夜天のウルトラマンゼロ   作:滝川剛

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第24話 時の庭園の攻防や

 

 

 ザフィーラは宇宙仮面2体との戦いでゼロから引き離され、離れた場所で激戦を繰り広げていた。

 ゼロからのテレパシーに、直ぐに合流すると伝えたものの追い込まれている状態だ。

 触れた物を破壊する手だけでは無く、銃で武装し反撃の糸が掴めない。 しかも只の銃では無い。大口径高出力のレーザー銃『ウルトラレーザー』である。集中して食らえば、盾の守護獣の頑強な魔法障壁をも貫かれてしまう。更に……

 

(こいつら……コンビネーションに隙が無い……!)

 

 巧みな連携で付け入る隙が無い。拳を構えるザフィーラの騎士甲冑は、避けきれなかった攻撃で流血し満身創痍だ。『鋼の軛』さえ当てられれば勝機はあるのだが、異常な身軽さと連携で全てかわされてしまう。

 

「死ね! 虫けらが!!」

 

 宇宙仮面2体がレーザー砲を乱射して来た。 周囲が高出力レーザーで吹き飛ぶ中、ザフィーラは当たる前に素早く後方に跳んだ。柱の陰に一旦身を隠し敵の動きを探る。すると1体の姿が見えない。

 

(何処へ行った……?)

 

 次の瞬間ぞわりと毛が逆立つような殺気が、頭上から降って来た。射撃に紛れて、もう1体の宇宙仮面が奇襲を掛けて来たのだ。

 ザフィーラは反射的に拳を繰り出し、逆に叩き潰さんとする。だが空かさずもう1人が、レー ザーで援護射撃を掛けて来た。

 

 だがザフィーラは避けない。レーザーが甲冑を抜き肉を焼く。脇腹と肩を抉られた。だが怯まない。宇宙仮面の破砕の右手が迫って来る。

 

「オオオッ!」

 

 守護の獣は避けると思いきや、逆に拳を繰り出した。

 

「馬鹿めっ!」

 

 宇宙仮面は右手で拳を受け止めた。勢いの乗り切らないパンチでは通用しない。逆に宇宙仮面の手は触れただけであらゆる物質を破壊する。

 ザフィーラの拳がアームガードごと燃え上がった。魔力でコーティングされた腕は辛うじて皮膚を焼かれただけにダメージを抑える。

 長くは保たない上、それでも相当な痛みがある筈だがザフィーラは動じ無い。その眼が鋭く光る。右拳の攻撃は誘いだった。

 

「ウオオオッ!!」

 

 左の拳が唸りを上げて宇宙仮面の胴体に叩き込まれ、その身体が直上に吹っ飛んだ。 落下する所を狙い止めをささんと更に拳を振り上げると、その拳が宙でピタリと止められて いた。

 

「!?」

 

「フハハハッ! 特殊合金製の俺の身体はを打ち抜くにはまだ足りなかったな!!」

 

 着地した宇宙仮面は勝ち誇って両手を掲げる。僅かに届かなかった。胸部が幾分凹んだくらいのダメージしか与えられない。特殊合金の身体は異様な程の防御力を持っている。

 次の瞬間ザフィーラの四肢が、巨大な見えざる手で鷲掴みにされたように拘束された。

 

(何ぃっ……!?)

 

 身体が空中で固定されている。磔にされたようにびくとも動かせない。宇宙仮面の念動力だ。魔法とは別系統の不可視の力が、騎士甲冑や防御魔法をすり抜けて作用していた。

 

「虫けらが、跡形も無く吹っ飛べ!」

 

 身動き取れないザフィーラに、宇宙仮面の破砕の手が迫る。騎士甲冑の胸部に手が触れると激しいスパークが起きた。集中攻撃で甲冑を完全に破壊し爆砕つもりなのだ。

 捕まれている部分が燃え上がる。ブスブスと肉の焼ける臭い。このままでは騎士甲冑が完全に破られてしまう。

 

「ウオオオオオッ!!」

 

 ザフィーラが獣の如く吼えた。その姿が瞬時に雄々しい蒼い狼の姿に変わる。

 

「何ぃっ!?」

 

 流石に驚いた宇宙仮面に向け、守護獣は至近距離から自らの長い牙を噛み砕き含み針として吹き出した。

 

「ぐわあっ!?」

 

 牙は矢のように飛び、宇宙仮面のブレスレットに突き刺さる。途端に苦しみ出しザフィーラの拘束が緩む。弱点のブレスレットが損傷したのだ。特殊合金製の宇宙仮面の唯一の弱点。

 

「鋼の軛! テオオオッ!!」

 

 隙有りとザフィーラは魔法を発動させた。床を突き破り、数本の鋭い槍状の刺が宇宙仮面の全身を貫く。合成樹脂や機械の破片をばら蒔き怪人は完全に機能を停止した。

 

