IS〈インフィニット・ストラトス〉 守鉄の剣   作:刀馬鹿

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きらめき

あの日……

 

私はその人と出会った……

 

 

 

『動け!』

 

 

 

そう叫んで私へと触れたその人の手が、ひどく震えていたことを覚えている……

 

私たちを大事に扱ってくれたその人は……

 

 

 

ひどく曖昧だった……

 

 

 

人を守ろうとしているのに……

 

自分の命を危機にさらそうとしているのに……

 

 

 

その人は己のことをまるで考えていなかった……

 

 

 

今まで私を扱っていた人たちは誰もが傲慢だった……

 

でもそれが当たり前だと思っていた……

 

そんな人としか、触れてこなかったから……

 

 

 

混乱したその状況下で、その奥底の恐怖と絶望を隠しながらも動き……

 

 

 

そして己のことを顧みずに……

 

 

 

ただ他者のために動こうとした彼が……

 

 

 

歪ながらも……

 

 

 

 

 

 

とても美しいと……私は思ったのだ……

 

 

 

 

 

 

だから……

 

 

 

 

 

 

私は……

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

時間が経過していくのにつれて……疲労の度合いが大きくなっていく。

正直、未だ意識を失わないのが不思議なくらいだった。

 

……まずい

 

時間、そして三次元機動によって麻痺してきた三半規管の影響で、疲労の度合いが倍加している。

また精神も恐ろしいほどに研ぎ澄ましているので、精神の疲労も激しい。

とてもではないが、もうそろそろ限界だ。

自衛官として精一杯の虚栄を張っている……そう言っても差し支えないほどだ。

それは俺だけでなく、他の人もそうだ。

 

……簪ちゃんも危ない

 

更識がやられたことで憎悪によって盛り返した意識が再び沈下してきた。

またエネルギーの残量も、皆残り少ない。

絢爛武闘によって無限供給が可能と言っていい篠ノ之のさんも、疲労によって集中力がとぎれかかっている。

 

……山田先生と俺だけか

 

山田先生はさすが元候補生ということか、焦りこそ見せているものの集中力は全く問題なさそうだった。

だが、それでも本物の戦闘というのは初めてなのか、疲労は他と大差がなさそうだった。

 

……本物の戦闘経験があるのはそういないか

 

一夏と篠ノ之さんも先日の臨海学校で本当の戦闘を行っているが、いかんせん一度だけな上に精神もまだ幼いと言っていい。

ここはやはり何とか俺が踏ん張らないといけない。

 

自衛官(・・・)として……俺が

 

「一夏……エネルギー残量は?」

 

敵の攻撃をよけつつ、もしくは弾きつつ、俺は一夏へとそう問いかける。

この中でももっとも攻撃力があるのは間違いなく一夏だ。

だが白式はあまりにも燃費が悪いために、すでにエネルギーが枯渇しかかっている可能性がある。

俺は単一使用能力(ワンオフ・アビリティー)のおかげなのか、まだ余裕がある。

 

『あと一回……零落白夜が使えるかどうかって感じだ……』

 

それだけ残っているだけでも僥倖……といえた。

 

一撃で仕留められるかはわからないが……

 

これ以上長引かせるのは得策ではない。

死人が出てしまうのだけは避けなければならない。

ならば、その一撃に賭けてみるしかない……。

紅椿から絢爛武闘でエネルギー供給が出来れば一番よかったが、さすがに止まった二人を守れるとは思えない。

 

「ならばそれに賭けよう。一夏、次が最後のチャンスだと思って、剣を振るえ」

『!?』

 

砲火をよけつつ、俺は一夏の前へと陣取り、いつでも突進できる状態にする。

無理強いは出来ないが、だがこれしか方法がない。

零落白夜で動きが鈍ったところで他の人間の全火力一斉射撃……。

だいぶ時間が経っていることを鑑みれば、それで敵が沈む可能性は決してゼロじゃない。

 

「……どうする?」

『……わかった!』

「他の方は一夏の攻撃が命中し動きが止まった瞬間に集中砲火。これでしとめます」

『で、ですが!?』

 

山田先生が俺の言葉に反論しようとしたが……俺はあえてそれを無視した。

その声に疲労が混じっているのがわかったからだ。

 

 

 

更識を守れなかった……

 

誓いを忘れていた……

 

それだけでなく、六花を傷つけた俺が言うべきではないかもしれない……

 

だけど……

 

俺はこの人のことも守りたいと……思ったのだ……

 

俺に優しくしてくれた……幼く見えるけれども、優しいこの女性を……

 

 

 

「行くぞ!」

『……あぁ!!!!』

 

