真・恋姫†有双……になるはずが(仮)   作:生甘蕉

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38話 パパ

「お前はキュアムーンライトじゃない!」

「せやな」

 午前の競技2つ目が終わったというのに、智子とダークプリキュアの言い争いは続いていた。

 まあ、言い争いというより、噛みついてくるダークプリキュアを智子が適当にあしらっている、というのが正解か。

 智子は既に変身をといているし。

 あれこそまさにいいんちょツンモード。智子の本領発揮といったところだろう。

 

「まだ夜にしか見えないけれど、もうお昼なのね」

「1日中夜の季節らしいからなあ。洗濯物とか困りそう」

 会場に設置されたテーブルにつき、屋台で購入した昼食を取る俺たち。

 もう俺の試合は終わったから、ビール飲んじゃおうかな?

 

 俺の試合、第2競技のカタヌキ。

 板状の菓子に描かれた図形を楊枝や画鋲でくり抜いていく遊戯。

 図形によって難易度が違い、難しいものほどポイントが高い。

 今回は制限時間内なら何枚でもチャレンジできるというルールだった。

 

 ……結果、俺の順位は2位。ただし、2位タイなのでビリの一歩手前。

 自信たっぷりに自分が出るって言ったのに、情けない。

「ビリじゃなかっただけでも凄いぜよ」

「手先が器用なドワーフとタイってだけですごいぞ。胸を張っていい」

 俺と同じ順位の十三がビール片手に慰めてくれる。

 

「数だけでいったら俺の負けだよ。十三の方が仕上げていた」

 カタヌキも審判は的屋。

 高ポイントのはなかなか合格させてくれなかった。

 とくに十三は出場者の中で一番攻撃的に接していたため、どう見ても上手くできてるのに「ここがギザギザ」だとか、いきなり「駄目」って言われて折られたり、あんまりな対応を受けていた。

 それがなければ、俺は3位になっていたと思う。

 

「エルフはかませ犬じゃないっての」

 ややロリよりの外見でビールを飲んでいるのはチィ姉ちゃん(チックウィード)。エルフだから成人はしてるんだろうけどさ。

「そうは言ってもアレは仕方ないわ」

 フランクフルトを頬張りながらのダイ姉ちゃん(ダイコ)。爆乳といいエルフらしからぬ肉食イメージの女性だ。

「水の精霊を使ってカタヌキを湿らせるのは、反則だって思わなかったのかね」

 姉たちの食べるものを買いに行かされているヘンビット。

 やはり立場は弱そうだ。

 ちなみにカタヌキに出場したのは彼ではない。名も知らないエルフだ。エルフ大小姉ちゃんズの仕置きを恐れてさっさと自分の面に帰ったらしい。

 

 カタヌキが湿っていると、割れにくくなって上手く仕上がりやすい。

 そのため、「濡らしただろ」ってクレームがこないように汗がカタヌキに落ちないようにも気を使わなければならなかったりする。

 まあ、そんな気を使っても残念な結果だったんだけどさ。

 

「前の射的見て、みんな最高難度のは避けたもんなあ」

 あのおっちゃんは最高難度のは合格させてくれなかったと思う。

「2面の代表の麻呂眉ならいけたんじゃね?」

 優勝したのは2面。

 代表者は梓の言うように麻呂眉の男。

 やはり、戦女神(ワルテナ)が固有スキルで甦らせた英霊だった。

 

 ジャミールのムウ。

 もしくは牡羊座(アリエス)のムウ。

 聖闘士星矢の黄金聖闘士(ゴールドセイント)。いったい、どんだけGP使えば甦らせられるんだろう。

 聖衣(クロス)の修復も行うだけあって、器用さは人外レベルだった。

 的屋のおっちゃんもクレームつけ辛かったのか、ぶっちぎりのトップだったし。

「でも、よくアテナの聖闘士を味方にできたよなあ。他の女神になんて仕えないと思うんだけど」

 