 ザフィーラは素早く四肢で着地すると、辺りを警戒する。もう1体宇宙仮面が居た筈だ。すると向こうからやって来る者が居る。牙を剥き身構えると、聞き慣れた声が呼び掛けて来た。

 

「お~い、俺だ! あっちは俺が倒したぞ!」

 

「ゼロ……?」

 

 手を振り駆けて来るのは人間形態のゼロであった。嬉しそうに此方に向かって来る。ザフィーラはホッと息を吐いた。

 

 どうやら上手く 行ったらしい。 ザフィーラは傷のダメージからか、ガクリと床に後ろ脚を着いてしまった。

 ゼロは心配そうに駆け寄る。手を伸ばすかと思いきやニヤリと顔を歪ませた。目の下に隈取りが出来ている。懐に隠し持っていた物を取り出しザフィーラに向けようとした瞬間、

 

「ガアアアァァッ!?」

 

 ゼロは耳障りな絶叫を上げた。その胸に深々とザフィーラの鋭い爪が突き刺ささっている。隠し持っていたウルトラレーザーが床に落ちた。

 もがき苦しむゼロの姿が歪む。すると縦に裂けた口のおぞましい姿をした怪人が正体を現した。

 変身宇宙人『アンチラ星人』である。最初は宇宙仮面に化け、不利と見るや変身能力で騙し討ちを狙ったのだ。

 

「……バッ……馬鹿な……何故俺の変身が……?」

 

 自慢の変身を見破られ驚愕するアンチラ星人の疑問に、ザフィーラは爪を更に深く刺し答える。

 

「守護獣の嗅覚を甘くみるな……貴様の邪悪な臭いは誤魔化せん……!」

 

 一気に爪を引き抜くと、アンチラ星人は断末魔の叫びを上げて大爆発を起こした。

 だがまだ安心するのは早い。ザフィーラの聴覚は金属音を捉えていた。大量の傀儡兵の足音が近付いて来る。

 

 

 

 

 

 

 『アースラ』は魔法戦闘の反応を運良く捉え、『時の庭園』の位置を特定する事に成功していた。

 リンディは直ぐに武装局員を庭園内に突入させる。 その中にはプレシアの逮捕に向かうクロノと共に、志願して加わったなのはとユーノの姿があった。

 

(フェイトちゃん……)

 

 なのははフェイトともう一度逢う為に、庭園内をひたすら駆ける。立ち塞がる傀儡兵に向け、レイジングハートを構えた。

 

 

 

 

 アースラブリッジで状況を見守るリンディは、真剣な面持ちで現状の把握に努めていた。向こうはかなり混乱した状況らしい。

 

(プレシア女史の本拠地を運良く見付けられたのはいいけれど……一体誰と戦っているのかしら……?)

 

 不思議に思っていると、エイミィから報告が入る。庭園内に突入した武装局員達が傀儡兵から攻撃を受けていた。

 性能が高い上相当数居るらしく、局員達では対応しきれない。なのは達にも無数の傀儡兵が立ち塞がっている。

 かなりの数はゼロ達が破壊した筈だが、まだまだ予備があるようだ。一体後どれぐらい有るのか。

 

 なのは達はクロノの活躍も有り、問題なく進んでいるが他の局員達では荷が重い。リンディが、武装局員達を退がらせる指示を出した時だった。

 

「艦長、通信回線に何者かが割り込んで来ました! あの巨大次元航行船からです!」

 

「直ぐに繋いで」

 

 エイミィの報告にリンディは直感する。恐らくはプレシアから。繋いだ回線を正面モニター に映す。相手の姿が目に入った。

 庭園の屋上にあたる外壁部に1人立つ、不気味な仮面を被った白装束の女。『女ヤプール』 だ。 リンディは不審に思い眉をひそめた。プレシアからの警告かと思っていたからだ。

 

「貴女は誰なの……?」

 

 リンディの呼び掛けに女ヤプールは、人を食った態度で仰々しく片手を胸の前に据える。

 

《お初にお目に掛かりますわ、時空管理局の皆さん……我らは『ヤプール』……そちらには『異次元の悪魔』と言った方が通りが良いかしら……?》

 

 うやうやしく頭を下げて見せるが、相手に敬意など微塵も無い小馬鹿にした態度である。 リンディは異次元の悪魔と名乗る人物の態度に不快感を覚えたが、

 

「あなたが異次元の悪魔だと言うのね? ちょっと信じ難いけど……何故此処に居るのかしら? プレシア女史の仲間なの? 彼女は何処に?」

 

 リンディの畳み掛けるような質問に、女ヤプー ルは人を不快にする含み笑いを漏らす。

 

《うふふふ……その女なら、とうの昔に地獄へ送ってやったわよ……今此処の支配者は我らヤプールって訳……》

 

