魔法とかなんとか   作:四季式

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第3話

八神はやてside

 

 

 最初は何を言うてるのか分からんかった。

 

 今日図書館で会って仲良うなった人、祐一さん曰く、彼はどんな奇跡でも起こせるらしい。

 相応の対価を払えば。

 

「つまり、私の脚も治せるん?」

 

「もちろんだよ。後遺症もなく綺麗さっぱり治せるさ。ただ、そのために八神ちゃんは何かを失う覚悟はあるかな?」

 

 対価は願いの大きさによって変わる。より大きな願いならば、対価もそれに矛盾なく比例して大きなものになる。

 私の場合、願いは『脚が動くようになること』

 今の医学では原因が解らない脚の麻痺を治すのに、どれ程の対価を払わんとならんのやろう。

 

 ……でも……それでも。

 

「それでも、私は自分の足で歩きたい。自分の足で地面を踏みしめたい。だから──」

 

 

 

 

 願いを、叶えて。

 

 

 

 

「了解したよ八神ちゃん。君の願い、ばっちりしっかり十全に叶えてあげよう」

 

 祐一さんは微笑みながら頷いてくれた。

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

──第3話──

 

 

 

 

 

 

 

 

坂井祐一side

 

 

 いやー、子どもは単純で助かるよ。

 

 奇跡とか魔法とか覚悟とかそれっぽいことを話せば面白いようにこっちの思惑通りに動いてくれる。

 まあ、いきなり超常現象を信じるのは無理だろうから僕の言葉に疑問を持たないように軽く能力を使ったんだが、それでもこの答えははやて本人が自分で導き出したものであるのは間違いない。

 

 ああ、ちなみに今使った能力の対価は自身の魔力を充てている。どうやら『世界』というのは思いのほか高価値なものだったようで、世界移動で余った分が魔力として僕の中に貯蓄されている。

 魔力は、ジュエルシードから感じたエネルギー的なものがそうかな~と思ったら、自分の中にそれと同じものがとんでもない量で存在したため分かった。

 ただ、通常魔導師が魔力を生成するリンカーコアなる器官があるのかは分からないので、使った魔力は元に戻らず使いっぱなしになる可能性もあるな。

 現在の保有魔力はジュエルシード10個分くらいはあるみたいだからとりあえず大丈夫だろう。

 

 

 閑話休題。

 

 

 さてさてはやての願いだが、ちょっと工夫するととってもお得な感じになるのだよ。

 願いの叶え方を言わないと、そこらへんは僕の裁量に任されちゃうんだよね。だから、はやてと闇の書とのラインを僕と闇の書とのラインに変えるというやり方でも、結果としてははやての脚は治るということになる。

 つまり僕としては闇の書+はやての対価が手に入るわけ。

 

 ぼろ儲けだね。

 

「というわけで八神ちゃん、君はなにを差し出すんだい?」

 

「そんなん言われても、私が持っとるものなんてそう価値があるもんやないで。精々この家くらいやな」

 

 そう言われて室内を見渡す。

 ふむ、なかなかしっかりとした家のようだ。

 

「んじゃそんな感じでいってみよか」

 

「え!? ノリ軽っ!」

 

 だって僕としては簡単なことだもん。

 えーと、願いは『八神はやての脚の回復』、対価は『八神家の所有権』っと。

 

「ん、終わったよー」

 

「………何か起こったようには見えへんけど」

 

 ジト目で見てくるはやて。

 

「因果を捻じ曲げるような願いならまだしも、これ位のものなら光とかも出ないよ」

 

 エネルギーの無駄だからね。

 

「それよりも脚に変化はないかい?」

 

「え、あ、そういえば足先の感覚がハッキリしとる………治っとる!」

 

 そう言いながら自分の脚を触っているはやては驚き、喜び、そして笑ながら泣き出した。

 

「ひっく、な、治っとるぅ、ひっく」

 

 えーと、こういう時は抱き締めたりするといいんだったかな?

 試しにそっと抱き締めてみる。

 

「ふぇ? 祐一さん、な、なにを」

 

「いやね、こういう時はこうした方がいいのかなぁと思いまして」

 

そう言うと、はやては涙を浮かべながらもにっこり笑って

 

「それなら、もう少しこうしといてぇな」

 

 自分からギュッと抱きついてきた。

 

 

 

 

 

 

 あーこれがフラグなのかなーと考えつつ、僕は自分に新たに繋がった魔力のラインを確認していた。

 恐らくこの家の本棚から来ているだろうラインからどんどん魔力が吸い取られてるのが分かる。とは言っても全量からすれば微々たるものなので特に問題はない。

 これで僕は4人と1匹の下僕を手に入れたわけだ。

 呼び出しは明日ということで、とりあえずは

 

「そういえば八神ちゃん。この家の所有権が僕のものになったけど家事とかめんどくさくてさ、どこかに凄腕の家政婦さんがいないか探してるんだけど知らない?」

 

「えっ………それなら任しとき、この家に住まわせてくれる代わりに炊事洗濯なんでもやったるで!」

 

 こんな感じで会話と契約は完了して、その日は一緒のベッドで寝ました。

 


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