その気になったファミリア候補とプレイヤーが接触したタイミングで契約空間に入れる。
その契約空間に入れたってことはさ、十兵衛ってファミリア候補だったの?
2面の交流戦、夜祭りの混雑のせいでたくさんのモブさんたちと接触したけど、契約空間には入れなかった。
条件はなんなんだろう? 能力かな?
それに十兵衛って、その気になってくれてるの?
「ここはいったい?」
「契約空間。使徒がファミリアと契約する場所」
「ほう。異空間なのか」
突拍子もない話になれていると言っただけあって、落ち着いてるな。
さすが大江戸学園最強の剣術指南役といったところか。
「ここに入れたってことはさ、十兵衛って俺のファミリアになってくれるのかな?」
「ふむ。たしかファミリアになれば、あの妖怪どもを倒せるようになるのだったな」
それはそうなんだけどね。
「……自分が魔族を倒せるようになったら、さっきの約束を反故にする気?」
「ふっ。そのような者とは契約などしまい」
「まあね。それにこれは予定外だ。君もファミリアになんてなるわけにはいかないでしょ?」
「何故だ?」
何故だって言われても……。
ファミリアのこと、もっと説明した方がいいのかな?
「ファミリアになっちゃうと、人間止めるっぽい」
「それはただ事ではないな」
「死んだらカードになるし、神によっては物扱いされる」
あいつら、ファミリアになんてならなくても人間は道具扱いっぽいけど。
「博打札か」
「カードですぐそれが出てくるって、けっこう遊んでるの? そうじゃなくてね、トレカかソシャゲのカードみたいになると思うんだけど……って、どっちも博打札であってるのか?」
せめて遊戯札の方がイメージよさそう。……それだと別の意味でヤバそうか。
考えてみれば、俺もファミリアカードの現物を見たことがない。アゴルフや十三が言っていた
「で、カードになっても復活できるんだけど、そのカードが自販機で売られてたりする」
4面のゲームコーナーには人間のはなかったけどね。
「復活か。札で呼び出されるとは、式神のようだ」
「まあ、ファミリアって使い魔ってことだろうからね。神の手下が使い魔ってんじゃ体裁が悪いんでファミリアで通しているんだろうけど」
「ふむ。たしかに」
「使徒式神とか、使徒護法じゃ微妙でしょ?」
かといって、使い聖じゃもっと変だし。
使い天使……使がカブる。
「俺も気になって調べたんだけど、ファミリアって『親しい』らしいから、漢字をあてるにもいいのが浮かばなくてね」
「家族の一歩手前か」
「一歩手前ってのは上手いな。でもね、家族ではないんだ。俺の呪いが発動しちゃったし」
ファミリーに近い言葉だし、サグラダ・ファミリアが聖家族ってなってたけどね。
「呪いとは剣呑な話だ」
あれ? 俺、余計なこと言っちゃった?
まあいいか。秘密にすることでもないし。話しておいた方が用心してくれるだろう。
「正確には女神の祝福なんだけどさ、呪いというしかない内容でね」
ワルテナがいうには俺のためらしいが、そんな気はまったくしない。
俺の苦労や、嫁さんたちと結婚した理由もついでに説明した。
「なるほど。それであんなに奥方を」
「わかってくれた?」
「ああ。貴公の素顔を拝めれば、嫁にもらってくれるのだろう?」
「なんでそうなるの? その前に、俺のことが大嫌いになってそんな気にはならないんだってば!」
生理的、本能的な嫌悪感で、同じ場所で息を吸うのも嫌、ってぐらいになるんだって。
「ふふ……冗談だ」
「勘弁してくれ。心臓に悪い」
あの目で見られるのはもう嫌なんだ。
軽蔑や侮蔑どころじゃない。はっきりとした嫌悪。Gを見るようなあの目は。
「そんなに私を嫁にもらうのが嫌か? 傷つくのだが」
「おっさんをからかうなって。君のような美少女なら引く手数多でしょうに」
「多すぎるのだよ」
は?
自慢ですか?
