オレを踏み台にしたぁ!?   作:(╹◡╹)

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八神さんファンの方、気分を害されましたら申し訳ありません。


少年と友達・下

「そろそろハッキリさせておきませんか? 桜庭くん」

「………」

 

 目の前には白衣を身につけた壮年の男性。その光る眼鏡がオレの一挙手一投足を見守っている。

 オレが今いるここは海鳴総合病院の内科診察室。断じて取調室などではない。……その筈だ。

 このやり取りにうんざりしてるのはお互い様だろう。彼は何度目かとなる質問を口にしてきた。

 

「もう一度だけ尋ねますよ。キミが口にしてしまったものについて教えて下さい」

「……ビーフ・ストロガノフです」

 

 嘘はついてないよ? というより他に言いようがないよ? 謎の物体Xとでも言えばいいのか。

 あかんでしょ… 女の子の手料理を“物体X”呼ばわりしちゃ。昨日のこと? 刹那で忘れた。

 彼女がビーフ・ストロガノフと主張し、オレがビーフ・ストロガノフと認める。ならばそれは…

 

 そう、ビーフ・ストロガノフ(滅)とかそんな感じのナニカなのだよ。類似品にご注意下さい。

 

 ………

 ……

 …

 

「……ふぅ」

 

 あれから暫しの押し問答を経た末、看護師さんの「次の患者さんがお待ちです」で水入りした。

 ナイスだ、笑顔の似合うナースさん。結婚して下さい。……すんません、調子に乗りました。

 なんか「未知の毒物の可能性が」とか言ってた気がするけれど、多分オレの聞き間違いだろう。

 

 今回は悠人少年ボディが貧弱だっただけ。それで妹さんに迷惑をかけるわけにはいかないよね。

 メシマズくらい各人の男女間で解決すべきだろう。いや、男男間とか女女間かもしれんけど。

 調子悪くなったらいつでも来てくださいと言われたけれど、其れは丁重にお断りしたいのです。

 

 そう何回も倒れるわけにもいかないし… よし、明日はちょっと奮発していいもの食べるかな?

 ここで身体を鍛えるとか言い出さないところにオレらしさを感じる。しんどいのは嫌いです。

 そんな情けない決意表明を胸に秘めつつ、薬局窓口を探す。探している… うん、迷いました。

 

 いつものオレですね。安心した(現実逃避)。

 

「………」

 

 なんか違う病棟にやってきちゃった気がするぞぅ。はてさて、全くどうしたものか。……おや?

 

「……んね、……てちゃ…」

「そん…、………ですよ。私も…」

 

 あそこで誰かと話をしているのは… 車椅子のような“銀の戦車(シルバー・チャリオッツ)”、少し柔らかな関西弁。

 かつて図書館内の喫茶店でオレの心をこれでもかという程に抉った、天敵・八神じゃないか。

 ヤツは確かこの病院の馴染みだったはず… つまり、薬局へのルートも知っていることになる。

 

 薬局まで案内してもらうか? ふと頭に浮かんだ案について、オレは検討を試みる。

 

「うん、ないな」

 

 0.1秒で却下した。全く以てありえない。何が悲しくてわざわざ心を抉られねばならんのか。

 しかも小学校低学年くらいの幼女に。オレはそういう特殊性癖のドMな人じゃないんですよ。

 ビビったわけじゃない。ヤツと対峙するには備えが足りない。そう、コレは戦略的撤退なのだ。

 

 さて、元きた道を帰るか。

 

 ――ゴスッ!

 

 心の言い訳を完了し、振り返って元きた道を逆行しようとしたオレに鋼鉄の衝撃が襲い掛かる。

 

「ぎゃぼー」

「あらぁ… ごめんなさいねぇ、ボクぅ? 怪我とかしてないかしらぁ?」

 

 看護師さんが押していたカートに衝突してしまった模様。病院内での急反転は気をつけようね!

