IS〈インフィニット・ストラトス〉 守鉄の剣   作:刀馬鹿

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臨海学校 二日目

合宿二日目。

本日は午前から夜まで丸一日ISの各種装備の試験運用とデータ収集を行う。

特に、仮の専用機持ちである俺と違い、本当の専用機持ちの一夏、金髪ロング、ツインテール、金髪ボーイッシュ、銀髪ちび娘の五名は、代表候補生であり、その専用機のために開発された大量の武装を待っているのだから苦労しそうである。

ちなみに俺の本日のメニューは二つ目(・・・)の武装の装備とそれを用いての実戦運用を想定しての稼働試験である。

ちなみに全員がISを装着しての試験運用なので当然全員すでにISスーツ着用済み。

そして専用機持ちはいつでもISを展開出来るように装着済みだ。

俺も手甲グローブが待機状態の守鉄を装着している。

 

「皆さん今日は昨日と違って実戦運用を想定した稼働試験です。気を抜かないでくださいね!」

 

と、副担任である山田先生のお言葉。

ちなみに、昨夜俺の部屋で寝てしまった山田先生は、その直後に部屋へと戻ってきた一夏と供にどうにか部屋へと運んで事なきを得た。

教員区域の最奥だったために人目に見られる事もなく、俺は無事に寝る事が出来たのだった。

一夏も最初は騒いだが、それでもすぐに俺の言う事を信じてくれて、特に問題は起こっていなかった。

 

まぁ運び方がえっらいひどい運び方したけどね……

 

俺が女性が苦手なために、布団に寝かせた山田先生を、俺と一夏が布団の四方を持って、そのまま運ぶという……割と危ない運び方をしたのだ。

幸い無事に《いろんな意味で》運ぶ事が出来たが……。

ちなみに夕食同様、職員とは食事をする場所が違うので、俺は今日山田先生とは会話をしていない。

むしろしない方が今は都合がいいのでちょうどいい。

 

今のところ異常はないか……

 

そう今日の予定を考えながら、俺は周囲の警戒を行っていた。

今のところこういったイベントに限って、一夏を狙う謎の組織が行動を仕掛けてくる。

臨海学校という、野外での活動のために学園側も万全の用意をしているだろうが、用心に超した事はないだろう。

 

「ようやく全員揃ったか。……おい遅刻者」

「は、はいっ」

 

教官に呼ばれて前に出たのはなんと俺と同じ軍人である、銀髪ちびっ子のラウラであった。

何でか遅刻したのかは謎だが、五分遅刻してやってきたのである。

 

「そうだな……ISのコアネットワークについて説明してみろ」

「は、はい。ISのコアネットワークは……」

 

その後少々長めの説明が続き、教官もその説明に満足して遅刻の件はそれで許された。

許しを得て、息を吐く銀髪ちびっ子。

胸をなで下ろしているのは間違いなく教官の恐怖を知っているのだろう。

俺もそれを知っているので、妙な親近感が沸いてしまった。

 

まぁ……嫌われているが

 

「さて、これで各班ごとに振り分けられた装備の試験を行え。専用気持ちは専用パーツテストだ。全員迅速に行え」

 

その教官の言葉に一同が返事をしてそれぞれの故魚津に移る。

ちなみに今はIS試験用のビーチにおり、四方を切り立った崖に囲まれている。

ここにボートで搬入された新型装備のテストが今回の合宿の目的である。

 

「篠ノ之。お前はちょっとこっちに来い」

「はい」

 

そうして全員が動いている中、教官が一夏ハーレムの一人、撫子ポニーの篠ノ之箒を呼び止める。

 

「お前には今日から専用……」

「ちーちゃ~~~~~~~~~~~~~ん!」

 

教官の言葉を遮って、砂塵を上げながら謎の人影が走ってくる。

俺は念のために、すぐに一夏をかばえるようにさりげなく一夏の背後へと移動する。

ここは普通に一般人立ち入り禁止区域だ。

それをここまで易々と抜けてくるとは……。

 

だけどここまで姿をさらしたら意味が無いのでは?

