フルメタルWパニック!!   作:K-15

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遅くなってしまいましたがようやくアレが登場します。
そのかわり彼のセリフが少ないですが。


第5話 夜空に輝く流星

動き出したベヘモスを止めるべくマオの乗るM9は走る。

刻一刻と市街地へ迫るベヘモスを食い止める策は未だにない。

それでも何もせずに見ている訳にはいかなかった。

 

「とにかく市街地への進行を阻止しないと」

 

「それには動力部か脚部を破壊するしかない。だがあのASにはラムダドライバがある、通常の武器では破壊出来ない」

 

「前にクルツが言ってた装置ね、だったらどうするって言うのよ。このまま何もできないで見てるだけなんてごめんだからね」

 

「ラムダドライバーに対抗するにはこちらもラムダドライバーを使うしかない。だが今はアーバレストはない」

 

「結局何もできないって訳?」

 

ラムダドライバーを搭載したASに通常兵器はまったく通用しない。

M9は40ミリライフルを装備しているが例えラムダドライバーがなくても40メートルを超える巨体のベヘモスに効果があるのかは怪しい。

このまま戦闘になっては一方的にやられてしまう、何とか打つ手はないものかと思考する2人にヘリで退避したテスタロッサから通信が来た。

 

『方法ならあります』

 

「大佐殿、ご無事で?」

 

『はい、かなめさんも大丈夫ですので安心してください。それよりも今は時間がありません。これからダナンの軌道ミサイルにアーバレストを乗せて発射します。相良さんは機体の回収、マオはそれまで敵の注意を逸らしてください』

 

通信機から送られてくる上官の声に耳を傾ける2人、宗介に守られてきた彼女だが今は頼もしい上官の声に変わっている。

あとは上官からの指示に2人は命懸けで遂行するのみ。

 

「わかりました、それで投下地点は?」

 

『東京国際展示場です。そこなら投下時の被害も少ないですし相良さん達の位置から一番近いです。それまでマオは敵をかく乱してください』

 

「了解しました、わかったなマオ?」

 

「簡単に言ってくれるわね。その間1人であのデカブツの相手をするアタシの身にもなってよ」

 

『すみません、今はこれしか方法が思いつきません。でもこれが最善の方法です』

 

歩くたびアスファルトを踏み砕いていくベヘモスに迷っている暇はなかった。

このまま戦うようりは少しでも可能性の高い方法を取るべきだと言う事はマオも理解している。

 

「はいはい、わかったわよ。でも宗介が来るまでだかんね。全速力でミサイルをかっ飛ばしてちょうだい!」

 

『わかりました』

 

「宗介も全力で投下地点まで走んなさい!途中で休んだりしたらケツに鉛玉ぶち込むからね!」

 

「肯定だ、この距離なら15分で行ける。マオ、陽動は任せる」

 

宗介は走って投下地点の東京国際展示場に向かう。

マオはしょうがない、と愚痴をこぼすと待機させてあるM9にアンカーを使わずに装甲の隙間に足を掛けてコクピットまでよじ登る。

パイロットは備え付けてあるアンカーなどなくとも搭乗できるように訓練されているしものの数秒でマオもやってのけた。

 

「さて、んじゃ行くとしますか。15分死ぬ気で突っ込むよ!」

 

モーター音を唸らせてM9は夜の市街地に飛んだ。

 

///

 

エンジンの爆音が響くヘリコプターの中でかなめはテスタロッサの通信会話を聞いていた。

軍人なのに運動がまるで駄目で大丈夫かと心配になるくらいひ弱な彼女だがその時は違っていた。

真っ直ぐなまなざしはテスタロッサの決意を物語っている。

それを理解できるかなめだが自分たちを守る為に戦地へ残った2人が気になってしょうがない。

 

「宗介のASが届くまでマオさん1人で相手するの?」

 

「そうです、ラムダドライバーに対抗するにはこちらもラムダドライバーを使用するしか手はありません」

 

「そうだとしてもあんなにでっかいの1人で大丈夫なの?」

 

「無茶なのは重々承知です。ですが先ほど彼女にも言ったようにこれが一番可能性が高い方法です」

 