 予想外の答えにオペレーター達はざわめいた。プレシアを追って来た筈が、当の本人が既に殺害されていたとは。

  リンディは嘘では無いだろうと直感する。このタイミングで嘘を吐いても意味は無い。衝撃を受けながらも、臆せず質問を投げ掛ける。

 

「貴女の目的は何……?」

 

《うふふふ……聞きたい……?》

 

 女ヤプールは勿体ぶった態度で能面を被った顔を向けた。愉しくて仕方無いと言うような態度だ。喜怒哀楽全てが表現されているという能面が、モニターに不気味にアップになる。

 

《教えてあげるわ! 『ジュエルシード』で次元断層を起こして、失われし都『アルハザード』へ渡るのよ!!》

 

 艦内に衝撃が走った。管理世界の人間ならば、アルハザードの伝説は誰しも一度聞いた事のあるものだ。リンディは顔色を変えた。

 

「馬鹿な事を! 『アルハザード』は伝説に過ぎないわ! そんな不確かな事で、周りの世界を消滅させるつもりなの!?」

 

 女ヤプールは憤る艦長の声を、心地好い音楽でも聴くように愉しんで嘲笑う。

 

《あはははっ! 伝説なんかじゃ無いわ…… 『アルハザード』こそ我らヤプールの失われし故郷なのだから!》

 

「何ですって……?」

 

 リンディは声を漏らしていた。それならば不確かでも何でも無い。ヤプールは確証を持って 次元断層を起こそうとしているのだ。

 女ヤプールは天を掴むかのように、両手を大きく掲げる。それに合わせて無数の魔方陣が『時の庭園』上部に現れた。

 

 魔方陣から次々と出現する巨大な異形の群 れ。50匹に及ぶ超獣軍団であった。多数の怪物の雄叫びが、高次元空間に渦となって響き渡る。その中心で女ヤプールは凶気の叫びを上げた。

 

《『アルハザード』に眠る『ヤプールの遺産』 を手に入れた時、全ての世界はヤプールのものとなる! 止められるものなら止めてみなさい、あははははっ!!》

 

 どす黒い哄笑と共に通信はブツリと切れた。 管理局には何も出来ないと、わさわざ連絡して来たのだ。リンディは庭園を埋め尽くす超獣軍団を青い顔で見詰める。

 

(……一体……どうすれば……)

 

 戦力が違い過ぎる。絶望が彼女の心をじわじわと重苦しく染めて行った……

 

 

 

 

 

 

「……ヴィータ……大丈夫か……?」

 

 満身創痍のシグナムは、背中合わせに立つ同じくボロボロの小さなアタッカーに声を掛ける。

 

「……これぐらい……平気だ……!」

 

 強気に返答を返すヴィータだったが、正直立っているのがやっとだった。周りは無数の傀儡兵の群れ。

 

 超獣を倒した代償は大きく、シグナムとヴィータにほとんど魔力も戦闘能力も残されていない。カートリッジも全て使い切ってしまった。

 2人は包囲されて壁際に追い込まれ、脱出もままならない。念話すら使えない状況だった。 傀儡兵がじりじりと迫る。

 シグナムとヴィータは限界の身体に鞭打って、アームドデバイスを構える。

 

「……や……野郎……!」

 

 ヴィータは重い身体を引きずり立ち向かおうとしたが、破片に足を取られてしまった。もう身体に力が入らず床に倒れ込んでしまう。

 

「ヴィータ……!」

 

 シグナムは咄嗟に駆け寄るが、傀儡兵はその隙を見逃さず一斉に武器を振るい2人に襲い掛かった。

 

(しまった……!?)

 

 シグナムはヴィータを庇いその前に立つが、 彼女もレヴァンティンを握っているのがやっとの状況だ。反撃する余力は無い。

 万事休す。鋼鉄の凶器が騎士達に降り下ろされようとしたその時、一条の光が宙を走った。

 緑色の光は2人に迫っていた傀儡兵達に炸裂し、瞬時に消し飛ばした。更に次々と光が走ると、傀儡兵の群れが破片と火花を辺りに撒き散らし瞬く間に破壊されて行く。

 

(……これは……?)

