フルメタルWパニック!!   作:K-15

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アーバレストがちょっと違った形で登場します。


第32話 走れフォー・ワンセル!!

バスターライフルから放たれた高出力エネルギー。

莫大なエネルギーはかすめただけでアスファルトや建造物の壁面を真っ赤に溶かす。

近づくモノを容赦なく飲み込む雪崩の様な太いビーム。

衝撃波を生み、空気すらも焼き払いながら、一筋の閃光がコダールに迫り来る。

 

「来る!!」

 

『何だぁぁぁっ!?』

 

ユイファンとゲイツは飲み込まれる前に機体を跳躍させ回避行動を取った。

残り7機のコダールもゲイツに続いて回避しようとするも、反応が遅れた2機がビームに飲み込まれる。

 

『うあああぁぁぁっ!!』

 

叫び声を上げるしか出来ないパイロット。

目の前の戦闘画面は光に包まれ、そしてカメラが壊れて真っ暗になった。

ラムダドライバを展開する暇もなく、機体全体が溶け始める。

グレーの装甲は一瞬は耐えるも真っ赤に発熱しドロドロになって吹き飛ばされた。

素っ裸になった機体のフレームも耐える事など出来ず、ネジ1本として残らずこの世から消えて行く。

最後には動力源のパラジウムリアクターが爆発し、パイロットは機体と共に消滅した。

 

『どうなってる!? 保たないのか?』

 

もう1機は両手を前方に出しラムダドライバでビームを防ごうとした。

だが咄嗟の事で防護壁は完璧ではない。

同じ様に機体全体が飲み込まれラムダドライバが上半身だけは守るも、意識の集中出来てない下半身は数秒と経たずに消し飛んだ。

何も出来ずに機体は飲み込まれ、そして消えて行く。

バスターライフルから放たれたビームはこの程度では止まらない。

遥か先まで進んで行き巨大な高層ビルに直撃した。

眩い閃光。

少し遅れて爆音と衝撃波が津波の如く押し寄せて来た。

塵と埃が飛ばされ脆い建造物は強風と衝撃波だけで崩壊しそうな程。

クルーゾーは物陰へ退避し、機体が吹き飛ばされない様にグルカナイフに似た形状をしたクリムゾンエッジ単分子カッターをアスファルトへ突き立てる。

 

『この威力はマトモじゃない!! 100階はあるビルを一撃で吹き飛ばしやがった!!』

 

『えぇ、マトモじゃないわ。でもそれは敵さんにも言える事よ』

 

『けど敵を2機葬ってくれたぜ。少しは楽になったと思いたいねぇ。作戦はあるんだろ? あんなヤツと真正面からドンパチなんてゴメンだぜ』

 

『あぁ、だがもう1つ朗報だ。北軍も南軍も撤退して居る。あの威力を見れば当然か。少なくとも撃破対象はベノムと羽付きだけになった』

 

初めて見たバスターライフルの威力に舌を巻くクルーゾー。

威力を見た事のあるマオやクルツも驚きは隠せない。

しかしそれは敵側のアマルガムもそうだった。

コクピットの中でゲイツは初めて間近に見たガンダムに向かって金切り声を上げて居る。

 

『何なにナニ!? 羽付きは日本で鉄クズになった筈でしょぉ? どうしてこんな所に来てるんですかぁ? 目の錯覚かなぁ? あ、そっか!! ミスタ・シルバーはミスったんだな。そうかそうか……クソ野郎!!』

 

額に青筋を立てたゲイツはコダールのラムダドライバを発動させ、ガンダムに目掛けて走り出す。

ユイファンの事など道端に転がる石同然に無視して、残った5機と共にガンダムを破壊しに行く。

ガンダムのコクピットでヒイロはそれを確認しており、戦闘画面に鋭い視線を向ける。

 

「残存戦力残り7、全機撃墜する」

 

バスターライフルを腰部へマウントさせ、シールド裏からビームサーベルを抜く。

ヒイロは右足でペダルを踏み込み、両翼のメインスラスターが青白い炎を吹いた。

強い推進力は重たい機体を浮き上がらせ真っ直ぐに突き進む。

白い装甲は風を切る。

緑色のビームサーベルは空気を焼く。

 

『ハデハデな事やっちゃってさぁ』

 

