東方殺女王   作:ダイナマイト

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暴走してしまった・・・


紅魔郷~スカーレットファントム~
EITOの世界


「ここで権力を持った奴はいるのか?」

 

影斗にそう問われ、文、霊夢、魔理沙の3人は考える。

 

なぜ、そんなことを聞くのかと・・・

まず必要性が感じられない、だったらなんでそんなことを聞くのか。

まさかこの幻想郷を支配しようとしているのだろうか、しかし影斗からそんな空気は微塵も感じられない。

 

だからこそ3人は影斗に問う。

 

「「「なんでそんなこと聞く(んですか)(のよ)(んだ)?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「なんでそんなこと聞く(んですか)(のよ)(んだ)?」」」

 

そう問われるのも無理はない、自分でも唐突だと思ったからだ。

だからこそわたしはその理由を苦笑しながら答えた。

 

「いやぁ、なに、わたしはちっぽけな人間だからね、怖いんだよフフフ。

文の言うようにわたしは少し危険な能力を持っているからね、目をつけられないよう挨拶にでも行こうと思ったんだ。」

 

わたしがそういうと3人はホッと息を吐き、判りやすく緊張を解いた。

 

「そういうことならいいんですけど・・・」

 

「いきなり変なこと聞くから、何か企んでんだじゃないかって心配したぜ。」

 

「ん~最近だとあれ(・・・)かしら。」

 

3にんはそれぞれそういった。

 

「ん?あれっていったい何のことだ?」

 

霊夢の言ったことに疑問を覚えたわたしは、それを問うた。

 

「あなたが来る少し前に、吸血鬼が他の妖怪たちをその配下に置いちゃってね、それ自体は大妖怪と呼ばれる奴らで何とかしちゃったんだけど・・・

そいつらが力を持っているのには変わりないわ。」

 

「吸血鬼・・・ねぇ~?」

 

わたしはそれに興味を持った。

吸血鬼・・・様々な本で有名なそいつを、わたしは見てみたいと思った。

 

「よかったらそいつがいる場所を教えてもらえないかい?」

 

「あんたがめをさましたっていう森の中の泉のそばの紅魔館ってとこよ、・・・忠告しておくけどやめた方がいいわよ、

あんたがどれくらい強いのかは知らないけど、・・・危険よ。」

 

霊夢はそういった。淡々とした口調ではあったが、こちらに対する気遣いの色が見える。

わたしは彼女のことを不器用な奴だなと思い苦笑した。

 

「ああ、気遣いはありがたく受け取るが、わたしは心配性でね。少しでも不安は消しておきたい。」

 

「・・・そこまでいうなら勝手にしなさい。」

 

そういって霊夢は踵を返し、神社の中に入っていった。

 

「まあ、ほんとに行くなら、十分注意していけよな。」

 

知り合いに死なれちゃ目覚めが悪いぜ。魔理沙はシニカルに笑いながらそう言った。

 

「無事・・・帰ってきてくださいね。」

 

文は上目づかいにわたしへそういった。これはホントに心臓に悪い、やけに高鳴る心臓を気にしながら、わたしはそう思った。

 

「大丈夫だよ、文、ただ話をしに行くだけだ、それに助けてくれた君に恩を返さないといけないしね。」

 

いけない、彼女と話すとどうしても頬が緩んでしまう。変に思われてないか気にしながら、わたしは彼女に背を向け階段を下りて行った。

 

「なにかわたしにして欲しいことがあったら考えておいてくれ、出来る限り協力しよう。」

 

わたしは文にそう言って、紅魔館を目指して歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このへんだと聞いていたのだが・・・」

 

文たちと別れ、4時間ばかしたったころ、わたしは森の中の泉に来ていた。

キラークイーンのもう一つの能力≪ドン・ストッピーナ≫でわたしの走るスピードを上げここに来たのだ。

 

道中、氷を扱う妖精とやらに出会ったが、特に何事もなく撃退したため割愛させてもらおう。

 

「やれやれ、少し急ぎすぎたかもしれんな。」

 

昼を少し過ぎたくらいだろうか、吸血鬼の時間には早いだろう。

そういってわたしは近くの小岩に座った。

懐から外の世界から持ち込んだと思われるタバコを取り出し、それに火をつける。

 

「そういや、この世界についてから初めてだったな。」

 

しばらくぶりの煙を十分に堪能してから火を消す。

 

