IS〈インフィニット・ストラトス〉 守鉄の剣   作:刀馬鹿

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買い物

「なぁ? 護? 明日って暇か?」

「なんだ藪から棒に……」

 

夜。

風呂……っていうか俺らはシャワー……から上がった一夏が、服に着替えてから突然そんな事を言い出した。

机の上で自分の愛機のIS、守鉄のステータス画面を見ていた俺は、いったんその画面を閉じると、ベッドに腰掛けてぬれた頭を拭いている一夏へと向き直った。

 

「いや明日休日だろ? それでもうすぐ臨海学校だろ?」

「あぁ……そういえばそんなのあったね」

「あったねって……忘れてたのか?」

「忘れてたって言うか……考えたくなかったって言うか……」

 

不思議そうにする一夏に、俺は曖昧な言葉で返事をする。

正直考えたくないイベントだ。

何せ女子だらけの臨海学校なのだから。

まぁでも行かざるを得ないので覚悟は日々決めているが……。

 

「んで? 臨海学校がなんだ?」

「ん? いや、臨海学校がどうとかじゃなくって、海に行くから新しい水着を買いに行くんだけど、一緒に行かないか?」

 

あぁ水着か……

 

確かに水着は必要だろう。

初日は自由時間らしく海のそばの旅館らしいので当然泳ごうとする人間は多いだろう。

しかもうら若き乙女達ならばなおさらだ。

この会話だけ……というか相手が一夏でなければ俺は二つ返事で了承しただろう。

別に一夏と行くのが嫌なわけではない。

しかしここで忘れてはいけないのが、この話題を振ってきたのが一夏だと言う事だ……。

 

「…………それお前だけか?」

「? お前だけって?」

「つまり俺とお前だけで行くのか?」

「いや、シャルも一緒だけど?」

 

……………………やっぱり……

 

余りにも予想内の事で、俺は心で深い深い溜め息を吐いた。

 

鈍いって言うかもしかして狙ってるのか?

 

まぁ一夏の性格上ないだろうが、それにしたってひどい物である。

どう約束をこぎ着けたのか知らないし、もしくは鈍感朴念仁の一夏が誤解させるような事を言ったのか謎だが……まぁともかく相手であるシャルロットは間違いなく二人でのデートだと認識しているはずだ。

二重(ダブル)トラップで他にも女子がいない可能性もなくはないが……であればある意味で何も考えていない一夏の事なので素直にそういうだろう。

つまりデートかどうかはおいておくとして、二人きりでのお出かけのはずだ。

 

そんなところにほいほいついてってみろ?

 

一夏ハーレムの中ではまだまだ温厚で、そこまで俺にきつく当たってこない金髪ボーイッシュな彼女でも、きっと俺に呪詛を吐くに違いない。

 

「あ~すまない。明日はちょっと用事があってさ」

「え? そうなのか?」

「あぁ、別に外せない用事でもないんだが、明日行けるなら行っておきたい」

 

おそらく街に出かけるのだろうし、俺も街に用事があるので一緒に行ってもいいのだが……それだと余りにも彼女がかわいそうだろう。

 

「そうかわかった」

 

少々残念そうにしていたが、それでも素直に引き下がってくれた。

用事を詮索されていたらえらい目にあったかもしれない。

一夏がそんな性格でないとわかっていても少しほっとしてしまう。

 

危なく女難の目に遭うところであった……しかし……

 

明日一夏が街に出かけるというならば時間をずらしてでないといけないだろう。

何せこの子はある意味でひどい男だから、俺を見つけたら一緒に行こうと言い出しかねない。

 

シャルロットと一緒という事はおそらく昼前から行くかな?

