夜天のウルトラマンゼロ   作:滝川剛

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未投稿だったウルトラマンサーガの予告番外編と、新作番外編と空白期予告編です。
映画予告番外編はお遊びですので、本編とはあまり関係ありません。


番外編 映画予告番外編と空白期予告

 

 

 

ウルトラマンサーガ編

 

 機動六課。はやてのオフィスである。デスクには書類が山のように積まれていた。

 その中で書類に埋もれるように、2人の女性が必死こいて書類仕事をしていた。八神はやてとシグナムである。

 2人共少々やつれて目が血走っているようだ。仕事が立て込んでいるようである。

 

「あははははっ!」

 

 部屋に響くはやての軽くハイな笑い声。書類チェックの手を休めて、壁一面を占拠している大型テレビ画面を見ていた彼女は大ウケしていた。

 説明せねばなるまい。このテレビはある筋から手に入れた、並行世界の番組が映る優れものなのである。この世界ではウルトラマンはフィクションとして楽しまれているようだ。

 今映っているのは、明日公開の映画『ウルトラマンサーガ』の予告CMである。丁度ゼロが変身を拒否られ『うそ~ん』と言った場面だ。

 シグナムは肩を震わせている。吹き出しそうになったのを堪えたようだ。徹夜連チャンで疲れていると、人は些細な事でもツボに入るのである。はやてはまだ笑い転げていた。

 

 ひとしきり笑いこけたはやてだったが、改め てCMを見終わった後に不満そうにポツリと呟いた。

 

「どうも、もの足りんなあ……」

 

 何とか笑いを堪えたシグナムは不思議に思い、真っ赤に充血した目を主に向ける。

 

「主……特に不味い点は無いと思いますが……? 映画を見たくなるような良い宣伝だと思いますが……」

 

 はやても同じく、真っ赤に充血した目をシグナムに向ける。

 

「確かにそうや……私もゼロ兄が出とるのを差し引いても、思わず見てみたくなるCMや……せやけどゼロ兄らしく、こう……やらかした感がなあ……」

 

「そうですか……? うそ~んのくだりは、非常にゼロらしかったですが……」

 

 シグナムは首を傾げた。うそ~んと似合わぬ事を口にするところを見ると、彼女もかなりヤバそうである。

 

「いや……こう……腐的な……」

 

 頭が湧いているはやてが、お下品な事を口走ろうとしたその時、部屋のドアがいきなり開かれた。

 

「はやて、シグナム……そんな事は無いよ!」

 

 勢いよく部屋に入って来たのはフェイトである。こちらも目が血走り、少々やつれ気味だ。はやて達と似たような状況らしい。

 はやてはひどく真剣な眼差しをフェイトに向けた。

 

「フェイトちゃん……このCMに何か有る言うん か?」

 

「そうだよ……ウルトラマンサーガはゼロ、ダイナ、コスモスが一つになった姿……このCMは言わば、男同士の愛を推奨しているんだよ! 『俺になれ!』なんて、凄く禁断っぽくて倒錯的だよ!!」

 

 不敵に笑うフェイトは、テレビ画面を指さして言い切った。自信満々である。こちらももう駄目だ。残念妄想少女の方であった。

 

「そうか! ウルトラマンサーガは3人合体、いや合体したアンチャンも入れたらもっとやな! サーガにそんな隠れたメッセージが有ったんやな! 何てお得な。そこに気付くとは、流石はフェイトちゃんや!!」

 

 はやては感動して思わず拳を天に掲げた。シグナムは血走った目を更に充血させる。

 

「ゼロめ……言うに事欠いて、そのような映画を春休みは家族で見ようなどと子供に奨めるとは……破廉恥にも程がある!」

 

 破廉恥なのは、あんたらの頭の中だとツッコミたいところである。

 

「お仕置きやあああっっ!!」

 

 はやては腕を振り上げて気勢を上げた。目が完全に逝ってしまっている。

 

「じゃあ私は鞭で!!」

 

「なら私は、なます斬りだ!」

 

 フェイトとシグナムも続く。部屋に訳の分からない熱気と不気味な笑い声が満ちた。今の彼女らは、何を聞いてもそっち方面にしか聞こえないのである。もう色々駄目であった……

 

 

 

 

ウルトラマンギンガS10勇士編

 

 夜もふけた機動六課のはやてのオフィス。デスクには書類が山と積まれている。その中で書類に埋もれるように、3人の女性達が書類と格闘していた。

 はやて、シグナム、フェイトである。目が血走り隈が出来ていた。またしても仕事の追い上げらしい。映画時期になるとこうなるようだ。

 

「ゼロ兄、久々の映画出演やな……」

 

 はやては濃く炒れたコーヒーを流し込みながら、壁一面を占拠している例の大型テレビを観てポツリと呟いた。

 

「あのゼロも先輩ですか……感慨深いですね……」

 

 普段は鋭い目をショボショボさせたシグナムは、染々と画面を見詰める。グニャグニャになりかけのフェイトは画面を観て、

 

「でも、ギンガが主役だから、今回ゼロの出番は少なそうだね……ギンガチ達以外だと、コスモスが一番出番が有るのかな……?」

 

「それがゼロ兄も、キーマンの1人らしいんよ……」

 

「そうなんだ……てっきり時空薔薇のお城に封印されてて、最後辺りに復活して全員で敵を倒すのかと思ったよ……」

 

 フェイトは疲れた笑みを浮かべるのである。城の名前が思いっきり間違っているが……時空薔薇の城って何だ。

 

「受けティメイト・イージス装着しとったから、助っ人で行く感じなんやないかな……? 結局ギンガの世界はパラレルらしいし……」

 

「それなら、コスモス攻めの次に見せ場が有るかもしれませんね……」

 