 

 シグナムは突然の出来事に辺りを見回した。ヴィータもヨロヨロと顔を上げる。

 止めとばかりに光が一直線に走り、光のラインが傀儡兵の群れを横一文字に凪ぐと、数十体の傀儡兵は爆発四散し跡形も無くなった。『エメリウムスラッシュ』の乱れ撃ちだ。

 

『シグナム、ヴィータ大丈夫かあっ!?』

 

 ゼロのエコーが掛かった声が響く。2人の目に、爆煙の中を此方に駆けて来る『ウルトラマンゼロ』の姿が飛び込んで来た。

 

「ゼロッ……!」

 

「ゼロッ!」

 

 シグナムとヴィータは同時に名前を呼んでいた。その表情が明るくなる。ゼロは駆け寄りながら人間形態を取ると、外した『ウルトラゼロアイ』を掲げて見せ、

 

「取り戻したぞ! お前らのおか……!?」

 

 上手く行った事を言い掛けるが、満身創痍の2人を見て見て絶句してしまった。

 

「だ、大丈夫か!? シグナムもヴィータもボロボロじゃねえか!」

 

 青くなるゼロにシグナムは明らかに無理をして、ふらくつ足を踏ん張り笑って見せる。

 

「……これしき……大した事は無い……」

 

 ヴィータもアイゼンを杖代わりによろめきながらも立ち上がると、血が滲む顔で笑みを浮かべ、

 

「……取り戻せて……良かったな……これでしばらくゼロの分のアイスはアタシんだな……?」

 

 強がる2人を見てゼロは胸が締め付けられる想いに駈られる。そこでゼロは破壊された岩盤の壁の穴から、誰かが部屋に入って来るのに気付いた。

 

「……全員……無事のようだな……」

 

 狼の姿のザフィーラだ。青い毛皮が所々血で濡れ片脚を引きずっている。宇宙仮面とアンチラ星人を倒した後、傀儡兵の包囲網を突破して来たのだ。

 

「……ザフィーラも……」

 

 ゼロは胸が苦しくなり声もろくに出せない。 皆の無事を知り気が緩んだのか、ヴィータの膝が崩れた。

 

「ヴィータッ!」

 

 シグナムが咄嗟に支えようとするが、同様に足に来ていた彼女は支え切れず、ヴィータ共々崩れ落ちてしまう。

 しかし床に倒れ込む寸前、ゼロが2人をしっ かりと抱き止めていた。頼もしい包容にシグナムとヴィータはひどく安心するのを感じる。

 ゼロは2人をそっと床に座らせた。横目でバラバとファイヤーモンスの死骸を見ると、そっと勇敢な女騎士達の手を取る。

 

「……こんな細え手でコイツらを倒したのかよ……ばか野郎……無理しやがって……」

 

 大事なものを抱くように、シグナムとヴィータの手を握り締めた。胸が感動で震えているのが判る。

 

「……な、何だよ……らしくねえぞ……?」

 

 こそばゆくなったヴィータは、照れて何時も通りの憎まれ口を叩く。その手に温かいものが零れ落ちた。それに気付かないゼロは傷だらけの手を押し抱く。

 

「……お前ら凄えよ……俺なんかより余っ程勇気が有る……」

 

 声が詰まり、ウルトラマンの少年の両目から熱い雫が零れ落ちていた。

 

「……ゼロ……お前泣いているのか……?」

 

 シグナムは驚いた顔をする。言われてゼロは、初めて自分の目から止めどもなく流れるものに気付いた。

 

(これは涙……? 俺が……泣いているのか……?)

 

 その熱いものは少年の意思に反し、一向に止まろうとはしなかった。シグナムは苦笑し、

 

「……男児たるもの……みだりに人前で泣くものでは無いぞ……?」

 

「……ちょ……調子狂うじゃんかよ……」

 

 ヴィータは泣かれる程心配されていたのを感じ嬉しくなったが、照れてそっぽを向きボソボソ呟いた。

 

「しっ、仕方ねえだろ……何だか知らねえけど止まらねえんだよ……!」

 

 ゼロは全くコントロールが効かない涙腺に困り、逆ギレ気味に応えるしか無い。

 そこで思い当たった。地球に来てから良く起こった不思議な感覚の正体を。 前にも一度こんな感覚に襲われた事があった事を。

 

(そうだ……『ラン』と一体化していた時だ……)

 

 『カイザーべリアル』に捕らわれ、同じく『ウルトラゼロアイ』をも奪われ死を待つだけだった時。『ウルティメイトフォース』の皆がゼロを助ける為に、べリアル軍団に殴り込みを掛けて来た時だ。

 

 あの時はランの身体だった故自覚が無かった。しかし今ならはっきり判る。これは涙なのだ。人の心に、決死の行動に心打たれて流す尊いものだと。

 

 それはかつて人と同じ存在だったウルトラマンが進化の過程で無くしたもの……

 自分達ウルトラ族が、遥か過去に置き忘れた大切なものを見付けた気がした。何と胸が熱くなる事か。

 

 ゼロはその想いを込めるように、握った手から2人に『メディカルパワー』を送り込む。 シグナムとヴィータは身体に温かいものが流れ込むのを感じ、その心地好さに身を委ねそうになるが、

 

「……ゼロ止せ、お前はこれから総力戦に挑むのだぞ……此処で余計な力を使うな……」

 

「……そうだ……アタシらはいいっ……!」

 

