魔法とかなんとか   作:四季式

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第33話

「というわけで、その後なんだかんだすったもんだあってテファをトリステイン魔法学院に入学させることに成功した坂井祐一です」

 

「祐一さん、誰に話しかけてるん? はっ、まさか読者がいるんか⁉︎ 私たちよりも上の次元の存在が……‼︎」

 

 ははっ、厨二乙ww

 

「ゆ、ユーイチ、みんな私のこと見てくるの……。も、もしかして、耳が違うって気づかれてるのかも……!」

 

 僕の能力行使に抗えるとすれば、それこそ神の御業(みわざ)だ。

 

「大丈夫大丈夫。きっとテファが可愛いからみんな見てくるんだよ」

 

 と適当に答えておく。

 

「そんな、か、可愛いだなんて! ……ユーイチは可愛いと思う?」

 

「あー、可愛い可愛い」

 

 再び適当な返答。

 

「むぅー、祐一さん。私も可愛いですか?」

 

 いつも通り腕に引っ付いているフェイトが聞いてくる。

 

「あー、可愛い可愛い」

 

「むふぅ〜」

 

 テファと全く同じ返答をしたけど満足そうにしているフェイト。

 女心って分からないなぁ。

 

 ちなみに今僕らがいる場所は魔法の授業を受けるための教室の一角。

 本来、生徒ではない僕とフェイトはいるべきではないのだが、ルイズの使い魔と、更にその使い魔ということで、僕+三人娘の誰かひとりなら授業参加を認められている。

 

 初めは異世界に興味津々のはやてが来ようとしたのだが、少しでも僕と離れると死んでしまう病(命名:なのは)であるフェイトが猛反対し、ルイズが魔法について教える時間を設けることではやてはフェイトに出席権を譲ったのだ。

 

「……ッ!(イライラ)」

 

 フェイト、僕、テファに続いて並んで着席しているルイズが、こちらの様子を伺いつつ、静かにイラついていた。

 きっと昨日に引き続きテファの胸部を部位破壊したい衝動と戦っているのだろう。

 

 そんな若干カオスな僕らを見つめる視線──他の好奇な視線とは質の異なる、観察するような視線に気付きつつも、

 

(そういえば、夜天の書ってこっちに来てから開いてなかった気がする)

 

 と出待ちし続けている守護騎士たちの存在をふと思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

──第33話──

 

 

 

 

 

 

 

 

タバサside

 

 

 先日、どこからか金髪の少女を連れてきて学院の生徒にしたミスタ・サカイは、その少女と仲良く会話をしている。

 反対側に座って腕に引っ付いているのは、以前の決闘騒ぎで土メイジを圧倒した少女。

 その子も金髪。

 近くに座っているが、全く会話をしていないミス・ヴァリエールの髪は、ピンクブロンド。

 

(彼は金髪が好き?)

 

 もしそうならば、このままでは何かしらの支障が出る可能性がある。

 私の髪は、金色には似ても似つかない青。

 ピンクブロンドでも冷遇される様子を見て、金色の染髪剤の購入を即座に決定した。

 

(次の休みに、王都に買いに行かないと)

 

「あらタバサ、また(くだん)のミスタを見つめて……。やっぱり恋、と言うとあなたは否定するだろうから、そうね……、気になるというか、いつの間にか目で追ってるようなことがあるのではなくて?」

 

 私の唯一の友人が、そんな質問を投げかけてくる。

 彼女の言う恋とか愛とかでは無いが、確かに見える範囲にいる時はその様子を見るようにしている。

 という意味で問いに頷くと、

 

「ああ、まだ恋が何なのか知らない若い蕾は、気になる相手のことを知っていくことでその花を開いていくのね! イイ! すごくイイわ!」

 

 と叫びだす。

 友人がこの手の話で暴走することはよくあるので、とりあえず放置しておく。

 私は私の目的のために、まずは彼と友好的な関係を築く必要がある。

 

(そのためにもまず、早急に金髪に染めなければ)

 

 そういえば、友人は異性との交流を円滑にするために自分を着飾る『おしゃれ』というのが得意だったはず。その『おしゃれ』は頭髪に及ぶものもあったと記憶している。

 

「キュルケ」

 

「そしていつしかその気持ちは明確な恋心に──、って呼んだかしら、タバサ?」

 

「次の虚無の曜日、買い物行きたい」

 

「あら、あなたからお出かけしようと言い出すなんて珍しい。何が欲しいの? 本?」

 

「染髪剤」

 

「髪色を変えたいの? ──はっ⁉︎ つまりオシャレをして新しい自分に生まれ変わるのね! いきなり髪を染めるのは冒険し過ぎかな、とは思うけど……、タバサ本人のやる気があるなら私は止めないわ。何事も経験だもの! 良いわタバサ。次の休みは髪が傷みにくい染髪剤を買いに行きましょう!」

 

「ん、案内、お願い」

 

 これで迅速に染髪剤を購入できるだろう。

 私は金髪になってから彼とどう接触すればいいかを頭の片隅で考えながら、未だ大小の金髪たちと話している彼を眺めていた。

 

 

sideout

 

 


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