無茶で無謀なのはみんな理解している。

マオを思うかなめだが別の方法を思いつくわけでもなくこのまま見守ることしか出来ない。

何も出来ない自分をもどかしく感じながらもシートに腰を下ろすと窓から外を見た。

歩を進めているベヘモスはもうすぐ港を出るのくらいまで歩いてきた。

警察も自衛隊もかつて経験のしたこともない出来事に対応が追い付いておらずベヘモスを拒む物は何もない。

このまま無謀な作戦を祈るしかないと思っていると星の輝く夜空に光が見えた。

 

「アレってさっきテッサが言ってたアーバレストを乗せたミサイル?」

 

「そんな筈はありません。いくらなんでも早すぎます。そうなると敵の増援」

 

「ウソ、それじゃあ宗介とマオさんがますます不利になっちゃうじゃない。こっちも味方を呼ぶとか出来ないの?」

 

「今からでは遅すぎます。例え呼べて2人は助かってもここは戦場になります。そうなれば誰かが犠牲になります」

 

非常な現実ではあるがかなめは認めるしかない。

再び見上げた夜空の光は流星となってこちらに向かって来ている。

 

///

 

跳躍したM9はベヘモスのすぐ目の前に止まった。

装備しているライフルを腰に構えて銃口を向けるとパイロットに警告を促す。

 

「そこのデカブツ!こっから先は行かせないよ」

 

「たかが1機で僕を止められるなんて思うな!」

 

「警告はしたからね」

 

マオはM9にライフルのトリガーを引かせるとマズルフラッシュと共に銃弾が連続して発射される。

40ミリライフルともなれば戦闘機を一撃で破壊出来るだけの威力があるが弾丸は不可視の壁にぶつかり赤い装甲にはキズ1つとしてつかない。

 

(盾、どんな攻撃でも防げる盾よ。僕を守れ)

 

「1発も届いてない、クルツの言ってた通りね」

 

「もう誰も僕を止められるもんか。死ねぇ!!」

 

「くっ!」

 

頭部に4門備え付けてあるバルカン砲でM9に砲撃をするが俊敏な動きには着いていけず簡単に避けられてしまう。

跳躍したM9に損傷はなかったがたった数秒の砲撃でアスファルトは粉々にされた。

頭部が向いている方にしか撃てない単純な武装ではあるが破壊力は抜群で1発たりとも当たってはやれない。

 

「何てヤツ、でも当たんなきゃどうってことないわ。アタシを捕まえてごらん?」

 

「お前になんか構っていられるか。言っただろ、誰にも僕は止められないって」

 

機動力ではどうあがいてもベヘモスがM9に追いつくことはないがそれはこちらにも言えること。

M91機の戦闘力ではどうやってもベヘモスを止めることなど出来ない。

だったら無視してしまえばいいと、タクマはベヘモスを進ませる。

 

「やばいよ宗介、15分も待ってくれないよ」

 

少しでも進行を阻止しようとライフルを撃つもラムダドライバーが作り出す盾にすべて防がれてしまう。

もうタクマはマオを見向きもしない。

まわりを飛ぶ蚊を潰すなど造作もないとついに港を出て市街地へ足を踏み入れた。

 

「こっちを見ようともしない。こうなったら一か八か接近戦で」

 

マオは単分子カッターを握ると機体に直接取りついて攻撃を仕掛けようとする。

失敗すればあの巨大な手に握りつぶされて死は免れない。

膝を曲げ跳躍しようと狙いを定めていると夜空の流星が飛んできた。

 

「テッサが言ってた軌道ミサイル?でも方角も全然違うしいくらなんでも来るのが早すぎる」

 

「ミサイル?たった1発ぐらい簡単に!」

 

ベヘモスの頭部バルカン砲は飛んで来る彗星に向けて一斉に発射された。

軌道を変えない流星はバルカン砲の弾に直撃をすると爆発に包まれた。

 

「はははははっ!所詮お前らなんてこの程度なんだ!」

 

狂ったように高笑いするタクマ、簡単に破壊してしまったミサイルに自分は強いと信じ込んだ。

爆発の炎を見るマオ、彼女は流星の正体を見た。

 

「あれはミサイルなんかじゃない。あれは……」

 