 疲れているのか端々が怪しい会話を交わしながら、シグナムは嬉しそうに笑みを浮かべるのである。

 

「ネクサスも出るんやね……ゼロ兄、元祖ストーカー兼ア~っのダークザギと勘違いしないか少し心配 や……」

 

「彼方は本物ですし、ゼロのイージスが反応するでしょうから大丈夫でしょう……」

 

 所々不味い箇所は有るが、何とかまともな会話になってきたようだ。しかしそこではやては首を傾ける。

 

「せやけど……アレやね……」

 

「はやて、アレって……?」

 

 フェイトの質問にはやてはうっとりした表情を浮かべた。何か変なものでも見えているのか……

 

「やっぱり一度合体した相手を助ける為に時空を越える言うんは、浪漫やね……?」

 

「浪漫だよね!」

 

 想像したくないが、どうも合体の意味が違う方に行っているようだ。血走った眼を見開き、勢い付くフェイトで ある。

 

「かつて身も心も一つになった男3人が、愛の為に再び集う……浪漫以外の何物でもないよね!?」

 

 話の論点がどんどんズレて行くと言うか、変な方向にコースアウトしたようだ。もうクラッシュッ大炎上である。

 

「これは是非とも追求せなアカンっ!」

 

 はやては俄然張り切ってしまっている。(現実逃避とも言う)

 

「身を委ねた時の感覚を忘れられないとは…… 破廉恥なっ! そんなに男が良いのかあっ!?」

 

 シグナム、マジ切れしているようです。するとそこに夜食を持ったゼロが、最悪のタイミン グで入って来た。

 

「入るぞ? 差し入れ持って来……」

 

 言い終わらない内に、3人は血走った眼でぬおおっとばかりにゼロに詰め寄っていた。

 

「「「で、どっちが受けで攻め(や!? だ!? なの!?)」」」

 

「?????」

 

 訳が判らず、慌てふためくゼロである。そこにコーヒーのお代わりを持ってきた、アインスが入って来た。ゼロは地獄に仏だと半分涙目で助けを求めていた。

 

「アインス、みんな徹夜続きで変なんだ。何とかしてくれ!」

 

 するとアインスは、とてもにこやかに笑って口を開く。

 

「ゼロが総受けに決まってます、我が主! 普段は強気な少年が大人の男達の超絶技巧の前に堕ちる……完璧です!!」

 

 ドヤ顔だ。アインスならぬ、ドヤンスになっていた。残念ながら味方は誰一人居なかったようである。

 

「ヤバイ……関わり合いにならない方がいい」

 

 ゼロは恐ろしくなってこっそり逃げようとするが逃げられる筈もなく、肩をガッチリ3人に掴まれていた。

 

「さあ……プレイ内容を洗いざらい吐いてもらおうか……?」

 

 とても良い笑顔のはやて達が其処に居た……

 

 

 

 

 部屋に報告で入ろうとしていたティアナ・ランスターは、ドアの前できびすを返すと足早に其処から離れた。終いには逃げるようにダッシュである。

 

「転属しよう……」

 

 ティアナは堅く誓うのであった。

 

 

 

 

 

 

空間期編予告

 

 卑劣な策に嵌まる獅子の戦士。紫天一家は敢然と空を駆ける。

 

「謎の王よ!」

 

「謎のカレー好きだぞ!」

 

「謎の猫集めで、砲撃使いです……」

 

「ええと……謎の盟主です」

 

 宇宙の通り魔。次々と斬殺される被害者達。恐るべき使い手相手にゼロは怒りに燃えるが……真実と人の悪意の前にゼロは……

 

 

 

「そう……弟や出来損ない達と一緒にされては甚だ迷惑と言うもの……最近のメフィラスも質 が落ちたものだ……」

 

「初代メフィラス星人……?」

 

「ゲームをしようじゃないか、八神はやて君……この世界を賭けてね?」

 

 初代メフィラス星人がはやてに提示するゲー ムとは?

 

 

「ウルトラウーマンアウラ。ウルトラマンゼロの許嫁ってやつよ」

 

「「「えええええええっ!?」」」

 

やって来た女ウルトラ戦士が、嵐を呼ぶかもしれない?

 

 

 ゼロとシグナムは四次元空間の街に閉じ込められてしまう。変身不能に陥りシグナムを庇って重傷を負ってしまうゼロ。連絡手段を絶たれ、魔法をも封じられ敵の包囲網は迫る。絶体絶命の中シグナムは……

 

「……お前に会えて良かった……」

 

 

 奇怪な事件を追うゼロ達は、不思議な管理局幹部と知り合う事に。2つの記憶を持つ彼女とは何者?

 

「人を導く者と自称する連中よ……」

 

 

 行方不明になった管理局部隊の後を辿り、孤島に調査に赴くゼロ達八神家。その最中局員の兄を探しに潜り込んだ少女と知り合う。

 島に隠された秘密とは? ゼロ達の前に現れる怪獣軍団。操られる襲い来る人々。そして…… ゼロをも圧倒する恐るべき敵とは?

 

 人を信じられなくなった少年の心にゼロの叫びは届くのか。独り荒野をさ迷う少女が出会うのは?

 

 災害に巻き込まれた少女は、エースと邂逅し、黒羽根の魔導騎士と巨人を目の当たりにする。

 

 仲間を手に掛けてしまった悪夢の記憶がゼロを苦しめ苛んで行く。ウルトラマンゼロは再び大空へ飛び立てるのか? その時はやては、シグナムは……

 

つづく




今回で週一投稿は終了になります。此処までお付き合い頂きありがとうございます。次回から新作になりますので、不定期更新になります。
空白期編は中編、前後編、短編になります。かなり長くなります。予告以外にも色々お話が有りますので、お付き合い頂ければ幸いです。それでは空白期編で。

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