魔法とかなんとか   作:四季式

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第6話

「武装錬金!」

 

 ヴィータの、心の底からの叫びが大気を震わせる。100分の1秒で展開される青い核鉄『ジュエルリーフ』は変形しながらヴィータの前へ収束していく。

青い魔力光を放ちながら形作られたそれは──

 

 

 

 

 大きなぬいぐるみでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──第6話──

 

 

 

 

 

 

 

 

「の、のろいうさぎや」

 

 ヴィータの目の前には彼女と同じくらいの大きさの『のろいうさぎ』があった。

 

「なあなあ、のろいうさぎってなんだ?」

 

 まだのろいうさぎを知らないヴィータは、ぬいぐるみに興味津々な様子で聞いてきた。

 

「のろいうさぎというのはね、最近ゲーセンのUFOキャッチャーで人気のぬいぐるみさ。ヴィータの帽子にも付いてるはずだけど?」

 

「あ、ほんまや」

 

 のろいうさぎについてはよく知らないので適当に答えておく。

 さて、これはおそらく自動人形(オートマトン)の武装錬金といったところかな。自律行動して主人の補佐をするようなタイプだろう。

 

「ヴィータちゃん、ちょっとのろいうさぎに命令してみて」

 

「うん、じゃあ『バク転しろ』」

 

 すると、直立不動だったのろいうさぎが鮮やかなバク転を披露して見せた。

 

「おお! すげえ!」

 

「多分だけど、ヴィータちゃんが命令すればある程度自分で判断して行動すると思うよ」

 

 1人で特攻してしまうヴィータにはピッタリな武装錬金だね。みたいなことを他のヴォルケンズは思っているようで、得心した顔になっている。

 

「それじゃ、残りの3人もやってみようか。あ、強くイメージすればそれに近いモノが出るかもしれないからそうしてみるのもいいかもね」

 

「はい、では」

 

「「「武装錬金!」」」

 

 ピカッと光ってまずはシグナム。

 自身の武器であるレヴァンティンの強化を想像したのか、少々形状が変化している。カートリッジの部分が2つになっており、刀身が一回り小さくなっている。

 カートリッジの強化は分かるがあの刀身は………おそらく某主人公の『アレ』だろう。

 

 詳しく知りたい人は武装錬金を読みましょう。

 

 

 次はシャマル。

 シャマルは強化ではなく新武装を想像したようで、身長くらいの杖を持っている。

 さすがに杖というだけでは能力の判断がつかないな。

 

 

 最後に今のところ単独のセリフが自己紹介しかないザフィーラ。

 手甲(ガントレット)の武装錬金のようだ。能力は分からないが、まあ戦闘力の底上げにはなるだろう。

 

 

 

 

 

 

■■■■■■

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、ちょっと散歩にでも行ってくるよ」

 

「主、ならば誰かをお供に」

 

 シグナムが提言してくるけど、ちょっと今回はひとりで行かないとダメなんだよね。

 

「大丈夫だよ。それより僕が帰ってくるまでに八神ちゃんの手伝いをして夕飯作っといてよ」

 

「…………了解しました、お気を付けて」

 

 まだ何か言いたげだったが、主の命令ということで引き下がった。

 

 

 

 

 八神邸改め坂井邸から1歩出ると、怪しげな2人の男に囲まれた。

 

「貴様、一体何者だ?」

 

「何者と言われてもね。坂井祐一、奇跡遣いさ」

 

 2度ネタです。

 

「奇跡遣い? ふざけているのか!」

 

 あらあら怒られちゃったよ。

 

「あとはそうだねーーー闇の書の主とかやってるよ」

 

「「っ!?」」

 

 おー、驚いてる驚いてる。

 

「そんなはずはない、闇の書の主は八神はやてのはずだ。そもそもなぜ貴様が闇の書のことを知っている」

 

「他にも知ってるよ、リーゼロッテちゃんにリーゼアリアちゃん」

 

「「なっ!?」」

 

 さすがに自分たちの正体は知られてないと思っていたようで地が出ちゃってるよ。

 

「飼い主さんに言ってくれるかな。もう闇の書を封印する必要はないってさ」

 

「………何を根拠にそんなことを」

 

「だからさっき言ったじゃないか。僕は坂井祐一、奇跡遣いさ。どんな願いでも叶えることができる。ただし相応の対価を払えば、の話だけどね」

 

「………分かった、伝えておこう。ただ、我々は常に監視している。妙な気を起こすなよ」

 

「分かってる、こちらとしても管理局のお世話にはなりたくないからね」

 

 次の瞬間、2人はいなくなっていた。

 ………僕も魔法習おうかなー。

 


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