クリムゾンエッジ単分子カッターを片手に、ガンダムへ全力疾走するゲイツのコダール。

ラムダドライバの力を利用して高く跳躍したコダールは、白い装甲に単分子カッターを突き立てた。

 

『目障りなんだよぉ!!』

 

「くっ!!」

 

ビームサーベルで袈裟斬りしコダールは閃光で見えなくなった。

だがラムダドライバの不可視のエネルギーはビームサーベルを受け止め、あまつさえ押し返そうとして来る。

悲鳴を上げるフレーム。

連戦のガンダムにはかなり辛い戦い。

それでもヒイロは機体を酷使して操縦桿を強く握り締める。

 

「お前に構って居る暇はない!!」

 

『今まで散々暴れ回ってくれたそうじゃないか。だがそのズタボロの機体で何処まで出来るぅ?』

 

「貴様らを倒す事ぐらいは出来る」

 

『ほざけよ!!』

 

強い閃光、2機は弾き飛ばされた。

空中でクルリと回転して姿勢を立て直すコダール。

難なく着地し、さらにガンダムを追い立てる。

 

『行けいけイケェ!! 羽付きを潰すぞ!!』

 

残りの5機もラムダドライバを発動させてライフルの銃口を向ける。

両翼を広げメインスラスターで姿勢制御するガンダム。

だが着地すると同時にコダールからの銃撃が襲い掛かる。

シールドを構えるも全ては防ぎきれない。

遂には耐え切れず赤い装甲に大きなヒビが入る。

それでも後ろに引きはしない。

目の前の敵にビームサーベルで一閃。

閃光。

寸前の所でやはりビームサーベルは届かない。

 

「ラムダドライバだろうと叩き潰す!!」

 

『こんなスクラップ同然の機体で!!』

 

ヒイロはビームサーベルで押し切ろうとするもラムダドライバの防壁がそれを通す事はない。

硬直状態に入り四方八方から発射される弾丸にガンダムは受け身すら取れずに居る。

直撃による爆発。

剥がれる装甲。

激しい振動がコクピットにまで伝わる。

さらにはコダールにパワー負けしてしまい、2倍はある巨体が押し返された。

吹き飛ぶ機体。

数秒後にはアスファルトに仰向けに倒れ込み、トドメを刺すべく更に追撃が来る。

シールドを使う暇はない。

単分子カッターを握ったコダールが跳躍し、コクピットにその刃を突き立てる。

 

「まだ戦える!!」

 

敵の攻撃が届く前にヒイロのガンダムも付きを繰り出す。

ランムダドライバの防壁とビームサーベルがぶつかり合い、また眩しい光が広がる。

 

『潰れろ!!』

 

単分子カッターを更に奥へ突き刺そうと力を入れた時、コダールの左脚部が破壊された。

 

『何!?』

 

「沈め!!」

 

意識が一瞬だけ反れた。

その一瞬で生死が決まる。

パイロットは声すら上げられず、溶解した装甲と共に蒸発した。

コダールの胸部にはビームサーベルが突き刺さっており、背中まで容易に貫いて居る。

ヒイロが視線を向けた先にはユイファンのコダールが銃口を向けて居た。

 

「どう言うつもりだ?」

 

『この機体……日本に居る千鳥かなめが死んでないと言う事は、ユイランを殺したのはアナタなのね。先生も、もうこの世に居ない。私には戦う事しか残ってない。最後、死ぬならアナタに殺されたい』

 

3機目のコダールが撃破され敵の動きにも余裕がなくなる。

それが返って統率力を高め、強い生存本能がパイロットの動きを良くした。

敵に囲まれない様にヒイロとユイファンは息付く暇もなく機体を動かす。

ガンダムとコダールが戦闘してるのをクルーゾー達は遠目で見て居るしか出来なかった。

 

『どうすんだ? 俺はあんなバケモン同士の戦いに割り込むなんてゴメンだね』

 

クルツが言う。

前回のガンダムとの戦闘でミスリル内では敵であると認識されて居た。

だが現状ではM9には目もくれずたった1機でコダールと戦って居る。

クルーゾーは悩む。

ガンダムもラムダドライバを搭載したコダールも驚異的な強さを持ち、対策もなしに戦うのは無謀。

そんな2機の間に割り込む事にどれだけの優位性があるのか。

 

『このまま両方が潰し合ってくれれば1番楽なのだがな』

 

『でも戦闘が終わった頃には香港の街は失くなってるかもね』

 

