東方殺女王   作:ダイナマイト

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15時間かかりました笑


キラークイーンの謎

わたしのラッシュを喰らい気絶した美鈴を完治させ、木陰に寝かしたわたしは、再び紅魔館を目指した。

 

キラークイーンのパワーは、かなり強い。原作では一度、康一の体を貫いている。

そのラッシュを浴びたのだ、傷が完治しようが、しばらくは目を覚まさないだろう。

 

日が傾き始め、泉が紅く染まっていくのを見たわたしは、それを美しいと思った。

 

「たまにはこういうのもいいかもしれない。」

 

先ほどの戦闘も忘れ、わたしはそう呟いた。

 

(・・・ん?)

 

泉の中ほど、先ほどまでは気づかなかったが建物らしきものがある。

 

「あそこ・・・なのか・・・?」

 

わたしはそこまで跳ぶ(・・・)。ジャンプの速さを速め、飛距離を伸ばす。

たどり着いたわたしの目の前に広がったのは、紅い屋敷だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館のメイド、十六夜 咲夜は焦っていた。

いつも通り、館を掃除していた咲夜はある違和感を覚えた・・・

時(・・・)が止まったのだ。

十六夜 咲夜にはある能力がある。

≪時間を操る程度の能力≫時の停止、減速、加速、さらには空間の拡張なども出来る。霊力の続く限り、ほぼ無制限に使うことができる。

だからこそ彼女には分かったのだ。

彼女は焦るッ!もしかしたら敵かもしれない!止まっていた時間はわずかだったが、ここ紅魔館に近づく奴だ。弱いはずがない。

そう思い彼女は駈け出す。

 

(中国なら大丈夫だろうけど、やっぱり心配ね。)

 

自らが広げた無駄に長い廊下を、咲夜は今だけは恨めしく思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館を前にわたしは思う。

紅い、とにかく紅いのだ。いくらなんでも紅すぎる。ここまでくると悪趣味だ。

しかし、夕日とそれのコントラストはとてつもない美しさを感じさせる。

 

わたしがそれに目を奪われていると、館の中から一人の少女が姿を現した。

特徴的な銀髪とメイド服、その瞳には殺気に満ちている。

 

「・・・・あなた・・・人間よね?こんなところで何してるのよ。」

 

「いやぁ、なに、わたしは外から来た人間でね、君のご主人がここ幻想郷で偉い方だと聞いたものだから、ちょおっとあいさつに来たんだ。」

(キラークイーンッ!)

 

わたしはいまだに殺気をぶつける彼女に気づかれぬよう、キラークイーンを出しながら答える。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

「あら、それは立派な心掛けね、でもお嬢様はあなたみたいな人間になんかお会いしないわ。」

 

そう言って彼女は残虐な笑みを浮かべた、それはわたしに妖艶な印象さえ与える。

 

「それじゃあ君は人間ではないのかね?わたしは結構、観察眼には自信があるんだが・・・」

 

わたしはこれまでに妖怪に3人、人間に2人出会っている、彼女の気配は人間のそれ(・・・)だ。

 

「ええ、わたしは人間、でもあくまで従者よ、あなたとは違うの。

・・・それでも会いたいというのなら、わたしに勝ってごらんなさいッ!」

 

そういって彼女はメイド服からナイフを取り出す。

 

お前はDIOか・・・

わたしはそう思った。

 

 

「君がそういうのなら仕方ない、ここまで来て帰るのはわたしとしても遠慮したいからな。」

 

そう言ってわたしは彼女と対峙する。キラークイーンと背中合わせに立ち彼女の攻撃を待った。

 

「そう、ここで帰ってくれるとありがたかったんだけど・・・

いいわ、相手をしてあげる。十六夜 咲夜・・・これがあなたを冥土に送る女の名よ。」

 

「わたしは蒼々 影斗という、君がひれ伏す男の名だ。」

 

「それは・・・ゾッとし な い わ ねッ!」

 

咲夜は手に持ったナイフをわたしに向かって投げつけた。

 

シュッ!

 

「フン!知るがいい・・・・・・・・我がスタンドの能力は・・・まさにッ!「世界を支配する」能力だということをなぁッ!ザ・ワールドォッ!」

 

バァ───z___ンッ!

