GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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エリナ
「何?前説?
どうして私がそんなこと...
#21はロミオ先輩の話です。
別に、見てくれなくても良いんだからね!」



#22 存在意義

オレがメディカルチェックを終えて、フライアから戻って来た時のことだった。

「副隊長~!」

ナナがオレに駆け寄ってくる。何やら慌てている。

「どうした、ナナ?おでんパンでも切れたか?」

「そんな冗談、言ってる場合じゃないよ!早く来て!」

ナナは強引にオレを引っ張っていく。

連れてこられた先では、ロミオとギルが言い争っていた。

「おい、ロミオ...さっきのミッションなんだよ...全然なってねえ。」

「あんま固いこと言うなよ、ギルちゃーん。

頼れる後輩もいるわけだし、もっとこう、余裕をもってさー」

ロミオの態度にギルの苛立ちが爆発する。

「余裕と油断は違うだろ...後輩に抜かれまくって

やる気がなくなったのか?だったらいっそ、やめちまえよ!」

「やる気がないだと...」

ギルの言葉にロミオが拳を握りしめる。

「ギル...取り消せよ。」

「何...?」

ロミオが振り返り、ギルを思いっきり殴る。

「うわっ!?....何しやがる!」

「お前になんか、分かるわけないんだよ!

そんなこと...俺が一番分かってんだよ!

ロミオの不満が爆発する。

「俺には、お前やシエルのような経験はないし...

ナナみたいに開き直れるほど大物でもない...

ましてやクロサキみたいに...怪物みたいなジュリウスと肩を並べるなんて...」

皆が、ロミオの心の叫びを黙って聞いていた。

「俺だって、皆の役にたちたいよ!

でも...俺はどこに行っても...役立たずで...どこにも居場所なんて無くて...」

皆が、ロミオを見ていた。

視線に耐えきれなくなったロミオは、そのまま飛び出して行ってしまった。

ナナが追いかけようとするが、クロサキが制止する。

「今は一人にしてやろう...戻ってこなかったら、必ず探しに行こう。」

ナナは小さく頷いた。

「仲間だもんな。」

 

+++++

 

 

その頃ロミオは、郊外をさまよっていた。

神機も何も持たずに、そのまま飛び出して来てしまった。

「腹、減ったな~」

ふと空を見上げると、見覚えのある赤い雲が目に入った。

「あれ...赤乱雲?」

「おう...また赤いのが降るか...」

近くの民家からおじいさんが出てくる。

ロミオに気付くと、

「ああ、あんた神機使いか...」

とっさに、ロミオは腕輪を隠そうとする。

「隠す必要はなかろう、立派な仕事だ。」

おじいさんは優しく言った。

その時、けたましいサイレンが鳴り響く。

「赤い雨がこっちに来るようだな...中に入れ。」

「え、俺大丈夫だよ...」

「良いから、とっとと入れ、えんりょすんな。」

その後、何となく居心地がよくなったロミオは、すぐに老夫婦と打ち解けてしまった。

「へー、ブラッドってすごい人たちなんだねえ。」

「そうなんだよ!皆、すごい強くてさ!隊長とか副隊長とかまるで化け物だよ...」

そこまで言ってロミオはうつむく。

「皆、ずっと俺より凄くて...オレに出来ることなんて、ほとんど無くて...

経験も知識も無いし...意志も弱いし、人の顔をうかがってばかりで...」

堪えようとしても、涙が止まらなかった。

「それが嫌で...皆から逃げてきたんだ...」

「お前さんは...人や友達が大好きなんだな。

それは、本当に胸を張っていいことだ。」

「でも、俺...!逃げ出して...」

おばあさんがロミオの手を握る。

「休むのと、逃げるのは違うでしょ。

ロミオちゃんが戦っているおかげで、私たちが安心して暮らせるのよ?

少しぐらい、休んだっていいでしょ。」

その言葉がロミオの胸に染みる。

ロミオは顔をあげると、また泣き出した。

今度はうれし泣きだった。

 

+++++

 

 

外に出ると快晴だった。

「ありがとう...俺、戻らなきゃ...」

ロミオの目にもう迷いはなかった。

「ああ、戻ると良い。お前さんの居場所に、な。」

「また、遊びにおいで。」

二人の言葉に笑顔で頷いた時だった。

突然、地面が揺れる。

「これは、アラガミ...!」

二人をサテライト拠点に退避するよう促すと、ロミオは駆け出した。

「あ...やべ、神機どうしよ...」

走り出してから、自分が手ぶらだということを思い出す。

「忘れもんですよ、先輩!」

後ろから声をかけられた。

振り返ると、

「皆...何で...?」

「討伐命令が出たからに決まってんだろ...

それに、仲間も回収しねぇといけないしな。」

ギルがばつの悪そうに言う。

「その割には、一番気にしてたよね~」

「うるせ!」

ナナの言葉にギルが慌てる。

「ロミオ先輩、私チキン5ピースで許してあげるから!」

「じゃあ、私はバレッドの材料を。」

「なら、俺はどうするかね...」

困惑するロミオにクロサキが近づく。

「先輩!オレ達にとって先輩は大切な仲間です。

だから、一緒に戦いましょう。」

そう言って、ロミオに神機を手渡す。

「...ああ!もちろんさ!皆、俺に力を貸してくれ!」

皆は力強く頷いた。

 

+++++

 

 

今回の敵はさほど強敵ではなかった。

結束を高めたブラッドの敵ではなかった。

「皆...俺...」

うつむくロミオの額を、ギルが小突く。

「お前の休暇届は勝手に出しといた。

これは貸しだ...二度とすんなよ。」

そう言ってギルは先に歩き出す。

「今日は、良い動きだった。この調子で頼む。」

ギルの言葉にロミオは立ちすくむ。

「へへー、ギル、ずっとロミオ先輩のこと気にしてたんだよ。

言い過ぎた、って。」

ロミオは少し考えると、ギルに向かって駆け出した。

「ハハッ、ギルちゃーん可愛いとこあるねぇー。」

「おい、やめろ!引っ付くな!離れろ!」

「またまた~恥ずかしがっちゃって~」

二人の光景になんだかこちらまで笑えてきた。

「よし、帰るか!」

「そうですね。」

「ロミオせんぱーい!チキン忘れないでね~8ピース!」

皆が笑顔になれる居場所がそこにあった。

 

+++++

 

そんないつもと変わらぬ日々が、ずっと続くと思っていた。

ある者は泣き崩れている。

また、ある者は悔しそうに拳を握りしめる。

庭園の花畑に囲まれた墓標。

そこに刻まれた名前は...

 




というわけでロミオ先輩回でした。
なぜ、前後編じゃないかは分かっているな...
おいおい、俺の口から言わせるな。
最後はネタバレっぽくなってしまいましたが、
次回もお楽しみに

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