「戦闘レベル、ターゲット確認。排除開始」

 

炎から現れたのは人型の機体、胸の球体が緑に輝き背中の翼は天を仰ぐ。

この場に居るすべての人間は突如現れた謎の機体に目が釘付けだ。

ソイツは右手に持つ大型ライフルを左手に移すと赤いシールドから何かを引き抜いた。

 

「該当データ無し、新型のAS?」

 

マオはコクピットでデータ照合するもやはりあの機体の情報は載っていない。

そうしている間にもあの機体は行動を始めてしまう。

特徴的な巨大な羽から推力を発生させると空から地上を歩くベヘモスへ急降下する。

 

「アイツも敵なのか!?そんなの!」

 

タクマは自分を襲おうとする敵と認識してラムダドライバーで盾を作る。

尚も向かってくる敵にバルカン砲を撃つも動きが早すぎて捉えられない。

瞬く間に接近すると敵は光る剣でベヘモスに斬りかかる。

だがそれもラムダドライバーで防がれ眩い閃光が周囲を照らす。

 

「何なんだコイツは!?」

 

見た事もない武器を使って攻撃してくる敵に恐怖するタクマ、見知らぬ相手にすぐには対応出来ない。

ただ攻撃が当たらないように自分の身を守るので精一杯になる。

敵は2回、3回と光る剣を振るうも不可視の壁はそれを通さない。

 

「ただのASなんかじゃない。近づいてきてわかったけどサイズもM9より大きい。でも機動力は遥かにアイツのほうが上、そしてあの光る武器。あんなの初めてよ」

 

冷静に相手を分析しようとするマオだがわからないことが多すぎて正確な情報はない。

宗介がアーバレストを受け取るまでの時間稼ぎをするつもりがこんなことになるとは想像もしない。

でもそのおかげで無謀と思われていた作戦を遂行出来ている。

圧倒的な性能を持つ機体は攻撃が通らないのをあきらめたのか、距離を離すと地面に足を付ける。

タクマは今しかないと、もう1度バルカン砲を発射した。

ソイツは避けようともせず弾に直撃するとおびただしい弾丸の雨に飲み込まれ煙に包まれた。

 

「これならどうだ!あれだけ当たって生きている訳が―――」

 

煙の中から加速したソレは光る剣でベヘモスを突く。

結局はまた攻撃は通らなかったがあれだけの攻撃を受けても機体に損傷は見受けられない。

 

「そんなはずない!何で壊れない、何で死なない!僕の邪魔をするなぁ!」

 

ベヘモスは右腕を上げるとゆっくりとだがソイツを殴ろうと拳を握る。

全長40メートルを超える質量で殴れば相当な破壊力、地面に直撃すれば地震ではないかと疑うほどに揺れが生じる。

極め付けはラムダドライバー、絶対に壊れない盾を持っているベヘモスで殴れば壊せない物などない。

でもソイツはまた避けようともしない。

振り上げられた巨大な拳を光る剣で受け止めて見せた。

羽の推進力で押しつぶされまいと前に押し出し、細身の脚部はアスファルトをえぐっていた。

 

「潰れろ!潰れろぉぉ!!」

 

叫ぶタクマ、だがコクピットに警告音が響いた。

度重なる攻撃にラムダドライバーの冷却が追い付いておらずその事をディスプレイで知らせている。

頭に血が上ったタクマは無視して敵を潰しにかかるが突如としてラムダドライバーの盾がなくなった。

 

「何だ!?」

 

盾がなくなったその一瞬、光る剣は親指以外のすべての指を一振りで切り裂いた。

ベヘモスのコンピューターが機体の自立を維持する為に、冷却を促そうと強制的に盾を消した。

 

「すごい……」

 

ベヘモスを圧倒する性能に舌を巻くマオ、このまま戦えば宗介のアーバレストが居なくても倒してしまいそうなほど。

でもそのころになってようやく政府は動きを見せた。

迷彩色に塗装された自衛隊の96式がこの戦場に迫る。

だがこの戦いにM9よりも性能の低いアームスレイブが介入した所で邪魔にしかならない。

マオは今頃になってやって来た増援に腹が立った。

 

