「武装錬金!」
どうも、坂井祐一です。
只今、ジュエルシードを取り込んだ謎生物の相手をしています。
ああ、ちなみに僕の武装錬金は
「行け、スライム君」
にゅるにゅる~と近づいて相手を拘束する。
「今だよ、高町ちゃん」
「うん! ディバイィィィィン、バスタァァァァー!」
取り込んでたのはヤモリでした。
──第10話──
「手伝ってくれてありがとうございますなの」
「本当にありがとうございます」
「いやいや気にすることないさ」
僕も実験が目的だったわけで、ちょうど相手を探してたんだよね。
というわけで、高町なのはとユーノ・スクライアと会いました。
そろそろこっちサイドにも接触しようと思ってたから丁度良かったけど。
「自己紹介がまだだったね、僕は坂井祐一、奇跡遣いさ」
「高町なのはといいます」
奇跡遣いはスルーですか。
「ユーノ・スクライアです。あの、奇跡遣いってなんですか? 今まで聞いたことないんですけど」
だって僕が自称してるだけだもん。他にいるわけがない。
「んー、それは秘密。なぜならその方がカッコいいからさ!」
「キャプテン○ラボーなの!」
君も分かるのか高町ちゃん。
「じゃ、じゃあさっきの武装錬金って言ったのも」
「ああ、これが核鉄だよ」
と言ってポケットからジュエルリーフを取り出す。
「キャー! 本物なの! 青いけど!」
「な、なのは落ち着いて。核鉄とか武装錬金って一体なんのことなのさ」
「ん、知らないのか。いいか、武装錬金というのはだな──」
そこから2時間ほど、僕となのはによる武装錬金談義が行われた。
■■■■■■
「でも、どうして本物の核鉄があるんですか?」
談義を終えたなのははようやくまともな質問をしてきた。
ちなみにユーノはグロッキーな感じで地面に横たわっている。
「ああ、それはジュエルシードを変化させたからだよ」
「へえ…………ええ!?」
「そんな、危険です!」
お、ユーノが復活した。
「大丈夫だよ。ジュエルシードの保有魔力の半分を使って魔力に指向性を持たせたから暴走なんかは起こらないよ」
「それでも、もとはジュエルシードだったんですから封印して回収しないと」
「つまりあれかい? 僕と戦って奪い取ると」
「そ、そういうわけでは」
「あはは、冗談だよ。そうだ高町ちゃん、高町ちゃんが持ってるジュエルシード、ひとつだけ核鉄にしてあげようか」
「ほ、ホントですか!? ぜひお願いします!」
「な、なのは………」
なのはは目をキラキラ光らせながらレイジングハートからジュエルシードを出してきた。
「それじゃいくよー」
ピカッと光ってはい終了。
「意外と簡単にできちゃったの……」
「そ、そうだね」
2人とももっと派手なのを期待してたみたい。
地味で悪かったな。
「ということで高町ちゃん。その核鉄は君が使うといいよ」
「え、いいんですか?」
「うん。ただしピンチの時以外は使っちゃダメだよ」
「はいっ! じゃあさっそく練習なの!」
その日の夕方までなのはは魔法と武装錬金の練習をしていた。
僕? 僕はただ見てただけ。だって練習なんて面倒じゃん。
「暗くなってきたし、終わりにしようか」
「はい、師匠!」
適当にアドバイスしてたら呼び方が師匠にランクアップしていた。
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「ただいまー」
「おかえりー、今夜はすき焼きやで」
「シメはうどんを希望」
「そんなわけで、ジュエルシード蒐集は中止して書のページを埋めるのに集中しようと思います」
「分かりました、主祐一」
うん、返事はいいんだけど僕の狙った肉をとっていくのはやめてくれないかなシグナム。
「祐一さん、食卓は戦場なんやで。自分の箸以外は信じたらあかん」
「くっ」
シグナムだけではない。他の守護騎士たちも皆、鍋の中の肉を奪い合っている。
主として命令すれば肉は食べられるだろう。が、それをすれば奴らに敗北したことになる。
「負けて、たまるか!」
これが第一次すき焼き戦争の幕開けである。
なわけないに決まってるじゃないか。
普通に皆仲良く食べたよ。
「さて、こっちの世界の食事は口に合ったかい? テスタロッサちゃんに使い魔ちゃん」
「は、はい。とても美味しかったです」
「うん、すっげー美味かったよ。あんたいい人だな!」
というわけで、フェイトとアルフが居候することになりました。
この間のプレシアとの契約でフェイトをもらえることになったから、先払いとして連れて行って欲しいと言われた。
もちろん本人には契約のことは伏せてある。
フェイトはもっと絶望したところで僕に依存するように刷り込まなくちゃね。プレシアには原作通りあのメッセージを最後に言ってもらう予定だ。
「そうだテスタロッサちゃん、君にいい物を貸してあげよう」
「? 何ですか?」
ポケットからジュエルリーフを取り出した。
「これは何ですか?」
「これは核鉄と言ってね、『武装錬金!』って叫ぶとその人固有の武装を形成するロストロギアさ」
「すごい。でもそんな大事な物お借りしていいんですか?」
「もちろんいいよ。ただし、ピンチになった時以外は使っちゃダメだからね」
フェイトは核鉄を握り、じっと見てから
「分かりました、お借りします」
と言って頷いた。
「ねえねえ祐一、あたしのはないのかい? その核鉄ってやつ」
「アルフ、ダメだよ無理言っちゃ」
フェイトがアルフをたしなめる。
「ごめんね、今君らに貸せられるのはそのひとつだけなんだ」
「そうかい、それがあればあのババアからフェイトを守れると思ったんだがねぇ」
「アルフ」
核鉄があったとしてもアルフじゃプレシアには勝てないと思うけどね。
「僕らは契約の関係上、テスタロッサちゃんのジュエルシード集めを直接は手伝えないからね。そのお詫びみたいなものだよ」
「なんで手伝えないんだい? あんたらがいた方がフェイトも楽なのに」
「テスタロッサさんの願いの対価に残りのジュエルシードが含まれているからね、それを僕が集めちゃダメさ」
「『願い』に『対価』ねぇ。あのババアにどんな願い事があるのやら」
「………」
不思議がるアルフと押し黙るフェイト。
君らが考えても答えは絶対出ないのに。