最後の一撃、それが一夏を不安がらせたのかもしれないが、しかしそれでも気丈にも一夏は吼えた。

気負いでも、やけくそでもない……明確な意志の込められたその声と、背後から伝わるその気迫を信じて、俺は敵へと突貫した。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

命を燃やすほどの勢いと気迫で、俺は敵へと近寄っていく。

その間に迫り来る敵の攻撃はそのすべてを打ち払った。

他のみんなも、それをフォローしてくれたのでどうにか敵へと接敵できたが、そこで敵が予想外にも今までとは比較にならないほどの速度で一夏の攻撃を……最後の零落白夜を避けた。

 

『なっ!?』

 

鈍重と見え、そしてそれに違わぬホバー移動のみでこちらに攻撃をすべて回避していたゴーレムが急に宙返りで回避したのだ、全員が等しく驚愕した。

そしてその驚愕が隙となって……こちらに猛威を振るう。

まず一夏の技後硬直に、その宙返りから一夏を踏みつぶすようにして着地した。

 

『っ!?』

 

決して軽くはないであろうその攻撃は、一夏の意識を刈り取るには十分すぎる威力を秘めていて、一夏は地面にうずくまった。

気を失ってはいなさそうだが、どう見ても軽いと思えない敵が乗ったのだ。

おそらく行動は不能だろう。

それだけにとどまらず、全砲門から、こちらへと照準を向けた。

 

……全砲門からの一斉砲撃!?

 

敵の砲門の数はいくつかわからないが、それでも俺の両の手で防ぐことはかなわない。

それも……数が俺だけならばどうにかなったかもしれないが、標的は……最低でも四人……

 

 

 

――っ!!!!

 

 

 

標的が四ついる。

そう理解した瞬間に俺は敵へと突貫した。

確証があったわけではない。

だがそれでも……俺は行かねばならなかった。

更識を守れず、一夏も守れなかった。

だけど……それで止まるわけにはいかないから。

ブレードを構えて俺は敵へと突貫する。

敵が攻撃を開始する前にそれを止めるか、もしくは俺へと向けさせるための囮の行動。

それを見切っていたのか、敵は砲門を全部一斉に俺へと向けた。

 

フェイント!?

 

周りのすべてを攻撃すると見せかけてのフェイントに、まんまと引っかかってしまった。

一夏がやられたことと、周りの人間が更に傷ついてしまうことで焦ってしまったのを悟られたのか……。

そう考え焦る俺に迫る……幾筋もの光線。

 

ちっ!?

 

ブレードを楯に、そして両手を使用してどうにかその砲火を退けた、その俺の後頭部に……衝撃が走った……。

 

!!!!

 

「がっ!?」

 

すさまじいほどの衝撃が……だが決して一撃で死ぬような物ではない打撃。

ゴーレムが光線を防いでいる間に、瞬時加速で俺の背後へと忍び寄っていたのだ。

そしてその巨腕の打撃が、俺の意識を刈り取らんと振るわれたのだ。

それでもとっさに防いだ右腕の装甲が粉々に吹き飛び、俺の生身の手を晒した。

おそらく限界に来ていたのだろう。

 

 

 

揺れている意識の中で……俺には疑問が渦巻いていた。

 

何故、敵が奇襲と同時にこちらを攻撃してこなかったのか?

 

何故、前回襲撃にて使用してきた物の明確な発展型の機体と同時に、改良しただけと思われるISが同時に投入してきたのか?

 

 

 

そして何故……シールドエネルギーが発動しないという圧倒的に有利な状況の中で、こちらを殺そうとしなかったのか?

 

 

 

様々な疑問が襲ったが、俺の意識はもうろうとかすんでいき、意識が朦朧とした。

必死になって意識だけをどうにかつなぎ止めるのが精一杯だった。

 

 

 

門となり、我が身を持って盾となる……

 

 

 

先日そう口にした。

その覚悟もあったはずだった。

だが現実の俺はすでに戦闘不能一歩で……。

 

誓いを忘れて六花を傷つけて……

 

さらには護るべき者すらも護れないというのか……

 

 

 

俺は……

 

 

 

 

 

 

なっ!?

 

門国さんがやられた。

それが致命的にまずい状況を招いてしまった。

こちらの最強の戦力である織斑君の零落白夜。

そして唯一シールドエネルギーを局部的にとはいえ使用できる門国さん。

敵も疲弊はしているとは思うけど、それでもこちらも疲弊している中で、この二人が完全に脱落しないまでも、戦闘不能という事実はかなりまずい事実だった。

 

「一夏!?」

「織斑君……」

 

残ったのは私と、篠ノ之さんと、更識簪さん。

攻撃力という意味では篠ノ之さんの紅椿は十分にすごいし、単一使用能力(ワンオフ・アビリティー)のおかげでエネルギーには問題ないだろうけど、それを使用している人間は十分に疲弊している。

それは私も例外じゃなかった。

 

どうすれば!?

