレオの言葉に胸を痛めながらも、エースは、赤い薔薇の花びらを纏った、強力な赤いエネルギー波を発射し、ファレオの包帯を包み込んだ。

 

「アデュー!」

 

 エースは包帯に向けウインクすると、エースショットに包まれて居た包帯から、ドス黒いオーラが沸き起り、見る見る消滅した。包帯は、クリーニング屋も驚く、驚きの白さで新品同然になり、ファレオは力なくその場にヘナヘナ崩れ落ちた・・・

 

 力なく倒れ込んだファレオに、ママキュア達が近付き包帯を巻き始めた。理恵はファレオの右手を取ると、

 

「あんなくすんだ包帯をして居るから、妬んだ性格になるのよ!はい、右手を出して!!」

 

 力なく右手を出したファレオの手に、包帯をグルグル巻いていく、他のママキュア達も同様に巻き続けて居ると、

 

「俺は、お前達の娘に呪いを掛けた相手なのに・・・」

 

「それはそれ、これはこれ・・・それに、もう呪いは解いてくれるんでしょう?」

 

 あゆみがファレオにウインクすると、ファレオは思わず天使なようなその顔に見惚れ、顔を背けて頬を染めた。

 

(何だこの気持ちは!?何だかこの数千年・・・)

 

 ファレオは、積年の負の力に覆われた包帯から解放された事で、まるで自分が生まれ変わったかのような、妙な爽快感を感じて居た。もうプリキュアに対する蟠りも完全に消え去って居た。全ての包帯が巻かれ終わった時、ファレオは両腕を伸ばし、清々しい気持ちに自然と言葉を発し、

 

「リフレッシュ!!」

 

 エースとファレオは思わず顔を見合わせると、

 

「まあ!?」

 

 キャミーも、そんなファレオの変化に驚き、

 

「ファレオ様!?」

 

「負けた!負けた!俺の負けだ!!キュアエース、お前にと言うより・・・あそこに居る母親達にな!!」

 

 ファレオはそう言うと、再び雑談に興じる母親達を見て目を細め、

 

「さあ、娘達の所に帰るが良い!もう目を覚ました頃だろう・・・」

 

「エッ!?じゃあ、呪いは?」

 

「さっき言っただろう、俺の負けだってな!ついでに、プリキュア達には呪いに対する耐性を付けてやった。今後の戦闘で、例え呪いの攻撃を受けようと、呪いが発動する事は無い!!キュアエース、お前にも付けてやろうか?」

 

「け、結構ですわ!」

 

 ファレオの申し出を、エースは苦笑気味に断った。だが、この選択が後に、トランプ王国崩壊の切っ掛けを作るとは、この時のエースには知る由も無かった・・・

 

 

 魔界・・・

 

 ベレルは、巨蠍宮で胡座を掻き、精神を鍛えていると、背後から声を掛けられた。ベレルが振り向くと、そこには畏まるように片膝付いて居たファレオの姿があった。

 

「ファレオ、戻ったか!」

 

「ベレル様、この度は勝手な振る舞いを居たし、申し訳ございません!」

 

 ファレオの言動に思わずベレルは驚き、マジマジとファレオの全身を見た。以前のファレオからは、負のドス黒いオーラが包み込み、息苦しさすら覚えて居たが、今目の前に居るファレオからは、そんなオーラが消え去り、戦士としての誇りすら現われて居た。

 

「ウゥゥム・・・ファレオ、何があった!?以前の貴殿とは別人なようだぞ?」

 

「フフフフ、プリキュア達、その母親達の愛に触れたから・・・とでも申しておきましょう!まるで生まれ変わったかのように爽快な気分です!!」

 

「ウゥゥム・・・貴殿からそのような言葉を聞く日が来るとはなぁ?」

 

「これも、プリキュア達のお陰と申しましょう・・・ハハハハハ!では、今回の騒動の責任を取り、しばし謹慎致します!!」

 

「待て!その必要は無いぞ!!拙者もシャックスの申し出を受けたのだからな・・・後でもっと向こうの世界の事を知らせてくれ!!」

 

「ハイ!ありがたき申せ!そうそう、使い魔のキャミーでございますが、もう少し人間界に居たいと言っていましたが、如何致しますか?」

 

「何!?キャミーが?・・・まあ、良かろう!ワシから伝えておこう!!」

 

「ハッ!では、ゴメン!!」

 

 ファレオがまるでスキップするかのように去って行くと、ベレルは思わず呻き、ファレオの陰湿な性格を変えたプリキュアに、更なる興味を持つのだった・・・

 

 

 ナッツハウス・・・

 

 呪いが解けた事で、なぎさ達一同は元気を取り戻し、妖精達やブルー、アン王女に対してささやかなお礼を兼ねたパーティーを開いていた・・・

 

「いやぁ、そんな事になってたとは、ちっとも知らなかったよ!」

 

 苦笑を浮かべたなぎさが、頭を掻きながら暢気そうに言うと、メップルはやれやれと言った表情で溜息を付いた。ほのかはクスリと笑いながら、

 

「フフ、本当!それに、アン王女もプリキュアになって居た何て・・・」

 

「だよねぇ、あたしも見たかったなぁ・・・」

 

 えりかも腕組みしながらウンウン頷いていると、魔王は軽く咳払いし、

 

「ゴホ!写真ならあるカゲ!!」

 

「エッ!?本当?見せて、見せてぇぇ!」

 

 のぞみが目を輝かせながら魔王に頼むと、アン王女は慌てて立ち上がり、

 

「ま、魔王!何も皆さんに・・・アッ!?」

 

 顔を真っ赤にしながら動揺するアン王女、魔王から写真を見せて貰った一同だったが、正面で恥ずかしそうにピースをするエースの周りに、自分達の衣装を着た母親達の姿を見て呆然として居た・・・

 

(お母さん・・・良い歳して何て格好を!?)