 

迫りくるナイフを軽々と避け、わたしは咲夜に近づいた。

キラークイーンの手刀で軽く気絶させてやろうと思ったからだ。

しかし、出来なかった・・・彼女の右手がピクリと動いたのだ。

 

「なッ!な・・・・・・なにィ~~~~~ッ!」

 

わたしは思わず飛びのいた。もし動けるのなら一瞬で首を掻っ切られてしまうかもしれないからだ。

 

「チッ!・・・時間切れだ・・・」

 

さて、どうしてくれようか・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしが長い廊下を越え庭に出たとき、まず目に入ったのは館に目を奪われている男だった。

曇りひとつない綺麗な金髪をしている、わたしの銀髪とはまるで反対だ。

整った目、鼻、口元、スーツの上からでもわかるがっしりとした肉体、そして漂う怪しい色気。

そのたたずまいから発せられる王としての風格に、わたしは思わず見惚れてしまった。

しかしいまはそのような場合ではない、彼は侵入者だ、ならば対処しなければならない、そう思いわたしは彼を睨みつけた。

すると彼はわたしの視線に気づいたようでこちらを向いた

 

「いやぁ、なに、わたしは外から来た人間でね、君のご主人がここ幻想郷で偉い方だと聞いたものだから、ちょおっとあいさつに来たんだ。」

 

彼はわたしの殺気など何でもないように言った。

 

「あら、それは立派な心掛けね、でもお嬢様はあなたみたいな人間になんかお会いしないわ。」

 

お嬢様は高貴な方だ、たいして彼はただの人間、お嬢様がお会いするわけがない。

 

「それじゃあ君は人間ではないのかね?わたしは結構、観察眼には自信があるんだが・・・」

 

「ええ、わたしは人間、でもあくまで従者よ、あなたとは違うの。

・・・それでも会いたいというのなら、わたしに勝ってごらんなさいッ!」

 

そういってわたしはナイフを取り出す。

 

「君がそういうのなら仕方ない、ここまで来て帰るのはわたしとしても遠慮したいからな。」

 

「そう、ここで帰ってくれるとありがたかったんだけど・・・

いいわ、相手をしてあげる。十六夜 咲夜・・・これがあなたを冥土に送る女の名よ。」

 

「わたしは蒼々 影斗という、君がひれ伏す男の名だ。」

 

彼の言葉には、思わず従ってしまいそうになるような安心感がある。恐ろしい、

しかしわたしの主人はあくまでレミリアお嬢様だ、完全で瀟洒なメイドとして、彼の言葉になびくわけにはいかない。

 

「それは・・・ゾッとし な い わ ねッ!」

 

シュッ!

 

わたしの投げたナイフは彼の喉元めがけて飛んでいく。

 

「フン!知るがいい・・・・・・・・我がスタンドの能力は・・・まさにッ!「世界を支配する」能力だということをなぁッ!ザ・ワールドォッ!」

 

バァ───z___ンッ!

 

時が止まった・・・

彼は止まった時を動き、わたしのナイフを軽々避ける。

彼は≪ザ・ワールド≫といった。くしくもそれはわたしのスペルカードと同じ名だ。

向かってくる彼に対して即座にナイフで対応しようとする。

 

ビクッ!

 

そこでわたしは考える。このまま止まっていれば私が時を止められることを知られずに済むのではないか。

少し動いてしまったが、もしかしたらバレていないかもしれない。

 

「なッ!な・・・・・・なにィ~~~~~ッ!」

 

彼はわたしから大きく飛び退いた。バレていた様だ。わたしは心の中でため息をつく。

 

「チッ!・・・時間切れだ・・・」

 

彼がそういった瞬間、時が再び動き出した。止めていられる時間は先ほどと同じくらいだ。なら先ほどのあれは彼の物だろう。

・・・だったら中国は彼にやられてしまったのだろうか、もしかしたら彼には中国を倒す手段を持っているのかもしれない。

 

「見えて・・・・・・・いるのか?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

彼はそう言った。わたしはそれに無言で答える。

 

「見えているのかと聞いているのだ!!咲夜ッ!」

 

「さあね・・・・・・なんのことよ・・・・・・?わからないわ、影斗。」

 

「・・・まあいい、君が動けようが動けまいが、戦っていればわかることだ。」

 

そう言って彼は再び時を止めた

 

ドォ───z___ンッ!

 

「・・・わたしはスタンドという能力を持っている。これは精神が具現化したようなものだ、スタンドは同じくスタンドをもっている者にしか見ることはできない。」

 

彼はそう言った、ここ幻想郷には他に、もっとすごい能力を持っているものもいるから、別段驚くことではない。

しかし彼の意図がつかめない、なぜ今言うのだろうか。

 

「こいつは人間程度なら軽く貫けるくらいにはパワーがあってね、美鈴とかいう妖怪もこいつで倒した、言ってることがわかるかい?」

 

「さて、残り2秒だが、君を始末するのには十分な時間だ、動けるのならば避けてみろよォォッ!