 

「あ……ぅ……」

 

篠ノ之さんはまだかろうじて戦意を維持できているけど、更識簪さんは見るからに戦意を消失してしまっている。

お姉さんがやられてしまっても、何とか持ちこたえていた心が織斑君と門国さんが倒れたことでとぎれかかっている。

このままではいけないと思いつつも、私には何もすることが出来そうになかった。

 

レッドバレットも弾切れ……このままじゃ!?

 

門国さんを守るために護衛のタッグマッチとしてこの場にいるというのに、私は未だ何も出来ていない。

だけど私は先生だから……生徒を助けるために尽力しなければならない。

門国さんが守ろうとした人たち……。

せめてこの二人だけでも無事に生還させなければいけない。

 

門国さんみたいに出来るわけがないけど、それでもやらないで諦めるわけにはいかないから!

 

弾切れのレッドバレットをしまい、壊れてしまった物理シールドを新しい物へと交換した。

そして装備していた唯一と言っていい防御することの出来る武器、|灰色の鱗殻〈グレー・スケール〉を装備した。

パイルバンカーとシールドが一体化したこの武器で……守ってみせる。

 

これと物理シールドでどこまで出来るかわからない……だけど……!

 

「更識さん! しっかりしてください! 私が何とかカバーしますから私の背後から離れないで! 篠ノ之さんは攻撃するのを中止して防御と回避に徹してください! 援軍がくるまで、何とかしのいでください!」

 

私のこの言葉で何とか復活してくれたけど、更識簪さんは耳にも入っていないのか全く反応がない。

その恰好の的である人を敵が見逃すわけもなく……砲口が更識さんへと向けられる。

 

させない!!!!

 

敵から放たれた無数の砲火……。

それを何とか防ごうとするのだけど……シールドエネルギーが発動しないというその恐怖が、一瞬体を縛った。

だけど……それでも動かないわけにはいかないから、私は必死になって体を前へと動かした……。

 

守ってみせる! 私の生徒を!!!!

 

先生として、教師として……私は生徒を守るために行動した。

だけど……その思いに私の技量は付いてこれなくて……。

シールドはすぐに破られ、|灰色の鱗殻〈グレー・スケール〉も破壊された。

それでも私は決して生徒を見捨てることはしない。

けど……

 

ズン!

 

ほとんど地上といっていい高度にいた私と簪さんの前へと、敵が近寄ってきて……。

私は必死に恐怖を押さえつけていた。

だけど……

 

ブォン!

 

振るわれたその打撃を両手で受け止めたけど……それはシールドエネルギーが発動していない状態ではとてもではないけど受け止めきれず、私は壁まで吹き飛ばされてしまった。

 

「――ぁ」

 

どうにか意識を失わずにすんだけど、もう動けそうにないほどの激痛が私を襲っている。

 

 

 

動いて!!!!

 

 

 

必死になって体に力を込めても、体はそれに答えてはくれなかった。

生徒を守るためにこの場にいるというのに……このままではみんなが危ない目に遭ってしまうかもしれない……。

それなのに……私は立ち上がることすらも出来そうになかった。

 

 

 

 

 

 

山田先生までもが!?

 

敵の攻撃を必死に防いでいた山田先生も、敵の腕が振るわれたハンマーすらも超えるであろう打撃で意識を失ってしまった。

倒れてしまった四人、全員が生きていること、一夏と門国さんは意識まで失っていないことは紅椿のセンサーで確認できる。

ほっとすると同時に怒りが荒れ狂い、そしてそれと同じくらいに疑問が生じた。

 

何故敵は……こちらを殺さなかったんだ?

 

敵の目的は一夏の捕獲。

ならば一夏を殺さないのは当然にしても何故他の人間を殺さなかったのか?

シールドエネルギーの発動を阻害するという、常識では考えられないような装備を携えてきたのだ。

こちらを殺そうと思えば容易に殺せたはず。

 

門国さんの単一使用能力(ワンオフ・アビリティー)が予想外だったとはいえ、何故?

 

だがそれを考えている訳にはいかなかった。

今敵の眼前には、怯えきってしまった更識がいる。

 

えぇい!

 

突然一夏がパートナー申請すると言い出した女の子。

それがどういう理由なのかは……更識という性別からなんとなく察することが出来た。

専用のISを門国さんが整備していたということを聞いて、理解はした。

だからこそ、一夏と真剣に戦える機会が生まれたし、一夏がいることで門国さんに私の覚悟を見せることが出来たのも事実だ。

 

だがそれでも嫉妬しないと言えば嘘になる……

 

一夏を、そして門国さんに認めさせることが私の目的だ。

そして願わくば……更識先輩が、仲直りしてほしいとも思った。

 

 

 

『きっと、あなたのお姉さんはあなたを大切に思ってくれているから……』

 

 

 

本当にそうなのだろうか?