『羽付きのライフルにはカートリッジが3つある。恐らく残り2発……アレを2発ぶち込まれるのとベノムを6機相手にする、どちらが良い?』

 

『アタシ、戻ったら報告書書かないといけないから早く戻りたいんだけど』

 

『俺はトカチと賭けをしててさ。俺とアイツ、何機撃破出来るか』

 

マオとクルツの返事を聞いてクルーゾーは決断した。

皆、考えてる事は一緒。

 

『よし、これより羽付きを援護する!! ベノムとの無理な交戦は避けろ。トドメはヤツに任せれば良い』

 

『ウルズ2、了解!!』

 

『ウルズ6、了解!! 上手い事運ぶと良いですけどねぇ』

 

軽口を叩くクルツと共にM9は激戦区へ走る。

 

///

 

炎に燃える街の中、宗介は操り人形の様に力なく歩いて居た。

行く宛もなく、目的もない。

ただ歩く以外に何をすれば良いのか思考が働かなかった。

考える事すら億劫。

生きてる実感すら失くしかけた。

 

「千鳥が……死んだ……」

 

目の前が真っ暗になる。

途方も無い喪失感。

任務に戻る所か戦う意思すらない宗介は、もう抜け殻同然。

そんな宗介の前に発信機で後を付けて来た伍長のヤン・ジュンギュが現れた。

ゴミ清掃員に扮装してる彼は青い作業服を着て居る。

 

「宗介、艦長の命令で付けさせて貰った。さっきダナンにここの座標を報告した。アーバレストがもうすぐ送られて来る」

 

「俺に戦えと言うのか?」

 

「そうだ。マオ達が今6機のベノムと交戦して居る。アーバレストでないと対抗出来ないのはお前が1番わかってる筈だ」

 

「知るか……もうどうだって良い……」

 

「何? それが前線で戦う仲間への言葉か?」

 

自暴自棄になる宗介にヤンは鋭い視線を向ける。

 

「もう1度言うぞ。アーバレストに乗れ」

 

「俺はあの機体を使いこなせない。もう使うつもりもない。あんなモノがあるから……あんなモノがなければ……」

 

「お前……」

 

完全に闘志が失くなった事はヤンも見てわかった。

戦う事の出来ない兵士は使えない。

切り捨てる他はなかった。

上着の内ポケットから拳銃を抜いたヤンは、その銃口を宗介に向ける。

 

「そうか。なら機密保持の為に死んでもらうぞ」

 

「好きにしろ。もう生きて居る意味もない」

 

トリガーに指を掛け、ゆっくりと力を込める。

その時になって大空から空を切る音が聞こえ振り向くと、羽を付けたアーバレストが真っ直ぐこちらに向かって来た。

このままでは踏み潰されてミンチになる。

ヤンは急いで安全な場所へ走るが、宗介は呆然と立ち尽くしたまま動かない。

 

「俺は死ぬのか……」

 

「何やってんのよアンタわ!!」

 

強引に引かれる左腕。

千鳥足になりながらも無理やり被害が来ない場所まで歩かされる。

数秒後にはアーバレストがアスファルトを砕きながら機体速度を減速させ、そして止まった。

耳を覆いたくなる轟音。

舞い上がる土煙。

その奥には緑色に光るツインアイが見える。

宗介は肌に伝わって来る温もりにようやく気が付いた。

振り向いた先には長髪の青い髪の毛。

聞き覚えのある声に胸が高鳴る。

 

「ふぅ、間一髪って所ね」

 

「この声……千鳥、なのか?」

 

「アタシじゃなかったら誰だってのよ?」

 

目の前に居るのは死んだと思った想い人。

夢でもない。

幻覚でも死ぬ寸前の走馬灯でもなかった。

かなめは確かに宗介の傍に居る。

 

「キミは……死んで――」

 

「勝手に殺すなぁぁぁ!!」

 

かなめの強力な正拳突きが宗介の顔面に撃ち込まれる。

たまらず後ろへとよろめく。

体を通じる痛み、それで充分だった。

抜け殻だった宗介に意思が蘇って来る。

 

「そんでもって!! 気合を入れろォォォ!!」

 

繰り出された頭突きが額へぶち当たる。

脳が揺れ、一瞬視界がクラクラしてしまう。

 

「この声は……この痛みは……やはり千鳥か!!」

 

「そうだつってんでしょ。何回言わせるのよ」

 