 

少なくとも昼くらいにはでるだろう。

ならばいっそ朝から出かけるのが得策だ。

別に俺としても昼からでもよかったが、まぁ早く行っても問題はない。

俺は明日の予定を繰り上げて朝早くから出かける事にした。

 

 

 

「うん。よい天気だ」

 

次の日。

俺は予定通り結構早めの時間に街へと繰り出そうと、正門をでた。

この時間だと目的の店は早くてやっていないが、まぁ本屋なんかで時間を潰してもいいし、それに他にも回りたいところもあったのでちょいどいい。

 

お気に入りの物が入ったって聞いたからな。あれこれ予定を考えながら行くのも悪くない

 

休日の楽しみの物体がもうそろそろ切れそうになっていたところに電話が入ってきたのは運命だろう。

別に運命でも何でもないのだが、それでもそう思えてしまうくらいにうきうきしていた。

そのまま俺は電車へと乗り込み、街と呼ばれる駅前の『レゾナンス』へと向かった。

 

 

 

「絶好のお買い物日和ですね!」

「あぁ、うんざりするくらいにいい天気だ」

 

駅へと降り立った私は夏の日差しに目を細めながら、そう言うとうきうき気分の私とは正反対に、本当にうんざりとした口調の織斑先生がそう返してくれた。

確かに暑いのだけれど、せっかくの買い物だからもっと織斑先生にも楽しんで欲しい。

というよりも今回の買い物が余り気乗りしていないのかもしれない。

 

「もう、織斑先生。せっかくの買い物なんですから楽しみましょうよ」

「まぁ確かに……それもそうだが……わざわざ新しい水着なんぞ買わなくても……」

「せっかくなんですから買いましょうよ」

「せっかくというのもな。毎年行く物だからな。それに今年は馬鹿者が二人もいるのだから手間がかかって泳ぐどころではないかもしれないぞ?」

 

うっ……確かにそうかもしれませんね

 

織斑先生のその台詞に、言葉でこそ賛同しない私だったけれど、心の中でその二人の事を想像して納得してしまった。

世界で初めてISを起動させた男、織斑一夏君。

織斑先生の実弟で女子校とも言えるIS学園に入学してとても人気のある子。

もう一人は、二人目のIS適応者、自衛隊陸軍所属の門国護さん。

自衛隊での作戦行動中に偶然ISの起動に成功して、学園に転入してきた学生達にとっては年上の、私たち教師から見たら本当に少しだけ年下の学生さん。

 

そして、先日私を助けてくれた時の写真を隠し撮りされてて、ストーカー容疑が掛けられてしまった人……

 

程度や方向性は違うかもしれないけれど、二人とも女子校と行っても問題ないIS学園の数少ない男性だから、織斑先生の言うとおり騒ぎでいろいろと大変な事になるかもしれない。

 

「そ、そうかもしれませんけど、でも二人とも部屋割りに関しては知恵をみんなで絞ったから大丈夫ですよ!」

「……だといいがな」

 

私は意気込みながら元気づけるように織斑先生にそう言うのだけれど……。

織斑先生は余りそうは思えないみたいだった。

 

でもその予想は早くも当たる事になって……。

 

「え?」

「えっ?」

「ええっ?」

 

入ろうとしていた試着室の隣の試着室のカーテンが開いて、中に入っていたのは、織斑君と、シャルロットさんが入っていて!?

 

「何をしている、バカ者が……」

私は余りにも驚いてしまって声も出せなかったのだけれど……こんな状況でも織斑先生は冷静で……。

 

「な、何をしているんですか!?」

 

私は軽くパニックになって悲鳴にも似た声を上げてしまった。

 

 

 

はぁ、ちょっとびっくりしちゃいました

 

とりあえずシャルロットさんと一夏君をお説教した後に、私はシャルロットさんとセシリアさん、鈴さんをつれて別の場所へと移動した。

せっかく会ったのですからたまには姉弟水入らずに買い物をした方がいいと思ったからだ。

 

楽しんでいるといいですね。二人とも

 

結構無理矢理だったし、お節介だったかもしれないけど二人きりにしてよかったと私は思う。

普段は自分にも、肉親である弟の織斑君にも厳しい織斑先生だけど、休日くらいは二人で仲良く姉弟として買い物で楽しい時間を過ごして欲しい。

シャルロットさん達も、私のしたい事がわかったのかすぐに協力してくれた。

皆さんは他に買い物があるという事で分かれるととりあえず私は一人で他の買い物をしていた。

そうして買い物をしていると、ふと見知った顔を見つけてしまった。

 