「1年前、各国の大都市とともにトウキョウがどうなったかは知っているだろう?」
「ゾンビだらけになっているのを見てきた」
「家族を失った者も多い。私とて親戚や知人を大勢……」
……そうだよな。現実にこの世界に生きてる子たちにしてみれば、辛いだろうな。
「あ、精神的な苦痛だけでなく、学費や生活費も大変な子も多いのか?」
「それなりに国や学園側から補助は出たのだがな、お家という後ろ盾を失った自称名門の男たちが慌てだしたよ」
まあ、補助金は元の家の規模にかかわらず一律、ってことだろうな。
仕送りで贅沢してたような子は苦労してるだろう。
「人生設計を考え直し、優秀な成績を修めるなり、真面目に働くなりして、以後の道筋を立てればよかろうに。なにをトチ狂ったか告白どころか、求婚が相次ぐ始末」
「学生なのに求婚? しかも自分の家がなくなってるのに?」
「あの者どもがほしいのは私ではない。徳河家御流柳宮新陰流の嫡子だよ」
「ああ、逆タマ狙いか。婿養子なんて苦労するだろうに」
ましてや武門の家なんて、よほどの実力がないと立場が低くて大変だろう。
そう考えると、俺の嫁さんたちはありがたいなあ。
「それでも平民よりはいいというのが、あの者たちの意見だ。……私にはわかりかねるが」
「平民って……なんだかなあ。もしかして、君以外の良家のお嬢さんたちも?」
「ああ。当然、私以上に苦労しているよ。中には力づくで強引に迫ろうとする不埒者もいて、長谷河は大忙しさ」
長谷河ってのは鬼平ポジションの火盗改の娘だな。
大忙しって、不埒者がそんなにいるの?
「悪質な者は退学。大江戸学園卒業という価値すら失っているよ」
なんだかなあ。
もしかして恋姫の子たちを入学させてもいい、って退学者が多くて余裕ができてるってことなんだろうか。
「女の子の方は? 元になってしまった良家のお嬢さんたちだっているんだろう?」
「中には愚かな娘もいないではないが、自分を磨くことに力を入れているものが多いようだ。女の武器はそう何度も使えるものではないから一撃必殺に研ぎ澄ましている、と友人が言っているよ」
一撃必殺……妊娠ともとれそうで怖いな。ヤリ逃げはさせないということか。
友人て誰だろう。水戸黄門ポジの娘かな?
「なんだか大変そうだね。そんな時期に学園を離れてよかったの?」
「こんな時期だからこそ、だ。大江戸学園の生徒の強さを示しておかないと。……多少は男どもにうんざりしていたというのも認めるよ。道場にまでやってこられては、稽古中の生徒の邪魔になってしまう」
大きなため息をつく眼帯美少女侍。
深刻な問題っぽいな。
「よくあるパターンで、自分を倒したものとお付き合いさせてもらうって宣言しちゃえば?」
「それでは、私は誰とも付き合えなくなるだろう」
学園最強だったっけ。
恋姫†無双といっしょで、女の子の方が強そうだからなあ。
……恋愛願望はあったのか。
「そんなわけだから私がファミリアになれば問題は解決だ」
「それが理由じゃないでしょ」
求婚者なんて、物理的に排除しそうな娘だ。
別の理由があるとみていいだろう。
「……ゾンビどもは泳げないとはいえ、大江戸学園はトウキョウからそう遠くは無い」
ゾンビは泳げないのか。
学園島があるトウキョウの沖ってどの辺りだろう?