「どうしてこんな場所に」

 

「ヒイロ君に連れて来て貰った」

 

「ヒイロ・ユイ!?」

 

「うん。今ラムダドライバを搭載したベノムと戦ってる。助けに行ってあげて」

 

「だが……俺はあの機体を使えない」

 

宗介の表情がまた少し暗くなる。

自由自在に使えないラムダドライバ。

その事が頭に引っ掛かってクルーゾーにも負けてしまった。

ガウルンにでさえ出来てた事が自分には出来ない、その自責の念がより宗介を追い詰める。

 

「そう言う時もあるわよ。きっと疲れてる」

 

「疲れて居る? 俺が?」

 

「うん、宗介不器用だし責任感強いから。逃げる事も知らないから窮屈だったんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「ずっと傍で見て来たんだもん。何となくわかるわよ」

 

その言葉に宗介は救われた。

冷えきった心に熱が灯る。

でもまだ宗介は自分を許す事は出来なかった。

こんな自分を必要としてくれる相手を命令の一言で見捨ててしまった情けない自分を許せる筈もない。

 

「俺は……俺は……キミを置いて来てしまった。命令に逆らう事も出来ずに、見捨てたと思われても仕方がない」

 

「1番肝心な時に居なくなっちゃうんだもん。本当に大変だったわよ。ヒイロ君が居なかったらどうなってたか」

 

「またアイツの名前か」

 

宗介は千鳥の口からその名前を聞きたくなかった。

彼女が何処か遠くへ行ってしまったようで。

彼女に手が届かない様に思えてしまう。

自分の事を見てくれないように思えた。

胸が締め付けられる感覚。

この感情が何なのかを宗介はようやく理解した。

 

(これが嫉妬と言うモノか? 俺は千鳥の事が……)

 

「何、もしかして嫉妬でもしてんの?」

 

「い、いや。そんな事はない」

 

「本当にわかりやすいんだから。もしそう言う風に思うのなら今すぐアーバレストに乗りなさい。アタシ、戦争なんて嫌だし怖い事だってしたくない。でもそんなウジウジした宗介を見るのはもっと嫌。そんな弱い男、アタシは嫌いだから」

 

「千鳥……わかった」

 

宗介の目に光が戻った。

力強く地面を踏み、真っ直ぐに前を見据える。

自分の心を覆って居た殻も打ち破った。

 

「行って来る。千鳥はヤンと安全な場所まで退避するんだ」

 

「バシッと決めて来なさい」

 

「肯定だ。これ以上アイツに良い格好をさせるつもりはない」

 

宗介は走った。

自らの愛機であるアーバレストの元へ。

 

///

 

前線でガンダムは苦戦を強いられて居た。

5機のコダールを相手にガンダムの性能は絶対有利とはならない。

 

『少しでも援護になればと思ったが誤算だったか。奴らめ、見向きもしない』

 

『コレじゃ弾の無駄遣いだよ。安くねぇってのによ』

 

『でもこうするしか道はないわ。この羽付きがやられたら、向こうの機体が稼働時間限界が来て動けなくなるまで戦うしかなくなる。隙を作って少しでも数を減らさないと』

 

クルーゾー達の援護射撃をコダールは気にも留めない。

ラムダドライバの防壁で弾を防ぐだけ。

通常兵器しか保たないM9などいつでも倒せると舐めて居る。

コダールは袈裟斬りしたビームサーベルをラムダドライバは何度でも防ぐ。

ガンダムもパワーだけでコダールを押し切る事は出来ない。

為す術のないガンダムにゲイツはほくそ笑む。

 

『むふふふふ、羽付きもラムダドライバには手も足も出ないか。でも中々くたばらないなぁ。いたぶるのもそろそろ飽きて来たし、仕留めるかぁ』

 

赤いコダールはクリムゾンエッジ単分子カッターを片手にガンダムに狙いを定める。

 

『各機、羽付きの動きを止めろ。俺がトドメを刺す』

 

散開した5機はガンダムを取り囲み、装備したライフルの銃口を向け容赦なくトリガーを引いた。

ラムダドライバで強化された攻撃に装甲はあちこちで爆発が起こり立って居るのもやっとの状態。

激しい振動が襲う中でヒイロは必死に操縦桿を握り締め前を向いて居た。

 

「まだ……まだ死ねない!!」

 