「わたしがアテナの聖闘士であることにかわりはありません」

 あ、いたのね。

 試合中も思ったけど、麻呂眉に浴衣って妙にマッチしているような。

「とはいえ、聖衣も修復師の任も弟子が受け継いでくれたようです。わたしがアテナのお役に立つことはもうなさそうですので、アテナや地上の民に害をなさぬのなら、お手伝いするぐらいはしますよ」

 ワルテナがオメガの方を観せたのかな。聖衣石(クロスストーン)や属性のこと、どう思っているんだろう。

 あと、弟子の弟子が幼女なことも。「わが弟子の弟子はわが弟子も同然」とか言ってくれないかな。

 

「そうか、牡羊座の黄金聖衣はないのか」

「ええ。ワルテナの固有スキルでは、本人のみの復活になってしまうようですね」

 うん。だけど、その時に俺の固有スキルを同時に使用することで、能力追加はできるっぽい。もちろん、俺の方でもGPを消費しなきゃいけないけど。

 ダークプリキュアの復活の時に試させてもらったんだ。

 うまく追加できたようで、彼女にも智子と同じ固有スキル、変身が備わってる。

 だってさ、ダークプリキュアって悪魔っぽい漆黒の片翼が標準装備なんだけど、あれって普段邪魔でしょ?

 目立ちすぎるので、人間形態に変身できるようになってもらった。

 智子みたいに別人てわけじゃないけどね。あくまでダークプリキュアの人間モード。

 あ、GPの方はワルテナが出してくれた。気前のいい女神様だ。

 

 ダークプリキュアの人間形態が問題ないか、確認してみる。

「サバーク博士ならまだしも、妖精を望むとはそれでもお前は娘か!」

 まだ続いていた。

 ダークプリキュアの今の衣装は基本装備のゴスロリではなく浴衣。だから見た目は普通の少女。

 ……黒い浴衣なんてあったのね。

 

「なに言うとんの。私のお父さんはそこにいる人や」

 智子が俺の方を選んでくれた。

 そう改変したとはいえ、なんか嬉しい。

「なんだと!」

「……行方不明になってお母さんに苦労をかけて、悪の幹部になって、お母さんの知らんとこであんたをこさえて、さらには娘のパートナーを殺す。私のお父さんはそんなやつやない」

 そうまとめられると酷い話だ。操られていたせいなのは可哀想だけどさ。彼はしまいには死んでしまうし。せめて生き残ってればなあ。

 ……俺は智子にはそんな苦労はかけないと誓おう。

 

「はいはい。そこまでにしてね。智子は月影ゆりの記憶や能力は持っていても、彼女本人じゃない。俺の娘だよ」

「貴様!」

 金色の瞳で俺を睨むダークプリキュア。

 初期の片目のみ金色ではなく、両目とも金色なのは、死亡時の状態から復活したってことなんだろう。

「貴様じゃない。お父さんだ」

「私の父はサバーク博士だ!」

 あ、頬が赤い。怒っているだけじゃなくて、サバーク博士を父親だと宣言してしまって照れているのかな。

 なんか可愛い。

 

 智子も今のでダークプリキュアを可愛く思ったのか、意見が微妙に変わりはじめる。

「あんたのお父さんはサバーク博士でええやろ。けどな、あんたは私の妹や。月影ゆりの記憶を持つ私の妹や」

「妹?」

 隙を突いてダークプリキュアを引き寄せ、ハグしてなでなでする我が愛娘。

 顔がにやけて見えるのは気のせいか?

 

「うっ……こ、こんなボリュームがキュアムーンライトにあるわけがない! お前は月影ゆりではない!」

 ああ、月影ゆりはスレンダーだったもんなあ、巨乳な智子とはそこが違うか。

 ……判別するのはそこなのか、ダークプリキュア。

「そう言うとるやろ。私は保科智子。智子お姉さんや!」

「お、お姉さん?」

 呼ばれて嬉しかったのだろう、姉はさらに強く抱きしめ、その大きな胸に妹の顔が埋まってしまう。

「お父さん! このコは私が預からせてもらう!!」

 預からせてって……まあ、元からそのつもりだったけどさ。

 

「そうだね。じゃあまず名前考えないとね」

「私はダークプリキュアだ」

 智子の抱擁からなんとか抜け出した少女。はぁはぁと息が荒く顔が真っ赤なのは、呼吸困難だったためだけであろうか?