「今のところ満月の襲撃の標的にはされていないが、いつ襲われるかと学園中が怯えている」
バンシーは飛べるし、幽霊船でゾンビを移動させるってのもありえそう。
なるほど。たとえゾンビがきても問題ないって、十兵衛がデモンストレーション目的で学園を離れていたのか。
「学園を安心させるはずが、実際に戦って君が不安になってしまったということか」
「まいったよ。戦術でどうこうできる相手ではない」
一切の攻撃が通じないんじゃなあ。
「さっきも言ったように人間やめることになるよ」
「かまわない」
「もう少しじっくり考えてみて。結論を出すのはそれからでいい」
俺は気づいたら人間止めてたけどね。
言いたかったなあ。「俺は人間をやめるぞ!」って。そんな決断はできなかったと思うけどさ。
俺が契約しないって決めたからか、契約空間を出ることができた。
「元の場所に戻ったか」
「うん。よく考えてね。友達とも相談して」
「……本当に、どこまで知って……」
だいたい全部知ってる。ただ、覚えてないだけで。
やり直さないとなあ。
あ、もう1つ確認しておこう。
「大江戸学園の今の校長は?」
「今はいない。校長代理は先ほど聞かれた
もうそこまで進んでいるのか。
たしか、
「受け入れの準備は2、3日で済ませる。どうやって連絡すればいい?」
「これで連絡してくれればいい。1週間は使えるから」
ビニフォンを渡して仮登録してもらい、使い方をレクチャーする。
「期限は1週間か。わかった、それまでに結論を出そう」
「だから早まるなって」
「ちゃんと友と相談するよ」
……これはもう本人の中で結論が出てるな。友人にとっては面倒なタイプの相談だろうなあ。
十兵衛と別れた俺たちは、
「やっとみんなを元に戻せそうだね」
「ええ。感謝してるわ」
嬉しそう、なのかな?
華琳の表情はどちらかというとなにかを考えているっぽい。
「大江戸学園ッスか。たしか優秀な生徒を出していて有名なとこらしいッス」
「ああ、柔志郎担当の世界の正体はわかったよ。その学園も知っている」
「マジッスか! それは助かるッス」
……柔志郎やみんなにもあっぱれをプレイしてもらうべきか?
でも、いい歳したおっさんがこんなエロゲーしてるって軽蔑されると困るし。むう。
「さっきは5、60人って言ったけど、人数を確認する必要があるな」
「人形にされているのは53人ね」
恋姫†無双ぬいぐるみは、蜀が12人、魏が11人、呉が11人、その他が19人。
うん。合計53人。これに華琳を入れて54人か。
漢女はとりあえず保留。瀬良さんに相談してみるかな?
「華琳も行ってくれないと魏の連中は納得してくれないだろうね。梓と智子もまだ学生だから当然として、ゆり子にも学校に行ってみてもらいたいな。ヨーコたちはどうする?」
「学校か。興味はあるわね」
ヨーコは教師視点からの意見みたい。
ヨマコ先生になる前は学校に通ったのかな?
「できない奴に足並みを合わせるなんてまっぴらだ」
「レーティア、大江戸学園は優秀な生徒も多いし、最先端の設備もあるよ」
まあ、濃い生徒も多いけど。
剣魂は見てもらいたいな。
「話を聞く限り、ハイスクールまでのようだな。人工島で生物も制限されているのだろう? 私には無縁なのだ」
クランは女子大生だっけ。
生徒で通用すると思うけどなあ。
「柔志郎も行ってくれないか?」
「オレもッスか? オレはそんな歳じゃないッスよ」
「そう言わずに。ファミリアの智子とゆり子が行くとなると、その使徒もいっしょの方がいいだろう?」
ポータルの仕様上、小隊編成を変更しないといけないから、いっしょに行った方がいい。
「アニキだって、ファミリアの姐さんたちが行くじゃないッスか」
「俺はどう見ても学生にゃ見えないだろ」
大江戸学園には老けたモブ生徒も多かった気もするけどね。
「剣士は……無理そうッスね。仕方ないッス。なんとか変装してみるッス」
変装の必要はないでしょ。君とクランだったら中○部な乙級でいける!
「あ、柔志郎にはララミアと契約してもらいたいんだった」
「ララミア? 誰ッスか?」
首を傾げる女子中学生、いや柔志郎。
急にむこうに呼ばれたもんだから全然説明してなかったっけ。
「私と同じゼントラーディでピクシー小隊の隊員だった者なのだ!」
「北郷一刀を元に戻したお礼に、ワルテナの固有スキルで復活してもらったんだ」
あとでむかえに行かないと。寂しい思いしてなきゃいいなあ。
S.M.Sでの知り合いのミシェルもいるからだいじょうぶかな?