 戦闘に影響が出てはと手を離そうとする。だがゼロはしっかり握り手を離さない。

 

「要らん心配すんな……大丈夫だ……お前らからもっと大切なものを沢山貰ったからな……」

 

 ゼロは涙を溢れさせたまま、宝物を貰った子供のように無邪気に2人に微笑み掛けた。

 

 

 

 

「どうだヴィータ……?」

 

 シグナムは片手でレヴァンティンを軽く振りながら、隣でアイゼンのグリップを握り直しているヴィータに声を掛ける。

 

「まあまあだな……」

 

 鉄槌の騎士は軽く相棒を振って見せる。2人共魔力はまだ回復していないが、メディカルパ ワーで怪我の治療を受け体力は幾分回復していた。

 メディカルパワーも万能では無いので充分では無いが、動き回るくらいは出来る。ゼロは今ザフィーラの怪我の手当てをした所だ。

 

「それじゃあ皆は外に退避していてくれ。管理局も此処を突き止めたらしいからな……見られたら不味い。後は任せとけ!」

 

 ゼロは3人に告げると『ウルトラゼロアイ』 を翳す。するとシグナムとヴィータが顔を見合わせると歩み寄って来た。

 

「……ゼロ……その……少しいいか……?」

 

 少し躊躇を見せるシグナムに、ゼロは変身の手を止める。次にヴィータが直ぐ隣に立ち服を引っ張って来た。

 

「ちょっと……頭を下げろよ……」

 

 訳が判らなかったが、言われるがままに頭を低くしたゼロの両頬に柔らかいものが同時に押し付けられた。

 

「!?」

 

 シグナムとヴィータが同時に頬にキスをしたのである。驚くゼロに2人は照れ臭そうに唇を離す。ポカンとする少年に、シグナムは顔を真っ赤にしながら小難しい顔をし、

 

「べっ、別に妙な意味では無い……ベルカの戦いに赴く騎士を送り出す為の儀式だっ……!」

 

「感謝しろよな……ゼロ以外に誰にもやった事ねえんだぞ? 鉄槌の騎士と剣の騎士の両方なんて幸福者だかんな……だから負けたら承知しねえぞ!」

 

 照れるヴィータは誤魔化して胸を張り偉そうである。兄を送り出す妹のような気持ちなのかもしれない。

 ゼロは苦笑して、こちらは湯沸し器のように顔を赤くしているシグナムと、偉そうに胸を張ったままのヴィータの肩に手を乗せた。

 

「……フェイトとの約束といい……絶対に負けられない理由が増えたな……?」

 

 力強く笑い掛ける。その瞳には闘志が燃え盛っていた。

 2人から手を離すとザフィーラの元に行き、青い毛並みを無言で撫でる。 守護の獣も澄んだ瞳でゼロを見上げ頷いた。 死線を共に越えて来た者同士、言葉は不用だった。

 ゼロは全員から距離を取り『ウルトラゼロアイ』を再び前に掲げる。

 

「見ろ! 皆のお陰で取り戻した力……今の俺は誰にも負けはしねえ、デュワッ!!」

 

 父親譲りの掛け声と共に、特殊グラスを両眼に装着した。目も眩むスパークに包まれて、少年の身体がゼロアイを中心にウルトラマンに変換されて行く。

 眼、ビームランプ、カラータイマーに力強い光が満ち、赤と青の強靭な肉体にマグネリュームエネルギーが満ちる。

 その膨大なエネルギーに比例してゼロの身体が膨れ上がるように巨大化し、身長49メートルの小山の如き巨人となった。

 

『ウオオオオオオオオッ!!』

 

 ゼロは小さな身体に封じられていたエネルギーを解放するように、力強い雄叫びを上げる。今なら星でも素手で砕けそうだ。

 勢いのままに一気に飛び上がると天井をぶち抜き、超獣軍団の待つ屋上へと向かった。

 

 

 

 

 

 アースラブリッジに非常アラーム音が鳴り響いていた。高次元空間が微細な振動を起こし始めている。次元震が発生し始めたのだ。

 このままでは後20分足らずで『次元断層』が発生してしまう。

 更に解析の結果『ジュエルシード』と併せて、庭園の駆動炉に使用している『ロストロギア』を暴走させ、足りない出力を補っている事が判明した。手をこまねいていれば確実に次元断層が起きる。

 一見自殺行為に思えるが、『アルハザード』 が元々ヤプールの故郷なら片道分だけで充分なのだろう。

 リンディは苦悩していた。『ジュエルシード』を持ったヤプールは超獣軍団に守られている。超獣の力はクロノの報告やデータで承知している。

 魔法をものともしない怪物が50体以上、とても手が出せるものでは無い。リンディはクロノに連絡を入れた。

 

「クロノ……状況は判ったわね? こうなれば駆動炉を止めるしか手は無いわ!」

 