「それはプリキュアネームやろ。人間名を用意せんとな」

「江戸川ナン子とか?」

「却下や」

 まあ、それもそうか。

 

「じゃあ、智子、月影ゆりから名前もらっていいか?」

「ええよ」

「え?」

「君の名前は月影ゆり子でどうだい?」

 ゆりの妹にゆり子じゃ紛らわしいけど、智子の妹の名前になら悪くないでしょ。

 それとも姓は保科か天井の方がいいかな?

 

「月影……ゆり子?」

「せや。月影ゆりになりたかったんやろ? ちょうどええやん」

 うん。智子が嫌がってないならこれでいいかな。

「……わかった。この姿の時は私は月影ゆり子だ」

「うん。ゆり子も俺の娘だから」

 だってそうしておかないと万が一の場合、俺の呪いが発動してしまう。

 俺の家族になってもらわないとね。

 

「なにを言っている。私は」

「わが娘の妹はわが娘も同然」

 ゆり子の台詞を遮って、さっき思い浮かんでいた台詞をアレンジ。

「復活させた責任もある。君の面倒を見させてよ。お父さんは無理でも、せめてパパって呼んでくれないかな?」

 父さんだと俺が目玉だけになりそう。ダディはちょっと違うと思うし。

 

「パパって、なんかいやらしいなあ」

 ちょっと梓、なに言うのさ。

「まあ、変態だけど煌一は悪いやつじゃないからさ」

「そうなのだ。こんなにしっかりしたママが5人もいれば不安はなかろう」

 ゆり子よりも年下に見えるクランが言っても説得力が……。

 それに5人もいたら逆に不安になるでしょ!

 

「ま、ママぁ!?」

 驚いたのはゆり子ではなくミシェル。

「ふん。もう隠す必要もなかろう。私たちは煌一の妻なのだ!」

 たしかにヨーコと俺の出番が終わって、俺たちが夫婦だって知られてももう試合には影響なさそうだけどさ。

 クランの発言を聞いていたらしいモブ男たちからの視線が怖い。

 クランはミシェルを試しているのかな?

 

「おいオッサン、どういうことだよ!」

 モブだけじゃなかった。視線どころか、カミナに胸ぐらを掴まれた。

「カミナ……聞いた通りよ。あたしたちはその男と結婚してるのよ」

「おいこら、ヨーコもどきが嫁ってだけでも許せねえのに、他にもいるだと!?」

「ちょっと、ヨーコもどきってなによ!」

 つかつかと近づき、カミナから俺を解放したヨーコ。だが、問題点は俺との結婚ではなく、自分への呼称らしい。

「ヨーコそっくりなのに、ヨーコじゃねえんだからヨーコもどきだ!」

「誰がもどきよ!」

 

 一方、クランが試したミシェルはこっちを睨んで聞いてきた。

「まさか、梓ちゃんやレーティアちゃんもか?」

 それ、眼鏡光らせて聞くこと?

 ……クランの既婚情報にけっこう動揺してるのか。

 でもクランはミシェルの動揺に気づかなかったようで、じわりと瞳を潤ませる。

 慌ててクランを抱きしめる俺。ミシェル、俺に泣かせるなと言っておきながら自分で泣かせるなよ!

 

「梓もレーティアも私の嫁……いえ、私と同じく煌一の嫁よ」

 華琳さん、いま本音が漏れていませんでした?

 そうか。俺の嫁になっているんじゃなくて、みんなを自分の嫁にしている認識だったのか。

 ……ま、まあいいさ。全員俺の嫁なんだし! 絶対誰にも渡さないから!

「もう飲んでもいいよね?」

 酒! 飲まずにはいられないッ!