「で、そのララミアちゃんも学園に行くッスか?」
「そうだな。聞いてみてくれ」
そうなると54人プラス梓、智子、ゆり子、ヨーコ、レーティア、柔志郎、ララミアか。
60人超えちゃうな。まあ、駄目ならその時考えるか。
恋姫†無双の全員が行くかもわからないし。
「さて、となるとぬいぐるみの人たちと話してこなきゃいけないんだけど」
「その間、私たちがどうするかということね」
「私は2面の開発部に戻りたいぞ」
レーティアはやっと自分の力が活かせるって張り切ってるもんなあ。学園に行くのをしぶってるのはそれがあるのかな?
むこうでも開発はできるよ。
「じゃあ、いったん小隊を解散するか。華琳とレーティアはポータルのスキル覚えていたよね」
どうせ学園に行く時には解散しなきゃいけないんだし。
「ええ」
「覚えているぞ」
さすがというか、魔法使いのスキル持ちの俺ほどじゃないけど2人は魔法スキルの覚えがよいようだ。
「なら、どっちかを小隊長にして編成して。用紙は……ビニフォンでできるかな?」
ビニフォンで小隊編成と念じると、編成画面が出てきた。たぶんコンカでもできたんだろうな。
髑髏小隊を解散、っと。
「私とレーティアの2小隊作れるかしら?」
「え?」
「左慈に侵入されたばかりよ。煌一が寝ている間、1人にしておくのは無用心だわ」
梓も頷いている。
ゲートのセキュリティを強化してもらったはずなんだけどなあ。
でも、左慈は俺の呪いの影響下だから、寝ている間に会いたくはないのもたしかだ。
命よりも貞操がピンチ。
「それなら髑髏小隊を解散しないでもよかったような……」
言いつつ、小隊を2つ編成する。
「できるみたいだ。華琳小隊とレーティア小隊にしといたから、名前が気にくわなかったらそっちで変えて」
俺には他にディスクロン部隊もいるけど、部隊編成はできた。
小隊はいくつまで登録できるんだろう?
「隊員の追加もこちらでできるようね。梓は居残り組ね」
「ああ。開発の役には立ちそうにないしね」
華琳が小隊メンバーを追加すると、こちらのビニフォンの表示も変わった。
「私はレーティアと行くぞ」
「なら、あたしも」
ヨーコとクランがレーティア小隊に。
……心配だ。
「どうしたの、煌一。もう話は終わったの?」
華琳と梓がベッドの俺の顔を覗き込んでいる。
「いや、ヨーコとクランがよりを戻してないか気になって眠れなくて」
我ながら情けない。
浮気防止のチョーカーもあるというのに。
「2人を信じなさい」
「だって俺より、カミナやミシェルの方がいい男だ。歳も近いし……」
こんなおっさんなんて……。
「まだ女神の精神攻撃の影響が残っているのかしらね?」
「ありゃきつかったもんなあ。千鶴姉の幻覚まで見えたし」
梓は幻覚まで見ちゃったのか。
意外と感受性高いのかな? ……それは関係ないか。
「寝酒でも用意するか?」
「いや、これからみんなに説明するのに酔ってるのはまずい」
酔っ払いの言うことなんて信用しにくいでしょ。
俺だったら信じない。
「そうね。少し運動しましょう」
「運動?」
「ええ。疲れれば眠くなるはずよ」
それもいいかな? 余計なことを考えられないぐらいに身体を動かせば……。
「で、なんでお風呂?」
ジト目で華琳を見やる梓。
このことを予想済みだったのか、風呂はすでに沸かしてあった。
「寝台の彼女たちに見られながらの方がいいの? 人形にされてはいるけど意識はあるのよ」
「風呂場でなにをするつもりだ!」
やっぱり、ナニ、なんだろうなあ。
「運動、よ」
ふふっと挑発的に微笑む幼妻。
風呂なので裸になっているが、堂々と隠そうともしていない。
「梓が嫌なら……」
「嫌なんていってないだろ!」
全裸にバスタオルを巻いただけの若奥様。
ぎりぎり隠れているその秘所が、逆に目が離せない。
そんな魅力的な2人を見た結果は当然、今朝と同じ。
浴場で欲情!