 

姉さんがISを開発してしまったから、一家は離散し、私は政府に保護されて転々と居住を変えるような生活を強いられてしまった。

 

さらに姉さんが何の相談もなく失踪すると、政府から監視と聴取を繰り返しされて、それがいやだった。

 

何故何も相談してくれなかったのか?

 

何故家族に一言も言わずに失踪してしまったのか?

 

そんな疑問と転々とする生活、監視と聴取が、私の心をかきむしった。

 

だけど、私のわがままでしかないのに今身につけている紅椿を用意してくれた。

 

そして更識先輩の言葉……

 

 

 

『だから……怖がらないで……』

 

 

 

妹を持つ、姉からの言葉……

 

私とは事情がだいぶ違うけど……それでもその言葉を聞いて、私も信じてみたくなった……

 

 

 

話をしてみたくなったのだ……

 

 

 

以前のようにただお願いをするだけじゃないから、きっと電話するのもすごく躊躇してしまうだろう……

 

だけど、それでも話をしてみたくなった……

 

だから、この戦いで門国さんを見返して、それで勢いに乗って電話をしたいと思った……

 

確かに私はISを軽く扱っていたのかもしれない……

 

門国さんのように、本当に命を危機にさらしたことはないのかもしれない……

 

だけどそれだけですべてを否定されるわけにはいかないから……

 

 

 

あの人に勝ちたい!

 

 

 

あらゆる意味で上を行くあの年上の男の人を超えたい……

 

同じ武芸者として……

 

私を否定した人間に勝ちたい……

 

認めさせてみせる……

 

 

 

この力は、決して人を傷つけるために身につけた物ではないということを!!!!

 

 

 

それを証明するのに、これ以上ないほどの舞台が今だった……

 

だから私は……

 

 

 

「更識!」

 

 

 

友人でもなければ知り合いでもない人物をどう呼べばいいのかわからなかったが、とっさに名字を呼び捨てにして更識簪の前へと躍り出て……驚愕に目を見開いた。

なんと敵から二機のビットが飛び出してこちらへと向かってきたのだ。

 

そんな装備まで!?

 

どう見立てても、このISは前回一夏と鈴の戦闘中に乱入してきた機体の改良型。

故にこの機体は以前と同じような装備しか積んでいないのかと思った。

しかしそれは誤りで、最後に残ったこの敵にも、ビットが搭載されていたのだ。

それが飛来し……私の手前で止まると、すさまじいほどの電撃が私の体を襲った。

 

「っ!?」

 

声さえも上げられずに、私の意識は一瞬にして刈り取られてしまった。

ここまできて、結局私は何も出来ずに……何も成し遂げられずに……。

 

 

 

たった一人だけ、最初に脱落してしまった……。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「ごめんね~箒ちゃん。箒ちゃんを傷つけるわけにも行かないから、ちょっと離脱しててね~」

 

そのためだけに装備させたビット兵器が、首尾良く箒を気絶させたのを見て、束はそうつぶやいた。

唯一にして絶対の条件が、箒を無傷にすることだったのだが、それはたった今達成された。

それにより、もうためらうこともなくなったが……現時点でほとんど目的を達成しているといって良かった。

最後の仕上げがまだ残っているのだが……現時点での戦果としてははっきりと言って拍子抜け、期待はずれもいいところだった。

 

「結局私の過大評価だったかぁ……。残念だねぇ」

 

切り替えが速いと言うべきなのか?

その言葉を口にした瞬間に、束から綺麗に先ほどまで抱いていた期待と未練が綺麗さっぱりに消える。

今回で成果を得るのは完全に諦めたのだ。

 

「しょ~がないよね~。切り刻んで解剖してみよっと♪」

 

いっていることは物騒この上ないというのに、いっている当の本人は全くそれを危ないことだと思わず、むしろ解剖して自分でそれを解き明かすと言うことに、興奮していた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「ぁ……ぅ……」

 

目の前で倒れていく、篠ノ之さん。

残っていた最後の一人がやられてしまって、私はもはや動くどころか、息をするのも困難になるほどに、恐怖した。

 

こ……こないで……

 

声を絞り出すことすらも出来なくて……私はただ震えていることしかできなくて。

周りに視線を巡らせるけど、そこには動ける人は誰もいなかった。

 

山田先生も……

 

門国さんも……

 

篠ノ之さんも……

 

織斑君も……

 

 

 

お姉ちゃんすらも……

 

 

 

動くことが出来なかった。

この状況になって……自分だけが動けるというのに、逃げることも、仇をとることも出来ず、ただじっと突っ立っているだけの自分が情けなくて……

 

