ポケットモンスター -デルタの超動-   作:ハヤト

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文章力最低ですけど読んでくれると嬉しいです。



プロローグ

プロローグ「ビギニング オブ ザ テンペスト」

 

 

「はぁ・・・っ・・・はぁ・・・」

 

走る、ただ前を走っていた

後ろから俺を追いかける光が消えるまで、

俺は暗闇を求めていた

 

 

「・・・やりきった」

 

あの研究所からだいぶ距離を進んだ暗い森の中。

ここまで逃げれば、もう追ってこないだろう、とそう考えて腰を下ろす

そして、腰に携えたケースから1つ俺の相棒の入ったモンスターボールを取り出す

「アブソル・・・悪い。」

「・・・」

「俺をどこか・・・人の居そうな町まで乗せていって欲しい。だいぶ疲労が溜まってきた。」

疲労とともに睡魔が襲ってくる、目を開けているのでさえ苦痛になる

「・・・!」

「アブソル・・・?どうした?」

アブソルの三日月上のツノが、震えていた

このツノには確か、自然現象などの災いを感知すると、どこかの本で読んだ記憶がある

「・・・っ・・・こんなときに・・・」

アブソルと俺が夜空を見上げた刹那、雨が激しく降り始めた

月を覆い隠す巨大な雲、鳴り響く豪雷、下がる気温

「・・・まず・・・い・・・」

その嵐の中、俺は強烈な睡魔に襲われ、意識が失われていった

最後に視界に映ったのは、不安そうなアブソルの顔と・・・

暗闇の中ではっきり見える、一筋の光だった

 

 

「・・・っ!」

次に目を覚ましたとき、俺は柔らかな布団の中だった

左に目を動かすと、すーすー寝息を立てるアブソル。

右に目を動かすと、見知らぬ女が俺に寄りかかってアブソルと同じように寝息を立てていた

「・・・何が起こったらこうなるんだ・・・」

「ん・・・ふぁぁ・・・あ、起きてたんだ・・・。おはようっ。ノワールくん♪」

アブソルより先に、女の方が目を覚ました

「って、もうこんな時間。ちょっと寝すぎちゃったかも・・・

 あ、ノワールくん。今から朝ご飯用意するから待っててね。」

「待て。お前は誰だ。なんで俺の名前を知ってる。何故俺はここにいるんだ。」

「え・・・あー・・・そういえばまだ名乗ってなかったね。

 私はミハル。最近イッシュ地方のライモンシティから移住してきて、

 普段は233番道路でミニスカートのトレーナーとして

 ポケモンバトルしてる、ふつーの女の子だよ。」

 

この、『ミニスカートのミハル』の話によると、

彼女は意識の無い俺とアブソルをあの暗い森の中で発見し、

危機感を感じて、近くにある自宅まで俺を連れて来たらしい

 

信じられないことだが、そのとき俺は歩け、意識を保っていたらしい

そして、自分に関すること、名前や体調について話し、

彼女の家に着いた途端に意識をなくした、ということだそうだ。

 

「ご、ごめんね。うちベッド一つしかなくて・・・今日は寒いからつい、一緒に・・・」

「いや・・・いいんだ。とにかく助けてくれたことには感謝してるよ。ありがとう」

 

待て・・・何か大切なことをまだ忘れているような・・・

 

「っ!ミハル、俺のカバンは!?」

「へ?えっと・・・ちゃんとそこにあるよ?」

「・・・良かった」

すぐ起き上がってカバンの中身を確認する。

確かにある。昨夜俺があの研究所から奪ったリストバンド型の小さな機械

 

