GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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エミール
「よく来た。今回は僕が担当だ。
#21では僕の華麗な活躍が...ん?ないのか?
では次回にでも見せるとしよう...
それでは#21とくと目に焼き付けるがいい!」



#21 料理は心

目が覚めると、クロサキは病室に寝かされていた。

「あ、あれ?オレ...どうして。」

記憶がはっきりしない...

ふと、周りを見た。

「...!お、おい!皆!」

複数あるベッドにギル、ロミオ...

さらには、コウタ、エミールなど極東の面々もベッドに寝かされていた。

皆、顔色が悪く、コウタに至っては白目をむいている。

しばらくすると、記憶がだんだんと戻ってきた。

「...あ。そうか...思い出した。あの人のせいだ...」

 

+++++

 

 

事の発端は、数時間前に遡る。

「救援要請...?」

-極東支部の北東で感応種の反応がありました-

-それと同付近から救援反応が発せられています-

「い、急いで助けに行かないと!みんな、感応種とはまともに戦えないんだろ!?」

そう言ってロミオが慌てて立ち上がる。

ジュリウスが頷く。

「あぁ、つまり...今が、俺達の本領を発揮する時だ。

感応種討伐!ブラッド出るぞ!」

『了解!』

皆が立ち上がる中、シエルが口を開く。

「あ、あの...副隊長がもう、行ってしまったんですが...」

感応種と聞いたあたりから、クロサキはもう動き出していた。

「....」

慣れてしまった自分が怖いブラッドのメンバーだった。

 

+++++

 

 

神機使いの女性-アリサ-は感応種と交戦...というより退避していた。

感応種イェン・ツィー。

シュウに似た姿を持つが、小型アラガミチョウワンを生み出す力を持つ。

あっという間にチョウワンに囲まれる。

「くっ...このままじゃ...」

イェン・ツィーがアリサに狙いを定め、滑空攻撃を仕掛ける。

防御の為に装甲を展開しようとするが、神機は反応しなかった。

とっさに目を瞑り、その場にうずくまる。

その時だった。

「女の子一人に...何、がっついてんだよ!」

羽根を切り裂かれたイェン・ツィーは、アリサの上を通過しそのまま壁に突っ込む。

目を開けるとそこには、神機を担いだ銀髪の青年が立っていた。

その姿に、かつて自らを救ってくれた男を重ねる。

「おい、立てるか?」

黙って自分を見つめるアリサに、手を差し伸べる。

「あ、はい!すいません...」

ようやく我に返ったアリサは、差し出された手を取り、ゆっくり立ち上がる。

「オレはブラッドの副隊長のクロサキだ。まあ、とりあえず下がってろよ。」

クロサキはアリサを物陰に誘導する。

「え?あ、貴方は?まさか、一人で戦うつもりですか!?」

「大丈夫だって...さっきの見ただろ。

それに、もうすぐオレの仲間が来てくれるだろうしな!」

そう言って、クロサキはアラガミに切り込んでいく。

その姿は、まさにアリサが恋した男とそっくりだった。

 

+++++

 

 

「これで、終いだ!」

瀕死のイェン・ツィーの腹部に剣を突き立てる。

甲高い悲鳴を上げると、そのままイェン・ツィーは動かなくなった。

そこに、ジュリウス達が駆けつける。

「さすがだな。」

「あれ、もう終わり?」

「先走り過ぎです。(でも、カッコイイ...)」

「悪い、悪い...」

そう言って、クロサキは頭を掻く。

全員が彼に近づくと、ギルが気付いた。

「ん?...救援者はどうした?」

「あ、忘れてた。もう出てきても大丈夫ですよ!」

クロサキが後方に声をかけると、物陰からアリサが出てくる。

「あの...貴方達が...」

アリサが口を開く。

「失礼、フェンリル極致化技術開発局所属ブラッド隊隊長、ジュリウス・ヴィスコンティです。

オープンチャンネルに救援要請が入ったため、こちらに参りました。」

「フェンリル極東支部、アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。

救援要請へのご対応ありがとうございます。」

極東の人だったのか、とアリサを見ると目があった。

アリサはこちらをじっと見つめていた。

「ん?うちの部下が何か?」

気になったジュリウスが尋ねる。

「いえ!ただ、知っている人と似ていたような気がしたので...」

そう言うと、アリサは目線を逸らす。

「そうですか。」

そして、オレ達はアリサと共に極東支部に帰還した。

 

+++++

 

 

そして冒頭に戻る。

「そうだ...あの後、アリサさんがお礼に、って料理をごちそうしてくれたんだっけ...」

最初はアリサが作る予定だったが、ナナ・シエル・エリナが参戦し、

男子陣がごちそうになる、という運びとなった。

コウタが青ざめていた時に気付くべきだった...

キッチンからは叫び声やら、普通ではありえない爆発音が響いていた。

緊張が走る男子陣の前に最初に出てきたのは、エリナ。

「まあ、こんなもんよ。」

見た目にも色鮮やかな料理は、味も色鮮やかだった。

辛い・酸っぱい・甘い...舌の処理が大変だった。

「どう?おいしいでしょ!」

次に、シエル。

「慣れないことだったので、大変でした...」

見た目はきれいに盛り付けられており、食欲をそそる匂いもした。

問題は味だが...見た目とのギャップが強すぎた。

「ど、どうでしょう...」

どこまで食べても味を感じることが出来なかった。

今度はナナの番。

出されたモノは料理というより...

「なんか...レーションが出来上がりました...えへへ。」

なんでだぁ!!一体どんなマジックを起こしたんだ!

「まあ、まあ、ぐいっと...さあ!」

諦めてそれを飲み込む。

ヴェノム状態になった。

スタミナが回復した。

なぜか、変な汗が噴き出てきた...

 

「ここまではまだ耐えられた...だが...」

 

最後は...最期はアリサだった。

「久しぶりに作りましたけど...出来るものですね。」

出されたモノは、おおよそ料理とは思えなかった。

ボルシチとアリサは言っていたが...

表面には油が浮き、緑や紫の物体が具材として煮込まれていた。

これだけの見た目なのに、無臭なのが逆に恐怖を引き立てた。

「少し、手順を間違えましたけど...どうぞ食べてみてください!」

一口含んで、そこで意識が途切れた。

 

クロサキは水でのどを潤していた。

「まともに料理できる女子は居ないのか...」

周りで寝ている男子は全員、被害者だった。

フライアに戻っていたジュリウスと、研究室にこもっていたサカキは被害を免れた。

「オレ達は一つ、大人になりました...」

そう言って、オレはベッドに横になった。

遠くでハルオミの叫び声が聞こえたのは、クロサキが再び眠りについた後だった。

 

+++++

おまけ

 

 

シ「小麦粉と片栗粉って何が違うんでしょう?」

ナ「どっちも使っちゃえばいいよ~」

エ「ちょっと!アリサさん!塩入れ過ぎですよ。」

ア「...大丈夫。代わりに砂糖増やすから。」

シ「エリナさん!焦げてますよ!」

エ「わあ!やっば!...でも、これぐらいなら食べれるよね...」

ア「後は、唐辛子と...色付けにカレー粉も入れちゃおうかな?」

ナ「表面をイチゴシロップでコーティングして~」

キッチンは戦場だった。

 




日常回なのに長くなってしまった。
八割がネタです。
GEの女子キャラで料理得意なのって、ムツミちゃんとカノン様だけですよね。
リッカは...まあ、得意ってことで...

次回は...ええ...ロミオ編です。
刻々とその時が近づいていますが...頑張って書き切ります。

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