 

 

そんな自分が……嫌で仕方がなかった……

 

 

 

私なんて……結局……

 

 

 

何も出来ない

 

何もすることが出来ない

 

頑張って打鉄弐式を完成させれば、お姉ちゃんに近づけると思った

 

何をとっても完璧で

 

同じ姉妹とは思えないほどに優秀な姉に少しでも近づきたかった

 

私とお姉ちゃんじゃ、勝負にすらならないのはわかってる

 

だけど、お姉ちゃんが大好きだったから

 

ただ離されていくだけじゃなくて、追いつきたかったから

 

隣に並べなくてもいい

 

せめて同じ物が見たかった

 

同じ場所で

 

 

 

だけど現実はこんなので

 

私は結局何も出来ずにただ突っ立っていることしかできなかった

 

そうして無防備に突っ立っている私に、敵がゆっくりと近づいてくる

 

織斑君や山田先生が何か言っている気がするけど、何も聞こえない

 

わからない

 

 

 

わかるのはただ、怖くて何もできない……顔を上げることすらも出来ない役立たずな自分で……

 

 

 

ごめんなさい……

 

 

 

それしか頭に浮かばなかった

 

私がもっとうまく出来ていれば

 

私にもっと勇気があれば

 

 

 

私がもっと……すごければ……

 

 

 

私の前に立ったゴーレムが腕を振り上げた。

するとその巨大な指からブレードが飛び出して、それを振り上げた。

 

 

 

あぁ……死ぬんだ……

 

 

 

何の感慨もなく、ただそう思った

 

私にそれを防ぐ術はあって、回避することが出来るくらいにエネルギーがあった

 

だけど動けなかった

 

何もかもがどうでも良くなって

 

何の価値もない人生で

 

つまらない時間だった

 

けど最初の方と最後の方

 

お姉ちゃんと仲が良かった頃と、織斑君との時間だけが楽しかった

 

 

 

それを失ってしまうのは残念だな……

 

 

 

そう思って目を閉じようとした私の視界の端から、何かが私に近づいてくるのがわかった

 

 

 

でもそれは……その人は動けるはずがないのに……

 

だけど事実としてその人は動いて私へと向かってきていた……

 

それが信じがたくて、思わずその人へと視線を投じた……

 

その先には……体中に傷を作って、あちこちの装甲が壊れてしまっているミステリアス・レイディを纏った……

 

 

 

お姉ちゃんだった……

 

 

 

すごい爆発の爆心地にいたお姉ちゃん……

 

死んでも不思議じゃないほどの衝撃で気を失っているはずのに……

 

 

 

……どうして?

 

 

 

その回答は与えられず、お姉ちゃんはただただ必死になって飛んできて……

 

 

 

 

 

 

私を抱きしめてくれた……

 

 

 

 

 

 

私を護るように、庇うように……その身を私と敵の間に滑り込ませて……

 

 

 

力強く……

 

 

 

 

 

 

……な……んで?

 

 

 

 

 

 

訳がわからなかった……

 

だって私はダメな子で……

 

何でも出来るお姉ちゃんとは比べることも出来ないほどに役立たずで……

 

当主にもなって、生徒会長にもなって……

 

何でも出来るすごいお姉ちゃんが……

 

 

 

どうして?

 

 

 

そう疑問に思ったとき、気がついた……

 

私を抱きしめている体が、腕が……

 

 

 

 

 

 

震えてる……?

 

 

 

 

 

 

小さく震えていることに……

 

 

 

どうして震えているのかはとっさにわからなかった……

 

だけど、どうして震えているのかはわかった……

 

それは恐怖からくる震えであることが……

 

わかった……

 

 

 

 

 

 

お姉ちゃん……

 

 

 

 

 

 

それでわかった……わかってしまった……

 

何でも出来るお姉ちゃんも、怖がっている……

 

私にとって尊敬して大好きなお姉ちゃんが震えていた……

 

 

 

でも、その恐怖を押し殺してまで私を助けに来てくれたことが……わかって……

 

 

 

 

 

 

涙が出るほどに……嬉しかった……

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん……」

 

 

 

 

 

 

震える唇でそうつぶやいた……

 

いや、もしかしたら空気をはき出しただけかもしれない……

 

それほどにか細い声だったと思う……

 

だけど……

 

 

 

ギュッ

 

 

 

それに応えてくれるように更に力を込めてくれた……

 

私もお姉ちゃんに腕を回そうとしたけど……

 

でもその前に敵の攻撃が迫っていて……

 

対ISに作られたその剣は、シールドエネルギーが発動しないこの状況では、人体などたやすく引き裂くだろう……

 

だから、私たちはここで死んでしまう……

 

私はもう別に良かった……

 