 

俺は走り寄ってくる人物の行動が読めず首をかしげてしまう。

が俺の思案も、行動もそれは無駄に終わった。

 

「……束」

 

ぼそりと、うんざりしながら教官がそう呟く。

どうやらあの走り寄ってきている人物は教官の知り合いのようだ。

 

「やあやあ! 会いたかったよ、ちーちゃん! さぁ、ハグハグしよう! アイを確かめ――ぶへっ!」

 

飛びかかってきた謎の人物を、教官が無言のアイアンクロー。

さすが教官、一切の手加減抜き。

 

「うるさいぞ束」

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦ないなぁ」

 

しばしつかまっていたが、それでもすぐに教官の腕からその人はのがれた。

 

おぉ!? この人教官のアイアンクローから抜け出した!?

 

身のこなしが完全に素人なのに、教官の拘束から抜け出すとは……教官の癖などを熟知していると言うことだろうか?

俺が呆然としていると、拘束から抜け出したその束と言う人は今度は撫子ポニーへと向き直った。

 

「やあ!」

「……どうも」

 

撫子ポニーとも知り合い?

 

本当に誰なのだろうかこの人物。

どこかで見た記憶がある気もするのだが……。

 

「おい束。自己紹介ぐらいしろ。うちの生徒達が困っている」

「えー、めんどくさいなぁ。私が天才の篠ノ之束さんだよ、はろー! 終わり」

 

……は? 篠ノ之束……ってIS開発者の束博士か!?

 

その言葉で漸く俺の謎は全て氷解した。

見覚えもあり、ただ者でもないはずである。

なぜなら篠ノ之束という人物は、ISを開発した天才科学者の束博士なのだから……。

 

 

 

しばらく二人で漫才をしていると、その後になんと束博士はとんでもない者を召還したのだ。

 

「それで頼んでおいたものは……?」

「うっふっふ。それはすでに準備済みだよ。さぁ大空をご覧あれ!」

 

そう叫ぶと砂浜に金属の塊が落下したのだ。

そしてそれは一部の壁が倒れると、中からとんでもないものが出てきたのだ。

 

「じゃじゃーん! これぞ箒ちゃん専用機こと『紅椿』! 全スペックが現行ISを上回る束さんのお手製だよ」

 

真紅の装甲にその身を包んでいる機体。

束博士いわく、現行ISを上回る性能を持つらしい。

 

……夢か?

 

思わず俺は天を仰いでしまった。

全世界が探している天才科学者が目の前にいて、しかもその人が謎のISを妹のためだけに持参して来たのだ。

 

これは……俺はどうすればいい?

 

普通ならば上司に報告すべきなのだろうが……俺の今の立場は一介の学生に過ぎない。

一応仕事としてここ、IS学園に来ているために給料はもらっているがそれでも俺は学生だ。

報告はした方がいいだろうが、それでもこの場で拘束はしなくてもいいだろう。

というよりもその程度で捕まっているのならばこの人はとっくに行方不明者ではなくなっているだろう。

そうこうしている内にフィッティングも終了したらしく、次は一夏のISを展開させて、そのデータを見ている。

世界でも二人しかいない男のISのデータは天才科学者の束博士でも気になるものがあるのだろう。

 

「さて、いっくんはこれでいいとして……」

 

なんか一夏の白式を燕尾服に改造したりとか、女の子の姿に変えるとか、なんか変な事をいてからかうのに満足したのか、ディスプレイを閉じると、途端に雰囲気が変化し、俺へと接近してくる。

 

「君が……二人目の男のIS操縦者?」

「は、はい。門国護と申します」

 

今までの陽気な雰囲気から180度変わったその態度に戸惑いつつも、俺は気を付け、をしながら返事をする。

そして、そんな俺を束博士はじろじろと鋭く冷たい目つきで見つめていた。

 

「どうして君みたいな人間がISを使えるんだろうね? いっくんみたいに手を加えた訳じゃないのに……。とりあえず展開して」

「はっ」

 

……手を加えた?