 なんで病院内で負傷しているんだろうか、オレは。ていうか激しく痛いんですけど。マジで。

 だが、痛みに悶絶している暇はない。一刻も早くここを立ち去らねばヤツに捕捉されてしまう。

 

 そう、“ヤツ”に…

 

「お? ゆーとんやん」

 

 はい、アウトォ~~~ッ! というか、なんだよ“ゆーとん”って。人違いか? 人違いなのか?

 そうと決まればハヤテのごとく! 撤退だ。ヤツが誰と勘違いしたが知らんが些細なことだ。

 アダ名の可能性もあるが… ヤツとの浅い付き合いを考えれば真っ先に否定される推論だろう。

 

「いえ、人違いです。それじゃ」

「桜庭悠人。で、ゆーとん… やろ?」

 

 “桜庭悠人”ですけど“ゆーとん”ちゃいまんがな。いや待て、そもそもオレは悠人少年ではない。

 

「ごめんねぇ、ボクぅ? 怪我があるといけないしぃ、一緒に診察室に行こっかぁ?」

「………」

 

 やけに間延びした喋り方をしてくる看護師さんに、ほんの少しイラッとするが今は救いの手だ。

 さぁ、この蜘蛛の糸に捕まって脱出だ! また会おう、八神くん! 気分は怪人二十面相だ。

 

「いや、大丈夫ですて。こう見えてゆーとんはほんのり頑丈やし」

「あら、そぉお? でも本当にごめんなさいねぇ。それじゃ急ぎだから、失礼するわぁ」

 

 だからゆーとんちゃいまんがな。じゃなくて何故おまえが答えるし! 何故おまえが答えるし!

 平気か平気じゃないかって聞かれれば平気だけどさ! 脱出にだけ使う予定だったけどさ!

 そうこうしているうちに、救いの手という名の看護師さんはカートを押して立ち去っていった。

 

 その場には、八神と八神の話し相手だった人とオレ… この3人が残される。

 

「………」

 

 さぁ、どうする? 考えろ、考えろ、考えろ… オレはどうすればいいんですか、安西先生!?

 ――“諦めたら?” おい、ふざけんな。それゲームセットしちゃうだろ。使えねぇ先生だな!

 オレは諦めないぞ。そうとも、諦めない心に希望は宿る。希望は絶望なんかに負けないんだっ!

 

「おーい、どしたゆーとん。さっきのカート、やっぱ痛かったんか?」

 

 己が危機的状況だからといってただ屈するべきなのか? 答えはNOだ。精一杯抗ってやろう。

 そう、人間らしくな! ……開き直っただけともいう。まぁ気持ちで負けないのが重要だし。

 立ち上がり、何事か語りかけてる八神へ向き直る。……ただ、オレのすべきことを為すために。

 

「よう、八神! もうかりまっか?」

「? ……ぼちぼちでんな」

 

「それはなにより。これはウチで採れた缶コーヒーだ。是非貰ってくれ」

「ど、どうも… って、え? 缶コーヒーって収穫できるモンなん?」

 

 できるのさ! 悠人少年の家の冷蔵庫限定でな! でも、そろそろなくなりそうで嬉しいです!

 そして会話の中で自然にブラックの缶コーヒーを持たせるのは紳士の嗜み。もう常識だよね?

 あとはこのまま爽やかさを維持して、スタイリッシュに立ち去るだけ。完璧な計画ではないか!

 

 缶コーヒーは渡した。あとは… お見せしよう、王者の逃げ足をッ!

 逃げるのに王者とはこれ如何に。まぁ、細かいことは捨て置こう。そのままムーンウォークを…

 

「じゃ、そういうことで」

「おう、待たんかい」

 

 ――ガシッ

 

 だがオレのムーンウォークは不発に終わった。知らなかったのか? 八神からは逃げられない。

 逃げられぬようにしっかりと八神に捕まってしまった自分の腕を見て、思わず呟いてしまう。

 

「ウゾダドンドコドーン」

「何がドンドコドーン、やねん。いきなり逃げようとしくさりよってからに」

 

「……そういうおまえはポンポコポーン」

 

 流石オレ! 最近調子に乗ってる豆狸さんに、ちょっと上手いこと言ってやったぜ!(ドヤッ)

 

 ――ゴスッ

 

「……殴るで?」

「もう既に殴ってるんですが、それは」

 

 いやもうホント勘弁して下さいよ、八神さん。いまどき暴力系ヒロインなんて流行りませんよ?

