魔法とかなんとか   作:四季式

11 / 35
第11話

「行ってらっしゃい」

 

「い、行ってきます」

 

「行ってくるよ」

 

「暗くなる前に帰ってくるんやでー」

 

 フェイトとアルフがジュエルシード集めに行くというのでお見送りです。そろそろ2人がガチでぶつかるあたりかなーと思いながら家に戻ろうとすると

 

「待て」

 

「うん?」

 

 後ろから呼び止められた。

 

「2人から話を聞いてね、交渉に来たのだが」

 

 

 

 

 

 

 

──第11話──

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで、今日のお客さんはギル・グレアムさんです。

 今回ははやても関係者なので居間には坂井家全員集合となっている。

 

「それじゃ貴方が私に援助してくれとるグレアムおじさんなんですか」

 

「ああ、今まで一度も顔を出せずに申し訳なかった」

 

 まあ自分で氷結封印して殺そうとしていた相手に情が移るわけにはいかないからねぇ。

 

「そこにいる猫姉妹から聞いてると思うけど、まずは自己紹介からかな。僕は坂井祐一、奇跡遣いさ」

 

 このセリフ何回言ったかな。

 

「どんな願いも相応の対価があれば叶えられる、だったね。それは闇の書の消滅さえ可能なのかい?」

 

 顔を強張らせながら聞いてくるグレアム。

 

「まあ可能といえば可能だし、不可能といえば不可能なんだよね」

 

「…………それはどういう意味だね?」

 

 おお怖い怖い、さすがは管理局のお偉いさんだね。

 

「というかさ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう闇の書無いんだけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 グレアムサイドの3人はぽかんと口を開けている。

 はやてはよく分かってないようで首を傾げている。

 

「なあなあ祐一さん。それどういうことなん? 闇の書言うんはそれなんやろ」

 

 と言いながらはやては僕が脇に抱えている書を指さす。

 

「この間リインフォースが出て来ただろ? その時ついでにバグの部分だけ消したんだ。だからこれは闇の書じゃなくて夜天の書なんだ」

 

 え? そんな描写は出ていないって?

 プレシアが来た時に一番殺気立っていたのはリインだし、そのあと2人の境遇を聞いて号泣してたのもリインだし、すき焼きで何気に一番肉を取ってたのも実はリインだったりする。

 ああ、プレシアの時の『4人』の守護騎士はリイン、シグナム、ヴィータ、シャマルのことで、ザフィーラは犬形態ではやてにもふもふされてたよ。

 

 バグの消去は簡単だったな。

 バグ、というか闇の書の闇はそれも含めて闇の書だから、願いは『闇の書の正常化』で対価は『闇の書の闇の魔力』とかもできちゃって全部書の中でどうにかなっちゃいました。だから外から見てると、書が光ったと思ったらリインフォースが登場っ! みたいな感じだった。

 

「そ、それでは私の望みは、闇の書の完全封印は……」

 

「うん、全くどうでもいい計画になっちゃったよ。残念でした」

 

 はっはっは、ざまぁ。

 あんたの計画なんて全部パァだぜ。

 と思っていると

 

「ありがとう、本当にありがとう」

 

 と涙を流しながら感謝されました。

 

 

 

 なぜに?

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあと何故か友好的になったグレアムさんと歓談してデバイスが無いと言ったら「だったらこれを使うといい」と言われてデュランダルをもらいました。

 これでやっと魔法が使えるよ。

 

「それではそろそろお暇しようか。祐一君、本当にありがとう」

 

「いやいや僕の都合でやったことだからね、気にしないでいいよ。その代わり管理局には報告しないでね」

 

「ああ、約束するよ」

 

 そう言ってグレアムさんは帰宅。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変だっ、フェイトが!」

 

 帰りが遅いなーと思っていたらやっぱりなのはとジュエルシードの取り合いで怪我する日でした。

 

「シャマルー、テスタロッサちゃんの治療頼むよ」

 

「はい、分かりました」

 

 さて、そろそろ管理局が介入してくる頃だな。

 なのはが僕の事を話しちゃうだろうから探されるより自分から出て行ったほうがいいかな。

 

「というわけで、次の探索は僕もついて行くからねー」

 

「は、はあ」

 

 治療の終わったフェイトは気の無い返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイト・テスタロッサside

 

 

 あの白い魔導師──高町なのはとのジュエルシードの取り合いで怪我をした。

 幸いジュエルシードは手に入れられたけど、バルディッシュが破損してしまったからしばらく捜索ができない。

 

 ──怒られる。

 

 そう思って帰ってみると誰も怒ることはなく、シャマルさんは治療までしてくれた。更に祐一さんは次の探索について来てくれると言う。

 それがどんな考えからなのかは分からないけど──私のことを心配してくれてたら、嬉しいな。

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

坂井祐一side

 

 

 壊れたバルディッシュは能力で直せるけど原作とタイミングがズレると悪いので、あえて自己修復機能に任せることにした。

 次はクロノの登場か。

 よくKYと言われているけど、別にそういうわけではないと思うんだよね。管理局員としてあそこで止めるのは正当なことだろう。そこにタイミングなんて関係ない。

 まあ、ジュエルシードが落ちてきてかなり時間が経ってから来たんじゃ管理局としてどうよとは思うけどね。

 

 さて、問題はストップをかけてくるクロノに対してどういうアクションをとろうか、である。クロノは恐らく逃げ出すフェイトを攻撃するだろうから、それを邪魔する感じでいいかな。

 僕のことは構わず逃げろ!的なことしてフェイトの好感度を上げられたら儲けもんだね。

 そうすると取り敢えずは防御系の魔法が必要だな。

 

「シャマルー、魔法教えてー」

 

「分かりました。どのような魔法にしますか?」

 

「んー防御系のと、できれば飛行魔法かな」

 

「あ、でも主のデバイスはミッドチルダ式ですよね。私たちのはベルカ式なので……」

 

「え」

 

「え」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 調べてみたらデュランダルの中に術式が入っていたので普通に使えました。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。