ロリ尻もビッグおっぱいも最高でハッスルしまくってしまった。
今朝もあんなにしたばかりなのに信じられない。
……ワルテナの精神攻撃のあとで回復ベッド使ったせいか。
あれであっちの方も回復というか充填されちゃったみたいだ。
風呂から出て、ベッドに入ってすぐに眠りにつくことができた。
華琳と梓に挟まれながらだったので、ここにはいない2人の嫁の浮気を疑う気もわかなかった。
「殺す!」
契約空間もどきに入って即座に夏侯惇に首を絞められた。
正確には絞められそうになった。ぬいぐるみなので、そんなことはできず首にはりつかれた感じだ。
「やめんか!」
夏侯惇が張遼におさえられて、解放される俺。
そのやり方じゃ殺されないでしょ。
ここで死んだらどうなるのかな? 目が覚めるだけならいいんだけど……。
「貴様、華琳さまを妻だと言いながらなんだ、あの女は!」
梓のことかな?
「梓も俺の嫁さん」
「死ね!」
荀彧が殴りかかってきた。
しかも今度は誰も止めてくれないし。
猫耳ぬいぐるみを捕まえる。それを俺の顔の前に持ってきて説得。
「華琳も了承済みだから、ね。というか、梓の嫁入りは華琳がすすめた!」
挑発しながら、ね。
「華琳さまが?」
「そう。華琳にとっては自分の嫁っぽい」
「それならわかる……それはそれで悔しいわ!」
おとなしくなったと思ったらまた暴れ始める猫耳軍師。
見れば夏侯惇の方も同じく暴れている。
「華琳さまの嫁はわたしだ!」
「なに言ってるのよ! 私に決まってるでしょ!」
華琳は俺の嫁です。
言うともっと暴れそうなんで言わないけどさ。
「嫁かどうかは、元に戻って華琳に確認すればいいでしょ」
「戻れる算段がついたのですか?」
「うん。そのことを説明にきたんだ。だから、おとなしくして」
「……わかったわ。だから離しなさい!」
荀彧を解放して、少し離れる。また殴られちゃかなわない。
痛くはないけどさ。
「俺たちの拠点があるこの世界じゃなくて、別の世界に住居が用意できそうなんだ」
「別の世界? まさか腐った動く死体が蔓延るという……」
ぬいぐるみなのに青い顔になっているのがわかる愛紗。
「うん、そこ。でもだいじょうぶ。そいつらが行けるとこじゃないから」
「ほ、本当か」
「本当だよ。今から説明するから」
あっぱれ世界のこと、大江戸学園のことを解説した。
18禁部分はぬきにしてね。
「大江戸学園ですか」
「そう。でっかい学校なんだけど、ちょっと特種なとこでね。勉強以外なら君たちにも向いているんじゃないかな?」
同じメーカーさんだしさ。
勉強の方はがんばってもらうしかないけど。
「私塾とは違うのか?」
「私塾ってのは詳しくないけど、たぶん規模が違う。島を丸ごと使って10万人の生徒がいるらしいから」
無茶苦茶な数字だよねえ。教職員も入れての数字かどうかは忘れた。
「それは楽しみですねえ」
ぬいぐるみなのにわかる巨乳で眼鏡……やばい、この娘も忘れていた。
読書で欲情しちゃうんだっけ。
「陸遜、だよね」
「はい。よくご存じですねえ」
「君の体質なんだけど、ちょっと調整させてもらっていいかな?」
恋姫†無双ぬいぐるみでも最初の成現時なら設定改変できるのは、一刀君で実験済みだ。
「調整、ですか?」
「君の設定をいじらせてもらう。じゃないと、学校なんて無理そうだ」
できれば、あまり設定改変はしたくないんだけどね。
でもしなきゃいけないのがあと数名いるしさ。
「よろしくお願いします」
「即答? まあいいか」
体質で苦労してたようだしなあ。
同じく体質で苦労してた者が名乗りを上げる。
「私もお願いします」
郭嘉か。
「鼻血が出なくなればいいの?」
「……よくご存じで」
君の数少ない個性だからね。でもそれが無くなっちゃったら君のポジションが……MP使用で任意に堪えられるようにすればいいか。
うん。陸遜もそうしよう。
最大MPの強化訓練にもなるし。
軍師さんはたぶん、魔法の習得もいいだろうからね。
「あと他にも問題のありそうなのは修正するけど、いいかい? 性格や心はいじくらないから」
「じゃあ、おっぱい大きくして!」
手を挙げてお願いしてきたのは孫尚香ちゃん。そんなに巨乳になりたいのか。
追随するように手を挙げてる貧乳さんたち。
「却下」
「どうして!」
「設定改変には俺のEPを使う。つまり、俺の想いが籠るんだけどね、それだけに俺の納得できないことはできないんだ」
できるかもしれないけど、EPの消耗が半端なさそう。
それに、もう設定の改変できない華琳に恨まれるかもしれない。実は気にしてそうだし。
「おじさん、小さいおっぱいの方がいいの?」
「うん。最近は大きいのも好きだけどね」
ヨーコっぱいも梓っぱいも素晴らしい!