《艦長判りました。今から駆動炉に向かいます!》

 

 クロノの後になのはとユーノも続く。

 

《私も行きます。このままじゃ私の住んでいる世界も、何もかも無くなってしまいます!》

 

《僕も逃げる気なんてありません!》

 

 なのはは一歩も退く気はない。フェイトの事も気掛かりだった。母親が既に殺されていたとは……なのはの胸は自分の事のように痛んだ。

 

 なのはとユーノの決意を聞いてリンディは迷った。今戻れと言っても2人共聞きはしないだろう。それに事態は深刻だ。少しでも戦力は欲しい。

 

「判ったわ……でも気を付けて、相手も駆動炉に手を打っている可能性が高いわ……」

 

《判りました!》

 

 3人揃って返事をし通信が切れる。正直事態は最悪だ。駆動炉の封印も上手く行くどうか分からない。

 最悪なのは達はクロノが連れて脱出してくれる筈だ。アースラでも決して安全とは言えないだろう。そして今は自分達が出来る最善の事をやるしか無い。

 

「私も出ます。庭園内でディストーションシールドを展開して、次元震を抑えます……」

 

 リンディは直接の戦闘力こそあまり高くは無いが、広域の空間干渉能力は高い。短時間なら次元断層の発生を遅延させられる。

 武装転移ポートに向かおうと立ち上がると同時だった。不意にエイミィがモニターを指差し声を上げた。

 

「艦長あれを! ウルトラマンが現れました!」

 

 リンディは振り返って正面モニターの画面を見上げる。ウルトラマンゼロが庭園外壁を中からぶち抜き、超獣軍団に向かって行く様が映し出されていた。

 

(まさか……戦うつもりなの? あの化け物の群れと……)

 

 それは無謀に見えた。1対50以上の戦力比、まともに考えたら勝ち目は無い。だがリンディの腹はそれを見てはっきり決まった。

 

(彼ならやれるかもしれない……あの異常なまでの力なら……今の状況では彼に賭けるしか無い! なら私は出来る限り時間を稼ぐ!)

 

 直感だった。力もそうだが、己を省みず街を救ったゼロなら信じていい気がした。

 どの道ここで手をこまねいていたら、沢山の命が喪われてしまう。それだけは絶対に避けなければならない。

 ユーノ達にああは言ったものの、リンディは管理世界も管理外世界も関係無く、無辜の命が理不尽に奪われるのを黙って見てはいられない。管理局員としても人としてもだ。

 ウルトラマンもリンディも、同じような使命感を持つ者同士。通じるものがあったのだろう。リンディは己の最善を尽くす為、武装転移ポートに向け走った。

 

 

 

 

 ウルトラマンゼロは厚い外壁をぶち抜くと、庭園の開けた屋上に降り立ち超獣軍団と対峙した。

 超獣軍団の最後方に『ジュエルシード』と共に宙に浮かぶ女ヤプールは、完全に見下した態度でゼロを見下ろしている。

 

「どうやら命が惜しくない、救いようの無い偽善者のようねえ……アナタ1人で立ち向かえると、本気で思っているの……?」

 

『ご託は聞かねえぞ死に損ない! さっさと掛かって来い! フェイトのお袋さんの仇と傷付いた皆のお返しだ。貴様を元の地獄へ叩き込んでやるぜぇっ!!』

 

 ゼロは女ヤプールの挑発を一蹴し、左手を突き出して右拳を引く、得意の『レオ拳法』の構えを取る。女ヤプールはプライドを傷付けられたのか激昂し、

 

「……ほざいたな雑魚がぁっ! 超獣共よ、あの虫けらを八つ裂きにしろぉっ!!」

 

 女ヤプールの号令に、超獣達の凄まじい咆哮が高次元空間に木霊した。一斉に庭園を揺るがしてゼロ目掛けて殺到する。

 

『行くぜぇっ、ヤプール!!』

 

 ゼロは怖れず岩盤を踏み砕き、真っ正面から超獣軍団に突撃した。

 空を切り裂き先陣を切って、飛行型の超獣『ブラックピジョン』『カメレキング』『ゼミストラー』が頭上から襲い掛かる。

 ゼロはスピードを落とさず、『エメリウムスラッシュ』を額から連射する。緑色の死の光を立て続けに食らった3匹は肉片を飛び散らせ四散した。

 爆発の余波と爆煙の中、超獣軍団は怯まずゼロに突進して来る。その様は生者に群がる死者の群れのようにも見えた。

 『ブラックサタン』が巨大な一つ目から破壊光線を発射、『アリブンタ』『ブロッケン』も超高火炎をゼロ目掛けて一斉に発射する。

 しかしゼロは素早く宙に飛び上がり攻撃を回避する。巻き添えを食った『マッハレス』『ユニタング』が攻撃をまともに浴び吹き飛んだ。

 

(馬鹿が! そっちは集団、飛び道具なんざ同士討ちの元だぜ!!)