無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ───ッ!」

 

「チィッ!」

 

わたしは恐ろしい気配を感じとっさに飛び退く。

 

「やはり、動けたか、それならそれなりの対応をするまでだ。そして時はうg「ザ・ワールドッ!」・・・なにィッ!」

 

時が動きだす前にわたしが時を止めた。彼の動きが止まる。

 

「あんまりなめてもらっちゃあ困るわよ、あなた・・・」

 

わたしはナイフを影斗に投げ、彼の前で停止させる。

 

「これくらいあれば十分かしら?」

 

20本ほどのナイフを彼の前で停止させたわたしはそう呟いた。

 

「そして時は動き出す・・・」

 

停止した世界が再び動き出す。止まっていたナイフは影斗に向かって一斉に発射された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キ、キラークイーンッ!わたしを守れェッ!」

 

『しばッ!』

 

キラークイーンのスピードと精密性で10数本は、はじかれるがそれでも数本は影斗に突き刺さった。

 

「グゥッ!」

 

肩と腹にナイフをうけた影斗は口から少量の血を吐き、咲夜を睨みつけた。

 

「あら、まだ動けるの?大したものね、でもその傷で私に勝てるのか し ら・・・?」

 

咲夜は驚愕した、影斗が突然、自身の体に刺さったナイフを抜いたのだ(・・・)

当然、傷痕からは血があふれる、しかしそれより驚いたことはその傷がどんどん完治していくのだ。

 

(蓬莱人・・・なのかしら・・・いや、外の人間というからには、彼の能力の1つと考えるのが妥当ね。)

 

彼女がそう結論付ける一方、影斗も考えていた。

 

(あれほどの自信・・・もしかしたら咲夜はわたしよりも長く時を止められるのかもしれない。)

 

だから影斗は考える。

 

(我がキラークイーンは時をも吹き飛ばすッ!

アナザーワン・バイツァ・ダストは今の時間を吹き飛ばすッ!消し飛ばすッ!そして過去へと戻るのだッ!)

 

 

 

 

 

ならば・・・前方にも消し飛ばせないのかと・・・

 

「まあいいわ、あなたの命はここで終わり、さよならよ・・・」

 

咲夜は思考を打ち切り、再びナイフを構える。

 

「キラークイーン第4の爆弾ッ!キング・クリムゾンッ!」

 

カチリッ!

 

キラークイーンのスイッチを押すと、影斗以外のすべての時間がゆっくりと流れていく。影斗が時間を吹き飛ばしたのだッ!

その中で影斗はその場から離れた、その瞬間、咲夜の姿が消え、先ほど影斗がいた場所の周りに無数のナイフが現れ、影斗のいた場所を挟む形で咲夜が現れた。

 

「キラークイーン・キング・クリムゾンの能力の中では、この世の時間はすべて吹き飛ぶ・・・・・

そして全ての人間は、この時間の中で動いた足跡を覚えていないッ!

枯葉は、落ちたことにに気づかず!こぼれた水は、こぼれた瞬間を水自信さえ認識しない!

結果だ!!この世には結果だけが残るッ!!」

 

「そして時は再び刻み始める・・・ッ!」

 

時を止めようとした咲夜の目の前に現れたのは、自らが投げたはずのナイフだった。

そのナイフは彼女めがけて飛んでくるッ!あまりのその驚きに、彼女は時を止めることも忘れ、無防備にそれを受けた。

 

「へ・・・キャアアアァァァァァッ!」

 

ドスッ!ドスドスドスドスドスッ!

 

咲夜の体中にナイフが突き刺さり、咲夜は倒れこむ。

影斗は倒れた彼女に一歩一歩近づいた。

 

(ああ、わたしはこれから殺されるのね・・・)

 

薄れゆく意識の中、咲夜は血反吐を吐きながら、どんどん近づいてくる影斗を睨みながら、咲夜はそう思った。

 

(お嬢様、申し訳ございません。咲夜はこれ以上、貴女に仕えることはできません・・・)

 

影斗はそんな彼女に触れた。

 

「まさか、時を止められるとは・・・・・恐れ入ったよ、咲夜。

それに今もなお、わたしを睨みつける精神力、主人のため命を張る、忠誠心・・・君ほどの人間が死ぬのはおしい・・・

友達になろう、咲夜・・・死ぬ必要はない、わたしのちからで助けてやろう・・・・」

 

影斗が彼女に触れると、たちまち彼女の傷は塞がっていく。

 

影斗は、傷は完治したがいまだに立ちづらそうな彼女の手を取って、立ち上がらせた。

 

「・・・なぜ、なぜ私を助けたのよ・・・・・!」

 

十六夜咲夜は影斗の考えが分からなかった、なぜこんなことをするのかと

 

「なぜ?・・・言ったじゃないか、咲夜ァ?友達になろう。」

 

彼はすべてを包み込むような、それでいてすべてを取り込む獰猛さに満ちた笑みで彼女に言った。

 

「友・・・達・・・?」

 

「ああ、友達だ・・・君とだったらいい関係が築けると思うよ、わたしは・・・だから

友達になろう、咲夜・・・」

 

そう・・・まるで王、彼女の主よりもずっと深く、穏やかな、気品あふれる声色で影斗はそう言った。

 

「はいぃ・・・・・」

 

咲夜は恍惚とした表情で彼に身をまかせた。

色気漂う唇と、そこから紡がれる王としての声に、根っからの従者である咲夜に拒むことなど出来るはずがなかったのだ・・・

 

 




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