「やってくれるねお偉いさんは。自分の国だっていうのにこんなに対応が遅いなんて」

 

愚痴をこぼすマオにテスタロッサからまた通信が送られてきた。

通信を繋げると上官である彼女の声が聞こえてくる。

 

『メリッサ、そちらの状況は?』

 

「宗介なんか待たなくてもアイツが倒してくれそうな勢いなんだけど」

 

『先ほど相良軍曹から連絡がありました。アーバレストを回収、90秒でそちらに到着する予定です』

 

「了解、アタシは邪魔にならないように自衛隊を引き留めておくわ。それで、あのASは何なの?」

 

『現状では何も言えませんがアレは確実にオーバーテクノロジーです。アレを作った組織には私と同じウィスパードが居る筈です』

 

「敵の敵は味方って思いたくはないけど、今はアテにするしかないか」

 

『お願いします。こちらでも分析は進めています』

 

M9は踵を返すとこちらに向かってくる自衛隊に走った。

 

///

 

通信機を置いたテスタロッサはヘリコプターの窓の向こう側で戦う機体を見た。

ミスリルが所有しているM9でも今の技術レベルを考えれば充分にオーバーテクノロジーだがアレはそんな物ではない。

ラムダドライバーを搭載しているベヘモスにもたった1機で渡り合うだけの戦闘力を持っているのは今の戦いで見てわかる。

M9は跳躍しか出来ないがアレは背中の羽から出る推進力で飛ぶことが可能。

それでいて細身のボディーは俊敏な動き、防御の面も完璧と言っていいほどでバルカン砲が何発直撃しようともキズ1つ付いていない。

極め付けは手に握る光る剣、一振りでベヘモスの指を切り裂いたそれはラムダドライバーが効いていなかったとしても威力が高すぎる。

 

「一体誰があんな物を……」

 

「ねぇテッサ?よくわからないんだけどあのハデなロボットは味方なの?」

 

「今だけはそう見てもいいと思います。でもそのままにはしておけません。あれだけの戦闘力を野放しにしておくのは危険です」

 

「あの光ってる剣みたいのは?」

 

「恐らくレーザー兵器、でも私たちの組織の技術でもあれだけの威力は作り出せないし何より剣として使用できるように形状を維持するのが一番の難問です」

 

「……アレはレーザーなんかじゃない。荷電粒子を放出して発生した強力な磁界フィールドによって意図的に電離領域を生成し制御することで……」

 

目がうつろになるかなめ、知る筈のない兵器の構造についていきなり話し出した。

このような現象は前にも1度体験している。

ウィスパードとしての能力が彼女にオーバーテクノロジーの技術を授けてくれる。

 

「かなめさん、しっかりしてください!かなめさん!」

 

「……アレ……私……」

 

彼女の体を揺すり意識を戻させようとテッサは呼びかけた。

目に光の戻ったかなめだがまだ少し辛そうではある。

 

「大丈夫ですか?意識はちゃんとありますね?」

 

「う……ん、大丈夫だから」

 

「本当ですか?何かあればすぐに言ってくださいね」

 

「テッサ、それよりも宗介に伝えて。あのASは両足の付け根に冷却装置がついてる。冷却装置を壊せばあれは止まる」

 

///

 

アーバレストを回収した宗介は全速力でマオが待つ現場に走る。

道路を軽快に走るアーバレスト、でも不安要素はまだ残っている。

宗介は自分の意思でいつでもラムダドライバーを起動できない。

初めて乗った時もかなめに助言してもらってやっと起動したぐらいだ。

次もうまく行くとは限らない。

 

「ウルズ7よりウルズ2応答願う」

 

『こちらウルズ2、さっさとしないと獲物横取りされちゃうよ』

 

「どういう事だ?」

 

『アンノウンが交戦して敵を食い止めてる。ラムダドライバーも使わずにね』

 

「アンノウン、敵なのか?」

 

『突然来て突然戦い始めたわ。アタシにわかるのはこれだけ。邪魔な自衛隊引き留めてくるから早く終わらせて』

 

「了解した」

 