 

 なぎさが・・・

 

(お母さん・・・恥ずかしいよ!)

 

 ほのかが・・・

 

(アカネさん・・・ルミナスの姿になってまで、迷惑掛けてゴメンなさい!)

 

 ひかりが・・・

 

(アハハハハ・・・自分で言うのも何だけど、お母さん、似合って無いよ!)

 

 咲が・・・

 

(お母さん・・・)

 

 舞が・・・

 

(ウワァ!お母さん、ドリームの格好似合わないなぁ・・・制服ならいけるかなぁ?)

 

 のぞみが・・・

 

(アチャァ・・・何て格好してるのよ・・・)

 

 りんが・・・

 

(お母さん・・・何だか楽しそう!)

 

 こまちが・・・

 

(お、お母様・・・このような姿にさせて申し訳ありません!)

 

 かれんが・・・

 

(お母さん・・・これはこれで有りかも!?)

 

 ラブが・・・

 

(ママァァ!何嬉しそうにピースしてるのよぉぉぉ!!)

 

 美希が・・・

 

(お母さん・・・恥ずかしそう!)

 

 祈里が・・・

 

(お母さん、恥ずかしそうにしてますねぇ・・・)

 

 つぼみが・・・

 

(オォォ!?何じゃコリャァ?)

 

 えりかが・・・

 

(お、お母様・・・何でサンシャインの姿に!?)

 

 いつきが・・・

 

(お母さん・・・アフロディテ様とやけに親しそうにしてるわねぇ?)

 

 ゆりが・・・

 

(ママ・・・結構イけてるかも!)

 

 響が・・・

 

(これはこれで有り・・・ハッ!?私ったら何言ってるの?)

 

 奏が・・・

 

(ママ・・・凄く嬉しそう!でも、隣に居る人誰だろう?)

 

 アコが・・・

 

(ワァァァ!お母さん似合ってるぅぅ!!エへへへ!!)

 

 みゆきが・・・

 

(母ちゃん、勘弁してやぁ・・・)

 

 あかねが・・・

 

(ウワァァ!ママ素敵!!)

 

 やよいが・・・

 

(お、お母ちゃん・・・お、お腹がぁぁぁ!)

 

 なおが・・・

 

(流石はお母様!お似合いですわ!!)

 

 れいかが・・・

 

(お母さん、何て格好してるの?恥ずかしいよぉぉ・・・)

 

 あゆみが・・・

 

 皆それぞれの母親の衣装を見て、心の中で驚きの声を上げて居た。なぎさは咳払いしながら、

 

「アン王女もエースになれたし・・・」

 

「私も心強いです!」

 

 真琴も嬉しそうにアン王女を見つめるも、アン王女は少し憂いの表情を浮かべ、

 

「それなのですが・・・実は、わたくしがプリキュアになれたのはあの時限り、何度か試して見ましたが、エースになる事は出来ませんでしたわ!」

 

 アン王女はそう告げ、あの時はキュアマジシャンの加護があったから、エースになれた事を実感し、一同に語った。

 

「ですが、きっとわたくしも再びエースとなり、皆さんと共に戦える日が来ると信じて居ますわ!」

 

 アン王女は、ジョーカーから取り戻した、変身アイテムラブアイズパレットをギュッと掴み、改めて一同に共に戦う事を誓った!

 

 

 魔界・・・

 

 宝瓶宮に居たシャックスは、ファレオが失敗した事を知るも、さしたる動揺も見せず、何かを思案して居た。

 

(今まで手下達によって得たプリキュアについての情報、そして、此度のファレオさんの情報を総合すれば・・・精神的に弱らせる事が一番のような気がしますねぇ!)

 

 シャックスは長い舌で唇をペロリと舐めると、

 

「次は私自ら出掛けてみますか!フフフフフ!!」

 

 シャックスの不気味な笑い声が宝瓶宮に響き渡った・・・

 

           第百三話:アンジュ~キュアエース~

                   完




遅くなりましたが、第百三話投稿致しました!

3日にひいた風邪の影響で、会社を二日半休むなど先週は散々でした・・・
目の方もあまり芳しく無く、月一投稿出来れば良い方な状態です!!
もう一つの連載作品は一週間分予約投稿してるので影響ほとんど無いんですけど、プリキュアはその都度書いてるもので、どうしても影響出てしまいます・・・

魔法つかいプリキュア、公式で三人目も発表され楽しみでありますが、可愛いはーちゃんの姿も見納めかと思うと少し寂しくもあります・・・

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