 まぁ、そもそもオレと絡んでる時点でヒロインから遠のいてるわけだが。もっとこう… ね?

 キミには、日常系のゆるゆるで百合百合なハートフルストーリーとか似合ってると思うんです。

 

 分かるかな八神くん? 断じて“Hurtfull(傷だらけ)”じゃないよ? “Heartfull(心温まる)”だよ?

 キミがすべきことは、ここで銀髪オッドアイの色物系少年と漫才を繰り広げることではない。

 そのすぐに興奮する癖さえ治まれば、柔らかな関西弁の萌え系美少女として認知されるはずだ。

 

 血で血を洗うバトル漫画にいるような好戦的な性格をしているが、キミの適性はそれじゃない。

 ……はずだ、多分。うん。きっと。出会った当初は、親切で優しげな少女だったじゃないか。

 オレは一縷の望みを賭けて彼女の肩に手を置き、可能な限り優しい目で、八神に言い聞かせる。

 

「……分かるね? 八神」

「分かるかドアホウ」

 

 恐ろしく速いツッコミ… オレでなきゃ見逃しちゃうね。

 

 じゃなくて、何0.1秒で切って捨ててはるんですか八神さん! 折角のオレの気遣いをぉ!?

 やっぱりアレか。説明省いたのがアカンかったのか? そこは分かれよ、イノベイターなら!

 ダメか? ダメなのか? 緑色の光を当てないとダメなのか? トランザムバーストすべきか?

 

 だけどまぁ、分からなかったものはしょうがない。ここは大人であるオレが譲るべきだろうな。

 

「まぁ、八神は八神だからなぁ… 分からないならしょうがない」

「………」

 

「いちからか? いちからせつめいしないとだめか?」

「よう分かった。つまり喧嘩を売ってんねんな」

 

 何故か、八神の殺気が膨れ上がる。オレは平和的に話し合いをしようとしてたのに… 解せぬ。

 とはいえこのままでは危険がピンチだ。“銀の戦車(シルバー・チャリオッツ)”を所持する八神の破壊力は侮れない。

 どうする、土下座か? 土下座なのか? オレの小さなプライド的にいつでもウェルカムだぞ!

 

「フフッ、とっても仲がいいのね」

「あっ、石田先生」

 

 だがその緊迫した空気は、第三者の発言により雲散霧消を遂げる。そういえばもう一人がいた。

 この声… 女性か。この女性のお陰で土下座を免れたならば、こちらもお礼くらい言わねば。

 そう思い振り返ったところ… オレは目の前の女性にとんでもない衝撃を受けることになった。

 

「あ、ども… 桜庭悠人です」

「はい、どうもこんにちは。はやてちゃんの担当をしている石田幸恵です」

 

 思わず見惚れて言葉少なな挨拶をするオレに、笑顔で対応してくれるとんでもない美人がいた。

 え? マジでどうなってんの海鳴。美人しかいないのは分かってたけどさ… これは流石に…

 翠屋の桃子さん(苗字は知らない)も相当な美人さんだったが、この人もごっつ美人ですやん。

 

 こんな人がいたら前世(?)なら「美人すぎる女医がいる病院」とかで特集組まれてそうだが…

 

「随分と仲良しさんみたいだけど、はやてちゃんのお友達かな?」

「まぁそんな感じですやろか。……すんません、勝手に盛り上がってしまってお恥ずかしい」

 

「えっ? 友達だっけ」

「あぁん? なんぞ文句でもあるんか?」

 

「アッ、イイエ。ナンデモナイデス」

「フフッ、本当に仲がいいのね。私じゃ割って入れないみたい」

 

 ちょっ、石田先生ィ!? 今、オレってこの豆狸めにあからさまに脅迫されてましたよねぇ!?

 見逃さないで、目の前の少年のSOSサイン! この先生の担当は眼科じゃないのは確実だ!