「あ・・・ごめん。昨日中身・・・見ちゃったんだけど・・・それって・・・」

「知ってるのか!?」

「え、知らないよ。でも、たぶん・・・シエルコーポレーションのだよ・・・ね。

 会社のマークがついてるから・・・」

「・・・」

「それから・・・昨日のニュース速報で・・・シエルコーポレーションの研究所が、

 昨夜爆破された・・・って・・・」

「ああ・・・なるほど、じゃあ俺の境遇については大体想像できてるってわけか」

「・・・うん・・・たぶん・・・キミだよね。研究所爆破した犯人って。」

「・・・テロリスト」

「え・・・?」

「改めて名乗る。俺の名前はノワール。はっきり言えばテロリストだ。

 シエルコーポレーションは『平和のための研究』と称して

 中央政府から莫大な資金を手に入れて、各地の悪党共を動かして自分たちの好き放題に国を動かしてる。

 その報いを受けさせるために俺は昨夜研究所を爆破した。」

「わわ・・・すごいことしてるんだね」

「言っておくが、助けて貰った礼の1つとして話してるだけだ。他人に口外するなよ」

「言わないよー」

「・・・というか、お前何も警戒しないんだな」

それどころか、俺のことを犯罪者だと想像していたのに一緒にベッドの中に入ってきた。

何か考えがあるのか・・・それともただの馬鹿なのか・・・

「うーん。私そういうの結構憧れちゃうんだよね。ダークヒーロー!みたいな感じで・・・♪」

「・・・いや、それならいい。・・・それより、髪を束ねたいんだが・・・」

「ノワールくんのその綺麗な黒髪・・・すごく長いもんね。はい、これ」

「ありがとう」

「私も着替えようかな・・・ちょっと向こうの部屋いるから、ご飯食べてていいよ。」

「わかった」

そして少女がテーブルに並べてくれた料理を食べてみる

「はむ・・・っ・・・ん・・・こくん・・・」

 

・・・空腹だったからなのかもしれないが、

今まで食べた食事の中で一番美味しいと感じてしまった。

 

 

 

髪型をいつものハーフアップにし、俺は寝ているアブソルをモンスターボールに戻した

「ただーいまっ・・・」

茶髪ストレートで青眼のミハルがミニスカートに着替えて部屋から出てきた

こうやって立っているところを見ると、16歳くらい・・・だろうか

「・・・こう見てるとお前って・・・可愛いんだな。」

「へ?き、急にどうしたの?えっと・・・じっと見つめられるとちょっと照れる・・・」

「・・・」

「あ、それより、ご飯どうだった?お口にあったかな・・・」

「・・・美味しかった」

「え、ほんとに・・・?嬉しい・・・♪」

ミハルが、俺に向ける明るい笑顔。それは、普通の人間が犯罪者に向けるそれではない。

俺に今まで向けられてきた顔は「悲哀」「不満」「憤怒」そんなのばかりだった

誰も俺の主張を聞いてはくれない。思考停止で国が正しいと考える

そうなるのは、民衆が国に守られているからだ。

誰もが「守ってくれるこの国」=「正しい」と考え、疑いを持たなくなり、

全体主義に陥り、世界そのものに個々の可能性を潰されていく

そんなのはもう見たくないんだ。

俺はただ、ミハルのような優しい笑顔をもっと増やしていきたい。見ていたい・・・。

 

「ミハル」

「何・・・?」

「俺と一緒に来ないか?」

「・・・え?え・・・わ、私?」

「お前以外に誰がいるんだ」

「で、でも私・・・ほんとに何のとりえもないし・・・」

「嫌なら断ってくれてもいい」

普通の人間なら・・・全体主義に囚われた愚かな民衆なら・・・この誘いは必ず断る。

もしミハルがそうだったとしても、俺にそれを止める権利はない。

「・・・じゃあ・・・い、行く・・・」

「・・・っ・・・!本気か・・・?無理して来る事は・・・」

「キミから誘ってきたんだよー。行く。もう決めたの。」

「いや・・・でも、どうして・・・犯罪者についてこようって思ったわけ?」

「ノワールくんがそんなに悪い人に見えなかった・・・っていうのと・・・」

 

真剣な瞳で、俺を見つめるミハル・・・その目は本気で・・・

 

「私は、今の自分に可能性を見つけたい・・・の」

 

ミハルは・・・俺と同じ目をしていた。




ミハルさんは完全に本家の例の観覧車のキャラです。
既存キャラを弄れるのもSSの1つの良いところだと思ってます。

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