だがヒイロの意思とは反対にガンダムは傷を追って行く。

1発の弾丸が胸部に直撃しまた爆発が起こる。

サーチアイにヒビが入り輝きを失ったガンダムは仰向けに倒れこんでしまう。

 

『嫌だね!! ここでお前は死ぬんだよぉ!!』

 

好機と見たゲイツはコダールを走らせ、ガンダムのコクピット目掛けて跳躍した。

鋭い切っ先が青い装甲に突き立てられようとした瞬間、眩い光がコクピットを照らす。

ガンダムの前にはユイファンのコダールが立ち塞がった。

 

『お前は一体、どっちの味方だぁ!!』

 

『私はお前の事が嫌いだった。吐き気がする程に。ここでお前に傷を付けられるなら本望だ』

 

『ならここで死ね!!』

 

ゲイツの単分子カッターはユイファンが生成するラムダドライバの防壁を貫いた。

眩しい輝きは消え、灰色の装甲が容易く引き裂かれる。

破壊された鋭利な部品がコクピットのユイファンにまで届いてしまう。

パイロットスーツを突き破った破片。

血が止めどなく溢れ、流し出せない血液が口からも出た。

意識は薄れ、もう目の前の戦闘画面を見る事すら出来ない。

 

『ぐはぁっ!?』

 

「今、楽にしてやる」

 

「ありが……とう……」

 

ヒイロは迷わずビームサーベルをユイファンのコダールへ突き刺した。

溶解するコクピットの中、ユイファンの最後の死に顔は微笑んで居る。

 

(ユイラン、アナタを1人にはしないわ。あぁ、白い翼が見える)

 

コダールが爆発を起こし機体は消滅した。

そしてユイファンもこの世から姿を消す。

だがヒイロの眼前にはまだ倒すべき敵が残って居る。

ビームサーベルの切っ先が赤いコダールに迫るも寸前の所でソレを通さない。

 

『無駄ムダむだぁ!! 次はテメェが死ぬ番だ!!』

 

「情けないぞ、ヒイロ・ユイ!!」

 

1発の弾丸がゲイツを襲う。

防壁を貫通し頭部の角に弾がかすめ、危険を察知したゲイツは瞬時に後ろへ退避した。

 

『前からか!? この反応、ミスリルの欠陥品か』

 

ゲイツが睨む先には白い装甲をしたAS、ツインアイが鋭く睨む。

だがその外見は今までとは少し違って居る。

クルツも宗介が搭乗するアーバレストを見て歓喜の声を上げ、戦闘中にも関わらず興奮した。

 

『ようやくお出ましか、宗介。行けるんだろうな?』

 

「肯定だ。ラムダドライバは稼働して居る」

 

『ウルズ7、残りは5機だ。任せるぞ』

 

『ヤンから聞いたわ。かなめも見てるんでしょ? しくじったら最悪にカッコ悪いわよ』

 

「問題ない。俺はプロフェッショナルだ」

 

クルーゾーとマオもコダールとの戦闘はアーバレストに任せて前線から後退する。

軽口を言う3人にAIのアルも同じ様に口を揃える。

 

『軍曹、ご指示を。後は私が撃破します』

 

「お前は只のAIだ、操縦は俺がする。それよりもこの装備、大丈夫なんだろうな?」

 

『ラムダドライバを使用して運動性能を補助します。通常通りに動かせる筈です』

 

「筈では困る。重たい装備はさっさと使い切るぞ」

 

『肯定。ある程度の火器管制は私が出来るようにプログラムされてます。ご安心を。それと私を整備してくれたサックス中尉からの伝言です』

 

「何だ」

 

『今の状態は『アーバレスト・フルウェポン』と呼ぶように』

 

今のアーバレストには全身に武器が装備されて居た。

両肩に1丁づつグレネードランチャーが。

サイドスカートにはハンドグレネード。

両足にはミサイルランチャー、腰部にはボクサー57ミリ散弾砲がマウントされて居る。

両手には40ミリライフルを抱え、更に背中へ対空ミサイルランチャーを背負う。

フルウェポンと呼ぶに相応しい重装備。

その重たすぎる重量をラムダドライバで支えて居る。

 

「無駄話は終わりだ。行くぞ、アル!!」

 

『肯定』

 

宗介はアーバレスト・フルウェポンで走る。




次も激しい戦闘の予感。
なるべく早めに更新します故。
ご意見、ご感想お待ちしております。

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