 こんな気持ちになるのもしょうがないでしょ。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 そう割り込んできたのはここに案内してくれた運営の女性だった。

 

 

「私、この第666開闢の間担当の瀬良(せら)(ふえ)と申します」

 熾天使(セラフ)? セラヴィーと微妙にカブるような名前だ。

 渡された名刺を見ると『オール&エンジェルズ運営第251支部』の所属らしい。

 俺も名刺作った方がいいのかな?

「瀬良さんですか。午後の試合になにか変更でも?」

「いえ、午後の予定に変更はありません」

「じゃまさか、第1競技の審判からクレームで1位取り消し?」

 貞操帯の自動攻撃で怪我させちゃったもんなあ。

 

「それも違います。さっき約束したじゃないですか」

「約束……ああ、これ?」

 ビニフォンを取り出して見せる。

「はい。詳しく聞かせて下さい!」

 そんなに気になるの?

 ふと見ると、他の面の連中もじっとこっちを見ているし。

 

「こっちにゃそんなモンはねえんだよ」

「女の子たちと連絡するのも固定電話しかなくてね」

 カミナとミシェルもショックから立ち直ったようだ。

 クランはいまだにミシェルの方を見もしないので、俺の膝の上に乗せてなだめている。

 

「ちょっと見せてくれ」

 同順位だったせいか、十三は俺と友情が芽生えたっぽい。

「コンカと同じく登録者しか使えないよ」

「それはわかってる……スキャン」

 む。なにか魔法を使ったようだ。渡したビニフォンに十三から魔力が流れていく。

 名前からすると解析魔法か?

 

「あれはドワーフの得意とする工学魔法よ」

 チックウィードが教えてくれた。なるほど。そんなジャンルの魔法もあるのね。

「ずいぶんと精巧にできてはいるが、これならできんことはない……外側だけはな」

「大事なのはやっぱソフトよね。ドワーフは機械には強くても、そっちには弱いからねえ」

 チィ姉ちゃんの手にビニフォンを乗せる十三。

 

「動くようにしてもらえる?」

「……仮登録するけど、データ消したりしないでね」

 嫁さんや娘の浴衣姿撮影したばっかなんだから。

 

「ふーん。色々とできるのね」

 エルフ少女は細い指で軽くタッチしながら、やはりなにか魔法を使っているのだろう、魔力がビニフォンに流れていっている。

「ちょっと時間がかかるけれど、これなら組めないこともなさそうね。……ソフトだけなら」

 エルフってプログラミング得意なの?

 入力機器を持ってたりするの?

 

「ドワーフにもエルフにも作れませんか。これをあなたが?」

「うん、俺の固有スキルで作った……元々は担当世界の品だけどね」

 ビニフォンを回収して、仮登録を解除。

「魔力で動かせたり、他の世界でも動作可能というのは素晴らしいです。量産はできませんか?」

「そう言われてもね、俺のスキルだとちょっとキツイかな? これだって時間制限があるし」

 身内の分だけだから、再度MPを使用してもたせている状態。

 永続効果っぽいGP使用にしたいけど、そんなGPもないし。

 

「そうですか……」

「でも、ドワーフに外側(ハードウェア)を作ってもらって、中身(ソフトウェア)をエルフが用意すればいいんじゃない?」

 ドワーフが作るスマホってどんなのかすごく気になる。エルフが作るアプリもね。

「それです!」

 目を輝かせる瀬良さん。

「協力して完成させてもらえませんか?」

 

「そうは言っても、ドワーフの機械に用意すんのもねえ。私たちはかまわないんだけど、年寄り連中はいい顔しないでしょうね」

 ダイ姉ちゃんが渋い顔。

「エルフに作品を提供するのを嫌がる連中は多いだろうな」

 なんですか。エルフとドワーフは仲が悪いなんてもはや古臭い常識、あったりするんですか?