「……あれって門国さん?」

 

黒いジーパンに黒いシャツを着た門国さんが、購入したであろう品物を手に提げて歩いていた。

 

う~ん。ちょっと話しかけにくいかなぁ……

 

話しかけようとしたけど思わず止まってしまった。

何せ門国さんは私を階段から転げ落ちるのを助けてもらったのに、それが写真に撮られていてストーカーの嫌疑を掛けられてしまったのだから。

しかもその日、ちょうど私は公害実習の下見で学園にいなかったので本当にすごい事になっていたみたい。

 

う~ん……でもきちんとお礼した方がいいよね?

 

もちろん、帰ってきて織斑先生に事情を聞いてすぐにお礼は言いに言ったのだけれど……。

それでも言葉だけではあれなので何かプレゼントしてあげてもいいかもしれません。

 

「門国さん」

 

そう思った私は思いきって話しかけてみることにした。

 

 

 

「門国さん」

 

ほくほくとした気分で欲しかった買い物を終えて他の場所に行こうとしていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきて、俺は振り返った。

するとそこには、いくつかの買い物袋を下げて俺に歩み寄ってきている山田先生がいた。

 

「山田先生? こんにちは。お疲れ様です」

「はい、こんにちは。お買い物ですか?」

「はい。ちょっと個人的な買い物を。山田先生は?」

「臨海学校のための買い物です。それと今日は休日ですので無理に先生って呼ばなくてもいいですよ」

 

あ~そう言えばもうすぐだっけ……

 

欲しい物が買えた嬉しさですっかり頭から抜けていたが、もうすぐ俺にとっては死の臨海学校が迫ってきているのだ。

初日の自由行動をどう過ごすのかが課題となるだろう。

二日目以降は実習らしいのでそれに従って動けばいいから何も考えなくていいが。

 

「……あの、門国さん」

「はっ。何か?」

 

そうして俺が暗い気持ちで臨海学校の事を考えていると、若干うつむきながら山田先生が話しかけてくる。

返事をしたが、言いにくいのか切り出してこない。

 

「……あの、いかがなさいました?」

「え? えっとですね……」

 

いつまでたっても話そうとしないので、こちらから促してみるのだが……それでも話そうとしなかった。

別に急ぎの用があるわけでもないので、時間を気にする必要はないのだが、しかしここはデパートというか店の中なので、通路に立ちつくしているのは邪魔でしかない。

しかしなんか真剣なので『とりあえず場所移しませんか?』とも言いにくい。

 

ドンッ

 

「ごめんなさい」

 

しかしそれも山田先生に誰かがぶつかってしまったことで終わりを告げた。

随分とばかでかい紙袋を提げた女性が山田先生にぶつかってしまって、先生がバランスを崩してしまう。

通路に突っ立っていたのは俺らが悪いので何とも言えないが、それにしたって一言ですましてそのまま立ち去ってしまうのは純粋に驚いてしまう。

そんなことを考えつつ、俺は咄嗟に倒れそうになった山田先生を支えた。

 

※ちなみに、漫画やゲームでもないのでポロリや、タッチイベントはなかった

 

一瞬本能的に離してしまいそうになる手を必死に自制して、俺は山田先生の肩に手を添える。

 

「大丈夫ですか?」

「す、すみません」

 

俺の腕を支えにしてどうにかこけずにすんだが、ここにいるとまたぶつかりそうなので、俺はそのまま端の方へとうまく誘導し、移動する。

その瞬間に不自然にならない程度に、手を肩から離して数歩後ろへと下がり、距離を置いた。

 

嫌いなわけではないが……女性が苦手である俺にはこの至近距離はきつい物だった。

 

「これで二度目ですね」

「? 何がですか?」

「いえ、こけそうになって助けていただいたのは……」

 

