魔法とかなんとか   作:四季式

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リリなの編
第2話


 気が付くと、森の中にいた。

 

「………ふぅん、どうやら成功したみたいだな」

 

 さてさて、いったいどんな世界なのやら。

 科学が発展した世界? 魔法が発達した世界? それとも僕の知らないような生物が闊歩する世界?

 いろいろ想像しながら森を散策していると何か光る物が見えた。

 

「ん? なんだ?」

 

 草木を掻き分け、光る何かに近づく。

 

「………へえ、なるほどね」

 

 すぐ足元にあるそれをひょいと拾い上げる。

 それは、不気味に青く光る宝石──。

 

 

 

 

「ジュエルシード、か」

 

 

 

 

 

 

 

──第2話──

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということで、『魔法少女リリカルなのは』っぽい世界みたいだ。

 

 ぽい、というのはジュエルシードは確かにあったけど、それイコール原作通りというわけではないから。

 もしかしたら何かしら原作との相違点があるかもしれない。

 

 

 

「まあ、あったらあったでその時に、臨機応変に対応していけばいいか」

 

 とりあえず、ジュエルシードがあるということはユーノ・スクライアはこの世界に存在しているとみていいだろう。

 

「んじゃ、まずは宿でも探しますか」

 

 幸い、この世界ですぐにでもタダで泊めてくれそうな所は何ヶ所かある。

 

 

 

①高町家の誰かに遭遇→事情を聞かれて居候、もしくは養子

 

②フェイトの住んでいるマンションに突撃→誤魔化して共同生活

 

③図書館ではやてに親切→八神家に居候

 

④アリサとすずかの誘拐を発見→救出してお礼に住まわせてもらう

 

 などが考えられる。

 

 ①はテンプレ過ぎてなんかヤダし②は場所が分からん。④も面倒くさそうなので、③の八神家に決定。

 決め方がテキトーだけど決定ったら決定。

 

「やってみたいこともあるしね」

 

 というわけで図書館に移動する。

 

 

 

 

 

 

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 図書館に着くまでに迷子になって地味に能力使ったりしたけど、なんとか到着。

 とりあえず、目的の車椅子少女を探しに図書館内を軽く一周する、が見つからない。

 時間は昼過ぎくらいだから居てもおかしくないんだけどなぁ。

 

 無印時代のはずだからまだ家でぼっちの八神はやてに優しくして取り込んで利用できるだけ利用しよう青田刈り作戦を思いついたけど、肝心のはやてがいないんじゃどうしようもない。

 

「……適当になんか読むか」

 

 僕は趣味の本(ラノベ)を探しに席を立った。

 

 

 

 

 この図書館はどれだけのジャンルの本を取り扱っているのだろう、と思うほどラノベが置いてあった。

 久しぶりに死にバラとか半月とかを読んでたら、いつの間にか結構な時間が過ぎてしまっていた。

 そろそろ本格的に探さないと、と思って本から顔を上げると対面の席の人と目が合った。その人物は、茶髪っぽいショートボブ?で車椅子な女の子。

 どう見ても八神はやてです本当にありがとうございます。

 

 まあ実際は二次元ではなく三次元の存在なので顔では判断出来ないが、背格好や車椅子に乗っていること、あとは時間帯などからこの子がはやてで間違いないだろう。

 僕が図書館に来た目的の彼女は、僕が机に積んでいる読み終わったラノベを手に取った状態で停止している。どちらも1巻を読み終わり、半月の2巻を読もうとしたらしい。

 

「あ、あの、すみません。つい手に取って読んでみたら止まらなくなってしもうて」

 

 フリーズが解けたはやては、慌てながらも勝手に読んだことを謝罪してくる。

 予想外の接触だが、悪くない状況だ。こちらから接触するよりも警戒されずに済むし、勝手に本を読んでいたことに罪悪感があるようなので主導権を握りやすいはずだ。

 

「ああ、いいよ。気にしないで読んでくれて。僕は一度読んだことがある本だから」

 

「ほんまですか? ありがとうございます」

 

 怒られると思っていたのか、ほっとした表情になる。

 

「いつもはハードカバーのばっかりなんやけど、ラノベもまた別の面白さがあるんですね」

 

「そうだね。世間では挿絵が問題なのかマイナスなイメージがあるけれど、これらも立派な小説だ。まあ、若者向けがほとんどだから大衆に理解されやすいものばかりでないのは事実だけどね」

 

「確かにそうですね。私も最初見かけた時は表紙で遠慮したんやけど、あらすじとかを読んでみると面白そうなものがよくありますもん」

 

 などラノベ談義で盛り上がったり読書に集中したりを繰り返していると、いつの間にか閉館時間になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなぁ、迷惑かけてしもうて」

 

 図書館で半月の続きを5冊程借りたはやてを、もう時間も遅いということで家まで送っているところだ。本の話で盛り上がったおかげか、はやての口調も砕けた感じになった。

 

「いやいや、これくらいなんてことないさ。それよりいいのかい? 八神ちゃん。見知らぬ人を自宅に招いたりして」

 

「短い時間やけど一緒に話して、悪い人やないって分かったから大丈夫!」

 

 悪い人じゃないからと言って、決して悪いことをしないとは限らないんだけどね。

 

 まあそんなこんなで八神邸に到着……と同時に誰かに見られてるような気が。そういえばネコ姉妹が見張ってるんだったな。

 まあ彼女らもいきなり襲いかかって来るようなことはしないだろうから、とりあえず放置。

 

「お邪魔しまーす」

 

「どうぞー」

 

 というやりとりの後、リビングでお茶を出されて一息ついてます。

 

「少し待っててなー。お礼に夕飯ご馳走するで」

 

 台所へと車椅子を走らせるはやてを眺めながら

 

「お構いなく」

 

 と言いつつも強い拒否はしない。

 ぶっちゃけありがたいからな。これで飯はゲット。

 あとはどうにかして泊めてもらえるようにしたい。

 頼めばいけそうな気がしないでもないが。

 よほど対人関係に飢えていたのか、図書館からここまでずっとニコニコ笑顔だったからな。

 ついさっき会ったばかりの年上の男──ああ、言い忘れてたけど僕18歳ね──を泊めるくらいはするかもね、うん。

 

 幸い、話のネタはあることだし。

 

 

 

 

 

 

 

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 夕飯はカレーでした。美味しくいただきました。

 

「誰かと一緒に食べたのなんか久しぶりやな。めっちゃウキウキするわ」

 

「それは重畳。さて、そろそろシリアスパートに移りますか」

 

「なんや、今までギャグパートやったんか」

 

 ケラケラ笑ながら突っ込まれる。

 

「いやいや、ここからは真面目な話になるよ。八神ちゃんの脚の麻痺についてだ」

 

 症状とかは帰り道でだいたい聞いている。

 

「私の、脚? でもお医者さんも原因が分からへんのにどないするん? それこそ奇跡か魔法でもない限り、一生このままや」

 

 諦めの混じった視線を自分の脚に向けるはやて。

 

「まさしくその通り。魔法や奇跡でもない限りその脚は治らないはそれ故に僕は君の脚を治すことができる。奇跡も魔法もあるんだよ、八神ちゃん」

 

「え?」

 

 ぽかんとした顔をするはやてに向かって、僕はニヤリと嗤う。

 

「さあ願いたまえ。対価を払えばどんな望みも叶えてあげよう。僕の名前は坂井祐一………奇跡遣いさ」

 

 なーんてカッコつけちゃったりして!

 

 


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