お姉ちゃんのことが、少しだけわかったから……

 

 

 

織斑君と、山田先生が、必死になって無理をしてこちらへと向かってくるのがわかった……

 

 

 

それに目もくれずに、敵はビットで二人を攻撃しようとしていて……

 

 

 

私はもう死んでもいい……

 

だけど、織斑君が、他の人が……お姉ちゃんが死んでしまうのはいやだ……

 

それになにより……

 

ただ、かすれただけの声しか、お姉ちゃんに返すことができなかったこと……

 

 

 

それだけが残念だった……

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

ただ必死だった……

 

簪ちゃんを助けたいと思って……

 

ただ、その思いだけで私は必死になって動いた……

 

私の思いを受け止めてくれて、ミステリアスレイディももはや強制解除されても不思議じゃないほどに傷ついているのに、動いてくれた……

 

何でさっきのミストルテインの槍の爆発で死ななかったのかはわからない……

 

でもそんなことは瑣末ごとだった……

 

 

 

だって……簪ちゃんを助けることが出来たから……

 

 

 

そして、今私の腕の中に簪ちゃんがいる……

 

かすれてほとんど聞き取れないほどに小さかったけど……

 

それでも呼んでくれた……

 

 

 

お姉ちゃんって……

 

 

 

それが嬉しくて……涙が出そうだった……

 

それに答えるために、私は力強く簪ちゃんを抱きしめた……

 

強く……

 

強く……

 

すれ違っていた時間を埋めるかのように……

 

だけど、それもすぐに終わってしまう……

 

敵の攻撃はすでに振り下ろされている……

 

頑張ってくれたミステリアスレイディだけど、シールド阻害装置もある上に、もう満身創痍だ……

 

おそらく私と簪ちゃんは二人して切り裂かれて死んでしまうだろう……

 

死んでしまうのは嫌だけど……

 

でもだからといって何もしないで簪ちゃんだけ死ぬのだけは……

 

いやだったから……

 

だから動いた……

 

そして簪ちゃんと少しは……以前のように戻れそうな兆しが見えた……

 

それが嬉しかったから……

 

だから別にいいかなって思った……

 

やり残したことも、やらなければいけないこともいっぱいあった……

 

だけど、それでも……これが私の終着点だというのなら……

 

 

 

受け止めてもいい……かな……

 

 

 

そう思った……

 

そのとき……

 

 

 

 

 

 

 

『……バカを言うな』

 

 

 

 

 

 

……ぇ?

 

 

 

聞こえるはずのない声が聞こえた……

 

そしてそれと同時に……

 

 

 

 

 

 

トンッ

 

 

 

 

 

 

そんな私たちを、何かが優しく押してくれて……

 

 

 

 

 

 

パパッ

 

 

 

 

 

 

私の背中に何か……生暖かい液体がかかった……

 

 

 

それはぬめっていて……

 

 

 

それと同時に、鉄の臭いが私の鼻に届いて……

 

 

 

とっさに振り向いたその先には……

 

 

 

 

 

 

 

「嫁入り前の娘が、あまり体に傷をつけるもんじゃない……」

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんが……そこにいた……

 

 

 

私の頭を何度もなでてくれた……

 

 

 

優しく私に触れてくれた……

 

 

 

 

 

 

その右腕を落として……

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

薄れていく意識の中……俺のかすかな感覚がとらえたその空気の震え……

 

動けないはずのあいつが、必死になって動いて、妹を護ろうとしていた……

 

篠ノ之さんも……

 

一夏も……

 

山田先生も……

 

動けなくなったこの状況で……

 

あいつは妹を救わんと、その命を賭けて……動いていた……

 

 

 

護るということ……

 

 

 

それは俺の最初の行動理念だった……

 

父に教わり、父に憧れ……

 

最初はそれが理由だった……

 

 

 

だがその後は?

 

 

 

俺がここまで……それこそ自分の命すらも投げ出して「護る」という行為を行うのは何故なのか?

 

自衛官だからか?

 

「門国」護だからか?

 

 

 

否……

 

 

 

それは一部であってすべてではない……

 

 

 

俺の原点は……

 

 

 

今となっては、遠い……果てしなく遠いと思える……

 

 

 

俺が誓ったあの日……

 

 

 

 

 

 

稽古でうまく出来ずに、隠れて裏で泣いていた、あの小さな女の子が……

 

 

 

 

 

 

心の底から綺麗と……

 

 

 

護ってあげたいと……

 

 

 

そう思ったから……

 

 

 

その日俺は……「護」は……

 

 

 

 

 

 

真に「門国護」となったのだ……

 

 

 

 

 

 

今まで忘れていたが……それでもそれを果たさない理由はない……

 

なら……俺が取る行為は決まっていた……

 