若干頬を紅くしながら……何でか知らないが……そんな事を言われて俺は焦った。

そう、先日俺は新聞部の新聞で四面楚歌と言うのをリアルに体験したばかりなのだ。

次の日にどうにか山田先生と教官の説得のおかげで九死に一生を得たが、それでもまだ俺の事をそういうストーカーだと疑う人は大勢いる。

まぁ疑われるような写真を撮られた俺が未熟なので仕方がない。

 

あの時体質が発動しなかったのは……修練のたまものと言うべきか……

 

「その、先日は大変失礼な事をして申し訳ありませんでした」

 

女性としてあのように取りざたされるのは、学校の新聞という限られたコミュニティの中とはいえ、気持ちのいい物ではないだろう。

もちろん俺としては、全くそういった邪な感情を起因として後をつけていたわけではないのだが、それでももしも仮にあの新聞を警察に突き出されたら、俺は間違いなく「警察署にご同行願います」だ。

それほどまでに男女の力のバランスは崩れ去っていた。

女性にしか使えない最強兵器IS。

そのIS登場による世界的男女間の落差、っていうか性別による格差社会……の弊害といえるかもしれない。

別に今の女尊男碑の世を妬むわけでも憎むわけでもない……思うところはあるが……が、それでも今の世の中がそうなってしまっている以上、そこに腹を立てても仕方がない。

 

「え? いえ、門国さんが謝る必要なんて全くありませんよ! むしろ助けていただいたのはこちらですし」

「確かにそうかもしれませんが、あのように後をつけたのは事実ですし……それに新聞に取りざたされてしまって誠に申し訳ありませんでした」

「いえいえ。写真を見たときはちょっと驚いちゃいましたけど、でも織斑先生に話を聞いたら全然納得できる行為でしたし……こちらこそごめんなさい。あの日に出張が入ってしまって一日つらい思いをさせてしまって……」

「いえ、山田先生が受けた苦痛に比べれば自分の状況など」

「でも――」

「いえ――」

「店の廊下で何を互いに頭を下げ合っているんだ二人は」

 

そうしてまさにその通りで二人で頭を下げ合っていると溜め息混じりの声が俺の耳に響いた。

山田先生と同時に二人でそちらに振り向くと、そこには一つの買い物袋を大事そうに下げた織斑教官の姿がそこにあった。

 

「織斑先生。お疲れ様です」

「お前も買い物か門国? あと別に教官でも構わん」

「え? え、えぇ、まぁ」

 

確かに休日だが、それをのぞいてもなんか態度が柔らかいというか、嬉しそうに見えるのだが。

 

「あ、織斑先生。織斑君……一夏君と一緒に水着は買えました?」

「山田先生……」

 

あ~そう言う事……

 

なるほど大好きな一夏と買い物が出来たのだから機嫌がよかったのだろう。

教官も実に年相応を言うか、かわいらしい一面って言うか感情を……。

 

スパーン

 

「失礼な事を考えただろう?」

「いえ、そんな。教官が実にかわ……」

 

思わず口を滑らしてしまいそうになった俺は、何とか止めるが……手遅れだった。

叩かれてそのままで顔を上げてないが……鬼がでて頭上にいる気がする……。

 

バシン

 

「余り無礼な事を考えると、頭を吹き飛ばすぞ」

「……もう吹き飛んでます」

 

さらにもう一撃喰らって俺は記憶が吹き飛ばされそうだ。

まぁこれ以上考えて俺の脳細胞が死滅しても死活問題なので、俺はすぐに思考を放棄した。

 

「ところで貴様何を買ったんだ?」

「……」

 

しまった……

 

山田先生に出会って、この間のストーカー事件の事で頭がいっぱいになってしまって荷物を隠すのを忘れてしまった。

山田先生は気づかなかったようだが、あいにく教官の目は見逃さなかったようだ。

 

「……いえ、まぁ趣味の買い物をしただけで…………お見せするほどのものでも」

「まぁそう言わずに見せてみろ」

 

しまった!?