「さて、一つ実験だ。」

 

わたし自身が持つ能力、あらゆる傷を完治させる能力は物にも有効なのか・・・、と言ったものだ。

先ほど火を消した煙草を手にし、わたしは目を閉じ、これが元通りに戻った姿をイメージする。

 

目を開け、手に持ったタバコを一瞥する。

 

(やはりな・・・)

 

わたしの手の中には、吸う前と同じ状態のタバコがあった。

(ならばいろいろなことができるな・・・それこそクレイジーダイヤモンドのように。)

 

そう思っているとテンションが上がってくる。

 

だからだろう、近づいてくる気配に気づかなかったのは・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドドドド

 

「おや、こんなところに人間なんて珍しいですね。」

 

ハッ!

 

油断したッ!まさかわたしが気配に気が付かないとは・・・ッ!

 

「・・・気配を消して近づくなんて、少々悪趣味なんじゃあないかあ?君・・・」

 

(キラークイーンッ!)

 

キラークイーンを出しながら、わたしは振り向きそいつと対峙する。

 

ジロリッ!と・・・わたしはそいつに凄みを効かした。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「この辺に近づく方がいるなんて珍しいものですから、少し警戒してたんです。

驚かせてしまったならすいません。」

 

そいつ・・・紅に染まった髪に、龍と書かれた特徴的な帽子、緑色の軍服のようなドレスに身を包んだ少女はそう言った。

 

「いや、いいんだ、それより君の名前は?わたしは蒼々影斗という。」

 

「わたしは紅 美鈴(ほん めいりん)と言います、・・・ところで、あなたはなんでこんなところにいるんですか?さっきもいった通り人間がここに来るのは大変珍しいのですが・・・」

 

彼女はそう言った、紅魔館を探すのに少々手間取っていたとこだ、よければ彼女に案内してもらおう。

 

「ああ、紅魔館というところを探していたんだ。よければ・・・」

 

わたしはそう言ったところで気づいた、彼女の気配に殺気がはらんだのだ。

後ろに跳び下がり、彼女と距離をとるッ!

 

「そうですか・・・紅魔館にィ・・・ならば・・・」

 

あなたは敵ですね・・・紅は続けて言う。

 

「ちょうどよかったわ。お嬢様への食材(・・・)が足りなかったとこなのよ。」

 

彼女の口調は先ほどと打って変わり、獰猛な印象さえ感じさせられる。

 

「・・・ことはなるべく穏便に済ませたかったのだがね、だが君がそういう態度で来るのならば、やぶさかではないッ!

・・・君を始末させてもらうッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで蒼々 影斗は考える。

キラークイーンのもうひとつの能力のことを・・・

 

(キラークイーン・ドン・ストッピーナはありとあらゆるスピードを操る、ならば・・・)

 

スピードを操る・・・聞こえはいいが、わざわざ神にお願いしてまで得るほどの能力だろうか?

ではなぜ影斗はこの能力を選んだのか?

速く走るため?イヤ違うッ!では温度を操るため?これも違うッ!それは・・・

 

 

 

 

 

「ドン・ストッピーナ・ザ・ワールドッ!」

 

そう、時の流れのスピードを操るためなのだッ!

影斗以外のすべてが動きを止める。流れる水もッ!空を漂う雲さえもッ!すべてが停止する。

美鈴は格闘家のように拳をかまえたまま動きを止めた。

 

「わたしは決して止まらない・・・」

 

そういって影斗は美鈴の後ろに回りこむ。

 

「5秒経過・・・まだ動けるぞッ!」

 

(ここでラッシュをくれてやってもいいが、そんなことはいつでも出来るッ!

だったら一つ、こいつを驚かしてやろうじゃないか。)

 

「8秒経過・・・ここまでか、・・・そして時は動き出すッ!」

 

影斗にとって8秒も止められたのはうれしい誤算だったが今は関係がない。美鈴の驚いた顔を想像しほくそ笑んだ。

 

 

 

(さて、お嬢様に会いに来たと言った無礼な人間を、さっさと殺してお嬢様に献上しましょう。)

 