 

束博士の冷たい目線に若干の恐怖を覚えつつ、俺は博士が口にしたその言葉が気になってしまった。

が、とりあえず俺は守鉄を展開する。

何故か逆らう事が出来なかった。

 

「えい」

 

そうして有無を言わさずに博士は守鉄にコードを差し込んだ。

すると一夏と同様、複数のディスプレイが空中へと浮かび上がる。

 

「……いっくんとも違う別のパターンのフラグメントマップ……。本当にどうして動くんだろうね」

 

それは是非とも俺が知りたいです

 

不思議そうにディスプレイを見つめる博士を、俺は内心怯えながら見つめていた。

しかしそれ以降も何かぶつぶつと言いながら博士は俺の事を睨みつけている。

 

「ん~……わからないなぁ。確かに自己進化するように設定したんだけど……」

「あの……博士?」

「うん。私にもさっぱりだね。でも不思議だから調べよう」

 

そんな言葉を言いながら途端に陽気になった博士。

しかし……その目は全く笑っていなかった。

 

「よし、君をナノ単位まで分解しよう! そうしよう! そうすればきっと謎が解明……」

「いいわけあるか!」

 

ガンッ!

 

両手をワキワキさせながら、俺ににじり寄ってきた博士を、教官は問答無用で頭をぶん殴った。

 

「い、いたいよちーちゃん!」

「あー、ごほんごほん」

 

そうして再び教官達が漫才をしていると、パーソなライズを終えた妹の撫子ポニーがわざとらしく咳払いをする。

そうして博士が妹の専用ISの説明を行って、それを撫子ポニーがテストして、軽く性能を垣間見たのだが……。

 

…………なんじゃありゃ?

 

はっきり言ってあり得ないくらいに性能がいい。

確かに博士の言うとおり間違いなく最強のISだろう。

スピード、パワー、攻撃方法、旋回性能……。

ありとあらゆる面で間違いなく最強だ。

 

「たっ、た、大変です! 織斑先生!」

 

そうしていると、山田先生が慌てながら教官へと近づいていく。

山田先生がいつも以上に慌てており、その様子は尋常じゃない。

俺は先ほど同様、静かに一夏のそばへと寄っておく。

 

……何かあったか?

 

「どうした?」

「こ、これを!」

 

山田先生が手にしていた小型端末を見て、教官の表情が曇った。

 

「特務任務レベルA、現時刻より対策を始められたし」

「ハワイ沖で試験稼働していた……」

「しっ。機密事項を口にするな」

「す、すみません」

 

教官と山田先生が小さな声でやりとりを行っている。

しかも数人の視線に気づいてか、会話ではなくなんと手話でやりとりを始めた。

 

……まぁ俺はわかるんだけが

 

どうやら自衛隊でも採用されている軍用手話とほとんど同じようだ。

本来は見てはいけないのだが、俺は興味に打ち勝つ事が出来ず、さりげなくその手話を見つめる。

 

アメリカ・イスラエル共同開発第三世代IS、『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が暴走?

 

どうやらただならぬ事態のようだ。

軍用ISが暴走とは……穏やかではない。

 

「全員注目! 現時刻よりIS学園教員は特殊任務に入る。テスト中止、各班はISを片付けて旅館へと戻れ。連絡あるまで自室内待機。以上だ!」

「ちゅ、中止? 特殊任務って……」

「状況が全然わからないんですけど」

 

突然であり、そして不測の事態に女子一同が騒がしくなる。

不慣れとはいえ、一応の軍事訓練を行っているはずなのに……少々情けない。

 

「とっとと戻れ! 以後、許可無く室外へ出た者は身柄を拘束する! いいな」

「「「は、はい!」」」

 

その言葉に漸く全員が慌てて動き出す。

装備の解除、ISの機動終了に片付け、をあわただしく行っている。

俺もそれに合わせて自身のISの展開をやめて待機状態に移行し、片付けを行おうとした……。

 

「専用機持ちは全員集合! 織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、(ファン)! それと篠ノ之と門国」

「「「「「「はい!」」」」」」

 

え? 俺も?