 

動揺して先手を打たれてしまった。

買い物袋を取られて中身を……。

 

「ほう。ポールジローか。しかも五十年物。確実にこれだけで万単位は行くな」

「ポールジローって……お酒じゃないですか!?」

 

見つかってしまった……

 

俺はまさに天を仰ぎたい気持ちになった。

俺の趣味の一つは酒を飲む事だ。

しかも度数の高いのを舐めるようにじっくりと味わって飲むのが俺的な酒の飲み方だ。

幸い、自衛隊の仕事の一環としてIS学園にいるので、給料は入ってきている……若干減ったが……ので金には困っていなかった。

しかし俺の年齢は、今年で成人するので飲めなくはないが俺はまだ一応二十歳未満。

お酒は引っかかる年齢である。

別に普段ならそんな事気にしないのだが、教官に見つかってしまった。

しかも山田先生もセットだ。

怒濤の勢いで怒られそうだ。

 

「ふむ。本来ならば寮に酒類を持ち込むのは固く禁じているのだが……まぁ貴様だからいいだろう」

「え!? いいんですか?」

 

しかし意外な事にあっさりと許可が出た。

規律に厳しい教官の言葉とは思えず、俺だけでなく山田先生も呆気にとられている。

 

「貴様にとってはきつい状況だろうからな。違法でもないのでまぁいいだろう。だが、お前以外が飲むのは許さんぞ?」

「はっ、了解いたしました。恐縮です」

 

俺の弱点がわかっているのでそこらも加味してくれたみたいだ。

厳しいだけでなくきちんとこうして飴を持ち合わせているのだから、さすが教官といえるかもしれない。

俺はそのことにほっとしたのだが……どうやらこれは罠だったようだ。

 

「それと同じ物はまだ売っていたか?」

「はい。同じとは言いませんが似たような物は」

「ならもう少し買っていこう。お前のおごりでな」

 

……マジデ?

 

「大真面目だ。臨海学校に持って行け。私も飲む」

「……リョウカイイタシマシタ」

 

これを断ると没収&飲酒禁止という言葉が待っている……つまりは脅迫……ので断る事も出来ず、俺はがっくりとうなだれるしかなかった。

そんな俺に同情してか、山田先生が苦笑いしながら乾いた笑い声を上げていた。

 

「……やっぱり織斑先生って門国さんの事……」

「……山田君?」

「は、はい!」

 

ぼそりと呟いた山田先生の言葉は、俺にも聞こえてきていて、それは間違いなく教官の機嫌を損ねる言葉であって……。

身内にも自分にも厳しい教官は、家族ネタでからかわれたりするとものすごく怖い。

 

「君の水着はまだ買っていないだろう?」

「え? はい、まだですけど……」

「ならばこいつに選ばせるのはどうだ?」

 

……何を言ってらっしゃるのでしょうこの方は…………

 

額に若干の青筋を立てながら、教官が山田先生に向かってそんな事をおっしゃり始めた。

山田先生に対する報復というか仕返しなのだろうが……何故そこで俺も巻き込まれているのでしょうか?

 

「え!? えぇ!?」

 

さすがにこの状況は予想していなかったらしく、山田先生が驚きに声を上げていた。

それはそうだろう。

俺も叫びたいくらいだ。

でも教官が怒っているのが何となくわかったので俺は何も言わない、言えない。

 

触らぬ神に祟りなし

 

「そ、そんな! いいですよ」

「何、私は一夏に選んでもらったのだから、君も選んでもらうといい」

 

そうして有無を言わさず教官は、山田先生の首根っこを掴んでそのまま水着売り場へと向かう。

その際に俺の事を睨みつけてきたので、その目の意味を理解している俺は、何も言わずその後についていった。

 

 

 

結局、何でか山田先生の水着を選ばされて観衆に羞恥をさらし、酒を余分に買わされて……と、結局一夏と行かなくても女難な目にあった俺の休日であった……。

 




ビールがうまいと思う俺はもう年でしょうか?

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