 

 空中を軽やかに跳ぶ超人を狙い、各超獣の攻撃が襲うがゼロは軽々と攻撃を避け、右脚にエネルギーを集中させる。その右脚が炎の如く赤熱化した。

 

『ディヤアアアアアッ!!』

 

 裂帛の叫びと共に『ウルトラゼロキック』がブラックサタンの頚に命中。反動を利用し後方の『ガラン』に回し蹴りを食らわせ、近場の『ギタギタンガ』『ギーコン』『レインボラー』に立て続けにゼロキックを見舞う。

 ほの暗い高次元空間を、真紅の炎が舞っているようだ。

 

『ウルトラゼロキック五段蹴り』

 

 ゼロが着地すると同時に、5匹の超獣が頚を吹き飛ばされ爆砕する。眼にも留まらぬ速技だ。

 

「な……何をしている! さっさとその虫けらを片付けなさい!!」

 

 恐れをなしたのか、ヒステリックに叫ぶ女ヤプールの声が響く。命令に忠実に従い超獣達はゼロに群がるが、彼は同じ場所に留まるような愚は犯さない。

 ゼロコンマ1秒の躊躇も無く瞬時に飛び退くと、頭部の『ゼロスラッガー』を手にする。

 

『ゥオオオオッ!!』

 

 スラッガー2本を両手に構え、岩盤を蹴って弾丸の如く飛び出した。飛び出すと同時に初速が音速を超え、ゼロの巨体が超スピードで見えなくなる。

 銀色の閃光が空を切り裂く。見えない死神の鎌に襲われたように、超獣達の身体が次々に切り裂かれた。

 

『ゼロスラッガーアタック』

 

 超獣達の頭が胴体、手足が宙を舞う。加速を解いたゼロが姿を現した。彼の背後で、切り裂かれた十数匹の超獣が大爆発を起こし吹っ飛んだ。

 

「スッゲエーッ、ゼロ強ええっ!!」

 

 ヴィータは年相応の子供のように歓声を上げた。守護騎士達3人は一旦庭園内から離脱し、外壁の陰で戦況を見守っている所だ。 シグナムは魅入られたように戦うゼロを見詰めて頷く。

 

「ああ……全く……大した男だ……」

 

 自然に顔が綻んでいた。この身が奮い立つようだと将は思う。ヴィータは興奮気味でシグナムとザフィーラに顔を向け、

 

「なあ……信じられっか? あれがアタシらの家族なんだぞ、アタシらのウルトラマンなんだぜ!」

 

 誇らしそうに満面の笑みではしゃぐ。ザフィーラは微かに笑みを浮かべた。シグナムは頷き、

 

「そうだな……我らのウルトラマンだ……他人の為にしか戦わないお人好しのな……」

 

 感慨深く戦うゼロを見詰めて応えた。ヴィータも嬉しそうに頷くと、身を乗り出してゼロに向かって叫んだ。

 

「行っけえーっ、ゼロッ! ぶっ潰してやれ えっ!!」

 

『任しとけヴィータ!』

 

 超感覚を持つゼロの耳には当然ヴィータの声援は届いている。心得たと一気に勝負を着けるべく左腕を水平に伸ばす。

 『ワイドゼロショッ ト』の構えだ。凄まじいエネルギーが両腕に集中する。生き残りの超獣達が怒号を上げて押し寄せて来た。

 

『纏めてぶっ飛びやがれええっ!!』

 

 ゼロは両腕をL字形に組んだ。その右腕から強烈な光の奔流が凄まじい勢いで発射される。

 以前のグリーンモンスの時のようにパワーを抑えていない。地上で撃てるフルパワーの一撃だ。超獣達は次々と断末魔の悲鳴を上げ光の奔流に飲み込まれて行く。

 光線の余波で庭園の上部外壁が吹っ飛んでいた。ワイドゼロショットの威力は凄まじい。庭園を大きく揺るがし、超獣達は光線の広域照射を受け爆発消滅した。

 だが全ての超獣が倒されたかと思いきや、爆炎の中 を猛スピードで接近して来るものが居る。

 四つ脚で巨大な猛牛のように突進して来るのは、最強超獣『ジャンボキング』だ。その巨大な角でゼロを串刺しにせんと迫る。

 

『来やがれ!!』

 

 ゼロは真っ向からジャンボキングを迎え撃った。その突進を強靭なパワーでガッチリ受け止める。

 

『オラアアアアッ!!』

 

 通常の超獣の数倍はあるジャンボキングの巨躯を、数百万馬力のパワーで力任せに持ち上げた。

 

『初公開の技見せてやるぜ! 食らえウルトラハリケーンッ!!』

 