 

「作るのはいいとしても、作業場や道具(ツール)は貸してもらえないわね」

 チィ姉ちゃんまで。

 4面に研究所が完成してればなあ。

 

「ならば、うちの工房を使えばよろしいですわ」

 ずっとにこにこと眺めていたワルテナがそう切り出した。

「私もそのコンビニエンスフォンがほしいのです。協力は惜しみませんわ」

 いや、ワルテナの分だけならゆり子のお礼に俺が用意してもいい。

 ……交流会の度にMP追加で成現時間延長も問題あるか。

 

「ありがとうございます。第666開闢の間が1つになっての商品開発! しかもこの商品は売れます!」

「売れますって?」

「説明が長くなりますので詳しいことは後ほど連絡させて下さい。では、そろそろ午後の競技の準備をしますので」

 深く頭を下げてから、瀬良さんは走って行ってしまった。

 もしかして、拒否されたくなかったのかな?

 

「いいの?」

「いんじゃないか? 面白そうだ」

 エルフ美女はそう笑ってジョッキを空ける。

「それならフレンド登録しておきましょう」

 

 ワルテナの説明によればフレンド登録しておけば、別の面でも救援に行けるそうだ。

「剣士もフレンドに救援求めればよかったのに」

「剣坊の家はかなりの高位神系。一番最初の担当世界の救済ぐらい、自分の面だけでなんとかしないと認められないのですわ」

 むう、エリートな家系だったのか。

 ……剣士を見る限り、甘やかしていたような気がするけど。

 

「でもこれで、ゾンビ世界の救済も進みやすくなるかな?」

 この感じなら浮気もとりあえず大丈夫そうだし、カミナやミシェル、黄金聖闘士の力も借りられそう。

「ゾンビ世界ですか?」

「魔族が大都市をいくつもゾンビタウンにしたみたい」

「魔族か!」

 あれ? ワルテナの雰囲気が変わった。

 ……魔族との戦いで世界を失ったんだっけ。思うところがあるのかもしれない。

 

「ならばなおの事、協力する!」

 口調も変わった?

 瞳にも戦女神に相応しい光が見えるし、こっちが本性?

 今までのキャラって作ってたの?

 

 

 

 そして第3競技、輪投げ。

 輪を投げて、通せた景品が貰える。景品の難易度ごとに貰えるポイントも違う。

 うちの代表は剣士。

 女の子を出そうとしたんだけど、1つぐらいは出たいと駄々をこねられたので、仕方なく一番楽そうな種目に。

 

 だが、魔族の話を聞いて本気モードになったのか、2面代表として出場したワルテナの独走で競技が終わった。

「今度こそ、エルフの勝利のはずだったのに!」

 エルフ代表として出たチィ姉ちゃんが荒れる。

 ……いい加減、年下に見える少女をチィ姉ちゃん呼びは心の中のみとはいえ、やりにくい。

 数え役満姉妹の次女を元に戻したらややこしくなるし、ダイ子の妹だからチ子にしておこう。

 

「それに、審判も気持ち悪かった」

 チ子の愚痴は続く。

「わたしを見てさあ、パターン青、使徒ですね。とかブツブツ呟いてるのよ」

 寒気がすると、両の二の腕を自分で擦るエルフ少女。

 気になったので屋台を覗いたが、もうその審判はいなかった。

 

「たしかにあの審判は変でした。心も読めませんでしたし」

 1位のはずなのに嬉しそうな顔も見せないワルテナ。

 その手には景品であるぬいぐるみが。

 

「ちょ、ちょっとそのぬいぐるみ見せて!」

 一目見てそれであるとわかっていながらも、念のために直接手にとって確認させてもらう。

 レベルの上がってきた鑑定スキルも使用する。

 

「うん。間違いない」

「やはり、そうなのね」

 俺の隣で華琳も頷いている。

 

「これは、北郷一刀だ」

 恋姫†無双ぬいぐるみを景品としている4面のクレーンゲーム。

 そこにいなかった主人公ぬいぐるみが、ついに姿を現したのだった。

 

 

 ……さっきの審判ってもしかして、中の人ネタで干吉なの?

 

 


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