 

「貴様もだ門国! さっさと来い!」

「了解!」

 

確かに学園のISの打鉄とはいえ専用機持ちに代わりはないのだが……まさか俺も呼ばれるとは思わなかったので少々驚いてしまった。

が、すぐに意識を切り替えると、教官と山田先生の後へと続いていった。

 

 

 

「では状況を説明する」

 

旅館の一番奥に設けられた宴会用の大座敷・風花の間で、俺を合わせた専用機持ち全員と教師陣が集合していた。

照明を落とした薄暗い室内には、大型の空中投影ディスプレイが浮かんでいる。

何でも二時間前にハワイ沖で試験稼働中だったアメリカ・イスラエル共同開発第三世代ISの『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が暴走したらしい。

 

なるほど……

 

その状況で専用機持ちが集まった理由はただ一つ、それを俺たち専用機持ちに対処させるという事なのだろう。

 

「教員は学園の訓練機を用いて空域と海域の閉鎖を行う。よって本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

 

やはりか

 

「それでは作戦会議を始める。意見のある者は挙手するように」

「目標ISの詳細スペックデータを要求します」

「良かろう。だがこれは二カ国の重要軍事機密だ。口外はするな」

「了解しました」

 

教官の言葉に一夏と撫子ポニーを除く全員が首肯した。

おそらく二人はこういった場面に遭遇した事がないのだろう。

それはそうだ。

代表候補生四人、IS学園の教師陣は元代表か元代表候補生。

そして俺は軍人。

だが、二人だけは一応一般人に入る。

 

まぁ男のIS操者と、束博士の身内って時点で一般とは言い難いかもしれないが……

 

「広域殲滅の特殊射撃型……私のISと同じく、オールレンジ攻撃を行えるようですわね」

「攻撃と機動を特化させた機体。しかもスペック上ではあたしの甲龍を上回ってる」

「特殊武装がくせ者って感じだね。本国からリヴァイブ用の防御パッケージが来てるけど……」

 

次々に敵機ISの問題点や、気になった点を列挙していく。

その表情は皆真剣で、さすが代表候補生と言えた。

 

「しかし唯一の利点は試験運用という事で接近戦武装を搭載していない事だ。ナイフすら積んでいない」

 

確かに……

 

どうやらとりあえず射撃兵装のテストを行おうとしていたらしく、スペックデータには格闘装備が一切表示されていなかった。

隠蔽されている可能性も無くはないが、試験のスタッフから直接送られてきたデータだ。

最大の特徴である翼とも言える巨大な特殊武装のデータが載っているのに、格闘データが載っていないのはおかしい。

 

「教官。偵察は行えないのですか?」

「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。最高速度は時速450キロを超えるとある。アプローチはおそらく一回が限界だろう」

「と、なると……一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たる事に」

 

その山田先生の声に、全員が一夏の方へと目を向けた。

 

「え?」

「一夏、あんたの零落白夜で落とすのよ」

「ただ問題は……」

「どうやって運ぶかだね。エネルギーは全部零落白夜で使わないといけないし」

「しかも目標に追いつける速度で無ければ……」

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺が行くのか!?」

 

「「「「当然」」」」

「……まぁ一夏しかいないだろう」

 

代表候補生の声が見事に重なり、続いて俺の声が静かな室内に響き渡る。

 

「織斑。これは訓練ではない。実戦だ。もし覚悟がないなら、無理強いはしない」

「やります! 俺がやって見せます!」

 

教官の言葉に、一夏が力強くそう返した。

ムキになったのではなく、たった一言だけで覚悟を据えた男の表情をしていた。

そこら辺は純粋に一夏のすごいところである。

 

「さて、どうやって織斑を運ぶ……」

「ちーちゃん! 私にいい考えがあるよ!」

 