通信を切るとアーバレストは跳躍しベヘモスが暴れているすぐ近くに着地した。

ビルの隙間に隠れるとトリコロールに塗装された見たこともない機体がそこには居た。

通常のASの2倍はあろう全長、特徴的な2枚の羽と右手に握る光る剣。

 

「これがマオの言っていたアンノウン。アル、該当データはあるか?」

 

『機種不明、該当データ無し』

 

「やはり無いか。っ!?」

 

隠れているアーバレストを見るようにアンノウンは頭部を向けてきた。

光学迷彩をしてはいないがこうも簡単に見つかったのに宗介は驚いた。

自分を見つめるアンノウン、でも動きの止まっている敵にタクマは容赦なくバルカン砲を放つ。

何度受けようとも微動だにせず光る剣で再び斬りかかる。

アンノウンが戦う様子を見ているとテスタロッサから作戦の指示が来る。

 

『相良軍曹、時間がありませんので手短に言います』

 

「大佐殿、内容は」

 

『ベヘモスの両足の付け根に冷却装置があります。アンノウン機を囮にしてそれを破壊してください。そうすればラムダドライバーを起動出来なくなります』

 

「ウルズ7了解。作戦行動に移る」

 

57ミリ散弾砲を両手で握り弾を装填するとアーバレストは指示通りに足に向かって走り抜けた。

けれども宗介はまだラムダドライバーを使いこなせない。

ラムダドライバーの防壁を貫くにはこちらもラムダドライバーを使用しないとテッサの作戦を遂行するのは無理。

 

「アル、このASにはラムダドライバーがあるな?」

 

『肯定』

 

「ラムダドライバーを起動するにはどうすればいい?」

 

『不明』

 

「お前はこのASの管制AIだろ。何故わからない」

 

『不明』

 

AIから返ってくるのは不明の2文字だけ。

以前ラムダドライバーを起動させた時のようにやるしかないと宗介は腹を括った。

 

(集中しろ、意識を集中させるんだ)

 

走るアーバレストに敵はまだ気が付いていない。

アンノウンが相手をしているせいでこちらにまで意識が届いていない。

冷却装置を破壊するには今を置いて他にはない。

 

(他の事は考えるな。イメージするんだ。俺がこれから撃つ弾はヤツを貫く。それだけを考えろ)

 

呼吸を整え1発に全神経を集中させる。

それが以前彼女に聞いたラムダドライバーの起動方法、これを信じて今は進む。

アーバレストは両足の間に潜り込むと散弾砲を構えて狙いを定めた。

その時になってようやくタクマはアーバレストが知らない間に足の間に居る事に気が付いた。

 

「コイツいつの間に!踏み潰してやる!」

 

アーバレストをプレスしようと大重量の片足が持ち上がる。

でも宗介は動じず冷却装置にだけ意識を集中する。

 

「ぶちぬけぇぇ!!」

 

放たれた1発の弾は止まることなく巨人の赤いボディーを貫いた。

冷却装置の壊れたベヘモスのコクピットには警告音が鳴り響いた。

 

『ラムダドライバー機能停止、ラムダドライバー機能停止』

 

「そんな……ウソだ……」

 

現実を受け止められず絶望するタクマ、目からは涙が零れ落ちる。

ラムダドライバーの盾がなくなりアンノウンの光る剣は空を切る。

盾がないのを知ると光はなくなり鞘をシールドの内部へと格納した。

そして大型のライフルを右手に持ち替えると動きの止まったベヘモスを狙う。

 

「ターゲットロックオン。最大出力で破壊する」

 

///

 

ヘリコプターから戦いの様子を見ていた2人にももうベヘモスが動かないのはわかった。

ベヘモスの近くに白いアームスレイブが居たからだ。

 

「作戦は成功のようですね。でも問題はもう1つ」

 

今回は味方になってくれたが次は敵とも限らない。

謎のアンノウンを睨むテスタロッサ、するとアンノウンは右手に大型ライフルを握り天へと向けた。

 

「アレは一体?」

 

「まさか!?逃げて宗介!そうすけぇぇぇ!!!」

 

ライフルがベヘモスへ向けられると大出力のエネルギーが発射された。

エネルギーはベヘモスに直撃すると跡形もなく消し去っていく。

壊れていくのではない、文字通り消えていく。




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