 てか、オレと八神っていつ友達になりましたっけぇ!? 舎弟とか子分じゃないんですかねぇ…

 

「もう、そんなことないですよ~。半分腐れ縁みたいなもんやし」

「………」

 

 なんかなし崩しに既成事実化された気がする。自分の瞳が淀んでいるのが分かるが致し方ない。

 触らぬ神に祟り無し… 実際、目の前に凶暴な野良狸がいたら皆さんはどうするのだろうか?

 オレは刺激せずにそっと機をうかがうしかないと思う。そう、今は雌伏の時。忍耐の時なのだ。

 

 見守っててくれ! 友達一号の脳内妄想の夢電波たち! ……うん、少し心折れそうになった。

 

「これからもはやてちゃんの友達として、色々気を付けてあげてくれるかな?」

「先生、私はそんな…」

 

 思ったより早くその好機は巡ってきた… 八神も予感をしたのだろうか、表情を曇らせている。

 だがユージン=R=桜庭、容赦せん! 今こそ反撃の狼煙をあげる時だ! 覚悟しろ、八神!

 

「石田先生… 残念ですが、それは約束できかねますね」

「ゆーとん…」

 

「あら、どうして?」

 

 クックックッ… 八神め、不安そうな顔をしてオレを見ているな。やはり告発を恐れているか。

 気分は“帰りの会”のイジメを受けた生徒Aだ。そう、普段のヒエラルキーが逆転する瞬間だ!

 そこで「ぼくいじめられてます」とか発言したらどうなるか? 結果は火を見るより明らかだ。

 

 悪いな、八神。だがコレもキミの将来のためだ。手を緩めることなどありえん! フハハハハ!

 

「オレと八神の関係は本来図書館で二言、三言の言葉を交わす程度のモノです」

「……そう、なの?」

 

 まずは深い仲と誤解されてるようなので、客観的な事実を提示して誤解を解く。会話の基本だ。

 

「確かに、時に世間話混じりに一緒に外出したり食事を取ったりはしますが…」

「……あの、凄く仲良く感じるのだけど」

 

 誤解を招きかねないとはいえ事実は事実として認めねばならない時もある。認識は悪じゃない。

 それにコレは更なる事実の布石でしかない。後に公表する事実の説得力を増すための… な。

 肉を切らせて骨を断つ。自分にとって不利益な事実を公表するからこそ、得られる信頼もある。

 

「何故かオレは大抵殴られたりボコボコに論破されたりします。容赦ありません、この豆狸」

「なんやとぅ?」

 

 睨まれた。コワイ! だがもう遅い… イジメの事実は石田先生にしっかりと伝わったはずだ。

 あとはオレが無垢で無力ないじめられっ子を装うだけ。そう、喧嘩両成敗ではいかんのだよ。

 つまり「ぼくはなかよくしたいんですけど、あのこが~」が重要になる。うん、カスだねオレ。

 

「……確かに彼女は料理も得意だし、頭も良く、性格も親切で心優しい」

「……桜庭くん」

 

 キチンと彼女の良い所をあげていく。何故か? 先生は妥協点がないいがみ合いを嫌うからな。

 ならばどうする? そう、相手の良いところにも目を向けてる生徒に肩入れしたくなるもの。

 物分りの良い生徒Aを演じて、必然的に2vs1の状況を作り出す。……卑怯とは言うまいね?

 

 ていうかこの豆狸が親切で心優しいのはオレ以外限定だが。

 

「だが、オレと彼女の間に限っては気を遣う・遣わないという関係は存在しないのです」

 

 そう… オレとこの豆狸の間には、大人に当然備わっているような気遣いの関係は存在しない!

 オレは手を差し伸べた。にも関わらず、凶暴な豆狸に振り払われた。この構図が重要。OK?

 ここまでハッキリ言えば、眼科が必要になるレベルの残念美人な石田先生にも伝わっただろう。

 

「そう、だったのね… まさかキミくらいの年齢の子に教えられちゃうなんて。先生失格かな?」

「気にしないでください。こういうことに年齢は関係ありませんよ」

 

 イジメは社会現象なのだ。大人は大人で、子供は子供でコミュニティは閉鎖されているものだ。

 気付かぬのも無理はない。だが石田先生は今気付いてくれたじゃないですか。そうでしょう?