教官が次の問題に移ろうとしたそのとき、いきなり真剣な雰囲気をぶちこわす、底抜けに明るい声が室内を駆けめぐった。

発生源はなんと天井からで、部屋のど真ん中の天井から束博士が首を覗かせていた。

 

「とう★」

 

くるりと、空中で見事に一回転しながら着地した博士。

教官のアイアンクローを外した事と言い、この人も大概に人外だ。

 

「ここは断然! 紅椿の出番だよ!」

「なに?」

「紅椿はパッケージなしでも超高速機動が可能なのだ!」

 

紅椿のスペックデータを中央の空中投影ディスプレイに移しながら、陽気に話す束博士。

ちなみにパッケージとは、ISの換装装備の事であり、武器だけでなく、追加アーマーや増設スラスターなど装備一式の事を指し、その種類は豊富で多岐にわたる。

中には専用機だけの機能特化専用パッケージ『オートクチュール』と言うのも存在しているらしい。

 

っていうかパッケージなしで超高速機動が可能? なんだそれ?

 

そうして俺が疑問に思っていると、それに答えるように中央のディスプレイに紅椿のスペックデータが表示される。

しかも説明を聞いていると、この紅椿とやらは第四世代のISらしい。

第一世代は『ISの実用化』を目指し、第二世代は後付武装による多様化、第三世代は『操縦者のイメージインターフェイスを利用した特殊兵器の実装』であり、その上を行く第四世代は『パッケージ換装を必要としない万能機』……らしい。

何故らしいのかと言うと、第四世代なんぞ机上の空論でしかないからだ。

各国が多額の資金、膨大な時間、優秀な人材を全てつぎ込んで開発を行っているのは第三世代。

しかも第三世代の一号機が完成したばかりの段階と言っていい。

しかしそれを全てぶち抜いて、束博士はもう第四世代を開発、完成させたという……。

展開装甲という機構を搭載し、攻撃・防御・機動と用途に応じて切り替えが可能の万能機。

間違いなく最強の機体である。

 

……本当に化け物なんだなこの人

 

ちなみに、一夏の白式にもその展開装甲の試作型が採用されているらしく、一夏の白式も第四世代のようなものらしい……。

 

「それにしてもあれだね~。海で暴走って言うと十年前の白騎士事件を思い出すね~」

 

にこにことした表情で語り出す束博士の横で、教官が『しまった』という表情をしていた。

『白騎士事件』

 

世に初めてISが姿を現した事件であり、それは圧倒的だった。

何せ何故か知らないが、ハッキングによって日本に向けて発射された2341発のミサイルをその事件で突如として現れた白銀の装甲を纏ったIS、俗称白騎士が全て吹き飛ばしたのだから。

約半数を実体剣でぶった切り、残りの半数を当時試作品だった荷電粒子砲を召喚して蒸発させたのだ。

その謎のISを見て当然各国が躍起になって捕獲しようとしたが、全てのアプローチは無意味であり、その全てがことごとく撃破された。

しかも誰一人として死者を出さずに……。

ミサイル2341発、戦闘機207機、巡洋艦7隻、空母5隻、監視衛星を8基撃破および無力化した『究極の機動兵器』としてISは一夜にして世界中の人々の知るところになったのだった。

 

 

 

 

 

 

そして……俺が絶望した日でもあった……

 

 

 

 

 

 

「むふふ~それにしても白騎士って誰だったんだろうね~ちーちゃん?」

「しらん」

「うむん。私の予想ではバスト88センチの――」

 

ガンッ!

 

教官による情報端末攻撃。

容赦なさ過ぎです教官……。

 

「話を戻すぞ。束、紅椿の調整時間は?」

「七分あれば余裕だね★」

「よしでは本作戦は織斑、篠ノ之の両名による目標の追跡および撃墜を目的とする。作戦開始は30分後。各員直ちに準備にかかれ」

 

 

 

こうして各々がそれぞれに準備を行い、それから約30分後……『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』の無力化作戦が始まったのだった。

 

 

 


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