 ゼロはジャンボキングを持ち上げたまま竜巻のように回転する。そのスピンは周囲に突風を巻き起こす程に凄まじいスピードだ。

 『ウルトラマンジャック』が『ゼットン二代目』を倒した時に使用した技である。

 ゼロはスピンさせたジャンボキングを勢い良く投げ飛ばす。巨体がハリケーンに飲み込まれたように猛スピンし、独楽の如く上空に舞い上げられた。

 

『止めだっ!!』

 

 投擲された2本のゼロスラッガーが死の刃と化し、ジャンボキングの身体を4つに切り裂く。上空を打ち上げ花火のように照らし、最後の超獣は粉々に吹き飛んだ。

 

 超獣の残骸が転がり無惨な有り様になった庭園屋上に、ウルトラマンゼロが山のようにそびえ立っていた。残るは女ヤプールのみ。

 

「ばっ……化け物か貴様っ!?」

 

 先程まで余裕を見せていた女ヤプールも、流石に動揺を隠せないようだ。

 

「……貴様……一体何者だ!?」

 

 女ヤプールの問いにゼロは一呼吸置き、高らかに名乗る。

 

『ゼロッ! ウルトラマンゼロッ! セブンの息子だ!!』

 

「セブン……ウルトラセブンの息子だと!? 馬鹿な、そんな話は聞いた事が無い!!」

 

 明らかに狼狽する女ヤプールを、ゼロはせせら笑ってやる。これくらいしても罰は当たるまい。

 

『やっぱり貴様は『ゴーストリバース事件』で倒されたヤプールの残党か……此方にずっと潜んでたから情報が古いぜ! 俺はその後に表舞台に立ったんだよ!!』

 

 女ヤプールは全身に怒りを漲らせ、長い黒髪をざわざわとなびかせた。自分の迂闊さを呪っているのか……

 

「おのれえええっ! 態勢を整えている内にそんな事になっていたとは……最初に殺しておくべきだった!!」

 

 呪詛を吐くように悔しげに吠える。だがもう後の祭りだ。寄りによって、ウルトラマンゼロを生かしておいてしまったのだから。

 ゼロは異次元の悪魔に止めを刺すべく、巨大な脚を前に踏み出した。

 

『観念しろ、これで最期だヤプール!』

 

 諦めたように項垂れる女ヤプールだったが……

 

「あはははははははははははははっ!!」

 

 突如として狂ったように嗤い出した。不気味な程ケタケタ嗤っている。追い詰められて発狂したなどという訳では無い。その嗤いは悪意と自信に満ちていた。

 尋常成らざる雰囲気に、ゼロは油断なく身構え る。女ヤプールは、白い能面を被った顔をゆらりと上げ、

 

「これでヤプールに勝ったつもりか……? 餓鬼が見ろぉっ!!」

 

 片手を挙げると、突然巨大な魔方陣が女悪魔の前に現れた。転移ポートにより何かを呼び出したのだ。

 

『こいつは!?』

 

 魔方陣から現れたのは、巨大な西洋式の棺桶であった。女ヤプールは勝ち誇り両腕を掲げて叫ぶ。

 

「出でよ! 最強の超人ロボット『ウルトラキラー』よ!!」

 

 棺桶の蓋が重々しく、独りでに開いた。

 

 

 

つづく

 

 




小劇場1

 お面の事

 宣戦布告する能面を被った女ヤプール。それを見たエイミィは戦慄し、リンディに訊ねてみた。

「艦長……何て不気味な仮面なんでしょう……あれは一体……?」

「ああ……あれは『お多福』のお面って言ってね、お目出度い時やお祭りで被ったりするのよ」

「へえ~っ、じゃあ気味悪く見えるのは気のせいなんですねえ……」

《待てやコラァッ! このインチキ日本通! 適当な事言うなあっ!!》

 色々台無しにされた女ヤプールはぶちギレしました。



 小劇場2

 ベルカの伝統ですから……

 シグナムとヴィータからの激励を受けたゼロ。そこに人間形態になったザフィーラが歩み寄った。

「ゼロ……」

「どうしたザフィーラ、いきなり人間の姿になって?」

「シグナムとヴィータがやったなら、俺もやらない訳には行くまい……」

「なるほど……判った、頼む……」

「止めんかあっ!!」

 シグナムとヴィータに止められました。(ついでに2人共殴られました)


※アンチラ星人。A登場、郷秀樹に化けてTACを騙そうとした変身宇宙人。更にマイナーです。ウルトラレーザーはその時持っていた銃です。
ベルカの伝統は捏造ですので、本気にしてはいけません。

 次回予告

 ヤプールの切り札ウルトラキラー。その恐るべき力がゼロを襲う。一方駆動炉封印に向かうフェイト達は?
次回『脅威のウルトラキラーや』



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