一夏と山田先生が、無理をして起き上がり、二人を救おうとしていた……

 

それをさせまいとする、敵のビット攻撃……

 

護るべき対象が三人……

 

自衛官を…

 

「門国」という性すらも捨てて俺は動いていた……

 

だが、俺はそれでも、二人を見捨てることはしたくなかった……

 

一人の友人として好感の持てるあの青年に……

 

こんな俺を救おうとしてくれた、あの女性に……

 

死んでほしくなかった……

 

それを否定する声が、奥底から響いてくる……

 

 

 

[大丈夫……]

 

 

 

その声が何なのかはわからない……

 

だがその言葉が嘘でないとわかり……

 

それを信じて動いていた……

 

むき出しになった手で更識を……六花の背を押した……

 

それによって敵のブレードの間合いから、二人を遠ざけた……

 

その俺の右腕に迫る……敵のブレード……

 

 

 

ズバッ

 

 

 

あまりにもあっけないほどに、敵のブレードは俺の腕を真っ二つに切り裂いていた……

 

あまりの痛さか、それとも興奮しているのか、俺はそれを全く痛いと感じなかった……

 

 

 

 

 

 

「嫁入り前の娘が、あまり体に傷をつけるもんじゃない……」

 

 

 

 

 

 

そうやって笑いかけると、そこには目を見開いている二人がいた……

 

どうやら二人に傷はなかったようだった……

 

当然命に別状はない……

 

さらにどういう訳か、一夏と山田先生も無事だった……

 

ちらりと見えた光景では、まるで見えない壁が二人の前に現れて、敵のビットから放たれた光線を防いでいたように見えた……

 

 

 

一夏も、山田先生も……

 

 

 

 

 

 

そして六花も無事だ……

 

 

 

 

 

 

それが確認できれば十分だった……

 

 

 

 

 

 

だが……もし許されるのなら……

 

 

 

 

 

 

『何故俺という人間が生まれたのかを……ずっと、考えていた……』

 

 

 

 

 

 

『……えっ』

 

 

 

何故か、俺の独白に六花の声が聞こえた……

 

それを不思議に思いつつも、俺は更に言葉を続ける……

 

 

 

『母の体を壊して生まれ……父の肩身を狭くし、更に没落へと加速させた……。二人の仲を引き裂き、それでも俺はこの世に生を受けた……。それは何故なのか……? それが俺の奥底にあった……』

 

 

 

『お、おにいちゃん?』

 

 

 

『まるで母の命と、父の武人としての誇りを喰らっているかのような存在だと思っていた……。母の体をこわしてまで、父の武人としての誇りを喰らってまで生きている意味があるのか? そう思っていた……』

 

 

 

『やめて……お兄ちゃん……』

 

 

 

震えるかのような六花の願い……

 

 

 

だがそれでも、きっとこれが最後だから……

 

 

 

わがままだってわかったが、俺は続ける……

 

 

 

『そんな俺が生きている意味が……今ようやくわかった……』

 

 

 

『待って……お兄ちゃん!!!!』

 

 

 

 

 

 

『きっと……俺はお前を護るために生まれたんだろう……』

 

 

 

 

 

 

六花はすごいヤツだ……

 

俺とは比べることすらもバカバカしいほどに……

 

だからこんなところで死なせるわけにはいかない……

 

きっと、俺はこいつを助けるために……

 

 

 

この世に生を受けたのだろう……

 

 

 

言いたいこともいった……

 

独りよがりでも、わがままでも構わない……

 

こいつが……六花が……

 

 

 

俺が生きた意味だ……

 

 

 

そう……誇りに思う……

 

 

 

やるべきことはすべて果たした……

 

 

 

故に……

 

 

 

最後の……

 

 

 

 

 

 

仕上げと行こうか!!!!

 

 

 

 

 

 

エネルギーも底をつきかけており、片腕となった……

 

状況は圧倒的に不利だが……一つだけ有利なことがあった……

 

敵が突っ立っていることである……

 

 

 

今しかない!!!!

 

 

 

敵の腰へと体当たりし、残された左腕で敵の体を固定する……

 

そして残されたエネルギーすべてを使い切るつもりで、瞬時加速を行った……

 

急な姿勢制御に追いつけず、敵は姿勢を崩した……

 

敵を皆から遠ざけ、アリーナの壁へと激突した……

 

 

 

 

 

 

先ほど見た、ミステリアス・レイディの技を模倣する!!!!

 

 

 

 

 

 

全エネルギーを集中させて放つ大技……

 

 

 

集中させても、それを放つ術がない以上、エネルギーを暴走させるしかない……

 

 

 

暴走させての攻撃では、俺だけではなく守鉄も無事では済まないだろう……

 

 

 

専属ISとして俺を支えてくれたこいつを壊すのは忍びなかったが……それしかもう俺には残されておらず、もうチャンスは今しかなかった……

 

 

 

 

 

 

すまないな守鉄……。悪いが地獄への道行きに、つきあってもらうぜ?