 恐らく、石田先生は責任感が強い人なのだろう。だが間違えない完璧な人間なんていやしない。

 

 それに反省は後からでもできる。今すべきことは、分かってますね? 満面の笑みで先を促す。

 

「フフッ… 確かに、“これ以上”仲良くなることは求められない関係よね」

「違う、そうじゃない」

 

 思わず素で突っ込んでしまった。どうしよう、この先生天然なのか? 天は二物を与えず、か?

 いや、それも萌え要素なんだけど… 違うでしょ? オレの求めていた回答と違うんですよ。

 

「そうだったわね… はやてちゃん」

「ひゃい!」

 

 と思ったら八神の前でしゃがみこんで、しっかり目を見て向き合う。……ふぅ、分かってたか。

 プークスクス… 八神のヤツ緊張で噛んでやんの。まぁ、いよいよとなったら助け舟は出す。

 それまではその無駄に凶暴なところはしっかりと指摘してもらって矯正に励むべき!(キリッ)

 

「ごめんなさい。あなたの背負い込み過ぎるところが心配で、つい… ううん、言い訳ね」

「そんな、先生… 頭を上げてください」

 

 んん? 何故に先生が謝っているのだろう?

 

「でもあの子が教えてくれたわ。それも含めてあなた… はやてちゃんなんだって」

「先生…」

 

 なんかいい話になってないかい? おーい。

 

「あの子はあなたの全てを、あるがままに受け入れてくれてる。……いい友達を持ったわね」

「……はいっ!」

 

「What’s?(訳:ナニイッテルンダアンタイッタイ)」

 

 何故こうなったし。何故こうなったし。……誰かオレに分かるように説明して欲しい。三行で。

 だが彼女ら二人は混乱に打ち震えるオレのことなんてお構いなしに二人の世界を作っている。

 百合か? 百合百合なのか? でも、ゆるゆるで百合百合な話はもう少し後にして欲しかった。

 

 そして石田先生は立ち去り、薬局でお薬を受け取ったオレと八神は病院の入口で別れることに。

 

「あんな、ゆーとん…」

「ハイ、ナンデショウ」

 

 そう… オレの謀反をこの凶暴な豆狸が見逃すはずもない。むしろこの機会を待っていたのか?

 

「誕生日、楽しみにしてるで? ほなな!」

「oh...」

 

 これはアレですよね。「屋上へ行こうぜ」的な呼び出し文句ですよね? オレの処刑のための。

 いや待て冷静に考えよう。幾ら相手が凶暴な豆狸だとしても分類上は小学校低学年の女の子。

 ボコにされるとしても死ぬことはないんじゃないだろうか? ……でも悠人少年貧弱だしなぁ。

 

 いやしかし、八神といえども“友達”と自分から言った相手を死ぬまでボコることはないのでは?

 そう、そうだよ! アイツはさっきオレ自身も言ってたとおりいいところが一杯あるじゃん!

 料理上手だし、お節介だけど親切だし、手の付けられない乱暴者ってだけで。……ダメじゃん。

 

 だけど、うん。友達… 友達か。夢電波以外では初めての友達か。うんまぁ… 悪くないかな?

 

 ………

 ……

 …

 

 そんなアレコレを考えながら帰り道を進んでいると、何故かいつも通りに道場に辿り着いてた。

 

「おや、今日も来たんだね? 学校は休んだと聞いたから心配していたんだよ」

「……えぇ、はい。病院行った帰りに、足が自然とこちらに」

 

 習慣ってコワイ! ていうかなんでこのウェイターさんはオレが休んだこと知ってるのだろう。

 ストーカーじゃないよね? 違うと言ってください! お願いします、なんでもしますから!

 

「ははは、いい心がけだ。じゃあ今日も素振り一千回いってみようか」

「ウボァー」

 

 オレは死んだ。スイーツ(笑)。……ちくしょー、明日はいいものを食べて栄養を付けるぞぅ。




中の人が八神さんを過剰に恐れるのは全て自業自得です。

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