紅 美鈴は目の前の人間をなめきっていた。ここに来るとは頭の悪い人間だ。人間が妖怪に勝てるはずがない、そう思っていた。

紅魔館のメイドである十六夜 咲夜≪いざよい さくや≫は確かに人間としては強い、しかしそれはあくまで人間としてはだ。

確かに時を操るという恐ろしい能力を持っているが、純粋な戦闘では美鈴に分があるだろう。

それほどまでに人間と妖怪では差があるのだ。まず体力が違うッ!、回復力が違うッ!なにより力が違うの(・・・)だ。

たかがナイフ程度では彼女の命には届きはしないッ!。

それにこの美鈴、勤務態度がよろしくないのにも関わらず、クビにならないのにはわけがある。

彼女は強い(・・・)のだ。仮にも強い妖怪がひしめく幻想郷で、強者の部類に入る吸血鬼の根城の門番を務めているのだ。弱いはずがない。

だから彼女は思う。

 

(お嬢様は褒めていただけるでしょうか、いまからでも楽しみです。)

 

その瞬間、影斗の姿が消え、自分のすぐ後ろから殺気を感じる。美鈴は反射的にエルボー繰り出した。

 

ゴウッ!

 

空間ごと消し去るような鋭いそれが影斗を襲う。

 

(ザ・ワールド・・・時よ止まれぃッ!)

 

影斗は再び時を止め、美鈴のそれをたやすく避け、彼女の後ろに回りこむ。

 

そこで時は動き出した。

 

美鈴のエルボーは空をきった。

影斗は彼女の耳元で語りかけた。

 

「フフフ、ひとつチャンスをやろう・・・」

 

影斗の色っぽい唇から言葉が紡がれる。

 

ゾクッ!

 

美鈴は恐怖を感じた。なめきっていた人間に対して、確かに恐怖を感じたのだ・・・

彼女はその恐怖を打ち払うため、影斗に裏拳を叩き込むッ!

 

ブンッ!

 

しかしその攻撃も空しく、時を止めた影斗に避けられてしまう。

恐怖と驚愕に染まる彼女を無視して影斗は続ける。

 

「簡単なことだ、わたしを君のお嬢様のところに案内すればいい。たったそれだけのことだ。」

 

なおも続ける影斗に向かって美鈴は裏拳の威力そのままに、後ろ回し蹴りを放つ。

 

シュバッ!

 

それもやはり影斗には無駄なことだった。再び時を止めて避けた。

 

「安心しろ・・・安心しろよ・・・紅 美鈴。何も君の主人に喧嘩を売りに来たわけじゃあない、話をしに来たんだ・・・

君も怪我なんてしたくないだろう?君は案内するだけだ、それだけで今日も無事眠れるんだ、簡単なことじゃあないか・・・」

 

十六夜 咲夜と蒼々 影斗には決定的な違いが2つあるッ!

確かに咲夜は影斗よりもずっと長く時を止められるがそれだけだッ!影斗には確実に彼女を消し去る手段がある。それが余裕をにつながるのだッ!

そして何よりも格ッ!そしてカリスマが違うのだッ!それらから生まれる強者の風格、王としての風格は根っからの従者である咲夜にはないものだ。

 

影斗・・・いやEITOがイメージするのは、DIOッ!唯一の死ぬ前の記憶はEITOの性格に影響を与えるのは仕方のないことだッ!

しかしEITOにはDIOのような悪はないッ!それが美鈴に恐怖と共にDIOとは違う安心感を与えるのだッ!

 

(ああ、このまま彼にすべてをゆだねたい・・・)

 

美鈴がそう思ってしまうのは仕方がないだろう、EITOの言葉にはそれほどの魅力があったのだ。

しかし彼女の心は強かったッ!

彼女の忠誠心がッ!意地がッ!彼の言葉に打ち勝ったのだッ!

 

「・・・お断りします、わたしはあるまで紅魔館の門番ですから、お嬢様を危険な目に会わせるわけにはいきません。」

 

美鈴は強い意志をもって、力強い目でEITOに対峙したのだッ!

 

「そうか・・・残念だよ、紅 美鈴。ならばしばらく眠っていろぉッ!WRYYYYYYYYYYYYYYーーーーーーッ!」

 

再び時は停止する。

 

「キラークイーンッ!」

 

『しばッ!』

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーーーーーッ」

 

EITOは美鈴に対してラッシュを放った!

 

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ!

 

彼女の体に無慈悲にこぶしがめり込んでいく。

 

(8秒経過・・・時は再び動き出す・・・)

 

「グハッ!」

 

美鈴はそこで意識を失った。

 

 

 




笑っていいですよ・・・orz

ちなみにEITO表記は今回だけです。(笑)


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