 

 

 

 

 

 

返事が返ってくるわけでもないのに、そんなことを思った……

 

 

 

そのとき……

 

 

 

[随意に……我が主よ]

 

 

 

……守鉄?

 

 

 

そんな声が俺の心に響いた……

 

 

 

それは先ほど一夏と山田先生を救った……声と同じ物で……

 

 

 

 

 

 

[私はあなたのために、存在しています。あなたが死ねと言えばともに天国へも地獄でもともにし、逆に生きろと言えば……護れと言えば、相手が誰であろうとも私は生きて見せます……護ってみせます]

 

 

 

 

 

 

……おまえ

 

 

 

 

 

 

[だから行きましょう、我が主よ……]

 

 

 

 

 

 

[ともに皆を護るために……]

 

 

 

 

 

 

守鉄からの言葉……

 

 

 

それは俺を驚愕させるとともに……これ以上ないほどに嬉しい言葉だった……

 

 

 

「よかろうならば……」

 

 

 

刹那の会話を終えて……俺は覚悟を決めた……

 

 

 

絶対防御発動不許可! 残り全エネルギーを暴走させる! さらには爆風が周りへと行かないように留意!!!!

 

 

 

[御意]

 

 

 

その言葉とともに、見えない壁が檻のようなに俺と敵ISを囲んだのがわかった……

 

 

 

そして……敵が動き出すその前に……

 

 

 

 

 

 

俺は最後の言葉を……

 

 

 

 

 

 

口にした……

 

 

 

 

 

 

「参るぞ……守鉄ぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 

そう叫んだ……

 

 

 

それに呼応する……守鉄……

 

 

 

 

 

 

単一使用能力(ワンオフアビリティー) 前羽命手【神風】 発動]

 

 

 

 

 

 

その言葉とともにまばゆい光が、俺の体からあふれ出て、俺の視界を覆って……

 

 

 

すべてを白く染め上げた……

 

 

 

 

 

 

……ここは?

 

 

 

 

 

 

何もない真っ白な空間に俺はいた……

 

何故か胴着を身に纏って……

 

あまりにも奇天烈な状況に、一瞬言葉を失ったが……

 

 

 

【……護】

 

 

 

その声を聞いて固まった……

 

それはもう二度と聞くはずのない声であり……

 

あの人が俺をこんな慈愛のこもった声で呼んだことがなかったから……

 

だけど、それでも欲求に逆らえずに、俺は振り向いていた……

 

 

 

そこには……

 

 

 

……父……さん

 

 

 

亡き父がいた……

 

俺と同じように胴着を纏っている……

 

そしてその顔には、稽古の時だけでなく、日常生活の場においても見せなかった笑顔が浮かんでいて……

 

 

 

何故だ?

 

 

 

どうして、そんな穏やかな笑みを浮かべている……?

 

 

 

【……最後まで諦めず……命を捨ててまで、己にとって大切な者を護ったか】

 

 

 

聞くのが……怖かった……

 

 

 

何を言われるのかわからないから……

 

 

 

 

 

 

……父が俺をどう思っているのか……知らないから

 

 

 

 

 

 

あるはずのない右手の拳を握りしめて、必死になってそれを表に出さないようにした……

 

俺がそれを思っていいわけがないから……

 

母の体をこわしてまで生まれ、二人の仲を引き裂いた……

 

そんな俺が……

 

だけどそれでも言ってほしかった……

 

思っていてほしかった……

 

俺はあなたの――

 

 

 

【さすがは、俺の息子だ……】

 

 

 

 

 

 

……っぁ!!!!

 

 

 

 

 

 

それを聞いた瞬間に涙があふれそうになった……

 

ただの一度もそう呼ばれたことはなかった……

 

息子であると呼ばれたこともなく……

 

最後はあんな形で鬼籍に入ってしまった父上……

 

だからこそ不安だった……

 

だからこそ、俺は思った……

 

 

 

俺は本当に存在していいのか?

 

 

 

そう思っていた……

 

これが夢でも現でも……幻でも構わない……

 

俺は、ただ……

 

この言葉だけが聞きたくて……

 

 

 

父さん……

 

 

 

笑いかけてくれる父へと手を伸ばす……

 

その笑顔が嘘じゃないとわかって……

 

俺は涙があふれそうで……

 

そんな俺へと父さんも手をさしのべてくれた……

 

その懐かしい、父さんの手に触れようとしたその瞬間……

 

 

 

 

 

 

!!!!

 

 

 

 

 

 

俺の意識は途絶えた……

 

 


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