「だから、体形に関する修正はできない」
ぬいぐるみたちの手が下がった。劉備や張角も上げていたのはダイエット目的かな?
1週間以内には元に戻せるはずだと説明を終え、目覚めるともう夕方だった。風呂場で頑張りすぎちゃったかな?
両隣には華琳と梓。腕枕していたせいで両手の感覚がおかしいけど、この幸福感に比べたらなんの問題もない。
「起きたの?」
華琳は起きていたのか。……そりゃそうか。俺の護衛を口実に残っていたんだから。
風呂上りで髪をセットしてなく、ドリルじゃなくてウェーブのかかった髪の美少女覇王。あの髪型じゃ腕枕もしにくいからしかたなく諦めてくれたけど、こっちも可愛い。
「うん。ちゃんと説明してきたよ」
今の様子だと元に戻した途端に夏侯惇や荀彧に襲われそうだけどね。
「……ありがとう」
「ふぅん、華琳もそんな可愛い顔するんだ」
梓も起きていたか。
「なっ! ……お風呂場での梓の顔の方が可愛かったわ」
「そ、そんなことはないだろ!」
梓はなんですぐに華琳と張り合おうとするんだろ?
「どっちもとっても可愛いよ」
痺れている腕をなんとか動かして2人を抱きしめる。
「もう。またなの?」
「こ、煌一がしたいんなら……」
なんでそうなるの?
ジュニアがその気になっちゃうでしょ。俺はそんなに好色じゃないと思ってたんだけどなあ。
こんな時は華琳と梓の息が合ってるし。
「今は駄目だよ。華佗にも説明しないといけないから」
華佗はまだ両さんのとこで、今もいなかった。
両さんにも夜祭りのお土産持ってかないと。
「そうね。今夜のヨーコの分も残しておかないと可哀想ね」
「じゃ、夕食は精のつくものだね」
スタミナ調理が多いのは気のせいだろうか?
美味いから問題ないけどね。
それに設定改変もしなきゃいけない。
陸遜と郭嘉だけじゃなくて、賈駆の不幸の日もMP消費で不幸軽減できるかな?
あとは……。
もっと問題ありな子がいた。
黄忠、厳顔、黄蓋、華雄の熟女をどうするかってのもあるけど、これは策がある。
璃々ちゃんは、ちよちゃんみたいに飛び級扱いで乙級にいってもらうか?
乙級には、中○部相当なはずなのにどう見ても外見的にも中身的にもそれより下の子たちもいるし。
勉強はがんばってもらう必要はあるけどさ。
それともあまり頼りたくはないけど、ワルテナに相談するか?
夜祭りには同じくらいのモブの子もきてたから、保育施設か小学校くらいはあるはず。
……最大の問題は大喬。
彼女は危険。
だってついてるんだよ。ムスコがいるの!
でも、分類上はたぶん女性。
どうしよう。
嫁さんの
たとえ生えていても女性なら反応しないはず。
大喬可愛いし、華琳が手を出そうとしてもおかしくない。
他の嫁さんにも万が一があるかもしれない。
どうしよう……。